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ベトナム戦争後に行き場を失った“枯葉剤”が日本に埋められている。

 2017年11月27日、日刊SPAの「 ベトナム戦争後、行き場を失った“枯葉剤”が日本に埋められている――全国54か所の国有林リスト」、を読む。
 まずは、枯れ葉剤が埋没処理されている54カ所の地名から。


1.北海道夕張市
2.北海道遠軽町
3.北海道広尾町
4.北海道音更町
5.北海道清水町
6.北海道標茶町
7.北海道本別町
8.青森県中泊町
9.岩手県久慈町
10.岩手県野田村
11.岩手県雫石町
12.岩手県岩泉町
13.岩手県宮古市
14.岩手県西和賀町
15.福島県会津坂下町
16.群馬県東吾妻町
17.群馬県昭和村
18.山梨県甲府市
19.愛知県設楽町
20.愛知県豊田市
21.岐阜県下呂市
22.岐阜県下呂市
23.広島県庄原市
24.愛媛県西条市
25.愛媛県久万高原町
26.愛媛県宇和島市
27.愛媛県松野町
28.高知県四万十市
29.高知県四万十町
30.高知県いの町
31.高知県大豊町
32.高知県安芸市
33.高知県土佐清水市
34.佐賀県吉野ヶ里町
35.長崎県五島市
36.熊本県熊本市
37.熊本県宇土市
38.熊本県芦北町
39.大分県玖珠町
40.大分県別府市
41.宮崎県日之影町
42.宮崎県西都市
43.宮崎県宮崎市
44.宮崎県宮崎市
45.宮崎県小林市
46.宮崎県小林市
47.宮崎県都城市
48.宮崎県串間市
49.鹿児島県肝付町
50.鹿児島県湧水町
51.鹿児島県伊佐市
52.鹿児島県伊佐市
53.鹿児島県南九州市
54.鹿児島県屋久島町


 この名前の一つひとつが、驚愕の事実。
 では、このことはどうしてもたらされたのか。
 日刊SPAは、「埋設地が、全国の国有林に現在判明しているだけで54か所もある。埋められた薬剤の総計は粒剤(顆粒状の薬剤)が2万5062kg、乳剤(液体状の薬剤)が2132リットル。現在は林野庁の職員が年2回、足を運んで視認するだけだ。」、と次のように指摘する。


(1)毒ガス弾や枯葉剤など、戦争で使われた化学兵器が今でも全国各地に埋まっているという。その現場をリポート!
【行き場を失った枯葉剤が国有林に埋められている】
(2)「ここに薬剤(2・4・5T)が埋めてあります。定期的に植物の状態を観察していますので立ち入らないで下さい」。石畳の遊歩道脇に「立入禁止」の看板が控えめに立っていた。「町議会で質問され、柵がつくられるようになりました。その前は何もない状況でした」。屋久島町環境政策課長はこう振り返る。「2・4・5T剤」(以下、245T)とは、ベトナム戦争の対ゲリラ作戦で米軍が撒いた枯葉剤の成分となる薬剤だ。枯葉剤はベトナムの森林を死滅させただけではない。残留するダイオキシンが、ベトちゃん・ドクちゃんに代表される強い催奇性の毒性を持つことが明らかになっている。
(3)現場は市街地からも近い「憩いの森」として住民に親しまれている。この森の一角に約3.8tの245Tが埋められたのは’72年。10m間隔で13個の穴の底にビニールを敷いて薬剤を置き、その上にセメントを流してビニールで覆い、土に埋めたという記録がある。その後’85年に上部のみ生コンで覆ったというが、本当かどうかは誰も確かめられない。
(4)そういった埋設地が、全国の国有林に現在判明しているだけで54か所もある。埋められた薬剤の総計は粒剤(顆粒状の薬剤)が2万5062kg、乳剤(液体状の薬剤)が2132リットル。現在は林野庁の職員が年2回、足を運んで視認するだけだ。


 また、枯れ葉剤と日本国との関係を指摘する。


(1)「実は、日本も米軍の枯葉作戦に中間製品の供給という形で協力していたのです。ニュージーランドやオーストラリアで加工され、最終的にベトナムに運ばれていました」と解説するのは、『真相日本の枯葉剤』(五月書房)の著者で、旧日本軍の化学兵器に詳しい原田和明氏。
(2)国内で生産を担ったのは、戦前毒ガス原料の中間剤を製造していた三井東圧化学(現三井化学)の大牟田工業所だ。
(3)「国会で枯葉剤中間製品の製造が暴露された際、内需がなかったことからベトナムでの使用が疑われた。そこで内需を無理やりひねり出すため、林野庁が一部の245Tを除草剤として散布し始めたのでしょう」と原田氏は指摘する。


 さらに、「国有林に埋めたらもう誰にもわからない」、と杜撰な管理状態を告発する。


(1)’60年代から’70年前後までに散布された薬剤の量は、枯葉剤生産時にできる副産物の塩素酸ソーダが5280t、245Tも570tに上る。ところが’71年4月にベトナムでの枯葉剤作戦が中止されると同時に、林野庁も245Tの使用を中止。このとき不要になった薬剤が行き場を失い、全国の国有林に埋められた。
(2)林野庁職員として大分県の祖母・傾山系に配属されていた加藤久次氏(仮名)は、当時の様子を振り返る。「245T散布の際、講堂に職員が集められて講習会が開かれ、『地域住民から聞かれたら人体には影響がないと言え』と指示されました。『塩素系の薬剤で、原料は塩と同じだから人畜無害』と、メーカーから派遣された社員が実際に薬剤を舐めてみせたことも」。


 結局、報告は、①「宮崎県の民間団体がまとめた資料には、散布に従事した職員10人のうち肝臓がん、肝機能障害、肺がんで死亡した者が7人いるとの記述があるが、実態は不明だ。『国有林に埋めたら、もう誰にもわからない。林野庁は【犯罪の予防等】を理由に明かさないからです』と加藤氏は説明する。」、②「記者が林野庁の資料をもとに、埋設地とされている自治体に場所を把握しているかどうか聞いたところ、54か所中15か所だけだった。’99年以降は埋設地の調査も中止され、今もその状況はよくわからないままなのだ。」、とされる。


 日本の危うさが、ここでもまた、深刻であることが証明される。



by asyagi-df-2014 | 2019-01-05 09:51 | 持続可能な社会 | Comments(0)

「第4の琉球処分」や「日本の屈辱の日」として「2018年12月14日」を捉えること。(4)

沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2018年1月14日、「沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府は14日午前11時、護岸で囲った埋め立て区域に土砂を初めて投入した。玉城デニー知事が13日に岩屋毅防衛相に工事を中止するよう求め、沖縄防衛局に埋め立て承認の条件となる事前協議がないことなどを理由に工事中止を文書で指導する中、政府が埋め立てを強行した格好だ。1995年の米兵による暴行事件をきっかけに、96年に日米両政府が米軍普天間飛行場返還を合意し、名護市辺野古への移設を条件とした新基地建設問題は、返還合意から22年間で最大の重要局面を迎えた。」、と報じた。
 今、私たちに求められるのは、この「2018年12月14日」を、どのように捉えることができるかということである。
 いずれ、歴史的に「2018年12月14日」が、「第4の琉球処分」や「日本の屈辱の日」として捉え直される日が来る。
 だとしたら、この「2018年12月14日」の意味を、しっかりとつかみ取る必要がある。


