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幼保大学無償化を考える。

 幼児教育・保育の無償化で子育て世代を支援したり、低所得世帯の学生の授業料を無償化したりする法律が、2019年5月10日、参院本会議で可決、成立した。
 朝日新聞は2019年5月11日、この法の意義と抱える問題点について、次のように報じている。


(1)幼児教育・保育の無償化で子育て世代を支援したり、低所得世帯の学生の授業料を無償化したりする法律ができた。
(2)少子化が進む中、幼保無償化は子育て世代の経済負担の軽減策として意味がある。経済的な事情で進学を諦めていた学生の進路が大学無償化で開けるのも意義深い。
(3)そうした支援の大切さを理解しつつ懸念がある。二つの法律には「突貫工事」「急ごしらえ」といった制度設計上の不備が指摘されてきた。安倍政権が目玉とする教育無償化の関連法成立を急ぐあまり、国会審議をおろそかにしなかったか。専門家の指摘に十分耳を傾けただろうか。子どもや若者の将来に直結する法律だ。見切り発車は許されない。
(4)幼保無償化の関連法は、3~5歳児は原則全世帯、0~2歳児は低所得世帯を対象に、認可保育所や幼稚園、認定こども園の利用料を無償化する。国の基準を満たさない認可外保育所などへも5年間は一定額の範囲内で費用を補助する。ところが、認可外サービスの質確保面では基準が示されていないものがある。保育士などの資格がないベビーシッターに国は安全確保の講習を義務付けたものの、監査手法は決めていない。「研修内容がふさわしいかどうか誰が判断するのか」といった専門家の声がある。子どもの命にかかわるだけに当然の指摘だ。
(5)国の調査で認可外は認可保育所に比べ死亡事故が多い。そこに補助することへの懸念が国会で出た。安倍首相は「認可外施設の質の確保、向上を図る」と述べ、具体策は示さなかった。これでは保護者らの不安は解消されないだろう。
(6)保育所の人手不足は続いている。無償化も大事だが、保育士の処遇改善などで、資格を持ちながら働いていない「潜在保育士」の掘り起こしにもさらに力を入れてほしい。
(7)大学無償化の関連法は国や自治体が授業料などを減免するほか、返済不要の給付型奨学金も支給する。対象は住民税非課税世帯を基本とし、家庭の年収に応じて支給額が変化する。ただし、高校卒業から2年過ぎた学生は対象外で停学や留年となった学生への支援も打ち切られる。日本の高等教育は先進国の中でも受益者負担の側面が強く、奨学金も有利子の貸与型が主流だった。無償化や給付型の支給は確かに朗報だ。だが、国会審議では「支援対象が極めて限定的」「中間所得層には恩恵がない」といった指摘があり、学生団体からも対象範囲の拡大を望む声が出ている。欧米では授業料が無料の国や、給付型が主流の国が多い。無償化や支援の範囲を広げる検討は必要だ。
(8)幼保と高等教育機関の無償化は10月からの消費税増税分を活用する。財政再建などを目的にした増税分の使途を、前回の衆院解散時に安倍首相が突然変更した経緯がある。
(9)子どもたちの将来のために最大限有効に活用されているか。検証は欠かせない。


日本国憲法第26条の義務教育の無償の原則からすると、こうした取り組みは本来否定すべきものではないかとも思える。
 ただ、憲法26条を根拠に長い間『義務教育無償化』の実現を自民党に働きかけてきた当事者の一人としては、にわかには信じられないい側面がある。それも、成長戦略を基本とする安倍晋三政権の方針の範疇として聞かされると一層である。
 この法の評価について、2019年5月12日、信濃毎日新聞は「幼保無償化 適切な税の使い方なのか」、高知新聞が「【幼保大学無償化】見切り発車は許されない」、とそれぞれの社説で論評した。
この2社の指摘を基に、まずは考えてみる。


1.経過等
(信濃毎日新聞)
(1)認可保育所や幼稚園、認定こども園の利用料を無償化する。3〜5歳児は原則全世帯、0〜2歳児は低所得世帯が対象だ。認可外保育所なども一定額の範囲で費用を補助する。消費税率引き上げに伴う税収増を財源に充てる。
(2)2017年の衆院解散、総選挙で安倍晋三首相が唐突に打ち出した政策である。消費税増税に合わせ、10月に始まる。実務を担う自治体の準備期間を確保するとして早期成立を目指していた。夏の参院選で政権の実績としてアピールしたいのだろう。
(3)3〜5歳児は原則全世帯、0〜2歳児は低所得世帯が対象だ。認可外保育所なども一定額の範囲で費用を補助する。消費税率引き上げに伴う税収増を財源に充てる。
(4)2017年の衆院解散、総選挙で安倍晋三首相が唐突に打ち出した政策である。消費税増税に合わせ、10月に始まる。実務を担う自治体の準備期間を確保するとして早期成立を目指していた。夏の参院選で政権の実績としてアピールしたいのだろう。
(5)国の調査で認可外は認可保育所に比べ死亡事故が多い。そこに補助することへの懸念が国会で出た。安倍首相は「認可外施設の質の確保、向上を図る」と述べ、具体策は示さなかった。これでは保護者らの不安は解消されないだろう。


(高知新聞)



2.意義
(信濃毎日新聞)
(1)認可保育所や幼稚園、認定こども園の利用料を無償化する。
(2)委員会審議で首相は「若い世代にとって教育や子育ての費用が重く、子どもを産み育てることの制約になっている」と述べ、無償化の意義を強調した。
(3)子育て世代の経済的負担を軽減し、少子化対策につなげようという狙いだ。
(高知新聞)
(1)少子化が進む中、幼保無償化は子育て世代の経済負担の軽減策として意味がある。(2)経済的な事情で進学を諦めていた学生の進路が大学無償化で開けるのも意義深い。
(3)そうした支援の大切さを理解しつつ懸念がある。二つの法律には「突貫工事」「急ごしらえ」といった制度設計上の不備が指摘されてきた。安倍政権が目玉とする教育無償化の関連法成立を急ぐあまり、国会審議をおろそかにしなかったか。専門家の指摘に十分耳を傾けただろうか。子どもや若者の将来に直結する法律だ。見切り発車は許されない。


