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名護市辺野古に建設中の新基地は、米軍にとって本当に必要なのか、との強い疑念。-琉球新報-

 琉球新報(以下、「新報」)は2019年9月7日の社説で、「『辺野古』耐震レベル 重要施設ではない証左だ」、と言い切る。
それは、「米軍普天間飛行場の代替施設として名護市辺野古に建設中の新基地は、米軍にとって本当に必要なのか。改めて強い疑念を抱く。」、ということ。
「軟弱地盤の改良工事に関する防衛省の報告書で、大規模地震を想定した耐震性が検討されていなかったのである。」に対しての「新報」の指摘は、次のもの。


(1)空港の耐震設計に関する国土交通省の基準では、耐用年数中に起こる可能性のある中規模程度の地震を「レベル1」、東日本大震災級の最大規模の揺れを「レベル2」と規定する。防衛省の報告書は「レベル1」を採用して検討した。米国側とも調整した上での判断だという。
(2)国内の主要空港では大規模震災に備えた耐震化が進められている。本当に重要なインフラであれば、最高レベルの耐震性を追求するのは当然のことだ。
(3)米国側が「レベル1」でよしとしたのは、辺野古に建設する基地を、必要不可欠な重要施設と見なしていない証左と言っていい。


 また、米国側が「レベル1」と判断したことについて、「新報」は次のように指摘する。


(1)米軍基地の整理縮小を求める世論の高まりを受け、日米両政府が普天間飛行場の全面返還を合意したのは1996年。普天間のヘリコプター部隊を嘉手納飛行場など県内の既存の米軍基地内にヘリポートを建設して移転すること、嘉手納基地内に追加的な施設を整備すること―などが当初示された条件だった。
(2)合意した時点においては、新たな基地の建設など求めてはいなかった。こうした経緯を踏まえれば、米国が最高レベルの耐震性にこだわらなかったことにも合点がいく。
(3)報告書は防衛省の委託業者が今年1月にまとめた。7万7千本の砂ぐいを打ち込む工法を用いることで、地盤改良は可能だと結論付けている。
(4 )「レベル2」に対応するとなると、工期の長期化が避けられない。工事費も膨らむ。建設を急ぎたいという思惑が背景にあるのだろう。


 さらに、「辺野古を含む沖縄県の沿岸部の多くが、向こう30年間に26%以上の確率で震度6弱の揺れが起こる地域とされている。」、との事実をもとに、次の批判を加える。


(1)沖縄では近代以降、石垣が崩れるといった被害が出た地震が10回以上起きている。1911年の地震では1人が死亡、11人が負傷した。
(2)政府の地震調査委員会が公表した全国地震動予測地図2018年版によると、辺野古を含む沖縄県の沿岸部の多くが、向こう30年間に26%以上の確率で震度6弱の揺れが起こる地域とされている。
(3)大きな地震が発生した場合、燃料だけでなく弾薬などによる被害も起こり得る。耐震性を軽視することは、県民の安全よりも早期建設を優先する姿勢にほかならない。


 結局、「新報」は、「新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問うた2月の県民投票では、投票者の7割超が反対した。大多数の民意に逆行する無用の新基地のために、最大2兆6500億円(県の試算)もの国費を投じるのは愚の骨頂である。政府は強硬な姿勢を改め、県内移設を伴わない普天間飛行場の返還を目指し、大きくかじを切るべきだ。」、と断じる。


 どうやら、「国内の主要空港では大規模震災に備えた耐震化が進められている。本当に重要なインフラであれば、最高レベルの耐震性を追求するのは当然のことだ。米国側が『レベル1』でよしとしたのは、辺野古に建設する基地を、必要不可欠な重要施設と見なしていない」、ということに行き着く。



by asyagi-df-2014 | 2019-09-18 07:01 | 米軍再編 | Comments(0)

安倍晋三政権が、散々利用した『基地負担の軽減』という言葉の実態。

 安倍晋三政権が、散々利用した『基地負担の軽減』という言葉の実態。
「4日午後3時ごろ、国頭村安田の北部訓練場返還地で、米海兵隊UH1Yヘリの離着陸が目撃された。発着地は2016年12月に返還された『LZ―FBJヘリパッド』と呼ばれる一帯で、やんばる国立公園にも含まれている。搭乗していた米兵が側面ドアから降りるようなそぶりも見せたが、結局は降りずに、ヘリは離陸した。宮城さんは『(返還地で)緊急着陸などはあると思っていたが、今回は訓練で着陸したのではないか。やりたい放題だ』と憤った。」、と琉球新報。
主権の喪失と軍事植民地主義が呼応し合っている。


 最初に、この記事を来た時の思いである。
 このことに関して、琉球新報(以下、「新報」)は2019年9月6日、「米軍ヘリ返還地着陸 訓練空域の縮小が必要だ」、と社説で論評した。
「米軍北部訓練場のまやかしの負担軽減が改めて明るみに出た」、と指摘する「新報」の批判は次のものである。


(1)4日、米海兵隊のUH1Yヘリコプターが国頭村安田の北部訓練場返還跡地にあるヘリ発着場(ヘリパッド)に離着陸するのが確認された。事前通知はなく、沖縄防衛局は事実を把握していなかった。
(2)今回は市民の目撃があったが、人知れず常習的に返還地の施設を使用していないかという疑念がぬぐえない。まして一帯は、やんばる国立公園としてユネスコの世界遺産登録を目指す森林地帯だ。ノグチゲラやヤンバルテナガコガネなど貴重な固有種が生息する。生態系に悪影響を及ぼす米軍機の離着陸や低空での飛行は、排除されなければいけない。
(3)一連の問題の根底にあるのが、北部訓練場の一部返還後も、返還地の上空に設定されている訓練空域が縮小されていないことだ。地上での演習はなくなったように見えながら、日本政府が上空を米軍に提供し続けている。
(4)返還後も変わらず上空を自由に使用できるため各種の飛行訓練が実施される。これが今回の返還跡地への離着陸にもつながっている。日本政府は国立公園への無断着陸に強く抗議すると同時に、返還地上空に維持されている訓練空域の縮小・返還を求めるべきだ。実効性のある再発防止策が求められる。
(5)北部訓練場の面積7513ヘクタールのうち4010ヘクタールが日本に返還されたのは2016年12月だった。菅義偉官房長官が「本土復帰後最大の返還」と繰り返すなど、政府は沖縄の基地負担軽減の実績としてことさらに強調してきた。一方で、返還後も残る訓練場内に、ヘリのほか垂直離着陸輸送機MV22オスプレイなどが使用する六つの発着場を新たに建設することが、返還の条件となった。
(6)発着場が隣接することになる東村高江区などが強く反対していたにもかかわらず、政府は機動隊を投入してまで建設工事を強行した。


 また、「米軍北部訓練場のまやかしの負担軽減」(「新報」)に実態を指摘する。


(1)新たな発着場の完成後はオスプレイなど米軍機が頻繁に使用し、昼夜を問わず集落上空を飛行して騒音をまき散らしている。17年10月には高江の民間牧草地にCH53Eヘリが不時着・炎上する事故が発生した。
(2)生活環境の悪化という地元の懸念は現実となり、墜落や森林火災の危険にさらされる。「過半返還」の名の下に基地機能の強化と負担の増大が進んでいるのが実態だ。
(3)そこに来て、返還跡地のヘリパッドを使用した今回の事態だ。民間地という認識が米軍に薄く、いつでも使える施設として訓練を運用しているとすればもっての外だ。


