カテゴリ:米軍再編( 86 )

防衛省は、PAC3の撤収開始。

 東京新聞は2018年7月31日、表題について次のように報じた。


(1)「防衛省は三十日、北朝鮮の弾道ミサイル発射警戒のため展開していた航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)部隊の撤収を開始した。米朝首脳会談後、ミサイル飛来の可能性は低下したと判断した。その一方で、脅威は続いているとして、弾道ミサイルの地上配備型迎撃システム『イージス・アショア』を米国から購入する。三十年間の維持・運用費を合わせると二基で経費は計約四千六百六十四億円に上る。ミサイル発射装置や用地の取得費は含まない。」
(新開浩)
(2)「小野寺五典防衛相は三十日、地上イージス一基の購入費は当初の見積もりを五百億円も上回る約千三百四十億円と発表した。防衛省は当初、地上イージス購入費として、海上自衛隊のイージス艦の搭載レーダーを参考に一基約八百億円と試算した。しかし、より高性能の最新レーダーを選び、購入費が膨らんだ。選定したのはロッキード・マーチン社の「LMSSR」。性能はイージス艦よりも大幅に向上し、探知距離は一千キロ以上とされる。」
(3)「防衛省は二〇二三年度からの地上イージスの運用開始を目指したが、米側は契約から一基目の配備までに約六年かかると説明。米朝協議後、両国が対話を続ける中、北朝鮮がミサイル発射という暴挙に出る可能性は低いが、防衛省は地上イージスの購入を急ぐ。来年度予算案に関連経費を盛り込み、予算成立後に契約を結び、早期取得を目指す。」
(4)「地上イージスは二基で日本全体をカバーし、政府は陸上自衛隊の新屋演習場(秋田市)とむつみ演習場(山口県萩市、阿武町)を配備候補地としている。」
(5)「PAC3を巡っては、政府は北朝鮮が昨年八月に米領グアム周辺へのミサイル発射計画を公表した直後、上空通過を予告した中国・四国地方の四カ所に展開した。その後、北朝鮮は北海道上空に弾道ミサイルを相次ぎ通過させたため、函館市にも展開した。いずれも撤収後は、空自の岐阜基地(岐阜県)や白山分屯基地(三重県)など元の配備地四カ所に戻す。」
(6)「自衛隊によるミサイル迎撃を可能とする破壊措置命令は、引き続き発令したままとし、情勢が変化した場合は改めて配備する。」



by asyagi-df-2014 | 2018-07-31 10:10 | 米軍再編 | Comments(0)

政府は、北朝鮮の弾道ミサイルに対しての住民避難訓練を中止する方針。

 朝日新聞は2018年6月21日、表題について次のように報じた。


(1)「政府は、北朝鮮の弾道ミサイル発射を想定して今年度中に全国各地で予定していた住民避難訓練を中止する方針を固めた。米朝首脳会談が開かれるなど対話ムードが高まる中、北朝鮮によるミサイル発射の可能性は低いと判断した。21日、政府関係者が明らかにした。」
(2)「政府関係者によると、訓練を中止するのは宮城、栃木、新潟、富山、石川、奈良、徳島、香川、熊本の9県。総務省が近く通知を出し、正式に伝える。」
(3)「訓練は政府や地元自治体が主催し、ミサイル発射を全国瞬時警報システム(Jアラート)や防災行政無線で伝え、住民らが学校や公共施設に避難するもの。昨年3月以降、25都道県で行い、今年度も12日の米朝首脳会談の直前に群馬と福岡の各県で実施した。」
(4)「政府関係者は『北朝鮮が非核化に向けて動き出す中、ミサイル発射の可能性は低いと判断した。ただ、情勢が変われば、再開もあり得る』と話す。」
(峯俊一平)




by asyagi-df-2014 | 2018-06-21 19:55 | 米軍再編 | Comments(0)

米国政府は、日米地位協定に基づき、元軍属の賠償負担拒む。

 那覇地裁は、沖縄県うるま市で2016年4月に起こされた会社員の女性(当時20)の殺害された事件において、元米軍属の被告(34)に遺族への損害賠償を命じていた。
 しかし、このことに関して、日米地位協定の大きな壁が立ちはだかろうとしている。

 朝日新聞は2018年3月16日、表題について次のように報じた。


(1)「沖縄県うるま市で2016年4月、会社員の女性(当時20)が殺害された事件で、那覇地裁が元米軍属の被告(34)に遺族への損害賠償を命じたにもかかわらず、本人に支払い能力がないうえ、米国政府も負担しない方針であることが分かった。米軍が雇用する軍属の事件では、日米地位協定に基づいて米側が補償金を負担する仕組みがあるが、この被告は米軍との雇用関係がなかったためという。」
(2)「複数の日本政府関係者が明らかにした。外務、防衛両省は在日米軍などに支払い要請を続けている。」
(3)「この事件で殺人罪などに問われたケネフ・フランクリン・シンザト被告は、昨年12月に那覇地裁で求刑通り無期懲役の判決を受けた。刑事裁判に続いて同地裁は今年1月、被害者支援のための「損害賠償命令制度」に基づき、被告に遺族への賠償を命じる決定を出した。非公開の手続きのため賠償額は明らかになっていないが、遺族側の代理人は「請求通りにおおむね認められた」としている。
(4)「日米地位協定では、米軍人らによる公務外の不法行為について本人に支払い能力がない場合、被害者側が米国政府に補償金を請求できる制度がある。被告側が『裁判所が決めた賠償額を支払う能力がない』という趣旨の主張をしたことから、遺族側はこの制度に基づき米国政府に補償金を請求する準備を進めている。」
(5)「地位協定では、米国政府が補償義務を負う対象として『合衆国軍隊の構成員または被用者』と規定している。被告は当時、米軍には雇用されておらず、米軍嘉手納基地内の民間会社に雇用されていた軍属だった。在日米軍は外務、防衛両省との協議の中で、米国政府に支払い義務がある『被用者』の解釈について『米軍が直接雇用している者であり、民間会社に雇用されていた被告は被用者に該当せず、米国政府に賠償責任はない』と主張。遺族側から地位協定に基づいた請求があっても、支払いを拒む姿勢を示したという。」
(6)「他方で、民事訴訟の賠償額と米側が支払う補償金に差額がある場合、その差額を日本政府が負担する制度もある。だが、この制度では米側が補償に応じていることが条件で、米側が補償対象と認めていないケースでは日本政府も負担できないという。」(土居貴輝)


 つまり、地位協定にある「の賠償額と米側が支払う補償金に差額がある場合、その差額を日本政府が負担する制度」は、「米側が補償に応じていることが条件」となっている。 したがって、「米側が補償対象と認めていないケース」においては、「日本政府も負担できない」、というのだ。
 やはり、まずは、日米地位協定の改正が必要である。
 もちろん、日本の安全保障を考え直すときが来ている。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-16 12:29 | 米軍再編 | Comments(0)