3.問題点
(信濃毎日新聞)
(1)税収の適切な使い方なのか、疑問が残ったままだ。
(2)今国会の重要法案に位置付けていた。急ごしらえの制度は安全面などを巡り、なお議論すべき点が多い。政府は引き続き不安や疑問に答える必要がある。
(3)3〜5歳児について一律に無償化する必要があるのか。所得に応じて高い保育料を払っている世帯ほど恩恵を受ける格好だ。増税の実現に向け、増収分の使途変更を主導した財務省内でも「高所得者まで無償化するのは政策的に意味がない」との批判があった。
(4)無償化で保育の需要が掘り起こされ、待機児童が増えることも考えられる。受け皿が整わない状況では不公平を広げかねない。
(5)審議で焦点となった一つは保育の質の確保だ。施行から5年間は保育士の人数などで国の指導監督基準を満たさない施設も対象とする。基準は安全確保などの視点から定めた最低ラインである。野党は「質の悪い施設まで対象となるのではないか」と批判していた。
(高知新聞)
(1)そうした支援の大切さを理解しつつ懸念がある。二つの法律には「突貫工事」「急ごしらえ」といった制度設計上の不備が指摘されてきた。安倍政権が目玉とする教育無償化の関連法成立を急ぐあまり、国会審議をおろそかにしなかったか。専門家の指摘に十分耳を傾けただろうか。子どもや若者の将来に直結する法律だ。見切り発車は許されない。
(2)幼保無償化の関連法は、3~5歳児は原則全世帯、0~2歳児は低所得世帯を対象に、認可保育所や幼稚園、認定こども園の利用料を無償化する。国の基準を満たさない認可外保育所などへも5年間は一定額の範囲内で費用を補助する。ところが、認可外サービスの質確保面では基準が示されていないものがある。保育士などの資格がないベビーシッターに国は安全確保の講習を義務付けたものの、監査手法は決めていない。「研修内容がふさわしいかどうか誰が判断するのか」といった専門家の声がある。子どもの命にかかわるだけに当然の指摘だ。
(3)保育所の人手不足は続いている。無償化も大事だが、保育士の処遇改善などで、資格を持ちながら働いていない「潜在保育士」の掘り起こしにもさらに力を入れてほしい。大学無償化の関連法は国や自治体が授業料などを減免するほか、返済不要の給付型奨学金も支給する。対象は住民税非課税世帯を基本とし、家庭の年収に応じて支給額が変化する。ただし、高校卒業から2年過ぎた学生は対象外で停学や留年となった学生への支援も打ち切られる。


4.主張
(信濃毎日新聞)
 政府は「無償化を契機に保育の質の向上を図る」とする。首相も答弁で「保育の受け皿と質の確保を両輪として進めたい」と述べている。どう実現していくのか、具体的に示す責任がある。
(高知新聞)
(1)幼保と高等教育機関の無償化は10月からの消費税増税分を活用する。財政再建などを目的にした増税分の使途を、前回の衆院解散時に安倍首相が突然変更した経緯がある。
子どもたちの将来のために最大限有効に活用されているか。検証は欠かせない。
(2)日本の高等教育は先進国の中でも受益者負担の側面が強く、奨学金も有利子の貸与型が主流だった。無償化や給付型の支給は確かに朗報だ。だが、国会審議では「支援対象が極めて限定的」「中間所得層には恩恵がない」といった指摘があり、学生団体からも対象範囲の拡大を望む声が出ている。欧米では授業料が無料の国や、給付型が主流の国が多い。無償化や支援の範囲を広げる検討は必要だ。


 この二社の社説から確認できたことは、次のことである。


(1)安倍晋三政権の幼児保育に関して「保育の受け皿と質の確保を両輪として進めたい」との主張が、どのように実現されているのかについて、政権側に、具体的に示させる必要があること。
(2)無償化は、保育士の処遇改善などが達成されてはじめて、実を結ぶものであることを、政権の具体的な施策の中に反映させること。



by asyagi-df-2014 | 2019-05-19 05:31 | 持続可能な社会 | Comments(0)

日本政府の無策、不誠実は変えなければならない。(2)

 米軍基地が原因と強く疑われる環境汚染に対して、沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2019年4月27日、「[嘉手納周辺高濃度汚染] 基地調査権が不可欠だ」、と日本政府及び沖縄県にに突きつける。
 「タイムス」の実態の指摘は、次のもの。


(1)県民の飲料水となる嘉手納町の比謝川取水ポンプ場周辺の湧き水など6カ所から高濃度の有害物質が検出され、住民の不安が広がっている。体内蓄積による発がん性のリスクが指摘されている有機フッ素化合物のPFOS(ピーホス)やPFOA(ピーホア)である。
(2)県企業局は2016年、嘉手納基地周辺の水源や北谷浄水場の飲料水が汚染されていることを公表し、その後も調査を継続している。比謝川取水ポンプ場北西の長田川取水ポンプ場で昨年4月からPFOS濃度が上昇したため、比謝川周辺の調査を始めた。
(3)昨年5月から7月にかけて9エリア17地点で水質調査を実施。11地点で米環境保護庁の生涯健康勧告値(1リットル当たり70ナノグラム)を超え、屋良の住宅街にあるシリーガーなど6地点で千ナノグラムを超える高濃度を検出した。
(4)県企業局の調査で嘉手納周辺の汚染が湧き水まで及んでいることがわかるのは初めてである。県から連絡を受けた嘉手納町は子どもたちの遊び場になっている所もあることから、シリーガーなど3カ所に湧き水を飲まないよう呼び掛ける看板を設置した。


