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暴言チッソ社長に、水俣病患者ら辞任を要求。

 熊本日日新聞は2018年5月10日、表題について次のように報じた。


(1)「水俣病の患者団体など約30団体でつくる水俣病被害者・支援者連絡会(上村好男代表)は9日、水俣病の未認定患者救済を巡り、原因企業チッソの後藤舜吉社長が『「水俣病特別措置法(特措法)で救済は終わっている』などと発言したことに抗議し、発言撤回と社長辞任を求めた。同社は発言についての正式見解を、18日までに文書で示すとした。」
(2)「特措法は、チッソが事業会社JNCの株売却で公的債務の返済と将来の患者補償を想定。株売却には環境相の承認が必要で、『救済の終了』まで売却を凍結すると規定する。後藤社長は1日の慰霊式後、記者団に『特措法による救済という意味で、可能な限り救済した』などと述べた。」
(3)「連絡会の会員7人が水俣市のチッソ水俣本部プレスセンターを訪問。水俣病被害者互助会の佐藤英樹会長が『社長は慰霊式では耳触りの良い言葉を言っているけれど、記者には違うことを言う。被害者をばかにしている』と憤りを示した。」
(4)「文書を受け取った新井次郎事務部長は『発言は、特措法の一時金支払いの判定がなされ、一時金支払いに一定の区切りがついたという趣旨。救済が終わったという意味ではないと理解している』と弁明した。」
(5)「一方、東京・大手町のチッソ本社前では同日、在京の支援者約10人が、後藤社長の解任を求めるビラを配った。支援者の久保田好生さん(66)は『患者の補償のために(債務の返済猶予などの)特別待遇をしてもらっているのに、【終わった】という発言はおかしい』と批判した。(山本遼、嶋田昇平)




by asyagi-df-2014 | 2018-05-10 14:07 | 水俣から | Comments(0)

「異論はあるかもしれないが、私としては救済は終わっている」と原因企業チッソの後藤舜吉社長が暴言。

 朝日新聞は2018年5月1日、表題について次のように報じた。


(1)「水俣病の公式確認から62年を迎えた1日、水俣病犠牲者慰霊式が熊本県水俣市の「水俣病慰霊の碑」前で営まれた。参列した原因企業チッソの後藤舜吉社長(83)が式後の取材に対し、水俣病被害者救済法(特措法)に盛り込まれた事業子会社JNC株売却要件の一つである『救済の終了』について『異論はあるかもしれないが、私としては救済は終わっている』と述べた。」
(2)「現在も患者認定を求める人がおり、訴訟も続いていることから患者・被害者団体からは『加害企業としてあるまじきことだ』と批判の声があがっている。」
(3)「後藤社長は、JNC株の売却について『ぜひやりたいと思っています』と意欲を示した。チッソはこの株を売却した後、会社の清算が可能になるため、補償の主体が消えるとの懸念が患者・被害者団体にある。」
(4)「水俣病の『最終解決』を掲げる特措法では『市況の好転』と『救済の終了』を条件に、環境相の承認を得てJNC株を売却できる手続きが盛り込まれている。今回の発言を受け、中川雅治環境相は『現時点で救済の終了とは言いがたい』との見解を示した。」
(5)「後藤社長は昨夏、最高顧問から社長に異例の復帰を遂げ、7年ぶりに慰霊式に出席。取材に『救済とは特措法(水俣病被害者救済法)による救済という意味。あたうかぎり(可能な限り)広く救済したわけです』と答えた。特措法に基づく救済策は2014年に対象者の判定が終わっている。後藤社長は現在も続く訴訟の原告らを念頭に『いろいろ紛争がありますけども、その広い範囲の救済にもかからなかった人たちですから』とも述べた。」
(6)「原告らが所属する水俣病不知火患者会の元島市朗事務局長は『被害者が救済を求めて裁判を続ける現実を見ていない。被害者に対する冒瀆(ぼうとく)だ』と批判した。水俣病被害者互助会の谷洋一事務局長は『自分たちが水俣病で何をしたのか理解していない』と述べた。」
(田中久稔、奥正光)


