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沖縄-辺野 高江-から-2017年10月13日

 「米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリコプターが11日に東村高江の牧草地に不時着し炎上した事故で、ヘリは不時着前、海上を飛行中にエンジントラブルで警告灯が点灯し、三つあるエンジンのうち一つを停止し、残りのエンジンで着陸場所を探して飛んでいたことが12日、分かった。」(琉球新報)。
それにしても、「クラスA」の結果が、96時間(4日間)だけの運用停止で、「飛行再開」するとは。
どう考えても、主権国家の最大の使命は、主権者の命と暮らしを守ることではないのか。



 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

 2017年10月13日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-エンジン異常で不時着 高江米軍ヘリ炎上 同型機、運用停止4日間-2017年10月13日 06:00


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリコプターが11日に東村高江の牧草地に不時着し炎上した事故で、ヘリは不時着前、海上を飛行中にエンジントラブルで警告灯が点灯し、三つあるエンジンのうち一つを停止し、残りのエンジンで着陸場所を探して飛んでいたことが12日、分かった。」
②「外務省沖縄事務所の川田司沖縄担当大使が事故に関して抗議した公明党県本に明らかにした。米海軍安全センターは11日、今回の事故を最も重大な『クラスA』に分類した。在日米軍は12日、普天間飛行場に所属する同型機の運用を96時間(4日間)停止すると発表した。」
③「川田大使は『残りのエンジンで安全な場所に移動しようとしていたが、次善策として空き地に着陸した。これから原因究明をするということだ』と説明した。」
④「事故を受け在日米軍は12日、米軍普天間飛行場所属の同型機を96時間運用停止すると発表した。停止期間について防衛省は同日午後、期限は区切られておらず、安全が確認されるまでとしていたが、米軍は12日朝から96時間と期限を区切っており、日米で説明が食い違っている。」
⑤「小野寺五典防衛相は同日午後、在日米軍のシュローティ副司令官と防衛省で会談し(1)安全が確認されるまでの同型機の運用停止(2)同型機の専門的知見を有する自衛官の事故現場への派遣(3)ほかの海兵隊航空機の安全確認-の3点を求めたと説明した。米軍が停止期間を区切ったことで、自衛官の派遣は不透明となった。小野寺氏によると、事故はエンジンの一つに火災が発生したと警告灯が付き、機内に煙が入ってきたため、民家のない場所を目指し不時着したという。」
⑥「県警関係者によると、13日以降、米側の事故調査担当者が現地に入る予定。県警は航空危険行為等処罰法違反での立件を視野に、写真撮影などの証拠収集を始めた。」


(2)琉球新報-「基地撤去しかない」 県民会議など緊急集会-2017年10月13日 06:00


 琉球新報は、表題について次のように報じた。



①「【北中城】米軍CH53が沖縄県東村高江の民間地で不時着し、炎上したことを受け、『基地の県内移設に反対する県民会議』と普天間爆音訴訟団は12日、北中城村の米軍キャンプ瑞慶覧石平ゲート前で緊急抗議集会を開いた。200人を超える市民が集まり、事故に対して怒りの拳を突き上げた。」
②「集会には仕事を終えたばかりの市民らが集まり、繰り返される米軍の事故に抗議の意を示した。高江ヘリパッド建設反対現地行動連絡会の仲村渠政彦共同代表は『高江の住民はずっと不安を抱えながら暮らしている。昨日の事故も起こるべくして起きた。力を合わせて頑張ろう』と訴えた。」
③「県民会議の山城博治共同代表は『とんでもない事故が起きた。未来や子どものために、怒りの声を発信していこう』と呼び掛けた。」
④「普天間爆音訴訟団の島田善次原告団長は『もう許してはならない。どういう世界を子どもたちに残せるか。もっと真剣に、力を入れなければならない』とげきを飛ばした。」

 比嘉努さん(52)=那覇市=は「もう我慢できない。米軍の事件事故を無くすためには、無条件で基地を撤去するしかない」と語気を強めた。


(3)琉球新報-機体無残な姿さらす 米軍ヘリ不時着炎上から一夜 東村高江-2017年10月12日 07:13


 琉球新報は、「米軍北部訓練場に近い東村高江の車地区の牧草地に11日午後に不時着後、炎上した米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリコプターは12日午前7時現在、事故から一夜明け現場で無残な姿を見せている。』、と報じた。
 また、「12日午前1時20分すぎには米軍車両が現場周辺に到着した。朝方には米兵らが現場で、黒焦げの残骸となったヘリコプター周辺を歩く様子が確認できた。12日午前6時30分ごろ、本社小型無人機で炎上したヘリコプターを撮影した。真っ黒に焦げた様子と、周辺の牧草が延焼している状況が確認できた。操縦室は跡形もないほど焼け落ちている。数百メートル先に住宅地があるのも確認できる。」、と伝えた。


(4)沖縄タイムス-ヘリ炎上、放射性物質搭載の可能性 米軍がガスマスク姿で液体散布-2017年10月13日 07:32


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「米軍ヘリCH53Eが炎上事故を起こした沖縄県東村高江では12日、米軍兵が焼け焦げた機体を写真に収め、計器で測定する様子が確認された。午後5時以降は、ガスマスクを装着した米兵が機体に液体をかける作業を繰り返した。機体には放射性物質が含まれている可能性があり、近距離で消火活動を担った村民からは『不安だ』との声が漏れた。」
②「消防団員として、約30メートルの距離で消火作業を担った農業の男性(44)によると、炎上直後、付近に米兵が5、6人ほどいたが、注意などはなく遠巻きに眺めていたという。12日の報道で、2004年の沖国大ヘリ墜落事故で同型機に放射性物質のストロンチウム90が搭載されていたことを初めて知った。『大丈夫だと思いたいが不安だ。いまだに情報を公開しない米軍には怒りを感じる』と語気を強めた。」
③「同日は翁長雄志知事や伊集盛久村長、衆院選候補者らが炎上現場を視察。付近の外周規制線の外側には約30人の抗議市民らと県警機動隊がもみ合いになり、一時騒然とする場面もあった。」


(5)沖縄タイムス-菅長官が謝罪「何でもします」 米軍ヘリ炎上で緊迫する高江-2017年10月12日 06:36


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「『心配してきたことが本当に起きた』。誰もがそう口にした。新設の米軍ヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)6カ所に取り囲まれた沖縄県東村高江で11日、大型輸送ヘリCH53Eが炎上する事故を起こした。消防、県警、米軍、メディアが人口約140人の集落に殺到。夜になっても騒然とした状況が続く中、住民はこわばった表情で恐怖を語った。」
②「午後7時半すぎ、高江区の仲嶺久美子区長(67)の携帯電話が鳴った。『菅です』。菅義偉官房長官からだった。『ご迷惑をおかけしています。何でもします』。ヘリパッド建設を巡って面談した時に電話番号を交換していた。仲嶺区長は一瞬驚いたが、『心配していたこと。こういうことがあってはいけない』と抗議した。」
③「ヘリパッド建設に反対し、集落上空を飛ばないよう申し入れてきた。取材には『区民はずっと、いつヘリが落ちるか、不安を抱えながら暮らしている。米軍はどうしたら聞き入れてくれるのか』と嘆いた。」
④「土地所有者の自宅敷地には、伊集盛久村長、沖縄防衛局の中嶋浩一郎局長らが続々と訪れた。約60人にも上る報道陣に囲まれる中で、伊集村長らが中嶋局長に抗議した。」
⑤「衆院選2日目の候補者も与野党問わず、日程を中断して駆け付けた。『ヘリパッド建設を容認してきたが、こんなことでは厳しい』『局長が現場に入れて、村長が入れないのはおかしい』と追及した。」
⑥「事故現場周辺には雑木林や池、豚小屋がある。県道70号から続く一本道の農道は米軍や県警が幾重にも規制線を張り、報道陣が近づくことはできなかった。県警は『機体に燃料が残っているとの情報があり、現場の暗い状況では安全性を確認できない』と説明した。現場から500メートル以上南の県道70号上でも、警察官が一時報道陣や住民の行く手を阻んだ。『鎮火が確認されていない。爆発の危険もある』と説明したが、報道陣が抗議。15分たつと解除された。」


(6)沖縄タイムス-「やばいやばい、やばいよマジで」 修学旅行生が目撃した米軍ヘリ炎上の瞬間-2017年10月12日 07:49


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「米軍ヘリが炎上する瞬間を撮影した大阪府の男子高校生(16)は『沖縄修学旅行1日目でヘリの墜落を目の当たりにしてしまう。米軍ヤバイ』とツイッターに投稿した。初めて沖縄を訪れ、民泊で東村の暮らしを体験しようとしていたさなかの出来事。本紙取材に『正直、動揺しています』と言葉少なだった。」
②「生徒が民泊先に入った電話で墜落を知ったのは午後5時40分ごろ。同じ宿の同級生5人と慌てて窓の外を見ると煙が見えた。すぐさま民泊先の家主の運転で2~3分の事故現場に駆け付けたという。」
③「直後に映された動画には生徒らの『軍用機だ軍用機、なんかやばいやばい、やばいよマジで、ニュースでしか見たことない』と動揺する声が上がった。赤い炎から黒煙が勢いよく広がる様子も記録されていた。午後5時51分ごろには『ボンッ』という何かが爆発したような音も聞こえたという。」
④「生徒の動画は5500回以上リツイートされ、報道各社の取材も殺到。生徒は『那覇空港から東村に着くまでに軍事基地が多いと思ってはいたけど、まさかこんなことがあるなんて。怖いというより、ただただびっくりしている』と困惑した様子で語った。」


(7)沖縄タイムス-事故現場はヤンバルクイナ繁殖地 今年も幼鳥確認-2017年10月13日 07:51


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「米軍ヘリが炎上事故を起こした沖縄県東村高江の現場周辺は、国の天然記念物で絶滅の恐れが最も高いIA類のヤンバルクイナの繁殖が2012年からほぼ毎年確認され、繁殖地の南限とされている。事故現場となった牧草地も、定期的に生息が確認されているポイントだ。」
②「世界自然遺産に向けて環境省がユネスコに提出した管理計画では、事故現場が遺産候補地の『周辺地域』に位置づけられており、豊かな生態系に与える米軍の影響を改めて指摘する声が上がっている。」
③「ヤンバルクイナは東村の福地ダム周辺まで南下してきているが、繁殖が確認されているのは事故現場の周辺まで。09年から生息調査を続けるNPO法人どうぶつたちの病院沖縄によると、事故が起きた牧草地を含む西銘晃さん(64)が所有する敷地内に、今年5月もヤンバルクイナの幼鳥が姿を見せたばかりという。」
④「同病院の金城道男副理事長は『調査を続けてみないと分からないが、事故の影響がないとはいえないだろう。そもそも事故にかかわらず、米軍ヘリの音がヤンバルクイナの生息地に攪乱(かくらん)を起こすと考えている』とし『やんばるの森の上を飛んでほしくない』と訴えた。」
⑤「事故を受け、遺産候補地に隣接する米軍北部訓練場の存在を問題視する動きはいっそう強まっている。環境NGOの「OEJP」の吉川秀樹代表は、自然遺産登録に向けて現地調査中の国際自然保護連合(IUCN)の専門家2人に、事故を知らせるメールを送付。『候補地と事故現場の距離や米軍に日本政府がどれほど関与できるのかを審査の参考にしてほしい』と伝えた。」
⑥「日本自然保護協会も12日、日本政府に『世界遺産に登録されても、いつ米軍の影響が及ぶか分からないことを示した』とする抗議声明を提出。『国際的に自然環境を保護すべき場所を米軍に提供していること自体が問題で、米軍との間で環境保全のあり方を抜本的に見直すべきだ』としている。」


(8)沖縄タイムス-沖縄の米軍ヘリ炎上、在京各紙はどう報じたか-2017年10月13日 08:39


 沖縄タイムスは、「沖縄県東村高江で起きた米海兵隊CH53Eヘリの炎上事故について、在京の全国紙・ブロック紙は12日付朝刊で一報を伝えた。1面で載せたのは朝日、毎日、東京の3紙。東京は1面トップで『米軍ヘリ沖縄で炎上』の見出しで、2面に各政党の米軍基地関連政策の比較、社会面に地元住民の不安の声をそれぞれ載せた。』、と報じた。
 また、「朝日と毎日は、1面で見出し3段を立てて掲載。社会面では、米軍機事故の年表や住民の声などを紹介した。読売と日経は、第1社会面で見出し3段で報じ、産経は、第2社会面で見出し2段だった。在京各紙は、事故概要を『不時着し、炎上・大破した』や、海兵隊の発表を引用する形で『訓練中に出火し、緊急着陸した』と説明。『【墜落した】との通報があった』と伝えた。」、と報じた。


(9)沖縄タイムス-「この事故を最後に…」 米軍ヘリ炎上で高江区民 ヘリパッド使用禁止要求へ-2017年10月13日 08:49


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「東村高江の民間地で米軍輸送ヘリが炎上した事故を受け、高江区は12日夜、緊急代議員会を開き、昨年12月に米軍北部訓練場に完成したヘリパッドの全面使用禁止を求め、沖縄防衛局と米軍に抗議する方針を全会一致で承認した。一方、抗議に先駆けた形で米側が同型機の飛行停止期間を4日間と区切ったことに、区民からは『また恐怖にさらされる』『やりたい放題だ』と怒りの声が上がった。」
②「ヘリパッドの使用禁止を同区が求めるのは初めて。仲嶺久美子区長(67)は『何度も何度も抗議してきたが、これまで以上に強く抗議した方がいいとなった。ぜひこの事故を最後にしてもらいたい』と強調した。集落に近い『N4』地区を含む6つのヘリパッドの使用を認めない。ほかにも事故原因の究明や、環境や放射線被害の調査、原状回復も求める。13日に調整した上で、防衛局長ら関係者を呼び、区民の前で謝罪と説明を求めるという。」
③「高江区は1999年と2006年の2度、ヘリパッド建設反対決議を全会一致で可決した。昨年12月には沖縄防衛局に対し、集落上空や夜間、低空を飛ばないよう要請した。区民の切なる声もむなしく、米軍機の事故は繰り返されている。」
④「早々と『飛行再開』の方針が決められたことに代議員の男性(49)=農業=は『怒り、むなしさ、屈辱。これだけ頭ごなしだと、いろんな感情がわく』『低空飛行を続け、夜も飛ぶ。危ないから止めてほしいという気持ちも分かってもらえないのか』と憤った。」
⑤「別の評議員の40代男性=農業=は『今度、ヘリパッドを使えば、僕が県道を通る米軍車両を全部止める』と断言した。昨年、ヘリパッド建設時に市民が工事車両を止めることには否定的だったというが、『恐れていた事故が起きた。もう手段を選ぶ状況じゃない。米軍が区民の願いを聞かないなら、必ず車を止める』」
⑥「高江在住の伊佐真次村議(55)は『完全に民意無視で、人権の考えもない。それを許す日本政府も情けない。住民の怒りは頂点に達している』と力を込めた。」