 この高濃度の有害物質が検出の問題をどのように捉えるのか。
 「タイムス」は、次のように示す。


(1)勧告値は70年間摂取しても健康に影響がない値とされているが、日本には同様の基準はない。県企業局は北谷浄水場で活性炭フィルターを使ってPFOSやPFOAを取り除き、勧告値を下回る飲料水を供給しているという。
(2)米国では勧告値に対する疑義が出ており、もっと厳しい値を課している州もある。
(3)県民の健康被害に関わる重大な問題である。不安を取り除くには汚染源を絶たなければならない。
(4)PFOSやPFOAは国内では製造・使用が禁止されており、汚染源が嘉手納由来であることはほぼ間違いない。
(5)本紙が米情報公開法で入手した米軍内部文書でも、嘉手納基地内で14~17年にかけて調査した13カ所で勧告値をはるかに超える汚染があったことがわかっている。
(6)町役場から約200メートル離れた池などから検出された。PFOSを含む泡消火剤がスプリンクラーから噴出する事故も起きている。米軍普天間飛行場でもPFOSなど高濃度の汚染が米情報公開法で入手した米海兵隊の内部資料から読み取れる。普天間周辺の湧き水などからもやはり汚染水が確認されているのである。
(6)PFOSやPFOAが土壌に染みこみ、湧き水に混ざっているとみられる。
(7)環境調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト」(IPP)の河村雅美代表が県企業局へ情報公開請求して明らかになった。
(8)自ら県民に説明する義務があることを県企業局には改めて認識してもらいたい。


 しかし、ここでもまた、沖縄の『構造的沖縄差別』の事実が沖縄を遮る。
 だから、「タイムス」は、「県企業局は汚染水を公表した16年6月に立ち入り調査を申請したが、嘉手納基地は理由を示すことなく拒否した。政府が自画自賛して締結した『「環境補足協定』は結局、米軍の裁量次第であることを示している。県が要望すればすぐに立ち入り調査ができる仕組みに改めるべきである。」、と批判せざるを得ない。




by asyagi-df-2014 | 2019-05-04 07:07 | 持続可能な社会 | Comments(0)

日本政府の無策、不誠実は変えなければならない。

 「米軍基地が原因と強く疑われる環境汚染に対し、政府はいつまで無為無策を続けるつもりなのか。」、との新聞社からの問いかけに、日本政府はどのように応えるのか。
 琉球新報(以下、「新報」)は2019年4月25日、「高濃度PFOS汚染 政府の無策は許されない」、と社説で論評する。
「新報」の「米軍基地が原因と強く疑われる環境汚染に対し、政府はいつまで無為無策を続けるつもりなのか。」、との批判の根拠は次のものである。


(1)県企業局の調査で、発がん性のリスクが指摘される有機フッ素化合物(PFOS、PFOA)が、米軍嘉手納基地近くの湧き水(カー)からも高濃度で検出されたのである。PFOSは消火剤や洗浄剤などに使われる化学物質だ。国内では原則として使用が禁止されている。
(2)2016年1月に県企業局が水質調査の結果を公表したことで汚染が表面化した。嘉手納基地内を通る大工廻川や基地周辺の比謝川などで高濃度のPFOSが検出された。その後も改善は見られない。
(3)嘉手納基地の排水が流入する下流側の濃度が高いこと、PFOSを含む泡消火剤を過去に米軍が使用していたことなどから、嘉手納基地以外に汚染源は考えにくい。


 しかし、沖縄にもたらされている実態は、次のものである。


(1)日米地位協定に基づき施設の排他的管理権を持つ米軍は、基地内での水質調査を拒み、PFOSの使用実態も明らかにしようとしない。このため問題が表面化してから3年以上たった現在も原因は特定されていないのである。
(2)米軍は住民の健康に被害が及びかねない状況に目をつぶっている。汚染の責任を追及されることを恐れているのだろうか。人道に反する不誠実な態度だ。
(3)県は浄化対策と基地周辺の調査のため2億円超の支出を余儀なくされた。沖縄防衛局に補償を求めたが、米軍とPFOSの因果関係が確認されていない―などとして応じていない。因果関係が明確にならないのは米軍が水質などの調査を許可しないせいだ。
(4)今回の調査で汚染が地下水にまで広範に及んでいることが分かった。極めて深刻な事態だ。高濃度のPFOSが検出されたカーを何とか元通りに浄化したいが、出どころを突き止めない限り対策の取りようがない。
(5)日本と違って基地への立ち入り権が保障されているドイツで14年にPFOSによる汚染問題が発生した。ドイツ当局の監督の下で基地内の調査が行われ、米軍は基地が汚染源だったことを認めている。ドイツとの格差は大きい。


 だから、「新報」は、日本国と沖縄県に、次のことを要求する。


(1)日本政府はこのような理不尽な状況を事実上、放置し容認している。結果として、脅かされているのは沖縄県民の安全な暮らしだ。
(2)汚染源を特定し除去に取り組むのは基地を提供している国の務めである。政府は基地内の水質調査をはじめ原因究明のための調査に協力するよう米国に強く要求すべきだ。
(3)普天間飛行場周辺の水質調査でもPFOSによる汚染が確認されている。いまや一刻の猶予も許されない。
 県の対応にも問題がある。今回、湧き水の汚染が明らかになったのも市民が情報開示請求で資料を入手したからだ。県民の健康に関わる情報なのになぜ積極的に公表しないのか。対応を改めるべきだ。