 加害者が被害者に向けて、「異論はあるかもしれないが、私としては救済は終わっている」、と言い放つことを許す「構造」が日本にはあることがわかる。
 こうしたことを許してきたのは、戦争責任を曖昧にしてきた日本のあり方そのものに由来する。
 こんなことを許しては、被害者は救われないし、未来の被害者を生むことにも繋がる。




by asyagi-df-2014 | 2018-05-03 06:42 | 水俣から | Comments(0)

東京高裁は、新潟水俣病原告のうち2人を患者と認めなかった一審・新潟地裁判決を取り消し、9人全員を患者と認めるよう市に命じた。

 水俣病の症状があるのに患者と認めなかった新潟市の判断は不当だと新潟市に認定を求めた控訴審判決が出された。
 このことについて、朝日新聞は2017年11月30日、次のように報じた。、


(1)「水俣病の症状があるのに患者と認めなかった新潟市の判断は不当だとして、新潟市内の男女9人(うち1人は故人)が市に認定を求めた訴訟の控訴審判決が29日、東京高裁であった。河野清孝裁判長は、原告のうち2人を患者と認めなかった一審・新潟地裁判決を取り消し、9人全員を患者と認めるよう市に命じた。」
(2)「行政から患者と認定されれば、原因企業からの一時金や年金、医療費などが給付される。認定を巡って旧環境庁は1977年通知で『複数の症状が必要』としてきたが、2013年の最高裁判決は『複数でなくても認定できる』と判断。この日の判決は、原告の訴えなどから幅広く認定しており、今後の認定行政や訴訟にも影響しそうだ。」
(3)「判決は認定の基準について、公害健康被害補償法の趣旨を重視し、『水俣病の可能性が50%を超えるなら認定すべきだ』と指摘。『手足の感覚障害があり、他の原因を疑わせる事情がなければ、メチル水銀の影響である可能性が高い』との判断を示した。その上で、一審判決が『同居家族に認定患者がいない』との理由で退けた2人について、川魚を週3回食べていたこと、親戚に認定患者がいることなどに着目。『高度のメチル水銀に暴露した可能性は否定できない』として、2人の認定を市に命じた。」
(4)「高島章弁護団長は『詳細な証拠が無くても、行政が水俣病と認めるべきだとする法の趣旨を踏まえた判決』と評価した。」(後藤遼太)


 この判決が、「認定の基準について、公害健康被害補償法の趣旨を重視し、『水俣病の可能性が50%を超えるなら認定すべきだ』と指摘。『手足の感覚障害があり、他の原因を疑わせる事情がなければ、メチル水銀の影響である可能性が高い』との判断を示した。」、ということは、この国の棄民政策の大幅な見直しにつなげていかなくてはならい、ということでもある。
 確かに、これからは、『詳細な証拠が無くても、行政が水俣病と認めるべきだとする法の趣旨を踏まえた判決』を活かすことが重要。




by asyagi-df-2014 | 2017-11-30 12:17 | 水俣から | Comments(0)

「水銀に関する水俣条約」が、2017年8月16日に発効。

 「水銀に関する水俣条約」が2017年8月16日に発効した。
 このことについて、毎日新聞は2017年8月16日、次のように報じた。


(1)水銀の環境への排出を防ぐための国際ルール「水銀に関する水俣条約」が16日に発効した。発効に伴い、水銀を含んだ蛍光灯や電池などの製品の製造や輸出入が2020年までに原則禁止されるほか、今後15年以内に水銀鉱山からの採掘もできなくなる。また途上国での零細小規模金採掘(ASGM)での水銀使用も減らすよう求める。条約事務局によると条約を締結したのは、14日現在で73カ国と欧州連合(EU)。
(2)国連環境計画(UNEP)によると、人為的に大気中へ排出されている水銀は年間約2000トン。半数以上が途上国でのASGMや、石炭など化石燃料を燃やすことによって排出される。UNEPなどは多量の水銀が排出されていることを問題視し、2009年から条約採択に向けた国際交渉を開始。13年10月に熊本県水俣市と熊本市で開かれた外交会議で採択した。
(3)採択に際しては、世界最大規模の有機水銀中毒事件「水俣病」の被害を繰り返さない決意を込めた日本の提案で、条約名に「水俣」の地名が冠された。【五十嵐和大、渡辺諒】
(4)水俣条約=骨子 :①化粧品や血圧計など水銀を含む製品の製造や輸出入を2020年までに原則禁止 。②輸出が認められた製品でも、輸入国の事前の書面同意が必要
・歯科用水銀合金使用を削減、③零細小規模金採掘は使用を削減。可能なら廃絶、④新規水銀鉱山の開発禁止。既存鉱山からの産出は発効から15年以内に禁止、⑤石炭火力発電所の水銀排出を削減


