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安倍晋三政権による米国製兵器の輸入拡大で、防衛省が装備品代金の支払い延期という異例の措置を業界に求めていることが明らかになった。

 どういうことなのか。
東京新聞(以下、「東京」)2018年11月29日によると、「防衛省が装備品代金の支払い延期という異例の措置を業界に求めていることが明らかになり、安倍政権による米国製兵器の輸入拡大が、毎年の予算の大幅増にもかかわらず、防衛費を圧迫している実態が鮮明になった。」、というのである。
 ちょっと待った。どんなに考えても、やってはいけないことではないのか。
 しかし、「東京」は、このように続ける。


(1)複数年で支払う装備品代金の繰り延べは過去にも行われてきたが、返済の最終期限を延ばすことはなかった。今回は追加発注という、いわばニンジンと抱き合わせで期限を延ばしており、防衛省のある元幹部は「過去にやったことはないのでは」と驚く。
(2)防衛省が「禁じ手」に踏み切る要因となった兵器ローンは二〇一二年度まで三兆円前後で横ばいだった。だが、安倍政権のわずか六年間で二兆一千億円も増え、来年度は五兆三千億円と年間の防衛費に匹敵するまでに膨張。毎年、返済額を大きく上回る新規ローンが発生しており、今後さらに増えるのは必至だ。
(3)現場の自衛隊では、現政権が米国製兵器を急激に買い進めるあまり、維持整備や隊員の訓練にしわ寄せが出ていることに深刻な懸念が広がる。財政が危機的状況であるにもかかわらず、借金を増大させた原因と責任は、国会で検証する必要がある。 
(鷲野史彦)


 確かに、「国会で検証する必要がある。」問題である。
それにしても、「兵器ローンは二〇一二年度まで三兆円前後で横ばいだった。だが、安倍政権のわずか六年間で二兆一千億円も増え、来年度は五兆三千億円と年間の防衛費に匹敵するまでに膨張。毎年、返済額を大きく上回る新規ローンが発生しており、今後さらに増えるのは必至だ。」、とはあまりもひどいのではないのか。


 また、「東京」は同日、業界側の声を、次のように続ける。


(1)「防衛省から話を聞いて社内でも『大変だ』となった」。防衛省が国内の防衛企業六十二社に求めた装備品代金の「支払い猶予」が業界に大きな波紋を広げている。「支払いを遅らせてくれ、というのはつらい」「我々にメリットはない」。企業側は戸惑いや反発を強めており、年末の予算案作成に向け、どれくらいの企業が応じるのか、先行きは見えない。
(「税を追う」取材班)
(2)「防衛省から『今、厳しいからよろしくお願いします』という話があった。来年度に全部の後年度負担(兵器ローン)を支払えないから、少しでも額を減らしたいのだろう。防衛省は本当に切羽詰まっている」。支払い延期の要請を受けた防衛商社の幹部はそう証言する。十一月初めに防衛省で開かれた説明会は多数の企業関係者で埋め尽くされたという。
(3)席上、防衛省の担当者は「自衛隊の安定的な運用のため、必要な部品の追加発注をしたい」と説明したという。だが、部品の追加発注だけなら新たに契約すればいいはず。既に入札や契約を終えた部品の支払いを延ばす理由にはならない。「米国から高額な兵器をいっぱい買った。その支払いがどんどん増え、しわ寄せが来ている」と、この幹部は分析する。
(4)部品メーカーの担当者は「キャッシュ(現金)が入ってこない状況が厳しいのは、どこの会社も同じ。お金を借りなければいけなくなってしまうからだ」と戸惑いを隠せない。「うちだけでなく、どの会社も対応が難しいと言っている」。別の防衛商社幹部は「入札して(納入する)数量が決まっているものを、『数を増やしてやるから代金を後払いさせてくれ』というのはあまり考えられない」と言う。この商社には支払いの延期要請は来ていないが、「数量や代金支払い時期の変更は、大きな契約変更で内々でやる話ではない。後日、公表しなければおかしい」と批判する。
(5)防衛省が予算不足で支払いを先送りする「繰り延べ」は、一九九七~二〇一二年度までは毎年繰り返されたが、今回のように最終期限を延ばしたり、追加発注を抱き合わせにすることはなかったという。
(6)安倍政権は毎年防衛予算を増やしており、一三年度からは、繰り延べはなくなっていた。だが、米政府を窓口にした対外有償軍事援助(FMS)による兵器の輸入が進み、毎年返済額を超える新たな兵器ローンが発生。今回の支払い延期要請につながったとみられる。
(7)防衛省会計課の担当者は「歳出化経費(兵器ローン返済)の先送りではない」と否定するが、本紙記者が「企業側は先送りと受け止めています」とただすと、こう漏らした。「中には、そう受け止める方もいるでしょうね」。


 「米政府を窓口にした対外有償軍事援助(FMS)による兵器の輸入が進み、毎年返済額を超える新たな兵器ローンが発生。」、との指摘は、日本国にとって重大な問題である。
 また、業界関係者の「『米国から高額な兵器をいっぱい買った。その支払いがどんどん増え、しわ寄せが来ている』と、この幹部は分析する。」、との声が当を得ているとしたら、あまりにも日本国は稚拙である。



by asyagi-df-2014 | 2018-12-11 07:15 | 米軍再編 | Comments(0)

「差止め認めず」「賠償勝訴」、と二枚の旗が掲げられた。

 東京新聞(以下、「東京」)は2018年11月30日、表題に関して、「米軍横田基地(東京都福生市など)の周辺住民百四十四人が米軍機などの夜間、早朝の飛行差し止めと騒音被害の損害賠償を求めた『第九次横田基地公害訴訟』の判決で、東京地裁立川支部(見米正裁判長)は三十日、国に過去の被害賠償として九千五百六十七万円の支払いを命じた。一方で、夜間、早朝の飛行差し止めと、騒音被害がなくなるまでの将来分の賠償請求は退けた。」、と報じた。
また、その判決内容について、次のように報じた。


(1)判決は、航空機騒音の指標「うるささ指数(W値)」が七五以上となる地域の住民について「周辺住民への見過ごせない不公平が存在する。国による防音工事は対策として不十分だ」と指摘。W値七五で月四千円、同八〇で月八千円、同八五で月一万二千円の慰謝料支払いを命じた。同七五を下回る地域の住民の賠償請求は認めなかった。賠償額は昨年十月の「第二次新横田基地公害訴訟」の一審判決と同額だった。
(2)ただ、米軍機の飛行差し止めは「国は米軍機の運航を規制、制限できる立場にない」とし、将来生じる騒音被害の賠償は「被害が明確に認定できず請求できない」などと判断した。
(3)一九七五年に小松基地(石川県小松市)を巡る訴訟が起こされて以降、全国六基地の周辺住民が同様の訴訟を繰り返してきた。最高裁は二〇一六年十二月、厚木基地(神奈川県)訴訟の判決で、米軍機の飛行差し止めは国内で審理できないとし、将来分の騒音被害も明確に認定できず賠償請求できないとの判断を示した。今回の判決もこの判断基準を踏襲する形となった。
(4)第九次横田基地公害訴訟は二〇一二年十二月、騒音で人格権などが侵害されているとして周辺住民が提訴。午後七時~午前八時の航空機の飛行差し止めと居住地上空での訓練差し止め、これらが実現するまで一人当たり月二万三千円の賠償を求めた。


