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沖縄-辺野古-高江から-2022年1月26日

 沖縄からの闘い。「第三者行為論」にも挑む。
「宜野湾市の米軍普天間飛行場を離着陸する米軍機の実質的な飛行差し止めや、騒音被害の損害賠償を求める第3次普天間爆音訴訟団は25日、沖縄市知花の那覇地裁沖縄支部に508人(165世帯)分を追加提訴した。原告数は計5846人(2110世帯)と過去最多。損害賠償の請求額は、将来分も含め概算で総額100億943万円に膨らんだ。
訴訟団の新垣清涼団長は『多くの住民が爆音に迷惑している。国はしっかり受け止めてほしい』と求めた。追加提訴は2回目で、今回で最後という。弁護団の新垣勉団長は飛行差し止めに向けて、第4次嘉手納爆音訴訟団と合同の行政訴訟を調整しているとして『新しい突破口も探りたい』と述べた。」、と琉球新報。

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 何よりも、自らが沖縄から受け取るものを明確にするために。
 2022年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

(1)琉球新報-原告508人、追加提訴 普天間爆音第3次訴訟 最多5846人に(金良孝矢)-2022年1月26日 06:20

 琉球新報は、表題について次のように報じた。

1.【中部】宜野湾市の米軍普天間飛行場を離着陸する米軍機の実質的な飛行差し止めや、騒音被害の損害賠償を求める第3次普天間爆音訴訟団は25日、沖縄市知花の那覇地裁沖縄支部に508人(165世帯)分を追加提訴した。原告数は計5846人(2110世帯)と過去最多。損害賠償の請求額は、将来分も含め概算で総額100億943万円に膨らんだ。
2.訴訟団の新垣清涼団長は「多くの住民が爆音に迷惑している。国はしっかり受け止めてほしい」と求めた。追加提訴は2回目で、今回で最後という。弁護団の新垣勉団長は飛行差し止めに向けて、第4次嘉手納爆音訴訟団と合同の行政訴訟を調整しているとして「新しい突破口も探りたい」と述べた。
3.原告は、国が定めた騒音コンター(分布図)で、うるささ指数(W値)75以上の区域内の住民となっている。訴状では、原告は騒音によって憲法で保障されている平穏で安全な生活を営む権利を侵害されていると訴えている。裁判所は第1次、第2次訴訟で騒音被害の賠償責任を国に認めるも、飛行差し止めは国が運用を制限できる立場にないという「第三者行為論」で退けている。 (金良孝矢)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1460324.html?utm_source=ryukyushinpo&utm_medium=referral&utm_campaign=top_kennai 参照 2022年1月26日)

(2)沖縄タイムス-沖縄、きょうの感染は1256人 米軍関係は15人 新型コロナ【1月26日昼】-2022年1月26日 15:32

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.沖縄県は26日、新たに1256人の新型コロナウイルス感染を確認した。累計感染者数は7万8358人となった。
2.1日当たりの新規感染者数は前週の同じ曜日に比べ177人減った。県内の直近1週間の人口10万人当たり新規感染者数は528.98人で、病床使用率は63.8%。重症用病床使用率は37.6%
3.米軍関係者は新たに15人の感染が確認された。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/900855 参照 2022年1月26日)

(3)沖縄タイムス-「まさか国を相手に…」自宅を揺らすほどの爆音、泣く子どもたち 司法に訴え40年 静かな日常を取り戻せると信じて(中部報道部・伊集竜太郎)
-2022年1月26日 06:39-[3万5千人の決起 第4次嘉手納爆音訴訟](1)

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.1982年、第1次となった嘉手納爆音訴訟。北谷町砂辺では、提訴を前に公民館で頻繁に集まりが開かれた。4人の子育て中だった松田トヨさん(75)を支えてくれたのは、集会のたびに「頑張ろうね」と声掛けしてくれる高齢者たちだった。今も松田さんはその先輩たちの表情を忘れない。ようやく「日本国憲法の下で守られる」という高揚感があった。40年の時がたった。当時の原告は少なくとも半分近くが亡くなってしまった。
2.松田さんは同町の謝苅出身。高校卒業後、6人きょうだいの長女として家計を助けるため現在の浦添市牧港の基地で働いていた。戦時中のベトナムへ輸送する物資の確認で、1日24時間の3交代制だった。女学校かと思うくらいに同世代の女性がたくさんいた。その女性たちが米兵らによる暴行事件に遭ったと何度も耳にした。でも事件が公になることはなかった。
3.沖縄の日本復帰前の23歳で結婚して砂辺に来た。すぐに子どもができ、自宅にいる時間が増えた。自宅を揺らすほどのB52爆撃機の爆音が頻繁にとどろいた。そのたびに子どもの耳をふさいだ。深夜、早朝も関係なく飛び交い、子どもを泣かせた。でも爆音を止める手だては何一つない。収まるまでじっと耐えるしかなかった。
4.72年に沖縄は復帰したが爆音は続いた。そんな中、国に嘉手納基地の夜間飛行差し止めを求める裁判を起こす話を住民から聞いた。「まさか、国を相手にそんなことができるのか」。驚きとともに「これで当たり前の人権が守られる」という安心感が広がった。
5.復帰から10年となる1982年の2月26日。夜間飛行の差し止めなどを求めて提訴した当時601人(追加提訴で計907人)の原告の一人に名を連ねた。静かな日常を取り戻せると信じて。(中部報道部・伊集竜太郎)
6.米軍嘉手納基地の周辺住民が夜間・早朝の飛行差し止めなどを国に求める第4次嘉手納爆音訴訟が28日、那覇地裁沖縄支部に提起される。1次提訴から40年の今年は復帰50年にも当たる。国内最大級の原告数は3万5千人余りに膨らんだ。原告や訴訟の足跡をたどった。
(最大112デシベル「鼓膜が破れるような音」 止まぬ爆音、周りは転居) 
1.沖縄戦で米軍の沖縄本島上陸地になった北谷村(当時)は全域が占領地となった。砂辺は終戦9年後の1954年から段階的に解放され、住民は徐々にふるさとに戻っていった。
2.23歳から砂辺に住む松田トヨさん(75)はエイサーや十五夜祭りなど行事が盛んだった当時を懐かしむ。十五夜祭りでは舞台で子どもからお年寄りまで余興を披露した。住民が深く結び付き暮らす地域の空で爆音は続いた。
3.国は1975年度から基地周辺の騒音が激しい区域で、住宅などの移転補償や土地を買い入れる移転措置事業を始めた。沖縄防衛局によると砂辺は2020年度までに移転補償が228件、土地買い入れは205件。合わせると59億円以上に上る。「元々の集落の住宅は最盛期から3分の1くらいに減ったんじゃないでしょうか」。松田さんは地域を回りながら声を落とした。
4.地域で進んだ転居について他の住民と話したことはない。「自分の先祖の土地を手放すのは、みんなつらい決断のはずだから」。でも、空き地が増えていくのが悲しかった。
5.嘉手納基地周辺では、県や市町村が設置した騒音測定局が20以上ある。県の20年度のまとめでは、騒音の1日当たりの発生回数は平均で59・4回と全測定局で2番目に多い。大きさは全局最大の112・7デシベルを記録した。松田さんは「鼓膜が破れるような音」と感じる。爆音がとどろくと人さし指を両耳に突っ込む。地域外の人が砂辺に来るとあまりの音の激しさに驚くが、松田さんは「爆音は毎日。住んでいる人がこれを異常だと思っていたら身がもたない」。やり過ごすしかない実情を語る。
6.1982年の第1次訴訟では意見陳述した。何を語ったかは思い出せない。基地では女性暴行事件の数々を耳にし、復帰しても米軍機の爆音で生活が侵害されてきた。日本国民として、人権という当たり前の権利を主張できるうれしさから、法廷で涙を流したことだけは覚えている。
7.変わると期待したが、裁判所は爆音の原因である米軍機の飛行差し止めの訴えを退けた。松田さんは諦めず2次も3次も原告になった。黙っていたら、声を上げなければ、爆音を認めたと国に思われる。「亡くなった先輩たちが生きていたら絶対に行動しているはず」。松田さんは4度目の裁判でも原告に名を連ねる。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/900607 参照 2022年1月26日)