 熊本日日新聞は2017年8月16日、このことについて、「水銀による環境汚染や健康被害の防止を目指す「水銀に関する水俣条約」が発効した。世界から水俣病のような水銀被害を根絶するための確かな一歩となることを期待したい。」と記し、「水俣条約発効 まず日本政府が被害直視を」、と社説を掲げた。
 熊本日日新聞は、その経過と意義について、次のようにまとめる。


 条約は2013年10月、水俣、熊本両市で開いた外交会議で採択された。35の条文と五つの付属書で構成し、採掘から廃棄まで全ての段階で規制措置を規定。水銀を使った製品は原則として20年までに製造・輸出入を禁止する。採択後、各国は国内法を整備して締結作業を進め、日本は16年2月に締結。
 今年5月、締結国が発効に必要な50カ国に達した。最大排出国の中国だけでなく、米国やEU、水銀を使用する小規模金採掘の従事者が多いブラジルなども締結国となった意義は大きいと言える。


 ただ一方で、「いまだに多くの人が健康被害や差別に苦しみ、訴訟も続いている現実がある」ことから、水俣病患者や支援者らの中には、「『水俣病が既に解決済みの問題として世界に誤解されてしまうのではないか』という懸念が強くある。」、と熊本日日新聞は押さえる。
 また、熊本日日新聞は、その懸念の理由を次のように指摘する。


(1)患者らが強く求めている不知火海沿岸住民の健康調査も実施されておらず、被害の全容は解明されていない。水銀を含む未処理の汚泥が封じ込められた水俣湾の埋め立て地の問題もある。
(2)公式確認から61年が過ぎても多くの問題がなお山積みの状態だ。そうした現状から目を背けたまま条約への対応を進めてきた日本政府に対し、患者らはもどかしさと割り切れなさを感じている。


 さらに、熊本の水俣病患者や支援者らの「声」や「思い」-「いずれも、条約発効が水俣病問題の幕引きに利用されることを警戒してのことだ。」-を、次のように届ける。


(1)7月1日、水俣市で一足早く開かれた発効記念行事。国連環境計画や環境省の関係者が顔をそろえる中、水俣病語り部の会の緒方正実会長は「水俣病は解決していない。公害が起きれば、人々は長い間向き合わなければならない」と訴えた。
(2)一般参加者として式典を見守った水俣病被害者互助会の佐藤英樹会長も「いまだに苦しんでいる被害者がいることを多くの人に知ってもらいたい」と注文した。
(3)胎児性患者の坂本しのぶさんは、9月にスイスのジュネーブで開かれる第1回締約国会議(COP1)に合わせて現地入りする。坂本さんの欧州訪問は、1972年にスウェーデンのストックホルムで開かれ、水俣病の存在を世界に伝えた国連人間環境会議以来45年ぶり。体調に不安を抱えながらもジュネーブ行きを決断させたのは、解決には程遠い水俣病の現実を再び訴えなければならないという使命感にほかならない。


 最後に、熊本日日新聞は、「条約の前文には『水俣病の教訓を認識し、水銀を適正管理することで健康被害を防ぐ』と記されている。条約が掲げる目的を達成するためには、まず日本政府が水俣病の現実を直視し、誠実に解決に取り組まなければならない。そこで得られる教訓こそ、世界の水銀被害防止にも役立つはずだ。」、と訴える。


 確かに、水俣病問題の本質は、「日本政府が水俣病の現実を直視し、誠実に解決に取り組まなければならない。」、ということにある。




by asyagi-df-2014 | 2017-08-17 05:41 | 水俣から | Comments(0)

大阪地裁は2017年5月18日、損害賠償を理由に原因企業チッソが患者認定に伴う補償を拒むのは不当として、勝訴原告2人の遺族が補償を受ける地位の確認を求めた訴訟で、遺族の訴えを認める判決を言い渡した。