秋葉剛男外務事務次官が在米日本大使館の公使時代の2009年2月、沖縄への核再配備の可能性を明確に肯定した。

 どういうことなのか。
 「安倍政権の外務事務次官を務める秋葉剛男氏が在米日本大使館の公使時代、沖縄への核貯蔵施設建設に肯定的な姿勢を米国に示していたメモの存在が明らかになった。」(琉球新報2018年3月6日)、というのである。
 沖縄タイムスも同日、平安名純代・米国特約記者の記事として、次のように伝えた。


①「【平安名純代・米国特約記者】オバマ前米政権が新たな『核体制の見直し』(NPR)策定に伴い米議会に設置した諮問機関『米国の戦略体制に関する議会委員会』が2009年2月、在米日本大使館関係者らを対象に開いた意見聴取で、秋葉剛男公使(現・外務事務次官)が沖縄への核貯蔵庫建設を容認する意向を示していたことが分かった。1972年の本土復帰以後、日本側が沖縄への核配備を肯定した発言が明らかになったのは初めて。」
②「米科学者団体『憂慮する科学者同盟(UCS)』のグレゴリー・カラーキー博士が3日、本紙の取材に対して明らかにした。同氏は核問題の専門家で、米政府や元高官との親交が深い。」
③「同氏が提供した戦略体制委員会スタッフ作成の意見聴取の概要メモ(200909年2月27日付)によると、前々日の25日に開かれた意見聴取には、米側からペリー議長(元国防長官)やシュレジンジャー副議長(元国防長官)ら、日本側は在米日本大使館の秋葉公使ら関係者ら3氏が出席。秋葉氏が『米国の拡大抑止に関する日本の見解』を表明した。」
④「秋葉氏は、米国が日本との事前協議なしに核兵器を削減する可能性に深い懸念を表明し、米国の核戦力の維持を要請。シュレジンジャー副議長の『沖縄かグアムへの核貯蔵庫の建設をどう考えるか』との質問に対し、秋葉氏は『そうした提案は説得力がある』と述べ、沖縄への核再配備の可能性を明確に肯定した。」
⑤「沖縄では戦後、アジア太平洋地域で最大規模の1300発もの核兵器が配備されていた。佐藤栄作首相とニクソン米大統領は1969年、米国は有事の際に核兵器を再配備する権利を保持し、嘉手納弾薬庫や辺野古弾薬庫などを『何時でも使用できる状態に維持』するとした密約を交わしていた。米国防総省は2015年に公開した記録文書で、『米国は(核)兵器を撤去するが、危機の際にはこれらを再持ち込みする権利を維持している』と明記している。」
⑥「日本側関係者からの意見聴取の結果が、2010年4月に公表された『核体制の見直し』にどの程度、反映されたかは明らかになっていない。」


 また、沖縄タイムスは同日、このことに関して、【米戦略体制委員会の在米日本大使館関係者との意見聴取(2009年2月25日)に関する概要メモ(同年2月27日付作成)要旨】を報じた。


 ●米戦略体制委員会の協議に続いた会議には、日本側から秋葉剛男公使(現・外務事務次官)と金井正彰一等書記官ら在米日本大使館関係者ら3氏、米側はペリー議長やシュレンジンジャー副議長らが11氏が参加。会議に先立ち、秋葉氏は「米国の拡大抑止に関する日本の見解」と題した文書を配布し、意見を表明した。

 ●日本には、米国の核抑止力が信頼性を失った場合に備え、他の安全保障上の選択肢を検討する必要があるとの意見もある。

 ●米国の核兵器について、秋葉氏ら日本側は、核巡航ミサイル・トマホークや低爆発力の地中貫通型核兵器が拡大抑止に特に有効であり、広範囲の抑止力の信頼性を高めるなどと発言した。

 ●日本は中国や北朝鮮の脅威を明らかに懸念している。

 ●日本政府当局者は、米国が実戦配備している戦略核弾頭の大規模削減は日本の安全保障に好ましくない影響を与えると神経をとがらせている。

 ●秋葉氏は、日本が米国との北大西洋条約機構(NATO)の核計画グループのような高レベル協議を望むかについて、「日本の憲法と国内の反対世論が実現を困難にするかもしれないが、私は賛成だ」と表明。シュレンジンジャー博士の「沖縄やグアムへの核貯蔵庫の建設をどう考えるか」との質問に対して、「そうした提案は説得力がある」と答えた。

 ●秋葉氏は、米国が核巡航ミサイル・トマホークや空中発射巡航ミサイルの退役を決定した場合は、その能力の損失をどう相殺するかについて、日米間で事前に協議したいとの考えを表明した。


 もちろんこのことが、最も強く伝えるのは、「『沖縄でよかった』という国民世論が支える、日本という国が統治のために利用する「構造的沖縄差別」政策の典型である。
 このことについて、琉球新報は2018年3月6日、「沖縄に核貯蔵肯定 再持ち込みは断固拒否」、と断じる。
 琉球新報は、次のように指摘する。


(1)「核施設建設容認は沖縄に再び核兵器を持ち込ませることを意味する。『作らず、持たず、持ち込ませず』の非核三原則の国是に反する。沖縄を三原則の適用外とし、県民を危険にさらす発想ではないか。沖縄への再持ち込みは断固拒否する。」
(2)「メモを入手した米国の科学者らでつくる『憂慮する科学者同盟』のグレゴリー・カラキ上級アナリストは、名護市辺野古への新基地建設と隣接する米軍辺野古弾薬庫の再開発を挙げ、沖縄への核兵器の再持ち込みに警鐘を鳴らしている。」
(3)「メモによると秋葉氏は2009年、オバマ前米政権の核戦略指針『核体制の見直し(NPR)』策定に向け、米連邦議会が設置した戦略態勢委員会(委員長・ペリー元国防長官)から意見聴取された。沖縄での核貯蔵施設建設について問われ『そのような提案は説得力があるように思う』と肯定的な姿勢を示した。米連邦議会の委員会での発言であり、個人的な意見とは受け取れない。秋葉氏は意図を説明する責任がある。」
(4)「辺野古弾薬庫や嘉手納弾薬庫には、かつて1300発の核兵器が貯蔵されていた。1959年6月には、米軍那覇飛行場配備のミサイルが核弾頭を搭載したまま誤射を起こし、海に落下する事故も起きていた。核兵器は日本復帰の際に撤去したとされる。だが沖縄返還交渉の過程で有事には米軍が沖縄に核を持ち込めるという密約が結ばれた。民主党政権は2010年に、核密約が失効したとの認識を示したが、米国の認識は正反対だ。」
(5)「米国防総省の歴史記録書は『米国は危機の際にそれら(核)を再持ち込みする権利を維持した』と明記している。再持ち込みは米国にとって『権利』なのだ。」
(6)「一方、秋葉氏発言は、自民党内にある『持ち込ませず』の見直し議論と重なる。例えば、石破茂元幹事長は17年9月のテレビ番組で、北朝鮮による核実験強行を踏まえ、日米同盟の抑止力向上のため、日本国内への核兵器配備の是非を議論すべきだとの考えを示した。」
(7)「秋葉氏が米連邦議会委員会に提出した書面には、米国に小型核保有などを促す要望もある。トランプ政権が今年1月に発表したNPRには、要望の趣旨に沿って小型核の開発が明記されている。『核なき世界』を目指したオバマ前政権の方針を大きく転換し、核保有国に核軍縮義務を課した核拡散防止条約(NPT)への背信行為である。」
(8)「非人道的な核兵器廃絶を促すべき立場にある日本が、『核抑止論』に固執するのは自己矛盾である。被爆国としてあまりにも無責任だ。」


