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その場しのぎの方法では、「構造的沖縄差別」を解決できない。

 琉球新報(以下、「新報」)は2019年6月22日、「地域安全パトロール 米兵事件抑止に役立つか」、と社説で論評した。
許されない事件の後、この地域安全パトロールは、安倍晋三政権によって対策として喧伝されたものである。
 やはり、実態は無残なものである。
 このことについて、「新報」は、「米軍人・軍属絡みの事件を防止する効果があるのだろうか。極めて疑わしい。」、と次のように指摘する。


(1)2016年に元海兵隊員の米軍属の男が女性を殺害した事件を受け、再発防止のために政府がスタートさせた「沖縄・地域安全パトロール隊」事業で、米軍関係者に関する通報は全体の0・7%にとどまっている。
(2)パトロール隊が始動したのは16年6月15日。当初は内閣府沖縄総合事務局と沖縄防衛局の職員が青色灯を付けた車両20台で午後7時~10時の3時間、沖縄本島内の繁華街などで巡回に当たった。一時は気象台、税関などの職員までが要員とされた。現在は1台2人の100台態勢だ。夜の早い時間帯は総合事務局と防衛局が雇用する派遣社員、非常勤職員、深夜以降は総合事務局が委託した警備会社が巡回している。
(3)総合事務局によると、16年6月から18年末までの間にパトロール隊が県警に通報したのは計855件。このうち米軍関連はわずか6件だ。内訳は路上寝3件、交通関係2件、けんか・口論1件である。通報の4分の3が泥酔者対応で、ほかは少年補導、不審者などだ。もちろん、通報件数だけが全てとは言わない。1%未満でも、それらが凶悪犯罪につながる恐れもあったと仮定すれば、一定の成果はあったのかもしれない。今後、事件の未然防止に力を発揮する可能性もある。とはいえ18年度までの事業費は約15億円となる見込みだ。内閣府の資料では1日当たり約200万円とされる。費用対効果に疑問符が付く。
(4)総合事務局は「米兵だけを対象にしているわけではない」と説明するが、米軍人・軍属が関わる犯罪の抑止が所期の目的だったはずだ。いつの間にか、事業の位置付けが変質してしまったように映る。
(5)巡回業務を担う警備会社の元契約社員らは、本紙の取材に対し、通報の実績を作るため路上寝を探す人がいた実態を明かし「事件の遺族に申し訳ない」と語った。事実なら予算が有効・適正に執行されているとは言い難い。事業を所管する総合事務局の責任が問われよう。警備会社に任せきりにして管理・監督を怠っていたのか。犯罪抑止よりも事業それ自体が目的化している可能性はないか。第三者の検証が必要だ。
(6)そもそも米軍基地がなければ米軍関係の犯罪は起きず、地域安全パトロール隊も不要になる。在沖米軍人・軍属を大幅に削減することこそが最も効果的な予防策だ。それが直ちに実現しない以上は、実効性が伴う形で兵士らの行動を制限するしかない。未明の時間帯に外出したり基地外で飲酒したりすることを禁止する制度はあっても、守られない実態がある。政府は、この点を改めるよう米国に強く要求すべきだ。


 「新報」は、「安全パトロールはその場しのぎの苦肉の策であり、抜本的な解決には程遠い。」、と断じる。


 残念ではあるが、どうやら、「巡回業務を担う警備会社の元契約社員らは、本紙の取材に対し、通報の実績を作るため路上寝を探す人がいた実態を明かし『事件の遺族に申し訳ない』と語った。事実なら予算が有効・適正に執行されているとは言い難い。事業を所管する総合事務局の責任が問われよう。警備会社に任せきりにして管理・監督を怠っていたのか。犯罪抑止よりも事業それ自体が目的化している可能性はないか。第三者の検証が必要だ。」、との「新報」の指摘がすべてを物語る。
 どうしたって、「そもそも米軍基地がなければ米軍関係の犯罪は起きず、地域安全パトロール隊も不要になる。」(「新報」)を上回る解決策はない。




by asyagi-df-2014 | 2019-06-30 06:01 | 米軍再編 | Comments(0)

沖縄-辺野古-沖縄 高江から-2019年6月29日

  徳田弁護士は、大分の集会で、ハンセン病家族訴訟を勝訴するのだと、以前から述べられていた。
 ついに、「勝訴」。
 沖縄タイムスは、「『国の責任を認めた歴史的な判決だ』。熊本地裁で28日に開かれたハンセン病家族訴訟の判決。午後2時すぎ、法廷から駆け出した若手弁護士2人が『勝訴』と書かれた垂れ幕を掲げると、原告や支援者らは涙を流して抱き合った。『やった』「よかった」。苦しんだ過去を振り返り、差別のない社会を願った。判決は隔離政策が元患者だけでなく家族に対しても違法な人権侵害だったと認定。厚生労働、法務、文部科学の各大臣に対し、家族への差別偏見を除去する義務があったとした。」、と伝えた。
 「熊本市内のホテルで記者会見した林力原告団長(94)は『個人的にここまでの判決が出るとは思わなかった』と驚きの表情。『人権回復に向け、今後も頑張りたい』と意欲を見せた。」「『想像以上の判決。未来につながる内容』」(沖縄タイムス)、との原告の声を肝に刻む。
「徳田靖之弁護団共同代表も『ハンセン病問題の最終解決に向け、歴史的な1日になった。国民の力を結集させ、国に控訴させないよう取り組む』と話した。」、をともに。


 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2019年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。
 2019年6月29日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)沖縄タイムス-偏見に苦しんだ原告、歴史的勝訴に涙 県出身者も喜び「大きな前進」 人権回復へ決意 ハンセン病家族訴訟-2019年6月29日 05:00


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「【熊本で下里潤】『国の責任を認めた歴史的な判決だ』。熊本地裁で28日に開かれたハンセン病家族訴訟の判決。午後2時すぎ、法廷から駆け出した若手弁護士2人が『勝訴』と書かれた垂れ幕を掲げると、原告や支援者らは涙を流して抱き合った。『やった』『よかった』。苦しんだ過去を振り返り、差別のない社会を願った。」
②「判決は隔離政策が元患者だけでなく家族に対しても違法な人権侵害だったと認定。厚生労働、法務、文部科学の各大臣に対し、家族への差別偏見を除去する義務があったとした。」
③「熊本市内のホテルで記者会見した林力原告団長(94)は『個人的にここまでの判決が出るとは思わなかった』と驚きの表情。『人権回復に向け、今後も頑張りたい』と意欲を見せた。」
④徳田靖之弁護団共同代表も『ハンセン病問題の最終解決に向け、歴史的な1日になった。国民の力を結集させ、国に控訴させないよう取り組む』と話した。」
⑤「県出身の60代原告の男性は法廷で勝訴判決を聞き、体が震えるような感動を覚えたという。両親が元患者。国の誤った政策で周囲から冷たい視線を浴びてきただけに『大きな前進。差別や偏見をなくすには正しい教育が大切だ。政府は全力で取り組んでほしい』と要望した。」
⑥「『想像以上の判決。未来につながる内容』」と話すのは県内在住の50代原告男性。判決後に弁護士から説明を受け『勝ったんだ』と実感した。それでも『あすから急に差別がなくなるわけではない。ハンセン病問題を自分のこととして考え、子どもたちに伝えるなど、地道な取り組みが必要だ』と力を込めた。」

差別なき未来へ望み 「国謝罪ない」と怒り
⑦「ハンセン病元患者の家族訴訟で国に賠償を命じた熊本地裁判決。差別や偏見を受けてきた沖縄県内の原告は、国の責任が認められたと喜ぶ一方、偏見が簡単に消えることはないと胸の内を明かす。『これは一つの結果。終わりじゃない』。差別や偏見をなくすために社会全体で考えてほしいと強く訴えた。」
⑧「原告の宮城賢蔵さん(71)=東村=は沖縄市にある妻の実家で、勝訴の判決を知った。熊本地裁にいた弁護士から携帯電話に直接連絡があり、『積もり積もった鬱憤(うっぷん)が晴れた。最高の気分』と喜びを表した。90代の母がハンセン病元患者。幼少期から地域住民や同級生、教師に激しい偏見の目を向けられ、家を焼かれたり石を投げられたりした。昨年6月、実名を公表し、本人尋問に臨んだのは『何も悪いことをしていない。逃げも隠れもしない』との思いからだ。」
⑨「元患者への国の賠償責任を認めた2001年に続く熊本地裁の歴史的判決に『人間扱いされない日々は苦しかったが、訴えたことは正しかった』と声を弾ませる。一方、怒りも湧いている。『国の謝罪を聞いていないし、裁判に勝っても私たちへの偏見が簡単に消えるとは思えない』。」
⑩「本島中部の金城正樹さん(47)は『うれしくて涙が出た。私たちと向き合って耳を傾け、頑張ってくれた弁護士の方々に感謝したい』と喜んだ。国の誤った政策や対応で差別が助長され、家族やきょうだいも苦しみ、本来あるべき家族関係は築けなかった。『差別を考えてほしい。つらさを知ってほしい』と訴え続けるハンセン病回復者の母の願いに応えるために自分も何かできないかと考えてきた。『社会が考えるきっかけをつくれることに関われただけでも幸せ。ただ一つの結果でしかないし、これで終わりじゃない。今後も差別や国策の問題を考えてもらいたい』と求めた。」