(4)沖縄タイムス-「私たちには隣人が必要」憲法9条の大切さを訴えたベトナム帰還兵 遺志継ぎ現地の子に奨学金-2022年1月26日 14:06

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.元米海兵隊のベトナム帰還兵で、平和や憲法9条の大切さを訴えた故アレン・ネルソンさんの遺志を継いで活動する「アレン奨学会」(宜野座映子代表)は14日、ベトナムの子どもたちに奨学金を贈った。ベトナムで支給式があり、102人に現地の小学生の学費半年分に相当する約2500円ずつ、計約25万円を贈った。同会は2010年からベトナムの子どもたちに毎年、奨学金を贈っており、今回で延べ1158人となった。
2.アレンさんは18歳で入隊し、キャンプ・ハンセンで訓練を受けてベトナム戦争に出兵。戦場で浴びた枯れ葉剤の影響とみられる多発性骨髄腫を発症して09年に亡くなった。アレンさんは沖縄を含めて全国で1200回以上講演した。同会はアレンさんの遺志で、当時病床にいたアレンさんを支援するため全国から治療費として集まったカンパの残金で奨学金に充てている。
3.昨年に続いて今年も新型コロナウイルス感染拡大の影響で渡航できず、同奨学会の活動をベトナムで支援するドンズー日本語学校ダナン校のチン・ディン・タン校長が、アレンさんの駐留場所だったタムキー、クェソン、ノンソンの子どもたちに支給した。
4.沖縄とベトナムをインターネットでつなぎ、支給式と交流会を開いた。交流会ではベトナムの子どもたちが歌い、沖縄の若者らは歌や三線、ギターを披露した。
5.宜野座さんは「アレンさんは生前『私たちは1人では生きていけない。隣人を必要とする存在です。お互いを大事にし合って生きていくのです』と言っていた。大切な隣人としてベトナムの人たちと交流を続けていきたい」と話した。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/900441 参照 2022年1月26日)

(5)沖縄タイムス-羽を広げると1m以上「こんなに飛んでくるとは」 鳥の群れ300羽が飛来 2年前に別の町でも目撃例(玉那覇隆子通信員)
-2022年1月26日 10:28

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.3日正午すぎ、沖縄県中城村久場の海岸でウミウ(海鵜)とみられる渡り鳥300羽ほどが飛来した。たまたま海岸に遊びに来ていた西原町翁長の宮里一男さん(63)は「生まれて初めて見た。羽を広げると1m以上あった。こんなにたくさんの鳥が飛んでくるとは」と驚いた様子。
2.ウミウは渡り鳥で鵜飼いで知られるウの仲間で12月ごろから渡りを始める。大群で飛来するのは珍しいという。2年前にも北谷町の海に飛来し、目撃されている。(玉那覇隆子通信員)
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/900465 参照 2022年1月26日)