 深刻な被害が予想される時、まずは徹底的な原因究明がなされなくてはならないことは、当たり前の話だ。
 しかし、主権国家のはずである国が、その手立てを奪われている、いやむしろ差し出して放棄しているとしたら、主権国家はその国の人びとの命を守ることはできない。
 当然の構図である。
 だとしたら、変えなければ。
確かに、「いまや一刻の猶予も許されない。」。




by asyagi-df-2014 | 2019-05-03 06:50 | 持続可能な社会 | Comments(0)

自由に考え、自由にものを言う。そんな当たり前の行為が否定される世の中に抗うために。

 持続可能な社会とは、やはり、「自由に考え、自由にものを言う。そんな当たり前の行為が歓迎される」社会であろう。
朝日新聞(以下、「朝日」)は2019年4月11日、「自由な言論 守り続ける覚悟を」、と社説で論評した。
「朝日」の「自由に考え、自由にものを言う。そんな当たり前の行為が、不当に制限されることがあってはならない――。社説でも折にふれ主張してきたことだが、民主主義の基盤を傷つける出来事が、最近も相次いでいる。」との指摘の根拠を次のように示す。


(1)京都府南丹市は昨年11月、精神科医・香山リカさんの講演会を中止した。講演を妨害するような電話や、政治団体による街頭宣伝の予告が届いたためだ。予定されていた演題は「子どもの心を豊かにはぐくむために」。市は、母親や子の安全確保を理由に講師を変更した。露骨な嫌がらせに市は毅然(きぜん)とした態度で臨んでほしかった。警察に警備を依頼するなど対策は十分とり得ただろうし、似たようなケースで行政側の対応を違法とした最高裁判例もある。結果として圧力に屈した形になったのは残念でならない。
(2)一昨年も同様の経緯をへて、香山さんの東京都内での講演会が取りやめになっている。当時、差別的な言動に反対するなど活発に発言していた香山さんは、ネット上で激しく攻撃されていた。今回の妨害行為の背景にも、香山さんの活動に対する敵意がうかがえる。


 こうした状況について、「朝日」は、「この例に限らない。憲法や基地問題などを取りあげた集会で、自治体が後援や共催を取り消す事例が絶えない。多様な言論を保障する責務の重さを、行政は認識してほしい。」、と主張する。
さらに、「朝日」の具体的な指摘は続く。


(1)もちろん、憎悪むき出しのヘイト行為などは健全な言論活動とは言えない。憲法が保障する表現の自由は、個人の尊厳を傷つけないことが前提であることを、確認しておきたい。
(2)許しがたい別の嫌がらせ行為もある。女性差別などについて積極的に発言する議員や弁護士に、頼んだ覚えのない商品が送りつけられてきた事件だ。北九州市の村上聡子市議には昨夏以降、下着などが代金引換で配達された。加計問題で政権を批判した前川喜平元文部科学事務次官を招いて、講演会の司会をした後から始まった。「言論封殺の意図を感じる。こんなことをしても発言をやめはしない」と市議は話す。
(3)残念なのは、こうした訴えを冷笑するような反応が一部にあることだ。ネットには「被害者アピールして何の意味がある」といった言葉が飛び交った。差別に反対する。政権に厳しいことを言う。憲法の大切さを論じる。これらの行為が攻撃対象にされるとは恐ろしい話だ。


 「朝日」は、自らの決意を込めて、「恐怖が萎縮を生む悪い連鎖の中で、言論の場が狭まることを危惧する。おかしな風潮を広げないためには、いつ自分も標的になるかも知れないと想像力を働かせ、批判の声を静かに、しかし確実に上げ続けることだ。」、と訴える。


 確かに、この「朝日」の主張から、二つのことを受け取った。
一つには、行政の使命は、「多様な言論を保障する責務の重さ」であること。
二つには、だから一人一人が「いつ自分も標的になるかも知れないと想像力を働かせ、批判の声を静かに、しかし確実に上げ続けること」の大切さ。



by asyagi-df-2014 | 2019-04-17 07:06 | 持続可能な社会 | Comments(0)

米空軍嘉手納基地の爆音被害は、世界保健機関(WHO)欧州事務局の騒音に関するガイドラインの試算で、虚血性心疾患になる人が年間51人に達し、10人が亡くなっていると推定。

 もはや、待ったなしの状況である。
 琉球新報(以下、「新報」)は2019年3月14日、「嘉手納爆音健康被害 基地の運用が命を奪う」、と論評した。
この問題に関して、「新報」は、「米空軍嘉手納基地の爆音がいかに危険であり、現在の基地の運用がいかに非人道的であるかを、改めて示すショッキングなデータが明らかになった。」、と始める。
 どういうことが起こっているのか。
 「新報」は、次のように指摘する。


(1)嘉手納基地周辺の住民1万7454人が高度の睡眠妨害を受けており、騒音が原因となって虚血性心疾患になる人が年間51人に達し、10人が亡くなっていると推定されたのである。
(2)世界保健機関(WHO)欧州事務局が昨年10月に示した騒音に関するガイドラインを基に、北海道大学の松井利仁教授が試算し、発表した。
(3)松井教授は測定手法が確立していなかった飛行場内の地上騒音の被害も大きいとして、エンジン調整や地上走行のデータも含めて評価した。騒音の広がり方も地形や建物などを考慮して計算し、より高精度の騒音コンター(分布図)を作成した。そして、騒音レベルごとの影響人口とリスクを算出した。
(3)WHOや同欧州事務局による騒音の健康影響基準は、1980年の「クライテリア(規範)」以来6次にわたって公表されてきた。99年には健康被害が生じる閾値(いきち)を示した「ガイドライン(指針)」を発表し、高度に騒音にさらされる地域で心臓血管系疾患が増加すると指摘した。昨年のガイドラインでは心疾患、高血圧、糖尿病についても言及した。これらは欧州以外の研究成果も反映しており、全世界共通の基準となっている。
(4)99年ガイドラインが出されたのは第1次嘉手納爆音訴訟の控訴審判決の翌年だ。同控訴審では健康被害が焦点となったが、福岡高裁那覇支部は「断定できない」と認めなかった。その後の2次訴訟では健康被害の立証にさらに力を注いだものの、2005年の1審判決は「騒音と健康被害の因果関係は認められない」と退けた。09年の控訴審判決も同様で、11年に最高裁が上告を棄却して確定した。国も司法もWHOガイドラインを無視してきたのである。
(5)第3次訴訟ではこのWHOガイドラインに沿って松井教授が証言し、健康被害を主張した。17年の1審判決は、爆音による生活妨害や睡眠妨害などに加え「高血圧症発生の健康上の悪影響のリスク増大も生じている」と、ようやく健康被害の一部を認定した。しかし、WHO基準からは懸け離れている。
(6)司法はこれまで「国は米軍機運航を制限できない」という「第三者行為論」、そして「高度の政治性を有する安保条約は司法判断になじまない」という「統治行為論」で米軍機の夜間・早朝の飛行差し止めを認めてこなかった。