(2)沖縄タイムス-[解説]国のあらゆる機関の責任認定「差別根絶怠った」 ハンセン病家族訴訟判決 国は猛省、再検証を-2019年6月29日 05:00


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「ハンセン病の元患者家族に対する違法な人権侵害を認定した熊本地裁判決は、所管する厚生労働大臣だけでなく、人権啓発を担う法務大臣、教育に関する文部科学大臣も偏見や差別を除去すべき義務があったと認めた点で画期的だ。患者の強制隔離を定めた『らい予防法』を早期に廃止しなかったとして、国会議員にも責任があるとした。」
②「国のあらゆる機関が差別根絶に向けた努力を怠ったとする内容だ。国は判決内容を真摯(しんし)に受け止め、謝罪し、家族の人権回復や補償など早期に取り組む必要がある。」
③「裁判の中で国側は『家族は隔離政策の対象でなく、差別や偏見を助長していない』と主張していた。元患者が激烈な差別を受けたことを考えれば、家族にも影響しないことはあり得ない。国は治療法が確立してもなお、隔離政策を続けたことを猛省し、家族に与えた影響を再検証するべきだ。一方で、賠償額は低額となった。これは集団訴訟の一律請求の性質上、被害が少ない人を算定基準としたからだ。判決でも『慰謝料30万円をもって偏見や差別が慰謝されるとは到底考えられない者がいることは確かである』と判示している。今後は立法などで適切に補償することが求められる。」             (社会部・下里潤)


(3)沖縄タイムス-[識者評論]構造差別認め画期的 国の不作為を追及 ハンセン病家族訴訟判決で森川恭剛琉大教授-2019年6月29日 05:00


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「判決は、ハンセン病隔離政策が患者家族に対しても憲法違反(13条、24条)の被害を与えたと認めた。家族は国民らから偏見や差別を受ける社会構造的地位に置かれ、家族関係形成も阻害された。この構造的差別違憲論は画期的である。」
②「地域や学校から家族を排除したのは国民、つまり私たちである。それを踏まえた上で、判決はその原因が国の隔離政策の圧倒的な誤りにあることを認めた。」
③「法的責任論はこうである。国が憲法違反の人権侵害をもたらしたのであれば、国がその被害を取り除く義務を持つ。しかし現在も差別され、被害を回復できないのは国がその義務を尽くさないからである。したがって国の不作為の違法行為があり、責任がある。この不作為責任論で国を追及した結果、隔離政策後の2001年まで違法行為が続いたとされた。厚生労働省だけでなく、法務省と文部科学省にも偏見・差別の除去義務があったとされた。法と教育の現場で、差別をなくすために何をすべきだったのか、徹底的な反省を要する。」
④「しかし、02年から現在までの不作為責任は認められなかった。01年の隔離政策の違憲判決後は、差別被害の社会構造に改善が見られたからだという。はたしてそうかという疑問が残る。」
⑤「米国統治時の沖縄の家族に憲法違反の被害を認めるか。この点に注目したが、判決は法的責任論を逆転させ、米統治下の沖縄は国の関与がないため違法行為(不作為)がないとされ、その時代の被害を認めなかったことは残念だ。」


(4)沖縄タイムス-米軍ヘリが5機編隊で飛行 沖縄の中部地区上空-2019年6月28日 17:22


 沖縄タイムスは、「【中城】中城村南上原の住宅地上空で27日午前11時10分ごろ、米軍ヘリが5機編隊で飛行しているのが確認された。沖縄防衛局によると同時刻ごろ、米軍普天間飛行場からCH53が5機離陸したのを目視調査で確認したという。米軍ヘリが5機編隊で飛行するのは珍しい。」、と報じた。


(5)琉球新報-石垣市議会で自主解散動議 陸上自衛隊の配備是非「選挙で」 与党市議が提案したが、要件満たさず不成立-2019年6月29日 09:46


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【石垣】石垣市議会(平良秀之議長)は28日、市平得大俣への陸上自衛隊配備計画の賛否を市議選で問うべきだとして、同日に与党議員が提案した自主解散に関する決議案を否決した。自主解散の採決が行われるのは極めて異例。与党の一部と野党が賛成したが与党の自民・公明会派が反対し、規定の成立要件を満たさず成立しなかった。」
②「市議会は17日の定例会開会日に、陸自配備の賛否を問う住民投票条例案を賛成少数で否決した。野党側は一般質問で、住民投票実施の必要性や配備計画の問題点を指摘してきた。」
③「28日に一般質問に立った与党の仲間均氏が配備賛成の立場から『住民投票はあまりにも無責任だ。議会を解散して、(配備の)是非を問う選挙をして、この席に戻れば良いと思う』として動議で解散を提案した。その後、議会運営委員会が即日採決を決め、採決した。」
④「自主解散の成立は『地方公共団体の議会の解散に関する特例法』の規定に基づき、4分の3以上の出席議員のうち5分の4以上の同意が要件となる。28日の市議会(定数22)の出席議員21人のうち賛成12人、反対9人で成立要件の17人を満たさなかった。」
⑤「議会後の取材に仲間氏は『住民にげたを預けるのではなく、議会人として責任を持ちたかった。(否決は)残念でしょうがない』と述べた。」




by asyagi-df-2014 | 2019-06-29 17:40 | 沖縄から | Comments(0)

ハンセン病家族訴訟で、国の責任認める初の判決。(1)

「裁判官は初めて聞かれる話ばかりだったかもしれないが、懸命に聞いておられた。ぜひ素直に受け止めてほしい」(朝日新聞)との原告の声に、裁判所はどのように立ち向かうことができたのか。


 毎日新聞は2019年6月28日、ハンセン病家族訴訟について次のように報じた。


(1)約90年に及んだハンセン病患者への隔離政策により家族も深刻な差別を受けたとして、元患者家族561人が、国に1人当たり550万円の損害賠償と謝罪を求めた集団訴訟の判決で、熊本地裁は28日、国の責任を認め、原告541人に対し、1人当たり33万~110万円(総額3億7675万円)を支払うよう命じた。元患者の家族による集団訴訟の判決は初めて。
ハンセン病を巡る主な経緯
(2)遠藤浩太郎裁判長(佐藤道恵裁判長代読)は「隔離政策により、家族が国民から差別を受ける一種の社会構造を形成し、差別被害を発生させた。家族間の交流を阻み、家族関係の形成も阻害させた。原告らは人格形成に必要な最低限度の社会生活を喪失した」と指摘した。
(3)2001年の同地裁判決は隔離政策を違憲とし、元患者への国の賠償責任を認定。国は控訴を断念して元患者に謝罪し補償や生活支援を講じたが、家族は救済対象から外された。今回の裁判では隔離政策が生んだ偏見や差別について、家族に対しても国の責任を問えるかどうかが最大の争点だった。
(4)原告は16年2月にまず59人が提訴し、追加提訴を経て561人に拡大。居住地は北海道から沖縄まで全国に及び、年齢も20~90代と幅広いが、差別被害を恐れて大半は匿名で裁判に加わった。原告一人一人は、学校でのいじめや患者の家族であることを理由とした離婚、地域社会からの排除など異なる差別被害を受けてきた。そのため、裁判で家族側は、さまざまな場面で差別される立場に置かれたことが患者家族共通の被害と主張。国は隔離政策によって原因を作ったのに、現在まで謝罪や被害回復の責任を怠り、違法だと訴えた。
(5)一方、国は「ハンセン病を巡る差別は隔離政策以前からあった」と指摘。隔離対象ではなかった家族に対しては直接的に偏見や差別を作り出したとも言えず、国は法的責任を負わないとして請求棄却を求めていた。
【清水晃平】


 また、判決が出される前に、朝日新聞は2019年6月28日、「いじめ激化『冬の池に落とされた』ハンセン病家族の苦悩」「『くされの子』と呼ばれ ハンセン病訴訟の原告団長語る」、とハンセン病家族の苦悩を伝えた。
この報告を肝に銘じて見つめる。


(1)元ハンセン病患者の家族が国に損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、熊本地裁で言い渡される。患者を隔離した国の政策は、残された家族にも差別や偏見、家族関係の断絶をもたらした。原告を訪ね、聞いた。
(2)どすの子――。
(3)ある日を境に、同級生にそう呼ばれるようになった。クラスの席替えの時、1人だけ同じ机を使わされた。「同じ物を使いたくない」「うつる」と言われた。東北地方で暮らす50代男性の小学校時代の様子だ。「どす」は、ハンセン病患者の蔑称。男性の父がハンセン病療養所にいることに、同級生の一人が気付いたのがきっかけだった。男性が1歳の頃、父は療養所に入っていた。
(4)いじめはエスカレートした。ランドセルを隠され、真冬の氷が張った池に突き落とされた。修学旅行先では一人、押し入れで寝た。運動会では地域の人の輪から離れ、母とふたりで弁当を広げた。地域でものけ者にされ、祭りや子供会の行事に呼ばれなかった。いじめは中学3年まで続いた。
(5)2017年11月に父は亡くなった。いまわの際に男性は言葉の一つもかけられなかった。わだかまりがあったのかもしれない。「父は自分以上に差別に苦しんだはずなのに」。悔いが残った。それでも男性は今も、飲み会の席などで家族の話題に立ち入らない。自分に問い返されると困るからだ。「子や孫には、自分のような思いをさせたくない」と、元患者の家族が国に賠償を求めたハンセン病家族訴訟に加わったが、実名は明かしていない。裁判を支援してくれている妻も公表には反対した。「どんな影響が降りかかるかわからないから」。原告の561人のうち、実名公表はわずか数人にとどまる。
(6)国は裁判で「隔離政策の対象は患者本人」と主張し、責任を否定している。男性は言う。「金じゃない。国から誠意のある言葉がほしい」