(10)琉球新報-自衛官、米軍案内で事故機を確認 高江米軍ヘリ炎上 調査には参加せず-2017年10月13日 12:30


 琉球新報は、「【東】高江米軍ヘリ炎上事故で、政府が派遣した自衛官が13日午前、現地に入り、米軍の案内で機体を確認した。米軍が大破した機体を調べる様子も見られた。
自衛官数人が午前11時半ごろ、県警と一緒に米軍の案内を受けた。黒く焼け焦げた機体に近づき、周囲を歩いて確認し、写真を撮影するなどした。」、と報じた。
 また、「午前9時半ごろには、米兵約10人が事故機の周りに集まり、ビデオで撮影したり、機体をのぞき込みながら話し合ったりする様子も見られた。」、と報じた。

 防衛省は12日、同型機の専門的知見を有する自衛官を事故現場に派遣する方針を示していた。自衛官は直接米軍の事故調査には参加できず、あくまで「米側の調査を聴取する」にとどまる。


(11)琉球新報-嘉手納でのパラ訓禁止求める 高江米軍ヘリ炎上で「不安倍増」 三連協-2017年10月13日 11:43


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【中部】米軍嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)の首長らは13日、米軍嘉手納基地第18航空団と沖縄防衛局を訪ね、9月に嘉手納基地で強行されたパラシュート降下訓練に抗議し、嘉手納飛行場で同訓練の全面禁止を求めた。」
②「三連協会長の桑江朝千夫沖縄市長は、11日の高江米軍ヘリ炎上に触れ『事故以来、不安は倍増だ。日本政府は米側に強く訴えるべきだ』と抗議した。」
③「防衛局の中嶋浩一郎局長は『日米特別行動委員会(SACO)最終報告最終報告に基づいた実施を米側に求める』と陳謝した。」
④「嘉手納基地第18航空団のポール・オルダム司令官は『安全保障上、必要な訓練で日米間の安全保障のためだ』と述べたという。」
⑤「桑江市長は『何でも日米の安全保障のためだとして行われたら、不安と不信感が募る。強く抗議する』と怒りをあらわにした。野国昌春北谷町長は『米軍は、地域住民への配慮を要請しても一顧だにしない。(11日の米海兵隊の事故のように)事故が、いつ起きてもおかしくない状況だ』と話し、米軍の強行姿勢を非難した。當山宏嘉手納町長は『オスプレイも含めて米軍ヘリの事故が頻発している。(11日の)事故は機体に問題があっての事故と認識せざるを得ない。住民の上空、周辺を飛ばすなと強く訴えていきたい』と話した。」
⑥「『壊れたテープレコーダーのようだ』。事故から一夜明け、中嶋沖縄防衛局長、川田司外務省沖縄大使を県庁に呼び事故に抗議した富川副知事。県は、米軍機事故が起こる度に、原因究明や再発防止の徹底を求めてきた。しかし日本側は「米側に伝える」との言葉にとどまる。実効性のある改善が見られない中でまた新たな事故が発生する。この現状にいら立ちを隠さなかった。富川副知事にとって今回の事故は、13年前のあの事故現場に一気に引き戻された感もあったためだ。今回、炎上した機体と同系統のCH53Dヘリが2004年、沖縄国際大に墜落した。富川副知事は当時同大に勤め、事故対策本部副本部長として事故対応の最前線にいた。『放射性物質は含んでないのか』『民間地の大学に黄色い規制線が張られ、MP(軍警察)が記者を拘束し、その回りを市民が取り囲む一触即発の場面も目の当たりにした』と当時をふり返り事故がもたらす懸念を表明した。」
⑦「『県民のうっ積したマグマが点火する可能性もある』と指摘し、今回の事故でも県民の不信が高まっていることを指摘し、実効性のある対応を訴えた。」
(仲井間郁江、仲村良太)


(12)琉球新報-「どこでもあり得る事故」 辺野古ゲート前で市民ら怒り 高江米軍ヘリ炎上で-2017年10月13日 12:56


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【辺野古問題取材班】東村高江米軍ヘリ炎上を受け、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設に反対し、米軍キャンプ・シュワブ前に座り込みをしている市民たちからは13日、『(米軍機は高江以外でも飛んでおり)事故はどこでも起こりうる。新基地ができればより危険が高まる。造らせてはいけない』などの声が上がった。」
②「東村平良から座り込みに参加していた宮城勝己さん(64)は『米軍機は高江小学校の上空を飛ぶこともある。万一、(事故時に)学校の上を飛んでいたら大惨事になっていた。高江のヘリパッド建設に長年反対してきたが、やっぱり事故が起きた。ヘリパッドを使わせてはいけない』と強調した。」
③「午前11時半現在、シュワブ内に資材を搬入するゲートが閉まっており、機動隊もいないため、市民は13日の資材搬入はないとみている。」


(13)琉球新報-高江米軍ヘリ炎上 当事者能力の欠如指摘 副知事「壊れたレコーダー」-2017年10月13日 12:07


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「東村高江に米軍大型輸送ヘリCH53Eが不時着し、炎上した事故から一夜明けた12日、沖縄県内では与野党による事故への抗議が相次ぎ、県内に怒りが広がっている。国は米側が飛行停止を決めたことをアピールしたが、96時間という期限付き。期限内で徹底的な事故原因の究明や再発防止策の策定が可能なのか疑問は残ったままだ。米軍は12日時点で、県による抗議の呼び出し要請にも応じていない。県は13日、富川盛武副知事が上京し防衛省や米国大使館などに直接抗議し、実効性のある解決策を迫る。」
②「『多方面からの要請を米側も重く受け止めたと思う』。小野寺五典防衛相は12日午後3時15分、在日米軍のシュローティ副司令官との面談を終え、米軍が東村高江でのヘリ不時着、炎上事故を受け、飛行停止要請を受け入れたことを明らかにした。小野寺防衛相は、その背景に日本側の要請があったことを強調することも忘れなかった。しかし米軍は、小野寺防衛相と面談する以前の12日午前の時点ですでに飛行停止を実行していた。日本側が“成果”として勝ち取ったかに見えた飛行停止は、米側の判断で早々と決定しており、日本側が米軍の運用に関与できない現実を改めて浮き彫りにした。」
③「県が求めた飛行停止期間は『原因究明がされるまで』。しかし米軍は96時間と期限を定めた。週末を挟んだわずか4日の休止でしかない。小野寺防衛相も、富川盛武副知事に飛行停止の事実を伝えた中嶋浩一郎沖縄防衛局長も96時間の時間制限については一切、言及していなかった。小野寺防衛相は、自衛隊でもCH53ヘリの運用実績があることから、事故現場に自衛官を派遣し自衛隊の知見も生かした事故調査に取り組むと強調した。しかし、自衛官は直接軍の事故調査には参加できず、あくまで『米側の調査を聴取する』にとどまる。調査にお墨付きを与えるだけの役割になる可能性がある。翁長雄志知事はこの日、県庁を訪れた自民党の岸田文雄政調会長にも政府の『当事者能力』の欠如を指摘したが、小野寺防衛相が明かした各種対策からも日本政府の当事者能力の高さは読み取れない。」
④「『壊れたテープレコーダーのようだ』。事故から一夜明け、中嶋沖縄防衛局長、川田司外務省沖縄大使を県庁に呼び事故に抗議した富川副知事。県は、米軍機事故が起こる度に、原因究明や再発防止の徹底を求めてきた。しかし日本側は『米側に伝える』との言葉にとどまる。実効性のある改善が見られない中でまた新たな事故が発生する。この現状にいら立ちを隠さなかった。富川副知事にとって今回の事故は、13年前のあの事故現場に一気に引き戻された感もあったためだ。今回、炎上した機体と同系統のCH53Dヘリが2004年、沖縄国際大に墜落した。富川副知事は当時同大に勤め、事故対策本部副本部長として事故対応の最前線にいた。『放射性物質は含んでないのか』『民間地の大学に黄色い規制線が張られ、MP(軍警察)が記者を拘束し、その回りを市民が取り囲む一触即発の場面も目の当たりにした』と当時をふり返り事故がもたらす懸念を表明した。」
⑤「『県民のうっ積したマグマが点火する可能性もある』と指摘し、今回の事故でも県民の不信が高まっていることを指摘し、実効性のある対応を訴えた。」
(仲井間郁江、仲村良太)


(14)琉球新報-<識者評論>青木謙知氏 高江米軍ヘリ炎上 CH53、高い事故率-2017年10月13日 13:38


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「今回の事故の経緯について米軍はエンジントラブルと説明したようだが、エンジントラブルはCH53大型輸送ヘリに限らず、どの航空機にもあることだ。炎上したのは、ヘリが地面に着いた時の衝撃で燃料タンクが壊れて燃料が漏れ出し、引火したことが原因だと考えられる。」
②「事故を起こしたCH53のE型のヘリは、空気孔にネットが張っており、バードストライクなど機体外からの影響によるエンジントラブルとは考えにくい。恐らくエンジン内部でのトラブルだろう。」
③「沖縄国際大で墜落したヘリはCH53D型で、今回のヘリは後継機種になる。ただ、輸送能力を上げるためにD型より機体が大きく、エンジン数も多いなど、構造は異なっている。」
④「オスプレイの安全性が課題になっているが、CH53の事故率はオスプレイよりも高いことを留意した方がいい。」
(航空評論家)


(15)琉球新報-自然保護と両立困難 ジュゴンセンター、IUCNに報告 高江米軍ヘリ炎上-2017年10月13日 13:07


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「世界自然遺産候補地の至近距離で米軍ヘリが不時着し、炎上した事故を受け、ジュゴン保護キャンペーンセンター国際担当の吉川秀樹さんは12日、遺産価値評価の審査のため来日している国際自然保護連合(IUCN)調査団に軍事活動と自然保護の両立を困難視する内容のメールを送信した。」
②「吉川さんは米軍が絡む事故の発生時に日本政府の権限が制限されていることなどを指摘し『遺産登録に係る審査過程の上で日本政府がいかに対応するか(またはできるのかを)知ることは重要な要素だ』とメールに明記した。」
③「吉川さんは事故の報告と併せ、本島北部の遺産候補地と米軍基地を巡るファクトシートも送信したほか、11日には自身の英字ブログで同様の内容を掲載し、世界に向けて情報発信した。北部訓練場が周辺環境に与える影響や米軍由来の事故の危険性、環境保全措置の在り方などについては、以前から県内外の自然保護団体が問題視していた。吉川さんは『今回の事故で日米のいびつな関係が改めて露呈した』と述べ、政府と県に対し『米軍を遺産の利害関係者の一人として認識させ、早急に環境協定を結ぶよう働き掛けるべきだ』と訴えた。」


(16)琉球新報-翁長沖縄県知事、現場視察 「国は力発揮せず」 怒り通り越し疲れ-2017年10月13日 13:16


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「米軍CH53ヘリが不時着し、炎上した東村高江の現場を12日午後に訪れた翁長雄志沖縄県知事。米軍事故が起こる度、何度も関係機関に抗議や要請をしても事故が繰り返される現状に『日本政府は当事者としての力を発揮できない』と厳しく批判した。現場を見つめる知事の表情には怒りを通り越し、疲れがにじんでいた。」
②「翁長知事を乗せた車は、自民党の岸田文雄政調会長の現場視察から約5分後に到着。名護市辺野古の新基地建設や高江のヘリ着陸帯建設に反対する市民らが、岸田会長の車に怒りの声を上げたのとは対照的に拍手が起こった。」
③「無残な姿となった米海兵隊のCH53大型輸送ヘリから約100メートル離れた場所で、名護署長から事故経緯の説明を受けた。翁長知事は険しい表情で耳を傾けていた。」
④「視察の現場にいた仲嶺久美子高江区長らに『厳しい環境を強いてしまい、申し訳ございません』とおわびも。火災で牧草地に被害を受けた西銘晃さんから話も直接聞き『岸田会長に伝える』と約束し、那覇に向かう車に乗り込んだ。」


(17)琉球新報-「命にかかわる」 牧場主、放射性物質の懸念も 高江米軍ヘリ炎上-2017年10月13日 14:00


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「『本来ならきのう収穫に入っていた。たまたま作業が遅れて災害を逃れた』。米軍ヘリが炎上した東村高江の牧草地を所有する西銘晃さん(64)は12日午後、現場を視察した翁長雄志知事に『一歩間違えば命にかかわる事故だった。不幸中の幸いだ』と訴えた。」
②「冬場に向け最盛期を迎えた牧草地の真ん中でヘリが燃えた。被害は30万円になるという。豚50頭の出荷も予定していたが、現場近くの豚舎に入ることができなかった。『もし出荷が遅れると、品質が落ち、大変な損害になる』と心配する。」
③「2004年に沖縄国際大学でヘリが墜落した事故では、放射性物質の飛散が問題になった。今回の事故で直後に現場に駆け付けた。約1時間ほどして鎮火したころ、警察官を通じ、米軍から同じようなことも考えられるので立ち去るようにと求められた。『たっぷり煙を吸った。今さら遅いのではないか』とあきれる。牧草地への影響も心配だ。西銘さんによると1995年にも自分の牧草地へ米軍機が不時着した。」
④「日米両政府に対して『県民が基地に反対しているのはどういうことか、(事故を)現実問題として捉えてほしい』と話した。」


(18)沖縄タイムス-米軍ヘリ炎上:防衛相、飛行停止4日は不適当 「安全確認されるまで必要」-2017年10月13日 11:26


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄県東村高江で米軍ヘリCH53が炎上した事故を受けた同型機の飛行停止期間について、小野寺五典防衛相は13日午前、防衛省で記者団に『期間をあらかじめ設定することなく事故原因と安全が確認されるまでの間、運用が停止されることが必要』と答えた。」
②「在沖米海兵隊は同型機の飛行を12日朝から96時間(4日間)停止すると発表した。小野寺防衛相は、会談した在日米軍のシュローティ副司令官から『96時間』発言があったが期限を付すのは不適当と伝えたと説明。『96時間というのは(在沖海兵隊の)ニコルソン四軍司令官が現場の指揮官として言ったと思うが、シュローティ副司令官からも安全性が確認されることが基本という話があった』と強調した。」
③「沖縄防衛局は13日午前、飛行停止に関し『期間を定めることなく、原因と安全が確認されるまでの間の運用停止が必要と考える』との声明を発表した。」