 確かに、どう考えても、核抑止論に固執する米国・日本両政府のあり方は間違っている。
 また、「米国防総省の歴史記録書は『米国は危機の際にそれら(核)を再持ち込みする権利を維持した』と明記している。再持ち込みは米国にとって『権利』なのだ。」(琉球新報)という米国の方針のなかで、米国がこの「権利」を行使するためには、「目下の同盟」としての日本政府の役割が、どこにあったのかは明白ではないか。
 あわせて、このことは、単に2009年当時だけの問題ではない。
「メモを入手した米国の科学者らでつくる『憂慮する科学者同盟』のグレゴリー・カラキ上級アナリストは、名護市辺野古への新基地建設と隣接する米軍辺野古弾薬庫の再開発を挙げ、沖縄への核兵器の再持ち込みに警鐘を鳴らしている。」(琉球新報)、という極めて今の日本にとって現実的な問題なのである。





by asyagi-df-2014 | 2018-03-15 07:18 | 米軍再編 | Comments(0)

陸上自衛隊の「水陸機動団」とは何なのか。(1)

 日本版海兵隊である陸上自衛隊の「水陸機動団」新設に関して、朝日新聞は2017年10月31日、次のように報じていました。


(1)「陸上自衛隊に離島防衛の専門部隊『水陸機動団』(日本版海兵隊)が来年3月、新設される。防衛省はこの部隊を当初、長崎県の相浦(あいのうら)駐屯地をはじめ九州に置くが、2020年代の前半には沖縄県の米海兵隊基地キャンプ・ハンセンにも配置する方針を固め、米側と調整に入った。在日米軍再編に伴って沖縄に駐留する米海兵隊の一部が米領グアムに移転した後を想定しているという。」
(2)「複数の政府関係者が明らかにした。尖閣諸島に近い沖縄に置くことで、中国への抑止効果とともに、九州の南端以西の南西諸島で何か起きた際の展開を早める狙いがあるという。一方、沖縄にとっては、海兵隊の移転後に自衛隊が駐留することになり、『本当の基地負担の軽減につながらない』といった反発も予想される。」
(3)「陸自が来年3月末に発足させる水陸機動団は約2100人。相浦駐屯地には、司令部のほか普通科(歩兵)を中心とする2個の水陸機動連隊を置くことが決まっている。政府関係者によると、キャンプ・ハンセンへの駐留が検討されているのは、20年代前半までに発足させる予定の三つ目の水陸機動連隊。規模は約600人程度を想定しているという。」
(4)「日米両政府は8月の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)の際の共同発表で、南西諸島を含めた自衛隊の態勢を強化し、米軍基地の共同使用を促進することを確認し合った。キャンプ・ハンセンの共同使用を念頭に置いていたという。共同発表を受けて日米両政府は、在沖縄の米海兵隊の一部がグアムに移転した後に陸自の水陸機動連隊の一つをキャンプ・ハンセンに配置する基本方針を確認。在沖縄米軍は日本側に、この部隊の規模や編成など具体的な検討を進めるチームの設置を申し入れたという。」
(5)「日米両政府は06年、沖縄の米軍基地負担の軽減と抑止力の維持を両立させる目的で、在日米軍再編の『ロードマップ』を策定した。12年には、在沖縄の海兵隊員のうち約9千人の国外(このうち約4千人をグアム)移転に合意。13年には、グアム移転を20年代前半に始めることも公表している。」
(6)「日本政府は来年末までに策定する予定の新たな防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画に、キャンプ・ハンセンへの陸自部隊駐留を盛り込みたい意向だが、来秋には沖縄県知事選があり、沖縄側の反応も見ながら検討を進める方針だ。
(土居貴輝)


 ここでは、まずは、この日本版海兵隊である陸上自衛隊の「水陸機動団」とはどういうものなのか、ということを押さえる必要があります。
 平成29年版防衛白書は、陸上自衛隊の「水陸機動団」の新編について、次のように記述しています。


「平成29年度末に新編される水陸機動団は、万が一島嶼を占拠された場合、速やかに上陸・奪回・確保するための本格的な水陸両用作戦を行うことを主な任務とする陸自が初めて保有する本格的な水陸両用作戦部隊です。これまで陸自になかった水陸両用作戦機能を整備するにあたり、現在様々な教育訓練などに取り組んでいます。例えば、隊員は洋上での行動に必要な各種技術の修得に加え、水陸両用車(AAV7)を使用した訓練やヘリコプターから海面への降下とそれに引き続くボートなどを使用した水路潜入訓練など、厳しい訓練に日々汗を流しております。また、海自、空自及び米軍などとの連携の向上を図るため、国内外の演習に積極的に参加し、ノウハウの蓄積に励んでいます。」
「水陸機動団が新編されることにより、島嶼防衛に関する能力向上が図られ、わが国の抑止力が向上します。また、災害派遣においても海上からの迅速な救援活動など、幅広い活動が期待されます。」


 東京新聞は2018年3月4日、「週のはじめに考える 水陸機動団は有効か」、とその社説でこの水陸機動団について、「自衛隊版海兵隊の『水陸機動団』が今月、陸上自衛隊に誕生します。奪われた島を取り返す専門部隊ですが、その役割と課題について、考えてみました。」、と次のように論評しました。
 この社説で、この問題を考えます。まずは、その役割についてです。


(1)「水陸機動団は二個連隊、隊員二千百人規模。長崎県佐世保市で産声を上げます。その役割について、山崎幸二陸上幕僚長は会見で『離島の防衛を主体とする部隊。この新編により、主に島しょ防衛の実効性ある抑止、また対処能力が向上する』と述べています。」
(2)「これまでの島しょ防衛は、情勢が緊迫した段階で陸上部隊を離島に事前展開し、抑止力を高めて侵攻を未然に防止するというやり方でした。水陸機動団も事前展開を重視することに変わりないものの、島しょを占領された場合、奪回するのを主任務としています。そのための装備として垂直離着陸輸送機『オスプレイ』や水陸両用車を活用します。」