 熊本日日新聞は2017年5月19日、標題について次のように報じた。


(1)水俣病関西訴訟の判決による損害賠償を理由に原因企業チッソが患者認定に伴う補償を拒むのは不当として、勝訴原告2人の遺族が補償を受ける地位の確認を求めた訴訟で、大阪地裁は18日、遺族の訴えを認める判決を言い渡した。同社は控訴するかどうかについて「コメントを差し控える」としている。
(2)遺族が求めたのは1973年、当時の患者とチッソが締結した補償協定に基づく補償。1600万~1800万円の一時金などが柱で、締結後に認定された患者にも適用する規定がある。裁判では関西訴訟で賠償された勝訴原告の場合も対象となるかどうか、協定の解釈が争われた。
(3)北川清裁判長は判決理由で「補償協定は損害賠償に関する和解契約」とする一方、「チッソが、甚大な被害をもたらした反省から損害賠償として認められる程度を超えた救済を行うと定めたと解すべきだ」と指摘。「訴訟で確定判決を得たことを患者に不利に解釈するのは相当とはいえない。賠償後に対象外とするのは協定の趣旨に反する」とし、「関西訴訟で賠償を受けた以上、全損害は補われており、補償は解決済み」としてきたチッソの主張を退けた。
(4)患者認定を巡る問題にも言及。77年に旧環境庁が示した、複数症状の組み合わせを基本要件とする判断条件について「認定範囲が実質的に縮小され、勝訴原告らのように認定を数十年待ち続ける患者が現れた」と述べた。
(5)勝訴原告2人はいずれも不知火海沿岸出身で、70年代に患者認定を申請。認定されないため関西訴訟の原告に加わり、2004年に650万円の賠償を命じる判決が確定した。2人とも死去後、行政訴訟などを経て患者認定された。
(石貫謹也、内田裕之)





by asyagi-df-2014 | 2017-05-19 11:44 | 水俣から | Comments(0)

「カナダ水俣病」の先住民が被害訴え、熊本市で講演。

 標題について、東京新聞は2017年2月18日、次のように報じた。


①「カナダ・オンタリオ州の製紙工場が1960年代に河川に流した排水に水銀が含まれ、水俣病と同じ神経障害の症状が出た先住民3人が18日、熊本市の熊本学園大で講演した。『行政の補償は不十分で、汚染も放置されたままだ』と被害対策の不十分さを訴えた。」
②「2014年に現地調査した熊本学園大水俣学研究センターが企画。花田昌宣教授によると、住民の大多数に当たる3千人近くが健康被害を受けた可能性があり、一定の症状がある住民には政府機関などで構成する『水銀障害委員会』が補償金を支払うが、受給は住民の2割程度にとどまる。カナダ政府は『カナダ水俣病』の存在を公式に認めていない。」


 「カナダ政府は『カナダ水俣病』の存在を公式に認めていない。」とは、日本の水俣病の悪しき政府対応が、そのまま踏襲されているとの批判が当てはまるのではないか。




by asyagi-df-2014 | 2017-02-19 12:04 | 水俣から | Comments(0)

水俣病-水俣病の病態解明と治療開発につながる発見。

 朝日新聞は、標題について、「国立大学法人新潟大学が、メチル水銀は血管内皮増殖因子の発現亢進により血液脳関門の障害を来すことが明らかに!-水俣病の病態解明と治療開発につながる発見」、と次のように報じた。


(1)水銀による健康被害は今なお世界中で発生していますが,新潟大学脳研究所神経内科の高橋哲哉助教及び下畑享良准教授らは,メチル水銀中毒の動物モデルを用いて,血管内皮増殖因子(VEGF)が,水俣病で侵される小脳や後頭葉に強く発現し,脳血管を破綻することを初めて発見しました。また,VEGFを中和する抗体療法は,モデル動物の症状を改善しました。これらは,水俣病の病態解明と治療開発につながる発見となります。
 本研究は,2011年より新潟大学神経内科主導で,国立水俣病総合研究センターとの共同研究として行い,2017年1月25日(水),PLOS ONE 誌(2014年IF3.234)に掲載されました。
(2)本研究成果のポイントは、①メチル水銀による脳血管への影響について,動物レベルで初めて明らかにした。②メチル水銀により,ふらつきや視野の狭窄といった症状が生じるメカニズムを明らかにした。③メチル水銀中毒の急性期治療は,メチル水銀を体内から排泄するキレート剤しかなかったが,今回の研究は新たな治療薬の開発につながる画期的なものと言える。




by asyagi-df-2014 | 2017-01-25 12:07 | 水俣から | Comments(0)