 ここでは、日本YWCAの「辺野古海域への土砂投入に対して抗議声明」(2018年12月10日)と全日本民主医療機関連合会の「政府の違法で民意を無視した辺野古沿岸部への土砂投入に対して直ちに工事を中止するよう強く抗議する」(2018年12月14日)を読む。
まず、日本YWCAは、次のように主張する


(1)岩屋毅防衛大臣は、12月3日に「辺野古海域への土砂投入を今月14日に予定している」と発表しました。辺野古新米軍基地建設に関しては、2度にわたる県知事選挙によって、沖縄の民意は「NO」を言いつづけています。今回も、沖縄の市民たち、そしてこの事柄に責任を感じているヤマト(沖縄以外に住む者たち)の市民たちがずっと反対行動を続けています。私たち日本YWCAも、その中に加わり、反対の声を上げ続けてきました。
(2)私たち日本YWCAは、アジア・太平洋戦争において、戦争を止める力になり得なかった自らの責任を深く省み、「平和を作りだすもの」としての歩みを続けてきました。軍用基地はどのような国のものであっても、結局は「人を殺すため」「戦争をするため」に訓練されるところです。私たちは、どのような目的のためであっても、人を殺すことに加担することはできません。戦争をするための米軍基地は、戦争を放棄しているこの国には不必要です。
(3)米軍基地にいる兵士たちは「人を殺すため」に訓練された人々です。兵士たちは「人を差別する」ように教育されます。そうでなければ人を殺すことはできないからです。結果、「日本の人々を差別しても良い」と思い、支配と差別を繰り返します。この70年以上の間ずっと、沖縄の女性と少女たちは米軍兵による暴力(殺人、強姦、身体的・精神的・性的ハラスメントなど)を受け続けてきました。なぜ、女性や少女たちはこのような目に遭わなければならないのでしょうか。
(4)米軍の訓練のために、沖縄の保育園の上を軍用機が飛んでいます。2017年12月には本来の訓練ルートではないのに、なぜか毎日飛んでいた米軍用機から落ちた落下物によって、もう少しで大惨事になるところでした。また、これまでにもたくさんの事故が起こり、人命が奪われ続け、住民の安全は脅かされています。
(5)辺野古の海は、本当に美しい海です。いのちを育む海です。ジュゴンやウミガメ、サンゴをはじめとする、多くの種類の動植物は、ここでしかいのちを得ていくことができません。土砂投入は、これらの生態系を完全に壊すことになります。私たち日本YWCAは、全てのいのちが大切にされ生かされることを願って活動を続けています。
 辺野古海域への土砂投入に強く抗議します。辺野古への新米軍基地建設を撤回してください。


 日本YWCAは、「最後に、沖縄の人々や、私たち市民の声を聴いてください。」、と求めています。


 続いて、全日本民主医療機関連合会の主張は、次のものです。


(1)政府は12月14日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古の新基地建設を巡り、辺野古沿岸部に土砂を投入した。違法な工事を進めることは断固として容認できず、ましてや土砂投入は絶対に許されない。直ちに工事を中止するよう強く求める。
(2)沖縄防衛局は私人と異なり行政不服審査法の適用が除外される「固有の資格」で埋め立て承認を受けたため、同法による埋め立て承認撤回の執行停止申し立ては違法である。そして違法な申し立てを認めた国土交通省の執行停止も違法であると多くの専門家からも指摘されている。仮に執行停止が違法でないとしても、県が承認時に条件とした事前協議をしないままの工事は違反であり、埋め立て土砂の投入は許されない。名護市安和地区から搬出した土砂は、埋め立て用材として承認を受けておらず、また土砂の陸揚げに使用される「K9」護岸は桟橋として使用するのは承認時の留意事項に違反している。
(3)このように重大な問題点があるにも関わらず、法治国家である日本において、政府が違法行為を繰り返しており、民意を無視した強硬な姿勢に対し強く抗議する。辺野古新基地建設反対の民意は沖縄県知事選で示されたはずである。


 全日本民主医療機関連合会は、最後に、「あらゆる戦争政策に反対し、いのちを守る医療従事者の立場から、県民投票をはじめ、政府の辺野古新基地建設を断念させるまで全国から沖縄への連帯の輪を広げる。改めて工事の即時中止と原状回復を政府に強く求めていくものである。」、と英明をまとめています。



 さて、今こそ、国民一人一人が他人事と思うことなく、現状を直視するなかで発言し、動く時であると考えます。



by asyagi-df-2014 | 2018-12-28 06:46 | 持続可能な社会 | Comments(0)

「第4の琉球処分」や「日本の屈辱の日」として「2018年12月14日」を捉えること。(5)

沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2018年1月14日、「沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府は14日午前11時、護岸で囲った埋め立て区域に土砂を初めて投入した。玉城デニー知事が13日に岩屋毅防衛相に工事を中止するよう求め、沖縄防衛局に埋め立て承認の条件となる事前協議がないことなどを理由に工事中止を文書で指導する中、政府が埋め立てを強行した格好だ。1995年の米兵による暴行事件をきっかけに、96年に日米両政府が米軍普天間飛行場返還を合意し、名護市辺野古への移設を条件とした新基地建設問題は、返還合意から22年間で最大の重要局面を迎えた。」、と報じた。
 今、私たちに求められるのは、この「2018年12月14日」を、どのように捉えることができるかということである。
 いずれ、歴史的に「2018年12月14日」が、「第4の琉球処分」や「日本の屈辱の日」として捉え直される日が来る。
 だとしたら、この「2018年12月14日」の意味を、しっかりとつかみ取る必要がある。
世界平和アピール七人委員会 は2018年12月17日、「沖縄県民の意思を無視し、対話を拒否する政府を 許容してはいけない」との声明を発表した。
 「国民一人一人が他人事と思うことなく、現状を直視し、発言されることを求めます。」、とした声明の内容は、次のものである。


 政府は、沖縄県民の意思を無視して、玉城デニー知事の度重なる対話要請に真摯に向き合わず、対話を拒否し、辺野古の恒久基地化をめざし、埋め立て計画区域への土砂投入強行を始めました。
 安倍政権の度重なる暴力的行動は、日本国憲法に書かれている「国政は、国民の厳粛な信託による」とする人類普遍の原理に違反し、平和のうちに生存する権利を否定するものです。政治には倫理とヒューマニティが必要です。
 世界平和アピール七人委員会は、19 世紀に琉球王国を滅亡させ、20 世紀に沖縄戦において県民に多大な犠牲を強いたことに続く、21世紀の琉球処分を認めるわけにいきません。私たちは 沖縄県民の側に立ちます。
 国民一人一人が他人事と思うことなく、現状を直視し、発言されることを求めます。


 確かに、安倍晋三政権のあくまでも暴力を使用しての強攻策を貫こうとする姿勢は、背景に「辺野古の恒久基地化」の狙いがあるからに違いない。
 また、「第4の琉球処分」(21世紀の琉球処分ー声明)をも黙認する多くの日本人のささえを力にしている。
それであれば、やはり、国民一人一人が他人事と思うことなく、現状を直視するなかで発言し、動こうではないか。




by asyagi-df-2014 | 2018-12-27 09:07 | 持続可能な社会 | Comments(0)

「第4の琉球処分」や「日本の屈辱の日」として「2018年12月14日」を捉えること。(3)

沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2018年1月14日、「沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府は14日午前11時、護岸で囲った埋め立て区域に土砂を初めて投入した。玉城デニー知事が13日に岩屋毅防衛相に工事を中止するよう求め、沖縄防衛局に埋め立て承認の条件となる事前協議がないことなどを理由に工事中止を文書で指導する中、政府が埋め立てを強行した格好だ。1995年の米兵による暴行事件をきっかけに、96年に日米両政府が米軍普天間飛行場返還を合意し、名護市辺野古への移設を条件とした新基地建設問題は、返還合意から22年間で最大の重要局面を迎えた。」、と報じた。
 今、私たちに求められるのは、この「2018年12月14日」を、どのように捉えることができるかということである。
 いずれ、歴史的に「2018年12月14日」が、「第4の琉球処分」や「日本の屈辱の日」として捉え直される日が来る。
 だとしたら、この「2018年12月14日」の意味を、しっかりとつかみ取る必要がある。
 「タイムス」と琉球新報(以下、「新報」)の二社は、14日に続いて15日朝の社説で、「[辺野古 土砂投入強行]自治破壊の非常事態だ」「辺野古へ土砂投入 第4の『琉球処分』強行だ」。とそれぞれ論評した。
 この二社の社説で、「2018年12月14日」の意味を改めて捉える。
 「この光景は歴史に既視感を覚える。沖縄が経験してきた苦境である。」(琉球新報)と「『胸が張り裂けそうだ』。名護市の米軍キャンプ・シュワブゲート前で土砂投入を警戒していた男性は、怒りと悔しさで声を震わせた。」(「タイムス」)、とその社説は始まる。
 この出だしだけで、この土砂投入の意味が把握できる。
 少なくとも、沖縄はこの地点まで追い込まれていることを筆にするとこうなるということである。


 最初に、この投入が「第4の琉球処分」と主張する「新報」に触れる。
まず、「新報」は、安倍晋三政権の意図を、こう指摘する。


(1)政府は、名護市辺野古沿岸に米海兵隊の新基地を造るため埋め立て土砂を投入した。昨年4月の護岸着工以来、工事を進める政府の姿勢は前のめりだ。9月の知事選で新基地に反対する玉城デニー知事誕生後わずか約1カ月後に工事を再開し、国と県の集中協議中も作業を進めた。手続きの不備を県に指摘されても工事を強行し土砂を投入したのは、基地建設を早く既成事実化したいからだ。
(2)県民の諦めを誘い、辺野古埋め立ての是非を問う県民投票に影響を与えたり、予想される裁判を有利に運ぼうとしたりする狙いが透けて見える。


 また、辺野古新基地建設について、これまでの経過を示す。


(1) 辺野古の問題の源流は1995年の少女乱暴事件にさかのぼる。大規模な県民大会など事件への抗議のうねりが沖縄の負担軽減に向けて日米を突き動かし、米軍普天間飛行場の返還合意につながった。
(2ところが返還は県内移設が条件であるため曲折をたどる。関係した歴代の知事は県内移設の是非に揺れ、容認の立場でも、使用期限や施設計画の内容などを巡り政府と対立する局面が何度もあった。
(3)5年前、県外移設を主張していた仲井真弘多前知事が一転、埋め立てを承認したことで県民の多くが反発。辺野古移設反対を掲げる翁長県政が誕生し玉城県政に引き継がれた。県内の国会議員や首長の選挙でも辺野古移設反対の民意が示されている。
(4)今年の宜野湾、名護の両市長選では辺野古新基地に反対する候補者が敗れたものの、勝った候補はいずれも移設の是非を明言せず、両市民の民意は必ずしも容認とは言えない。本紙世論調査でも毎回、7割前後が新基地建設反対の意思を示している。


 さらに、沖縄の民意について、「そもそも辺野古新基地には現行の普天間飛行場にはない軍港や弾薬庫が整備される。基地機能の強化であり、負担軽減に逆行する。これに反対だというのが沖縄の民意だ。」、と指摘する。
 だから、「新報」は、今回の土砂投入を、「その民意を無視した土砂投入は暴挙と言わざるを得ない。歴史的に見れば、軍隊で脅して琉球王国をつぶし、沖縄を『南の関門』と位置付けた1879年の琉球併合(「琉球処分」)とも重なる。日本から切り離し米国統治下に置いた1952年のサンフランシスコ講和条約発効、県民の意に反し広大な米軍基地が残ったままの日本復帰はそれぞれ第2、第3の『琉球処分』と呼ばれてきた。今回は、いわば第4の『琉球処分』の強行である。」、と断ずるのである。
 しかし、最後に「新報」は、沖縄の決意を、「歴史から見えるのは、政府が沖縄の人々の意思を尊重せず、『国益』や国策の名の下で沖縄を国防の道具にする手法、いわゆる植民地主義だ。土砂が投入された12月14日は、4・28などと同様に『屈辱の日』として県民の記憶に深く刻まれるに違いない。だが沖縄の人々は決して諦めないだろう。自己決定権という人間として当然の権利を侵害され続けているからだ。」、示す。


 一方、「タイムス」は、沖縄のこころが「張り裂けそうだ」、との意味を次のように記す。


(1)辺野古新基地建設を巡り、防衛省沖縄防衛局は14日午前、土砂投入を強行した。海上では最大50隻のカヌー隊が繰り出したが、土砂を積み込んだ台船と、土砂投入場所が制限区域内にあるため作業を止めることができない。護岸に横付けされた台船の土砂が基地内に入っていたダンプカーに移された。約2キロ離れた埋め立て予定海域南側まで運び、次々投入する。
(2)ゲート前には故翁長雄志前知事夫人の樹子さんも姿をみせた。樹子さんは以前、「万策尽きたら夫婦で一緒に座り込むことを約束している」と語ったことがある。しかし夫の翁長前知事は埋め立て承認の撤回を指示した後、8月8日に亡くなった。「きょうは翁長も県民と一緒にいます。負けちゃいけないという気持ちです」。
(3)沖縄戦当時、キャンプ・シュワブには「大浦崎収容所」が設置され、住民約2万5千人が強制収容された。マラリアなどが発生し逃げることもできないため400人近くが亡くなったといわれる。まだ遺骨はあるはずだと、ガマフヤー代表の具志堅隆松さんはいう。
(4)シュワブは、日本本土に駐留していた海兵隊を受け入れるため1950年代に建設された基地だ。沖合の辺野古・大浦湾は、サンゴ群集や海藻藻場など生物多様性に富む。そんな場所を埋め立てて新基地を建設するというのは沖縄の歴史と自然、自治を無視した蛮行というほかない。


 また、「タイムス」は、安倍晋三政権の「辺野古が唯一」の強攻策が、民主義を破壊し、「地方の本旨」をないがしろにするものであることを、次のように結論づける。


(1)日米合意では米軍普天間飛行場の返還は「2022年度またはその後」となっている。岩屋毅防衛相は14日、合意通りの返還が「難しい」と初めて認めた。県は新基地の運用開始まで13年かかるとみている。普天間の危険性除去は一刻を争う。
(2)このような状況で辺野古にこだわるのは、沖縄の「目に見える負担軽減」、普天間の「一日も早い危険性除去」、日米同盟の「安定維持」のいずれの面から見ても、あまりにも問題が多すぎる。
(3)政府は「辺野古が唯一」と繰り返すが、何の説明もなく呪文のようにそれだけを唱えるのは説明責任を放棄した脅しというしかない。
(4)県と政府は1カ月間の集中協議をしたが、この間も政府は工事を止めなかった。県の中止要請を聞きながし、留意事項に定められた「事前協議」には応じず強行の連続だ。
(5)県が埋め立て承認を撤回したことに対し沖縄防衛局は国民の権利救済を目的とした行政不服審査法を利用し、撤回の効力停止を申し立てた。国土交通相がこれを認めたことで工事が再開されたが、法の趣旨をねじ曲げる奇策というほかない。