 さらに、「東京」は、原告団等の「金さえ払えばいいってことか」「私たちのつらさを、どうして裁判所は分かってくれないのか」、といった怒りの声を次のように伝えた。


(1)米軍横田基地(東京都福生市など)の騒音被害を巡る第九次横田基地公害訴訟で、東京地裁立川支部は三十日、過去の被害に対する賠償は認めたものの、夜間、早朝の飛行差し止めと、騒音被害がなくなるまでの将来分の賠償請求は退けた。原告の住民にはため息と怒りが交錯した。(松村裕子、萩原誠)
(2)「差止(さしと)め認めず」「賠償勝訴」。午前十一時二十分、立川支部前の路上で弁護士が二枚の旗を広げた。集まった原告の住民や、全国で同種裁判を闘う人の間からは「金さえ払えばいいってことか」「私たちのつらさを、どうして裁判所は分かってくれないのか」などと声が上がった。
(3)原告の中里博文さん(64)=立川市=は「まるっきり期待外れというか、何も踏み込まず、新しいことはなくてがっかり。飛行差し止めについても今まで通りという感じで、人の情けのないような判決だ」。やはり原告の設計業菅原和夫さん(74)=昭島市=も「ある程度予想はしていたが、全く進歩のない判決で、憤りを感じる。結果は同じでも、先の見える何かがあればと思ったが、がっかりだ」と嘆いた。同市の無職原島清さん(77)は「窓を開けると何も聞こえない。オスプレイは振動も騒音もひどい」と被害がむしろひどくなっていることに顔をゆがめた。同市の無職花岡靖智さん(76)は「安保法がある限りだめだ。民事裁判ではどうにもできない。沖縄だけでなく、東京でも基地問題があることを知ってほしい」と話した。
(4)「基地周辺住民はいつまで闘い続けなければならないのか」。第九次横田基地公害訴訟の原告団長・福本道夫さん(69)は、米軍機の飛行差し止めなどを認めなかった判決を聞き、唇をかんだ。伊豆大島で生まれ、三歳のときに家族で東京都昭島市に転居して以来、米軍機の騒音に苦しめられてきた。「一九七〇年代までは戦闘機が頻繁に飛び、エンジンを吹かす音で会話も勉強もままならなかった」。基地への飛来が戦闘機から輸送機中心に変わっても、被害は収まらなかった。
(5)都職員だった父・龍蔵さん=故人=は七六年提訴の第一次訴訟以来、原告団長を務めた。八二年に自身も原告に加わり、四年前からは第九次訴訟の原告団長に。父への思いも胸に、この日の判決に臨んだ。現在の住まいは基地のフェンスから直線距離で二キロ余り。「うるささ指数(W値)」が七五以上の区域からは外れている。だが「上空で旋回訓練をすれば騒音の激しさはどこでも同じ。判決は実態を反映していない」との思いを強くする。
(6)横田基地に十月、米空軍の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイが正式配備され、周辺住民に新たな懸念材料が加わった。福本さんは「遠くまで届くプロペラの音や振動は異質で強い不快感がある」と指摘した上で、決意を新たにする。「被害が続くのは政府が米国に何も言えず、その結果を私たちが負わされているからだ。一歩ずつ、半歩ずつでも解決に近づけるために闘うしかない」


 「東京」は、この判決の批判に関して、12月2日に回された原告団と弁護団は立川市内での記者会見の模様を次のように伝えた。


(1)判決は、横田基地周辺の住民が一九七六年以降、同様の訴訟を繰り返してきた経緯に触れ、国と米国が「抜本的な被害防止策を講じず、漫然と放置している」と指摘。航空機騒音の指標「うるささ指数(W値)」が七五以上となる地域の住民は「受忍限度を超える違法な権利侵害を受けている」と、過去の被害に対する賠償として、W値七五~八五の地域の住民に月四千円~一万二千円の支払いを国に命じた。賠償額は計九千五百六十七万円。
(2)しかし、焦点となった夜間、早朝の飛行差し止めや将来の被害に対する賠償は認めず、最高裁が二〇一六年の厚木基地訴訟の判決で示した判断を踏襲する形となった。
(3)原告側は新たな司法判断を導き出そうと、十月に横田基地に正式配備された米空軍の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイによる被害拡大も主張。しかし判決は、結審の七月時点では正式配備されておらず「事故の危険性は抽象的」とし、被害認定に踏み込まなかった。
(4)福本原告団長は会見で「オスプレイは正式配備前の六月から訓練している」と憤り、控訴審ではCV22の騒音被害の詳細データを提出する考えを示した。また、佐竹俊之弁護団長は、W値七五未満の地域では賠償を認めなかったことに『受忍限度を超えていることを立証するように住民に求めているように受け取れる』と批判した。


 確かに、私たちが肝に銘じなけねばならないのは、「被害が続くのは政府が米国に何も言えず、その結果を私たちが負わされているからだ。一歩ずつ、半歩ずつでも解決に近づけるために闘うしかない」(「東京」)、との声である。
 それにしても、日本の司法の役割が「『事故の危険性は抽象的』とし、被害認定に踏み込まなかった。」(「東京」)ということでしかないのであれば、日本の司法は完全に責任放棄をしている。



by asyagi-df-2014 | 2018-12-09 07:01 | 米軍再編 | Comments(0)

「日出生台でオスプレイ訓練」が大分合同新聞の1面で。

 大分合同新聞は2018年11月16日、「日出生台でオスプレイ訓練 日米が12月実施へ」、と次のように報じた。


(1)垂直離着陸型の米軍輸送機オスプレイを使った「日米共同訓練」が12月に陸上自衛隊日出生台演習場で実施される見通しであることが15日、関係者への取材で分かった。近く防衛省サイドが地元自治体に説明するとみられる。安全性が不安視される同機が大分県内の演習場で運用されるのは初めてになる。
(2)防衛省は今年4月、九州で10~12月に共同訓練を計画していると発表。「期間は2週間程度。オスプレイも参加する」とした。5月には米軍関係者が日出生台を視察していた。
(3)オスプレイは2012年10月に沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場に配備されて以降、国内でもトラブルが相次いでいる。16年12月に同県名護市の沿岸に不時着し、大破。昨年8月にはエンジントラブルで大分空港に緊急着陸した。
(4)日出生台は広さ約5千ヘクタールで、西日本最大の陸自演習場。1987~2012年にかけ、日米共同訓練が5回実施されている。これとは別に、2018年2月には4年連続13回目となる在沖縄米軍の実弾砲撃訓練があった。
(5)今回の訓練計画に対し、大分県と地元の由布市、玖珠、九重両町でつくる日出生台演習場問題協議会(4者協)は「既に沖縄の負担軽減に十分協力している」との立場。今年5月に会長の二日市具正副知事と市長、町長が福岡市の九州防衛局を訪ね、日出生台で実施しないよう要請書を手渡している。




by asyagi-df-2014 | 2018-11-16 11:48 | 米軍再編 | Comments(0)