(19)沖縄タイムス-米軍ヘリ炎上:沖縄県警、立件を困難視 地位協定が壁-2017年10月13日 11:11


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄県警は12日、東村高江で米軍輸送ヘリが炎上した事故について航空危険行為処罰法違反容疑での立件を視野に情報収集を始めた。現場検証はできず、上空や周辺から機体を撮影する作業にとどまった。一方、現場を規制する県警は事故から24時間以上経過しても報道陣の現場近くでの取材を制限した。事故機を視察した衆院選候補者は『マスコミを外周規制線内に入れないのは国民の知る権利に反する』と批判した。」
②「米軍機事故が民間地で発生した場合でも、公務中は米側に第一次裁判権がある上、日本の捜査機関が機体を調べるには米軍の同意が必要になるなど日米地位協定などが捜査の壁になる。」
③「捜査の基本となる搭乗員の事情聴取や現場検証のめどは立っていない。捜査幹部は『米軍が捜査協力を拒めば立件は厳しい。過去のように被疑者不詳で書類送検となる可能性が高い』としている。」
④「一方、日米がまとめた米軍機事故に関する『ガイドライン』では、事故現場近くを『内周規制線』として共同で取り決め、その外側で見物人の安全確保などを目的に設定される『外周規制線』は日本側が規制を担う。内周規制線近くへの立ち入り制限について、県警は安全性の確保や混乱を避けるためと説明したが、翁長雄志知事をはじめ複数の関係者が現場近くで視察。米軍は休憩用の簡易ベッドを並べたり、米兵が談笑したりする様子が確認された。」
⑤「衆院選候補者は、放射性物質などの危険性は県警が否定したとし『内周線ぎりぎりまでなぜ入れないのか強く要求した』と訴えた。」





by asyagi-df-2014 | 2017-10-13 17:35 | 沖縄から | Comments(0)

社説、論説から。~京都新聞20171006~

全国の新聞社の気になる社説、論説を不定期に取り上げて考える。
多くの内容は、「社説・論説-47NEWS」からの紹介となる。



 10月22日を目前にした時期であるので、京都新聞(以下、京都)も、「原発政策は衆院選でも問われるべき課題だ。各党は柏崎刈羽原発再稼働についても主張を明確にしてほしい。」、と訴える。
 京都は、東京電力の「適格性」について、「過酷事故を起こした東京電力に再び原発を運転する資格があるのか。」、と主張する。
 また、その理由を次のように指摘する。


(1)規制委は東電が原発事業者として適格かどうかについて、東電が「事故の反省を忘れない」ことを条件に認めた。決意表明に過ぎないのに、適格性があると判断していいのだろうか。
(2) 合格は福島第1原発の事故以来、東電としても、事故を起こした原発と同じ沸騰水型炉としても初めてになる。東電は6、7号機の再稼働を経営再建の柱と位置づけている。合格は東電の悲願だった。規制委は東電の申請に対し、原発を運転する適格性を審査した。異例の対応だったといえよう。だが、結論に至る過程は不透明な点が多い。
(3)前委員長の田中俊一氏は在任中、福島第1原発の廃炉に対する東電の姿勢を「主体性が見えない」などと厳しく評価していた。ところが東電が「廃炉をやり遂げる」「経済性より安全性を優先する」などとする文書を提出すると突然、方針を転換した。退任会見で田中氏は「消極的な承認」と述べたが、説明不足は否めない。
(4)審査書では、こうした文章を法的拘束力のある保安規定に盛り込む。だが、企業の「決意」を法的にどう担保するのか。規制委の信頼性にも関わる問題ではないか。


 この上で、京都は、次のように押さえる。


(1)安倍晋三政権は「規制委が安全性を確認した原発は再稼働する」という方針を貫いている。一方、規制委は技術的な対策を審査することを本務としている。国は本来、規制委の結論を受けて独自に再稼働の是非を検討するべきだ。現状では国の責任をあいまいにしたまま、規制委を利用していると言わざるをえない。
(2)新潟県の米山隆一知事は「(福島の事故などについて)県独自の検証で安全が確認されないと再稼働の議論はできない」としている。検証の対象は福島の事故原因と健康や生活への影響、避難方法の3点だ。米山氏は規制委の結論にも「県の検証は左右されない。3、4年かかる」と述べている。原発再稼働に国が責任ある態度を示さない中、県知事として当然の姿勢であろう。


 確かに、「企業の『決意』を法的にどう担保するのか。」、という指摘が今回の矛盾を的確に突いている。




by asyagi-df-2014 | 2017-10-13 08:29 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

沖縄-辺野 高江-から-2017年10月12日

 『どこに落ちていたか分からない。もう少しで死んでいた』(琉球新報)。
 「米軍ヘリが炎上した現場は晃さんの牧草地だ。西銘さん一家は牛やヤギのえさになる乾燥した草を売って生計を立てている。今は草の収穫時期のピークを迎えている。晃さんは『牧草地のど真ん中に落ちている。機体を片付けるためにどれだけ時間がかかるか分からない』とうつむきながら言った。『もう飼料用としては使えない。もうあきらめるしかない。仕事は完全になくなった』。語る言葉は怒りに震えていた。」、とも。
軽々しく「沖縄の負担軽減」などと、政治目的のために口にすることは許されない。
 安倍晋三政権がまずしなくてはならないことは、政治の不作為を真摯に認めることだ。



 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

 2017年10月12日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-村高江で米軍ヘリ炎上 大型輸送ヘリCH53、民間地で大破-2017年10月12日 01:07


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属のCH53E大型輸送ヘリコプターが11日午後5時20分ごろ、米軍北部訓練場に近い沖縄県東村高江の車地区の牧草地に不時着し、炎上した。機体は大破した。」
②「国頭地区行政事務組合消防本部などによると、11日午後5時35分ごろ『高江で米軍機が墜落炎上した』との通報が近隣の住民からあった。在沖米海兵隊は『訓練飛行中に出火したため、緊急着陸した』と発表した。周辺住民、乗組員7人ともにけがはなかった。炎上現場は県道70号に近い民間地、最も近い民家から約200メートルの距離だった。」
③「米軍ヘリが墜落現場上空を旋回して消火活動を実施し、国頭消防も放水した。約3時間後の午後8時17分に鎮火を確認した。」


(2)琉球新報-集落騒然、あわや大惨事 高江の米軍ヘリ炎上、何度も爆発音 「もう少しで死んでいた」-2017年10月12日 06:00


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「11日夕方、沖縄本島北部の米軍北部訓練場に近い沖縄県東村高江で米海兵隊のCH53大型輸送ヘリが不時着・炎上した事故。地元の住民が日ごろ抱いていた不安が現実となり、衝撃が広がった。昨年12月の名護市安部に米軍輸送機オスプレイが墜落し1年もたたないうちに、再び事故が起こった。」
②「『もう少しで死んでいた」「ボンボンと何回も燃えた」。東村高江の住民は声を震わせながら言った。満天の星空が広がる集落上空にはヘリコプターが飛び交い、救急車とパトカーのサイレン音が響いた。現場周辺には、消防や警察、米軍車両が行き来し、赤色灯とライトに照らされ、現場付近は油が燃える臭いが充満し、人口約130人の小さな集落は騒然となった。」
③「11日午後5時半ごろ、炎上現場から200メートルほど離れたところに住む西銘美恵子さん(63)が庭の草刈りをしている時だった。車で戻ってきた義父・清さん(87)が美恵子さんに『臭いがするけど』と言った。清さんは現場から100メートルの豚舎にいた。美恵子さんと清さんが庭のタンクに登ってみると、牧草地から黒煙が上がり、赤々と炎が燃えているのが見えた。」
③「黒煙の中からはヘリの前方部分が見えた。爆発音が上がると同時に2、3回大きな火柱が上がった。美恵子さんは、燃え上がる米軍ヘリの残骸を見ながら『どこに落ちていたか分からない。もう少しで死んでいた』と思わずつぶやいた。」
④「清さんから電話を受けた美恵子さんの夫の晃さん(64)は畑から急いで自宅に戻った。操縦席のある前方部分が燃えているのを確認。晃さんは炎上現場に向かおうとしたが、男性の米兵が6人、女性の兵士が1人、ヘリの方向から晃さんの方に向かって来た。女性の米兵が英語で『不時着したから逃げてきた。危ないから離れて』と伝えた。清さんは『ボンボン何回も爆発音がした。何かに引火するような爆発音だった。爆発音が大きいのも小さいものもあった』と語った。」
⑤「米軍ヘリが炎上した現場は晃さんの牧草地だ。西銘さん一家は牛やヤギのえさになる乾燥した草を売って生計を立てている。今は草の収穫時期のピークを迎えている。晃さんは『牧草地のど真ん中に落ちている。機体を片付けるためにどれだけ時間がかかるか分からない』とうつむきながら言った。『もう飼料用としては使えない。もうあきらめるしかない。仕事は完全になくなった』。語る言葉は怒りに震えていた。」


(3)沖縄タイムス-憤る翁長知事「とんでもない話」 米軍ヘリ墜落-2017年10月12日 06:14


 沖縄タイムスは、「米軍の輸送ヘリCH53が沖縄県の東村高江で炎上した事故を受けて翁長雄志知事は11日、『本当にとんでもない話だ』と憤りあらわにした。同日、那覇市の県青年会館で開かれた新政策集団の設立総会に参加した際、記者団に語った。翁長知事は2016年12月に起こったオスプレイの墜落事故など、米軍機による度重なる被害が繰り返されていることに『実にむなしくなる』と肩を落とした。」、と報じた。
 また、「22日に投開票を迎える衆院選については、『県民に沖縄が置かれている状況をしっかり見てもらい、なぜそのようなことが起こっているか考えてもらうことが大切だ』と語った。」、と報じた。


(4)琉球新報-機体無残な姿さらす 米軍ヘリ不時着炎上から一夜 東村高江-2017年10月12日 07:13


 琉球新報は、「米軍北部訓練場に近い東村高江の車地区の牧草地に11日午後に不時着後、炎上した米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリコプターは12日午前7時現在、事故から一夜明け現場で無残な姿を見せている。12日午前1時20分すぎには米軍車両が現場周辺に到着した。朝方には米兵らが現場で、黒焦げの残骸となったヘリコプター周辺を歩く様子が確認できた。12日午前6時30分ごろ、本社小型無人機で炎上したヘリコプターを撮影した。真っ黒に焦げた様子と、周辺の牧草が延焼している状況が確認できた。操縦室は跡形もないほど焼け落ちている。数百メートル先に住宅地があるのも確認できる。」、と報じた。


(5)琉球新報-高江米軍ヘリ炎上は「クラスA」 米海軍安全センター最も重大な事故と分類 エンジン火災と表記-2017年10月12日 12:50


 琉球新報は、「【ワシントン=座波幸代本紙特派員】米海軍安全センターは11日、東村高江の民間地で米軍普天間飛行場所属の大型輸送ヘリCH53Eが不時着、炎上した事故を、最も重大な事故『クラスA』に分類した。飛行中のエンジン火災で緊急着陸したと表記している。」、と報じた。
 また、「米軍普天間飛行場所属の航空機は、昨年12月の名護市安部でのオスプレイ墜落、今年8月のオーストラリア沖でのオスプレイ墜落に続き、3件の『クラスA』事故が立て続けに発生している。同センターがまとめた2017米会計年度(16年10月~17年9月30日)の事故統計では、米海兵隊航空機の10万飛行時間当たりの最も重大な「クラスA」の事故率は07年以降、過去最悪の5・28件に上り、過去10年間の平均の2倍弱に達していた。18年度(17年10月~18年9月)に入ってわずか11日で、クラスAの事故が起こった。」、と報じた。


(6)琉球新報-米軍CH53ヘリを飛行停止 在日米軍副司令官が防衛相に伝える-2017年10月12日 16:11


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【東京】在日米軍は12日、東村高江での米海兵隊CH53E大型輸送ヘリの不時着、炎上事故を受け、同型機の運用停止を決定した。在日米軍のシュローティ副司令官が同日、防衛省で小野寺五典防衛相に伝えた。小野寺氏が会談後、記者団に明らかにした。」
②「小野寺氏によると、シュローティ氏に対し(1)安全が確認されるまでの同型機の運用停止(2)同型機の専門的知見を有する自衛官の事故現場への派遣(3)ほかの海兵隊航空機の安全確認―の3点を求めた。」
③「シュローティ氏は(1)の運用停止と(2)の自衛官の派遣に同意。既に同型機の飛行を停止している。自衛官の派遣は12日中に実施するという。」
④「オスプレイなど事故やトラブルが相次ぐ別の海兵隊機の安全確認について、シュローティ氏は『上司と相談し対応したい』とした。」


(7)琉球新報-「恐ろしい状況に大変違和感」 翁長知事が高江米軍ヘリ炎上の現場を視察-2017年10月12日 14:53


 琉球新報は、「米軍普天間飛行場所属のCH53Eヘリが11日に東村高江で不時着し炎上した事故で、翁長雄志知事は12日正午すぎ、事故の現場付近を視察した。」、と報じた。
 また、「視察後、翁長知事は記者団に『のどかな農村地帯の中で、異様な形でヘリコプターが横たわっていた。日常の世界が一転し恐ろしい状況になることに大変違和感があった』と振り返った。また県が改定を求める日米地位協定が壁となり、県警が現場検証に至るまでに時間が掛かることについて、『日米合同委員会の中で日本政府に当事者能力がない。米軍に【二度と、こういうことがないようにしてください】という話しかしない訳で、豆腐にくぎのような状況だ』と指摘した。」、と報じた。


(8)琉球新報-「事故原因判明まで米軍機訓練中止を」 伊集東村長が要望 現場視察の岸田自民党政調会長に-2017年10月12日 14:08


 琉球新報は、「【東】自民党の岸田文雄政調会長は12日、米軍ヘリCH53Eが炎上した東村高江の現場を確認し、東村役場で伊集盛久村長と面談した。伊集村長は『これからどんどん訓練していくと基地負担が重くなる。負担軽減が目に見える形で実施されなければならない』と強調し、事故原因が判明するまで米軍機の訓練中止を求めた。」、と報じた。
 また、「岸田政調会長は『しっかりとその声を受け止めて米側に対して強い抗議をする。最近、事故が頻発している。米側と意思疎通を図りながら、原因究明と再発防止に取り組んでいきたい』と話し、原因が判明するまで訓練停止を政府から米側に申し入れるとした。」、と報じた。