 どうだろうか。
 「新報」のこの批判は、当たり前すぎるのだが。


 「政府が本気で負担軽減を言うならば、米軍のやりたい放題の基地使用に歯止めをかけ、集落の静かな生活環境と生態系の保全を徹底する必要がある。最終的には北部訓練場の全面返還しかない。」


 さて、改めて、日本という国の主権の喪失状況を思い知る。
 「一連の問題の根底にあるのが、北部訓練場の一部返還後も、返還地の上空に設定されている訓練空域が縮小されていないことだ。地上での演習はなくなったように見えながら、日本政府が上空を米軍に提供し続けている。」、との琉球新報の指摘は、日本という国の現状を告発する。
決して、沖縄だけの問題ではない。



by asyagi-df-2014 | 2019-09-17 06:50 | 米軍再編 | Comments(0)

「米軍機の窓落下 重大事故の認識を欠く」、と東京新聞。

 どういうことが起きているのか。
米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリがまた窓を落下させた、というのである。
要は、このことをどのように捉えることができるのかが、問われているのだ。
東京新聞(以下、「東京」)は2019年9月4日、「米軍機の窓落下 重大事故の認識を欠く」、と社説でこのように見解を示した。
「東京」は、この重大事故の実態を、まず指摘する。


(1)米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属のCH53E大型輸送ヘリがまた、窓を落下させた。大惨事につながりかねない事故だ。政府は同型機の飛行停止を申し入れ、安全管理を徹底させるべきだ。
(2)落下した窓は縦五十八センチ、横四十七センチのプラスチック製で重さは約一キロ。被害は報告されていないが、決して軽視してはならない。
(3)落下地点は当初「沖縄本島の東沖」とされたが、米軍によれば、乗員が飛行場に戻って窓が無いことに気付いたという。陸上に落ちた可能性も否定できない。
(4)沖縄県の統計では、本土復帰後昨年末までに米軍機からの部品や搭載物の落下は七十件に上る。
(5)CH53Eヘリは二〇一七年十二月、体育の授業中の児童がいた宜野湾市の小学校校庭に重さ八キロ近い金属製の窓を落とした。その六日前には近くの保育園でも同型機のものらしい部品が見つかり、ことし六月には浦添市の中学のテニスコートにゴム製のテープを落とした。生徒の足元から数十センチの場所だった。同型機は一七年十月、沖縄県東村の牧草地に不時着し炎上、大破している。


 「東京」は、この重大事故の問題点を明確にする。


(1)事故があった八月二十七日夕から県や市への通報が二日もかかったのも重大な問題だ。米側から日本政府への連絡が一日後、防衛省も事実確認などに一日かけていた。日米間には、米軍機からの落下事故は速やかに地元に通報する合意があるにもかかわらずだ。
(2)さらに、事故を受けて県などが同型機の飛行停止と原因究明を求めたのに対し、岩屋毅防衛相は早々に飛行自粛まで要請する考えはないことを表明した。「被害情報がない」との理由だ。米軍、日本政府とも住民の生命と財産を守る使命感、事態の重大さへの認識が著しく欠けている。


 「東京」は、最後に、「なぜこうも事故が続くのか。」に関して次のように主張する。


(1)CH53Eは一九八一年から運用が始まり、老朽化が進んでいる。今回落ちたのは機体後部に固定されている窓だ。通常は落ちるはずがないと専門家はみる。原因には、米軍内の整備体制の不備も絡んでいるのではないか。
(2)今回も政府は米軍に実効性のある再発防止策を講じるよう申し入れたというが、形だけに終わらせてはならない。事故頻発の背景として、米軍と日本政府に「沖縄だからある程度の負担は仕方ない」との誤った考えがあるのなら見過ごせない。県民の基地不信は増幅している。整備不良の軍用機が頭上を飛ぶことを許してはならない。政府には真摯(しんし)に対応する責務がある。


 うん。
 「米軍と日本政府に『沖縄だからある程度の負担は仕方ない』との誤った考えがあるのなら見過ごせない。」(「東京」)って。
 そうだ、「構造的沖縄差別」の基底にある差別意識だ。




by asyagi-df-2014 | 2019-09-16 06:08 | 米軍再編 | Comments(0)

結局は、人の命を削り続けられることに。

 第1次嘉手納基地爆音差し止め訴訟から37年が過ぎた。
 しかし、今回の第3次控訴審判決もまた、「判決は、またも米軍機の運用を『第三者行為論』で退けた」(琉球新報)、というものでしかない。
 確かに、「池宮城紀夫弁護団長(79)『本当に情けない判決だ。国が国民の生存権や人権を守らない。糾弾せざるを得ない』と怒りをあらわにした。」(琉球新報)、ということに尽きる。
 沖縄は、37年以上前から命を削られ続け、これからもそのことを強制され続けるとしたら、何のために、国は、司法はあるのか。
このことは、やはり、『辺野古が唯一の選択』が、結局は人の命を削り続けることを証明する。


 この控訴審判決に沖縄の二紙がどのように向き合っているのか、まとめてみた。
 まず、琉球新報(以下、「新報」)は、「嘉手納爆音二審判決 基地被害に背を向けるな」、と社説(2019年9月13日)で論評した。
 「新報」の批判は、次のものである。


(1)米空軍嘉手納基地周辺に暮らす約2万2千人が、米軍機の夜間・早朝の飛行差し止めなどを求めた第3次嘉手納爆音差し止め訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部が飛行差し止め請求を棄却したのである。国に対し総額261億2577万円の賠償の支払いを命じたが、一審判決から約3割減額した。一審が認めた部分的な健康被害についても認定しなかった。読谷村座喜味以北の原告への賠償は、これを認めた一審判決を支持した。
(2)飛行差し止めを棄却したのは「飛行場の管理・運営権は米国に委ねられており、被告(国)は米軍機の運航を規制できる立場にない」「請求は、被告に対してその支配内にない第三者の行為の差し止めを求めるもので、理由がない」とする「第三者行為論」を一審に引き続き採用したためだ。
(3)県民の立場からすれば、主権の放棄にほかならず、米軍基地の傍若無人な運用を助長する理屈にしか映らない。これでは、基地周辺に住む住民は基地がある限り未来永劫、被害を受け続けることになる。そのような理不尽を甘受せよというのか。

 また、一審判決よりも切り下げられた判決内容であったことについて、次のように批判する。


(1)一審判決は、騒音が高血圧症発生のリスクを増大させると認めたが、控訴審判決が認定したのは「高血圧症状の発生に対する不安感等の精神的苦痛」にとどまる。被害の矮小(わいしょう)化であり、到底、容認できるものではない。
(2)わが国の統治機構は三権分立を建前とする。国家権力を立法、行政、司法に分け、それぞれを担う機関を分離独立させることで、権力の乱用を防ぎ、国民の権利、自由を守る狙いがある。米軍基地の過度な集中によって住民の基本的人権が侵害されている現実は、政府による不適切な意思決定の結果である。それを是正の方向に向かわせることができるのは司法以外にない。
(3)その点で、今回の控訴審判決には失望を禁じ得ない。国策に追従し、米軍基地の野放図な使用に改めてお墨付きを与えたようなものだからだ。
(4)判決は、嘉手納基地での米軍の活動について「日本国民全体の利益に寄与する」と認めた上で、国民全体が利益を受ける一方、原告を含む一部少数者に特別の犠牲が強いられていると指摘した。「このような不公平は米軍の活動の公共性、公益上の必要性をもっても正当化することはできない」と断じている。正当化しようがない不公平が存在するのなら、なぜ、司法の責任放棄にも等しい「第三者行為論」に固執するのか。夜間・早朝の飛行差し止めを米軍に求めるよう、国に命じるべきだろう。