 結局、「タイムス」は、「土砂投入は来年2月24日の県民投票をにらんで県民にあきらめ感を植え付けるのが狙いだろう。ここには安倍政権が口を開くたびに強調する『沖縄に寄り添う』姿はみじんも感じられない。」、と断じる。




by asyagi-df-2014 | 2018-12-24 08:29 | 持続可能な社会 | Comments(0)

「第4の琉球処分」や「日本の屈辱の日」として「2018年12月14日」を捉えること(2)。

沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2018年1月14日、「沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府は14日午前11時、護岸で囲った埋め立て区域に土砂を初めて投入した。玉城デニー知事が13日に岩屋毅防衛相に工事を中止するよう求め、沖縄防衛局に埋め立て承認の条件となる事前協議がないことなどを理由に工事中止を文書で指導する中、政府が埋め立てを強行した格好だ。1995年の米兵による暴行事件をきっかけに、96年に日米両政府が米軍普天間飛行場返還を合意し、名護市辺野古への移設を条件とした新基地建設問題は、返還合意から22年間で最大の重要局面を迎えた。」、と報じた。
 今、私たちに求められるのは、この「2018年12月14日」を、どのように捉えることができるかということである。
 いずれ、歴史的に「2018年12月14日」が、「第4の琉球処分」や「日本の屈辱の日」として捉え直される日が来る。
 だとしたら、この「2018年12月14日」の意味を、しっかりとつかみ取る必要がある。
 2018年12月15日の新聞は、このことの意味をどのように受け取ることができたのか。
こちらが把握した、一七社の社説・論説の見出しをまとめると次のように分けられる。


(基本理念が間違っている)
・琉球新報社説-辺野古へ土砂投入 第4の「琉球処分」強行だ
・沖縄タイムス社説-[辺野古 土砂投入強行]自治破壊の非常事態だ
・東京新聞社説-辺野古に土砂 民意も法理もなき暴走
・新潟日報社説-辺野古土砂投入 民主主義の危機を感じる
・南日本新聞社説-[辺野古土砂投入] 後世に取り返しつかぬ
(辺野古が唯一の策であるか等、政策の見直しを)
・山陰中央新報論説(共同通信)-辺野古土砂投入/「唯一の策」か再検証を
・佐賀新聞論説(共同通信)-辺野古土砂投入 「唯一の策」か再検証を
・大分合同新聞論説-辺野古土砂投入 新基地必要性の再検証を
(沖縄県民の民意の否定)
・朝日新聞社説-辺野古に土砂投入 民意も海に埋めるのか
・毎日新聞社説-辺野古の土砂投入始まる 民意は埋め立てられない
・北海道新聞社説-辺野古土砂投入 沖縄の声無視する暴挙
・信濃毎日新聞社説-辺野古に土砂 民意顧みない無理押し
・福井新聞論説-辺野古土砂投入 沖縄の民意を葬る光景だ
・京都新聞社説-辺野古土砂投入  民意背く強行許されぬ
・神戸新聞社説-辺野古土砂投入/民意踏みにじる実力行使
(積極的推進)
・読売新聞社説-辺野古土砂投入 基地被害軽減へ歩み止めるな
・産経新聞主張-辺野古へ土砂投入 普天間返還に欠かせない




 この各紙の社説・論説を見た時、言えることは次のことである。


 「『2018年12月14日』は、『沖縄の声無視する暴挙』である。まずしなければならないのは、現在の土砂投入ではなく、辺野古が『唯一の策』との主張の見直しである。なぜなら、辺野古新基地建設の強行は、「第4の『琉球処分』」とも言え、「自治破壊の非常事態だ」を引き起こしている。こうした一連の安倍晋三政権の行為は、まさしく『民意も法理もなき暴走』そのものであり、『民主主義の危機』をもたらしている。それは、『 後世に取り返しつかぬ』ものとなっている。」



by asyagi-df-2014 | 2018-12-23 09:27 | 持続可能な社会 | Comments(0)

「第4の琉球処分」や「日本の屈辱の日」として「2018年12月14日」を捉えること。(1)

 沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2018年12月14日、「辺野古に土砂強行 政府新基地埋め立て」、と「号外」で伝えた。
また、「タイムス」は「辺野古に土砂投入、県民猛反発 埋め立て重大局面に」、と次のように伝えた。

(1)沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府は14日午前11時、護岸で囲った埋め立て区域に土砂を初めて投入した。玉城デニー知事が13日に岩屋毅防衛相に工事を中止するよう求め、沖縄防衛局に埋め立て承認の条件となる事前協議がないことなどを理由に工事中止を文書で指導する中、政府が埋め立てを強行した格好だ。
(2)1995年の米兵による暴行事件をきっかけに、96年に日米両政府が米軍普天間飛行場返還を合意し、名護市辺野古への移設を条件とした新基地建設問題は、返還合意から22年間で最大の重要局面を迎えた。
(3)土砂が投入されたのは、「N3」「N5」「K4」の護岸で囲われた海域。名護市安和の琉球セメントの桟橋から搬出された土砂を積んだ台船が14日午前9時、「K9」護岸に接岸。ダンプトラックで陸揚げし次々と土砂を投入した。
(4)米軍キャンプ・シュワブ前や現場海域近くには早朝から反対する市民らが集まり、抗議の声を上げている。
(5)政府は承認取り消しを巡る訴訟で県が敗訴したことなどから工事の適法性を強調するが、辺野古問題を最大の争点にした9月の知事選で玉城デニー知事が当選するなど「辺野古反対」を繰り返し示してきた民意に向き合わない姿勢への反発は、県内だけでなく国内外で高まるのは必至だ。 


 今、私たちに求められるのは、この「2018年12月14日」を、どのように捉えることができるかということである。
 いずれ、歴史的に「2018年12月14日」が、「第4の琉球処分」や「日本の屈辱の日」として捉え直される日が来る。
 だとしたら、この「2018年12月14日」の意味を、しっかりとつかみ取ろう。

 沖縄タイムスと琉球新報の二社は、14日朝の社説で、このことを次のようにに意味づけていた。


Ⅰ.沖縄の想い

(「タイムス」)
 そこまでやるか。
 そこまで強引に工事を進めるのか。
 玉城デニー知事が民主主義の原則に沿って「話し合いによる解決」を求めているのに、そこまで県民の代表を小ばかにしたような態度をとるのか。


(「新報」)
(1)「丁寧な説明」も、「県民に寄り添う」こともなく、法や規則の解釈をねじ曲げて今日まできた。政府は、米軍普天間飛行場の移設先とする名護市辺野古の新基地建設に向け、14日に埋め立て予定地へ土砂を投入すると明言した。
(2)玉城デニー知事は13日、菅義偉官房長官と面談し、土砂投入の中止を求めたが、菅氏は工事強行の姿勢を崩さなかった。沖縄の民意に耳を貸さず、県の行政指導も意に介さない姿勢は傍若無人の一語に尽きる。