(9)琉球新報-津堅沖で2日連続 パラシュート降下訓練 地元反発する中で強行-2017年10月12日 13:02


 琉球新報は、「【うるま】米空軍は12日正午から、うるま市の津堅島訓練場水域で2日連続となるパラシュート降下訓練を実施した。県や市は降下訓練の通知を受け、即座に沖縄防衛局を通じ米軍に中止を求めたが、米軍は訓練を強行している。さらに、11日には東村で米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリが不時着したばかりだ。米軍に県民の批判が集まる中での連日のパラシュート降下訓練の強行に、反発は強まりそうだ。」、と報じた。
 また、「米軍は正午と午後0時19分の2度にわたり降下訓練を実施した。正午には米兵7人とパラシュート2つを付けた物資とみられる黒い物体1つ、午後0時19分には米兵2人が降下した。」、と報じた。


(10)沖縄タイムス-ヘリ炎上、エンジンから出火 米海軍安全センター「最も重大」に分類-2017年10月12日 17:39


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「【平安名純代・米国特約記者】米海軍安全センターは11日、東村高江で同日午後5時20分頃に米海兵隊の大型輸送ヘリCH53が炎上大破した事故について、『飛行中にエンジンから出火、緊急着陸。負傷者なし』と記載し、被害額について最も重大な事故(クラスA)に分類した。」
②「在沖海兵隊は同日夜に発表した声明で、『第1海兵航空団のCH53E大型輸送ヘリが通常訓練中、機内で火災が発生し、北部訓練場外に緊急着陸した』と発表していたが、エンジンから出火していた事実については言及していなかった。」
③「海軍安全センターは、海兵隊からの報告に基づいて事故の概要や被害額をまとめている。クラスAの事故は、死者が出た場合や機体の被害額などが200万ドル(約2億3500万円)相当の場合に適用される。」
④「米軍ヘリの中で、CH53ヘリは兵員55人を輸送できる能力を持っており、輸送能力は最大級と言われている。CH53Eは、2004年8月に沖縄国際大学に墜落したCH53Dの後継機。同機種をめぐっては、1999年4月にも国頭村沖で墜落し、乗員4人が死亡している。」


(11)沖縄タイムス-沖縄県議会、軍特委をあす招集 ヘリ事故抗議を検討-2017年10月12日 12:30


 沖縄タイムスは、「沖縄県議会米軍基地関係特別委員会の仲宗根悟委員長は12日午前、東村での米軍ヘリ事故を受け、13日に軍特委を開く考えを与野党各会派に伝えた。事故に対する抗議決議、意見書について協議する。文案や対応などがまとまれば、16日の県議会9月定例会最終本会議で採決したい考え。」、と報じた。


(12)沖縄タイムス-「沖縄にとってこれが国難だ」 翁長知事、米軍ヘリ炎上現場を視察-2017年10月12日 16:48


 沖縄タイムスは、「沖縄県東村高江の民間地で米軍普天間基地所属のCH53E大型輸送ヘリが炎上した事故から一夜明けた12日、現場を視察した翁長雄志知事は『本当に厳しい状況。今日までの事件事故を思い出しながら、この厳しい環境をどのように国に訴えていくか考えた』と語った。」、と報じた。
 また、「視察を終え『悲しい』『悔しい』『怒り』という言葉を口にした翁長知事は『日常の生活が一転して、こういう恐ろしい状況になるということに大変な違和感があった』と感想。事故が起きる度に何度も要請行動や抗議行動を起こしてきたが、頻発する米軍機の事故の状況に『豆腐にくぎ。県にとっての国難とはこういった状況だ』と批判した。」、と報じた。


(13)沖縄タイムス-米軍ヘリ炎上に抗議の声、辺野古ゲート前でも-2017年10月12日 12:24


 沖縄タイムスは、「沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で12日午前、新基地建設に反対する市民らが集まり、東村高江の民間地で米軍ヘリが炎上したことに『怒りを持って抗議する』『断固糾弾しよう』などと抗議の声を上げた。」、と報じた。
 また、「各地域から集まった市民のリレーあいさつでは、『欠陥機が沖縄の空を昼夜問わず飛んでいる危険な状況があらためて明らかになった』『「沖縄県民の命をどう考えているのか。絶対に許せない』と怒りをあらわにした。シュプレヒコールや歌で新基地建設の阻止や米軍普天間飛行場の撤去・閉鎖を訴え、『団結してあきらめずに頑張りましょう』と呼び掛けた。」、と報じた。




by asyagi-df-2014 | 2017-10-12 18:00 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄から-三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記第73回

沖縄の地で、体を張って新しい歴史を作ろうとしている人たちがいる。
そこには、その煌めきの記録を残そうとしているジャーナリストがいる。
だとしたら、その生きざまの瞬間を私たちは受け取る必要がある。
三上知恵の沖縄撮影日記。



 今回の73回は、アップが遅れてしまいしました。
 今回の報告は、「文子おばあのトーカチ(米寿祝い)@ゲート前(三上智恵)」。
三上さんは、島袋文子さんの「トーチカ」の話を、またも「歌や踊りと笑顔といっぱいの沖縄文化の力で、国の暴力を押し返した」様子を伝えるのだが、まずは、三上さんの、撮影を続ける想いから始めます。
三上さんは、こう伝えます。


(1)私はこの楽しい動画を、沖縄バッシングをする人たちにまず見てほしいと願う。辺野古の基地反対闘争に難癖をつけたい人々は必ず「地元の人はほとんどいない」と決めつける。「プロ市民だ」「セクトが入っている」と言いたがる。今を時めく小池百合子さんは、2010年6月3日のツイッターで「辺野古の座り込みの1列目は沖縄のおじいさんおばあさんだが2列目からは県外の活動家がずらり」「カヌーを漕ぐのもプロ、この図式が報じられることはない」と書ききっている。この動画を見てもはたして同じことがいえるだろうか。「恥ずかしい偏見をばらまいてすまなかった」と言ってくれるのではないだろうか。
(2)現場に来たこともない、確かめる慎重さもなく、都合のいいフェイク情報をたれ流す程度の政治家を担ぎ上げて、今、大政党が崩壊していく。日本の政治状況は本当にお寒い。このトーカチに集まった人々の言葉、芸、熱気、身のこなし、そこから立ち上がる文化の力、真心、そして背負っている歴史と本土の何倍も平和を求めるエネルギー。これらのものが、「地元の人は最前列だけ」と決めつける人々が目を背けたいものなのだ。
(3)だから私は動画を撮る。テントに来なくても嘘は嘘と確かめることができるのだから、そのお手伝いができるなら安いもんだ。同じ国に生き、長寿を祝う気持ちになんら変わりはない。米寿の由来も、行事の形も形骸化しているように見える中、深いところで同じ文化を共有してきた月日が柔らかい光を放って横たわっている感触を確かめることができるだろう。


 だから、三上さんは、「この国に生きる者たちを結びつける大事なもの。それはなんだろうか。私は、それは足元深く、心の奥深くに眠っていると思う。政策論争なき空中戦で、今月、新しい国の形が決まるのだという。その空中を見つめていても、希望は何も見えてはこない。」、と。


 さて、島袋文子さんの「トーチカ」の話に、「文子おばあは百二十(ひゃくはたち)までの寿命が許されるに違いない。」との報告に戻します。


(1)9月27日は旧暦の8月8日。「八」が二つ重なって88歳のお祝いの日だ。日本全国に米寿のお祝いはあるが、沖縄では米寿とは言わず「トーカチ」と呼び、特別盛大にお祝いをする。ご存知、日本一有名な「反戦おばあ」となった島袋文子さんのトーカチ祝いは、毎日座り込んで基地建設を止めたい人と機動隊が衝突する、あの辺野古のゲート前で行われた。普通は、自宅にお飾りをして黄色い着物を着せられて祝う。最近はホテルで親戚縁者と会食、そして写真撮影なんていう洒落た家も増えてきたが、機動隊とトラックに囲まれたテントで祝った人は沖縄史上初だろう。おばあを慕う仲間たちが数ケ月がかりで準備し、そして400人余りの県民がお祝いに駆けつけ、日中は工事車両を近寄らせなかった。半日とはいえ、またも歌や踊りと笑顔といっぱいの沖縄文化の力で、国の暴力を押し返した格好だ。
(2)沖縄県警も手出しをしなかった県民的イベント「トーカチ」。それはいったいどんな行事なのか。今回はちょっと民俗学者のふりをして説明をさせてほしい。


(3)沖縄の長寿の祝いといえば、還暦(60歳)、トーカチ(88歳)、カジマヤー(97歳)が3大行事。親族・地域をあげて歌や踊りを繰り出して寿ぎ、そして「あやかりの儀」といって、長寿のものから目下のものに盃をわたす所作に象徴されるように、長寿という強運と幸福に参列者もあやかる、分けてもらうことが大事なポイントになっている。本人に「おめでとう」というだけでなく、これを祝うことで参加者も長寿にあやかり、みんなの寿命も延びるというWIN-WINの法則なので、我も我もと駆けつける人気行事になっているのだ。
(4)なぜ、トーカチというのか。トーカチとは、桝に入れたお米を水平にしてすりきり、正確に計測するときに使う「斗掻(とかき)」という道具のことだ。トーカチの祝いでは、かごに米をいっぱい入れて、そこにこの斗掻の竹をいくつも刺して、参列者にそれを持って帰ってもらうという地域もある。ではなぜ、斗掻道具が米寿のお祝いに使われるのか。本土では、八十八が漢字で書くと米になり、米にちなんだ道具だからだと解説する向きもあるが、それだけでは説得力に乏しいだろう。


 大学院で教えていただいた沖縄国際大学の遠藤庄治教授(故人)は7万話を超える沖縄民話を取集した民話研究の第一人者であったが、その遠藤先生が集めた民話で、米寿祝いの由来にかかわるこんなお話を思い出した。

 ある元気な男の子の前に髭の老人が現れる。神がかったその老人は「お前は丈夫だが、寿命は八歳までだ」と告げる。男の子は号泣、それを聞いた父親はこの老人を追いかけて行き、土下座して「せめてあと十年でもいいから、息子の寿命を延ばしてください」と頼んだ。すると老人は日を定め「この日に天の神様に御馳走を備えて頼んでみなさい」とアドバイスをした。父親がその通りご馳走をあつらえて天の神にささげたところ、寿命をつかさどる神さまは夢中で碁をさしていて、うっかり御馳走を食べてしまった。我に返った神さまは「しまった。寿命は帳面に書かれていて変えられないのに、御馳走を頂いてしまった。仕方ない、特別に八のうえに八と書き足しておこう」。父親は、あと八年の命を頂いたことに感謝した。しかしこの少年は八八歳まで生きた。そんなに寿命を延ばしてくれたことに感謝して、八月八日には盛大なお祭りをするようになった。

 しかし、この民話には八に八でめでたい漢字であるところの「米」というモチーフは出てこない。でも寿命を決める神さまが人間の命を測り、調整していること。そして心から感謝し願うことで運命は変えられるという庶民の希望が盛り込まれている。この話ともう一つ、古くから伝わる琉歌を合わせて読むと、桝に、命を表す米、そしてすり切って測る道具の斗掻という、米に関する道具のイメージは立体的になってくる。


米のトーカチや
切り升どやゆる
盛着のカジマヤゆ
御願さびら
(意訳)
 88歳は長寿ではあるが、それはちょうど桝を満杯にしたお米を斗掻ですり切った程度だ。でも、桝にはまだまだこぼれるように米を盛ることが出来る。これから先は斗掻の制限を超えて米を山盛りにし、長生きして97歳のカジマヤーまでお祝いしましょう。
 桝を満たすほどのお米というのは、まさに泥にまみれ働いた農民の収穫する喜びであり、無事に税を納め、家族の命をつなぐことができた喜びである。桝にすり切り一杯の米は100%素晴らしいが、その上に盛り上げたこぼれる程のお米というのはまさに+αの恵みであり、神の業なのだ。

 人間はそれぞれ大きさの違う桝を持っていて、天が決めた寿命というものがある。そうだとしても、神さまどうか杓子定規に斗掻で「はいここまでね」と決めないでください。うちのばあちゃんにはおまけして、桝の上にお米を山盛りにしてやってくださいね、という家族の思いが込められた歌だと思う。だからこれは私の解釈だが、斗掻というのは命の采配を決める神さまの道具なんだと思う。斗掻の神さま、こんなに長生きさせてくれて感謝いたしますが、もう斗掻は置いて命の期限を測らずに、後は天の恵みの日々を送らせてくださいという気持ちが、沖縄の民話や歌を読み込むと豊かに表現されているのだ。本土の米寿祝でも、米を測る道具は使われている。なのにうまく説明がなされていない。本土で薄れた民俗の意味が沖縄の行事から逆照射できる事例はたくさんある。きっとトーカチもその一つなのではないだろうか。


(5)なんちゃって民俗学者の解説が長くなったが、もう一つ、VTRの中で爆笑を誘っている、糸満市からやってくる島ぐるみメンバーの出し物について簡単に説明したい。これは本土にもある「戻り駕籠」という滑稽踊りの一つで、沖縄でもよく演じられる。



(物語)
 駕籠を担ぐ二人の男が、中に乗っている女性についてあれこれ期待を膨らましていく。「年のころは春の若芽、芙蓉の花のような美人だそうな」「もしもその心をつかむことができたら、古妻など捨てるのだがなあ」「何を言う、お前になど渡すものか、やるか」。二人の男の妄想が膨らむだけ膨らんだあと、駕籠の女性が楚々と降りてくるのだが、これが稀代の醜女であったとさ。


(6)この醜女役はたいてい口紅を塗りたくったおっさんが務める。手拭いを開いた瞬間、観衆は大爆笑という塩梅だ。おばあは糸満で育ったので大の芸能好きで、「戻り駕籠」の出し物をとても楽しみにしていた。旧習が残る南部糸満は村行事も多く、芸達者ぞろい。だから期待値も高く、片道2時間近くかけて辺野古まで通ってくれる糸満の人たちに、観客席からはやんやの拍手が送られた。


 さて、この「トーチカ」の話は、こう結ばれています。


「名護市の稲嶺市長、ビッグサプライズで登場した歌姫古謝美佐子さん、途中雨に見舞われながらもとても贅沢な見どころ満載の出し物が続き、笑いと熱気でおばあのトーカチは3時間を超えるお祝いとなった。これには寿命の神様も計測を忘れて楽しまれたことだろう。文子おばあは百二十(ひゃくはたち)までの寿命が許されるに違いない。」




by asyagi-df-2014 | 2017-10-12 12:07 | 沖縄から | Comments(0)

吉村大阪市長さん、「公選の職にある者として、たとえ批判にさらされることがあろうとも地域に対して応えていくことが責務」とのサンフランシスコ市長の言葉に撃たれませんか。