 次に、東京新聞は、「すっきりしない印象が残る」、とその課題について指摘します。


(1)奪回には航空優勢、海上優勢の確保が欠かせません。敵に空域、海域とも抑えられている状況下で上陸を敢行するのは自殺行為に等しいからです。以前、取材に応じた陸上幕僚監部の作戦担当幹部は『もちろん航空優勢、海上優勢が確保されていなければ、上陸しません』と断言。それならば平時に輸送して、港から陸揚げするのと同じことになり、オスプレイや水陸両用車の出番はありません。出番の有無に関係なく、防衛省はオスプレイを十七機、水陸両用車を五十二両、米政府から購入します。ともに陸上自衛隊がお手本とする米海兵隊の主力装備でもあります。危険な敵前上陸はしないにもかかわらず、『殴り込み部隊』といわれる米海兵隊と同じ装備を持つのは違和感があります。」
(2)「すっきりしない印象が残るのは、水陸機動団が誕生するまでの経緯と関係しているのではないでしょうか。民主党政権下の二〇一一年度に改定された日本防衛の指針『防衛計画の大綱』で陸上自衛隊は一人負けしました。海上自衛隊と航空自衛隊の増強が認められる一方で、陸自は定員千人を削られ、戦車と大砲も削減されました。」
(3)「第二次安倍晋三政権下の一四年度に再改定された大綱は、冷戦期に想定した大規模な陸上兵力を動員した着上陸侵攻が起こる可能性をほぼ完全に排除しています。陸上自衛隊が主役となるような戦争はもう起きないというのです。このままでは先細る一方の陸上自衛隊が着目したのは、中国による離島侵攻を想定した島しょ防衛でした。ただ、中国は尖閣諸島以外の島々について領有権を主張していません。海軍力を強めているのは事実とはいえ、その目的が沖縄の離島占拠にあると考える専門家はあまりいないことでしょう。それでも南西防衛、島しょ防衛を打ち出した陸上自衛隊は、全国の師団・旅団を機動運用部隊と地域配備部隊に分け、いざという場面で機動運用部隊を島しょ防衛に派遣することにしました。その先陣を切るのが水陸機動団なのです。誤解を恐れずにいえば、陸上自衛隊という実力組織の『生き残り策』のシンボルといえるかもしれません。」
(4)「付け焼き刃を裏付けるのは、輸送力が足りないのに発足してしまうことです。そもそも米海兵隊が使っている強襲揚陸艦は自衛隊に一隻もありません。代わりに使う『おおすみ』型輸送艦で運べる水陸両用車は一隻あたり十六両にすぎず、『おおすみ』型三隻をフル動員しても購入する五十二両は運びきれません。」
(5)「水陸両用車を満載すれば、戦車や装甲車を上陸させるのに必要なエアクッション揚陸艇(LCAC)二隻を搭載できず、戦力は決定的に不足します。輸送力の確保には、強襲揚陸艦などの建造が欠かせませんが、艦艇の発注元である海上自衛隊の関心は中国の水上艦や潜水艦の動向監視にあるので連携プレーは望めそうもありません。」


 東京新聞は、「問題はまだあります。」、と続けます。


(1)「水陸機動団は本来、三個連隊なのです。いずれ三個目の連隊を発足させますが、配備先として沖縄の米海兵隊基地が浮上しています。基地の固定化につながる部隊配備を沖縄の人々は歓迎するでしょうか。」
(2)「他の組織改編も同時にあって『陸上自衛隊始まって以来の大改革』といわれますが、陸自が実際に活躍する場面は災害救援なのでは。本土を手薄にしていいのでしょうか。北朝鮮の動向も気になりますが、政府は起こりうる事態を示すことなく、『国難』を叫ぶばかり。内向きの理屈を先行させる国防政策でいいはずがありません。」


 これまでも、安倍晋三政権が、「辺野古が唯一の選択」として進める沖縄への新基地建設の強行が、米国が必要とする「米軍再編」を受けた「目下の同盟」としての施策を利用した自衛隊の拡大強化でしかないことは繰り返し指摘してきました。
例えば、「辺野古が唯一の選択」のために、一貫して利用されてきたのが「沖縄の基地負担軽減」というトリックでした。
それは、今回の日本版海兵隊である陸上自衛隊の「水陸機動団」新設の目的が、「陸上自衛隊に離島防衛の専門部隊『水陸機動団』(日本版海兵隊)が来年3月、新設される。防衛省はこの部隊を当初、長崎県の相浦(あいのうら)駐屯地をはじめ九州に置くが、2020年代の前半には沖縄県の米海兵隊基地キャンプ・ハンセンにも配置する方針を固め、米側と調整に入った。在日米軍再編に伴って沖縄に駐留する米海兵隊の一部が米領グアムに移転した後を想定しているという。」、ということにあることが、朝日新聞の指摘に明確に現れています。
 この上に、陸上自衛隊の日本版海兵隊である「水陸機動団」新設が、東京新聞の「陸上自衛隊が主役となるような戦争はもう起きないというのです。このままでは先細る一方の陸上自衛隊が着目したのは、中国による離島侵攻を想定した島しょ防衛でした。ただ、中国は尖閣諸島以外の島々について領有権を主張していません。海軍力を強めているのは事実とはいえ、その目的が沖縄の離島占拠にあると考える専門家はあまりいないことでしょう。それでも南西防衛、島しょ防衛を打ち出した陸上自衛隊は、全国の師団・旅団を機動運用部隊と地域配備部隊に分け、いざという場面で機動運用部隊を島しょ防衛に派遣することにしました。その先陣を切るのが水陸機動団なのです。誤解を恐れずにいえば、陸上自衛隊という実力組織の『生き残り策』のシンボルといえるかもしれません。」、ということにあるとするなら、沖縄は、このままでは、70年を超えて200年以上に渡り(少なくとも辺野古新基地を抱える期間)、「目下の同盟」と「生き残り策」という二重の苦しみを負わされることになります。
 それも、虚構の「抑止力」と欺瞞の「基地負担軽減」という目的のためにです。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-12 08:54 | 米軍再編 | Comments(0)

オスプレイの重大事故率が、5年前の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)配備前に日本政府が公表した事故率の約1.5倍に増え、海兵隊機全体の事故率も上回る。