水俣-公式確認から60年、水俣病の犠牲者慰霊式。「チッソは、主人に本当に『すまなかった』と思うなら、逃げたりしないで、水俣病のことをちゃんと伝えてほしい」、と。

 熊本日日新聞は2016年10月30日、標題について次のように報じた。


(1)公式確認から60年を迎えた水俣病の犠牲者慰霊式が29日、水俣市の水俣湾埋め立て地で営まれた。患者や遺族ら約750人が犠牲者を悼み、公害の原点とされる環境破壊と深刻な被害への反省を誓った。西田弘志市長は式辞で「水俣病の歴史をしっかりと受け止め、教訓を現在、将来に生かし、次の世代に引き継ぐ」と述べた。慰霊式は、市や被害者団体などでつくる実行委主催。これまで、水俣病が公式確認された5月1日に開かれてきたが、今年は熊本地震の影響で延期されていた。
(2)「水俣病慰霊の碑」前に、患者や市民、行政、原因企業チッソの関係者らが参列。黙とうして献花台に花を手向けた。亡くなった認定患者のうち、新たに申し出のあった8人の名簿を奉納。奉納者は計396人となった。行政が認定した患者は8月末現在、熊本、鹿児島両県で計2282人で、1886人が亡くなった。
(3)「祈りの言葉」では患者・遺族を代表し、公式確認された1956年に夫を亡くした認定患者の大矢ミツコさん(90)=水俣市=が「チッソは、主人に本当に『すまなかった』と思うなら、逃げたりしないで、水俣病のことをちゃんと伝えてほしい」と語った。
(4)今後の患者認定審査について、蒲島郁夫知事は「これまで申請している人の審査を(任期中の)4年間で完了できるように、審査業務を加速させたい」と強調。就任後初めて参列した山本公一環境相は式典後、チッソの事業を担う子会社JNCの株式売却について「認定申請中の人や裁判中の人が多く、救済が完了したとは言い難い。売却を承認できる環境にはない」と述べた。


 水俣病は、終わっていない。


 以下、熊本日日新聞の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2016-10-30 20:26 | 水俣から | Comments(0)

水俣-水俣病救済のあり方が問われている。-対象地域外から訴え-。

 朝日新聞は2016年10月3日、「救済線引きに疑問符 1万人検診記録、医師団と朝日新聞分析 水俣病」、「水俣病救済『症状で判断を』 対象地域外から訴え」、と水俣病救済のあり方について報じた。
このことについて朝日新聞の記事を基に考える。
朝日新聞〈以下、朝日とする〉は、まず、水俣病救済のあり方の問題について始める。


 水俣病は政府が定めた地域や年代の線引きの外に広がっている――。今も続く民間医師団による検診の分析結果は、その可能性を強く示す。政府や自治体は不知火(しらぬい)海周辺の被害実態を解明しないまま、救済策の対象を限った。それが、公式確認から60年を経ても問題が解決しない要因になっている。


 朝日は、民間医師団の検診の様子を伝える。


(1)熊本県水俣市の南隣、鹿児島県出水(いずみ)市。9月25日に民間医師団の検診があった。不知火海に浮かぶ長島(鹿児島県長島町)で暮らす男性会社員(58)は、幼い頃からの手の震えや頻発する足のこむら返りが気になり、友人の勧めで受診した。
(2)男性が生まれ育った島の西側の地域には県が認定した水俣病患者はおらず、被害者救済策の対象地域外。男性も「自分には関係ないと思っていた」。ただ、高校時代には漁のアルバイトをした。卒業して上京するまで食卓には豊富な魚が上っていた。医師団はこの日、男性を含む40~80代の受診者11人を、1人当たり40分~2時間かけて検診。全員に水俣病の症状を確認した。
(3)医師団が、潜在被害の調査を続けて40年余り。検診記録は今春までの10年余で1万人超になり、その後も検診の度に症状のある人が見つかる。過去の居住歴が確認できた人は3千人を超え、検診結果を分析した結果、被害者救済策の対象地域内外の集団で症状の現れ方がよく似ていた。
(4)水俣病を研究する岡山大大学院の頼藤貴志准教授(疫学)は、結果の詳細な評価には、対象地域内外の住民に占める受診者の割合や、比較対象とした非汚染地域の住民の情報が必要とした上で「(救済策の)対象地域・年齢でない人でも、症状の見られた割合の傾向が似ている。水俣病特有の神経症状や関係の疑われる症状があるということではないか」と指摘する。