(1)フロントガラス越しにその顔が見えた瞬間、反射的に顔を背ける自分がいた。大学を出た後、東京で暮らしていた30代の女性が、地元の沖縄に戻った3年前。街ですれ違ったその車に乗っていたのは、幼い頃に仲良しだった女の子の母親だった。「もう、うちに来ないで」。25年前に言われた言葉が、耳の奥にこびりついている。近所の少年も急に態度を変えて「ばい菌、近寄るな」。姉は少年から小便までかけられた。少年の家族は今も実家から見える所に住む。その庭に人影が見えると女性は外出をためらう。何を言われるかわからず、今も怖い。
(2)幼い頃の経験が、70代の母と関係があると知ったのは、近年のことだ。母は12歳で本島にあるハンセン病療養所、沖縄愛楽園に入った。進学をめざして本土へ渡り、長島愛生園(岡山県)にあった全国の療養所で唯一の高校へ進んだ。結婚して沖縄に戻った後、母の過去を知る人が近所に引っ越してきた。ある日、そこで事件が起きた。
(3)「らい、らい、らい~」。その人は、かつてハンセン病を指した言葉に拍子をつけ、家の2階ベランダで大声で歌った。母の病歴は近所に知れ渡った。母は子に何も語らず、しばしば愛楽園へ連れていった。「ママの友達がたくさんいる所」と思っていた女性がハンセン病という言葉を知り、母は患者だったのでは、と思い始めたのは中学に入る頃だ。しかし、母親は昔話をしても青年時代のことははぐらかしてばかりだった。立ち入ってはいけないことと思い、聞けなかった。
(4)16年の早春。母から電話で、唐突に家族訴訟への参加を切り出された。提訴の約1カ月前だった。いつもの母と違い、用件だけ言うと電話は切れた。母と一緒に那覇市で弁護士の聞き取りを受け、初めて母から病歴を聞いた。その経験を「墓場まで持っていきなさい」と亡き祖母に言われたことも。「偏見や差別に負けず、はねのける力をつけてほしい」。そう我が子に望む気持ちも。30年越しに告白した母は、泣いていた。女性も泣いた。
(5)女性は、きょうだいと共に原告になった。だが、そのことを、身近な人には伝えていない。きょうだいの伴侶や親族も知らない。差別と偏見の根深さを感じているためだ。「この裁判が、次の世代に偏見を引き継がないための教育や政策につながってほしい」


(1)都内に住む原告女性(67)は今月下旬、JR上野駅を訪れた。25歳の頃、北関東の街から列車で来た母と16年ぶりに再会した場所だ。あの日を思い起こした。
(2)年の瀬だった。駅前のアメヤ横丁で一緒に正月用の買い物をした。それ以外の記憶がない。「母という実感がなかった。自分を『見捨てた人』ですから」。女性が7歳だった1959年、父は東北地方のハンセン病療養所へ入った。母と自分、妹が残された。「お父さんは出稼ぎに行った」と聞かされた。しばらくして、知らないおじさんが家にいるようになった。幼心に、それは誰にも言ってはいけないことだと考えた。ある朝、ふらりと父が帰ってきた。おじさんは家の中にいる。「大変なことになる」と思う半面、うれしさもあった。これでおじさんはいなくなると思った。しばらくして両親は離婚。妹は母に、女性は父方の伯父の家に引き取られた。
(3)伯父家族との暮らしに不自由はなかったが、気兼ねがあった。夏休みに一人で汽車を乗り継ぎ、4時間余りかけて父のいる療養所へ遊びに行った。そこがどんな場所で、父がなぜそこにいるのかは誰も教えてくれない。でも、父には心から甘えられた。周りの人たちもかわいがってくれた。中学生になった頃、療養所でハンセン病を指す当時の言葉「らい」を耳にし、辞書を引いた。疑問が解けた気がした。
(4)父からこんな話も聞いた。療養所を訪ねた母が、突然、まだ幼かった自分と妹を置いて駆けだした。驚いた父が後を追い、引き留めたという。幼子を抱え、夫のいない暮らし。世間からの偏見。母も苦しんでいたのかもしれない。ただ、母と自分をかすかにつないでいたものが、ぷつりと切れた気がした。
(5)上野での再会は、女性の結婚後、母から連絡があったのがきっかけだった。それ以来、会ったのは5回もない。妹とも疎遠だ。夫はハンセン病を理解し、療養所の父にも会いに行ってくれた。だが、九州に住む夫の親族には伝えていない。どう思われるだろうかと恐れる。家族以外には父の病歴を隠してきた。「そんな病気です。いまだに」。裁判の先に社会がどう変わるのかを見つめている。
     

(1)この世に生を受けたのは偶然だった。
(2)沖縄県の女性(60)の母は旧優生保護法の下、ハンセン病療養所で堕胎の注射を打たれた。それが効かず、女性は生まれた。
(3)10年ほど前、元患者の証言集で父の文章を読み、事実を知った。両親がそんな話をしたことはなかった。
(4)1歳で親戚の元へ預けられた。「クンキャヌファ」(方言で「ハンセン病の子」)と呼ばれ、近所の子に石を投げつけられた。一番嫌だったのは「汚いものを見るような」大人たちの目つき。親戚の家でも、風邪をひいた時に「あっちへ行って吐け」と言われ、「母ちゃん」と泣きながら吐いた。学校で仲良くなった友達も、両親の病を知ると離れていった。「なぜこんなつらい思いをしないといけないのか」。親を疎ましくさえ思ったこともある。
(5)小学3年の頃、両親と一緒に暮らせるようになったが、親にどう甘えたらいいのか分からなかった。本音で話せない。悲しませたくなくて、いじめられたことも言えなかった。
(6)母は「目立つようなことは控えなさい」と言って、時に厳しい態度も見せた。今は、女性が差別を受けないようにするためだったと感じる。親の愛情がわかってきた。それでもまだ、女性の子どもの頃の生活や、親戚のことで聞けないことも多い。
(7)原告になったのは、父から訴訟の話を聞いたのがきっかけだった。背中を押したのは、療養所で堕胎された子どもたちの存在。ガラス瓶の中でホルマリン漬けにされていた。「私も生きられなかったかもしれない。自分一人の問題ではない」。声を上げられなかった命の分も、知られていない家族の被害を訴えなければ。国に誤った政策の責任を取ってほしい――。
(8)提訴後、他の原告の人が家族の病歴を理由に離婚されたと知った。「理解していると言う人も、自分の子が元患者の子と結婚するとしたら反対するのでは。国の政策でハンセン病への恐怖心が刷り込まれている」。裁判の当事者であることに不安もある。そんな社会の意識を訴訟で変えられるかどうかは、わからない。「いじめや差別、偏見はなくならないかもしれない。それでも、差別や偏見をなくす努力はしていくべきではないでしょうか」。そう確信している。(一條優太、田中久稔)


(1)林さんは大村市で生まれた。昭和初めの不況で父が事業に失敗し、幼少期に福岡市に移ったが、生活は苦しいままだった。父がアイスや牛のホルモンを売り歩いた記憶が残っている。
(2)林さんが小学校低学年のころ、父の体に異変が起きた。手が内側に湾曲し、汗が出なくなって暑がるようになった。ちょっとした傷口もなかなか治らない。「くされの子」と呼ばれると、林さんは相手を必死で追いかけた。
(3)1937年夏、父は鹿児島県鹿屋市の国立療養所星塚敬愛園に入所した。家を出る際、「おまえも見送らんのか」と3回呼びかけられた。でも、林さんは泣きそうでトイレにいた。たまらなく飛び出し、外で父の背中に呼びかけたが、父は振り向かなかった。「おそらく泣いていたのでしょう」。しばらくして家に突然、消毒車が来た。黒長靴の数人の男が無言のまま上がり込むと、家中に薬をまいた。「近所の家の中からこちらを見ている光景を今でも覚えています」。学校では「お前の近くに寄れん」の大合唱が待っていた。
(4)林さんは小学校の教師になると、同僚の女性に恋をした。手をつなぎ、電車まで見送った。しかし、ある日、職場で目も合わせてくれなくなった。父のことを聞きに人が訪ねてきたと後で耳にした。「その女性も、ハンセン病に対する社会の認識の過ちの中にいただけなのだと思います」。
(5)転機は、被差別部落問題との出会いだった。被差別地区に入ると、文字が読めない人が多いことに改めて驚き、識字運動を始めた。心が揺さぶられたのは、部落解放運動の原点、水平社宣言の一節だった。《吾々(われわれ)がエタである事を誇り得る時が来た》。なぜ父を隠し続けるのか。自分の中の差別意識と向き合った。
(6)林さんは1974年、ハンセン病元患者の息子であることを著書で公表した。父は約10年前に亡くなっていた。「差別は論理と感性の問題がある。他人事として話が分かっても、問題が自分に接近したとき、気持ちが動かなくなるんです」。
(7)訴訟の原告のほとんどは匿名で、いまも立場を公にすることをためらう現状がある。林さんは「私は公務員で、その後も大学で身分を保障されたから言えた。そうでなければ言えなかったかもしれない」と話す。まだ、ハンセン病問題への社会の理解は不十分だ。林さんは提訴以降、反響の少なさを気にかけつつ、判決に期待を寄せる。「裁判官は初めて聞かれる話ばかりだったかもしれないが、懸命に聞いておられた。ぜひ素直に受け止めてほしい」


※〈ハンセン病家族訴訟〉-「朝日」
 患者への国の誤った隔離政策で差別や偏見を受け、家族離散を強いられたとして、全国各地の元患者の家族が国に1人当たり550万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた集団訴訟。2016年2~3月、計568人が熊本地裁に提訴した。7人が訴えを取り下げるなどし、判決の対象は561人となる。
 原告側は、らい予防法(1996年廃止)に基づく隔離政策の推進で元患者だけでなく家族への差別や偏見も生じ、いじめを受けたり、離婚されたりするなど不利益を被ったと主張。家族関係の形成も阻害されたと訴える。国側は「隔離政策の対象は患者本人」と責任を否定。時効により損害賠償請求権が消滅したとも主張している。
 元患者を巡っては、熊本地裁が01年、特効薬の存在が確認されるなどして遅くとも60年以降の隔離政策の必要性は失われていたとする判決を出し、国が控訴を断念して確定した。国は元患者に謝罪し、1人あたり最大1400万円の一時金を支給することで原告側と合意したが、家族に対する補償などはなかった。