(6)琉球新報-再編交付金、民主主義に反する(川瀬光義・京都府立大名誉教授)<名護市長選の結果を読む・識者の見方>3-2022年1月26日 12:25

 琉球新報は、表題について次のように報じた。

1.再選された渡具知武豊氏が進めた給食費無償化など子育て支援策の財源となっている再編交付金は、民主主義国家において決してあってはならない財政政策である。その最大の理由は、辺野古新基地建設について市長が「反対」を唱えただけで不交付となること、つまり国の政策に対する意見の相違を理由として公的資金配分の是非が決められているからである。
2.いうまでもなく、民主主義社会において思想信条の自由は絶対に尊重されなければならず、公的資金の配分は客観的かつ公正な基準によらなけなければならない。
3.再編交付金は、米軍再編で負担が増える自治体のみが対象である。米軍再編によって予想される騒音などの環境破壊への対策ならそれでもよい。しかし子育て支援の充実は、米軍の存在と直接関連するものではなく、どの自治体でも充実が求められる施策である。そうした政策の充実を自治体に促すべく政府が補助金などを交付する場合、すべての自治体に応募の機会が開かれていなければならないのであって、政府の政策に異を唱えない自治体のみを対象とすることは民主主義と決して相いれない。
4.そもそも子育て支援は、軍事による安全保障を主たる業務とする防衛省が所管する施策ではない。防衛省は、本来業務と関連がない施策に財政資金を投じないと新基地建設を受け入れてもらえそうにない、つまりその必要性を言葉によって説得する自信がないということであろうか。
5.周知の通り、新基地建設について名護市民は、1997年末の住民投票で「否」という意思を示している。にもかかわらず、民意を一切顧みることなく、このような不適切な資金を投じるなどして四半世紀もの間名護市民を苦しめてきた日本政府の不条理な行いこそ、問題にするべきであろう。
6.本紙1月20日付報道によると、岸本洋平氏が再編交付金に頼らない方針を示していることから、渡具知陣営からは年間約7億円の財源確保策について疑問が呈されたとのこと。渡具知氏もよく認識されているように、この交付金は期限がある。そのときにどう財源を確保するかについて、渡具知氏も具体案を示すことが求められているのではないか。
 (地方財政学)
(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1460496.html 参照 2022年1月26日)

(7)琉球新報-騒音は痛み、静かな空を…85歳原告「やめられない」理由 第4次嘉手納爆音訴訟、28日提訴(石井恵理菜)-2022年1月26日 11:25

 琉球新報は、表題について次のように報じた。

1.「それは頭の芯までえぐられるような、痛みさえ感じるような音です」―。嘉手納町屋良に住む池原初子さん(85)は、1983年に行われた第1次嘉手納爆音訴訟の口頭弁論で訴えた。82年提訴の第1次訴訟から第3次までの40年間、爆音がなくなることを信じて闘ってきた。「爆音は変わらず、慣れることもない。何度声を張り上げても国に届かないが、やめてしまえば全部がなくなってしまう」。当たり前の静かな環境を求め、四たび立ち上がる。
2.嘉手納で生まれ育ち、小学3年生で沖縄戦を体験した。戦時中は北部に疎開し、敗戦から数年後に故郷の屋良地域が開放され、嘉手納に戻った。故郷の姿は一変。目の前には広大な米軍基地が広がっていた。「自然が破壊され、自分たちのすみかがなくなった。悲しみ以外の何物でもなかった」。
3.結婚後は嘉手納ロータリー周辺に住居を移した。68年11月19日未明、就寝中に爆発音で飛び起きた。米軍のB52戦略爆撃機が嘉手納基地に墜落した。「また戦争が来た」。泣き叫ぶ子どもたちと抱き合った。
4.騒音は仕事にも支障を来した。20歳から洋裁を始め、復帰前にロータリーに店を構えた。米軍機の騒音で電話が聞き取れず、サイズや注文個数を間違えることもあった。
5.第1次訴訟は弟の勧めで参加した。「爆音で眠れず、子どもたちも夜中に飛び起きた。子や孫に至るまで、この状態を残したくなかった」。
6.第4次訴訟の嘉手納町内の原告数は7752人で、第1次の184人と比べ約42倍。町民の2人に1人が、訴訟に加わる。「みんなが爆音に耐えかねて参加するということは悲しい」。変わらない現状に唇をかみしめる。
7.第4次訴訟は、日本復帰から50年の節目に当たる。「復帰できた喜びはあったが、その後も土地は返ってこないまま基地は大きくなり、爆音もひどくなった。沖縄はいつまで戦争の下にあるのか」。
8.池原さんは、39年前に書いた陳述書を読み上げる。「難しいことを言っているのではありません。ただ静かな夜、静かな環境、静かな教育の場がほしいのです」。訴えは今も変わらない。(石井恵理菜)
9.過去40年にわたって裁判闘争を繰り広げる嘉手納爆音訴訟の原告団が、28日に4度目の提訴をする。原告数は過去最大の3万5千人にふくれあがった。米軍機の爆音がない、静かな環境を望む原告らの思いに迫る。
(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1460454.html 参照 2022年1月26日)


# by asyagi-df-2014 | 2022-01-26 18:04 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄-辺野古-高江から-2022年1月25日

 沖縄は、待ったなしの闘いを挑む。
 「米軍嘉手納基地の周辺住民が、米軍機の騒音被害などを訴えて夜間・早朝の飛行差し止めなどを求める『嘉手納爆音訴訟』で、第4次訴訟の弁護団は24日、今年5月をめどに第3次普天間爆音訴訟と第4次嘉手納の原告の一部が合同で、新たに行政訴訟を起こす方針を示した。米軍機の飛行差し止めを米国に求める地位にあることの確認などを国に求める。24日、オンラインの記者説明会で明らかにした。弁護団の西晃弁護士は、1982年の第1次の提訴以降、飛行差し止めについては米軍基地の管理は日本は規制できる立場にないという『第三者行為論』で退けられていると指摘。行政訴訟によって、国の公権力の行使の在り方を司法に直接問うとした。」、と琉球新報。

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 何よりも、自らが沖縄から受け取るものを明確にするために。
 2022年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