 「新報」は、日本の司法に、「受忍すべき限度を超えた騒音は改善されないままだ。これ以上、違法な被害を放置することは許されない。」、と突きつける。


 一方、沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は、「[嘉手納爆音訴訟判決]被害救済せぬ人権の砦」(沖縄タイムス)(2019年9月12日)、と社説で論評する。
「タイムス」は、次のように批判する。


(1)米軍嘉手納基地周辺の住民2万2千人余りが深夜・早朝の米軍機飛行差し止めと損害賠償などを国に求めた第3次嘉手納爆音訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部(大久保正道裁判長)は11日、総額約261億2577万円の支払いを命じた。飛行差し止め請求は退けた。
(2)一審判決は、第2次訴訟より損害賠償の算定基準を倍増させ、同種の爆音訴訟では過去最高額となる総額約301億9862万円としたが、判決では理由を明示することなく減額した。爆音による被害を認定しているにもかかわらず、著しい後退である。
(3)大久保裁判長は今年4月、第2次普天間爆音訴訟の控訴審判決でも一審判決を大幅減額している。記者会見した原告・弁護団は全国7基地の周辺住民が法廷闘争を続けており、損害賠償の高額化で国の財政に与える影響を司法が忖度したのではないか、との見方を示した。その見方が正しいのなら三権分立の危機である。
(4)判決は一審に引き続き、会話やテレビ・ラジオの視聴、勉強、読書、休息や家族だんらんなどの日常生活の妨害、心理的・精神的苦痛、睡眠妨害を原因とするストレス反応による血圧上昇などを認定。同基地周辺で爆音が社会問題となってから40年以上がたち、第1次、第2次訴訟が確定しているにもかかわらず、「現在も周辺住民が騒音による被害にさらされている」と受忍限度を超えていると批判する。国の不作為である。」


 とくに、「タイムス」は、日本政府の「第三者行為論」への問題点を示す。


(1それでも米軍機の差し止めには踏み込まない。米軍機には日本政府の指揮・命令権が及ばないとする「第三者行為論」によってである。
(2) 第三者行為論を打破するために、第3次嘉手納爆音訴訟の原告の一部が米国政府に夜間・早朝の米軍機飛行差し止めと損害賠償を求めた「対米訴訟」の控訴審判決も大久保裁判長は同日棄却した。「日本の裁判権が及ばない」として米国政府に訴状を送達することもなく、口頭弁論も開かなかった。
(3)国を訴えれば第三者行為論で米軍機に日本政府の指揮・命令権が及ばないとされ、米国を訴えたら棄却される。米軍基地を提供する国とその基地を使用する米軍は爆音を発生させる共同責任者である。日本政府は当事者そのもののはずである。
(4)司法は「人権保障の最後の砦(とりで)」といわれる。国民の人権を守らない司法に対し、被害者はどこに救済を求めればいいというのだろうか。


 沖縄タイムスもまた、最後に、この控訴審判決への根本的な「異論」を突きつける。


(1)司法は嘉手納爆音、普天間爆音両訴訟でも住民被害を認めている。しかし被害をどう除去するかには踏み込んでいない。これでは被害を放置するに等しい。本来であれば司法の務めとして、爆音被害をどう取り除くかについて国に促す必要がある。
(2)爆音訴訟を巡っては、過去の損害賠償を容認し、将来分の損害賠償請求は棄却する。そして原告らが最も強く要求する深夜・早朝の米軍機飛行差し止めは棄却する。そんなパターンが定着している。司法が思考停止から脱しない限り爆音被害はなくならない。


 さて、この沖縄の二紙の社説をもって、今回の控訴審判決に対して、十分な反論が書ける。
 こう並べるだけでいい。


1.この判決は、「米軍基地と隣り合わせの生活を余儀なくされている住民の被害に真正面から向き合った判決とは言い難い。」(「新報」)ものである。
2.結局、「県民の立場からすれば、主権の放棄にほかならず、米軍基地の傍若無人な運用を助長する理屈にしか映らない。これでは、基地周辺に住む住民は基地がある限り未来永劫、被害を受け続けることになる。そのような理不尽を甘受せよというのか。」(「新報」)、と言わざるを得ない。
3.それは、「同基地周辺で爆音が社会問題となってから40年以上がたち、第1次、第2次訴訟が確定しているにもかかわらず、『現在も周辺住民が騒音による被害にさらされている』と受忍限度を超えていると批判する。国の不作為である。」(「タイムス」)、というものでしかない。
4.また、判決内容の構造に関しても、「国を訴えれば第三者行為論で米軍機に日本政府の指揮・命令権が及ばないとされ、米国を訴えたら棄却される。米軍基地を提供する国とその基地を使用する米軍は爆音を発生させる共同責任者である。日本政府は当事者そのもののはずである。」(沖縄タイムス)、と実際に沖縄県民の命を守るものにはなっていない。
5.この「第三者行為論」については、「このような不公平は米軍の活動の公共性、公益上の必要性をもっても正当化することはできない」と断じている。正当化しようがない不公平が存在するのなら、なぜ、司法の責任放棄にも等しい『第三者行為論』に固執するのか。夜間・早朝の飛行差し止めを米軍に求めるよう、国に命じるべきだろう。」(「新報」)、と指摘できるものである。
6.さらに、その構造は、「過去の損害賠償を容認し、将来分の損害賠償請求は棄却する。そして原告らが最も強く要求する深夜・早朝の米軍機飛行差し止めは棄却する。そんなパターンが定着している。司法が思考停止から脱しない限り爆音被害はなくならない。」(「タイムス」)、というものに陥っている。
7.しかも、日本の司法の実態は、「大久保裁判長は今年4月、第2次普天間爆音訴訟の控訴審判決でも一審判決を大幅減額している。記者会見した原告・弁護団は全国7基地の周辺住民が法廷闘争を続けており、損害賠償の高額化で国の財政に与える影響を司法が忖度したのではないか、との見方を示した。その見方が正しいのなら三権分立の危機である。」(「新報」)、という危険水域に来ている。
8.沖縄からの根本的な訴えは、「司法は『人権保障の最後の砦』といわれる。国民の人権を守らない司法に対し、被害者はどこに救済を求めればいいというのだろうか。」(「タイムス」)、ということにある。




by asyagi-df-2014 | 2019-09-13 06:21 | 米軍再編 | Comments(0)

消防隊員らへの安全配慮を欠いては県民の生命、財産は守れない。

 地域社会は、地区の消防団の自主活動に一つの希望を見いだしている。
それだけ、消防活動全体には、重みがある。
 琉球新報(以下、「新報」)は2019年8月13日、「消防隊員らへの安全配慮を欠いては県民の生命、財産は守れないと肝に銘じたい。」、と社説を展開した。
「新報」は、「県内消防で米軍機事故への対応がいまだ整っていないことが本紙の調査で判明した。県内全18消防局・本部のうち7本部に放射線災害に対応できる防護服がない。うち1本部には放射線測定機器すら備えられていない。」、とまず指摘する。