※ハンセン病と訴訟をめぐる主な経緯-「朝日」
1907年 法律「癩(らい)予防ニ関スル件」制定
  29年 無らい県運動の開始
  31年 「癩予防法」制定
  53年 「らい予防法」制定
  96年 らい予防法廃止
  98年 元患者が国に損害賠償を求めて熊本地裁に提訴
2001年 熊本地裁が国に賠償を命令、国は控訴断念。元患者に補償金を支払う「ハン      セン病補償法」成立
  09年 「ハンセン病問題基本法」施行
  16年 ハンセン病元患者の家族が熊本地裁に提訴


 やはり、ここでもまた、被害者側に、「国は裁判で『隔離政策の対象は患者本人』と主張し、責任を否定している。男性は言う。『金じゃない。国から誠意のある言葉がほしい』」(「朝日」)、と言わせるのが、日本という国の人権の実態。
何度でも、この証言に立ち返ろう。
 「理解していると言う人も、自分の子が元患者の子と結婚するとしたら反対するのでは。『国の政策でハンセン病への恐怖心が刷り込まれている』。裁判の当事者であることに不安もある。そんな社会の意識を訴訟で変えられるかどうかは、わからない。『いじめや差別、偏見はなくならないかもしれない。それでも、差別や偏見をなくす努力はしていくべきではないでしょうか』」。そう確信している。」



by asyagi-df-2014 | 2019-06-29 06:40 | ハンセン病 | Comments(0)

沖縄-辺野古-沖縄 高江から-2019年6月28日

私自身は、この間、映像の力を運動の中で感じ取ってきた。
同じように、演劇もまた人の思いを揺らすことができる。
「故井上ひさしさん原案で沖縄戦を描いた劇団こまつ座の舞台『木の上の軍隊』(共催=琉球新報社・沖縄市まちづくり文化コンソーシアム、特別協賛=第3次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団)が26日、沖縄市民会館大ホールで上演された。沖縄上演は初。」
 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。


 2019年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。
 2019年6月28日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-平和への思い 共鳴 「木の上の軍隊」 沖縄初公演-2019年6月27日 06:00


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「故井上ひさしさん原案で沖縄戦を描いた劇団こまつ座の舞台『木の上の軍隊』(共催=琉球新報社・沖縄市まちづくり文化コンソーシアム、特別協賛=第3次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団)が26日、沖縄市民会館大ホールで上演された。沖縄上演は初。」
②「物語は終戦を知らないまま伊江島の木の上に身を隠していた2人の兵士の実話を基にしている。山西惇さん、松下洸平さん、県出身の歌手・普天間かおりさんが演じ、有働皆美さんがビオラを演奏した。舞台を終えた普天間さんは『平和を願うウチナーンチュの思いをステージの上から感じた』と笑顔を見せた。」
③「那覇市から訪れた50代女性は『普天間さんが歌うウチナーグチのわらべ歌をかき消す米軍機の音が、今の沖縄を表しているようだった』と話した。」


(2)琉球新報-「生きやすい社会を」 9月に「ピンクドット沖縄」-2019年6月28日 05:30


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「性的少数者(LGBT)やすべての人が生きやすい社会を目指すイベント『ピンクドット沖縄2019」が9月1日、那覇市泉崎の琉球新報社エントランス広場で開かれる。主催する同実行委員会が27日、那覇市内で開いた記者会見で発表した=写真。7回目の今年は台湾で同性婚を実現させた活動家の呂欣潔(ジェニファー・ルー)さんが参加する特別トークセッションが行われる。」
②「昨年は101社が協賛・後援し、約3100人が参加した。イベントはメーンテーマに『すべての人がより生きやすい社会を』と据えており、今年のサブテーマは同性婚などを認める結婚の平等を意味する『Marriage equality』を掲げている。特別トークセッションとして『同性婚の実現について』(仮)と題し、台湾で同性婚の機運を高めた呂さん、国内で同性婚実現に向けて活動する寺原真希子弁護士が意見を交わす。」
③「ピンクドット沖縄の高倉直久共同代表は『まだまだ認知度は低い。いろんな企画で盛り上げ、実りあるイベントにしたい』と語り、個人や企業に参加、支援を呼び掛けた。」
④「イベントは午前11時~午後5時。トークライブや音楽ライブなどがある。関連企画で8月31日には那覇市内で『OUT IN JAPAN』の撮影会がある。また同日は日本航空(JAL)が羽田発沖縄着の『LGBT ALLYチャーター』を運航する。」


(3)琉球新報-夜間飛行は禁止されているのに…米軍機P3Cが午前0時超え飛行 普天間から嘉手納へ-2019年6月28日 09:27


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【中部】28日午前0時19分ごろ、米海軍所属のP3C哨戒機1機が宜野湾市の米軍普天間飛行場を離陸し、同38分ごろに嘉手納基地に着陸した。深夜に米軍機が飛行するのは異例。航空機騒音規制措置(騒音防止協定)の順守を求めてきた宜野湾市のほか、沖縄市や嘉手納町、北谷町でつくる『嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会』(三連協)の反発は必至だ。」
②「同協定で午後10時から翌日午前6時は、飛行や地上の活動が制限されている。同機体は、27日に嘉手納基地所属MC130特殊作戦機のパンクで同基地滑走路が閉鎖されたため、普天間飛行場にダイバート(目的地変更)していた。」


(4)琉球新報-辺野古埋め立て土砂価格「見積もり後追記」 防衛局が資料開示、事前決定を否定 識者は手続きを問題視-2019年6月28日 10:43


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設で、埋め立て用土砂(岩ずり)の価格設定に関する疑惑を巡り、沖縄防衛局は27日、本紙に対し見積もり後に設計図書に土砂単価を追記したとする資料を開示し『追記された経緯がしっかりと確認できる』とし、価格が事前に決まっていなかったと説明した。一方、識者は『価格が決まらない段階で入札はできないはずだ』と手続きを問題視している。」
②「防衛局が開示した『補足説明書』によると、2017年11月の入札公告時には、土砂の単価は明記されていない。その後、同年12月に開始した資材価格の見積もりを18年1月25日に追記したという。」
③「法政大学名誉教授の五十嵐敬喜氏は『予定価格という土台が決まらないうちに入札に踏み切ったことになる』と指摘。1社による見積もりを疑問視し『出来レースとしか言いようがない。県民、国民の反発を買うだけだ』と批判した。」
④「設計図書と業者の受注価格が一致することを示す資料を入手した沖縄平和市民連絡会メンバーの北上田毅氏は『工事費が確定していない段階で入札を開始したことになる。あり得ないことだ』と指摘した。」
⑤「埋め立て用土砂の単価は、同じ辺野古移設工事の護岸用土砂の単価の約3倍となっている。また、沖縄総合事務局が使っている資材価格と比べて割高な単価となっている。埋め立て用土砂は防衛局から依頼を受けた調査会社が13社に見積もりを依頼。1社が回答し、その会社が受注した。」


(5)琉球新報-報道の自由、政府と「対話用意」 国連報告者、反発に-2019年6月28日 08:40


 琉球新報は、「【ジュネーブ共同】言論と表現の自由に関する国連のデービッド・ケイ特別報告者は27日、日本の報道の自由に懸念を示した自身の報告書に日本政府が反発していることについて『内容に不満があり、問題点を議論したいのなら対話の用意がある』と述べた。ジュネーブで共同通信などのインタビューに応じた。沖縄での米軍基地の県内移設などに対する抗議活動への圧力に関しては、日本政府と沖縄の人々との間の相互不信が原因だと指摘、『対話が重要だ』とした。また沖縄の人々には抗議する自由があるが、その手段が十分になく問題だとした。」、と報じた。
、と琉球新報。




by asyagi-df-2014 | 2019-06-28 17:42 | 沖縄から | Comments(0)

「治外法権」を撃つ。

「民間地に銃弾が撃ち込まれながら、捜査機関の検証を受けることもなく、発砲した容疑者側の言い分だけで決着が図られる。住民の安全を脅かす『治外法権』をいつまでも放置するわけにいかない。」
2019年6月21日付けの琉球新報(以下、「新報」)の社説はこう始められる。
どのような事件で、どのように事後処理が扱われたのか。
 「新報」は、同日、下記のように報告する。