 毎日新聞は2017年10月30日、表題について次のように報じた。


(1)「米海兵隊が運用する垂直離着陸輸送機オスプレイの今年8月末時点の重大事故率が、5年前の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)配備前に日本政府が公表した事故率の約1.5倍に増え、海兵隊機全体の事故率も上回ったことが、海兵隊への取材で分かった。政府はオスプレイの事故率が海兵隊機全体より低いことを示して国内配備への理解を求めてきた経緯があり、その根拠が覆る形に改めて対応が問われそうだ。」【川上珠実、前谷宏】
(2)「海兵隊は、被害総額が200万ドル(約2億2700万円)以上や、死者が出るような飛行事故を「クラスA」の重大事故とし、10万飛行時間ごとの発生率を機体の安全性を示す指標として使用している。海兵隊によると、オスプレイが試験開発を終えた2003年10月から今年8月末の総飛行時間は30万3207時間で、重大事故は9件。10万飛行時間当たりの事故率は2.97になり、防衛省が12年10月の普天間飛行場配備前に公表した事故率1.93(同年4月時点)の約1.5倍に上った。」
(3)「政府は、普天間飛行場配備前のオスプレイの事故率(1.93)が当時の海兵隊機全体の2.45を下回っていたことで安全性を強調していた。しかし、米会計年度末(9月末)に算出するオスプレイの事故率は上昇傾向にあり、昨年9月末時点は2.62で、海兵隊機全体の2.63に迫っていた。その後も、沖縄県名護市沖での不時着事故(昨年12月)や豪州沖での墜落事故(今年8月)が発生。8月末時点のオスプレイの事故率(2.97)が海兵隊機全体の同時期の2.59を上回ったとみられる。9月29日にはシリアで墜落事故が起き、米会計の17年度末(9月末)はさらに上昇が予想される。」
(4)「事故率の増加に対し、海兵隊の広報担当者は『軍用機に潜在的なリスクはつきものだ。高い水準の安全性を確保するため、あらゆる段階で安全措置や予防策を整えている』と説明する。一方、防衛省の担当者は『操縦ミスなど機体以外の要因でも事故は起こり、事故率はあくまで目安の一つだ。米側には平素から安全確保への配慮を求めている』としている。」
(5)「米国防総省国防分析研究所の元分析官でオスプレイの飛行能力の検証を担当したレックス・リボロ博士の話 オスプレイは機体構造が複雑であり、小さな操縦ミスも許さない設計になっている。オスプレイが海兵隊内で普及するに従い、比較的経験の少ない操縦士も操縦するようになってきており、人為的なミスが起こりやすい状況を作り出していると考えられる。」
(6)「軍事評論家の前田哲男さんの話:北朝鮮情勢の緊迫化に伴い、米軍の訓練がより過酷になっていることが背景に考えられる。中でもオスプレイは固定翼モードと垂直離着陸モードの切り替えの際に脆弱(ぜいじゃく)性が指摘されており、ハードな訓練でもろさが露呈した可能性がある。沖縄や岩国はオスプレイの活動拠点であり、今後も事故が起きかねない。」




by asyagi-df-2014 | 2017-10-30 11:55 | 米軍再編 | Comments(0)

在沖縄米海兵隊のCH53E大型輸送ヘリは、傲岸蕪村にも、恐怖の記憶が生々しい事故現場近くを飛行した。(2)

 在沖縄米海兵隊のCH53E大型輸送ヘリは、2017年10月11日、米軍北部訓練場に近い沖縄県東村高江の車地区の牧草地に不時着し、炎上した。機体は大破した。その後、在沖米海兵隊は同型機の飛行を停止し、米軍による機体の撤去や沖縄県と米軍による放射能検査等が行われたいた。
 しかし、在沖海兵隊第3海兵遠征軍は2017年10月17日、同型機の通常飛行訓練を18日に再開すると発表した。
 その結果、「在沖縄米海兵隊は18日午前、同型機の通常飛行訓練を再開した。同日午前10時42分、CH53E1機が同飛行場を離陸、北方向へ飛びたった。」(沖縄タイムス)、それも、「炎上の恐怖の記憶が生々しい事故現場近くを即座に飛行した」(琉球新報)、ということになった。
 このことは、①11日の事故から1週間での再開されたこと、②沖縄県などが求めていた事故原因の究明や公表が具体的に明らかにされないままの再開であったこと、などこれまでの米軍の対応が改まるものではなかった。
 また、沖縄タイムスは同日、「翁長雄志知事は高江周辺のヘリパッド6カ所の撤去を求める考えを明らかにした。知事がヘリパッドの撤去に踏み込んだのは初めて。那覇市内で記者団に語った。知事は、ヘリパッドに関し『私たちの切実な思いは使用停止、撤去だ』と強調。事故後に菅義偉官房長官が高江区の仲嶺久美子区長に電話で『何でもやる』と伝えたことを挙げ、『ヘリパッドこそ撤収してもらいたい』と述べた。飛行再開に関しては『言葉がない』と憤った。」、と報じた。


 このことについて、沖縄タイムスは2017年10月19日、「[米軍ヘリ飛行再開]住民無視政府にも責任」、と社説で主張した。
 沖縄タイムスは、「事故原因が解明されないまま、再発防止策を公表することもなく、米軍は昨日、大型輸送ヘリCH53の飛行を再開した。東村高江の民間地で同型機が炎上・大破した事故からわずか1週間しかたっていない。具体的な原因には触れず一方的に『安全宣言』した米軍の対応は、住民感情を無視した強引なやり方で、到底容認できない。『遺憾』と不快感を示すだけの日本政府の対応も当事者意識を欠き、ふがいない。」、とどこか冷静さを滲ませながら強く批判する。
続けて、事実経過と問題点を記す。


(1)「普天間飛行場所属のCH53が黒煙を上げ炎上したのは、民家から300メートルしか離れていない場所で、県道からも近かった。住民を不安に陥れ、県民に強い衝撃を与えた重大事故である。にもかかわらず海兵隊は専門家が整備記録を調べた結果、運用上の問題はなかったとして飛行を再開。ニコルソン四軍調整官は『私自身が安全でないと感じる航空機の運用を許可することはない』とコメントした。海兵隊トップとは思えない横柄な説明だ。」
(2)「オスプレイの墜落や緊急着陸などのトラブルが頻発し、米軍の航空機整備、安全管理が問われているというのに、安全性判断の根拠も示さず『安全』とは言葉を失う。復帰後、米軍機関連の事故は700件を超える。安全だと言いながら事故が繰り返されていることに、県民は『命がないがしろにされている』と怒りを募らせているのだ。」
(3)「事故の原因究明と結果の公表、防止策という当たり前の手順さえ踏めないのなら、駐留軍の資格はない。」
(4)「今回の炎上事故、昨年12月の名護市安部でのオスプレイ墜落事故、2004年の沖縄国際大学へのヘリ墜落事故は、いずれも民間地で起きた。本来なら日本側が捜査に当たるべきなのに、米軍が現場を封鎖し県警は締め出された。沖国大の事故後、日米は米軍機事故のガイドラインを策定したが、『米軍優先』の状態は変わっていない。」
(5)「日米地位協定には『公共の安全に妥当な考慮を払う』とある。住民生活に深刻な影響を与える訓練が認められているわけではないのだ。」
(6)「ヘリ炎上事故で、地元高江区は周辺6カ所のヘリパッドの使用禁止を決めた。県議会も同様の決議を全会一致で可決し足並みをそろえた。東村議会も抗議決議を可決した。
地元の声を無視して一方的に飛行を再開する権利まで米軍に与えているのか、政府に問いたい。」