オスプレイ8機の「一斉交換」て何なの。

 半田滋さん(以下、「半田」)が2018年9月9日、「内部はサビと腐食だらけ…!オスプレイ8機が『一斉交換』の謎 もうすぐ首都圏でも飛ぶというのに」、とGENDAI ISMEDIAに著した。
どいうことなのか。
「半田」は経過について、こう説明する。


(1)沖縄県の米海兵隊普天間基地に配備されている垂直離着陸輸送機「MV22オスプレイ」が8機一斉交換となった。米軍側と日本の防衛省は「通常の機体交換」と口を揃えるが、これ以上の説明はない。
(2)そもそも機体を丸ごと交換すること自体、「通常」とはいえない。それも同時に8機である。普天間基地に配備されて5年も経過しないうちに、墜落などで2機が失われたオスプレイ。いったい何が起きているのか。
(3)この問題は、全国紙やテレビで報道されていない。最初から説明する必要があるだろう。8機のオスプレイが山口県岩国市の米海兵隊岩国基地に到着したのは7月7日だった。大型輸送船に乗せられ、6月22日に西海岸にあるカリフォルニア州のサンディエゴ海軍基地を出港した。岩国基地への陸揚げに際し、日本政府や岩国市への事前通告はなかった。今年5月、横浜港にある米陸軍横浜ノース・ドックに陸揚げされた米空軍仕様の「CV22オスプレイ」5機の場合、到着直前の1日前に米側から通報があったが、今回は岩国基地に到着して4日も経過した7月11日の事後通告だった。しかも「保安上の理由から機数は言えない」というのだ。防衛省に取材しても「機数は聞いていない」。岩国市は基地の状況を把握するため、民間の「情報提供協力員」に基地監視を委嘱している。その専門家が機数を数えているにもかかわらず、シラを切り通した。
(4)陸揚げの際、確認された機体番号から、カリフォルニア州のミラマー基地所属の4機と東海岸のノースカロライナ州にあるニューリバー基地所属の4機と判明、米本土の海兵隊基地からかき集めたことがわかる。ブロックCと呼ばれるレーダーなどを強化した機体も含まれていた。
(5)岩国基地には今年6月末、普天間基地のオスプレイ8機が飛来し、駐機場に置かれていたことが確認されている。これらの機体が、交換する8機を載せてきた大型輸送船に入れ替わりで積み込まれ、7月のうちに米本土へ向けて出港した。岩国基地に陸揚げされた8機のうち、7機は7月中に普天間基地へ飛び立ったが、1機は滑走路で立ち往生。8月3日になって、ようやく普天間へ向けて離陸した。交換する機体に不具合があったとすれば、何のための交換なのか、という話である。
(6)普天間配備のオスプレイは2012年7月に12機、翌13年7月にも12機の合計24機が岩国基地に陸揚げされた。ところが、16年12月、沖縄県名護市の浅瀬に1機が不時着水して大破、17年8月にはオーストラリアで揚陸艦への着艦に失敗して洋上に墜落、兵士3人が死亡している。配備開始から5年も経たないうちに2機が失われているのだ。失われた2機はすでに補てんされている。


 「半田」の追求が始まる。


(1)筆者は今回の交換について、普天間基地の広報部に「8機一斉に交換する理由は何か」「交換の理由が定期整備なら(オスプレイの定期整備を行う千葉県の陸上自衛隊)木更津駐屯地を活用しないのはなぜか」とメールで問い合わせた。
(2)これに対する回答は、以下の通りである。
(3)「この交換は、航空機および機器の通常の交換の一部である。入ってくるオスプレイと普天間基地の機体との1対1の交換が行われる。特定の機体は、アップグレードの予定。機数の増減はなく、沖縄のオスプレイの戦力レベルを変更する計画はない」
(4)回答らしい回答は「通常の機体交換」「一部はアップグレード」の部分だけ。機数の増減や戦力レベルなど聞いてもいないことに答えて、肝心の機体交換の理由には触れていない。
(5)防衛省に取材すると、沖縄調整官付は「米側から『通常の機体交換』と聞いている。それ以上は、米軍の運用にかかわることなので聞いていない」とまるで人ごとだった。普天間基地を抱える宜野湾市基地渉外課にも問い合わせたが、「米軍は『保安上の理由』として、交換した機体の数さえ明かさないのです」とのことだった。宜野湾市役所は普天間基地に隣接している。「よき隣人でありたい」と繰り返す米軍が、機数という基礎データさえ明らかにしないのだ。
(6)筆者は「定期整備の必要性から交換したのでは?」という仮説を立てていたが、岩国市や宜野湾市の問い合わせに、交換した機数さえ答えようとしないのは、「8機一斉交換」の事実そのものを隠したいから、ではないだろうか。


 「半田」は、核心に迫る。


(1)そのナゾに迫るには、筆者が米軍に問い合わせた「木更津駐屯地での定期整備」についての解説が必要だろう。
(2)航空機は、定められた飛行時間ごとに分解され点検を受ける。オスプレイも例外ではなく、5年に1回の割合で、分解点検を含む定期整備が必要とされている。
(3)防衛装備庁は、普天間配備のオスプレイと陸上自衛隊が導入を進める17機のオスプレイの共通整備基盤として木更津駐屯地の活用を決め、自衛隊の格納庫1棟を整備工場に改修した。米軍の入札により、整備は「スバル」(旧富士重工業)が請け負い、約30人の整備員が機体整備にあたることになった。
(4)最初の1機は昨年1月、普天間基地から飛来し、翌2月から定期整備に入った。防衛装備庁は「1機あたり整備工期は3、4カ月程度」と説明していたが、今月になって9月5日以降の試験飛行開始を発表した。つまり、整備に1年8カ月以上もの長期間を要したことになる。
(5)これにより「定期整備は年5~10機」とする防衛装備庁の目算は外れた。最初の1機の定期整備が順調に終わっていれば、交換した8機は米本国へ送り返すことなく、木更津で整備できたのかもしれない。
(6)定期整備が異常に長引いたことについて、防衛装備庁の坂本大祐事業管理監は「最初の一機なので慎重にやっている。開けてみないと分からない状態のところもあり、部品を発注しても米国から届くまでに時間がかかる」と話す。整備の「不慣れ」が主な原因との説明だが、防衛省関係者は「事態はもっと深刻でした。乗員や兵士が乗る部分の床板を開けてみたら、機体の内側はサビと腐食だらけ。自衛隊が丁寧に使っている機体しか見たことのない整備員たちは『これは整備ではない、修理だ』と驚いていた」と明かす。手の施しようがなく、そっくり交換しなければならない部品が思いのほか多く、その部品の修理・交換のために必要な工具も米国から取り寄せたという。その間、作業は滞らざるを得ず、整備の遅れにつながった。