(1)昨年6月、米軍キャンプ・シュワブの演習場「レンジ10」からの流弾が名護市数久田の農作業小屋に着弾した事故から21日で1年がたった。米軍は26日に事故後初めて県などのシュワブ内立ち入りを認めたが、5月末には再発防止策を実施した上で小屋に着弾した50口径弾の使用を解禁すると日本側に通告。県警は殺人未遂と器物損壊容疑で刑事告発された米軍幹部らの立件を視野に捜査しているが不起訴になるとみられる。問題の本質的な解決にほど遠いまま米軍は訓練を再開すると公表している。
(2)流弾事故は小嶺雅彦さん(45)所有の農作業小屋で発生。海兵隊は5月29日、「射撃前に標的に照準を合わせる手順が適切に行われなかった」(沖縄防衛局)ため流弾が発生したとようやく公表した。
(3)沖縄防衛局は原因公表に時間を要したことについて「米側が原因の究明とともに、過去の事案も踏まえつつ実効的な再発防止策を慎重に検討しており、この時期の説明となった」と述べた。米海兵隊は、訓練を実際に再開したのかや安全策の詳細について質問した本紙取材に回答していない。
(4)県や名護市、数久田区は26日、シュワブ内に立ち入り、米軍から再発防止策と安全対策について説明を受ける。米軍は昨年12月、50口径弾を除くレンジ10での実弾射撃訓練を再開すると通知していた。その際に県は、事故原因の説明と再発防止策の実施・公表までは訓練しないよう要請していた。今回、米軍が50口径弾の使用も再開しようとしていることについては立ち入り調査後、対応を検討するとしている。小嶺さんも共に立ち入りすることを望んだが、米軍が拒否した。
(5)県警は昨年7月、照屋寛徳衆院議員をはじめとした社民党の議員らが在沖米軍幹部3人を殺人未遂と器物損壊容疑で刑事告発したことを踏まえ、両容疑での立件を視野に捜査を続けている。仮に両容疑で書類送検しても、日米地位協定では演習など公務中に発生した事件事故の第一次裁判権は米側に有すると規定されているため、最終的には不起訴となる見込みだ。


 「新報」は、この事件について、「数久田流弾事故1年 米軍幹部、不起訴見込み 地位協定が壁、解決遠く」、と論評した。
「新報」の指摘は、次のものである。


(1)2018年6月21日に、米軍キャンプ・シュワブに隣接する名護市数久田の農作業小屋で50口径の銃弾が見つかった事故から1年が経過した。米軍はこのほど、原因を「人為的ミス」と位置付けた上で、流弾と同一の50口径弾を使用した訓練を再開すると沖縄防衛局に通知した。
(2)米軍基地から派生する被弾事故は復帰後、29件発生した。このうち9件がキャンプ・シュワブからだ。事故が起きるたびに米軍は「安全対策がなされた」として訓練を再開してきたが、再発防止は守られたためしがない。
(3)今回も発生から1年もの時間を要しながら、民間地まで銃弾が届いてしまう演習場で引き続き実弾を使用する結論を出してきた。周辺住民の安全軽視も甚だしい。事故の真相もはっきりしない。訓練再開は言語道断だ。演習場を閉鎖し、撤去する以外に実効性のある再発防止策はない。
(3)銃弾が発射されたシュワブ内の実弾演習場「レンジ10」を巡っては、02年7月にも数久田のパイナップル畑で農作業をしていた男性の近くに着弾する事故があった。銃器の射程が基地内に収まらず、民間地に弾丸を撃ち込む恐れがある明らかな欠陥演習場だ。


 また、「新報」は、「原因究明や安全対策を米軍に委ねるしかない現状では、人命に関わる重大な事故が繰り返されるばかりだ。」、と批判を加える。


(1)名護市や数久田区はレンジ10の撤去を求めてきた。これに対し米軍は「再発防止策を講じた上で射撃訓練を再開する」と継続使用を強調する。地元住民の安全よりも、訓練の維持が優先事項という軍隊の本質を露呈している。
(2)流弾がレンジ10から発射されたものだった事実を米軍が認めたのは、発生から約6カ月も過ぎてからだった。この間に県警は流弾と同種の実弾の提供を求めてきたが、結局1年たっても米軍は応じていない。
(2)米軍の公務中に発生した事件では、米軍側が第1次裁判権を持つと規定する日米地位協定が県警の捜査を阻んでいる。02年の数久田や08年の金武町伊芸、17年の恩納村安富祖の流弾で、県警は被疑者不詳のまま書類送検する形で捜査を終えている。地位協定の改定が不可欠だ。
(3)日本側による原因究明や再発防止に米軍の協力を引き出すには、県警の力だけでは壁が厚すぎる。沖縄には「米軍などとの連絡・調整」の役割も担う外務省の「沖縄担当特命全権大使」が存在するが、事態の当事者として調整に奔走するような存在感は一向に見えてこない。危険との同居を余儀なくされる地元住民の要求を踏まえ、演習場の速やかな閉鎖に動くべきだ。


 はっきり確認できるもの。
(1)日米安保、日米地位協定は、「地元住民の安全よりも、訓練の維持が優先事項という軍隊の本質」が徹底されているということ。
(2)この様な状況下では、警察の力は及ばないということ。



by asyagi-df-2014 | 2019-06-28 05:43 | 米軍再編 | Comments(0)

安倍晋三政権が認知症に関する施策の指針となる大綱を決定。

 安倍晋三政権は2019年6月18日、認知症に関する施策の指針となる大綱を決定した。
成長戦略に沿った社会保障費の減額を狙った「予防」の数値目標の導入は、大綱の原案では「予防と共生」となっていたものが「共生と予防」に修正されたなかで、削除されることになった。
この大綱について、朝日新聞(以下「朝日」)は、「これまでは共生に軸足を置いてきたが、社会保障費の抑制などに向けて方針を転換」、と次のように報じた。


(1)政府は18日午前、認知症に関する施策を進めるための関係閣僚会議を開き、団塊の世代が75歳以上となる2025年までの取り組み方針をまとめた大綱を決定した。認知症になっても地域で安心して暮らせる『共生』と、認知症になる時期や進行を遅らせる『予防』を『車の両輪』として取り組むと明記した。これまでは共生に軸足を置いてきたが、社会保障費の抑制などに向けて方針を転換する。
(2)厚生労働省の推計では、認知症の人は25年には約700万人になり、高齢者の5人に1人にのぼる。大綱は「認知症はだれもがなりうる」としたうえで、運動不足の改善や社会参加などを進めた結果として「70歳代での発症を10年間で1歳遅らせることを目指す」とした。当初は数値目標で掲げる予定だったが、当事者らから「『認知症になるのは予防の努力が足りないからだ』との偏見を生みかねない」との反発を受けて参考数値に格下げした。
(3)共生の実現に向けては、車に代わる交通手段の確保や見守り体制の整備を進めるほか、認知症サポーターを20年度末までに1200万人養成するとした。原案には、老後の生活費が2千万円不足するとして資産形成・管理を呼びかける金融庁の審議会の報告書について「周知・浸透を図る」との記述もあったが、政府が正式な報告書として受け取らないと決めたことを受け、記述を削除した。                    (石川春菜)


 また、「朝日」は2019年6月19日、このことに関連して、「認知症『誰もがなりうる』 政府大綱が描く共生と予防」、と解説した。
 この中で、「予防」の数値目標を削減したことについて、次のように示している。


(1)団塊の世代が75歳以上となる2025年までを対象期間に、認知症になっても地域で安心して暮らせる「共生」と、認知症の発症や進行を遅らせる「予防」を「車の両輪」と位置づけた。予防の数値目標は反発を受けて撤回した。
(2)厚生労働省の推計では、認知症の人は25年には約700万人になり、65歳以上の5人に1人に上る。大綱は「認知症はだれもがなりうる」と指摘した上で、社会参加などを進めた結果として「70歳代での発症を10年間で1歳遅らせることを目指す」とした。15~25年が対象期間の従来の認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)は共生に重点を置いたが、今後は予防にも力を入れる。
(3)政府は当初、「70代で認知症になる時期を19~29年の10年間で1歳遅らせ、70代の認知症の人の割合を25年までに6%減らす」との数値目標を大綱に盛り込もうとした。だが、5月中旬に公表すると、当事者らが「予防に取り組んでいながら認知症になった人が『落第者』になり自信を失う」などと反発。最終的な大綱では「6%減」を削除し、「1歳遅らせる」は参考数値にとどめた。


 また、安倍晋三政権が、「予防」の数値目標を大綱に入れようとした目的については、次のように押さえている。


(1)予防を前面に打ち出すきっかけとなったのは、政府の経済財政諮問会議での議論だった。議事要旨によると、複数の民間議員が昨年10月の会合で、認知症にかかる医療・介護費などの社会的コストが30年には21兆円超になるとの試算に触れて、予防の重要性を主張。翌月の会合では、新浪剛史・サントリーホールディングス社長が、認知症を「日本経済に極めて大きな足かせとなる」としていた。当事者団体の幹部は「認知症の人や家族の声を脇に置いた、社会保障費の抑制の観点での議論だった」と残念がる。
(2)大綱を取りまとめた内閣官房と厚労省からは、「数値目標にあんなに反発があるとは」「軽率だった」との声が漏れる。原案では「予防と共生」だった語順も、大綱では「共生と予防」に修正。厚労省の担当者は「共生の基盤の上で予防を進めるという趣旨だ」と釈明した。
(3)また原案には、老後資金が2千万円不足するとして資産形成を呼びかける金融庁の審議会の報告書の「周知・浸透を図る」との記述もあったが、政府が受け取らないと決めたため記述を削除した。数値目標と同様、当事者の視点を欠いた内容の修正が相次いだ。


 「朝日」は、今回の大綱の決定について、最後に、次のように伝えた。


「認知症の人と家族の会代表理事の鈴木森夫さんは、数値目標が取り下げられたことは『評価したい』としつつも、『介護保険は、負担増や軽度向けサービス削減で【介護の社会化】の理想から後退を重ねている。本人や家族への支援を減らしながら【共生】の理念を掲げるのは矛盾する』と指摘。日本認知症本人ワーキンググループの藤田和子代表理事は、大綱が『本人』の意見や視点を踏まえた施策の推進を掲げたことを重視。『現在は地域差が大きい。身近な市町村で着実に実行され、希望をもって過ごせる人が増えるよう、私たち【本人】も一緒に取り組みたい』とする。」




by asyagi-df-2014 | 2019-06-27 05:49 | 持続可能な社会 | Comments(0)