 大阪市の吉村洋文市長が、姉妹都市の米サンフランシスコ市で計画されている旧日本軍の従軍慰安婦像設置について懸念を表明し、書面で求めたことに対して、米サンフランシスコ市長から大阪市長への返書が届いた。
 このことについて、毎日新聞は2017年10月5日、次のように報じた。


(1)大阪市の吉村洋文市長が、姉妹都市の米サンフランシスコ市で計画されている旧日本軍の従軍慰安婦像設置について懸念を表明している。吉村市長は姉妹都市の解消にも言及して計画が実現しないよう書面で求めたが、サンフランシスコ市長からは「大きな落胆を覚える」との返書が届いたという。大阪市が4日、明らかにした。
(2)大阪市によると、像は中国系米国人らの民間団体がサンフランシスコ市内に設置。今後、碑と共に市に寄贈し、公有地に移設する計画があるという。
(3)姉妹都市は今年提携60周年。吉村市長は、碑文の「数十万人の女性が性奴隷にされた」などの点について「日本政府の見解と違う」などと指摘。9月末に送った書面では「移管がなされると、残念だが姉妹都市関係を根本から見直さざるを得ない。思慮深い対応を望む」と記した。
(4)これに対し、今月2日付のエドウィン・リー市長の返書では、移設の有無を明確にしていないが、「公選の職にある者として、たとえ批判にさらされることがあろうとも地域に対して応えていくことが責務」と移設の容認を示唆。姉妹関係が解消された場合、「両市の住民を傷つける。協調の将来を築く努力をしている人が不利を被れば恥ずべきことではないか」と憂慮する内容だった。
(5)吉村氏は4日、記者団に考えに変わりがないことを改めて強調した。今月、大阪市を訪れるサンフランシスコ市代表団にも伝えるという。
                                 

 この返事(公開書簡)について、産経新聞が2017年10月5日、全文公開した。
この公開書簡は、次のように始められている。


「貴信については細心の注意をはらって拝読し、また、駐日アメリカ大使や報道機関に対する貴殿の声明についても改めて精査させて頂いた。
 私は、貴殿が両市の姉妹都市関係の終了を検討されているということに大きな落胆を覚えている。60年以上の長きにわたり、我々の姉妹都市関係は何百もの交流・友好行事の育まれてきた。これらの事業は両市にとって相互利益をもたらしてきただけでなく、両市市民の相互理解を深めてきている。」

 また、こうも大阪市長に説明する。


「姉妹都市という概念は、「人対人 People-to-People」プログラムを生み出し、また促進することで、政府の干渉を排除したうえで、多様な文化と市民をひとつにまとめることを目的として提唱されたものである。我々の60年にも亘る関係は、たとえ歴史や文化、言語が異なっているとしても、ともに力を合わせることで、人間愛が我々に共通する中核的な価値観であること、我々がともに平和に生きていけることを示してきた。」


 だからこそ、と続ける。


「姉妹都市関係が終了すれば、これまで自らの時間や資源、情熱を注ぎ、友好の懸け橋を築こうとしてきた両市の多くの住民を直接的に傷つけることになってしまうであろう。本市に所在する数々の市民団体は、日々の活動を通じて人々をまとめ上げ、相互理解をもたらしている。両市の市民が強固な協調の将来を築くことができるよう、懸命な努力をしている人々が不利をこうむることになれば、それは恥ずべきことではないかと思料する。」


 無理難題の大阪市長に語りかける。


「私は、過去を注視するのではなく、我々の子供たちにとって明るい未来を築いていくことに目を向けるべきだと確信している。この観点において、完全に民間の市民により構成されている当地のサンフランシスコ大阪姉妹都市協会が重要な役割を果たしていることは、大きな誇りである。現在非常に困難な時代に生きていることに鑑みれば、両市の明るい未来に向け地道に努力を重ねておられる市民の方々に、我々が強力な支援を示すことは至上命題である。」


 また、サンフランシスコ市長としての誇りを示す。


「公選の職にある者として、たとえ批判にさらされることがあろうとも、地域に対して応えていくことが私の責務である。より深い理解と相互の尊敬の念を持って、姉妹都市関係の61年目を迎えることができるよう、心から望んでいる。」


 最後に、公開書簡は、こう閉められている。


「相互の市民社会をより豊かな利益あるものとし、両市の協力関係を築いていくことにつながっていくよう、我々が両市の人対人の交流を強力に支え続けることを希望している。改めて、我々の素晴らしい都市を強化し利益をもたらすための、将来に向けての努力に対して注意を向け、両市を世界の見本として示していくことができるよう望んでいる。
 2016年8月に直接お会いし、実のあるお話ができたことを思い起こし、両市の姉妹都市関係を成功に導き続けるとともに、明るい未来に目を向けている人々を強力に支援し続けること以上の望みはない。」


 この公開書簡を読み返してみるが、この公開書簡の示すものの重みは、大阪市長の要求を凌駕するものである。





by asyagi-df-2014 | 2017-10-12 07:04 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

沖縄-辺野 高江-から-2017年10月11日

「たった9日間で、どうやったら26%から73%に飛躍できるのか」。
 米下院議員と遺族らの提訴の意味。
問われているのは、「都合の悪い事実は隠すという海兵隊の隠蔽(いんぺい)体質の文化を変えたい」。



 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

 2017年10月11日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


号外-琉球新報-ヘリ墜落 CH53 民間地で炎上-2017年10月11日 19:21


 琉球新報は、号外を次のように報じた。


(1)「国頭地区消防本部によると、11日午後5時35分ごろ、『東村高江で米軍機が墜落炎上している』という通報があった。沖縄防衛局によると、墜落したのはCH53大型輸送ヘリコプターという。けが人の情報はない。」
(2)「東村などによると、墜落したのは米軍北部訓練場近くの民間地で、高江の車地区の牧草地。午後6時半現在、米軍ヘリが墜落現場の上空を旋回し、消火活動に当たっている。住民提供の写真では、炎と黒煙が上がっている様子が確認できる。」
(3)東村高江に住む伊佐育子さん(57)は『「黒煙が牧草地から上がっているとの連絡を受け、現場に駆け付けた。米兵がいっぱいいた。高江公民館からわずか2キロ先だ。政府に対し、私たちの命を何と思っているのかと怒りでいっぱい。これ以上(米軍機を)飛ばすことはしないでほしい』と話した。」
(4)「米軍機は県内でたびたび墜落事故を起こし、県民の不安や懸念が高まっている。最近では昨年12月、名護市安部で米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが墜落した。2013年、キャンプ・ハンセンでHH60救難ヘリが墜落。2004年には宜野湾市の沖縄国際大学に海兵隊のCH53D大型輸送ヘリコプターが墜落した。」


(1)沖縄タイムス-「海兵隊の隠ぺい体質を変えたい」 オスプレイ墜落 提訴した米共和党議員の思い-2017年10月11日 05:00


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「米アリゾナ州で2000年4月に19人の死者を出した米海兵隊垂直離着陸型輸送機MV22オスプレイの墜落事故をめぐり、米下院議員と遺族らが情報の自由公開法に基づき3日、事故に関する情報の公開を求めて国防総省を提訴した。『都合の悪い事実は隠すという海兵隊の隠蔽(いんぺい)体質の文化を変えたい』と議員らは提訴に至った経緯を語った。」
②「与党共和党のウォルター・ジョーンズ下院議員は、海兵隊基地を擁するノースカロライナ州選出。操縦士の技量不足が19人の命を奪ったとの汚名をそそぎたい、遺族から真相究明の協力要請を受け、14年前から調査に乗り出した。ジョーンズ氏は海兵隊側との長いやりとりを振り返り、『なぜ操縦士のミスだと判断できたのか納得できる回答は得られなかった。昨年、ワーク国防副長官(当時)から、事故原因は操縦士の技量不足だけではなかったとの文書が届いたが、真相解明には程遠かった』と述べ、闘いを法廷の場に移した理由を語った。」
③「今回、国防総省を提訴したのは、ジョーンズ議員と操縦士2人の遺族ら計5人と1団体。事故当時の調査結果や海兵隊内部のやりとりの記録など、事故に関する情報公開を要求する中で、焦点となっているのが当時、海兵隊トップだったエイモス総司令官らのやりとりをめぐる文書だ。」
④「エイモス氏は00年11月に内部メールで『オスプレイの任務遂行率は26%』と記述していたにもかかわらず、9日後の記者会見では『73%』と主張していたとの報道を受け、ジョーンズ氏らは文書公開を要請したが、開示されたのは全て黒塗りの1枚だけ。ジョーンズ氏は『たった9日間で、どうやったら26%から73%に飛躍できるのか』と疑問を呈し、『この点だけでも資料が全て開示されれば、都合の悪い事実を隠していたのかが分かる』と期待を示した。」
⑤「国防総省は、30日以内(休日を除く)に回答する見通し。」(平安名純代・米国特約記者)


(2)琉球新報-「沖縄を戦場にしてはならない」 市民訴えゲート前座り込む-2017年10月11日 14:05


 琉球新報は、「【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の移設に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設工事で、米軍キャンプ・シュワブのゲート前には11日、約50人の市民が座り込んだ。午前9時前と正午過ぎ、機動隊が市民らを強制的に移動させ、工事車両約110台がゲート内に入った。市民は県警に対し『ここにみんなが集まって基地反対を表明するのは、皆さんの子どもたちのためでもある。沖縄を再び戦場にしてはならない』と訴えた。」、と報じた。
 また、「シュワブの浜辺では午前中、作業員数人が何らかの作業を行う様子が確認された。市民らの抗議船やカヌーによる海上での抗議行動は行われなかった。」、と報じた。


(3)琉球新報-津堅島沖でパラシュート降下訓練 地元の反発を無視、ことし6度目-2017年10月11日 13:23


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「米軍は11日午後1時ごろから、うるま市の津堅島訓練場水域でパラシュート降下訓練を始めた。同水域での降下訓練はことし6度目。午後1時ごろに2回の降下訓練が確認された。県や市はパラシュート降下訓練の通知を受ける度、中止を強く求めているが米軍は強行しており、地元からは反発の声が上がっている。」
②「正午すぎに嘉手納基地を飛び立ったMC130特殊作戦機が津堅島訓練場水域上空を数回旋回した後、午後0時38分ごろにパラシュートを付けた米兵7人と物資とみられるもの1個が海面に降下した。その後、午後0時58分に2回目の降下訓練が行われ、米兵3人がパラシュートで降下した。」
③「市には9月29日、沖縄防衛局を通じて『水面を使用する演習』の通知があった。9日には、米連邦航空局が発表した航空情報(ノータム)を元に、同局が市に津堅島訓練場水域での降下訓練実施を知らせた。」
④「県は1996年のSACO合意で、読谷補助飛行場で実施されてきたパラシュート降下訓練が伊江島に移転したことを受け、津堅島訓練水域ではパラシュート降下訓練を実施しないよう求めてきた。」


(4)琉球新報-防衛相「大破して火吹く」 東村高江の米軍ヘリ墜落、沖縄防衛局長が抗議-2017年10月11日 20:11


 琉球新報は、「小野寺五典防衛相は11日夜、米海兵隊のCH53大型輸送ヘリコプターが沖縄県東村高江の民間地で炎上したことを受け、中嶋浩一郎沖縄防衛局長がニコルソン四軍調整官に抗議したと明らかにした。防衛省で記者団の取材に答えた。事故の状況については『大破し火を吹いている』として、墜落なのか確認中という。」、と報じた。
 また、「事故が頻発していることについては『海兵隊の事故が続いている。安全な運航にしっかり対応するよう米側には強く申し入れたい』と述べるにとどめた。小野寺氏は『乗員は無事』だとしている。墜落現場が民間地だったことから、民間の被害がないか確認しているという。」、と報じた。


(5)琉球新報-辺野古岩礁破砕訴訟で訴えの追加を可決 県議会軍特委-2017年10月11日 15:02


 琉球新報は、「県議会の米軍基地関係特別委員会(仲宗根悟委員長)は11日、辺野古の新基地建設問題をめぐる国との裁判で、沖縄防衛局は県知事から岩礁破砕許可を得る義務があることを確認する『義務の確認』の請求を追加する議案を与党の賛成多数で可決した。16日の最終本会議で可決される見通し。米軍嘉手納基地でのパラシュート降下訓練については、同基地での降下訓練の全面禁止を求める抗議決議・意見書案を本会議に提出することを全会一致で決めた。」、と報じた。
 また、「9月29日に石垣空港に米軍普天間飛行場所属の輸送機MV22オスプレイが緊急着陸した件についての抗議決議・意見書案の提出は、意見の一致をみなかった。与党会派の議員提出議案として本会議に提出する方向で調整を進める。」、と報じた。


(6)沖縄タイムス-「当然の判断を」翁長知事、埋め立て猛進する国批判 辺野古差し止め訴訟-2017年10月11日 14:14


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「『当然のことを当然のごとく判示していただきたい』。10日にあった辺野古差し止め訴訟の第1回口頭弁論の意見陳述で、沖縄県の翁長雄志知事は約11分間、A4用紙5枚分にまとめた意見を丁寧に読み上げ、時折、国側へ鋭い目線で訴えた。翁長知事は『埋め立てにがむしゃらに突き進もうとしている』と国の姿勢を批判した。『国地方係争処理委員会』(係争委)が求めた『真摯(しんし)な協議も放棄した』と突き放し、訴訟の正当性を強調。」
②「これまでの経緯を振り返りながら、岩礁破砕許可にかかる従来とは真逆な対応をする国の矛盾に対し、『沖縄県だけの問題にとどまらず、全ての地方公共団体の自主性と自立が脅かされかねない』とした。」
③「冒頭では、辺野古新基地建設を巡り5度目となる裁判が“訴訟合戦”と表される状況に『決して本意ではない』と訴える場面も。手続きをないがしろにしようとする国を前に『(訴訟を)提起せざるを得ない』と理解を求めた。」
④「県側代理人は、海に見立てた青色の色紙2枚を使って名護漁協による漁業権の『一部放棄』を視覚的に解説。放棄の決議によって漁業権が消滅するとの考えに異を唱えた。国の恣意(しい)的な運用は免許制度の根幹に関わると問題視し、県側の訴訟提起が不適法だとする国側を批判した。」
⑤「裁判前に那覇地裁前の城岳公園で開かれた集会には、市民のほか、県選出の国会議員や県議ら約350人(主催者発表)が翁長知事を激励した。翁長知事はマイクを握り『県民の尊厳と意思を無視し、美しい大浦湾を埋め立てて永久の基地を造るのは絶対に許されない』と力を込めた。」




by asyagi-df-2014 | 2017-10-11 21:10 | 沖縄から | Comments(0)