 さらに、「半田」の追求は続く。


(1)では、どうしてそれほど腐食やサビが多いのか。
(2)前出の防衛省関係者は「普天間基地の自然環境と地勢的な条件が影響している。ただでさえ潮風で機体が腐食する沖縄に置かれているうえ、米本土より近いので中東など海外へも頻繁に派遣されている。自衛隊と比べて、使い方も荒いようだ」と解説する。8機一斉交換の背景には、過酷なまでのオスプレイの運用があるというのだ。
(3)米海兵隊は、普天間以外の海外基地にオスプレイを配備していない。例えば、オスプレイを中東へ派遣するには米本土から送り込むよりも沖縄から派遣した方が早い。現にオーストラリアで墜落したオスプレイも普天間配備の機体だった。


 「半田」は、「オスプレイ8機が『一斉交換』の謎」を突く。
 

(1)機体を酷使した結果なのだろうか。普天間配備のオスプレイは、報道されているだけで墜落や緊急着陸が合計11回に上る。今年8月14日には、同じ日に鹿児島県奄美市の奄美空港と、沖縄の米空軍嘉手納基地に緊急着陸したばかりだ。
(2)配備から6年も経過していないうちに、これほど墜落したり、緊急着陸したりした在日米軍の航空機は他に例がない。以前から指摘されてきた機体構造の問題にもあらためて目を向ける必要があるだろう。
(3)2009年6月、当時、国防分析研究所主席分析官だったアーサー・リボロ氏は米連邦下院の委員会で「ヘリコプターがエンジン停止した場合、風圧で回転翼を回転させ、安全に着陸できる『オートローテーション(自動回転)』機能が欠落している」とオスプレイの構造的欠陥を証言した。
(3)16年12月にあった名護市でのオスプレイの不時着水・大破事故の原因について、リボロ氏は琉球新報の取材に対し、「事故は操縦士のミスもあるが、そもそもの機体デザインの設計ミスも追及されるべきだ」と指摘し、「人口密集地で事故が起こればどれだけ危険か、米軍や日本政府はもっとリスクを考え、人口密集地では飛ばせないなど対策を取るべきだ」と訴えている。


 最後に、「半田」からの警告。ただ、沖縄では、常時飛行しているが。


(1)防衛省は8月、在日米軍が空軍版のCV22を10月1日から都内の米空軍横田基地に5機配備すると発表した。最終的に10機まで増えるという。また、陸上自衛隊が導入するオスプレイは佐賀空港への配備が間に合わず、やはり10月ごろには木更津駐屯地へ5機が配備され、最終的には17機が導入される。
(2)海兵隊版MV22の10万飛行時間あたりのクラスA(被害が200万ドル以上か、死者の出た事故)事故率は、海兵隊保有の航空機でトップの3.24。CV22のクラスA事故率は、より高い4.05(昨年9月現在)である。
(3)米国の専門家が「人口密集地を飛ぶべきではない」と進言するオスプレイが、間もなく、人口密集地の首都圏上空を飛ぶことになる。


 どうやら、オスプレイ8機の「一斉交換」とは、次のことを示している。


Ⅰ.オスプレイの整備に関して、「最初の1機は昨年1月、普天間基地から飛来し、翌2月から定期整備に入った。防衛装備庁は『1機あたり整備工期は3、4カ月程度』と説明していたが、今月になって9月5日以降の試験飛行開始を発表した。つまり、整備に1年8カ月以上もの長期間を要したことになる。これにより『定期整備は年5~10機』とする防衛装備庁の目算は外れた。最初の1機の定期整備が順調に終わっていれば、交換した8機は米本国へ送り返すことなく、木更津で整備できたのかもしれない。」、との技術的問題。
Ⅱ.オスプレイが配備されている普天間基地が、「普天間基地の自然環境と地勢的な条件が影響している。ただでさえ潮風で機体が腐食する沖縄に置かれている」、という設備条件。
Ⅲ.オスプレイの運用が、「米本土より近いので中東など海外へも頻繁に派遣されている。自衛隊と比べて、使い方も荒い」という過酷なまでのオスプレイの運用条件。
Ⅳ.オスプレイが配備から6年も経過していないうちに、これほど墜落したり、緊急着陸したりした在日米軍の航空機は他に例がないことから、これまでも指摘されてきた機体構造の問題。


 つまり、オスプレイ8機の「一斉交換」とは、日本政府の説明する「通常の機体交換」ではなく、整備に関する技術的問題、米国の運用の問題等に留まるのではなく、機体構造の根本問題が引き起こしているということなのだ。



by asyagi-df-2014 | 2018-09-15 21:31 | 米軍再編 | Comments(0)

日米地位協定の改訂をしなければいけない。

 表題に関して、東京新聞は2018年8月23日、このように報じた。


(1)「防衛、外務両省は二十二日、米空軍の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイ五機が、米軍横田基地(東京都福生市など)に、十月一日に正式に配備されると発表した。防衛省によると、米軍は二〇二四年ごろまでに段階的に機数を増やし、十機態勢にする。沖縄以外の国内でオスプレイが配備されるのは初めて。安全性への懸念が払拭できないまま、首都圏での飛行が固定化する。」
(2)「五機の正式配備と同時に同基地に新設される『米空軍特殊作戦群飛行隊』の所属となる。米側が日本側に通告した。訓練場所は横田基地のほか群馬、長野、新潟県にまたがる訓練区域、キャンプ富士(静岡県)、三沢対地射爆撃場(青森県)などを想定。横田基地周辺の市街地上空も恒常的に飛行することになる。」
(3)「オスプレイは、プロペラの向きを離着陸時は上に、巡航飛行中は水平方向に変える『ティルトローター』方式の航空機。開発段階から事故が多発し、最近では一六年十二月、米海兵隊のMV22が沖縄県名護市沖で着水、大破。昨年八月にはオーストラリア沖で訓練、着艦に失敗し墜落した。」
(4)「空軍のCV22は基本性能はMV22と同じだが、潜入作戦などで特殊部隊を輸送するのが任務。夜間や低空飛行といった過酷な条件での運用が前提となっており、基地周辺の住民らから安全への懸念が出ている。」
(5)「米空軍のCV22オスプレイが横田基地に正式配備される。どんな飛び方をしても日米地位協定上、日本側が運用に関与できないまま、安全性への懸念が強い機種が、恒常的に首都圏の空を飛ぶ。事故や騒音にさらされるという沖縄の痛みが、首都圏の問題として、より浮かび上がる。」
(6)「防衛省は、沖縄・普天間(ふてんま)飛行場にMV22オスプレイが配備された際の日米政府間合意を基に、横田基地での深夜早朝の飛行制限や、人口密集地上空の飛行回避などを『米軍は順守する』と説明する。ただしこの合意も、米軍が『飛ぶ必要がある』と判断するだけで、反故(ほご)にされる。実際に普天間では深夜に飛び、住宅地上空の飛行実態もある。」
(7)「さらに、オスプレイはたびたび重大事故を起こしているが、仮に事故があっても、日本側は捜査も検証もできない。今年二月には、普天間所属のオスプレイが飛行中に部品を落下させていたのに、日本側に連絡さえなかった。」
(8)「政府は今回の配備を『日米同盟の抑止力・対処力を向上させる』とうたう。だとしても日本国内での米軍の配備や運用が、いつまでも米軍任せでいいのか。安全保障論議以前の問題が、置き去りにされている。」
 (原昌志)