(1)琉球新報-爆音 新たに行政訴訟も 5月方針 嘉手納・普天間一部合同-2022年1月25日 05:50

 琉球新報は、表題について次のように報じた。

1.米軍嘉手納基地の周辺住民が、米軍機の騒音被害などを訴えて夜間・早朝の飛行差し止めなどを求める「嘉手納爆音訴訟」で、第4次訴訟の弁護団は24日、今年5月をめどに第3次普天間爆音訴訟と第4次嘉手納の原告の一部が合同で、新たに行政訴訟を起こす方針を示した。米軍機の飛行差し止めを米国に求める地位にあることの確認などを国に求める。24日、オンラインの記者説明会で明らかにした。
2.弁護団の西晃弁護士は、1982年の第1次の提訴以降、飛行差し止めについては米軍基地の管理は日本は規制できる立場にないという「第三者行為論」で退けられていると指摘。行政訴訟によって、国の公権力の行使の在り方を司法に直接問うとした。
3.行政訴訟は、二つの訴訟の原告から選出し、那覇地裁に提起する。弁護団によると、被害状況は基地ごとに異なるので、通常の民事訴訟で複数の基地被害をまとめて訴えるのは難しい。一方、行政訴訟では、被害救済よりも行政の違法性に焦点が置かれるため、合同でやることは不可能ではないという。
4.西弁護士は「同じ米軍基地騒音に悩み、静かな夜を願う県民が、共同して国に適切な公権力の行使などを求めることで、広く世論喚起し、県民にもアピールする狙いだ」と意義を語った。
5.第4次嘉手納爆音訴訟は、28日に那覇地裁沖縄支部に提訴する。原告は嘉手納基地周辺で国が定めた騒音コンター(分布図)で、うるささ指数(W値)75以上の区域内の住民で、0歳から106歳までの1万2049世帯、3万5566人を予定。全国の基地訴訟で最大の原告数となる。居住自治体は嘉手納町、北谷町、沖縄市、うるま市、読谷村、宜野湾市、北中城村、恩納村の8市町村。
6.損害賠償請求額は1人月額5万5千円とする。将来分の賠償も求める。
(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1459795.html 参照 2022年1月25日)

(2)琉球新報-沖縄コロナ第6波、18日をピークに減少 入院は30日まで増加の見通し(嘉陽拓也)-2022年1月25日 06:40

 琉球新報は、表題について次のように報じた。

1.県は24日、新型コロナウイルスの流行第6波における新規感染者は、直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者が679・07人だった18日をピークに減少に転じている一方、入院患者は30日まで増加し続けるという予測を発表した。県によると、これまでの感染状況から、流行は2波から5波までのデータを基に6波の状況を推計したという。
2.直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数はピークの18日以降、上昇の勢いが反転して下落すると推測しており、県の警戒レベル指標でレベル3B(感染まん延期)を脱するのは2月3日ごろと見ている。
3.入院患者のピークは新規感染者より12日遅れて迎えるとして、今月30日を想定した。そこから減少に転じた場合、入院患者が県の確保病床648床の50%以下(324人)となり、警戒レベル2(感染流行期)に移行するのは2月15日ごろと見込んでいる。
4.ただ数値上の推測のため、実際には遅れることも想定している。(嘉陽拓也)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1459766.html?utm_source=ryukyushinpo&utm_medium=referral&utm_campaign=carousel 参照 2022年1月25日)

(3)沖縄タイムス-2021年の観光客数301万6700人 沖縄2年連続で減少-2022年1月25日 13:06

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.沖縄県文化観光スポーツ部は25日、2021年(1~12月)の入域観光客数は、前年比19・3%(71万9900人)減の301万6700人だったと発表した。新型コロナウイルス感染拡大前の19年比では70・3%(714万7200)減となり、2年連続で前年を下回った。
2.外国人観光客は、日本への入国制限などが影響し、復帰後初めて暦年でゼロとなった。コロナの影響でこれまで最も減少幅が大きかった20年、海洋博翌年の1976年に続き、過去3番目の落ち込みとなった。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/900249 参照 2022年1月25日)

(4)沖縄タイムス-那覇新港で発見された不発弾315発 沖合で処理 26日沖縄-2022年1月25日 09:34

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.沖縄県の那覇港新港ふ頭10号岸壁沖合で26日午前11時から、昨年3~11月に那覇新港で発見された不発弾計315発の水中爆破処理作業が行われる。正午に終了予定。
2.処理する不発弾は米国製4インチ砲弾24発、3インチ砲弾19発、5インチ砲弾5発、7・62ミリ小銃弾250発など。
3.処理現場から半径3キロは遊泳など入水禁止、半径300メートルは船舶の航行・停泊も禁止。住民や事業者の避難はない。
4.那覇新港の岸壁工事などで発見された不発弾は計634発で、昨年12月に319発を処理していた。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/900061 参照 2022年1月25日)

(5)沖縄タイムス-岩国のF35B、嘉手納基地に飛来 訓練場で実弾発射か-2022年1月25日 07:52

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.米軍嘉手納基地(沖縄県)に24日午前11時8分ごろ、岩国基地(山口県)に配備されている最新鋭ステルス戦闘機F35Bが2機飛来した。
2.目撃者によると着陸後は燃料を給油し、模擬爆弾を装着して午後1時29分に離陸。午後2時36分の帰還時には模擬爆弾は無かったと言う。
3.2機は午後3時35分ごろにもレーザー誘導爆弾の実弾を装着して離陸。約1時間後に同飛行場へ戻って着陸し、駐機場へ移動した。帰還時に実弾は無く、訓練場で発射したとみられるF#%
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/900063 参照 2022年1月25日)

(6)沖縄タイムス-「利用者への配慮」か「取材制限」か 町が展望台からの嘉手納基地の撮影禁止-2022年1月25日 07:17

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.嘉手納町(沖縄県)は24日、今月14日に開放された道の駅かでな4階の新展望台でのメディア関係者の利用を禁止した。展望台からは米軍嘉手納基地の滑走路が見え、基地の運用をチェックするためメディア関係者が日常的に訪れている。識者は公益性の高い取材の制限が、県民の知る権利を阻害する恐れがあると指摘している。
2.町によると、展望台の利用者から「撮影に訪れたメディア関係者が長時間滞在している」と苦情が寄せられたのが理由。頻繁に訪れるメディア関係者が約5人おり、それぞれ数時間以上の滞在を確認しているという。
3.4月以降は旧展望台の利用も禁止する予定。メディアからは取材を認めるよう求める声が上がっている。
4.町は「道の駅はあくまで観光や地域振興を目的とした施設で、一般利用者の意見に配慮した」とした。4月以降は代替場所として3階にメディア関係者用スペースを設けるとし「取材活動を排除するものではない」と説明。取材の目的や所要時間を明確にすれば、展望台の利用も「検討する余地はある」とした。
5.道の駅で撮影する60代男性は「3階からは新展望台が重なるなど、角度的に撮影不可能な場所も出てくる」と懸念している。
6.専修大の山田健太教授(言論法)は「道の駅は公共性・公益性が高い場所で、取材を含めて自由な利用を認めるのが当然だ」と指摘。「基地の監視という公共性・公益性の高い取材行為を制限するのは問題。県民の知る権利を阻害することにもつながる」と警鐘を鳴らした。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/900005 参照 2022年1月25日)