 このことが、どれだけ大問題であるかについて、「新報」は指摘する。


(1)消防などの装備品が改めて重視されるようになったのは、2004年8月に発生した米軍ヘリ沖国大墜落事故である。事故の際、ヘリに搭載されていたのが放射性物質ストロンチウム90だった。墜落現場に飛散したとされる。機体や土壌など全てを米軍が持ち去ったため、県側は調査できなかった。実態は不明だが、本紙が情報公開請求で得た内部資料によれば「気化」したことが判明している。
(2)放射性物質であるストロンチウム90は体内に入ると骨に蓄積される。骨のがんや白血病の原因ともなる物質だ。専門家は「燃え上がると微粒子となり、大気中に飛散する。内部被ばくの恐れがあり、近くの住民が一粒吸い込むだけで被害があり得る」と指摘している。
(3)事故当時、現場で対応した消防隊員や警察官は被ばくリスクを知らないまま消火活動に従事していた。発生した危険は、教訓化されなければならない。消防装備の整備を怠ったために危険業務に従事する公務員の安全を脅かすことがあってはならない。
(4)沖国大の事故発生時の米軍の対応を振り返っても、その大切さが分かる。事故発生直後、米軍は機体に放射性物質を含むことすら沖縄側には伝えていない。存在を明らかにしたのは墜落事故から3週間もたってからである。
(5)米軍は「(人体への)懸念がなかったから公表が遅れた」と言う。しかし普天間基地所属の米軍救難消防隊員には検査をしていた。墜落の3日後から行った機体回収の際も米軍側は完全防護服で作業をしているのである。米軍は危険を熟知していたはずだ。
(6)宜野湾市の消防隊員には放射能検査もなされず、検査の必要性すら伝えられていない。もちろん、市民も危険を知らなかったということだ。


 こうした大問題が改善されていない状況を、「新報」は改めて突く。


(1)16年にも本紙は同様の米軍機事故の対応調査をしている。11本部に防護服がなく、3本部に放射線測定器がなかった。
(2)今回の調査で4本部で防護服が整備されたが、防護服を着用せぬまま、放射線量を測定するという、ちぐはぐな対応が7本部であり得るということだ。


 「新報」は、沖縄県の責任を追及しているのか。
 ただ単に、そのことだけを追及しているのではない。
 やはり、「新報」は、根本問題を指摘せざるを得ない。


「予算措置などが整備の壁になっているようだが、そもそも望みもしない米軍施設のリスク管理を、自治体予算で賄うのは筋違いだ。基地の提供責任者である政府に早急な対応を求めたい。政府が県民生活の安全を守る義務を放棄することは許されない。」



by asyagi-df-2014 | 2019-08-21 07:17 | 米軍再編 | Comments(0)

「有志連合」に参加することなど全くあり得ない。

 「有志連合」を検索したら、「日本も参加要請されている「有志連合」から、ドイツがいち抜けた」(2019年8月8日)、とのNewsweekの記事が出てきた。
 トム・オコナーの記事は、次のように伝える。

「ホルムズ海峡の航行の安全確保に向けてアメリカが呼び掛けていた有志連合に、ドイツは7月31日、正式に『参加しない』と表明した。一方で、アメリカと対立するイランは、緊張緩和のために宿敵サウジアラビアと対話するとまで言いだしている。doイツのマース外相は、『軍事的な解決などない』との考えを示し、有志連合への不参加を明言。政府報道官は『外交の道を探ることが重要だ』と述べた。イギリスは有志連合と距離を置く方針を示し、フランスやドイツも米トランプ政権への協力に二の足を踏む。韓国は前向きだが日本は未定──と、国際社会の足並みは全くそろわない。イラン側はロシアとの軍事協力を拡大するなど『ロシア・イラン関係の転機』を宣言する一方で、インドやパキスタンとも対話を重ね、緊密な地域協力を呼び掛けている。さらにイラン高官はイラクやオマーン、アラブ首長国連邦(UAE)にまで接触。加えてイランのザリフ外相は7月31日、サウジアラビアと『いつでも対話を開始する用意がある』と語った。」


 どう考えても、「有志連合」参加などあり得ないのだが。
 安倍晋三政権の歪みは、米国追従でしかないことにあるから、道を誤る危険性は高い。

 朝日新聞(以下、「朝日」)は2019年8月9日、「中東有志連合 参加ありきは道を誤る」、社説で断じた。
「朝日」の指摘は、次のものである。


(1)同盟国の求めだからといって、日本が果たすべき役割を取り違えてはならない。
(2)初来日したエスパー米国防長官が、岩屋防衛相と会談し、中東のホルムズ海峡などで船舶の安全を確保する「有志連合」構想への参加を要請した。岩屋氏は原油の安定供給の確保、米国との関係、イランとの友好関係を挙げ、「さまざまな角度から検討し、政府全体として総合的に判断したい」との考えを伝えた。政府内では、イランを刺激しないよう、新たな部隊を派遣するのではなく、ソマリア沖で海賊対策にあたっている海上自衛隊の護衛艦や哨戒機を、ペルシャ湾外のオマーン湾に回す案が検討されているという。
(3)法的な根拠としては、海賊対処法や自衛隊法の海上警備行動が考えられているが、いずれも派遣を実現するための無理やりの算段にみえる。冷徹な情勢分析や利害得失の計算より、「何もしないわけにはいかない」という受け身の判断を優先していては、道を誤ると言わざるを得ない。
(4)米国の考える有志連合の具体像はいまだ定まっていない。米国は3度の説明会を開いたが、正式に参加を表明した主要国は英国くらいで、イラン核合意を支持するドイツは参加見送りを決めている。
(5)日本も核合意を支持し、一方的に離脱したトランプ政権とは一線を画している。中東からの原油の輸入に依存する日本にとって、この海域の安全が極めて重要なことはいうまでもないが、そのために有効な策は何か、冷静に考える必要がある。


 「朝日」の批判。


(1)どのような形であれ、米国の要求に応じて自衛隊を派遣すれば、イランからは日本も包囲網に加わったとみられ、関係悪化は避けられまい。そうなれば、米国の同盟国でありながら、イランとも長年の友好関係を保ってきた日本の外交的資産を無にすることになりかねない。
(2)安倍首相は6月のテヘラン訪問に続き、9月の国連総会の機会に、ロハニ大統領との再会談を調整中だ。米国とイランの間に立って、双方に緊張緩和を働きかけることができる貴重な立場を失うことは、関係国すべてにとってマイナスでしかない。
(3集団的自衛権の一部行使に道を開いた安全保障関連法の国会論戦で、時に誤った戦争に踏み出す米国の要請を日本が断れるのかも焦点となった。首相は「主体的に判断する」と答弁した。同盟国の求めといえど、日本の立場と国際社会全体の利益を考え、是々非々で対応する。そんな日本の「主体性」が問われる局面だ。


 安倍晋三政権よ。日本国憲法に立ち返れ。




by asyagi-df-2014 | 2019-08-17 08:51 | 米軍再編 | Comments(0)

沖縄からの二つの訴訟。

沖縄からの新たな動きについて、沖縄県の二紙を追っているつもりでも、確かに複雑になってしまっていて、わかりづらいところがある。
今回も、「7月に提起した関与取り消し訴訟」(7件目)と「8月に提起した新たな訴訟の抗告訴訟」(8件目)、と説明される。
 ただ、そうこうしていると、沖縄の二紙からは、詳細な解説や社説が必ず出される。
 したがって、今回の沖縄からの訴訟について、沖縄の二紙で考える。
まずは、「抗告訴訟」について、琉球新報(以下、「新報」)は2019年8月9日、「辺野古で新たな訴訟 撤回の正当性巡る審理を」、と論評した。
 「新報」の指摘は、次のものである。