 確かに、欠陥機オスプレイの正式配備とは、否応なしに日米地位協定の改訂に気づかされるということ。
全国知事会の決定の意味もここにある。




by asyagi-df-2014 | 2018-08-23 12:12 | 米軍再編 | Comments(0)

防衛省は、PAC3の撤収開始。

 東京新聞は2018年7月31日、表題について次のように報じた。


(1)「防衛省は三十日、北朝鮮の弾道ミサイル発射警戒のため展開していた航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)部隊の撤収を開始した。米朝首脳会談後、ミサイル飛来の可能性は低下したと判断した。その一方で、脅威は続いているとして、弾道ミサイルの地上配備型迎撃システム『イージス・アショア』を米国から購入する。三十年間の維持・運用費を合わせると二基で経費は計約四千六百六十四億円に上る。ミサイル発射装置や用地の取得費は含まない。」
(新開浩)
(2)「小野寺五典防衛相は三十日、地上イージス一基の購入費は当初の見積もりを五百億円も上回る約千三百四十億円と発表した。防衛省は当初、地上イージス購入費として、海上自衛隊のイージス艦の搭載レーダーを参考に一基約八百億円と試算した。しかし、より高性能の最新レーダーを選び、購入費が膨らんだ。選定したのはロッキード・マーチン社の「LMSSR」。性能はイージス艦よりも大幅に向上し、探知距離は一千キロ以上とされる。」
(3)「防衛省は二〇二三年度からの地上イージスの運用開始を目指したが、米側は契約から一基目の配備までに約六年かかると説明。米朝協議後、両国が対話を続ける中、北朝鮮がミサイル発射という暴挙に出る可能性は低いが、防衛省は地上イージスの購入を急ぐ。来年度予算案に関連経費を盛り込み、予算成立後に契約を結び、早期取得を目指す。」
(4)「地上イージスは二基で日本全体をカバーし、政府は陸上自衛隊の新屋演習場(秋田市)とむつみ演習場(山口県萩市、阿武町)を配備候補地としている。」
(5)「PAC3を巡っては、政府は北朝鮮が昨年八月に米領グアム周辺へのミサイル発射計画を公表した直後、上空通過を予告した中国・四国地方の四カ所に展開した。その後、北朝鮮は北海道上空に弾道ミサイルを相次ぎ通過させたため、函館市にも展開した。いずれも撤収後は、空自の岐阜基地(岐阜県)や白山分屯基地(三重県)など元の配備地四カ所に戻す。」
(6)「自衛隊によるミサイル迎撃を可能とする破壊措置命令は、引き続き発令したままとし、情勢が変化した場合は改めて配備する。」



by asyagi-df-2014 | 2018-07-31 10:10 | 米軍再編 | Comments(0)

政府は、北朝鮮の弾道ミサイルに対しての住民避難訓練を中止する方針。

 朝日新聞は2018年6月21日、表題について次のように報じた。


(1)「政府は、北朝鮮の弾道ミサイル発射を想定して今年度中に全国各地で予定していた住民避難訓練を中止する方針を固めた。米朝首脳会談が開かれるなど対話ムードが高まる中、北朝鮮によるミサイル発射の可能性は低いと判断した。21日、政府関係者が明らかにした。」
(2)「政府関係者によると、訓練を中止するのは宮城、栃木、新潟、富山、石川、奈良、徳島、香川、熊本の9県。総務省が近く通知を出し、正式に伝える。」
(3)「訓練は政府や地元自治体が主催し、ミサイル発射を全国瞬時警報システム(Jアラート)や防災行政無線で伝え、住民らが学校や公共施設に避難するもの。昨年3月以降、25都道県で行い、今年度も12日の米朝首脳会談の直前に群馬と福岡の各県で実施した。」
(4)「政府関係者は『北朝鮮が非核化に向けて動き出す中、ミサイル発射の可能性は低いと判断した。ただ、情勢が変われば、再開もあり得る』と話す。」
(峯俊一平)




by asyagi-df-2014 | 2018-06-21 19:55 | 米軍再編 | Comments(0)

米国政府は、日米地位協定に基づき、元軍属の賠償負担拒む。

 那覇地裁は、沖縄県うるま市で2016年4月に起こされた会社員の女性(当時20)の殺害された事件において、元米軍属の被告(34)に遺族への損害賠償を命じていた。
 しかし、このことに関して、日米地位協定の大きな壁が立ちはだかろうとしている。

 朝日新聞は2018年3月16日、表題について次のように報じた。


(1)「沖縄県うるま市で2016年4月、会社員の女性(当時20)が殺害された事件で、那覇地裁が元米軍属の被告(34)に遺族への損害賠償を命じたにもかかわらず、本人に支払い能力がないうえ、米国政府も負担しない方針であることが分かった。米軍が雇用する軍属の事件では、日米地位協定に基づいて米側が補償金を負担する仕組みがあるが、この被告は米軍との雇用関係がなかったためという。」
(2)「複数の日本政府関係者が明らかにした。外務、防衛両省は在日米軍などに支払い要請を続けている。」
(3)「この事件で殺人罪などに問われたケネフ・フランクリン・シンザト被告は、昨年12月に那覇地裁で求刑通り無期懲役の判決を受けた。刑事裁判に続いて同地裁は今年1月、被害者支援のための「損害賠償命令制度」に基づき、被告に遺族への賠償を命じる決定を出した。非公開の手続きのため賠償額は明らかになっていないが、遺族側の代理人は「請求通りにおおむね認められた」としている。
(4)「日米地位協定では、米軍人らによる公務外の不法行為について本人に支払い能力がない場合、被害者側が米国政府に補償金を請求できる制度がある。被告側が『裁判所が決めた賠償額を支払う能力がない』という趣旨の主張をしたことから、遺族側はこの制度に基づき米国政府に補償金を請求する準備を進めている。」
(5)「地位協定では、米国政府が補償義務を負う対象として『合衆国軍隊の構成員または被用者』と規定している。被告は当時、米軍には雇用されておらず、米軍嘉手納基地内の民間会社に雇用されていた軍属だった。在日米軍は外務、防衛両省との協議の中で、米国政府に支払い義務がある『被用者』の解釈について『米軍が直接雇用している者であり、民間会社に雇用されていた被告は被用者に該当せず、米国政府に賠償責任はない』と主張。遺族側から地位協定に基づいた請求があっても、支払いを拒む姿勢を示したという。」
(6)「他方で、民事訴訟の賠償額と米側が支払う補償金に差額がある場合、その差額を日本政府が負担する制度もある。だが、この制度では米側が補償に応じていることが条件で、米側が補償対象と認めていないケースでは日本政府も負担できないという。」(土居貴輝)