Ⅱ.「2018年12月14日」批判

(「タイムス」)
(1)名護市辺野古の新基地建設工事を巡り、岩屋毅防衛相は玉城知事と会談し、予定通りきょう14日、沿岸部に土砂を投入すると通告した。安倍晋三首相の言う「沖縄に寄り添う」という言葉が、出任せの巧言令色のたぐいでないのなら、首相は工事を中止し、沖縄で知事に会うべきだ。さらに記者会見を開いて沖縄の記者団の積もり積もった疑問に正面から答えるべきである。
(2)米軍普天間飛行場の辺野古移設は、米軍にとっては「日本政府の予算で、望む場所に望む基地ができる」ことを意味するが、沖縄にとっては基地の北部集約化であり、恒久化を意味する。
(3)当初、日米両政府が合意した案は、既存の米軍基地内に新たなヘリポートを整備するというものだった。それがいつの間にか、米国の思惑と日本政府の判断、地元の意向が複雑に絡み合って、V字型の滑走路などを持つ巨大基地へと変わっていったのだ。「辺野古に移せば、辺野古で事件事故が起き、何の解決にもならない」。1年前、米軍ヘリの部品が落下する事故があった、宜野湾市の保育園の保護者がそう語っていた。
(4)防衛省は、県の埋め立て承認撤回で中断していた工事を先月、再開させた。国交相が撤回の効力を一時的に止める執行停止を決定したからだ。防衛省の申し立てを、同じ国の機関である国交省が認めるというもので、県は自作自演のような決定を「違法」として、国地方係争処理委員会に審査を申し出ている。第三者機関である係争委の話し合いはこれからだが、土砂投入の日に初会合が予定されているのは偶然なのか。
(5)埋め立て承認の際、国と交わした環境保全などの「留意事項」が守られていないことも懸念される。ジュゴンの保護対策一つをとっても、3頭のうち2頭の行方が分からなくなっているなど影響が心配される。留意事項に従い工事を中止し、ジュゴン調査を進めるのがあるべき姿だ。
(6)「空の主権」も取り戻せていないのに、今度は県の自然環境保全指針で厳正な保護を図るランク1の海が埋め立てられようとしている。軍事基地建設のため、約260種の絶滅危惧種を含む5800種以上の海洋生物が生息する「宝の海」に土砂を投入するのは、愚行以外のなにものでもない。


(「新報」)

(1)沖縄防衛局は土砂を積んだ台船を辺野古の護岸近くに停泊させた。県は国土交通相の埋め立て承認撤回の執行停止は違法で無効だとして工事の中止を行政指導した。そもそも土砂搬入に至る経緯も国は必要な手続きを踏んでいるとは言えない。県による埋め立て承認撤回で工事の法的根拠は消えたが、政府は行政不服審査制度を使って工事を再開した。審査は沖縄防衛局が国交相に申し立て、同じ政府内で申し立てを認めたもので、行政法研究者110人が「違法行為」「制度の乱用」と指摘した手法だ。国は県と約1カ月の集中協議の間も工事を止めずに準備を進めた。その後、県に提出した計画で搬出場所としていた本部港が使えないことから計画の変更申請をせずに名護市安和の琉球セメントの桟橋から土砂を搬出した。土砂の採取場所は「本部地区」と指定しているにもかかわらず、防衛局は採取場所を県に報告していない。さらに安和から搬出された土砂は有害物質の検査結果が示されていない。まさに「何でもあり」だ。
(2)沖縄の声を無視し、遮二無二、新基地建設を進める政府が、言い訳として使っているのが辺野古か普天間の固定化かの二者択一論だ。政府は「世界一危険な」普天間飛行場を返還させるのは辺野古への移設しかないと主張する。本当にそうだろうか。普天間は主に海兵隊ヘリコプターの運用基地だ。危険を除去するには即刻、運用を止めることしかない。その上で訓練の分散移転など策は多くある。仮に辺野古新基地が完成しても、普天間の即時返還にはつながらない。米政府は、辺野古新基地の滑走路の短さなどを理由に、那覇空港滑走路の使用など八つの条件をつけている。満たさなければ普天間飛行場は返還されないと、稲田朋美防衛相(当時)も国会で明言しているのだ。


Ⅲ.主張

(「タイムス」)
(1)県の試算によると、埋め立てに5年、軟弱地盤の改良に5年、その後の作業に3年、新基地完成までは13年もかかる。政府が強調する普天間の一日も早い危険性の除去は、説得力を欠いている。玉城知事は記者会見で、なぜ新基地建設に反対するのかをあらためて説明し、県の考えを分かりやすく全国に発信すべきだ。


(「新報」)

 政府は土砂投入を見せつけることで県民の諦めを誘い、米国に対しては年内の工事進展を強調しようとしている。今のような高圧的姿勢をとり続けるならば、県民の反発はさらに強まり、ほかの在沖米軍基地の存続さえ危うくなる。政府は土砂投入をやめて、基地負担の軽減という普天間返還の原点に戻って、形だけではない本当の意味での対話を県との間で進めるべきだ。


 安倍晋三政権と日本人は、まず自ら、「2018年12月14日」を「第4の琉球処分」や「日本の屈辱の日」として捉え直し、この「新報」の「今のような高圧的姿勢をとり続けるならば、県民の反発はさらに強まり、ほかの在沖米軍基地の存続さえ危うくなる。政府は土砂投入をやめて、基地負担の軽減という普天間返還の原点に戻って、形だけではない本当の意味での対話を県との間で進めるべきだ。」、との提起を真摯に取り組まなければならない。



by asyagi-df-2014 | 2018-12-22 10:39 | 持続可能な社会 | Comments(0)

改正水道法が成立したことを考える。

 東京新聞は2018年2月6日、「衆院本会議で改正水道法が成立 『民営』促進、残る不安」、と次のように伝えた。


(1)自治体が水道事業の運営を民間企業に委託する「コンセッション方式」を促進する改正水道法が6日午後の衆院本会議で、与党などの賛成多数により可決、成立した。20年など長期の運営権売却に道を開く内容で、野党は「事実上の民営化だ」と反発。サービス低下や災害時の対応など不安を残したまま、民営化のハードルが引き下げられることになり、水道事業が分岐点を迎える可能性がある。
(2)厚生労働省によると、水道事業を経営する地方公共団体の3分の1が給水費用を料金収入でまかなえない「原価割れ」を起こしており、今後、人口減少により、水道使用量も減少が進むことが見込まれている。


 このことの意味について、朝日新聞の社説、YAHOOニュ-スから考える。
まず、YAHOOニュースは2018年12月6日、志葉玲(以下、「志葉」)の「【水道法】民営化、欧米でも失敗続きー安倍政権が水道事業を売り飛ばす暴挙、海外企業とも癒着」を報じた。
このなかで、「志葉」は「改正水道法」について、次のように指摘する。