社説、論説から。~琉球新報20171004~

全国の新聞社の気になる社説、論説を不定期に取り上げて考える。
多くの内容は、「社説・論説-47NEWS」からの紹介となる。



 何が日本で起こっているのか。
 実は、安倍晋三政権が強面に振りかざしてきた「沖縄の負担軽減」の施策が、実際は、逆行する事態を作り出し、沖縄県民をさらに苦しめているということなのである。
 沖縄タイムスは2017年10月4日、その実態を次のように伝えている。
①「防衛局によると高江の牛道集落では、2012年度の騒音回数が567回から16年度には6887回と増えた。夜間(午後7時~翌午前7時)では、102回から1664回と16倍超になっている。特に14年度の1474回から15年度は4216回と大幅に増加。これには15年2月に運用が開始された、集落に最も近いN4地区ヘリパッドでの訓練が関係しているとみられる。」
②「民間地上空でのつり下げ訓練が繰り返される宜野座村城原区では、14年度から16年度にかけて約1・5倍増加。カラオケ店内に相当する90デシベル以上の夜間の騒音回数は、45回から169回と3・7倍に増えた。」
③「名護市も辺野古、許田などは近隣区含めて増加傾向で、ほぼ同じ騒音回数で推移している。」
④「北部訓練場の過半返還や普天間飛行場の名護市辺野古への移設で「県内の基地負担軽減につながる」と繰り返す政府だが、すでにヘリパッドが建設された東村高江を始め、北部地域全体で騒音が増えている。」
⑤「7月には新たに完成した高江ヘリパッドN1、H地区でオスプレイの離着陸が始まった。さらに100機のオスプレイが駐機可能とされる辺野古新基地が建設されれば伊江島、高江、宜野座村城原を結ぶ三角形のエリアを中心に騒音被害の増加、拡大が懸念される。」
 なお、この実態は、沖縄防衛局の調べでわかったことである。
このことについて考える。

 琉球新報は2017年10月4日、「米軍機騒音4割増 政府は米国追従やめよ」、と社説で主張した。
 琉球新報は、「米軍の自由な訓練を認め、止めようともしない政府は猛省すべきである。国民に対して果たすべき役割を考え、着実に実行すべきだ。」、「米軍機が騒音をまき散らす地域には住民が生活し、学校で学ぶ子どもたちがいる。静かな環境で暮らし、学ぶ権利が踏みにじられ続ける状況を放置する日米両政府に強く抗議し、早急な是正を求める。」
、と主張する。
 また、次の実態を突きつける。


(1)「米軍ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)のある名護市久志、宜野座村城原、東村高江、伊江村西崎で60デシベル以上の騒音回数の合計が、2016年度は1万8934回に上ったことが沖縄防衛局と名護市の調査で分かった。
 住民によると、米軍機は昼夜関係なく訓練している。60デシベルは走行中の自動車内に相当し、自然状態が静かな夜間は昼間に比べてうるさく感じるとされる。それが14年度よりも約4割、5296回も増えているのだ。本島北部と伊江島での米軍機訓練が激化していることの何よりの証しだ。断じて容認できない。」
(2)「米軍は宜野座、東、伊江の3村を結んだ三角形を中心に訓練を頻繁に実施している。最も騒音回数の多かった4地点の測定データを分析した結果、宜野座村城原では90デシベル以上の騒音が14年度の103回から16年度は316回と約3倍になった。
 伊江村西崎では90デシベル以上の騒音が13年度157回、15年度234回だった。16年度は148回に減少した。だが、減ればいいというものでは決してない。」
(3)「90デシベルは騒々しい工場内のうるささに相当する。米軍機さえ飛ばなければ、住民が工場内にいるような状況に置かれることはまずないのである。」
(4)高江小学校のある東村高江区牛道は、より騒音の増加が激しい。13年度の918回から16年度には6887回と約7・5倍に激増している。


 さらに、琉球新報は、こうした実態に加えて、「15年1月、高江集落に近い米軍北部訓練場のN4地区のヘリパッド運用が始まった。騒音激増はその影響をもろに受けたとみて間違いない。今年7月にはN1、H地区の運用が始まっており、さらなる騒音増加が懸念される。」、と追求する。

 だからこそ、琉球新報は、次のように断ずるのである。


「16年12月の北部訓練場過半の返還を記念した式典で、菅義偉官房長官は『今回の返還は本土復帰後最大の返還であり、沖縄の米軍施設の約2割が返還され、沖縄の負担軽減に大きく寄与する』と強調した。事実に反する。発言を撤回すべきである。
 政府が取り組んでいるのは米軍基地の機能強化であり、沖縄の負担軽減などでは断じてない。米軍機騒音の増加からもそれは明らかである。政府は沖縄の負担増に直結する米国追従を改めるべきだ。
 米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸機MV22オスプレイをはじめとする米軍機は、県内全域を飛び回って訓練している。騒音被害は県内全域に広がっているのである。このような異常な状況を放置することは許されない。」


 確かに、「縄の負担軽減に大きく寄与する」と言い放った菅義偉官房長官の言葉は、腐臭をそこらじゅうに蔓延させている。




by asyagi-df-2014 | 2017-10-11 05:43 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

福島地裁は、東京電力福島第一原発の過酷事故に、国の責任を認め、国と東電に賠償を命じる判決を言い渡した。しかし、生活環境の回復を求める訴えは却下。

 朝日新聞は2017年10月10日、表題について次のように報じた。


(1)「東京電力福島第一原発事故でふるさとの生活が奪われたとして、福島県の住民ら約3800人が国と東電に生活環境の回復や慰謝料など総額約160億円の賠償を求めた訴訟で、福島地裁(金沢秀樹裁判長)は10日、国の責任を認め、国と東電に賠償を命じる判決を言い渡した。生活環境の回復を求める訴えは却下した。」
(2)「原発事故を巡る同様の集団訴訟は全国で約30あり、福島地裁での判決は前橋、千葉の両地裁に続き3例目。」
(3)福島訴訟では、国の避難指示が出た区域の原告は約1割。大半は福島県内の避難指示が出なかった地域の住民で、宮城や茨城、栃木の住民もいる。」
(4)原告は『原発事故前の暮らしを取り戻したい』として、居住地の空間放射線量を事故前の水準とする毎時0・04マイクロシーベルト以下に引き下げる『原状回復』を要求。実現するまで、毎月5万円の慰謝料を求めた。また、原告の一部は原発事故で仕事や人間関係を失ったとして、1人2千万円の『ふるさと喪失』慰謝料も求めた。」
(5)これに対し、国や東電は放射線量を引き下げる具体的な方法が不明確で、金銭的にも不可能などと反論。賠償も国の基準の中間指針に基づいて支払った金額で十分だとしていた。」
(6)原発事故に対する国と東電の責任については、原告は地震調査研究推進本部が公表した「長期評価」などを根拠に、国側は原発の敷地高さを超える津波を予測できたと主張。国側は長期評価には様々な反論があったとして、『科学的根拠に乏しい』と反論した。今年3月に最初に判決が言い渡された前橋地裁は、国と東電についてともに津波を予見できたと指摘。対策を怠ったと認め、計3855万円の支払いを命じた。一方、9月の千葉地裁は国の賠償方針を上回る支払いを命じたが、国の責任は否定。東電についても重大な過失があったとは認めなかった。」




by asyagi-df-2014 | 2017-10-10 20:25 | 書くことから-原発 | Comments(0)

沖縄-辺野 高江-から-2017年10月10日

「推薦地周辺に緩やかな規制をかけ、利用を制限する『緩衝地帯』が十分にあるかも審査で重視される。」、と沖縄タイムス。世界自然遺産の審査についてである。 
確かに、やんばるの森は『世界の宝、になり得るが、そもそも他国の軍事基地が世界自然遺産に馴染むものなのか。



 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

 2017年10月10日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)沖縄タイムス-世界自然遺産:緩衝地帯、米軍施設…“異例”どう評価-2017年10月9日 19:18


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「推薦地周辺に緩やかな規制をかけ、利用を制限する『緩衝地帯』が十分にあるかも審査で重視される。現行案は4地域とも、地元との調整がつかないなどで緩衝地帯を設けられずむき出しの推薦地がある。本島北部に至っては米軍北部訓練場や跡地が隣り合うため東側のほぼ全てがむき出しの状態にある。」
②「返還跡地は国立公園化に向け準備が進むが、環境省は米軍訓練の影響を含め残された訓練場の存在にどう向き合うか具体的な姿勢を明らかにしないまま。推薦書にも記載していない。」
③「環境省によれば『自国の軍事基地が近接する遺産は把握しているが、他国の基地は聞いたことがない』。IUCNが“異例”ともいえる事態をどう評価するか注目される。推薦地の保全に米軍がどう協力するか示すよう求める宿題が出される公算は大きいとの見方もあり、そのハードルの高さによっては登録の時期に影響が出そうだ。」
④「緩衝地帯に限らず、登録後に見込まれる観光客急増への体制も十分とはいえない。希少種の密猟や車などにひかれて命を落とすロードキルを防ぐためのルール作り・確立も急がれ、住民の協力が不可欠だ。」
⑤「国内の他の世界自然遺産に比べ、奄美・琉球は希少種の生息環境と、住民の生活圏が近いのが特徴だ。林業や農業など産業活動の場も重なり、どこまでを自然遺産として法的規制の網を掛けて守るべきか、周辺住民らと線引きの合意形成に時間を要し、推薦に至るまでに10年以上を要した経緯がある。『ぎりぎりの線』(環境省)で合意にこぎつけた推薦地の範囲がどう評価されるか注目される。IUCNから登録までの宿題として推薦地の拡張を求められる可能性もある。」 
⑥「推薦地が自然遺産にふさわしい価値を持つ全ての区域を含んだ上、保全に十分な面積があるかは、審査基準の一つだ。環境省は『遺産リスト入りの条件は満たす』と自信をのぞかせるが、自然保護団体はやんばるの原型的な森林が推薦地に入っていないなど『狭すぎる』と指摘する。」
⑦「照葉樹林からマングローブ、サンゴ礁の連続した生態系が奄美・琉球の生物多様性を象徴するにもかかわらず、陸域のみが推薦地なのを疑問視する見方もある。推薦地の絞り込みなどを議論する環境省の有識者科学委員会でも推薦直前まで『海域を含めるべき』との意見が出ていた。小笠原諸島(東京都)は、IUCNの宿題に応じる形で推薦する海域を広げて遺産登録に至っている。」


(2)沖縄タイムス-世界自然遺産で新ブランド 沖縄の北部3村、登録へ期待と不安-2017年10月10日 05:00


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「『さあ世界へ』の掛け声とともに環境省や県などが目指す世界自然遺産登録に向け、国際自然保護連合(IUCN)の県内調査が15日から本島北部を皮切りに始まる。来夏にも登録が認められれば、やんばるの森は『世界の宝』として国内外の注目を集めることになりそうだ。長年、やんばるの自然と生きてきた地元の国頭、東、大宜味3村の住民らはどんな思いでいるのか。現場を歩いた。」(北部報道部・山田優介)
②「人口減少の一途をたどる国頭村。村の人口ビジョンによると、2010年の人口は1980年から2割以上減った。村は人口減少が地域経済の縮小を呼び、さらなる人口減少につながる『負の連鎖』を懸念する。『過疎が進む地域の定住促進につなげたい』。国頭村の世界自然遺産対策室の宮城明正室長は、遺産登録が負の連鎖を断ち切る突破口になりうると期待する。『世界自然遺産の名称を使った新たなブランドを確立し、観光客と地元住民が交流する機会を設けたい』と描く。やんばるの森を生活基盤としてきた林業関係者も新たなビジネスチャンスを模索する。国頭村森林組合では昨年、建築材やチップなどに使う木材を約400トン伐採した。仲原親一組合長は『木材のニーズはある。今まで通りの仕事は続けたい』としつつ『やんばるは【生活のための山】から【自然遺産の山】に変わる』とも語る。『環境保全に配慮し、時代の変化に対応するしかない。山を知り尽くした自分たちにできるのは観光客の案内。ガイドなどの新事業もいいかも』と考えを巡らせる。一方、遺産登録で暮らしがどう変わるのか不安の声も聞こえる。東、大宜味の両村の林業関係者が所属する北部森林組合の玉城政光常務理事は、国内外から環境保全の意識が高まることに複雑な表情だ。『確かに保全は大事だが、たとえ法的な許可を得て伐採しても自然保護団体や観光客から苦情が来そうで、やりづらくなる』と声を落とす。」
③「登録された直後は観光客が一気に増え、適切なルールなしでは逆に環境破壊をもたらしかねない。夜間の林道パトロールなどで希少生物の保護に取り組む大宜味村田嘉里の仲原秀作区長(35)は『村内で密猟者は見掛けないが、知名度が上がれば不安だ。観光客がモラルや節度を持ってもらわないと困る』と注視する。」
④「今月、県がIUCNの現地調査時に名護市辺野古の新基地建設問題を議論する場を設けるよう求めたとの報道があった。3村の関係者は『いまさら米軍基地問題を出し、登録に遅れが出たら困る。今まで県とは基地問題を避けることで足並みをそろえてきた。今後もそうするべきだ』と語った。」


(3)琉球新報-海上作業確認されず ゲート前に40人-2017年10月10日 12:17


 琉球新報は、「米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡る新基地建設で10日、米軍キャンプ・シュワブゲート前には、約40人が座り込み抗議の声を上げた。10日に公示された衆院選についてヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表は『安倍政権への審判だ。県民の民意を示さないといけない』とマイクを握って話した。一方、10日正午現在、工事車両の搬入は確認されていない。海上では風が強く作業は確認されていない。」、と報じた。


(4)琉球新報-「辺野古新基地建設絶対に許さない」 辺野古差し止め訴訟で知事が意見陳述-2017年10月10日 15:21


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「名護市辺野古の新基地建設工事を巡り無許可の岩礁破砕は違法として、県が国を相手に岩礁破砕の差し止めを求めた訴訟の第1回口頭弁論が10日午後3時、那覇地裁(森鍵一裁判長)で開かれた。」
②「翁長雄志知事が法廷で意見陳述し『県民は今日まで誇りと尊厳を持って新基地建設反対という声を出し続けている』と強調。『知事として、辺野古に新基地を造ることなど絶対に許すことはできない』と訴えた。さらに『国は漁業関係法令の運用に関する見解を、辺野古案件のため恣意(しい)的にねじ曲げた』と批判。訴状陳述で県側は工事現場水域に漁業権が存在し、岩礁破砕工事をするには県知事に許可を得る必要があるなどと主張し国側の違法性を訴えた。一方、国側は訴えの内容が裁判所の審判対象外などとして県には法律上訴える権利そのものがなく不適法として請求の却下を求めた。」
③「意見陳述で翁長知事は『(破砕許可申請など)義務を履行しないまま工事を進める開き直しを、国が率先して行い、それに司法がお墨付きを与えてしまえば日本の法秩序はどうなってしまうのか、切実な危機感を持っている』も述べ、裁判所の判断を期待した。」
④「開廷前には那覇地裁近くの公園で支援集会も開かれた。」


