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大阪高裁は、「人種差別、女性差別に当たる内容を含む記事が多数存在している。不法行為は複合差別に根差すもので非常に悪質」と指摘。

 時事通信は2018年6月28日、表題について次のように報じた。


(1)「インターネット上の投稿をまとめたサイト『保守速報』の差別的な表現で精神的苦痛を受けたとして、在日朝鮮人のフリーライター李信恵さん(46)が運営者の男性に2200万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(江口とし子裁判長)は28日、男性に200万円の支払いを命じた一審大阪地裁判決を支持し、双方の控訴を棄却した。」
(2)「江口裁判長は保守速報について『人種差別、女性差別に当たる内容を含む記事が多数存在している。不法行為は複合差別に根差すもので非常に悪質』と指摘。『記事掲載が執拗(しつよう)に繰り返され、多大な精神的苦痛を被ったと認められる』と判断した。」
(3)「判決によると、保守速報は2013年7月から約1年間、ネット掲示板『2ちゃんねる』の李さんに関する投稿を引用するなどした記事を掲載した。」 




by asyagi-df-2014 | 2018-06-30 06:44 | 書くことから-ヘイトクライム | Comments(0)

京都市南区の京都朝鮮第一初級学校の跡地付近でのヘイトスピーチに、京都地裁は、名誉毀損罪を初めて適用。

 毎日新聞は、表題について次のように報じた。


(1)「昨年4月に京都市内でヘイトスピーチを行い朝鮮学校の名誉を傷つけたとして、京都地検は名誉毀損(きそん)罪で、『在日特権を許さない市民の会』(在特会)の西村斉(ひとし)・元京都支部長(49)=京都市右京区=を20日付で在宅起訴した。学校側の弁護士によると、在特会による一連のヘイトスピーチを巡る刑事事件で、名誉毀損罪が適用されるのは初めてという。」
(2)「弁護士らによると、西村被告は昨年4月23日夕、京都市南区の京都朝鮮第一初級学校の跡地付近で、拡声機を用い『ここに日本人を拉致した朝鮮学校があった』『一日も早く、日本人を拉致するような学校はたたき出さなければなりません』などと繰り返し発言。さらにインターネットで動画を配信し、学校法人京都朝鮮学園の名誉を傷つけたとして、学園が昨年6月に京都府警南署に刑事告訴し、府警が任意で捜査していた。」
(3)「在特会は2009年12月、同校に対してヘイトスピーチを行い、授業を妨害したとして、西村被告を含む幹部4人が威力業務妨害と侮辱の罪で起訴され、有罪判決を受けた。この事件を巡る民事訴訟ではヘイトスピーチが人種差別に当たるとして在特会側に1220万円の賠償を命じた判決が確定している。」
(4)「京都朝鮮第一初級学校は12年3月末で休校し、京都朝鮮第三初級学校に統合された。13年4月に同市伏見区に移転し、現在は京都朝鮮初級学校になっている。」
(4)「西村被告は23日、取材に『事実に基づいた発言で、名誉毀損ではない。起訴状はまだ届いていない』と述べた。                         【澤木政輝、中津川甫】




by asyagi-df-2014 | 2018-04-24 12:00 | 書くことから-ヘイトクライム | Comments(0)

BPOは、MXテレビの番組「ニュース女子」について、辛淑玉さんに対する名誉毀損の人権侵害があったと認定。(2)

 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は2018年3月8日、苦情の対象となった番組『ニュース女子』に関わっての苦情-申立人辛淑玉、被申立人東京メトロポリタンテレビジョン株式会社(TOKYO MX)-に関して、「放送と人権等権利に関する委員会決定 第67号」を決定した。
 このBPO放送人権委員会は、申し立ての経過を次のように述べている。


(1) 東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)は2017年1月2日放送の情報バラエティ―番組『ニュース女子』で沖縄県東村高江地区の米軍ヘリパッド建設反対運動を特集した。軍事ジャーナリストが沖縄を訪れリポートしたVTRを放送し、その後スタジオで、出演者によるトークを展開した。また、翌週9日放送の『ニュース女子』の冒頭では、この特集に対するネット上の反響を紹介した。
(2)この放送について、申立人の辛淑玉氏は、「本番組はヘリパッド建設に反対する住民を誹謗中傷するものであり、その前提となる事実が、虚偽のものであることが明らか」とした上で、申立人についてあたかも「テロリストの黒幕」等として基地反対運動に資金を供与しているかのような情報を摘示し、また、申立人が、外国人であることがことさらに強調されるなど人種差別を扇動するものであり、申立人の名誉を毀損する内容であると訴えた。