 最後に、沖縄タイムスは、翁長沖縄県知事の言葉と共に、強く次のように指弾する。


「高江の事故現場を視察した翁長雄志知事は『沖縄にとって国難』だと怒りをあらわにした。飛行再開に対しては『日本国から守られている感じがしない』とも語った。政府は、戦後一貫して安全保障上の理由から、沖縄の米軍基地を積極的に評価してきた。半面、本土の反対を理由に米軍部隊や米軍基地の移転には消極姿勢に終始してきた。その結果、沖縄では今もなお米軍の事件事故が相次いでいるのだ。知事の言葉は沖縄の苦難の歴史の中から発せられたものである。米軍の『独走』を許している政府の責任は重い。」


 確かに、目下の同盟としての役割しか果たせない日本政府の「米軍の『独走』を許している政府の責任は重い。」、と言える。




by asyagi-df-2014 | 2017-10-30 07:45 | 米軍再編 | Comments(0)

在沖縄米海兵隊のCH53E大型輸送ヘリは、傲岸蕪村にも、恐怖の記憶が生々しい事故現場近くを飛行した。(1)

 在沖縄米海兵隊のCH53E大型輸送ヘリは、2017年10月11日、米軍北部訓練場に近い沖縄県東村高江の車地区の牧草地に不時着し、炎上した。機体は大破した。その後、在沖米海兵隊は同型機の飛行を停止し、米軍による機体の撤去や沖縄県による放射能検査等が行われたいた。
 しかし、在沖海兵隊第3海兵遠征軍は2017年10月17日、同型機の通常飛行訓練を18日に再開すると発表した。
 その結果、「在沖縄米海兵隊は18日午前、同型機の通常飛行訓練を再開した。同日午前10時42分、CH53E1機が同飛行場を離陸、北方向へ飛びたった。」(沖縄タイムス)、それも、「炎上の恐怖の記憶が生々しい事故現場近くを即座に飛行した」(琉球新報)、ということになった。
 このことは、①11日の事故から1週間での再開されたこと、②沖縄県などが求めていた事故原因の究明や公表が具体的に明らかにされないままの再開であったこと、などこれまでの米軍の対応が改まるものではなかった。
 また、沖縄タイムスは同日、「翁長雄志知事は高江周辺のヘリパッド6カ所の撤去を求める考えを明らかにした。知事がヘリパッドの撤去に踏み込んだのは初めて。那覇市内で記者団に語った。知事は、ヘリパッドに関し『私たちの切実な思いは使用停止、撤去だ』と強調。事故後に菅義偉官房長官が高江区の仲嶺久美子区長に電話で『何でもやる』と伝えたことを挙げ、『ヘリパッドこそ撤収してもらいたい』と述べた。飛行再開に関しては『言葉がない』と憤った。」、と報じた。


 このことについて、琉球新報は2017年10月18日、「米軍ヘリ飛行再開へ 県民の命軽視を認めない」、とその社説で論評した。
 このことに関する琉球新報(以下、新報)の主張は、はっきりしている。
 「何度同じことを繰り返すのか。沖縄県民の命と安全を軽視する行為は、断じて認められない。」、と断ずる。
新報は、「米海兵隊は事故を受けて、航空の専門家が整備記録を見直し、懸念につながる運用上の問題などは見つからなかったと概説した。それならなぜ重大事故が起きたのか。県民が知りたいのは事故原因や再発防止策である。細かい説明がないままの飛行再開は納得できない。」、と理由を明確にしたうえで、「強く抗議する。今回の衆院選で問われるべき重要な争点だ。」、とする。
 新報は、このことに関する疑念や問題点を次のように挙げる。
(1)「小野寺五典防衛相は『安全性の十分な説明がない中で一方的な発表は遺憾』と述べた。『遺憾』で済む話ではない。米軍に抗議して飛行再開を阻止するくらいの姿勢が必要だ。」
(2)「ローレンス・ニコルソン在沖米四軍調整官は『われわれは日本における米海兵隊航空機の飛行の安全性を約束している。安全ではないと思える運用は決して許さない』と述べた。『許さない』というのは決意表明にすぎない。これまでに何回墜落しているのか。」
(3)「米海軍安全センターが10月に発表した17米会計年度(2016年10月~17年9月30日)の事故統計によると、米海兵隊航空機の10万飛行時間当たりの最も重大な『クラスA』の事故率が07年以降、過去最悪の5・28件で、過去10年間の平均の2倍弱となった。過去最悪の事故を起こしている海兵隊機が沖縄に駐留しているのである。」
(4)「今年8月、普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが豪州で墜落し、乗員のうち3人が死亡した。しかし、わずか2日後の7日に沖縄でオスプレイが飛行を再開した。当初は、米軍が日本政府の飛行自粛要請を無視し、飛行を強行したとみられていた。だが、政府は『運用上必要なものを除く』との条件を付けていた。これでは『どうぞご自由に』と飛行再開を米側に促したも同然だった。まさに『日米共犯』である。」
(5)「米軍は16年12月に名護市安部で墜落したオスプレイも、墜落事故から6日後に飛行を全面再開した。」


 新報は、またも、こう日本本土に投げかけなくてはならない。


「海兵隊が沖縄で重大事故を起こしても、すぐに飛行再開できるのは日米合意が関係しているのではないか。沖縄返還交渉で、日本政府は返還後も米軍が在沖基地を自由使用することを認めている。
 1971年、沖縄返還交渉に対する最終要請を行った屋良朝苗主席に対し、佐藤栄作首相は自由使用について触れ「米軍の勝手にはできまい」と述べている。しかし、現実は異なっている。
 返還交渉のつけと、沖縄に関する日本政府の対米追従姿勢が県民の命と安全を危険にさらしている。」


 怒りをもって、確認する。
 「目下の同盟」は、結局、「日米共犯」という目下としての位置を与えられている過ぎない。





by asyagi-df-2014 | 2017-10-28 09:13 | 米軍再編 | Comments(0)

オスプレイ、新石垣空港に緊急着陸。(2)

 2017年9月29日午後5時ごろ、石垣空港に米軍普天間飛行場所属のオスプレイ2機が相次いで緊急着陸した。沖縄県内の民間専用空港での緊急着陸は初めて。
このことに関して、琉球新報は2017年9月30日、「オスプレイ配備5年 欠陥機は一刻も早く去れ」、と社説で批判した。
 この問題を、琉球新報で考える。
まず最初に、琉球新報は、この件に関して、「主権国家でありながら、国民の生命や健康を危険にさらす事態を日本政府は放置し続けている。」、と痛烈に批判する。
何故なのか、琉球新報は、次の事実を突きつける。