 「新報」は、最後に、「9月に第3次訴訟の控訴審判決が言い渡される。命に関わる健康被害がここまで明確になった今、司法は飛行差し止めに踏み込んでほしい。国民の命より大事な「第三者行為」などあるのかと強く問いたい。」、と記す。


 確かに、命の問題を無視していいはずがない。



by asyagi-df-2014 | 2019-03-21 07:28 | 持続可能な社会 | Comments(0)

「多くの裏方が汗を流した統計の信頼を“小手先”の不正で揺るがした厚労省の責任は極めて重い」、と長崎新聞。

 厚生労働省による阻止的な不正調査について、長崎新聞は2019年1月27日、「統計調査の苦労 人知れぬ地道な作業 一軒一軒 足運び データ積み上げ」、と統計調査そのものの重大性について、報道した。
厚労省への批判は、この記事で足る。
長崎新聞は、次のように伝える。


 厚生労働省による不正調査が明るみに出た毎月勤労統計。国の基幹統計の一つで、数字は各種政策につなげていく指標となる。こうした基幹統計の調査に当たっているのが、「統計調査員」と呼ばれる人たちだ。今回の不正調査問題を巡っては国に対し、国民の批判が高まっているが、統計に表れる数字を一つ一つ積み上げていく現場では、人知れぬ地道な作業がある。統計調査員や長崎県担当職員を取材すると、多くの苦労によってデータが収集されていることが分かった。

 「少しでも人のお役に立てればと」。多良弘子さん(65)=長崎市=は長崎県から任命を受け、通算約30年にわたり統計調査員を務める。公共の利益に貢献したとして昨春、藍綬褒章を受章した。

 最近は家計調査などに携わる。家計調査も、国が都道府県を通じて取り組む基幹統計調査の一つ。国内総生産(GDP)の約6割を占める家計最終消費支出の算出に用いられる。

 多良さんは長崎市内の2地区を担う。半年分の毎日の家計収支について、上半期に12世帯、下半期に別の12世帯に家計簿を書いてもらう。内容は現金収入のほか、食費、光熱費、通信費、プリペイドカードなど現金以外での購入費など細かい。約2週間おきに家計簿を回収し、記入漏れがないか確かめて長崎県に届ける。1世帯の対応だけでも、半年間に最低12回の家計簿の配布・回収を繰り返すことになる。

 「引き受けていただくまでが大変」と多良さん。統計法は基幹統計調査への回答義務を定めており、事前に長崎県から調査依頼文が住民に届くが、すんなりいくわけではない。「面倒」「共働きで記入時間はない」-。プライバシー意識の高まりもあり、嫌がる住民は少なくない。こうした住民に、多良さんは穏やかに、粘り強く協力を求める。「レシートを保管してもられば手伝う」と提案することも。長崎県統計課の笠山浩昭課長(58)は「調査員は統計法上の義務とのはざまで苦しんでいる」といたわる。

 ただ、多良さんは「嫌になったことはない」。自家用車で回り、訪問日時を厳守し、対象世帯との信頼関係を築いていく。「引き受けてくれた人に感謝。調査結果がニュースで報じられるとやりがいを感じる」

 多良さんのような統計調査員は長崎県内に約1530人。関わる統計は労働力調査、毎月勤労統計調査など56の基幹統計のほか、職種別民間給与実態調査など多様な一般統計調査も。調査員は一軒一軒に足を運び、データを積み上げている。

 調査員からデータを受け取る長崎県統計課の森幹太さん(24)も忙しい。家計調査は県内12人の調査員から月に約300の家計簿が届く。それをチェックし、問題がなければ国に送る。資料や備品を保管する作業室での整理も多く、調査を嫌がる世帯への折衝に土日に出向くことも。それでも森さんは「県に不信感さえ持っていた人と話し込んで納得してもらい、その人の調査票がきれいに書き込まれていたときはうれしい」。

 調査員、自治体職員らの苦労やダブルチェックを経て、統計の基となる数字は国に届けられ、集計され、世の中の姿を映し出す。それだけに多くの裏方が汗を流した統計の信頼を“小手先”の不正で揺るがした厚労省の責任は極めて重いといえる。

 長崎県は「日本近代統計の祖」とされる杉亨二(こうじ)の出身地。長崎県は「子どものころから統計への理解と関心を高めてほしい」(笠山課長)と小中学生向け出前講座などを進めている。




by asyagi-df-2014 | 2019-01-31 08:52 | 持続可能な社会 | Comments(0)

地域の足を守るために、何ができるのか。

 朝日新聞(以下、「朝日」)は、「過疎地の足 「住民主体」で工夫を」、と2019年1月26日の社説で投げかけた。
 中山間地に住む住民として、最近は高齢化の行き着くところを覚悟しなければならない、という状況を目の前に見なければならないかと考えさせられてきている一人として、この表現にまずは驚かされる。
 「朝日」の報告は、次のものである。