 この上で、BPO放送人権委員会は、「委員会は審理の結果、2018年3月8日に『委員会決定』を通知・公表し、『勧告』として、本件放送には申立人に対する名誉毀損の人権侵害があったと判断した。」、と決定している。
また、その理由として、「本件放送で『申立人は過激で犯罪行為を繰り返す基地反対運動を職業的にやってきた人物でその【黒幕】である』、『申立人が過激で犯罪行為を繰り返す基地反対運動参加者に5万円の日当を出している』との事実を摘示しているものと認められ、TOKYO MXによって、それら事実の真実性は立証されていないとの判断を示した。」、としている。
 さらに、【決定の概要】について、次のように判断している。


(1)TOKYO MXは2017年1月2日、『ニュース女子』で沖縄の基地問題を取り上げ、1月9日の同番組では1月2日の放送に対する視聴者からの反響について冒頭で取り上げる放送をした。『ニュース女子』は「持込番組」であり、TOKYO MXは企画、制作に関わっていないが、「持込番組」であっても放送局が放送責任を負うことは当然であり、TOKYO MXもこれを争っていない。
(2)この放送について申立人は、「高江でヘリパッドの建設に反対する住民を『テロリスト』『犯罪者』とし、申立人がテロ行為、犯罪行為の『黒幕』であるとの誤った情報を視聴者に故意に摘示した。『テロリスト』『犯罪者』といわれた人間は、当然のごとく社会から排除されるべき標的とされる。本放送によって〈排除する敵〉とされた申立人は平穏な社会生活を奪われたのである」などとしたうえ、そのように描かれた基地反対運動の「黒幕」であり「日当5万円」を支給しているものとされた「申立人の名誉の侵害について主に」問題とするなどと訴え、委員会に申立書を提出した。
(3)これに対しTOKYO MXは、1月2日の放送は、申立人が「のりこえねっと」を主宰する者で、現在は沖縄の基地問題にも取り組んでいるという事実を摘示するものに過ぎず、これらの事実摘示が、直ちに申立人の社会的評価を低下させるものではなく、また、申立人が基地反対運動の「黒幕である」とか、基地反対運動参加者に「日当」を出しているとの内容ではないし、仮にそのような内容であり、それが社会的評価を低下させるとしても、公共性のあるテーマについて公益目的で行われた放送で、その内容は真実であるから名誉毀損にはあたらない、などと反論した。
(4)委員会は、申立てを受けて審理し決定に至った。委員会決定の概要は、以下のとおりである。
(5)1月2日の放送は、前半のVTR部分と後半のスタジオトーク部分からなるが、トークはVTRの内容をもとに展開されており、両者を一体不可分のものとして審理した。VTR部分では基地反対運動が過激で犯罪行為を繰り返すものと描かれており、これを受けてのトーク部分では申立人が関わる「のりこえねっと」のチラシに申立人の名前が記載されていることに言及しつつ、申立人が日当を基地反対運動参加者に支給していると受け取る余地がある出演者の発言やテロップ、ナレーションが重ねて流される。これらの放送内容を総合して見ると、本件放送は「申立人は過激で犯罪行為を繰り返す基地反対運動を職業的にやってきた人物でその『黒幕』である」、「申立人は過激で犯罪行為を繰り返す基地反対運動の参加者に5万円の日当を出している」との事実を摘示しているものと認められ、それらは申立人の社会的評価を低下させるものと言える。この放送に公共性、公益性は認められるが、TOKYO MXによって、上記各事実の真実性は立証されておらず、申立人に対する名誉毀損の人権侵害が成立する。
(6)これに加えて、1月2日および1月9日放送の『ニュース女子』には以下の2点について放送倫理上の問題がある。第一に、「放送倫理基本綱領」は「意見の分かれている問題については、できる限り多くの角度から論点を明らかにし、公正を保持しなければならない」などとしているところ、1月2日の放送を見れば申立人への取材がなされていないことが明らかであるにもかかわらず、TOKYO MXは考査においてこれを問題としなかった。第二に、「日本民間放送連盟 放送基準」は「人種・民族・国民に関することを取り扱う時は、その感情を尊重しなければならない」などとしているところ、そのような配慮を欠いた1月2日および1月9日のいずれの放送についても、TOKYO MXは考査において問題としなかった。
(7)委員会は、TOKYO MXに対し、本決定を真摯に受け止めた上で、本決定の主旨を放送するとともに、人権に関する「放送倫理基本綱領」や「日本民間放送連盟 放送基準」の規定を順守し、考査を含めた放送のあり方について局内で十分に検討し、再発防止に一層の努力を重ねるよう勧告する。