(1)名護市辺野古の公有水面埋め立て承認の撤回を取り消した国土交通相の決定は違法だとして、県は国の裁決の取り消しを求める抗告訴訟を那覇地裁に提起した。故翁長雄志前知事による承認撤回の適法性が、初めて司法の場で正面から問われる裁判だ。
(2)仲井真弘多元知事が「県外移設」の公約を翻して国の埋め立て申請を承認したのは2013年。申請時の国の説明とは異なる事態が現在までにいくつも生じている。最たるものが大浦湾側に広がる軟弱地盤だ。
(3)海底の地盤が軟らかく、現行の工法では埋め立て後に地盤沈下や液状化が起き、建造物が傾く恐れがある。防衛省はボーリング調査で把握していながら、今年1月まで軟弱地盤の存在を隠してきた。
(4)政府は地盤を強化する改良工事で対応する方針だが、国内には最大で深さ70メートルを施工できる作業船があるだけで、最深部で海面から90メートルに達する大浦湾の軟弱地盤は改良工事の実績がない。工期の長期化や費用の増大がどうなるのかいまだに見通せない。
(5)仲井真県政時の埋め立て承認に際して県は「工事の実施設計について事前に県と協議を行う」と留意事項に記載していた。沖縄防衛局は事前協議が完了しないうちに、汚濁防止膜の海上設置や護岸工事を進めてきた。
(6)県は軟弱地盤や活断層など承認後に発覚した問題と、留意事項違反を根拠に、埋め立て承認の撤回を決めた。


 この抗告訴訟について、「政治的権力の干渉を排除した司法の場で、公正な判断が示されるべきだ。」「裁判官は独立し、いかなる国家機関からも指揮命令を受けることはない。民主主義や地方自治を支える司法の存在意義を示してもらいたい。」、と「新報」は次のように断じる。


(1)工事を止められた防衛省は同じ内閣の国土交通相に救済を申し立て、国交相は防衛省の言い分通りに撤回の効力を取り消す裁決を下した。昨年12月に海域への土砂投入を始め、移設計画の既成事実の積み上げを急いでいる。
(2)「身内」の手続きで撤回を無効にした国の法律論は違法ではないのか。撤回を主張する県の正当性を裁判所はどう見るのか。政治的権力の干渉を排除した司法の場で、公正な判断が示されるべきだ。
(3)これまでの裁判での国側の主張を踏まえると、県の訴訟資格を争う入り口論に終始することが懸念される。裁判所まで県の訴えを「門前払い」にして実質的な審理を避けるのなら、時の政権への迎合にしか映らない。
(4)埋め立て承認の撤回方針を表明した翁長氏が直後の昨年8月8日に急逝した後も、権限を委任された謝花喜一郎副知事らが撤回手続きを完遂させた。今年2月の県民投票では投票者の7割超が埋め立てに反対した。撤回の判断を、多数の県民が支持していることが証明された。
(5)日本政府が米国との約束を絶対視して沖縄の民意を顧みることがない中で、県民が司法に望むのは、承認撤回の中身に立ち入った審理だ。
(6)裁判官は独立し、いかなる国家機関からも指揮命令を受けることはない。民主主義や地方自治を支える司法の存在意義を示してもらいたい。


 確かに、この抗告訴訟の一番の懸念は、「これまでの裁判での国側の主張を踏まえると、県の訴訟資格を争う入り口論に終始することが懸念される。裁判所まで県の訴えを『門前払い』にして実質的な審理を避けるのなら、時の政権への迎合にしか映らない。」、ということにある。


 さて、沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2019年8月8日、「国土交通相の裁決取り消し求める二つの裁判 抗告訴訟と関与取り消し訴訟の違いは 訴える資格の有無が焦点」、と報じている。
沖縄からの二つの裁判について、「タイムス」は、「名護市辺野古の新基地建設を巡り、県が国との8件目となる新たな訴訟を提起した。今回の抗告訴訟、7月に提起した関与取り消し訴訟は、いずれも県の埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決の取り消しを求めているが、論点やメリットは異なる。」、と説明する。
 また、この辺野古を巡る二つの訴訟の比較を示す。


(抗告訴訟)
(1)抗告訴訟では県に訴える資格(出訴資格)があるか、主観的な利益があるかなどの入り口論を、裁判所が認めるかが第1の焦点となる。資格が認められれば、県による撤回の適法性を巡る具体的な審理に入ることになる。昨年8月の撤回以降、適法か違法かの司法判断は示されていない。
(2)国交相の撤回取り消し裁決を不服として県が審査を求めた国地方係争処理委員会の判断は、県の申し出は審査の対象外とする入り口論にとどまっている。県は抗告訴訟で具体的な審理に入った場合のメリットとして、埋め立て承認後に発覚した軟弱地盤の問題などを指摘し、撤回の適法性を主張できる点を挙げている。

(関与取消訴訟)
(1)7月に提起した国地方係争処理委員会の判断を不服とする関与取り消し訴訟は、別の意味合いを持つ。県は国交相の裁決は「違法な国の裁決』であり、訴訟で取り消せると主張している。地方自治法によると本来、今回のような国交相の裁決は訴訟の対象にならない。そのため「違法であれば訴訟の対象になる」という入り口論で県の主張が認められれば、すぐさま県の勝訴になる。
(2)訴訟の期間は、抗告訴訟が地裁に提訴するため高裁、最高裁へと発展した場合に確定判決まで時間がかかる。関与取り消し訴訟は高裁からスタートするため、抗告訴訟に比べて司法判断が早く示される可能性が高い。


 また、この7月の「関与取消訴訟」について、「タイムス」は2019年7月18日、「沖縄県が国を提訴 『辺野古』を巡り7度目 埋め立て承認撤回の取り消しに不服 玉城知事『政府の自作自演』」の記事の中で、「県は辺野古を巡る別の『抗告訴訟』も検討。行政事件訴訟法によって権力に対する不服を主張し、国交相の裁決の取り消しを求める考えで、7月中にも那覇地裁に訴えを提起する。」、と伝えていた。



by asyagi-df-2014 | 2019-08-16 07:25 | 米軍再編 | Comments(0)

「ホワイト国から除外」という安倍晋三政権の意図。(3)

 事実を再度確認する。
 このことについて、朝日新聞は2019年8月2日、「韓国の『ホワイト国』除外を閣議決定 8月下旬に発動へ」、と表題について次のように報じている。

(1)韓国向けの輸出規制をめぐり、安倍政権は2日午前の閣議で、輸出手続きを簡略化できる「ホワイト国」のリストから韓国を外す政令改正を決めた。規制強化「第2弾」の発動決定で、日韓の対立は一段と深刻な事態に陥ることになる。
(2)外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づいてホワイト国を指定している政令を改正。準備期間を経て、8月28日に実際に韓国がホワイト国から外れる見通しだ。ホワイト国は欧米諸国が中心で、韓国はアジア唯一の国で、2004年に指定された。指定された国が除外されるのは初めてで、ホワイト国はこれで26カ国となる。
(3)政府は7月4日、韓国向けの輸出規制強化の「第1弾」として、半導体関連3品目を「包括許可」の対象から外した。政府の個別の許可を必要にするようにして国内企業の手続きが煩雑になり、韓国企業にとっては日本からの輸入が滞る恐れがある。ホワイト国でなくなると、さらに武器転用の懸念がある化学物質、炭素繊維などの先端素材、工作機械といった幅広い品目の輸出に原則、個別の許可が必要になる。ただ、非ホワイト国向けの輸出でも、管理がしっかりしている企業には優遇措置を与える仕組みもある。
(4)韓国は、一連の措置を韓国人元徴用工の損害賠償問題への「対抗措置」ととらえて猛反発している。だが、日本は一連の措置は、あくまでも国内の輸出管理制度の適切な運用に必要な見直しで、「自由貿易の原則に反するものではない」(世耕弘成経済産業相)と主張。双方の議論は平行線のままだ。米国が日韓の仲裁に乗り出す姿勢を示しており、2日夜にはバンコクで、日米韓外相会談が開かれる予定だ。