(1)鉄道をはじめ、バスやタクシーも撤退したり、運行を減らしたりしている過疎地の交通をどう確保するか。
(2)車を運転するのが難しいお年寄りらの買い物や通院を助けようと、NPO法人などを主体として、住民による自家用車を使った有償運送が少しずつ広がっている。制度発足から12年が過ぎ、全国で百十余の地域で実施されている。ご近所さん頼みでは、乗せてもらう人は遠慮し、運ぶ側も負担が重くなりがちだ。長続きする仕組みを作り、住民同士のつながりも育みたい――。そんな狙いを込めた取り組みである。
(3)京都府の北端、日本海に面した京丹後市では、タクシーの営業所がない丹後町を起点に、NPOが2年半前から運行している。米国企業「ウーバー」の配車サービスを使ったことで注目され、視察が相次ぐ。
(4)乗車したい人はスマートフォンのアプリを操作して車を依頼し、登録されている18人の住民ドライバーのうち都合のつく人がマイカーで駆けつける。料金はタクシーの半分ほどだ。運転手の平均年齢は63歳で、事前に講習を受け、安全を徹底する。『小遣い程度』の報酬は受け取るが、余暇時間の有効活用が動機という人が多い。スマホを使えない人に代わって他の住民が配車を頼めるようにするなど、『ささえ合い交通』という事業名通りの趣だ。
(5)自家用車の活用では、「対象地域がどんどん広がらないか」と警戒するバス・タクシー業界との調整が難題だ。業界に配慮する形で、利用エリアや時間など運行に何らかの制限がある例が少なくないが、過疎化とともに運転手不足も深刻なだけに、地域と業界の関係は変わりつつあるようだ。
(6)中山間地の兵庫県養父(やぶ)市は昨年、NPOで事業を始めたが、予約電話を受けるのは地元のタクシー会社だ。「採算がとれない地域を住民ドライバーに担ってもらっている。様々なノウハウを提供したい」と協力的だ。
(7)タクシー業界独自の試みも見られる。長野県の諏訪地域では、70歳以上の人を対象に、定額で乗り放題の「定期券タクシー」を実験中だ。熊本県荒尾市では、いまは原則禁止の「相乗りタクシー」が試験的に走っている。安い料金メニューとして定着すれば、住民に歓迎されるだろう。


 この上で、「朝日」は、「元気な住民の力を生かしつつ、行政や民間がしっかりと役割を果たす。各地の実情に応じて連携し、補い合いながら、地域の足を守っていきたい。」、とまとめる。


 実は、このことは、地域で元気に安心して暮らすためには、非常に重要な課題である。



by asyagi-df-2014 | 2019-01-30 07:11 | 持続可能な社会 | Comments(0)

ベトナム戦争後に行き場を失った“枯葉剤”が日本に埋められている。

 2017年11月27日、日刊SPAの「 ベトナム戦争後、行き場を失った“枯葉剤”が日本に埋められている――全国54か所の国有林リスト」、を読む。
 まずは、枯れ葉剤が埋没処理されている54カ所の地名から。


1.北海道夕張市
2.北海道遠軽町
3.北海道広尾町
4.北海道音更町
5.北海道清水町
6.北海道標茶町
7.北海道本別町
8.青森県中泊町
9.岩手県久慈町
10.岩手県野田村
11.岩手県雫石町
12.岩手県岩泉町
13.岩手県宮古市
14.岩手県西和賀町
15.福島県会津坂下町
16.群馬県東吾妻町
17.群馬県昭和村
18.山梨県甲府市
19.愛知県設楽町
20.愛知県豊田市
21.岐阜県下呂市
22.岐阜県下呂市
23.広島県庄原市
24.愛媛県西条市
25.愛媛県久万高原町
26.愛媛県宇和島市
27.愛媛県松野町
28.高知県四万十市
29.高知県四万十町
30.高知県いの町
31.高知県大豊町
32.高知県安芸市
33.高知県土佐清水市
34.佐賀県吉野ヶ里町
35.長崎県五島市
36.熊本県熊本市
37.熊本県宇土市
38.熊本県芦北町
39.大分県玖珠町
40.大分県別府市
41.宮崎県日之影町
42.宮崎県西都市
43.宮崎県宮崎市
44.宮崎県宮崎市
45.宮崎県小林市
46.宮崎県小林市
47.宮崎県都城市
48.宮崎県串間市
49.鹿児島県肝付町
50.鹿児島県湧水町
51.鹿児島県伊佐市
52.鹿児島県伊佐市
53.鹿児島県南九州市
54.鹿児島県屋久島町


 この名前の一つひとつが、驚愕の事実。
 では、このことはどうしてもたらされたのか。
 日刊SPAは、「埋設地が、全国の国有林に現在判明しているだけで54か所もある。埋められた薬剤の総計は粒剤(顆粒状の薬剤)が2万5062kg、乳剤(液体状の薬剤)が2132リットル。現在は林野庁の職員が年2回、足を運んで視認するだけだ。」、と次のように指摘する。