 朝日は、水俣病の現状について、次のように報告する。


(1)水俣病は国の基準に基づいて熊本、鹿児島両県が認定し、原因企業のチッソが補償する患者と、県は患者と認定していないが症状のある被害者がいる。
(2)国の水俣病患者認定基準は、感覚障害を中心とする複数の症状の組み合わせを要件とし、厳格過ぎると指摘されてきた。典型症状の感覚障害がありながら認定されない人々は、訴訟で補償を求めた。和解を迫られた国は1995年、患者が受ける補償より低額の一時金などを1万人余に払う政治解決策で収束を図った。
(3)2004年には、不知火海沿岸地域から関西地方に移った人々が起こした訴訟で、最高裁が国の基準より幅広く被害を認めた。それでも国は基準を見直さず、09年に成立した水俣病被害者救済法(特措法)に基づく救済策をとり、3万6千人余を対象とした。2度の政治解決策で、患者が出た地域かどうかで救済対象を線引きした。
(4)国の基準によって認定されない人がいただけでなく、認定患者が差別や偏見にさらされるなか、症状の出た身内を隠し、認定の申請自体をためらう人々も少なくなかった。こうして、患者と認定される人が抑えられ、被害実態に合わない線引きができ、救済対象地域が狭まった可能性がある。救済策の締め切り後も、認定申請や訴訟が相次いでいる。
(5)医師団や複数の患者・被害者団体は、不知火海沿岸に居住歴のある人の網羅的な健康調査と被害の実態解明を国に求めているが、実現していない。
(6)チッソは水俣病の公式確認後も12年にわたりメチル水銀を含む廃水を不知火海に流し続け、行政は規制しなかった。04年の最高裁判決では、被害の拡大を放置した国と熊本県の責任が確定した。民間医師団の団長を務める藤野糺(ただし)医師は「(国などの)加害者が調査もせずに線引きすることは許されない」と話す。


 朝日は、この問題について、「症状で判断を」「海はつながっている」、今も被害を訴える人々がいる、とその声を伝える。


Ⅰ.伊佐市に住む税所(さいしょ)秀孝さん(78)の場合。
(1)山あいの農村地帯の公園に「やまの」と書かれた看板や線路の一部が残る。鹿児島県伊佐市(旧山野町など)の山野駅跡だ。1988年に山野線が廃止されるまで、約20キロ離れた熊本県水俣市と結ばれていた。
(2)伊佐市に住む税所(さいしょ)秀孝さん(78)は高校時代を鮮明に思い出す。毎朝8時ごろ、山野駅から水俣と逆方面の汽車に乗ると、てんびん棒や籠で魚を運ぶ行商人が大勢、車内にいた。雨の日はひときわ生臭い。行商人は沿線で物々交換をし、夕方には空いた籠に米などを入れて水俣方面行きの列車に乗った。税所さんの家は、なじみの3人の行商の女性から魚を買っていた。
(3)地元の金鉱山で働いたが、30歳ごろから手足のこむら返りが起き、50歳を超えて悪化。しびれもあって溶接やボルト締めがうまくできなくなった。こたつの熱に気づかず低温やけどもした。病院で受診しても原因はわからなかった。
(4)新聞や自宅に投函(とうかん)された患者団体のチラシで、水俣病被害者への政府の救済策を見て、自分もそうかもしれないと初めて疑った。ただ、自分が「不治の病」の水俣病と認められたくないとの思いもあり、ためらった末に申請期限間際の2012年7月に申請した。だが伊佐市は救済の対象地域外。魚を日常的に食べたと証明できず、症状があるかどうかの検診すら受けられなかった。「魚の領収証なんか、残っていない」
(5)水俣病じゃないと確認したい。その一心で14年に医師団の検診を受けると「水俣病の症状がある」と告げられた。「ショックだった」。積年の苦しみに怒りも湧き、15年1月、国と熊本県、原因企業チッソに損害賠償を求める訴訟の原告になった。裁判で体がよくなるわけではないが、せめて医療費給付をと願う。