沖縄-辺野古-沖縄 高江から-2019年6月26日

「【ジュネーブ共同】言論と表現の自由に関する国連のデービッド・ケイ特別報告者は26日、国連人権理事会に日本に関する新たな報告書を正式に提出した。」、と琉球新報。
その報告書では、「日本では政府が批判的なジャーナリストに圧力をかけるなど報道の自由に懸念が残ると警告。沖縄の米軍基地の県内移設などに対する抗議活動でも当局の圧力が続いていると批判している」(琉球新報)、という。
 確かに、日本の状況そのもの。


 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2019年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。
 2019年6月26日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)沖縄タイムス-中高年引きこもり7000人 沖縄の40~64歳 実態把握、支援が急務-2019年6月26日 06:10


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄県保健医療部の砂川靖部長は25日、半年以上にわたり家族以外とほとんど交流せず自宅にいる40~64歳の引きこもりの人が、県内に約7千人いるとの推計値を明らかにした。内閣府が3月公表した全国の推計値を基に試算した。県議会6月定例会で中川京貴氏(沖縄・自民)の質問に答えた。」
②「中高年の引きこもりの人と高齢の親が困窮する『8050問題』は全国各地で顕在化し、実態把握や支援が急がれている。砂川部長は『関係部局と連携し、就労支援や居場所づくり、経済的支援などを考えたい』と述べた。県地域保健課によると、現時点で県内の実態調査予定はない。」
③「県ひきこもり支援センター(南風原町の総合精神保健福祉センター内)に寄せられる相談のうち、40代以上の当事者は約3割。今年5月に発生した川崎市の児童殺傷事件以来、相談は増加傾向にあるという。」
④「センターへの相談は無料。保健師と看護師の資格のある相談員が対応する。電話相談は月~金曜日の午前10時~正午、午後1~4時。来所は要予約。家族会の案内もする。電話098(888)1455。」


(2)沖縄タイムス-辺野古工事の請負業者が献金 衆院選中、沖縄の自民3議員側に-2019年6月26日 05:00


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「2017年の衆院選期間中、いずれも自民党公認で沖縄選挙区から立候補した国場幸之助氏(九州比例)、宮崎政久氏(同)、西銘恒三郎氏(沖縄4区)が代表を務める自民党支部が、名護市辺野古の新基地建設関連工事を受注した業者から献金を受けていたことが25日、分かった。国と請負契約を結んでいる企業の国政選挙に関する献金を禁じた公職選挙法(特定寄付の禁止)に抵触する恐れがある。」
②「各支部の収支報告書によると、宮崎氏が代表を務める2区支部では公示2日後の17年10月12日、国場氏の1区支部と西銘氏の4区支部は13日にそれぞれ20万円の献金を受けていた。」
③「献金をしたのは浦添市に本社を置く総合建設会社で、衆院選当時、新基地建設に絡む護岸建設や仮設道路建設など3件、計約104億円の工事を沖縄防衛局から受注していた。本紙は建設会社に献金の認識を問い合わせたが、同社は『担当者が不在』とした。」
④「3氏の事務所は今月中旬に一部報道機関の取材を受け、『誤解を招く』として返金した。3氏は前回14年の衆院選でも公示前後に今回とは別の受注業者から献金を受け、発覚後返金していた。」
⑤「17年衆院選で西銘氏は4区で当選、1区の国場氏は比例代表で復活当選した。宮崎氏は昨年、前衆院議員園田博之氏の死去に伴い繰り上げ当選した。」


(3)琉球新報-報道の自由、日本に懸念 国連報告者、沖縄でも圧力-2019年6月26日 17:46


 琉球新報は、「【ジュネーブ共同】言論と表現の自由に関する国連のデービッド・ケイ特別報告者は26日、国連人権理事会に日本に関する新たな報告書を正式に提出した。日本では政府が批判的なジャーナリストに圧力をかけるなど報道の自由に懸念が残ると警告。沖縄の米軍基地の県内移設などに対する抗議活動でも当局の圧力が続いていると批判している。政府の記者会見で批判的な記者が質問をした際、当局者が記者クラブを通すなどして公然と反論すると指摘、『新聞や雑誌の編集上の圧力』と言えるとした。放送局に電波停止を命じる根拠となる放送法4条は効力を持ち続けており、放送局の規制になっていると強調した。」、と報じた。




by asyagi-df-2014 | 2019-06-26 18:12 | 沖縄から | Comments(0)

「安心できる、無料の台所。」

 オスロ在住ジャーナリストの鐙麻樹さんのノルウェー通信を朝日新聞Globeで見つけました。
 今回は、「ノルウェー通信 世界初の無料学校給食を実現したフィンランドでは、ヴィーガンメニューも当たり前」(2019年6月11日)です。
 「フィンランドは世界初の無料給食を実現した国。給食の現場をのぞいてみると、ベジタリアンやヴィーガンといったメニューの豊富さだけでなく、日本の『こども食堂』の精神のようなものもありました。」、と報告されています。
以下、引用します。


 フィンランドの高校を取材中、「学食でランチを食べましょうか」と先生と生徒に誘われた。
 そこで、仰天したことがふたつ

・学校給食が無料
・肉料理・ベジタリアンに加えて、ヴィーガンが選択可能。ヴィーガンは義務化されたばかり
「子どもたちの育成と教育をサポートするために、無料給食は1943年に法律で制定された良い学校給食は未来への投資」Finnish National Board of Education「School meals in Finland」

 高校のリーマタイネン先生も、子ども時代を振り返り、「給食が無料は当たり前」という感覚で育ったという。

就学前教育、小学校~高校まで、給食費で心配することはない。

 「高い税金が何に使われているか、日常生活で明白に目に見えてわかるシステムですね」と私が言うと、「そうです。誇りをもっています」とほほ笑んだ。
 高校生のテルホ・ムティカさん(17)は、この日は授業がなかったが、学校給食だけを食べにやってきたという。「ベジタリアンの友達はたくさんいますよ。今日は学校には食べに来ただけ。食べたら、家に帰って宿題をする」と話す。
 北欧の学校では制服がないのが普通なので、みんな私服。この学校では出入りも自由で、他の学校の子どもでも忍び込んで食べることができそうだった。
 誰が出入りして給食を食べているかは、特にチェックしていないという。
 「給食担当員は生徒の顔を覚えているだろうし、ほかの地域の子どもがたまに給食を食べていても、あまり大きな問題ではない」と先生は話す。
 「平等」精神を重んじる北欧では、競争社会であるアジアよりも他人を信頼する傾向が強い。信頼でなりたつ仕組みが、ここにもあった。
 お腹が空いた時、給食だけを食べに学校に来てもいい。居場所がある安心感。
 保護者の収入や家庭状況にふりまわされることなく、金銭的な心配をせずにご飯を食べて育つ。
 日本のように、「給食費未納」がニュースになることはない。心が豊かな人が育ちそうだ。
 さらに驚いたのが、給食のバラエティ。ブッフェ形式で好きな食材を、好きな量だけ食べることができるのだが、「肉」に加えて、「ベジタブル」と「ヴィーガン」まであった。
 環境問題に配慮して、肉食(特に赤肉)を減らそうという議論が盛んな北欧。
 「ベジタブル」メニューの選択があるのは驚かないが、「ヴィーガン」まであるのにはびっくり仰天してしまった。
 ヴィーガン・カルチャーがこれほどまで力を発揮しはじめたか、と驚くのは私だけだろか。
 自治体エスポー(首都ヘルシンキに隣接)からの指示で、ヴィーガン食の導入は義務なのだという。
 体に良い給食は完全無料だが、健康に悪そうなものはメニューにはない。豆乳や様々な種類の牛乳は無料だが、コーヒーは有料、デザートは一切ない。
 エスポー市では全学校に「週に1度はベジタリアンのみの日」も義務付けているという(肉はなし)。
 ベジタリアン食とヴィーガン食に関しては、大きな都市では同じように導入されており、小さな自治体では場所によって異なる。
 エスポー市の食品サービス局のディレクターであるアホラ氏に問い合わせると、次のような回答がきた。
 「何を食べたいかの選択の幅を広めてほしいという市民からの声が多かったため、市議会がヴィーガン食の導入を決定しました。ヴィーガン食によって、市はさらなるサステイナブルな発展をとげるでしょう」。
 タピオラ高校の給食の責任者であるティーナ・フロンデリウスさん。ヴィーガンは義務化されたので作っているが、意外と利用する生徒は少ないという。
 「ヴィーガン食を求めている生徒は『たくさんいる』と聞いていたんです。50~100人はヴィーガン食を選ぶのかしらと思ったら、9人しか食べない。9人!本当に需要があるのかとも思うけれど、これからどんどん増えるのかもしれない。肉メニューを選ぶ生徒は500~700人ほどいるけれど、明らかに肉を好む声は減ってきています。ベジタブルメニューを選ぶ生徒は200人ほどですね」。
 エスポー市でのヴィーガン義務化は4月から始まった。食品ロスを減らすために、毎日どのメニューがたくさん食べられたかを記録し、量を調整しているそうだ。ヴィーガンメニューを希望する生徒は事前に申請をする必要がある。
 「給食を食べるためだけに、学校に来る生徒は多い」と話すフロンデリウスさん。
それはそうだろう。これだけおいしいメニューを無料で食べることができるなら、私も毎日学校に通う。私たちは2回お代わりをして、お腹いっぱいになった。
 「このような形で社会に還元されるなら、高い税金を払うのもありだな」、と思った。給食を食べに、また学校に行きたい。きっと勉強をする集中力も増すだろう。
 安心できる、無料の台所。こういう居場所が、忙しく変化する現代社会ではより必要とされるのかもしれない。




by asyagi-df-2014 | 2019-06-26 06:05 | 持続可能な社会 | Comments(0)