(1)この間、配備撤回の民意が示されてきたが、政府は無視してきた。本紙が23、24日に実施した世論調査で、68・7%が「配備をやめるべきだ」と答えた。オスプレイの安全性については72・7%が「危険だと思う」と回答した。8月のオーストラリア沖での墜落事故後、飛行自粛を求めた日本政府が短期間で飛行容認に転じた姿勢については8割が「評価しない」と回答している。
(2)本紙は20、21の両日、米軍普天間飛行上滑走路の延長線上に位置し、オスプレイの離着陸ルートとなっている宜野湾市の普天間や大謝名などに住む住民にアンケートした。その結果、オスプレイ飛行時に「気分がいらいらする」など心理的な影響は約6割、「眠れない」など睡眠妨害は約5割、「頭痛」「耳鳴り」など生理的な影響は約3割が感じると答えた。「戸や窓が振動する」など物的な影響を感じている人は約7割に上っている。
(3)7月に運用が始まった米軍北部訓練場内のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)でのオスプレイの飛行実態を1日だけ沖縄防衛局が調査した。その結果、午後1時から11時までの10時間で計28回の離着陸や上空旋回などの飛行が確認された。21分に1回の頻度で飛行が確認されていることになる。騒音レベルが「幹線道路周辺」に相当する70デシベル以上も高江小学校屋上で4回、牛道集落内で2回の計6回記録した。特にオスプレイが発する低周波音は他の機種に比べて大きいといわれる。政府は引き続き調査すべきだ。
(4)普天間飛行場所属のオスプレイは、昨年12月に名護市安部沿岸、今年8月にオーストラリア東部の洋上で墜落した。オスプレイの事故は海兵隊の全航空機による事故の発生と比べて突出している。専門家が指摘するように、この機種は欠陥機なのだ。


 考えてみれば、米軍普天間飛行場への垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが配されて5年になる。 この間、配備撤回の民意は、常に示されてきたが、日本政府は無視してきた。
このことを、琉球新報は、「憲法25条は『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』と明記している。13条は環境権(幸福追求権)を定め、前文は生命や健康が危険にさらされない平和的生存権を認めている。しかし、これらの権利が、オスプレイ配備によって著しく侵害されている。」、と断定する。
 しかし、オスプレイ問題は、決して沖縄だけに留まるものではない。琉球新報が指摘するように、「このまま放置すれば、沖縄だけでなく、全国各地で重大なトラブルを引き起こしかねない。」、と言う深刻な問題をはらんでいる。何故なら、オスプレイが欠陥機だからだ。
 琉球新報は、「オスプレイの早期配備撤回だけでなく、この欠陥機を運用する在沖米海兵隊の全面撤退、欠陥機が使用する辺野古新基地建設断念と北部訓練場に整備された六つのヘリパッドの使用を禁止すべきだ。」、と要求する。


 確かに、日米両政府は、オスプレイ配備から5年間、沖縄県民を恐怖の底に落としたままであることを、深く自覚しなければならない。
また、オスプレイは欠陥機であることを公に認めなければならない。
 そうすれば、何をしなければならないかが自ずと明らかになる。
それは、琉球新報の指摘する「オスプレイの早期配備撤回だけでなく、この欠陥機を運用する在沖米海兵隊の全面撤退、欠陥機が使用する辺野古新基地建設断念と北部訓練場に整備された六つのヘリパッドの使用を禁止」ということになる。




by asyagi-df-2014 | 2017-10-01 06:20 | 米軍再編 | Comments(0)

屋良 朝博の「沖縄から問う 基地問題の当事者は誰か? ペリー元米国防長官証言を読み解く」を読む。(1)

 沖縄タイムスは、屋良朝博さん(以下、屋良とする)の「衆院選2017~沖縄から問う 基地問題の当事者は誰か? ペリー元米国防長官証言を読み解く」(2017年9月26日付)を掲載した。
この屋良の提起について考える。
 屋良は、まず、「北朝鮮情勢が緊迫する最中の総選挙なんて、国防、安全保障の最前線といわれる沖縄にとっては首をかしげたくなる政治空白だ。『抑止力のため米軍基地は必要だ』と沖縄にだけ力んで見せるが、実は緊張感がないのでは…。そんな虚構の中で沖縄の基地問題は漂うのだろう。」、と沖縄から見える総選挙の姿を明快に示す。
続いて、本論の「ペリー元米国防長官証言」について、「沖縄基地問題の当事者はいったい誰なのかという真相に迫る決定的な発言だ。」、と次のように指摘する。


「興味深いインタビュー記事が9月14日付沖縄タイムス、琉球新報の両紙に掲載された。普天間返還の日米合意に米国防長官として関与したウィリアム・ペリー氏がNHK番組の収録で沖縄を訪れていた。ペリー氏は、米軍基地の配置について『米国がここに移設しなさいと決定する権利はない』と断言。基地移転先を決めるのは安全保障の観点でも軍事的な理由でもないとして、米軍基地の配置を決めるのは日本政府の政治判断だと言い切った。」


 まさしく、この証言は、これまでの日本政府の見解とは異なるものである。
このことを、屋良は、「日本政府は沖縄の地理的優位性が海兵隊の運用にとって不可欠な要素であるため、海兵隊の航空部隊(普天間飛行場)を沖縄に配置する必要があると説明する。一般的に米国のアジア戦略と日米同盟の目的を掛け合わせ、その運用を最適化するために沖縄に基地を集中させていると思われている。あたかも海兵隊が沖縄の基地を必要としているかのように政府は説明してきたが、ペリー元国防長官の証言は真逆だ。基地をどこに置くかは受け入れ国の政治判断に過ぎないのだ。」、と指摘する。
 


 屋良は、こう続ける。


(1)まぁ、常識的に考えれば、米軍運用のため沖縄を差し出しなさい、と米国が日本に指図するわけがない。日米同盟は賛成、でも基地負担は嫌よ、という破廉恥な安保政策が沖縄問題の真相なのだろう。政府の説明はそれをカモフラージュするために「地理的優位性」「抑止力」といった検証不可能な用語を操っているに過ぎないことが、ペリー証言から浮かび上がる。
(3)正しい情報かあるいはフェイク(偽)、デマなのかを見分けるには、「主語」が明確かをチェックすることだといわれる。沖縄に基地を集中させるのが米政府の意向なのかを確認する必要があるが、実は日本政府はこの問いから逃げている。
(4)仲里利信衆院議員は今年6月に提出した質問主意書で、まさにその真相に迫ろうとした。「政府は、海兵隊は沖縄に駐留すべきだと主張している。この主張は海兵隊を運用する米政府の考えに基づくものなのか、それとも日本政府独自の判断や見解に基づくものなのか明らかにされたい」と問うた。沖縄に基地が必要だと主張するのはいったい誰なのかを明確にせよという質問だ。ところが、同月20日付の政府答弁書にその答えは一切なかった。やや長いが「海兵隊の沖縄配置を決めるのは誰か」に対する回答を引用する。
 “「沖縄は、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離をおいているという利点を有している。また、南西諸島のほぼ中央にあり、我が国のシーレーンに近いなど、安全保障上極めて重要な位置にある。こうした地理上の利点を有する沖縄に、司令部、陸上部隊、航空部隊及び後方支援部隊を統合した組織構造を有し、優れた機動性及び即応性により、幅広い任務に対応可能な米海兵隊が駐留することにより、種々の事態への迅速な対応が可能となっており、在沖縄米海兵隊は、抑止力の重要な要素の一つとして機能していると認識している」”
(5)この文書には「主語」がない。誰の判断かを問うているのに、沖縄の地理的位置を説明し、海兵隊の組織と任務を大雑把に説明しただけだ。しかもわざわざ米本国やハワイと比べて沖縄は東アジアに近い優位性があると主張する。普通なら例えば鹿児島や熊本など近隣県と比べてどれほどの優位性があるかを明らかにするなら理解できよう。米本国やハワイと比べるなら、日本のどこでも地理的優位性があることになる。