(1)誰にとっても生活に欠かせないものが水だ。その水を供給する水道事業は現在、地方公共団体である各地の公営事業体によって運営されている。安心で安価な水が24時間いつでも供給されることが当たり前―そんな日本の水道事業が、今日、国会で採決されようとしている水道法改正案によって大きく変わるかもしれない。
(2)[水道事業は民間企業となじまない]:上下水道事業などで働く労働者の組合「全日本水道労働組合」の辻谷貴文・書記次長は「水道法改正そのものには、一概に全否定するわけではありませんが、一つ大きな問題があります」と語る。「水道施設の老朽化や人材不足、災害時の対応など、水道事業の基盤強化は今回の水道法改正案の要であり、私達現場の労働者も求めてきたことで、それ自体は良いことだと思います。ただし、水道法改正案にある“官民連携の推進”については懸念しています。水道施設の運営権を民間企業に与えるという『コンセッション方式』が推進されるのですが、これは安価で安全な水を、1年365日、1秒たりとも絶やすことのないようにするという、日本の水道事業が担ってきた責任を損なうものになりかねません」(同)。
(3)コンセッション方式とは、事業の運営権を、民間企業に売り、その企業が事業を実施、水道料金を収入として企業が得る、というもの。辻谷氏は「利益を出すことが最大の目的である民間企業は水道事業となじまない」と言う。「水が無くては人間は生きていけません。ですから、水道料金というものは、事業に経費が掛かっても極力安くしないといけませんし、人口が減少していますから水道料金の収益も下がり、多くの地域での水道事業は赤字です。民間企業が事業を運営するとなると、コストカットしたとしても、経営として非常に厳しくなります。そうなると、水道料金を値上げするか、水道管の維持・メンテナンスなどの必要な経費も削らないといけなくなる。海外の事例では水道事業を任された民間企業が多額の経費を自治体に請求してきたという事例もあります」(同)。
(4)[水道事業の民営化の失敗、世界で235例」:「世界各地の事例を見ても、公営の水道事業から民営化して成功したところなど、ほとんどありません」と辻谷氏は言う。「その挙句、フランスのパリ市の様に、民営化した水道事業を再び、公営化するという事例が相次いでいます。こうした再公営化は、世界全体で235件にも達しているのです」(同)
(5)辻谷氏は「民営化論者が『成功事例』としている、イギリスのイングランドでの民営化も、問題だらけ」と語る。「サービスの低下や漏水率の上昇、汚職の頻発などで、世論調査では住民の70%が再公営化を望んでいるという有様です。こうした海外の事例を見ても、コンセッション方式の導入が失敗するであろうことは、明らかだといえるでしょう。ただ、今回の水道法改正が通ってしまうと、そうした海外の事例に疎い地方自治体の首長がコンセッション方式を地元の水道事業に導入してしまうかもしれません」(同)。一度、コンセッション方式を導入してしまうと、民間企業では上手くいかなくて再び公営事業体に運営を戻すにしても「そう簡単にはいかないこともあり得ます」と辻谷氏は指摘する。「民間企業に運営を任せることで、公営事業体の人材、技術が弱体化してしまう、あるいは失われてしまうかもしれません。最悪の場合、運営権を持つ民間企業が倒産した場合など、一時的に水道が止まってしまう可能性もないとは言えません。運営権を持つ企業にファンドなどが投資した場合には、再公営化の手続きも複雑で、コストのかかるものとなるでしょう」(同)。
(6)[水道事業の再公営化も大変」:辻谷氏の言う通り、海外の事例を見ると、民営化にも、再公営化にもリスクが伴うようだ。水道公営化問題について調査を行っているオランダのシンクタンク「トランスナショナル研究所」の報告書によれば、米国のインディアナポリス市では、2002年から水道事業を請け負った民間企業が水質の安全対策を怠ったり、住民への過剰な請求をしたため、2010年、市当局は再公営化を決定。だが、20年間の契約を10年間に短縮するかわりにその企業に2900万ドルを支払う羽目となった。ドイツのベルリン州も、1999年に水道公社の株を民間企業に売却した結果、水道料金の高騰や設備管理の低下を招き、2013年に州が株を買い戻すことになったものの、13億ユーロもの資金が必要となり、その経費は水道料金に上乗せされることになった。
(7)さらに、水道法改正案の立案に、フランスの水道関連大手ヴェオリア社の職員が、内閣府の「民間資金等活用事業推進室」に政策調査員として在籍していることが、今年11月29日の参院厚生労働委員会での福島みずほ参議院議員の追及で明らかになった。水道法改正が可決した後、事業参入するであろう企業の職員が法律の改正案の策定に具体的に関わった疑いがあることから、福島議員は「利害関係者で立法事実の公平性がない」と批判した。ヴェオリア社は、地元フランスのパリ市で、スエズ社と共に1984年から上下水道の事業を担った。だが、その後、パリ市の水道料金は2.25倍にまで高騰。2010年にはパリ市は契約を打ち切り、再公営化したのだ(関連情報)。


 「志葉」は、「水道のあり方について考えて」、と最後にこうまとめる。


「辻谷氏は『コンセッション方式には反対ですが、全国の水道事業が困難に直面しており、対策が急がれることは事実』と言う。『例えば、大阪市では耐用年数を超えた配管が5割を超える、という状況です。他の自治体も耐震用の配管に変える必要がありますが、人々の生活や命に関わることなのに、国の政策の中での水道事業への優先順位は低い』(同)。今回の水道法改正を機に『多くの人々に日本の水道の在り方について考えてほしい』と辻谷氏は語る。政府与党は、本日の衆議院で水道法改正の政府案を強行採決する構えだが、国民の命や生活に関わることにもかかわらず、あまりに強引すぎないか。メディアももっとその課題を追及すべきだろう。」


 次に、朝日新聞(以下、「朝日」)は2018年12月6日付けの社説で、改正水道法について考える。
「朝日」は、「水道法改正 広域連携で基盤強化を」、と次のように指摘する。

(1)市町村などが運営する水道事業の基盤を強化するための水道法改正案が参院で可決された。今国会で成立の見通しだ。水道は暮らしに欠かせないが、人口減少などで水の使用量は減り、経営環境は厳しい。一方で、高度成長期に整備された古い施設の更新、耐震化などへの対応も、急務となっている。課題を乗り越え、安全な水を安定的に供給する体制をどう維持していくのか。水道事業改革の契機としなければならない。
(2)改正案でもっとも議論となったのが、自治体が施設の所有権を持ったまま、運営権を民間企業に売却する「コンセッション方式」と呼ばれる手法の是非だ。
(3)今でもこうしたやり方は可能だが、自治体が事業認可を手放さなければいけなくなるため、水道事業での導入例はない。このため、自治体が事業認可を持ち、一定の関与を残す選択肢を新たに設けた。だが、海外では民間企業の参入で、水道料金の高騰や行き過ぎたコストカットによる水質の低下などを招き、再び公営に戻した事例もある。
(4)政府は、海外の失敗事例も参考に、条例で料金に上限を設けたり、自治体による監視体制を強化したりすると説明するが、どこまで実効性があるのか。
(5)水道は生命にかかわるもっとも重要なインフラだ。導入を検討する自治体には、住民の懸念・不安に応える丁寧な説明と、慎重な検討が求められる。
(6)そもそも民間が参入を希望するのは利益が見込める都市部が中心とみられる。課題が多い過疎地などの問題解決にはつながりそうにない。改正案のもう一つの柱である、市町村の枠組みを超えた広域連携こそ重要だ。広域連携の必要性はこれまでも指摘されていたが、水道料金の違いなど、それぞれの利害が絡み、市町村任せではなかなか進まなかった。今回、都道府県が旗振り役として、基盤強化のための計画づくりや協議会の設置をできるようにする。施設を共有にしたり点検作業を一緒に行ったり、地域の実情に合わせて可能なことから取り組んでほしい。
(7)各事業者には水道施設の管理に必要な台帳の整備が義務づけられる。水道施設の計画的な更新や、中長期の収支の見通しなどを立てるのに必要なものだ。人口減少時代に合わせ、水道インフラをどう再構築し、必要な費用を分かち合うか。自治体と住民が問題意識を共有し、水道事業の将来像を考える出発点としたい。