(7)琉球新報-交付金への依存、基地負担と引き替えに際限なく 山本章子(琉球大准教授)<名護市長選の結果を読む・識者の見方>2-2022年1月25日 14:20

 琉球新報は、表題について次のように報じた。

1.海兵隊は対中戦争における日米共同作戦を想定し、米軍基地での陸上自衛隊と第三海兵遠征軍の共同訓練の強化を重視している。1年前、民主党政権期に陸自と米海兵隊がキャンプ・シュワブに陸自水陸機動団を常駐させることで合意していたと報じられた。岸信夫防衛相は「今、全くそんなことは考えていない」と説明したが、新基地建設が進めば再度検討されよう。
2.陸自の弾薬庫は県内で那覇と与那国島、宮古島にあるが足りていない。海兵隊の弾薬庫があり、水陸機動団に不可欠な上陸訓練などもできるキャンプ・シュワブへの常駐は、陸自の南西防衛には不可欠だと考えられている。
3.久辺3区は陸自のキャンプ・シュワブ使用に反対していたが、受け入れに転じたという。地元の関心は米軍再編交付金による生活補償の実現にある。今回の名護市長選で岸本洋平陣営は、期限付きの出来高払いである米軍再編交付金を教育・福祉財源とする市政には問題があると訴えたが、実際には、基地所在自治体に迷惑料として毎年支払われる特定防衛施設周辺整備調整交付金(特防交付金)もある。
4.これも一部は医療費助成などの住民サービスに幅広く使える。施設の運用頻度や面積、自治体の人口などに応じて交付額が決まるが、運用の変化に応じた「特別交付」や大臣裁量枠があるなど算定根拠は不透明だ。
5.2010年に新基地建設に反対する稲嶺進市政が誕生すると、名護市は特防交付金を12年度に約2900万円、13年度にはさらに約2800万円減額されたが、容認派の現市政に代わった直後の18年度は約2600万円増える。
6.軟弱地盤がある大浦湾側の工事が難航するほど米軍再編交付金の交付も長引き、もし新基地が完成し同交付金が打ち切られても、自衛隊のキャンプ・シュワブ常駐を受け入れれば特防交付金の増額が見込まれる。交付金への依存は、このように際限なく基地の負担と引き替えに交付金を獲得し続ける未来しか見えない。
 (国際政治史)
(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1459957.html 参照 2022年1月25日)


# by asyagi-df-2014 | 2022-01-25 17:49 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄-辺野古-高江から-2022年1月24日

 「名護市長、大差で渡具知氏が再選 辺野古強行を政府堅持 オール沖縄は南城でも敗北(’22名護市長選取材班)」、と琉球新報は報じる。

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 何よりも、自らが沖縄から受け取るものを明確にするために。
 2022年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

(1)琉球新報-名護市長、大差で渡具知氏が再選 辺野古強行を政府堅持 オール沖縄は南城でも敗北(’22名護市長選取材班)-2022年1月24日 01:50

 琉球新報は、表題について次のように報じた。

1.任期満了に伴う名護市長選が23日に投開票され、現職の渡具知武豊氏(60)=自民、公明推薦=が1万9524票を獲得し、1万4439票を得た前市議の岸本洋平氏(49)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=に5085票差をつけ、2期目の当選を果たした。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を推進する政権与党が支援する渡具知氏の再選を受け、政府は辺野古移設の強硬姿勢を維持することが確実視される。移設阻止を掲げる玉城デニー知事ら「オール沖縄」勢力は、同日選となった名護、南城の両市長選で敗北する厳しい結果となり、知事選に向けた態勢の立て直しを突き付けられた。
2.新型コロナウイルスの感染急拡大で「まん延防止等重点措置」適用下での選挙戦となり、両陣営の選挙運動も制約を受けた。投票率は68・32%で、前回市長選を8・6ポイント下回って過去最低だった。
3.名護市長選は辺野古移設問題が争点化してから7度目で、政府が辺野古沿岸部に土砂を投入してからは初の選挙となった。一方で、コロナ禍の長期化が市民生活に深刻な影響を与える中、経済対策や子育て支援に対する有権者の関心の高まりが見られ、争点のうち基地問題が埋没する形となった。
4.渡具知陣営は自民、公明の組織力を発揮して支持層を固めた。米軍再編交付金を財源とした子育て支援の無償化事業などが、若年層を中心とした無党派層にも支持を広げ、1期目の市政運営に対する評価が見られた。
5.渡具知氏は辺野古移設については「県と国の係争を見守る」とする従来の立場を貫き、争点化を避ける戦略をとった。
6.岸本氏は辺野古反対のトーンを強めて浸透を図ったが、市民の関心の高い子育て支援事業の継続財源を明確に示せなかったことなどが響いた。
7.「選挙イヤー」の初戦として、知事選の前哨戦にも位置付けられる中、オール沖縄が支援した候補者の敗北で玉城知事の求心力低下も避けられない。当日有権者数は4万9959人で、投票者数は3万4134人だった。うち無効票は172票、不受理・持ち帰りが1票だった。(’22名護市長選取材班)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1459182.html?utm_source=ryukyushinpo&utm_medium=referral&utm_campaign=carousel 参照 2022年1月24日)