沖縄-辺野古-沖縄 高江から-2019年6月25日

何が画策されているのか。
 この国の道理は崩壊してしまっている。
「米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設で、沖縄防衛局が埋め立て用土砂(岩ずり)を護岸用土砂の約3倍の価格で発注していた問題を巡り、防衛局が業者に見積もりを依頼する前に算定した価格と業者の受注価格が完全に一致していたことが24日、分かった。価格は1立方メートル当たり5370円。防衛局が見積もりのための価格調査を開始する、少なくとも1週間以上前には価格が設定されていた。高価な価格設定だけでなく、公共事業の手続きなどでも疑義が生じることとなった。」、と琉球新報。
 それは、「沖縄大・沖縄国際大特別研究員の宮田裕氏は『公共事業は見積もり以前に価格が決まることはあり得ない』と指摘した。」(琉球新報)であるにもかかわらずである。
 結局、「辺野古の埋め立て土砂は、一般的な市場価格よりも1・5倍ほど高いことが明らかになっている。情報公開請求で資料を入手した、沖縄平和市民連絡会の北上田毅氏は『官製談合だ』と指摘している。」(沖縄タイムス)、ということになる。


 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2019年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。
 2019年6月25日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-土砂受注額、国算定と一致 新基地工事 価格設定、見積もり前-2019年6月25日 05:00


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設で、沖縄防衛局が埋め立て用土砂(岩ずり)を護岸用土砂の約3倍の価格で発注していた問題を巡り、防衛局が業者に見積もりを依頼する前に算定した価格と業者の受注価格が完全に一致していたことが24日、分かった。価格は1立方メートル当たり5370円。防衛局が見積もりのための価格調査を開始する、少なくとも1週間以上前には価格が設定されていた。高価な価格設定だけでなく、公共事業の手続きなどでも疑義が生じることとなった。」 
②「沖縄平和市民連絡会メンバーで土木技師の北上田毅氏が情報公開請求で入手した資料で判明した。」
③「沖縄防衛局は本紙の取材に『入札手続きを開始した17年11月時点では、当該岩ずりの単価は記載されていなかった。18年1月25日に特記仕様書を修正し、単価を追記した』と回答した。」
④「防衛省の内規では、材料単価の算定は原則3社以上から見積もりを集めることを定めている。辺野古埋め立て用の土砂を巡っては、防衛局から依頼を受けた調査会社が13社に見積もりを依頼したが、回答は1社だけで、その会社が受注した。」
⑤「沖縄大・沖縄国際大特別研究員の宮田裕氏は『公共事業は見積もり以前に価格が決まることはあり得ない』と指摘した。」


(2)琉球新報-辺野古阻止、国連演説へ 米活動家、介入を要請-2019年6月24日 16:27


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【ニューヨーク共同】米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設の中止を求める活動家で米ハワイ在住の日系4世、ロバート梶原さん(32)が24日にスイス・ジュネーブで開幕する国連人権理事会で演説する。辺野古移設問題に介入するよう人権理に訴える方針だ。」
②「梶原さんは2月、人権理に介入を求める申立書を請願署名と共に送付した。『沖縄は偏向した日本の制度の下、国内で可能なあらゆる手段を尽くした』が満足のいく結果を得られていないと訴えた。」
③「人権理は梶原さんに証言を要請。梶原さんは『世界中で平和的活動を奨励するためにも国連には介入する義務がある』と訴える意向だ。」


(3)琉球新報-フサコちゃんに会いたい 千葉の出居さん、74年前に東京から沖縄に引っ越した幼なじみ捜す-2019年6月25日 06:00


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「琉球新報に送られてきた佐久川フサコさんの手がかりを求める出居克己さんからの手紙」
②「74年前、戦争のさなかに東京都中野区から沖縄に引っ越した佐久川フサコさんという女性を、幼なじみの出居(いでい)克己(かつみ)さん(87)=千葉県南房総市=が捜している。佐久川さんは80代前半とみられ、出居さんは名前を『房子』と記憶しているが、『ヒサコ』の可能性もある。出居さんは『沖縄に無事たどり着いたか、ずっと安否が気になっている。生きているうちに会わないと死んでも死にきれない』と情報を求めている。」 
③「出居さんが佐久川さんと出会ったのは1940年代。出居さんによると、佐久川さんは東京都中野区の新山通り(現・中野区南台付近)で祖父母と3人で暮らしていて、同じ区立新山小学校(現・みなみの小学校)に通っていた。一緒に防火水槽でかくれんぼをして遊んだり、佐久川さん宅で金魚が卵を産む様子を観察したことが記憶に残っている。佐久川さんは出居さんよりも4歳くらい年下で『妹みたいにかわいがっていた』。祖父母の名前は覚えていないが、祖母は琉球からじを結ったかんざし姿で、近所で有名だった。中野区では45年5月、約2万戸が焼けた大規模な空襲があったが、出居さんの記憶では空襲前に佐久川さんたちは沖縄に旅立ったとみられる。その際、出居さんの母に佐久川さん一家からパンヤ綿のふかふかの布団を贈られ、別れを名残惜しんだのを今も覚えているという。」
④「引っ越し先は那覇付近とみられるが、正確な情報はない。結婚していれば名字が変わっている可能性もある。」                            ⑤「出居さんの妻・カホルさん(77)も那覇市出身で、沖縄とのつながりが強く、夫婦一緒に佐久川さんを捜している。出居さんは『子ども時代の記憶で情報は少ないが、昔の思い出を一緒に語りたい。生きているうちに会わないと死んでも死にきれない』と手がかりを求めている。」


(4)沖縄タイムス-見積もり依頼前に価格設定の疑い 市場価格の1.5倍で業者と契約 新基地埋め立て用土砂 13社中1社のみ回答 防衛局「調査後に修正」-2019年6月25日 05:00


①「名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局が埋め立て区域に投入する土砂(岩ズリ)の1立方メートル当たりの単価を、業者に見積もり依頼する前に設定した疑いがあることが24日、分かった。業者の回答額は設定の疑いがある額と同じだった。辺野古の埋め立て土砂は、一般的な市場価格よりも1・5倍ほど高いことが明らかになっている。情報公開請求で資料を入手した、沖縄平和市民連絡会の北上田毅氏は『官製談合だ』と指摘している。」
②「防衛局は岩ズリを発注するため、見積価格の調査を2017年12月から18年1月まで実施した。18年1月にまとめた報告書では、依頼した13社のうち1社のみが回答。1立方メートル当たりの価格を5370円とし、この金額で契約を結んだ。一方で、防衛局が17年11月に作成した『設計図書』は価格の調査前にもかかわらず、岩ズリの単価を業者の回答と同じ5370円と記載している。」
③「防衛局は本紙の取材に『設計図書の作成段階では記載せず、調査結果を受けた後に価格を記載する修正をした』と説明した。」
④「埋め立ての岩ズリを巡っては、防衛局が1社のみを選んで契約したことや、沖縄総合事務局が市場を参考に設定する単価(2900~3550円)の約1・5~1・8倍の価格設定をしているなどの問題点が、国会で指摘されている。」
⑤「北上田氏は防衛局による埋め立てとは別の辺野古の関連工事で、岩ズリの単価は1870円だったと指摘。『埋め立てだと3倍になるのはあり得ない』と強調した。その上で『事前に防衛局が高い価格を決め、後から調査をしたというアリバイをつくったのではないか』と疑問視した。」


(5)沖縄タイムス-玉城デニー知事「米軍基地集中は異常」「尖閣は我が国の領土」 沖縄県議会で表明-2019年6月25日 11:48


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄県議会(新里米吉議長)6月定例会の代表質問が25日午前、始まった。玉城デニー知事は、在沖米軍基地が日本と東アジアの平和と安定に寄与しているとの認識を示す一方、『戦後74年を経た現在もなお国土面積0・6%の本県に約70・3%の米軍専用施設が存在する状況はやはり異常としか言いようがない』と語り、基地負担の軽減に取り組む決意を示した。」
②「尖閣諸島の認識を問われると『1895年の閣議決定で、正式にわが国の領土に編入された石垣市に地盤を有する本県の行政区域である。歴史的にも国際法上も疑いのないわが国固有の領土で、領有権を巡る問題は存在していないという日本政府の立場、見解を支持する』と述べた。」
③「池田竹州知事公室長は米軍基地に関する万国津梁会議について、海兵隊をはじめとした在沖米軍の駐留の必要性などで委員から提言や意見を得て、県の政策や取り組みに反映すると強調。『辺野古が唯一との政府の主張への反論なども何らかの提言がいただける』と期待した。」
④「また、池田氏は5月31日の定例記者会見で玉城知事が尖閣諸島周辺海域での漁に関して『中国公船がパトロールしているので故意に刺激することは控えなければならない』と発言したことは『中国公船による領海侵犯を肯定するものではなく、不測の事態を回避し、事態をエスカレートしないようにとの趣旨だった』と説明。『尖閣諸島周辺海域が日本の領土ではない』との誤解を与えかねないことから『発言を撤回した』と報告した。」
⑤「いずれも中川京貴氏(沖縄・自民)の質問に答えた。代表質問1日目には花城大輔氏(同)、崎山嗣幸氏(社民・社大・結)、比嘉京子氏(同)、亀濱玲子氏(同)が登壇する。」


(6)沖縄タイムス-辺野古新基地:1分間に1台、土砂の搬入続く-2019年6月25日 11:50


 沖縄タイムスは、「沖縄県名護市辺野古の新基地建設に伴い、市安和の琉球セメント付近では25日午前、新基地建設用の土砂が工事用車両によって搬入された。工事に反対する市民ら約30人が集まり工事を止めるよう抗議の声を上げた。市安和では、約1分間で1台のペースで土砂の搬入が続いている。市民らは『美ら海を壊すな』『1分でも2分でも工事を止める』と訴えた。同日午前中、米軍キャンプ・シュワブ沿岸では目立った工事は確認されなかった。」、と報じた。