 つまり、地位協定にある「の賠償額と米側が支払う補償金に差額がある場合、その差額を日本政府が負担する制度」は、「米側が補償に応じていることが条件」となっている。 したがって、「米側が補償対象と認めていないケース」においては、「日本政府も負担できない」、というのだ。
 やはり、まずは、日米地位協定の改正が必要である。
 もちろん、日本の安全保障を考え直すときが来ている。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-16 12:29 | 米軍再編 | Comments(0)

秋葉剛男外務事務次官が在米日本大使館の公使時代の2009年2月、沖縄への核再配備の可能性を明確に肯定した。

 どういうことなのか。
 「安倍政権の外務事務次官を務める秋葉剛男氏が在米日本大使館の公使時代、沖縄への核貯蔵施設建設に肯定的な姿勢を米国に示していたメモの存在が明らかになった。」(琉球新報2018年3月6日)、というのである。
 沖縄タイムスも同日、平安名純代・米国特約記者の記事として、次のように伝えた。


①「【平安名純代・米国特約記者】オバマ前米政権が新たな『核体制の見直し』(NPR)策定に伴い米議会に設置した諮問機関『米国の戦略体制に関する議会委員会』が2009年2月、在米日本大使館関係者らを対象に開いた意見聴取で、秋葉剛男公使(現・外務事務次官)が沖縄への核貯蔵庫建設を容認する意向を示していたことが分かった。1972年の本土復帰以後、日本側が沖縄への核配備を肯定した発言が明らかになったのは初めて。」
②「米科学者団体『憂慮する科学者同盟(UCS)』のグレゴリー・カラーキー博士が3日、本紙の取材に対して明らかにした。同氏は核問題の専門家で、米政府や元高官との親交が深い。」
③「同氏が提供した戦略体制委員会スタッフ作成の意見聴取の概要メモ(200909年2月27日付)によると、前々日の25日に開かれた意見聴取には、米側からペリー議長(元国防長官)やシュレジンジャー副議長(元国防長官)ら、日本側は在米日本大使館の秋葉公使ら関係者ら3氏が出席。秋葉氏が『米国の拡大抑止に関する日本の見解』を表明した。」
④「秋葉氏は、米国が日本との事前協議なしに核兵器を削減する可能性に深い懸念を表明し、米国の核戦力の維持を要請。シュレジンジャー副議長の『沖縄かグアムへの核貯蔵庫の建設をどう考えるか』との質問に対し、秋葉氏は『そうした提案は説得力がある』と述べ、沖縄への核再配備の可能性を明確に肯定した。」
⑤「沖縄では戦後、アジア太平洋地域で最大規模の1300発もの核兵器が配備されていた。佐藤栄作首相とニクソン米大統領は1969年、米国は有事の際に核兵器を再配備する権利を保持し、嘉手納弾薬庫や辺野古弾薬庫などを『何時でも使用できる状態に維持』するとした密約を交わしていた。米国防総省は2015年に公開した記録文書で、『米国は(核)兵器を撤去するが、危機の際にはこれらを再持ち込みする権利を維持している』と明記している。」
⑥「日本側関係者からの意見聴取の結果が、2010年4月に公表された『核体制の見直し』にどの程度、反映されたかは明らかになっていない。」


 また、沖縄タイムスは同日、このことに関して、【米戦略体制委員会の在米日本大使館関係者との意見聴取(2009年2月25日)に関する概要メモ(同年2月27日付作成)要旨】を報じた。


 ●米戦略体制委員会の協議に続いた会議には、日本側から秋葉剛男公使(現・外務事務次官)と金井正彰一等書記官ら在米日本大使館関係者ら3氏、米側はペリー議長やシュレンジンジャー副議長らが11氏が参加。会議に先立ち、秋葉氏は「米国の拡大抑止に関する日本の見解」と題した文書を配布し、意見を表明した。

 ●日本には、米国の核抑止力が信頼性を失った場合に備え、他の安全保障上の選択肢を検討する必要があるとの意見もある。

 ●米国の核兵器について、秋葉氏ら日本側は、核巡航ミサイル・トマホークや低爆発力の地中貫通型核兵器が拡大抑止に特に有効であり、広範囲の抑止力の信頼性を高めるなどと発言した。

 ●日本は中国や北朝鮮の脅威を明らかに懸念している。

 ●日本政府当局者は、米国が実戦配備している戦略核弾頭の大規模削減は日本の安全保障に好ましくない影響を与えると神経をとがらせている。

 ●秋葉氏は、日本が米国との北大西洋条約機構(NATO)の核計画グループのような高レベル協議を望むかについて、「日本の憲法と国内の反対世論が実現を困難にするかもしれないが、私は賛成だ」と表明。シュレンジンジャー博士の「沖縄やグアムへの核貯蔵庫の建設をどう考えるか」との質問に対して、「そうした提案は説得力がある」と答えた。

 ●秋葉氏は、米国が核巡航ミサイル・トマホークや空中発射巡航ミサイルの退役を決定した場合は、その能力の損失をどう相殺するかについて、日米間で事前に協議したいとの考えを表明した。


 もちろんこのことが、最も強く伝えるのは、「『沖縄でよかった』という国民世論が支える、日本という国が統治のために利用する「構造的沖縄差別」政策の典型である。
 このことについて、琉球新報は2018年3月6日、「沖縄に核貯蔵肯定 再持ち込みは断固拒否」、と断じる。
 琉球新報は、次のように指摘する。