(5)沖縄タイムス-辺野古ゲート前、JR東労組青年部33人が激励 150人の寄せ書きも-2017年10月10日 13:36


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で10日、新基地建設に反対する市民らは抗議行動を続けている。午後1時半時点で、ゲートから工事車両の搬入は確認されていない。午前はゲート前の集会にJR東労組の青年部33人が訪れ、新基地建設阻止に向けて市民らと連帯する意志を表明し、激励した。」
②「引率した組織担当部長の宮内政典さん(41)=埼玉県=は『基地は経済発展の阻害要因になっていると学んできた。沖縄の闘いに連帯したい』と強調。仙台地方本部約150人による寄せ書きを届けた川名剛生青年部事務長(31)=宮城県=は『辺野古の現場で、決して諦めない沖縄の闘いは勉強になった。地元に持ち帰って、若い人を中心にどういう闘いが必要か考えていきたい』と語った。」
③「一方、海上では市民らが船2隻とカヌー4艇で抗議の声を上げた。海上での作業は確認されなかった。」




by asyagi-df-2014 | 2017-10-10 18:04 | 沖縄から | Comments(0)

本からのもの-「在日米軍」

著書名:「在位米軍」
著作者:梅林宏道
出版社:岩波新書



 梅林宏道さん(以下、梅林とする)の「在日米軍」は、在日米軍及び在沖米海兵隊の実態とこれ方のあり方ををつまびらかにします。
 梅林は、「軍事同盟の色彩が強まっている日米安保体制の趨勢を非軍事的な安全保障体制へと転換させることはどのように可能なのか」、という視点から、在日米軍の問題を捉えます。
 また、安全保障という観点から、日本における在日米軍及び在沖米海兵隊の状況を、次のように描いています。


(1)安全保障という観点からの日本の状況


①「ジョージ・W・ブッシュ米大統領が始めた対テロ戦争は米国の予想をはるかに超えて今も続いている。戦争の負担は財政難を招きつつ米国全体にますます重くのしかかっている。米国からの軍事協力の要求に特別措置立法によって対処してきた日本政府は、安保法制によって状況を一変させた。今や米軍のみならず他の外国軍に対しても自衛隊による海外軍事支援が恒常的に可能になった。中国は世界第二位の経済大国となり軍事力の海外展開能力を急速に強化した。北朝鮮は五回の核実験を経て核武装国家になった。」 
②「『日米同盟』という言葉が、メディアでは日常的に使われるようになった。人々はこの言葉をあたかも『緊密で良好な日米関係』という位の意味合いで理解している。しかし、この言葉の本質的な意味は『日米軍事同盟』である。その意味は一九八一年の鈴木(善幸)・レーガン首脳会談の共同声明で初めてこの言葉が使われた時から何も変わっていない。」
③「日本戦後の平和主義には二つの恥ずべき側面が存在してきた。一つは、『専守防衛』と言いながら在日米軍の攻撃力に依存していること。もう一つは、『唯一の被爆国』と言いながら米国の核兵器で日本を守っていること。」


 この上で、「軍事力に依存しない安全保障が、現実の国際政治のなかで可能であることが、もっともっと具体的に語られるべきである。そのような軍事力に依存しない安全保障が有効性を発揮するメカニズムについて、私たちの構想力がますます問われている。」、と本書の目的を明らかにしています。


(2)米軍海外基地の正体


①「米軍の世界展開が可能になるには、このような責任区域を持った軍組織が存在するだけでは不十分である。軍展開の拠点となる海外基地の存在が不可欠である。米国総務省の資料によると、二〇一四年九月三〇日現在、米軍は米州・領土以外の海外に八七か所の基地を持っている。比較のために揚げると米州・領土に存在する米軍基地数は四二六八か所である。一二%以上の基地を領土外に置いていることになる。」                                                           ②「トップ4はドイツ(一七七)、日本(一一六)、韓国(八四)、イタリア(五〇)である。この4か国で全世界の米海外基地の約四分の三を占める。・・・四つの国になぜ米軍基地が多いのか?その理由は明らかであろう。ドイツ、イタリア、日本はいずれも第二次世界大戦において敗北した枢軸国であり、戦後、占領国としての米軍の支配下にあった。朝鮮半島は戦時には日本の植民地支配下にあり、連合軍の分割統治によって三八度線以南に生まれた韓国は米軍によって占領された。つまり、米軍基地の出生の正体は敗戦国への米軍駐留であり、その既得権を米国は今も手放さないのである。」


(3)日米軍事協力のグローバル化


①「今日の日米安保体制にはもう一つの重要な特徴がある。それは、日米安保体制下における日本の軍事的な役割と責任もまたグローバルに拡大しているという事実である。日本の軍事協力が行われる地理的範囲は、『日米防衛協力のためのガイドライン』の改訂とともに拡大されてきた。米軍はガイドラインを明確化することによって、『在日米軍基地の安定的確保』と『自衛隊の役割の強化』という二つの目的を追求してきた。このうち自衛隊の役割分担への要求は、米軍の財政難が増大することと比例して強まっていった。二〇〇一年の同時多発テロ以後、米国の要求はいっそう顕在化している。アーミテージ国務副長官の言葉として紹介される『ショウ・ザ・フラッグ』『ブーツ・オン・ザ・グランド』といった言葉が、そのような米国の圧力として知られている。」
②「一九七八年の最初のガイドラインが策定された時には、日本の防衛のために自衛隊と米軍の役割分担を明確にすることが主たる目的であった。一九九七年のガイドラインの改定は、冷戦後の日米安保再定義にともなう改訂であった。・・・二〇一五年の改訂では、安倍政権の戦後日本の平和体制を否定する政策と軌を一にして、日米軍事協力の分野は地理的にも内容的にも一気に拡大した。ガイドラインの目的に、日本防衛に加えて、『アジア太平洋地域及びこれを超えた地域が安定し、平和で繁栄したものとなる。』という目的が明記されたのである。結果として、日本の自衛隊と米軍との協力は地理的に無制限となった。」


(4)平和観が異なる国の間の軍事条約及び軍事条項


①「現在、米軍が日本に恒常的に駐留する法的根拠は、一九六〇年に改訂された新安保条約にある。・・・日米安保条約は、憲法上安全保障についての考え方をまったく異にする国どうしが、その違いの本質について、二国間の踏み込んだ議論を経ることなく、便宜主義的に締結された条約となった。」
②「日米安保条約は在日米軍の役割を、安保条約の第5条、第6条に定めている、」
③地位協定第五条:「各締結国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危機に対処するように行動することを宣言する。(以下略)」
④地位協定第六条:「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」


(5)地位協定と米軍基地


①「安保条約第六条で規定されている『施設及び区域』(いわゆる米軍基地や訓練区域)の日本国内の法的地位を定めるために、日米安保条約と同時に『地位協定』が結ばれた。地位協定の正式名称は『日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定』である。」
②「地位協定によると、米軍基地の法的地位は次の三種類に分類される。
1 米軍が管理し、米軍が使用する施設・区域(地位協定第二条1(a))                            2 米軍が管理し、米軍が使用しない時に日本政府(自衛隊など)が共同使用できる施設・区域(同第二条4(a))                      3 日本政府(自衛隊など) が管理し、米軍が一定条件下で共同管理する施設・区域(同第二条4(b))                           通常、1と2の施設・区域が米軍基地と呼ばれる。」
③「二〇一七年一月一日の時点で七八か所の基地があり、都道府県別では沖縄三一、神奈川一一、長崎一〇、東京六の順となる。」
④「米軍基地の総面積は二六三.六平方キロメートルを占め、これは東京都の総面積の約一二%、大阪府の約一四%に相当する。都道府県別の面積では、沖縄が日本全体の約七一%と圧倒的に多く、青森九%、神奈川六%、東京五%の順となる。」
⑤「地位協定は、米軍基地の返還義務について、『この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない』(同第二条3)と書いている。したがって、冷戦終結のような大きな緊張緩和の情勢を受けて、日本政府にその意思があれば、日米合同委員会において基地削減を求める理由は充分に存在し、強力な交渉が可能であった。そうした意思の欠如はまた、個々の基地を提供する理由や期間について明示的な記述がないという、地位協定そのものの弱点を是正する努力をも欠如させている。たとえば、北大西洋条約機構(NATO)軍のドイツにおける地位を定めた『ドイツにおけるNATO軍地位協定の補足規定』(『ボン補足規定』。(一九五九年署名、一九九三年大幅改正)は、個々の基地の使用期限の明記、その必要性の再点検を申し出るドイツ側の権利の明記など、ドイツの権利が強く主張されている。」


(6)思いやり予算


①「地位協定は、『日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、・・・日本国が負担すべきものを除くほか、・・・日本国に負担をかけないで合衆国が負担する』(第二四条1)と定めている。ここで例外とされているのは、施設・区域そのものとアクセスする権利の無償提供である。基地の地代や地主への補償費を日本が負担する以外は、すべての基地維持費用を米軍が負担するという約束がなされているのである。しかし、一九七八年以降、特別協定の導入を繰り返しながら、日本政府はこの条項を空洞化させていった。当時の金丸防衛庁長官が口にした文言から命名された『思いやり予算』の登場である。」
②「最初は、基地に働く日本人従業員の労務経費の一部負担に始まり、代替施設建設費、軍人・家族の生活改善施設(そのなかにはアッロビクス教室、ビリヤード場、映画館などがある)、そして、作戦施設とも言うべき滑走路や戦闘機格納庫の建設費まで、日本の予算、つまり私たちの税金で支出されるように拡大されていった。これら施設関係費の経費は総称して提供施設整備費と呼ばれる。」
③「一九八七年からは、新たに『地位協定第二四条についての特別措置協定』という枠組みが設けられた。この中身も八七年(八八年に一部改定)、九一年、九五年と協定が改められるごとに、基地従業員労務費から、光熱水料、訓練移転費へと『思いやり』の適用範囲を拡大していった。二〇〇一年四月から発効した新協定(二〇〇〇年に締結)で初めて、国民世論の批判と財政事情の悪化の下で、この異常な拡大に抑制が加えられている。しかし、特別措置協定を結んでの『思いやり』は継続され、二〇〇六年、二〇〇八年、二〇一一年、二〇一六年に協定が更新された。日本に民主党政権が誕生したこともあって、二〇一〇年、この方式についてようやく包括的な見直しが行われた。二〇一一年の協定以後は、五年間の措置に合意する方式がとられるとともに、特別措置の方針についての大枠が定められた。その結果、協定の内容は以前より抑制的はなっているが、米軍再編に関係する部隊や訓練の移転に関する費用負担についての制約は甘く、米国の要求への日本の追随的姿勢は変わっていない。」


(7)SACOと沖縄


①「SACOは、九五年一一月に村山首相・ゴア副大統領の会談で設立された。そして、『日米安保共同宣言』の二日前というタイミングを狙って中間報告を発表し、九六年一二月に最終報告を提出して解散した。その目的は、『日米安保条約の目的達成との調和を図りつつ』、沖縄に集中している在日米軍の施設・区域の整理、統合、縮小を進めるための方策をまとめることであった。」
②「SACO最終報告には、共同使用の解除を含めた土地の返還一一件、訓練及び運用の方法の調整三件、騒音軽減の措置の実施五件、地位協定運用改善九件、合計二八件が含まれた。しかし、土地の返還のほとんど移設条件つきであり、目玉とされた普天間飛行場の返還は、基地のない場所に、新たな基地を建設する提案であった。SACO合意がすべて実行されても、沖縄の基地面積は二割減るだけである。沖縄基地の負担軽減はSACOによっては達成されないことが数年のうちに明らかになった。二〇〇一年には、沖縄県議会は海兵隊の兵力削減を求める決議を初めて全会一致で採択し、知事も公式に政府に要請した、」
③「普天間飛行場の代替施設建設計画は、基地から解放される地域と新たな基地負担を強いられる地域との間に、また、新基地建設と引き換えに地域振興のアメをふるまう政府の方針を、不況下にやむを得ず受け入れようとする者と拒否する者との間に、深刻な分断をもたらした。『日本の安全保障』という大義名分のために、沖縄社会にのみ重圧を加える差別構造が再生産されているのである。紆余曲折の末に、九九年末に日本政府は「キャンプ・シュワブ沖に軍民共用空港を建設する』という代替施設に関する方針を閣議決定した。また、二〇〇一年末には、建設場所をリーフ(珊瑚礁の浅瀬)上とすることに一度は政府と地元の合意を見た。」
④「しかし、沖縄県が求める『一五年の使用期限』の問題、ジュゴン保護など環境問題、工法など、鍵となる問題が未解決のまま残された。」


(8)沖縄海兵隊は必要か


①「沖縄への海兵隊の前身配備必要論者がこれまでにあげてきた理由を整理すると。次の五点のどれか、あるいはそれらを複合したもにになっている。
1.朝鮮半島、台湾海峡、南沙(スプラトリー)諸島など東アジアに戦争の危険がある。米軍の緊急対応体制を保持することが戦争の 抑止になる。
2.インド洋、ペルシャ湾地域への米国駅防衛のための緊急展開に必要である。
3.米軍が撤退すると力の空白ができる。それは地域の軍備競争を生み出し、不安定要因となる。
4.日本自身の軍事大国化を抑制する役割を果たしている。
5.米国防費の抑制のなかで、米戦略が求める前進配備兵力を維持するには、財政負担を軽減できる日本への駐留が合理的である。」
②「沖縄に海兵隊を前進配備する軍事的理由はない。本質は財政的理由であり、それと絡む日米関係にかかわる政治的理由である。普天間代替基地の必要性を東アジアでの戦争抑止力や海兵隊の緊急展開力から主張する議論は根拠に乏しい。」