 つまり、沖縄の地理的優位性とは、日本の地理的優位性の大きなくくりの中にある一地域の問題なのである。


 屋良の提起は、「仲里氏の質問主意書は、県外移転の可能性を質している。」、と「抑止力」の問題から「県外移転」の問題へと展開される。
屋良は、続ける。


(1)政府答弁書は「在沖縄米海兵隊の沖縄県外への一括移転については、一般的には、沖縄ほどの地理的優位性が認められない、広大な土地の確保に多大な時間を要するといった問題点があるものと認識している」としている。
(2)一般的な地理的優位性とは、太平洋の向こう側と比較するほどいい加減なのだから、まるで説得力がない。さらに「広大な土地の確保に時間がかかる」というが、広大とはいったいどれほどの面積なのか不明だし、国土面積のわずか0.6%の沖縄で確保できて、本土で確保できないなんてありえない。また、本土移転に「時間がかかる」というが、普天間飛行場の返還に合意した1996年から20年以上が経過している。
(3)かつて政府系シンクタンク、総合開発研究機構(NIRA)が北海道苫小牧東部の産業開発地区を海兵隊基地として整備し、沖縄の大規模な負担軽減につなげようという計画書をまとめたことがある。結局、日の目を見ることなくこの構想は握りつぶされる。安全保障の負担を分かち合おうという発想がこの国にはないばかりか、基地配置が政治判断であるにもかかわらず、沖縄の過重負担を「地理」のせいにする。


 ここで、「北海道苫小牧東部の産業開発地区を海兵隊基地として整備し、沖縄の大規模な負担軽減につなげようという計画書をまとめたことがある。」、と言う指摘を初めて知る。
屋良の「安全保障の負担を分かち合おうという発想がこの国にはないばかりか、基地配置が政治判断であるにもかかわらず、沖縄の過重負担を『地理』のせいにする。」、との批判が臍を突く。


 また、屋良は、今回の「ペリー元米国防長官証言」と同様な発言をした日本政府高官の話を紹介する。


(1)ペリー氏が述べた真実と同じことを日本の元防衛大臣も証言したことがある。民主党政権で民間人として防衛大臣に登用された森本敏氏は2012年暮れの離任会見で、沖縄の海兵隊配置は軍事的な理由ではなく、政治的な判断であることを明言した(森本氏はその後、沖縄が軍事的にも最適だと自らの発言を修正している)。
(2)日本政府の当局者として地理的優位性ではない本当の理由を明かしたのは森本氏が初だった。筆者は当時、この発言に触れたとき、ついに沖縄基地問題の真相が明かされると興奮したのだが、その考えは甘かった。国内メディアは森本発言にほとんど関心を示さず、政治家も沖縄問題そのものに関心がなかった。沖縄の基地問題はこの国にとって所与のものであり、既成事実をひっくり返すのが面倒なのだろう。


 屋良は、今回の「ペリー元米国防長官証言」について、次のように押さえる。


(1)今回のペリー発言も本来なら政府の説明がデマであることを立証する内容なのだが、この情報は決して本土へ伝播しないため、政治的なインパクトを持ち得ない。真実よりも為政者が積み上げる既成事実が優先される。
(2)おそらく今回の衆院選もあっという間に過ぎ去り、基地問題の真実が議論されることはないだろう。辺野古埋め立ての賛否は問われるだろうが、新滑走路を使う海兵隊の駐留をめぐる是非は議論されない。海兵隊が駐留するから普天間の代替施設として辺野古埋め立てが必要で、那覇軍港の浦添移転、高江ヘリパッド、倉庫群の沖縄市・読谷村への移転が必要になる。
(3)特定の基地を狭い沖縄で並行移動する旧来の負担軽減策ではなく、施設を使う部隊そのものを動かせないかどうかを議論する方がよっぽど合理的なはずだが、それが選挙の争点にはならない。その理由は政治家が避けているか、あるいは議論を収斂(しゅうれん)できていないかのいずれかだろう。


屋良は、この上で、次のように訴える。


(1)沖縄タイムス9月24日付2面の連載「始動短期決戦2017衆院選」第5回は、政府与党の思惑を分析している。辺野古埋め立て承認の取り消し請求訴訟で翁長県政が敗訴したことで、政府は埋め立てもやむなしとする世論を広げたいところだ。自民党本部サイドは「仕方なく辺野古を認める県民に、自民党候補が現状をしっかり説明せず曖昧なことを言うほど見放され、票は減る」と発破をかけている。
(2)政府答弁書のような内容を「しっかり説明」するならば、自公の与党候補は米本国やハワイより沖縄が東アジアに近いのだから辺野古埋め立てもやむを得ない、と有権者に訴えることになる。そんなまやかしの選挙を何度繰り返すのだろうか。ペリー氏が証言した真実を正面から受け止める覚悟が政治家にあるかどうかが問われるべきだ。
(3)米軍に基地を提供するために、美しい辺野古の海を埋め立てる政策が唯一の選択肢であるはずがない。将来を見据えた解決策を政治の責任で提示し、有権者の信を問うてほしい。


 確かに、次のことを確認できる。


Ⅰ.基地をどこに置くかは受け入れ国の政治判断に過ぎない。
Ⅱ.日米同盟は賛成、でも基地負担は嫌よ、という破廉恥な安保政策が沖縄問題の真相。
Ⅲ.政府の説明はそれをカモフラージュするために「地理的優位性」「抑止力」といった検証不可能な用語を操っているに過ぎない。
Ⅳ.安全保障の負担を分かち合おうという発想がこの国にはない。また、真実よりも為政者が積み上げる既成事実が優先されるように日本の民意度は低い。
Ⅴ.米軍に基地を提供するために、美しい辺野古の海を埋め立てる政策が唯一の選択肢ではない。


 そして、今回の総選挙に必要なのは、ペリー氏が証言した真実を、市民の一人ひとりが受け止め、逆に政治家へその真実を正面から受け止める覚悟があるかどうかを問うことである。




by asyagi-df-2014 | 2017-09-30 06:00 | 米軍再編 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
画像一覧