(1)毒ガス弾や枯葉剤など、戦争で使われた化学兵器が今でも全国各地に埋まっているという。その現場をリポート!
【行き場を失った枯葉剤が国有林に埋められている】
(2)「ここに薬剤(2・4・5T)が埋めてあります。定期的に植物の状態を観察していますので立ち入らないで下さい」。石畳の遊歩道脇に「立入禁止」の看板が控えめに立っていた。「町議会で質問され、柵がつくられるようになりました。その前は何もない状況でした」。屋久島町環境政策課長はこう振り返る。「2・4・5T剤」(以下、245T)とは、ベトナム戦争の対ゲリラ作戦で米軍が撒いた枯葉剤の成分となる薬剤だ。枯葉剤はベトナムの森林を死滅させただけではない。残留するダイオキシンが、ベトちゃん・ドクちゃんに代表される強い催奇性の毒性を持つことが明らかになっている。
(3)現場は市街地からも近い「憩いの森」として住民に親しまれている。この森の一角に約3.8tの245Tが埋められたのは’72年。10m間隔で13個の穴の底にビニールを敷いて薬剤を置き、その上にセメントを流してビニールで覆い、土に埋めたという記録がある。その後’85年に上部のみ生コンで覆ったというが、本当かどうかは誰も確かめられない。
(4)そういった埋設地が、全国の国有林に現在判明しているだけで54か所もある。埋められた薬剤の総計は粒剤(顆粒状の薬剤)が2万5062kg、乳剤(液体状の薬剤)が2132リットル。現在は林野庁の職員が年2回、足を運んで視認するだけだ。


 また、枯れ葉剤と日本国との関係を指摘する。


(1)「実は、日本も米軍の枯葉作戦に中間製品の供給という形で協力していたのです。ニュージーランドやオーストラリアで加工され、最終的にベトナムに運ばれていました」と解説するのは、『真相日本の枯葉剤』(五月書房)の著者で、旧日本軍の化学兵器に詳しい原田和明氏。
(2)国内で生産を担ったのは、戦前毒ガス原料の中間剤を製造していた三井東圧化学(現三井化学)の大牟田工業所だ。
(3)「国会で枯葉剤中間製品の製造が暴露された際、内需がなかったことからベトナムでの使用が疑われた。そこで内需を無理やりひねり出すため、林野庁が一部の245Tを除草剤として散布し始めたのでしょう」と原田氏は指摘する。


 さらに、「国有林に埋めたらもう誰にもわからない」、と杜撰な管理状態を告発する。


(1)’60年代から’70年前後までに散布された薬剤の量は、枯葉剤生産時にできる副産物の塩素酸ソーダが5280t、245Tも570tに上る。ところが’71年4月にベトナムでの枯葉剤作戦が中止されると同時に、林野庁も245Tの使用を中止。このとき不要になった薬剤が行き場を失い、全国の国有林に埋められた。
(2)林野庁職員として大分県の祖母・傾山系に配属されていた加藤久次氏(仮名)は、当時の様子を振り返る。「245T散布の際、講堂に職員が集められて講習会が開かれ、『地域住民から聞かれたら人体には影響がないと言え』と指示されました。『塩素系の薬剤で、原料は塩と同じだから人畜無害』と、メーカーから派遣された社員が実際に薬剤を舐めてみせたことも」。


 結局、報告は、①「宮崎県の民間団体がまとめた資料には、散布に従事した職員10人のうち肝臓がん、肝機能障害、肺がんで死亡した者が7人いるとの記述があるが、実態は不明だ。『国有林に埋めたら、もう誰にもわからない。林野庁は【犯罪の予防等】を理由に明かさないからです』と加藤氏は説明する。」、②「記者が林野庁の資料をもとに、埋設地とされている自治体に場所を把握しているかどうか聞いたところ、54か所中15か所だけだった。’99年以降は埋設地の調査も中止され、今もその状況はよくわからないままなのだ。」、とされる。


 日本の危うさが、ここでもまた、深刻であることが証明される。



by asyagi-df-2014 | 2019-01-05 09:51 | 持続可能な社会 | Comments(0)

「第4の琉球処分」や「日本の屈辱の日」として「2018年12月14日」を捉えること。(4)

沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2018年1月14日、「沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府は14日午前11時、護岸で囲った埋め立て区域に土砂を初めて投入した。玉城デニー知事が13日に岩屋毅防衛相に工事を中止するよう求め、沖縄防衛局に埋め立て承認の条件となる事前協議がないことなどを理由に工事中止を文書で指導する中、政府が埋め立てを強行した格好だ。1995年の米兵による暴行事件をきっかけに、96年に日米両政府が米軍普天間飛行場返還を合意し、名護市辺野古への移設を条件とした新基地建設問題は、返還合意から22年間で最大の重要局面を迎えた。」、と報じた。
 今、私たちに求められるのは、この「2018年12月14日」を、どのように捉えることができるかということである。
 いずれ、歴史的に「2018年12月14日」が、「第4の琉球処分」や「日本の屈辱の日」として捉え直される日が来る。
 だとしたら、この「2018年12月14日」の意味を、しっかりとつかみ取る必要がある。


 ここでは、日本YWCAの「辺野古海域への土砂投入に対して抗議声明」(2018年12月10日)と全日本民主医療機関連合会の「政府の違法で民意を無視した辺野古沿岸部への土砂投入に対して直ちに工事を中止するよう強く抗議する」(2018年12月14日)を読む。
まず、日本YWCAは、次のように主張する