(9)「東アジア緊急対応」論への反論


①「朝鮮半島に関していえば、暴発的あるいは暴走的軍事衝突の可能性が仮にあったとしても、長期的戦争になる可能性は極めて少ない。いずれの場合も、圧倒的な軍事的優位を持つ米韓合同軍が十分に対応できる。必要ならば、米本土から応援がくる体制を見せることで抑止力を強化できる。」
②「台湾海峡に関していえば、上陸作戦を任務とする海兵隊が必要とされるような局面が緒戦に起こることはない。たとえば、一九九六年三月から四月に台湾海峡の緊張に対応して、米軍は大規模な軍事作戦を展開した。空母インデペンデンスと空母ニミッツの二個空母戦闘団を投入した極めて政治的な示威と、地域ミサイル防衛体制のための訓練という軍事的な実利を狙った作戦であった。しかし、海兵隊の関与はなかった。」
③「南沙諸島に関しては、日米安保体制で、カバーすべき領域ではないという問題がまずある。それを別としても、米国と中国の間での軍事衝突を避けるための外交がもっとも現実的な対応にならざるをえない。不幸にも軍事的なエスカレーションがあったとしても、米国は南沙諸島の領土問題には関与できず、航行の自由の観点からの対応に限定せざるをえない。海兵隊の出る幕は想定しにくく、抑止力にもならない。沖縄海兵隊必要論者の多くも、アジア太平洋全域のための汎用部隊という位置づけであり、東アジア情勢を強調する議論は少ない。」
④「一九九一年、米議会の会計検査院(GAO)の報告書『軍事プレゼンス-太平洋における米軍』は、沖縄の海兵隊についてほとんど同趣旨の位置づけを行っている。                                                 『(日本にいる)太平洋海兵艦隊の海兵隊は、ほとんど沖縄に配備され、二万一六三一人を擁する第第Ⅲ海兵遠征軍に所属している。日本にはいるが、その部隊は責任を持つ太平洋戦域の内にも外にも緊急配備されうるものである。』                    しかし、現実には、沖縄海兵隊がその緊急性において果たしてきた役割は極めて小さい。」


(10)「力の空白」「瓶のフタ」論への反論


①「東アジア地域の軍事的バランス要因として米軍が沖縄に前進配備しているという議論は本末転倒である。米軍がいる結果、中国や北朝鮮の軍拡を促進してきたという側面が大きいからである。最近の安倍内閣による日米防衛協力のための新ガイドラインや集団的自衛権にまで踏み出した安保法制に対する両国の反応を見ても、日本の軍拡を抑えるというような中立的存在として在日米軍を考えてはいない。日米両軍が一体となって地域的軍事力を強める存在としてとらえている。一方、中国の軍事力強化やスプラトリー諸島を含む核心的利益とする主張に対抗するため、米軍のプレゼンスを歓迎する東南アジアの国々があることは事実である。これらの国々を安心させる方法は、地域全体を縮小均衡へと向かわせる発想であり、米軍のプレゼンス強化は逆の効果を生む。」
②「在日米軍に日本の軍拡を抑制する役割を託すという認識が日本国内にあることは確かである。一つは在日米軍が撤退すると、周辺諸国との軍事バランスが崩れるので、日本自身が軍拡をしてそれを埋めようとする。その結果日本が軍事強国となって米国への脅威となる。、という危惧である。もう一つは、日本に根強く存続している過去の戦争を賛美する歴史修正主義とそれに結びつく軍国主義論の台頭を抑えるという立場である。本来の『瓶のフタ』」論と呼ばれるものである。」
③「だが、このような理由による在日米軍の駐留は、日本の軍拡を抑える効果よりもナショナリズムを刺激して逆の効果を生むだけである。このような議論が、沖縄海兵隊、さらには在日米軍の前進配備必要論の合理的理由として通用するとは思われない。」


(11)財政こそ最大の理由


①「いわゆる『思いやり予算』をはじめとする日本の『受け入れ国支援(ホストネーション・サポート)』の魅力は、米軍にとって極めて大きなものである。『財政支援が沖縄海兵隊の前進配備の理由である』と公然と説明されることはないであろうが、実際には極めて大きな決定要因になっていると考えられる。」
②「日本のサポート金額は、年額約六〇〇〇億円であり、それは米軍駐留経費の七〇%以上をカバーし、『米国内に置くよりも日本に軍隊を駐留させる方が安上がりになる』(九五年六月、W・ロード国防次官補の米下院証言)状況を生み出している。その状況は二〇一七年の今日にも変わらず、トランプ政権に『日本の受け入れ国支援はお手本』と言わせたことも前述の通りである。」
③「受け入れ国支援だけでなく、米海兵隊が沖縄に確保している基地のインフラストラクチャーが、沖縄駐留の重要な利点となっている。かってのフルフォード太平洋海兵隊司令官は次のように述べている。                         『現在の緊急展開計画に決定的な重要性を持つ(沖縄)のインフラストラクチャーを保持することは、必要不可欠である。一九九六年、沖縄海兵隊の施設代替価格は七五億ドル、日本本土の海兵隊の施設は二〇億ドル以上と査定される。』(『海兵隊がゼット』一九九九年七月)毎年の『受け入れ国支援』に加えて、合計一兆円以上の基地資産を米海兵隊は日本に確保しているのである。」


(12)核兵器に関する事前協議と秘密合意


①「一九六〇年の日米安保条約改定のとき、岸首相とハーター米国務長官の間で条約第六条の実施に関して次のような交換公文(岸・ハーター交換公文」が交わされた。いわゆる『事前協議』に関する取り決めである。合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更並びに日本国から行われる戦闘作戦行動(条約第五条の規定に基づいて行われるものを除く)のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は、日本国政府との事前の協議の主題とする。
②「この事前協議の取り決めの具体的内容に関して、日米間で一つの秘密合意が行われたことが、数々の米国の公開公文書から明らかになっている。その一つは、核兵器の持ち込みに関するものであり、もう一つは朝鮮有事のときの日本の基地からの直接戦闘作戦行動に関するものである。」
③「米外交文書によると、実は交渉過程の一九六〇年一月六日に、事前協議に関して秘密の『討議記録』が残されていた。その中には、岸・ハーター交換公文となるべき内容(1項)、藤山・マッカーサー口頭了解となるべき内容(2A項)が書かれている他に、次の記録が記録されていた。                           「『事前協議』は、合衆国軍隊の日本国への配慮における重要な変更の場合を除き、合 衆国軍隊とその装備の日本国への配置に関する減の手続き。また合衆国軍用機の日本へ の飛来や合衆国軍艦の日本領海・港湾への立ち入りに関する現行の手続きに影響を与え ると破壊されない。)2C項)」                       ④「この2C項は、軍艦や航空機の領海通過や通常の寄港は、『配慮の重要な変更』ではなく、核兵器搭載の有無にかかわらず、従来通りの扱いで行われることを、日米間で秘密合意したことを意味していた。」


(13)「運用の改善」と「軍属補足協定」


①「一九九五年一〇月二五日、日米合同委員会は『運用の改善』という弥縫策を合意して決着した。その内容は、『米国は、殺人または強姦という凶悪な犯罪では、被疑者の起訴前の拘禁の移転についてのいかなる要請にも好意的配慮を払う』こと、そして『その他の特定の場合について日本が合同委員会において提供することがある特別の見解を十分に考慮する』というものであった。この語彙は、米国の『好意的配慮』や『十分な考慮』を期待するという姿勢に過ぎず、対等な協定に近づくものではなかった。当然のことながら『運用の改善』の限界は、まもなく露呈された。」
②「二〇一七年一月、日米両政府は軍属の範囲明確化する手順を定めた『日米地位協定の補足協定』に合意した。・・・日本政府は補足協定の意義を強調するものの、日本の主権を少しでも回復する『地位協定の改訂』には否定的な姿勢をとり続けている。」


(14)兵士の特権意識の維持


①「米兵の犯罪についての裁判権問題には、軍隊駐留がはらむ極めて本質的な問題が潜んでいる。兵士が『敵を殺せ』という国家の命令に服し、命令によって『死ぬ』ことを厭わないようにするために、国家は絶えず兵士の精神と技術の訓練を継続しなければならない。そのような軍隊を、利害が完全に一致するわけではない外国の領土に常駐させ、外国の社会での暮らしを強いるという状況は、極めて特異な状況である。」
②「一応の人権救済制度の下にある本国においてでさえ、兵士は精神的緊張と歪みのもとに置かれる。それに加えて、海外駐留では異なる環境が生む身体的・精神的負担が加わる。兵士を送り出す国の政府は、そんな精神状態の兵士の士気を維持するために、兵士に使命感と同時に、特権意識を植え付けなければならない。特権は、彼らが特別に国家の恩恵と庇護の下に置かれていることを示すことによって裏付けられるであろう。ここに、米軍が『地位協定における優位』にあくまで固執する理由がある。日本政府もそれを知っているから、協定の改定に拒否の反応を示し続ける。」


(15)在日米軍の将来


 梅林は、米軍および在日米軍の将来について次のように分析しています。


①「九.一一は米軍に冷戦終結後のさまざまな軍事的事件と比較できない大きな影響を米軍に与えてきたことを、米軍の変化を捉える一つの重要な要素として考える必要がある。ブッシュ政権が始めたイスラム原理主義によるテロリズムとの戦い、いわゆる「対テロ戦争」は、政権を超えて今も米軍全体が引きずる遺産となっている。」
②「二一世紀の在日米軍を展望するとき、米軍全体の変化を特徴づけている二つの流れを考えなければならないであろう。一つは、情報技術を始め技術的な発展に起因して軍事全般にわたって起こり続けている時間軸の長い変化である。もう一つは、対テロ戦争と大国間のヘゲモニー争いが作り出している地政学的なゆるやかな変化である。」
③「対テロ戦争というのは、このように戦闘員の死者を比較するだけでも極めて一方的で非対称な戦争である。対テロ戦争の参戦国と戦闘地域の一般市民や社会的破壊を含めて比較したときには、その非対称性はさらに際立ったものになる。にもかかわらず、長引く対テロ戦争は参戦国にも大きな重圧としてのしかかってきた。」
④「世界の各地で長引く対テロ戦争は米軍に深刻な影響を与えている。」
⑤「ボブ・ワーク国防副長官が、二〇一四年九月、対テロ戦争の負担とその影響の深刻さを次のように語った。「簡単に言って、何かを諦めなければならない。この財政難の中で、このようなハイテンポの軍隊を維持することは持続可能ではない。はっきりしている。将来何が起こるかもしれない緊急事態に対して、我々はまともな準備ができないのだ。こう考えて私は夜中に目が覚めてしまう。国防総省はこのような(まともな)部隊を準備するのが究極の仕事なのに。』」
⑥「米軍のこの状況が。同盟国への要求を高める要因となっていることは第一章で述べた。この傾向は今後も確実に続くであろう。」


 次に、梅林は、この状況を受けて、在日米軍基地の将来的な問題を、もう一つの意味づけとしての「自衛隊の強化・拡大」(軍事貢献)として、次のように説明する。


「在日米軍基地が米軍の世界的展開に不可欠なハブとして求められ続けるという状況に加えて、今後の米軍基地にはもう一つの重要な役割が加わると考えられる。それは日米軍事協力の連結基地としての役割である。二〇一五年に作られた日米防衛協力の新ガイドラインと新安保法制によって新しい形の軍事協力が可能になった。トランプ政権は、すべての同盟国に対して米国の負う防衛義務を双務的なものにする主張を強めてきた。日米安保条約の改訂といった困難な挑戦をするとは考えにくいが、日本に対しては新ガイドラインにそった米国の要求を強めることができる。それによって米軍は、米軍基地によって享受している既得権に加えて、自衛隊の実質的な軍事貢献を引き出すことができる。安保法制が制定された経過から考えると、安倍政権は米国の要求を日本の自衛隊の活動領域の拡大の機会として利用しようと考えている。」


 梅林は、地球市民としての安全保障への現実的な取り組みについて、次のように押さえます。


①「在日米軍の必要性を訴えるために、『もしも武力攻撃があったら』から始まる安保論議に大木の市民が曝されている。軍事的な衝突を想定したシナリオが巷には溢れている。新安保法制の議論はほとんどそのように仕組まれていた。それに対して、軍事シナリオに対抗すべき平和構築の議論は残念ながら極めて少ない。そのために、多くの市民が『存立危機事態』『重要影響事態』などの軍事的危機のシナリオの虜となって普通の国へと向かう道に『仕方がない』と分別を見いだしてしまう。」
②「安全保障とは本来、人々が安心して暮らすことを保障するための人々自身の営みである。紛争や緊張関係があとを絶たない国際社会の現実に立脚して、国境を越えて彼我の人々の安全が共通に保障されるよう活動することは地球市民の勤めであると言ってもよい。そのための現実的外交への確信と創意が求められているのである。」
③「ジャヤンタ・ダナパラ国連事務次長(軍縮担当)は、『非核地帯が拡大してきたのは、核軍縮実験の理想があるためだけではない。もっとも懐疑的な現実主義者の抱く懸念に対してさえも、具体的な利益を生んできたからだ』との趣旨を述べた。
 確かに、これまで成立している五つの非核兵器地帯条約のすべては、それぞれの地域における安全保障上の大きな利益となってきた。それぞれによって、地域的な役割の大きさは異なるが、少なくとも地域内のすべての国が対話する機構として役立っていることは間違いない。日本と朝鮮半島を含む北東アジアにおいてもまた、非核兵器地帯は極めて現実的な非軍事的安全保障の出発点となるうる。」
④「さらに一般的に、非核兵器地帯条約で設置される第3項の条約実行機関は、核兵器問題を端緒としながらも、ミサイルを含む広範な安保問題を俎上にのせる場になるであろう。日本の植民地支配と謝罪なき戦後が生み出している根の深い不信が、将来の不幸な争いに発展しないような透明性の高い協議の場が、どこかに確保される必要があるが、条約実行機関はそのような協議の場を作り出す。それは、米軍依存の安全保障構造から主体的な新しい協議的地域安全保障の仕組みへと進む出発点となるのである。」


 梅林は「在日米軍の段階的縮小」について、このように記します。

「しばしば、在日米軍撤退論は、現実を踏まえない議論であるかのように言われるが、問題の大部分は政治意思の問題である。さらに言えば、政治意思とは平和に対する市民的熱意の強さによって生み出されるとすれば、それは私たちの意思と努力にも関係する問題である。北東アジア非核兵器地帯が一定の緊張緩和を生んだとき、政治意思があれば、軍事力のレベルを下げることができる。
 このような地域的な緊張緩和を基礎にした段階的な軍事力削減の場合においては、在に米軍が削減されると自衛隊が増強される、というアジア諸国の懸念が起こりにくい。懸念が起こったとしても、それを打ち消す措置を講じることもまた可能である。また、軍事力レベル低下の機会を、軍事環境悪化への逆戻りを防止するような地域的な新しい合意形成の好機として活かすことも可能である。」


 最後に梅林は、「北東アジア非核兵器地帯の設立は、非軍事的安全保障に向かう一つの有力なアプローチである。しかし、この他にもさまざまな創意工夫がありうるであろう。たとえば、日本の専守防衛政策を、日本国内において行動規範にまで高め、その規範を国際化することも可能である。」、と平和を作る側の新しい取り組みを呼びかけています。


by asyagi-df-2014 | 2017-10-10 05:52 | 本等からのもの | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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