(1)「核施設建設容認は沖縄に再び核兵器を持ち込ませることを意味する。『作らず、持たず、持ち込ませず』の非核三原則の国是に反する。沖縄を三原則の適用外とし、県民を危険にさらす発想ではないか。沖縄への再持ち込みは断固拒否する。」
(2)「メモを入手した米国の科学者らでつくる『憂慮する科学者同盟』のグレゴリー・カラキ上級アナリストは、名護市辺野古への新基地建設と隣接する米軍辺野古弾薬庫の再開発を挙げ、沖縄への核兵器の再持ち込みに警鐘を鳴らしている。」
(3)「メモによると秋葉氏は2009年、オバマ前米政権の核戦略指針『核体制の見直し(NPR)』策定に向け、米連邦議会が設置した戦略態勢委員会(委員長・ペリー元国防長官)から意見聴取された。沖縄での核貯蔵施設建設について問われ『そのような提案は説得力があるように思う』と肯定的な姿勢を示した。米連邦議会の委員会での発言であり、個人的な意見とは受け取れない。秋葉氏は意図を説明する責任がある。」
(4)「辺野古弾薬庫や嘉手納弾薬庫には、かつて1300発の核兵器が貯蔵されていた。1959年6月には、米軍那覇飛行場配備のミサイルが核弾頭を搭載したまま誤射を起こし、海に落下する事故も起きていた。核兵器は日本復帰の際に撤去したとされる。だが沖縄返還交渉の過程で有事には米軍が沖縄に核を持ち込めるという密約が結ばれた。民主党政権は2010年に、核密約が失効したとの認識を示したが、米国の認識は正反対だ。」
(5)「米国防総省の歴史記録書は『米国は危機の際にそれら(核)を再持ち込みする権利を維持した』と明記している。再持ち込みは米国にとって『権利』なのだ。」
(6)「一方、秋葉氏発言は、自民党内にある『持ち込ませず』の見直し議論と重なる。例えば、石破茂元幹事長は17年9月のテレビ番組で、北朝鮮による核実験強行を踏まえ、日米同盟の抑止力向上のため、日本国内への核兵器配備の是非を議論すべきだとの考えを示した。」
(7)「秋葉氏が米連邦議会委員会に提出した書面には、米国に小型核保有などを促す要望もある。トランプ政権が今年1月に発表したNPRには、要望の趣旨に沿って小型核の開発が明記されている。『核なき世界』を目指したオバマ前政権の方針を大きく転換し、核保有国に核軍縮義務を課した核拡散防止条約(NPT)への背信行為である。」
(8)「非人道的な核兵器廃絶を促すべき立場にある日本が、『核抑止論』に固執するのは自己矛盾である。被爆国としてあまりにも無責任だ。」


 確かに、どう考えても、核抑止論に固執する米国・日本両政府のあり方は間違っている。
 また、「米国防総省の歴史記録書は『米国は危機の際にそれら(核)を再持ち込みする権利を維持した』と明記している。再持ち込みは米国にとって『権利』なのだ。」(琉球新報)という米国の方針のなかで、米国がこの「権利」を行使するためには、「目下の同盟」としての日本政府の役割が、どこにあったのかは明白ではないか。
 あわせて、このことは、単に2009年当時だけの問題ではない。
「メモを入手した米国の科学者らでつくる『憂慮する科学者同盟』のグレゴリー・カラキ上級アナリストは、名護市辺野古への新基地建設と隣接する米軍辺野古弾薬庫の再開発を挙げ、沖縄への核兵器の再持ち込みに警鐘を鳴らしている。」(琉球新報)、という極めて今の日本にとって現実的な問題なのである。





by asyagi-df-2014 | 2018-03-15 07:18 | 米軍再編 | Comments(0)

陸上自衛隊の「水陸機動団」とは何なのか。(1)

 日本版海兵隊である陸上自衛隊の「水陸機動団」新設に関して、朝日新聞は2017年10月31日、次のように報じていました。


(1)「陸上自衛隊に離島防衛の専門部隊『水陸機動団』(日本版海兵隊)が来年3月、新設される。防衛省はこの部隊を当初、長崎県の相浦(あいのうら)駐屯地をはじめ九州に置くが、2020年代の前半には沖縄県の米海兵隊基地キャンプ・ハンセンにも配置する方針を固め、米側と調整に入った。在日米軍再編に伴って沖縄に駐留する米海兵隊の一部が米領グアムに移転した後を想定しているという。」
(2)「複数の政府関係者が明らかにした。尖閣諸島に近い沖縄に置くことで、中国への抑止効果とともに、九州の南端以西の南西諸島で何か起きた際の展開を早める狙いがあるという。一方、沖縄にとっては、海兵隊の移転後に自衛隊が駐留することになり、『本当の基地負担の軽減につながらない』といった反発も予想される。」
(3)「陸自が来年3月末に発足させる水陸機動団は約2100人。相浦駐屯地には、司令部のほか普通科(歩兵)を中心とする2個の水陸機動連隊を置くことが決まっている。政府関係者によると、キャンプ・ハンセンへの駐留が検討されているのは、20年代前半までに発足させる予定の三つ目の水陸機動連隊。規模は約600人程度を想定しているという。」
(4)「日米両政府は8月の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)の際の共同発表で、南西諸島を含めた自衛隊の態勢を強化し、米軍基地の共同使用を促進することを確認し合った。キャンプ・ハンセンの共同使用を念頭に置いていたという。共同発表を受けて日米両政府は、在沖縄の米海兵隊の一部がグアムに移転した後に陸自の水陸機動連隊の一つをキャンプ・ハンセンに配置する基本方針を確認。在沖縄米軍は日本側に、この部隊の規模や編成など具体的な検討を進めるチームの設置を申し入れたという。」
(5)「日米両政府は06年、沖縄の米軍基地負担の軽減と抑止力の維持を両立させる目的で、在日米軍再編の『ロードマップ』を策定した。12年には、在沖縄の海兵隊員のうち約9千人の国外(このうち約4千人をグアム)移転に合意。13年には、グアム移転を20年代前半に始めることも公表している。」
(6)「日本政府は来年末までに策定する予定の新たな防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画に、キャンプ・ハンセンへの陸自部隊駐留を盛り込みたい意向だが、来秋には沖縄県知事選があり、沖縄側の反応も見ながら検討を進める方針だ。
(土居貴輝)


 ここでは、まずは、この日本版海兵隊である陸上自衛隊の「水陸機動団」とはどういうものなのか、ということを押さえる必要があります。
 平成29年版防衛白書は、陸上自衛隊の「水陸機動団」の新編について、次のように記述しています。


「平成29年度末に新編される水陸機動団は、万が一島嶼を占拠された場合、速やかに上陸・奪回・確保するための本格的な水陸両用作戦を行うことを主な任務とする陸自が初めて保有する本格的な水陸両用作戦部隊です。これまで陸自になかった水陸両用作戦機能を整備するにあたり、現在様々な教育訓練などに取り組んでいます。例えば、隊員は洋上での行動に必要な各種技術の修得に加え、水陸両用車(AAV7)を使用した訓練やヘリコプターから海面への降下とそれに引き続くボートなどを使用した水路潜入訓練など、厳しい訓練に日々汗を流しております。また、海自、空自及び米軍などとの連携の向上を図るため、国内外の演習に積極的に参加し、ノウハウの蓄積に励んでいます。」
「水陸機動団が新編されることにより、島嶼防衛に関する能力向上が図られ、わが国の抑止力が向上します。また、災害派遣においても海上からの迅速な救援活動など、幅広い活動が期待されます。」


 東京新聞は2018年3月4日、「週のはじめに考える 水陸機動団は有効か」、とその社説でこの水陸機動団について、「自衛隊版海兵隊の『水陸機動団』が今月、陸上自衛隊に誕生します。奪われた島を取り返す専門部隊ですが、その役割と課題について、考えてみました。」、と次のように論評しました。
 この社説で、この問題を考えます。まずは、その役割についてです。