 さて、この「『ホワイト国』除外」を日本のマスコミは、どのように捉えたのか。
 2019年8月3日及び4日に確認できた新聞社の社説・論説の見出しは、次のものであった。


(1)中日新聞・東京新聞社説-クールに矛を収めよ 週のはじめに考える
(2)西日本新聞社説-岐路の日韓関係 「生身の交流」こそ重要だ
(3)沖縄タイムス社説-[「ホワイト国」除外 ]展望なき泥沼化を危惧
(4)琉球新報社説- 韓国ホワイト国除外 対抗措置ではなく対話を
(5)信濃毎日新聞社説-[「ホワイト国」除外 ]展望なき泥沼化を危惧
(6)京都新聞社説-ホワイト国除外  冷静に議論の糸口探れ
(7)神戸新聞社説-ホワイト国除外/国民感情の対立あおるな
(8)高知新聞社説-【日韓対立】関係改善の糸口探らねば
(9)佐賀新聞論説-対韓国輸出規制 冷静に対立解きほぐせ
(10)南日本新聞社説-[韓国優遇除外] 「出口」は見えているか
(11)中国新聞社説-「優遇」から韓国除外 感情抑え対話で解決
(12)宮崎日日新聞社説-対韓国輸出規制
(13)朝日新聞社説-対立する日韓 交流の歩みも壊すのか
(14)毎日新聞社説-韓国を「輸出優遇」除外 負のスパイラルを案じる


 今回の「ホワイト国除外」については、どうやら、次のようにまとめられるものではないか。
 安倍晋三政権による「ホワイト国」除外」は、展望なき泥沼化を招くものでしかない。
 したがって、冷静に議論の糸口を探る必要がある。
 とりわけ、国内で通用させてきたからといって、国民感情の対立をあおる手法を、国家間の問題に常套手段として安易に用いることは間違っている。
さらに、今回の措置は、これまでの「生身の交流」によって培われてきた「交流の歩み」を壊すものである。
 ここは、「クールに矛を収める」必要がある。 



by asyagi-df-2014 | 2019-08-10 07:02 | 米軍再編 | Comments(0)

「ホワイト国から除外」という安倍晋三政権の意図。(2)

 朝日新聞は2019年8月2日、「韓国の『ホワイト国』除外を閣議決定 8月下旬に発動へ」、と表題について次のように報じた。

(1)韓国向けの輸出規制をめぐり、安倍政権は2日午前の閣議で、輸出手続きを簡略化できる「ホワイト国」のリストから韓国を外す政令改正を決めた。規制強化「第2弾」の発動決定で、日韓の対立は一段と深刻な事態に陥ることになる。
(2)外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づいてホワイト国を指定している政令を改正。準備期間を経て、8月28日に実際に韓国がホワイト国から外れる見通しだ。ホワイト国は欧米諸国が中心で、韓国はアジア唯一の国で、2004年に指定された。指定された国が除外されるのは初めてで、ホワイト国はこれで26カ国となる。
(3)政府は7月4日、韓国向けの輸出規制強化の「第1弾」として、半導体関連3品目を「包括許可」の対象から外した。政府の個別の許可を必要にするようにして国内企業の手続きが煩雑になり、韓国企業にとっては日本からの輸入が滞る恐れがある。ホワイト国でなくなると、さらに武器転用の懸念がある化学物質、炭素繊維などの先端素材、工作機械といった幅広い品目の輸出に原則、個別の許可が必要になる。ただ、非ホワイト国向けの輸出でも、管理がしっかりしている企業には優遇措置を与える仕組みもある。
(4)韓国は、一連の措置を韓国人元徴用工の損害賠償問題への「対抗措置」ととらえて猛反発している。だが、日本は一連の措置は、あくまでも国内の輸出管理制度の適切な運用に必要な見直しで、「自由貿易の原則に反するものではない」(世耕弘成経済産業相)と主張。双方の議論は平行線のままだ。米国が日韓の仲裁に乗り出す姿勢を示しており、2日夜にはバンコクで、日米韓外相会談が開かれる予定だ。


 こうした安倍晋三政権による「ホワイト国」除外がどのような意味を持つものなのか。
 このことを考える上で、2019年7月25日に出された「声明」-「 韓国は「敵」なのか」(以下、「声明」)-(昨今の日韓関係の悪化を憂慮する有志(「声明 韓国は『敵なのか』世話人一同)、を取りあげる。
 まず、この「声明」については、「日韓関係はいま、悪循環に陥っています。いま、ここで悪循環を止め、深く息を吸って頭を冷やし、冷静な心を取り戻さなければなりません。本来、対立や紛争には、双方に問題があることが多いものです。今回も、日韓政府の双方に問題があると、私たちは思います。しかし、私たちは、日本の市民ですから、まずは、私たちに責任のある日本政府の問題を指摘したいと思います。韓国政府の問題は、韓国の市民たちが批判することでしょう。 双方の自己批判の間に、対話の空間が生まれます。その対話の中にこそ、この地域の平和と繁栄を生み出す可能性があります。」、と「声明 韓国は『敵』なのか」世話人一同 」、と位置づけられている。


 「声明」は、最初に、両国家間の対立の模様を次のように示しています。


(1)私たちは、7月初め、日本政府が表明した、韓国に対する輸出規制に反対し、即時撤回を求めるものです。半導体製造が韓国経済にとってもつ重要な意義を思えば、この措置が韓国経済に致命的な打撃をあたえかねない、敵対的な行為であることは明らかです。(2)日本政府の措置が出された当初は、昨年の「徴用工」判決とその後の韓国政府の対応に対する報復であると受けとめられましたが、自由貿易の原則に反するとの批判が高まると、日本政府は安全保障上の信頼性が失われたためにとられた措置であると説明しはじめました。これに対して文在寅大統領は7月15日に、「南北関係の発展と朝鮮半島の平和のために力を尽くす韓国政府に対する重大な挑戦だ」とはげしく反論するにいたりました。


 この上で、「1.韓国は「敵」なのか」、「2.日韓は未来志向のパートナー 」、「3.日韓条約、請求権協定で問題は解決していない」の三点に渡って次のように指摘しています。


1.韓国は「敵」なのか


(1)国と国のあいだには衝突もおこるし、不利益措置がとられることがあります。しかし、相手国のとった措置が気にいらないからといって、対抗措置をとれば、相手を刺激して、逆効果になる場合があります。
(2)特別な歴史的過去をもつ日本と韓国の場合は、対立するにしても、特別慎重な配慮が必要になります。それは、かつて日本がこの国を侵略し、植民地支配をした歴史があるからです。日本の圧力に「屈した」と見られれば、いかなる政権も、国民から見放されます。日本の報復が韓国の報復を招けば、その連鎖反応の結果は、泥沼です。両国のナショナリズムは、しばらくの間、収拾がつかなくなる可能性があります。このような事態に陥ることは、絶対に避けなければなりません。
(3)すでに多くの指摘があるように、このたびの措置自身、日本が多大な恩恵を受けてきた自由貿易の原則に反するものですし、日本経済にも大きなマイナスになるものです。しかも来年は「東京オリンピック・パラリンピック」の年です。普通なら、周辺でごたごたが起きてほしくないと考えるのが主催国でしょう。それが、主催国自身が周辺と摩擦を引き起こしてどうするのでしょうか。
(4)今回の措置で、両国関係はこじれるだけで、日本にとって得るものはまったくないという結果に終わるでしょう。問題の解決には、感情的でなく、冷静で合理的な対話以外にありえないのです。
(5)思い出されるのは、安倍晋三総理が、本年初めの国会での施政方針演説で、中国、ロシアとの関係改善について述べ、北朝鮮についてさえ「相互不信の殻を破り」、「私自身が金正恩委員長と直接向き合い」、「あらゆるチャンスを逃すことなく」、交渉をしたいと述べた一方で、日韓関係については一言もふれなかったことです。まるで韓国を「相手にせず」という姿勢を誇示したようにみえました。そして、六月末の大阪でのG20の会議のさいには、出席した各国首脳と個別にも会談したのに、韓国の文在寅大統領だけは完全に無視し、立ち話さえもしなかったのです。その上でのこのたびの措置なのです。
(6)これでは、まるで韓国を「敵」のように扱う措置になっていますが、とんでもない誤りです。韓国は、自由と民主主義を基調とし、東アジアの平和と繁栄をともに築いていく大切な隣人です。