Ⅱ.中村利博さん(66)の場合。
(1)不知火海を挟んで水俣の対岸の熊本県天草市で漁業を営む中村利博さん(66)も、救済策から外された。住んでいる宮野河内地区は対象地域外だが、12年1月の医師団による検診で症状が確認された。
(2)65年ごろから手足にこむら返りが起きるようになったが、水俣病と結びつけて考えなかった。水俣病といえば、全身がけいれんするような劇症患者のイメージだったためだ。十数年前から手がしびれて力が入らず、30分ほどでできた網の修理に40~50分かかるようになった。船上でふらつき、口からよだれが出ても気づかない。風呂場で裸になってケガに気づくこともあった。
(3)昔から三度の食卓に刺し身や煮付けが並んだ。小学校高学年から父の漁を手伝い、中学卒業後は父や兄と一緒に本格的に海へ出た。天草の目の前に浮かぶ、水俣病の認定患者の出ている獅子島(鹿児島県長島町)沿岸でタイを取り、水俣沖で操業する巻き網漁船にも乗った。救済策の申請に合わせて漁協組合員証を県に提出したが「水俣湾または周辺海域の魚介類を入手したことが確認できなかった」として非該当を通知された。悔しくて涙がこみ上げ、訴訟に加わった。
(4)年を重ねるに連れて思い起こすのは、20年ほど前に70代で亡くなった母の姿。両手の指が曲がり、こむら返りやしびれでいつも痛みを訴えていた。母も水俣病だったのだろうと思う。「自分もそうなるのでは」。不安がよぎる。



 今、私たちは、この声をきちっと聞くことである。


「魚の流通ルートを調べればわかるはずなのに……。症状を見て判断してほしい」
「海はつながっとっとやけんな。不公平やっかな」
「早く被害を認めてほしい。平等にもれなく救済をしてもらいたい」


 その上で、次のことの実現に向けて、早急に動き出さなければならない。


 国などの加害者が調査もせずに線引きすることは許されない。
 したがって、国は、水俣病の救済に向けて、不知火海沿岸に居住歴のある人の網羅的な健康調査と被害の実態解明を、行わなければならない。


 以下、朝日新聞の引用。






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by asyagi-df-2014 | 2016-10-07 05:55 | 水俣から | Comments(0)

水俣-福岡高裁は、水俣病補償で、全面敗訴とした一審熊本地裁判決を変更し、不支給とした県の処分を取り消す判決を言い渡した。

 標題について、熊本日日新聞は2016年6月17日、「水俣病患者と認定される前に損害賠償請求訴訟に勝訴して賠償金を得たことを理由に、認定に伴う障害補償費を支給しないのは違法として、大阪府東大阪市の川上敏行さん(91)が県の支給決定を求めた行政訴訟の控訴審で、福岡高裁は16日、川上さんを全面敗訴とした一審熊本地裁判決を変更し、不支給とした県の処分を取り消す判決を言い渡した。」、と報じた。
 この訴訟について、「川上さんは水俣病関西訴訟で原因企業チッソから850万円の賠償を受けた後、県が患者認定。公害健康被害補償法(公健法)に基づく障害補償費を請求したが、県は不支給とした。行政訴訟では『同じ理由で被った損害が補われた場合は支給を免れる』」とした公健法の規定を県が適用したことの妥当性が争われた。」、と伝えた。
 また、判決について、「公健法の規定について、賠償金を受けた場合でもあくまでその金額を限度に支給義務が免除されるにとどまると解釈。『賠償金で全ての損害が補われたとして一切支給しないのは、公健法の規定の趣旨から逸脱する』とし、県の規定適用を違法と断じた。一方で、支給義務付けの請求は『県が判断すべき』として原告側の訴えを退けた。」、と報じた。
 さらに、熊本県の対応について、「県は上告について『現時点では対応を決めていない』としている。」、と伝えた。


 以下、熊本日日新聞の引用。




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by asyagi-df-2014 | 2016-06-18 12:21 | 水俣から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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