 日本の中山間地に居を構える者として、水は電気・道路とともに、生命にかかわるもっとも重要なインフラであることを実感させられる日々を送っている。
 だから、「『コンセッション方式』が導入されることによって、『安価で安全な水を、1年365日、1秒たりとも絶やすことのないようにする』という日本の水道事業が担ってきた責任を損なうものになりかねないのではないか」という懸念や「そもそも民間が参入を希望するのは利益が見込める都市部が中心とみられる。課題が多い過疎地などの現在の水道事業が抱える問題解決にはつながりそうにない」という懸念を感じざるを得ない。
 結局、確認しなければならないことは、今回導入される「コンセッション方式」は、「利益を出すことが最大の目的である民間企業は水道事業となじまない」、ということに尽きるし、また、もう一つ重要なことは、「世界各地の事例を見ても、公営の水道事業から民営化して成功したところなど、ほとんどありません」、との事実である。
 それは、「水が無くては人間は生きていけません。ですから、水道料金というものは、事業に経費が掛かっても極力安くしないといけませんし、人口が減少していますから水道料金の収益も下がり、多くの地域での水道事業は赤字です。民間企業が事業を運営するとなると、コストカットしたとしても、経営として非常に厳しくなります。そうなると、水道料金を値上げするか、水道管の維持・メンテナンスなどの必要な経費も削らないといけなくなる。海外の事例では水道事業を任された民間企業が多額の経費を自治体に請求してきたという事例もあります」(「志葉」)「民間企業に運営を任せることで、公営事業体の人材、技術が弱体化してしまう、あるいは失われてしまうかもしれません。最悪の場合、運営権を持つ民間企業が倒産した場合など、一時的に水道が止まってしまう可能性もないとは言えません。運営権を持つ企業にファンドなどが投資した場合には、再公営化の手続きも複雑で、コストのかかるものとなるでしょう」(「志葉」)という事実が物語るものである。
ただ、やはり、「人口減少時代に合わせ、水道インフラをどう再構築し、必要な費用を分かち合うか。自治体と住民が問題意識を共有し、水道事業の将来像を考える出発点としたい。」(「朝日」)、という課題は、日本全体で共有する必要がある。



by asyagi-df-2014 | 2018-12-08 07:05 | 持続可能な社会 | Comments(0)

複数の省庁で不適切な障害者数の算定が行われていた。(2)

 「国土交通省や総務省など多くの中央省庁が、法律で義務付けられた障がい者の雇用率を水増ししていたことが分かった。『調査中』の省庁を除き、農林水産省が事実関係を新たに認めている。」(沖縄タイムス)との事件をうけて、沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2018年8月18日、「障害げることが責務のはずだ。旗振り役が逆に信頼を裏切ってどうする。」、と社説で論評した。
 「タイムス」は、このことについて次のように批判する。


(1)「信じられないのは、障がい者の雇用が義務化された1976年から42年の長きにわたって続いてきたことだ。障がい者への差別をなくし、障がい者雇用を促進する立場にある中央省庁の重大な裏切りであり、恥ずべき不正行為である。」
(2)「障害者雇用促進法に基づく『障害者雇用率制度』では、企業や公的機関に一定割合以上の障がい者を雇うよう義務付けている。原則として手帳や判定書を所持する人が対象だが、今回の水増しは手帳などが交付されない比較的障がいの程度が軽い職員らを合算する手法で雇用率を上げていた。」
(3)「民間企業に対しては法定雇用率が達成できなければペナルティーとして納付金が課され、企業名が公表されたりする。民間には厳しい法令順守を求めながら自らは偽装までしていた。言語道断である。」
(4)「法定雇用率は段階的に引き上げられ、現在、国・自治体が2・5%、民間企業が2・2%。21年3月末までにはそれぞれ2・6%、2・3%にアップされる方針だ。国や自治体が民間に比べ高いのは、率先して範を垂れる意味が込められている。」
(5)「昨年6月時点で、国の33行政機関の平均雇用率は2・49%だった。32機関で当時の目標の2・3%をクリアしていたことになっていた。しかし、ウソの報告が発覚し、実際の雇用率は1%未満になる省庁が多いとみられる。まさに偽装したのである。」


 「タイムス」は、「なぜ不正行為であると分かっていながら水増しが長年にわたって、しかも省庁横断的に行われてきたのか。各省庁で長年引き継がれた手法なのか。多くの省庁に広がったのはなぜか。」、と疑問を呈した上で、全容解明を要求する。


(1)「障がい者の雇用率を巡っては2014年、厚労省所管の独立行政法人が雇用率を水増しして虚偽報告をした。厚労省が告発し、法人と元幹部3人が罰金の略式命令を受けた。だが厚労省はこの際、中央省庁に対する調査をしなかった。おざなりな対応のために水増しの常態化が続いたといわれても仕方がない。」
(2)「厚労省は自らも例外とせず、全省庁の実態調査を徹底しなければならない。」
(3)「先の多くの疑問に対し、厚労省は調査の結果を速やかに公表してもらいたい。野党が求めている国会の閉会中審査にも応じ、全容解明に乗り出すべきだ。」


 結局、「タイムス」もまた、安倍晋三政権に、次のように突きつける。


「障害者雇用促進法は雇用に当たって障がい者であることを理由にした差別的取り扱いを禁じている。安倍政権が旗を振る『1億総活躍プラン』には『共生社会の実現』が盛り込まれている。障がい者の雇用率の引き上げはこの理念の実現に不可欠だ。障がいのある人もない人も共に生きる『共生』の考えはこれからの社会が目指すべき方向である。中央省庁のウソの報告はそれに水を差した。」


 持続可能な社会を築くには、「共生」という概念も、「丸ごと」との考え方も間違ってはいない。ただ、それを実践するには、あまりにも背景が貧しい。
 自己決定権の確立や基本的人権の尊重という人の命を基本にする思想が忘れ去られている。



by asyagi-df-2014 | 2018-08-25 12:44 | 持続可能な社会 | Comments(0)

複数の省庁で不適切な障害者数の算定が行われていた。

 朝日新聞は2018年8月17日、表題について次のように報じた。


(1)「障害者雇用促進法で国の中央省庁など行政機関や企業に義務づけられている障害者の法定雇用率について、複数の省庁で不適切な障害者数の算定が行われていた疑いがあるとして、厚生労働省が再調査を実施していることが分かった。障害者手帳を持たないなど、障害の程度がより軽い職員を算入し、水増ししている可能性があるという。」
(2)「再調査は、まとまり次第、結果を公表する予定。これまで公表してきた国の行政機関の雇用率では、大半の省庁で達成しているとしていたが、実際にはより低かったことになりそうだ。企業の場合、法定雇用率に届かなければ納付金が課されており、水増しが事実なら批判は必至だ。」
(3)「障害者の法定雇用率企業や国・地方公共団体などは、障害者雇用促進法により、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務が課されている。割合は今年4月1日からは、企業が2・2%、国・地方公共団体などは2・5%、都道府県などの教育委員会が2・4%。民間企業が法定雇用率に満たない場合には、不足する分について原則、1人当たり月額5万円を国に納付しなければならない。」
(4)「国や地方自治体には、より積極的に障害者を雇用するように、企業に比べて高い法定雇用率が課されている。今年3月末までは2・3%だったものが、4月からは2・5%に引き上げられた。厚労省は2017年(6月1日時点)での達成度合いについて、中央省庁など国の行政機関では約6900人の障害者を雇用し、平均雇用率は2・49%だと公表していた。」
(5)「厚労省は、雇用率に算定できる障害者について、ガイドラインを策定。原則として、身体障害者手帳▽知的障害者の療育手帳▽精神障害者保健福祉手帳▽精神保健指定医などの判定書――の交付を受けている人と定めている。しかし、雇用率を算定する際に、省庁によっては、ガイドラインには該当していない、より障害の程度が軽い人を数えている可能性があるとの懸念が浮上。このため、厚労省は6月、各省庁に対し、17年の雇用率をどのように算定したのかについて、改めて精査する調査を開始した。ただ、厚労省の再調査は17年に限定したものだが、不適切な算定は長年、行われていた可能性がある。」
(6)「企業は現在、従業員が45・5人以上の場合は、法定雇用率2・2%が義務づけられている。さらに従業員100人超の企業は、法定雇用者数の不足1人につき原則5万円の納付金が課されることになっている。厚労省は、納付金の支払い義務を課している対象企業について、現在の従業員100人超から50人規模以上に拡大することを検討している。企業により一層の障害者雇用を求めていく中で、国の障害者雇用のあり方が問われることになりそうだ。」        
(松浦祐子)
(7)「〈障害者の法定雇用率〉:『企業や国・地方公共団体などは、障害者雇用促進法により、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務が課されている。割合は今年4月1日からは、企業が2・2%、国・地方公共団体などは2・5%、都道府県などの教育委員会が2・4%。民間企業が法定雇用率に満たない場合には、不足する分について原則、1人当たり月額5万円を国に納付しなければならない。』」