2.日韓は未来志向のパートナー


(1)1998年10月、金大中韓国大統領が来日しました。金大中大統領は、日本の国会で演説し、戦後の日本は議会制民主主義のもと、経済成長を遂げ、アジアへの援助国となると同時に、平和主義を守ってきた、と評価しました。そして日本国民には過去を直視し、歴史をおそれる勇気を、また韓国国民には、戦後大きく変わった日本の姿を評価し、ともに未来に向けて歩もうと呼びかけたのです。日本の国会議員たちも、大きく拍手してこの呼びかけに答えました。軍事政権に何度も殺されそうになった金大中氏を、戦後民主主義の中で育った日本の政治家や市民たちが支援し、救ったということもありました。また日本の多くの人々も、金大中氏が軍事政権の弾圧の中で信念を守り、民主主義のために戦ったことを知っていました。この相互の敬意が、小渕恵三首相と金大中大統領の「日韓パートナーシップ宣言」の基礎となったのです。
(2)金大中大統領は、なお韓国の国民には日本に対する疑念と不信が強いけれど、日本が戦前の歴史を直視し、また戦後の憲法と民主主義を守って進むならば、ともに未来に向かうことは出来るだろうと大いなる希望を述べたのでした。そして、それまで韓国で禁じられていた日本の大衆文化の開放に踏み切ったのです。


3.日韓条約、請求権協定で問題は解決していない


(1)元徴用工問題について、安倍政権は国際法、国際約束に違反していると繰り返し、述べています。それは1965年に締結された「日韓基本条約」とそれに基づいた「日韓請求権協定」のことを指しています。日韓基本条約の第2条は、1910年の韓国併合条約の無効を宣言していますが、韓国と日本ではこの第2条の解釈が対立したままです。というのは、韓国側の解釈では、併合条約は本来無効であり、日本の植民地支配は韓国の同意に基づくものでなく、韓国民に強制されたものであったとなりますが、日本側の解釈では、併合条約は1948年の大韓民国の建国時までは有効であり、両国の合意により日本は韓国を併合したので、植民地支配に対する反省も、謝罪もおこなうつもりがない、ということになっているのです。
(2)しかし、それから半世紀以上が経ち、日本政府も国民も、変わっていきました。植民地支配が韓国人に損害と苦痛をあたえたことを認め、それは謝罪し、反省すべきことだというのが、大方の日本国民の共通認識になりました。1995年の村山富市首相談話の歴史認識は、1998年の「日韓パートナーシップ宣言」、そして2002年の「日朝平壌宣言」の基礎になっています。この認識を基礎にして、2010年、韓国併合100年の菅直人首相談話をもとりいれて、日本政府が韓国と向き合うならば、現れてくる問題を協力して解決していくことができるはずです。
(3)問題になっている元徴用工たちの訴訟は民事訴訟であり、被告は日本企業です。まずは被告企業が判決に対して、どう対応するかが問われるはずなのに、はじめから日本政府が飛び出してきたことで、事態を混乱させ、国対国の争いになってしまいました。元徴用工問題と同様な中国人強制連行・強制労働問題では1972年の日中共同声明による中国政府の戦争賠償の放棄後も、2000年花岡(鹿島建設和解)、2009年西松建設和解、2016年三菱マテリアル和解がなされていますが、その際、日本政府は、民間同士のことだからとして、一切口を挟みませんでした。
(4)日韓基本条約・日韓請求権協定は両国関係の基礎として、存在していますから、尊重されるべきです。しかし、安倍政権が常套句のように繰り返す「解決済み」では決してないのです。日本政府自身、一貫して個人による補償請求の権利を否定していません。この半世紀の間、サハリンの残留韓国人の帰国支援、被爆した韓国人への支援など、植民地支配に起因する個人の被害に対して、日本政府は、工夫しながら補償に代わる措置も行ってきましたし、安倍政権が朴槿恵政権と2015年末に合意した「日韓慰安婦合意」(この評価は様々であり、また、すでに財団は解散していますが)も、韓国側の財団を通じて、日本政府が被害者個人に国費10億円を差し出した事例に他なりません。一方、韓国も、盧武鉉政権時代、植民地被害者に対し法律を制定して個人への補償を行っています。こうした事例を踏まえるならば、議論し、双方が納得する妥協点を見出すことは可能だと思います。
(5)現在、仲裁委員会の設置をめぐって「対立」していますが、日韓請求権協定第3条にいう仲裁委員会による解決に最初に着目したのは、2011年8月の「慰安婦問題」に関する韓国憲法裁判所の決定でした。その時は、日本側は仲裁委員会の設置に応じていません。こうした経緯を踏まえて、解決のための誠実な対応が求められています。


 「声明」は、最後に、「私たちは、日本政府が韓国に対する輸出規制をただちに撤回し、韓国政府との間で、冷静な対話・議論を開始することを求めるものです。いまや1998年の「日韓パートナーシップ宣言」がひらいた日韓の文化交流、市民交流は途方もない規模で展開しています。BTS(防弾少年団)など、K-POPの人気は圧倒的です。テレビの取材にこたえて、『(日本の)女子高生は韓国で生きている』と公然と語っています。300万人が日本から韓国へ旅行して、700万人が韓国から日本を訪問しています。ネトウヨやヘイトスピーチ派がどんなに叫ぼうと、日本と韓国は大切な隣国同士であり、韓国と日本を切り離すことはできないのです。」と分析した後で、「安倍首相は、日本国民と韓国国民の仲を裂き、両国民を対立反目させるようなことはやめてください。意見が違えば、手を握ったまま、討論をつづければいいではないですか。」、と断じています。


 この問題を考え上で、確認することは、次のことです。

1.「安倍晋三総理が、本年初めの国会での施政方針演説で、中国、ロシアとの関係改善について述べ、北朝鮮についてさえ『相互不信の殻を破り』、『私自身が金正恩委員長と直接向き合い』、『あらゆるチャンスを逃すことなく』、交渉をしたいと述べた一方で、日韓関係については一言もふれなかったことです。まるで韓国を『相手にせず』という姿勢を誇示したようにみえました。そして、六月末の大阪でのG20の会議のさいには、出席した各国首脳と個別にも会談したのに、韓国の文在寅大統領だけは完全に無視し、立ち話さえもしなかったのです。その上でのこのたびの措置なのです。これでは、まるで韓国を『敵』のように扱う措置になっていますが、とんでもない誤りです。」、との安倍晋三政権の姿勢があること。
2.「日韓基本条約の第2条は、1910年の韓国併合条約の無効を宣言していますが、韓国と日本ではこの第2条の解釈が対立したまま」であるという歴史的経過があり、「安倍政権が常套句のように繰り返す『解決済み』」では決してないこと。
3.問題は、「元徴用工たちの訴訟は民事訴訟であり、被告は日本企業です。まずは被告企業が判決に対して、どう対応するかが問われるはずなのに、はじめから日本政府が飛び出してきたことで、事態を混乱させ、国対国の争いになってしまいました。」、という事実であること。
4.どう考えても、『韓国は、自由と民主主義を基調とし、東アジアの平和と繁栄をともに築いていく大切な隣人であり、日韓は未来志向のパートナー。』を譲ることはできないこと。