(1)岩屋毅防衛大臣は、12月3日に「辺野古海域への土砂投入を今月14日に予定している」と発表しました。辺野古新米軍基地建設に関しては、2度にわたる県知事選挙によって、沖縄の民意は「NO」を言いつづけています。今回も、沖縄の市民たち、そしてこの事柄に責任を感じているヤマト(沖縄以外に住む者たち)の市民たちがずっと反対行動を続けています。私たち日本YWCAも、その中に加わり、反対の声を上げ続けてきました。
(2)私たち日本YWCAは、アジア・太平洋戦争において、戦争を止める力になり得なかった自らの責任を深く省み、「平和を作りだすもの」としての歩みを続けてきました。軍用基地はどのような国のものであっても、結局は「人を殺すため」「戦争をするため」に訓練されるところです。私たちは、どのような目的のためであっても、人を殺すことに加担することはできません。戦争をするための米軍基地は、戦争を放棄しているこの国には不必要です。
(3)米軍基地にいる兵士たちは「人を殺すため」に訓練された人々です。兵士たちは「人を差別する」ように教育されます。そうでなければ人を殺すことはできないからです。結果、「日本の人々を差別しても良い」と思い、支配と差別を繰り返します。この70年以上の間ずっと、沖縄の女性と少女たちは米軍兵による暴力(殺人、強姦、身体的・精神的・性的ハラスメントなど)を受け続けてきました。なぜ、女性や少女たちはこのような目に遭わなければならないのでしょうか。
(4)米軍の訓練のために、沖縄の保育園の上を軍用機が飛んでいます。2017年12月には本来の訓練ルートではないのに、なぜか毎日飛んでいた米軍用機から落ちた落下物によって、もう少しで大惨事になるところでした。また、これまでにもたくさんの事故が起こり、人命が奪われ続け、住民の安全は脅かされています。
(5)辺野古の海は、本当に美しい海です。いのちを育む海です。ジュゴンやウミガメ、サンゴをはじめとする、多くの種類の動植物は、ここでしかいのちを得ていくことができません。土砂投入は、これらの生態系を完全に壊すことになります。私たち日本YWCAは、全てのいのちが大切にされ生かされることを願って活動を続けています。
 辺野古海域への土砂投入に強く抗議します。辺野古への新米軍基地建設を撤回してください。


 日本YWCAは、「最後に、沖縄の人々や、私たち市民の声を聴いてください。」、と求めています。


 続いて、全日本民主医療機関連合会の主張は、次のものです。


(1)政府は12月14日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古の新基地建設を巡り、辺野古沿岸部に土砂を投入した。違法な工事を進めることは断固として容認できず、ましてや土砂投入は絶対に許されない。直ちに工事を中止するよう強く求める。
(2)沖縄防衛局は私人と異なり行政不服審査法の適用が除外される「固有の資格」で埋め立て承認を受けたため、同法による埋め立て承認撤回の執行停止申し立ては違法である。そして違法な申し立てを認めた国土交通省の執行停止も違法であると多くの専門家からも指摘されている。仮に執行停止が違法でないとしても、県が承認時に条件とした事前協議をしないままの工事は違反であり、埋め立て土砂の投入は許されない。名護市安和地区から搬出した土砂は、埋め立て用材として承認を受けておらず、また土砂の陸揚げに使用される「K9」護岸は桟橋として使用するのは承認時の留意事項に違反している。
(3)このように重大な問題点があるにも関わらず、法治国家である日本において、政府が違法行為を繰り返しており、民意を無視した強硬な姿勢に対し強く抗議する。辺野古新基地建設反対の民意は沖縄県知事選で示されたはずである。


 全日本民主医療機関連合会は、最後に、「あらゆる戦争政策に反対し、いのちを守る医療従事者の立場から、県民投票をはじめ、政府の辺野古新基地建設を断念させるまで全国から沖縄への連帯の輪を広げる。改めて工事の即時中止と原状回復を政府に強く求めていくものである。」、と英明をまとめています。



 さて、今こそ、国民一人一人が他人事と思うことなく、現状を直視するなかで発言し、動く時であると考えます。



by asyagi-df-2014 | 2018-12-28 06:46 | 持続可能な社会 | Comments(0)

「第4の琉球処分」や「日本の屈辱の日」として「2018年12月14日」を捉えること。(5)

沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2018年1月14日、「沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府は14日午前11時、護岸で囲った埋め立て区域に土砂を初めて投入した。玉城デニー知事が13日に岩屋毅防衛相に工事を中止するよう求め、沖縄防衛局に埋め立て承認の条件となる事前協議がないことなどを理由に工事中止を文書で指導する中、政府が埋め立てを強行した格好だ。1995年の米兵による暴行事件をきっかけに、96年に日米両政府が米軍普天間飛行場返還を合意し、名護市辺野古への移設を条件とした新基地建設問題は、返還合意から22年間で最大の重要局面を迎えた。」、と報じた。
 今、私たちに求められるのは、この「2018年12月14日」を、どのように捉えることができるかということである。
 いずれ、歴史的に「2018年12月14日」が、「第4の琉球処分」や「日本の屈辱の日」として捉え直される日が来る。
 だとしたら、この「2018年12月14日」の意味を、しっかりとつかみ取る必要がある。
世界平和アピール七人委員会 は2018年12月17日、「沖縄県民の意思を無視し、対話を拒否する政府を 許容してはいけない」との声明を発表した。
 「国民一人一人が他人事と思うことなく、現状を直視し、発言されることを求めます。」、とした声明の内容は、次のものである。


 政府は、沖縄県民の意思を無視して、玉城デニー知事の度重なる対話要請に真摯に向き合わず、対話を拒否し、辺野古の恒久基地化をめざし、埋め立て計画区域への土砂投入強行を始めました。
 安倍政権の度重なる暴力的行動は、日本国憲法に書かれている「国政は、国民の厳粛な信託による」とする人類普遍の原理に違反し、平和のうちに生存する権利を否定するものです。政治には倫理とヒューマニティが必要です。
 世界平和アピール七人委員会は、19 世紀に琉球王国を滅亡させ、20 世紀に沖縄戦において県民に多大な犠牲を強いたことに続く、21世紀の琉球処分を認めるわけにいきません。私たちは 沖縄県民の側に立ちます。
 国民一人一人が他人事と思うことなく、現状を直視し、発言されることを求めます。


 確かに、安倍晋三政権のあくまでも暴力を使用しての強攻策を貫こうとする姿勢は、背景に「辺野古の恒久基地化」の狙いがあるからに違いない。
 また、「第4の琉球処分」(21世紀の琉球処分ー声明)をも黙認する多くの日本人のささえを力にしている。
それであれば、やはり、国民一人一人が他人事と思うことなく、現状を直視するなかで発言し、動こうではないか。




by asyagi-df-2014 | 2018-12-27 09:07 | 持続可能な社会 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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