(7)琉球新報-自民、辺野古工事業者から献金 衆院選中に沖縄3議員側-2019年6月25日 14:33


 琉球新報は、「2017年の衆院選期間中、沖縄県の選挙区から出馬した自民党の3議員が代表を務める政党支部が、15年に米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設の関連工事を受注した業者から献金を受けていたことが25日、分かった。3議員は西銘恒三郎氏(沖縄4区)、国場幸之助氏(比例九州)、宮崎政久氏(同)。西銘氏と国場氏の事務所は取材に『誤解を与えないよう返金した』とコメントした。一方、宮崎氏の事務所は『担当者が不在で対応できない』としている。各支部の政治資金収支報告書によると、献金をしたのは沖縄県浦添市の建設業者。各支部にそれぞれ20万円ずつ寄付していた。」、と報じた。


(8)琉球新報-今日も…沖縄県や本部町の許可なく港を仕切って通行制限-2019年6月25日 12:10


 琉球新報は、「【辺野古問題取材班】名護市辺野古の新基地建設に伴う本部港塩川地区での土砂搬出で、沖縄防衛局から委託を受けた民間業者は昨日に引き続き25日午前も、町や県の許可なく港の一部を網で仕切って市民の通行を阻止した。塩川地区では午前7時すぎから午前10時までに、工事関係車両170台が港に入り、土砂を台船に積んだ。積み終わったあと、柵と網は撤去された。市民らは『でたらめなやり方ばかりだ。どこが沖縄に寄り添ったやり方なんだ』などと話し、塩川地区、安和の琉球セメント前などで抗議を続けた。」、と報じた。


(9)琉球新報-「娘を返せ」母親の病歴知られ、結婚への反対…職場での陰口 元患者の息子語るハンセン病家族への差別「連鎖止めなければ」-2019年6月25日 12:00


琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「突然のことだった。約30年前、交際中だった女性の親や親戚5~6人が自宅に押し掛けてきた。『娘を返せ』。事情を問いただしたが、具体的な理由は告げられなかった。結婚後、妻から『あなたのお母さんがハンセン病だったから反対されていた』と聞かされた。」
②「本島中部の60代男性は両親がハンセン病の患者だったことを理由に、幼いころからさまざまな偏見や差別を受けてきた。父は3歳の時に他界し、母の故郷の島で祖母に育てられた。母は病を隠し本島で仕事を始め、離ればなれに。小学校のころはいじめられ、誰も家に遊びに来なかった。高校の時に義理の叔母と口論となり『居候のくせに』とののしられ家を飛び出した。『死んでしまいたい』と海に飛び込んだが、死にきれなかった。同郷の妻の親戚らが母の病歴を知って結婚を反対したことで、故郷での生活を避けた母や自分自身への『差別』を確信した。
③「2001年、熊本地裁がハンセン病患者の強制隔離政策を違法と判決し、国の責任を認め、国は元患者らに謝罪した。原告の一人だった母は裁判を機に過去を語り始め、入所した療養所で父と出会ったことなどを教えてくれた。男性は『国の過ちを伝えたくて母は話そうと決心したんだろう。これまで打ち明けられなかったことが本当につらかったんだろうと感じた。母を思うと自然と涙が出た』と振り返った。」
④「しかし、約8年前、差別の根強さを突きつけられた。同僚に元患者の集会に参加する話を切り出した途端、露骨に嫌な表情をされ『遺伝するんでしょ』と言い放たれた。ハンセン病は遺伝もなく治る病だといくら説明しても聞く耳を持たなかった。職場で陰口を言われ疎外されるようになり逃げるように職を辞めた。」
⑤「周囲に知られるのを恐れる毎日。それを変えたのは娘が5年前に高校の弁論大会でハンセン病についてスピーチし優勝したことだった。男性の母は妊娠した後に父と療養所から逃げ出し男性を産んでくれた。当時は患者の不妊手術や堕胎が強いられていた。」
⑥「娘は祖父母の出会いや父の誕生を知り、今生きていることを『奇跡だ』と発表した。差別や偏見のない社会の実現を訴える堂々とした姿に心を打たれた。『訴えなければ被害もなかったことになる。ハンセン病を忌み嫌う認識だけが残るかもしれない。連鎖を止めなければならない』。男性は国の責任を訴えることが社会にハンセン病のことを知ってもらう手段になるとの思いを強め、家族訴訟に参加。差別偏見と闘う覚悟を決めた。」
(謝花史哲)
⑦「ハンセン病家族訴訟の判決が28日に熊本地裁で言い渡される。ハンセン病に対する誤った認識により元患者の家族も偏見差別を受けてきた。原告561人のうち県内在住者が約4割と最も多い。判決を前に県内原告の被害の実態に迫った。」




by asyagi-df-2014 | 2019-06-25 18:04 | 沖縄から | Comments(0)

川崎市は、ヘイトスピーチ違反者への刑事罰を盛り込んだ条例を市議会に提示。

 朝日新聞は2019年6月24日、表題について次のように報じた。


(1)特定の民族や人種を侮辱したり、地域から追い出そうとしたりするヘイトスピーチを規制しようと、川崎市は24日、違反者への刑事罰を盛り込んだ条例の素案を市議会に提示した。違反を3回重ねた場合、50万円以下の罰金とする。市によると、ヘイトスピーチに刑事罰を科すと定めた自治体はこれまでなく、全国初になるという。
(2)市がこの日、「差別のない人権尊重のまちづくり条例」(仮称)の素案を明らかにした。
(3)市内の公共の場でヘイトスピーチをしたり、させたりすることを禁じたうえで、違反があった場合、市長は①違反行為をやめるように勧告②2回目の違反をした者に、やめるよう命令③3回目の違反をした者の氏名や団体名などを公表し、市が被害者に代わって検察庁か警察に告発する。
(4)罰金を科すべきかどうかを司法手続きに乗せ、裁判所などの判断に委ねる仕組みだ。市幹部は「憲法が保障する『表現の自由』に留意する必要がある。ヘイトスピーチかどうかを行政が恣意(しい)的に決めないようにすべきだ」と説明している。
(5)市長は勧告や命令の前には、有識者でつくる「差別防止対策等審査会」の意見を聴く。審査会は違反者に文書で意見を述べる機会を与えることができる。ヘイトスピーチは2013年ごろから、東京・新大久保や大阪・鶴橋などで激化。川崎市でも公園を利用した集会やデモが繰り返された。16年にはヘイトスピーチ対策法が成立したが、罰則はなく、市は18年、ヘイトスピーチの恐れがあれば公園など公的施設の利用を拒めるガイドライン(指針)を、全国で初めて施行した。市によると、対策法施行後、市内ではヘイトスピーチは確認されていないものの、市幹部は「今後もヘイトスピーチが起きる可能性がある。抑止するためには罰則付き条例が必要だ」と語る。
(6)市は素案について今夏、パブリックコメントを実施し、12月議会に条例案を提出する方針。罰則を含め、来年7月に全面施行したい考えだ。             (斎藤茂洋)
(7)川崎市が、ヘイトスピーチを繰り返す者に刑事罰を科す方針を示した。行政罰としての過料を命じる条例はこれまでもあったが、刑事罰を盛り込んだ案は初めてだという。国や自治体にヘイトスピーチ解消の取り組みを求める対策法が2016年に施行され、各地での動きが広がりつつある。
(8)香川県観音寺市は17年、公園条例を改正してヘイトスピーチの禁止条項を盛り込んだ。違反した場合、行政罰として5万円以下の過料を科す。大阪市の条例には、ヘイトスピーチをした者の名前を公表する規定がある。
(9)罰則はないものの、法にはない「差別禁止」の文言を盛り込んだのは、東京都国立市や東京都世田谷区。東京都は「オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」を今年4月に施行した。不当な差別的言動を防ぐため、公園などの利用制限の基準を定めたほか、性的少数者の差別的取り扱いを禁じた。
(10)京都府や京都市では公的施設の利用制限を可能とするガイドラインを定めた。神戸市では6月、外国人に対する差別解消に向けた条例が成立し、来年施行される。
(11)国連人種差別撤廃委員会は、国際条約上の義務としてヘイトスピーチを刑事規制するよう日本に4回にわたって勧告している。                    (編集委員・北野隆一)
(12)奈須祐治・西南学院大教授(憲法)の話:「人種、国籍、民族、信条、年齢、性別、性的指向、性自認、出身、障害」などを理由とする差別的取り扱いを禁止した、包括的な人権条例として画期的だ。そのうえでヘイトスピーチの対象を「本邦外出身者」に限り、刑事罰の対象を川崎市内の公共の場所での言動と想定し、インターネットを別扱いとした。刑事罰を科す際に検察や裁判所を介在させる慎重な手続きをとることも含め「表現の自由」への配慮も示したと言えるのではないか。市長が勧告や命令の前に意見を聴く審査会のメンバーの多様性と専門性の確保が、必要となるだろう。
(13)小谷順子・静岡大教授(憲法)の話:素案が禁じるヘイトスピーチの定義の一つに「特定国出身者等を著しく侮蔑するもの」の概念が入った。特定の個人ではなく不特定多数の集団への侮辱を刑事規制することは、被害が抽象的との観点から憲法違反との学説が多い。規制できないとされた「集団的侮辱」を新たに規制するため、言論を直接罰するのではなく、命令違反に罰金を科す構造としたところが、表現の自由保障への配慮と言える。




by asyagi-df-2014 | 2019-06-25 12:14 | 書くことから-ヘイトクライム | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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