 やはり、両国民を対立反目させるようなことはやめ、意見が違えば、手を握ったまま、討論をつづければいいではないか」、と安倍晋三政権に訴える。



by asyagi-df-2014 | 2019-08-09 07:08 | 米軍再編 | Comments(0)

「5倍」。在日米軍駐留経費の日本側負担のことです。

 日本という国の安全保障をどのように考えるのか。
 もうそろそろ、動きだそうではないか。
 米国トランプ政権は、いいきっかけを与えてくれそうだ。
 朝日新聞(以下、「朝日」)は、このきっかけについて、て次のように報じた。


(1)トランプ米政権が、在日米軍駐留経費の日本側負担について、大幅な増額を日本政府に求めていたことがわかった。各国と結ぶ同盟のコストを米国ばかりが負担しているのは不公平だと訴えるトランプ大統領の意向に基づくとみられる。来年にも始まる経費負担をめぐる日米交渉は、同盟関係を不安定にさせかねない厳しいものになりそうだ。
(2)複数の米政府関係者によると、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が7月21、22日に来日し、谷内正太郎国家安全保障局長らと会談した際に要求したという。今後の交渉で求める可能性がある増額の規模として日本側に示した数字について、関係者の一人は「5倍」、別の関係者は「3倍以上」と述べた。ただ、交渉前の「言い値」の可能性もある。
(3)米メディアは3月、トランプ政権が駐留経費の総額にその5割以上を加えた額の支払いを同盟国に求めることを検討していると報道。現在の5~6倍に当たる額を要求される国も出てくるとしていた。


 これまでも、「各国と結ぶ同盟のコストを米国ばかりが負担しているのは不公平だと訴えるトランプ大統領の意向」(朝日新聞)の動向は、伝えられてきたわけではあるが、より具体的なものになってきている。
あわせて、「朝日」は2019年8月1日、「『ノー』と言えない日本? 米国、駐留費の負担増へ照準」、と問題点の指摘を次のように続けた。


(1)トランプ米政権が、在日米軍の駐留経費について、大幅な負担増を日本側に打診してきた。米軍は同盟国を守るが、同盟国はふさわしい負担をしていないというトランプ大統領のかたくななまでの考えが背景にある。日米同盟は盤石と訴えてきた安倍政権にも困惑が広がる。
(2)トランプ大統領は、米軍の外国駐留は公金の無駄遣いだというのが持論だ。日米関係筋によれば、トランプ氏は5月27日、安倍晋三首相との首脳会談で、日本の経費負担について「3割しか負担していない」と不満を表明。「我々は(中東の)ホルムズ海峡を通って石油を輸入していないが、海峡を守っている。日本はその間、トヨタを世界中に売ってもうけている」と語ったという。
(3)安倍氏が「3割はドイツだ。日本は74%も負担している」と訴えると、「心配するな。ドイツと韓国からも搾り取るから」と述べ、最後まで話がかみ合わなかったという。米国防総省の2004年の報告書によると、日本の負担割合は74・5%、ドイツは32・6%だった。
(4)日本側は6月の大阪市での首脳会談では、同じ議論が蒸し返されないよう、米側と防衛費負担に触れないことで事前に合意していた。しかし、トランプ氏は6月29日の記者会見で、日米安保条約を「不公平だ」と言及した。日本は、防衛費負担や日米同盟の実績を繰り返し説明するなど様々な外交努力を行ってきた。米国務省や国防総省は理解を示しているとされるが、トランプ氏の考えを変えることはできていないのが実情だ。
(5)河野太郎外相も5月の日米首脳会談後、ポンペオ国務長官に対し、日米同盟の枠組みについて「マッカーサーが決めた枠組みだ。これ以上は払えない」と伝えた。だが、ポンペオ氏も「それは75年前の話だろう」と語るばかりで、困惑した様子だったという。
(6)米政府関係筋は、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が7月下旬、日本と韓国を続けて訪問したことについて、「日韓の負担増を求めるトランプ大統領の強い意向を受けたものだ。大統領の考えは変えられない」と語った。韓国はすでに負担増を強いられている。18年に負担した米軍駐留経費は9602億ウォン(約882億円)だったが、19年は1兆389億ウォン(約954億円)に増額された。5年間だった協定の有効期間は1年に短縮され、すぐに再交渉を迫られることになった。
(7)来年の米大統領選に向けて、トランプ氏の同盟国たたきはさらに強まる可能性がある。支持率が40%台で伸び悩む中、トランプ氏はアピールできる実績を作るのに躍起だ。北大西洋条約機構(NATO)の加盟国は、国防費を24年までに国内総生産(GDP)比2%に引き上げることを目標にするが、トランプ氏は「足りない。もっと増やせ」とかみついている。ただ、欧州諸国はトランプ氏と距離を置いており、「応分の負担」の実現は思うようにいっていない。
(8)別の米政府関係者は言う。「トランプ氏は、負担増の要求を受け入れられる金持ちで、しかもトランプ氏に『ノー』と言えない国をターゲットにして搾り取ろうとしている。それが日本だ」(編集委員・牧野愛博、ワシントン=土佐茂生)


 さらに、「朝日」は、こうしたトランプ流政治に対しての安倍晋三政権側の対応についても指摘する。


(1)在日米軍駐留経費の日本側負担の大幅増を求めたボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)の発言について、日本政府内では戸惑いが広がる。米軍の日本駐留経費のうち人件費や訓練移転費などの一部は日本が負担しており、「思いやり予算」とも呼ばれる。2004年の米国防総省の報告書によると、日本の米軍駐留経費の負担割合は74・5%と他国を大きく上回っている。19年度予算案では1974億円に上る。
(2)日米間では、5年間の負担額を定めた協定が21年3月末で期限を迎えるため、新たな協定を結ぶ日米交渉は来年から本格化する見通しだ。
(3)トランプ米大統領が同盟国の負担増を求める考えを繰り返し示していたことから、日本側は負担増の要求を警戒していた。ただ、5倍という大幅な増額要求については、菅義偉官房長官が会見で「そのような事実はない」と否定。外務省関係者は31日、「不可能に近い数字だ」と漏らした。別の政府高官も「5倍だと実際に駐留にかかる総額を超えてしまう」と、現実的ではないとの見方を示した。
(4)政権幹部の一人は31日、「米軍は日本を守るためだけに駐留しているわけでなく、地政学的にも戦略的にも米国にとっても重要だ」と語り、米軍の日本駐留は、米国の安全保障上の利益にもつながっているとの見方を示した。(清宮涼)


 この「朝日」記事からはっきり見えるものは、「『米軍は日本を守るためだけに駐留しているわけでなく、地政学的にも戦略的にも米国にとっても重要だ』と語り、米軍の日本駐留は、米国の安全保障上の利益にもつながっているとの見方」を振り返すだけの硬直した(逆に言えば、自ら利益のためには利用しやすい)制度に、必死に取りすがる旧態依然からの「姿」である。
 もちろん、米国の直らない「植民者」の『姿』も。
 やはり、今、この国の『姿』を変えなけねばならない。



by asyagi-df-2014 | 2019-08-06 10:26 | 米軍再編 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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