(2)琉球新報-在米日本人、核廃絶の願い発信 核禁止条約発効1年合わせ(共同通信)-2022年1月23日 17:03

 琉球新報は、表題について次のように報じた。

1.核兵器の保有や使用を全面禁止した核兵器禁止条約の発効から1年になった22日深夜(米国時間同日朝)、米在住の日本人による核廃絶への願いを発信するオンラインイベントが開かれ、「被爆国である日本の人として何ができるのか、共に考えて」と呼び掛けた。
2.ニューヨーク在住の僧侶中垣顕実さん(60)らが企画。カナダ在住の被爆者サーロー節子さん(90)の半生を描いた記録映画を制作した、被爆2世竹内道さん(66)は「サーローさんから自分の住むコミュニティーで活動する大切さを学んだ。日本の皆さんも国が動かないなら、まずは地元を動かして」と訴えた。(共同通信)
(https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-1458981.html 参照 2022年1月24日)

(3)沖縄タイムス-玉城デニー知事、「まん延防止」3週間程度の延長を要請へ 「感染のピークは超えた」-2022年1月24日 12:06

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.沖縄県の玉城デニー知事は24日、記者会見し、新型コロナウイルスの感染拡大で医療がひっ迫しているとして、31日までとなっているまん延防止等重点措置を3週間程度延長することを政府に要請すると発表した。政府に対して24日午後にも要請する。
2.政府は新変異株「オミクロン株」の感染が全国で急拡大していることを受け、追加適用に向け協議している。25日に専門家に諮った上で国会に報告し、沖縄県などの延長と併せて正式決定する見通し。
3.玉城知事は1週間の新規陽性者数が過去最多となった18日から減少傾向に入っており「感染のピークは超えた。まん延防止等重点措置の一定効果が得られた」とする一方で、重症化リスクの高い高齢者に感染が広がり入院調整が難しくなるなど医療提供体制がひっ迫していると指摘した。今後、旧正月(2月1日)や建国記念日(2月11日)を含む3連休などで人の接触機会が増えることを懸念して「重点措置の継続が必要と考えた。ご理解頂きたい」と呼び掛けた。対策本部会議を27日に開き、対処方針を決定する。
4.県内には9日からまん延防止等重点措置が適用されている。新規感染者数は23日まで5日連続で前週の同じ曜日を下回っているが、感染が高年齢層にも広がり、入院者数が徐々に増加している。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/899584 参照 2022年1月25日)

(4)沖縄タイムス-「政治と生活は一緒」と歓声上がる辺野古容認派 「国ぐるみで争点外し」と肩落とす反対派-2022年1月24日 10:40

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.名護市辺野古の公民館には渡具知武豊さんを支持する辺野古区民らが集まり、開票の行方を見守った。午後10時ごろ、選挙事務所から「当確」の知らせを受けると歓声が上がった。
2.辺野古在住の宮城勲さん(72)は自宅で渡具知さんの当確を知り、公民館に足を運んだ。「政治と生活は一緒。保育料、給食費、また医療費の無償化などの施策が浸透し、評価されていることが示されたのではないか」と指摘。再選に伴い「さらに生活が良くなってほしい」と求めた。
3.自宅で当確を知った辺野古区行政委員の島袋権勇さん(73)は「基地問題は長年続いており、止められないことは分かっている。経済問題や子育て、教育政策を市民が重視したのだろう」と話した。
4.1997年に辺野古区民で結成したヘリポート建設阻止協議会「命を守る会」の初代代表を務めた西川征夫さん(77)は「現職候補は任期中も選挙でも、辺野古の姿勢を示さなかった。個人の判断ではなく国ぐるみで争点化しないため。とても残念」と肩を落とした。
5.同時に「辺野古反対の声は多いが、市長選は異なる結果になる。問題が長引き市民が疲れているのだろう」と思いを語った。
6.市三原在住で文筆活動などを通じて新基地反対を訴え続けてきた浦島悦子さん(73)は「4年前と同様に国の金と権力で市民の思いを踏みにじられた。基地の交付金を当たり前に受け入れる若い世代とのギャップをどう埋めたらいいのか」と悩ましげに話した。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/899540 参照 2022年1月25日)


# by asyagi-df-2014 | 2022-01-25 11:58 | 沖縄から | Comments(0)

国土交通省の「建設工事受注動態統計調査」の書き換え問題。(1)

 この「建設工事受注動態統計の調査」書き換え問題について、「一連の統計不正で、日本の先進国としての信頼は損なわれたのでしょうか」、との朝日新聞の質問に対して、識者の声として「今のままでは、信頼が失われかねないでしょう。心配なのは、統計不正が相次いだことを受けて、統計の質の改善を図るのではなく、統計軽視の風潮がさらに進みはしないか、ということです。英国は統計の質が下がった際、政治家や官僚は『なんだかデータがおかしい』『改善しなければ』と捉え、改革に動きました。日本でこの先『統計なんてどうせデタラメなんだから、統計に頼らない政策立案を進めたほうがいい』という方向に議論が進まないか、心配しています。」、と報じてこの問題の深刻さを伝える。