今回の事件をうけて、東京新聞(以下、「東京」)は2018年8月18日、「障害者の雇用 旗振り役の重大な不正」の社説の中で、「あきれた不祥事だ。中央省庁が四十年以上にわたり雇用する障害者の数を水増ししていた。国は率先して障害者の働く場を広げることが責務のはずだ。旗振り役が逆に信頼を裏切ってどうする。」、と批判する。
「東京」は、こんな例を示す。


 「障害者福祉に熱心な大分県杵築(きつき)市の永松悟市長からこんな話を聞いた。特別養護老人ホームで働く知的障害の職員は入居者から人気があるそうだ。入居者との散歩も食事介助も相手に合わせてゆっくりやるように指示すると決して手を引いて速く歩いたり、食事をせかしたりしない。職員が休むと入居者たちが心配するそうだ。人気の秘密に納得する。能力を見極め適切に仕事をマッチングすれば、持っている力を発揮する。要は雇用側の意識の問題だ。永松市長は『できないと思った先入観の損失がいかに大きいか、それに気付くべきだ』と語る。思いにうなずく。」


 だからこそ、「東京」は、「求められる雇用をせず数の水増しで偽装する行為は、国が障害者を足手まといな存在だと認識していると言っていることと同じだ。言語道断である。」、と痛烈に批判する。
 「東京」の批判は続く。


(1)「障害者雇用促進法は、差別を禁止し障害者の就労を広げるため国や自治体、企業に一定割合以上の障害者の雇用を義務付けている。原則として身体障害者手帳などを持つ人が対象だ。」
(2)「法定雇用率を達成できない企業からは納付金を徴収する対応を求めるのに、手本となるべき省庁は厚生労働省に報告をするだけで実態把握が不十分だった。早急にそれを調べ公表すべきだ。
(3)「働く障害者は年々増え、五十万人に迫る。企業の半数が法定の雇用率を達成している。今年四月から雇用率は引き上げられ精神障害者も対象に加えた。さらなる就労拡大に取り組む大事な時機だけに、企業や障害者の信頼を失うことは避けなければならない。」
(4)「省庁での雇用が進まない理由に拘束時間が長いことや国会対応など突発的な業務が多いことが指摘されている。それなら出産などでやめてしまうからと女性入学者を制限していた東京医科大の発想と同じだ。言い訳にならない。」


 「東京」は最後に、安倍晋三政権に向けて、「肝心なのは、誰でも能力を生かし働ける環境の整備だ。障害者以外にも家族の介護や闘病をしながら懸命に働く人がいる。増える高齢者も長く働き続けられるような職場が求められている。政府は『働き方改革』を掲げるが、言っていることとやっていることが違い過ぎないか。」、と断じる。 


 この事件がはっきりさせたことは、安倍晋三政権が特徴的に持つ基本的概念ということに留まるのではなく、日本という国自体が基本手人権の尊重とはかけ離れた政策を選択し続けてきたということである。言はば、人の存在を顧みない政策である。
 結局、現在の日本の崩壊は、安倍晋三政権によって完成されたされたということでしかない。



by asyagi-df-2014 | 2018-08-24 06:20 | 持続可能な社会 | Comments(0)

保育の無償化は、新たな格差を生むのか。~東京新聞20180604~

 東京新聞(以下、「東京」。)は、2018年6月4日の社説で、「保育の無償化 新たな格差生まないか」、と論評した。
「東京」のこの指摘は、このことに無自覚であったことをあらためて思い知らせる。
「東京:」は、「安倍政権が打ち出した幼児教育・保育の無償化策のうち課題となっていた認可外の保育施設の対象範囲が示された。支給額に上限を設ける案だが、これでは逆に利用者の負担格差は広がらないか。」、と次のように指摘する。
まずは、安倍晋三政権の「人づくり革命」にかかわっての幼児教育・保育の無償化の推進について。


(1)「安倍晋三首相が一月の施政方針演説でこう力説し『人づくり革命』の断行を宣言した。その目玉に昨年の衆院選公約で掲げた二兆円の政策パッケージの柱である幼児教育・保育の無償化の推進も表明した。」
(2)「だが、無償化は衆院選で首相の口から突然でてきた。認可外施設は当初対象外だったが、批判を浴びて方針を変えた。示された案を見ると、『革命』は泥縄式の対応と言わざるを得ない。」


 次に、「東京」は、具体的な問題点を指摘する。


(1)「確かに幼稚園や認可保育所などを利用する三~五歳児は全員を、ゼロ~二歳児は低所得層を無償化の対象とした。だが、認可外利用者への支援は、三~五歳児で認可施設の全国平均額である月三万七千円を上限とした。ベビーシッターなど幅広く対象としたのは歓迎されるが、なお負担は残る。」
(2)「認可外施設の利用料は自由価格のためばらつきがある。政府は『公平性の観点』から上限を設けたと説明するが、疑問がわく。利用者の多くは、認可施設に入所できなかったケースだろう。認可外は利用料が月七万円超の施設もある。やむなく高額な利用料を払っているのに、負担が残ることに利用者の不満は残るだろう。」
(3)「認可施設への入所は、就労状況などを勘案して決められるが、一般的に長く働く正社員が利用を認められがちだ。その結果、低賃金の非正規社員が認可外施設に子どもを預けざるを得ず、高い利用料負担を強いられている面もある。」
(4)「待機児童数は昨年十月時点で約五万五千人いた。どこにも入所できなければその恩恵を受けられない。この支援策を導入しても格差は残る。不公平ではないか。待機児童解消が優先されるべきだ。」
(4)「『保育の質』については、保育士の配置や設備などで一定の基準を設けるが、五年間に限り基準を満たしていない施設も対象とする。政府は自治体の監督体制の強化や、認可施設への移行を後押しすると説明するが、人材確保なども含め実効性が問われる。」
(5)「無償化の財源は消費税の増税分を充てる。本来は社会保障費への借金を減らすための財源のはずで、結局将来世代にツケを回している。そうならない財源確保や制度設計を工夫する必要がある。」


 確かに、「○○の無償化」、という言葉に力があるのは確かである。それは、現状の負担感や不公平性を鋭く突くものであるからだ。「保育の無償化」、という言葉にも同様なことが言える。
ただ、「無償化の財源は消費税の増税分を充てる。本来は社会保障費への借金を減らすための財源のはずで、結局将来世代にツケを回している。そうならない財源確保や制度設計を工夫する必要がある。」(東京新聞)の指定を受ける時、安倍晋三政権の負の構造がまたぞろ見えてくる。
 そもそも安倍晋三政権の手法は、成長戦略に基づく、利益の寡占を追求するための手段として多用されてきた。
この手法が、「保育の無償化」でも貫徹されるとするなら、より大きな格差しかもたされないのではないか。




by asyagi-df-2014 | 2018-06-11 07:37 | 持続可能な社会 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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