(1)「水陸機動団は二個連隊、隊員二千百人規模。長崎県佐世保市で産声を上げます。その役割について、山崎幸二陸上幕僚長は会見で『離島の防衛を主体とする部隊。この新編により、主に島しょ防衛の実効性ある抑止、また対処能力が向上する』と述べています。」
(2)「これまでの島しょ防衛は、情勢が緊迫した段階で陸上部隊を離島に事前展開し、抑止力を高めて侵攻を未然に防止するというやり方でした。水陸機動団も事前展開を重視することに変わりないものの、島しょを占領された場合、奪回するのを主任務としています。そのための装備として垂直離着陸輸送機『オスプレイ』や水陸両用車を活用します。」


 次に、東京新聞は、「すっきりしない印象が残る」、とその課題について指摘します。


(1)奪回には航空優勢、海上優勢の確保が欠かせません。敵に空域、海域とも抑えられている状況下で上陸を敢行するのは自殺行為に等しいからです。以前、取材に応じた陸上幕僚監部の作戦担当幹部は『もちろん航空優勢、海上優勢が確保されていなければ、上陸しません』と断言。それならば平時に輸送して、港から陸揚げするのと同じことになり、オスプレイや水陸両用車の出番はありません。出番の有無に関係なく、防衛省はオスプレイを十七機、水陸両用車を五十二両、米政府から購入します。ともに陸上自衛隊がお手本とする米海兵隊の主力装備でもあります。危険な敵前上陸はしないにもかかわらず、『殴り込み部隊』といわれる米海兵隊と同じ装備を持つのは違和感があります。」
(2)「すっきりしない印象が残るのは、水陸機動団が誕生するまでの経緯と関係しているのではないでしょうか。民主党政権下の二〇一一年度に改定された日本防衛の指針『防衛計画の大綱』で陸上自衛隊は一人負けしました。海上自衛隊と航空自衛隊の増強が認められる一方で、陸自は定員千人を削られ、戦車と大砲も削減されました。」
(3)「第二次安倍晋三政権下の一四年度に再改定された大綱は、冷戦期に想定した大規模な陸上兵力を動員した着上陸侵攻が起こる可能性をほぼ完全に排除しています。陸上自衛隊が主役となるような戦争はもう起きないというのです。このままでは先細る一方の陸上自衛隊が着目したのは、中国による離島侵攻を想定した島しょ防衛でした。ただ、中国は尖閣諸島以外の島々について領有権を主張していません。海軍力を強めているのは事実とはいえ、その目的が沖縄の離島占拠にあると考える専門家はあまりいないことでしょう。それでも南西防衛、島しょ防衛を打ち出した陸上自衛隊は、全国の師団・旅団を機動運用部隊と地域配備部隊に分け、いざという場面で機動運用部隊を島しょ防衛に派遣することにしました。その先陣を切るのが水陸機動団なのです。誤解を恐れずにいえば、陸上自衛隊という実力組織の『生き残り策』のシンボルといえるかもしれません。」
(4)「付け焼き刃を裏付けるのは、輸送力が足りないのに発足してしまうことです。そもそも米海兵隊が使っている強襲揚陸艦は自衛隊に一隻もありません。代わりに使う『おおすみ』型輸送艦で運べる水陸両用車は一隻あたり十六両にすぎず、『おおすみ』型三隻をフル動員しても購入する五十二両は運びきれません。」
(5)「水陸両用車を満載すれば、戦車や装甲車を上陸させるのに必要なエアクッション揚陸艇(LCAC)二隻を搭載できず、戦力は決定的に不足します。輸送力の確保には、強襲揚陸艦などの建造が欠かせませんが、艦艇の発注元である海上自衛隊の関心は中国の水上艦や潜水艦の動向監視にあるので連携プレーは望めそうもありません。」


 東京新聞は、「問題はまだあります。」、と続けます。


(1)「水陸機動団は本来、三個連隊なのです。いずれ三個目の連隊を発足させますが、配備先として沖縄の米海兵隊基地が浮上しています。基地の固定化につながる部隊配備を沖縄の人々は歓迎するでしょうか。」
(2)「他の組織改編も同時にあって『陸上自衛隊始まって以来の大改革』といわれますが、陸自が実際に活躍する場面は災害救援なのでは。本土を手薄にしていいのでしょうか。北朝鮮の動向も気になりますが、政府は起こりうる事態を示すことなく、『国難』を叫ぶばかり。内向きの理屈を先行させる国防政策でいいはずがありません。」


 これまでも、安倍晋三政権が、「辺野古が唯一の選択」として進める沖縄への新基地建設の強行が、米国が必要とする「米軍再編」を受けた「目下の同盟」としての施策を利用した自衛隊の拡大強化でしかないことは繰り返し指摘してきました。
例えば、「辺野古が唯一の選択」のために、一貫して利用されてきたのが「沖縄の基地負担軽減」というトリックでした。
それは、今回の日本版海兵隊である陸上自衛隊の「水陸機動団」新設の目的が、「陸上自衛隊に離島防衛の専門部隊『水陸機動団』(日本版海兵隊)が来年3月、新設される。防衛省はこの部隊を当初、長崎県の相浦(あいのうら)駐屯地をはじめ九州に置くが、2020年代の前半には沖縄県の米海兵隊基地キャンプ・ハンセンにも配置する方針を固め、米側と調整に入った。在日米軍再編に伴って沖縄に駐留する米海兵隊の一部が米領グアムに移転した後を想定しているという。」、ということにあることが、朝日新聞の指摘に明確に現れています。
 この上に、陸上自衛隊の日本版海兵隊である「水陸機動団」新設が、東京新聞の「陸上自衛隊が主役となるような戦争はもう起きないというのです。このままでは先細る一方の陸上自衛隊が着目したのは、中国による離島侵攻を想定した島しょ防衛でした。ただ、中国は尖閣諸島以外の島々について領有権を主張していません。海軍力を強めているのは事実とはいえ、その目的が沖縄の離島占拠にあると考える専門家はあまりいないことでしょう。それでも南西防衛、島しょ防衛を打ち出した陸上自衛隊は、全国の師団・旅団を機動運用部隊と地域配備部隊に分け、いざという場面で機動運用部隊を島しょ防衛に派遣することにしました。その先陣を切るのが水陸機動団なのです。誤解を恐れずにいえば、陸上自衛隊という実力組織の『生き残り策』のシンボルといえるかもしれません。」、ということにあるとするなら、沖縄は、このままでは、70年を超えて200年以上に渡り(少なくとも辺野古新基地を抱える期間)、「目下の同盟」と「生き残り策」という二重の苦しみを負わされることになります。
 それも、虚構の「抑止力」と欺瞞の「基地負担軽減」という目的のためにです。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-12 08:54 | 米軍再編 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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