 この朝日新聞(以下、「朝日」)の「相次ぐ日本の統計不正、『国の針路を誤る』 世界水準との違いは?」(聞き手・伊藤弘毅)、との記事を掲載する。

1.国の基幹統計「建設工事受注動態統計」の調査で、国土交通省が建設業者から提出された受注実績のデータを無断で書き換える不正を長年続けていたことが、朝日新聞の報道で明らかになりました。近年相次いで発覚している統計不正は、世界の常識から見るとどう映るのか。そもそも、政府統計をとるのに他国はどんな体制をとっていて、再発防止のために日本が学べる事例はあるのか。政府の統計委員会で初代委員長を務めた、竹内啓・東京大学名誉教授(統計学)に聞きました。
2.Q―国の基幹統計を巡って、新たな不正が明らかになりました。2018年以降に発覚した、厚生労働省の二つの基幹統計を巡る不正に続くものです。:A「重大な事案です。厚労省で明らかになった二つの基幹統計を巡る不正と比べても、今回の国交省の件のほうがより悪質だと言えるでしょう。調査対象が提出した元データを、官僚が勝手に書き換えているのですから。」
3.Q―国際的な学会にも数多く出席し、海外の研究者との親交もある竹内さんから見て、相次ぐ日本の統計不正はどの程度深刻なのでしょうか。:A「間違いなくゆゆしき事態です。現代国家にとって統計は、『証拠に基づく政策立案(EBPM=Evidence Based Policy Making)』を進めるために欠かせない情報インフラだからです。しっかりした統計データがなければ、EBPMは成り立ちません。しっかりした統計が、先進国を先進国たらしめている、とすら言えます。」「もしかすると我々日本人が知らないだけで、他の先進国でも日本と同様の事態が統計の現場で進んでいるのかもしれません。それでも他の先進国では、日本のような統計不正が『ゆゆしき事態だ』という認識は当然共有されているでしょう。日本の場合、各省庁で統計の実務を担う官僚はそうした意識が希薄で、それこそがゆゆしき事態なのだと感じます。」
4.―日本の統計組織に欠けているものは何でしょうか。:A「間違いなくお金です。しっかりした統計をとるためには、適切な調査の企画立案や実務の監査ができる組織体制、高度な専門知識をもった人材などが必要だとされます。どれもお金がなくてはそろえられません。」
5.Q――国の統計組織には、統計業務を複数の行政組織に振り分けている「分散型」と、一つの組織にまとめている「集中型」があるとされます。日本は分散型に分類されます。:「一般的に、集中型の代表例にはカナダが挙げられます。私の知る限りでも、統計組織が専門知識を持つ研究者をうまくとりいれていたな、という印象です。分散型でも、統計システムの根幹に司令塔的組織の『国立統計経済研究所』を持つフランスはしっかりしているな、と感じました。」「日本は戦後復興の過程で行政組織を再構築するなかで、分散型の統計組織に落ち着きました。1980年代以降に行政改革が叫ばれるようになり、各省庁の通常業務に充てる予算や人員を減らしていく流れができると、各省庁は統計を縮小の対象にしました。統計業務は政策面で直ちに効果が見えにくいためです。その結果、国の統計関連予算や人員の規模は減り続けました。統計の質を高めるために専門性の高い人材を育てられなくなり、現場のトップには専門性を持たないゼネラリストの官僚があたっています。予算も人的資源も限られるなか、順繰りの人事制度によってノウハウも十分に蓄積されません。」「政府統計を取り巻く今の日本の状況は、分散型組織体制の負の面が表れたと言えます。だからこそ、予算や人事の面で独立した権限を持ち、政府統計の業務全体を俯瞰(ふかん)して政策立案ができる「中央統計局」のような集中型の組織が必要だと考えています。」
6.フランスの統計機構:厚生労働省での一連の統計不正を受けて日本統計学会が2019年にまとめた報告書によると、フランスの統計システムの根幹には国立統計経済研究所(INSEE)がある。分散型統計機構を採用するフランスはINSEEを介して、統計の質の改善や専門性の向上を図っており、傘下の大学院で専門職の養成もしている。日本統計学会は、こうした組織体制のもとで人やモノの資源を共有する工夫をしているフランスを、今後の日本の統計制度を検討する上で「大きな参考になる」とする。
7.Q―日本でも、政府の統計委員会は「公的統計の整備に関する司令塔機能の中核としての役割」を担うと位置づけられています。:A「字面は確かにそうなっていますが、実際には、統計委員会が実質的な役割を十分果たすことはできません。政策立案はできず、予算配分や人事の権限もありません。」
8.Q―集中型でも分散型でも、日本は海外の組織体制や運営手法に学ぶべきなのではないでしょうか。;A「海外の制度を正しく評価するには、制度の詳細な分析と、その国の経済状況を突き合わせて精緻(せいち)に分析する必要があります。残念なことに、自分も含めていまの日本にそうしたことを語れる研究者や官僚は、ほとんど見当たらないと感じます。こんな状況で、統計組織だけでなく統計データそのものや、それに関連する国際情勢も、十分に分析できているのか疑問です。」
9.Q―他国でも統計を巡る問題は起きたことがあるのでしょうか。:A「英国のサッチャー政権は80年代、行政改革の一環で、国の統計にかける予算や人員を大幅に削りました。『統計は国の政策目的にかなう必要最低限にとどめるべきだ』という考えからです。それから数年後、英国では国の統計におかしなデータが目立つようになりました。統計に割くリソースを削った結果、データの質が下がったのです。そのことが政治問題化し、英国はそこからデータの質を再び向上させるために様々な改革を試みました。」
10.Q―そもそも、国家統計はいつごろはじまったのでしょうか。:「国家統計の原型となるものは、古代ローマの人口センサスが始まりと言えます。全ての国民の情報を一元的に集める近代的な統計を初めて制度化したのは米国でしょう。英国からの独立後、民主主義政治の基礎として人口統計をつくりました。」「国家統計が政策立案に使われるようになったきっかけは、第2次世界大戦だと言えます。総力戦に対応するために国家総動員体制を敷くなか、物資の収拾や使用といった点で効率的な政策を打ち出すためです。こうした政策の傾向が、先進国を中心に80年代まで続くことになります。その後、新自由主義的な政策の隆盛によって政府の統計にかけられる予算は削減傾向となり統計学には『冬の時代』が訪れましたが、近年はビッグデータの活用などに注目が集まり、再び統計が脚光を浴びつつあります。」
11.Q―世界的に見て、日本における統計の位置づけは低いのでしょうか。:A「そう言わざるを得ません。統計は国にとってどんな役に立つのか。軽んじると、どんな末路をたどるのか。日本ではまずそうした基本的な議論をすべきです。今世紀初めに進められた統計改革も、政治が統計をどれだけ大切にするかを十分議論せずに終わってしまったように感じます。データ活用が叫ばれるいまは、議論を進めるのにいい環境にあるのではないでしょうか。」「今回の国交省での不正をきっかけに、まずはそうした本質的な議論を進めるべきで、担当官僚の責任追及を優先すべきではありません。それをやったところで「トカゲのしっぽ切り」に終わり、本質的な問題解決に至らないことは、森友学園をめぐる財務省の公文書改ざん問題で明らかになったはずです。官僚の責任にして知らん顔をしている与党の政治家、それを追及しきれない野党の政治家にも問題があると感じます。」
12.Q―統計を軽視してきた国は、どんな末路をたどってきたのでしょうか。:A「毛沢東時代の中国では、鉄鋼や食料の増産を目指したものの、デタラメな数字に基づく無謀な目標がたたって逆に生産力の低下をもたらした『大躍進政策』の失敗が起き、全国的な飢饉(ききん)が発生しました。旧ソ連の末期も、ずさんな統計を元にした政策で国家運営に失敗したと言えます。日本も戦前、誤った情報を元に政策立案をしたことで、米国と戦って敗れています。統計は国の基本で、その信頼が損なわれれば国の針路を誤ります。」
13.Q―一連の統計不正で、日本の先進国としての信頼は損なわれたのでしょうか。:A「今のままでは、信頼が失われかねないでしょう。心配なのは、統計不正が相次いだことを受けて、統計の質の改善を図るのではなく、統計軽視の風潮がさらに進みはしないか、ということです。英国は統計の質が下がった際、政治家や官僚は『なんだかデータがおかしい』『改善しなければ』と捉え、改革に動きました。日本でこの先『統計なんてどうせデタラメなんだから、統計に頼らない政策立案を進めたほうがいい』という方向に議論が進まないか、心配しています。」(聞き手・伊藤弘毅)
(https://digital.asahi.com/articles/ASQ1F742BQ1FUHBI01Z.html?pn=7&unlock=1#continuehere 参照 2022年1月22日)


# by asyagi-df-2014 | 2022-01-25 08:48 | 侵略戦争・戦後処理 | Comments(0)

日本のヘイトクライムの状況の一端として。(1)

 琉球新報は2022年1月22日、「NHK字幕問題 デマ助長した責任は重い」、と社説を展開した。
 どういうことが引き起こされたのか。
 琉球新報(以下、「新法」)は、この社説を、「NHKが昨年12月に放送したBS1スペシャル『河瀬直美が見つめた東京五輪』で、五輪反対デモに『「お金をもらって動員されている』と、事実ではない字幕を付けた問題が波紋を広げている。『「チェックが不十分だった』と謝罪したものの、説明には不可解な点が多い。番組に登場した東京五輪公式記録映画の撮影スタッフが、NHKの説明は事実と違うとして抗議する事態にもなっている。」、と始める。
 「新法」の次のことを指摘する、
1.誤った字幕は五輪反対デモに関するデマを助長し、主催者や参加者を誹謗中傷するものである。
2.チェックの不備の問題に矮小化してはならない。
3.放送倫理・番組向上機構(BPO)が調査に乗り出している。公共の電波を使う放送局の責任は重い。
 また、「新報」は、この問題の重さを「ニュース女子」との関連の中で指摘する。
1.沖縄の基地反対運動も、かつて放送によるデマ攻撃を受けた。東京MXが2017年1月に放送した番組「ニュース女子」である。米軍北部訓練場のヘリコプター発着場建設に反対する市民が日当をもらって活動していると報じた。同年12月、BPOの放送倫理検証委員会は、東京MXに「重大な放送倫理違反があった」と断じた。
2.今回のNHK番組は、五輪公式記録映画の監督を務める河瀬さんに密着取材した内容で、問題の場面は「五輪についてさまざまな考えの人を取り上げる」という意図で取材したという。匿名で登場した男性は、五輪反対デモに参加したとも金銭をもらったことがあるとも語っていない。番組全体でも、金銭による動員があったと裏付ける内容はなかった。
3.「ニュース女子」では制作したDHCテレビジョンに沖縄ヘイトの意図があったことが濃厚だ。今回の関係者に運動を誹謗中傷する意図はなかったとしても、デマを助長したことは確かである。デモなどの正当な表現行為への参加を萎縮させることにつながりかねない。

 「新報」は、最後に、次のことを突きつける。
1.言論法が専門の山田健太専修大教授は「字幕を付けるに至った事実関係がまだ明らかではないが、社会においてデモに対する誤った感情や認識を広める可能性があるのではないか」と指摘する。五輪反対運動に取り組んできた団体の一つ、「反五輪の会」は抗議声明で「私たちが金銭によって参加者を動員するということは一切ありません」とした上で「自発的に参加した多くの団体・個人の名誉を毀損するもの」と番組を批判した。
2.NHKは経緯を明らかにする責任がある。さらに河瀬さん側にも、なぜ五輪に反対する団体を正面から取材しなかったのか、なぜこの男性を登場させる必要があったのか、などの疑問について説明する責任があるのではないか。
3.NHKは、河瀬さんら五輪関係者と視聴者には謝罪したが、デモの主催者や参加者にこそきちんと謝罪しなければならない。そのことを通じて、市民の表現の自由を守る姿勢を明確にすべきだ。
(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1458120.html 参照 2022年1月22日)

 確かに、NHKに関しては、次のことが言える。
1.NHKは、字幕を付けるに至った事実関係を明らかにしなければならない。特に、自らの制作の意図がどこにあったのかについて。
2.NHKは、「河瀬さんら五輪関係者と視聴者には謝罪したが、デモの主催者や参加者にこそきちんと謝罪しなければならない。そのことを通じて、市民の表現の自由を守る姿勢を明確にすべきだ。」(「新法」)、との指摘を重く受けとめなくてはならない。


# by asyagi-df-2014 | 2022-01-24 07:25 | 書くことから-ヘイトクライム | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人