 このBPOの「名誉毀損の人権侵害の成立」決定理由を再掲すると、次のことになる。


Ⅰ.本件放送は「申立人は過激で犯罪行為を繰り返す基地反対運動を職業的にやってきた人物でその『黒幕』である」、「申立人は過激で犯罪行為を繰り返す基地反対運動の参加者に5万円の日当を出している」との事実を摘示しているものと認められ、それらは申立人の社会的評価を低下させるものと言える。
Ⅱ.この放送に公共性、公益性は認められるが、TOKYO MXによって、上記各事実の真実性は立証されていない。


 さらに、BPOは、放送臨場の問題点を追加している。


Ⅰ.「放送倫理基本綱領」は「意見の分かれている問題については、できる限り多くの角度から論点を明らかにし、公正を保持しなければならない」などとしているところ、1月2日の放送を見れば申立人への取材がなされていないことが明らかであるにもかかわらず、TOKYO MXは考査においてこれを問題としなかった。
Ⅱ.、「日本民間放送連盟 放送基準」は「人種・民族・国民に関することを取り扱う時は、その感情を尊重しなければならない」などとしているところ、そのような配慮を欠いた1月2日および1月9日のいずれの放送についても、TOKYO MXは考査において問題としなかった。


 さて、東京MXは、この勧告をどれぐらい真摯に受け取ることができるか。


 BPOは、この「人権侵害の勧告」を決定しました。
 この時期に、すぐれた決定です。
 ただ、この問題は、この決定の意味を一人一人が真剣に自分のものとして、捉え直すことができるのかにかかっています。
 沖縄タイムスは、2018年3月4日に、辛淑玉さんの手記を掲載しました。
 彼女は、この中で、こう語っています。


「虚位報道でその原因を作ったMXは1年以上もたって、DHCに逃げられ、番組中止を発表する。どれほどズレているのか、と言わざるを得ません。
 極右テロは、メディアがまずターゲットを指さし、極右のならず者が引き金を引く形で連携的に起こるのです。組織的でなくても、観念の連携があればテロは起こります。IS(イスラミックステート)の宣伝サイトをみて共鳴した人物がテロを起こすのと同じ構造です。
 さらに、問題が深刻であるのは、メディアがターゲットを指さしたとき、テロを実行するならず者たちは、その情報の真偽の情報をほとんど確かめないことです。こうして、フェイク情報がテロを誘発する。
 だから、たとえBPOがこの番組をフェイクで、辛淑玉に対する人権侵害だと指摘してくれても、極右のならず者たちがテロを思いとどまるという保障はない。まして、このフェイク映像は、この時点でもまだネットに垂れ流されている。極めて危険な状態なのだと思います。
 『まさか自分は大丈夫。今回のできごとは辛淑玉という特別で例外的なケースに起こっていることだから』。そういう認識を持っている人はまだまだ多いように思います。
 その壁もあっという間に越えると思います。」





by asyagi-df-2014 | 2018-03-10 07:26 | 書くことから-ヘイトクライム | Comments(0)

ドイツがヘイトスピーチ取締法を施行へ

 BBCニュースNEWSJYAPANは2018年1月1日、「ドイツ、ヘイトスピーチ取締法を施行へ SNS企業に削除義務」、と次のように報じた。


(1)「ドイツでは2018年から、ソーシャルメディアにヘイトスピーチ(憎悪表現)やフェイクニュース、違法コンテンツの速やかな削除を義務付ける新法が施行される。『明らかに違法な』」投稿を24時間以内に削除しないサイトは、最大5000万ユーロ(約68億円)の罰金を科せられる可能性がある。規制の対象は、利用者200万人超のSNSとメディア企業。新法制はフェイスブックやツイッター、YouTubeが主な対象だが、掲示板サイトのレディットやTumblr、ロシアのSNS『VK』にも適用される。VimeoやFlickrなども対象となる可能性がある。」
(2)「『ソーシャルメディアにおける法執行を改善するための法律』(ネット執行法、NetzDG)は昨年6月末に可決され、同10月初旬に発効した。SNS各社には準備期間として、2017年末まで猶予が与えられていた。フェイクニュースや人種差別的な内容が、複数の大手SNSのドイツ版で大々的に広まったことを受け、サイト取り締まり強化の声が上がっていた。ドイツ法務省は、NetzDGに違反する内容、あるいは時間内に削除されていない内容を、市民が法務省のサイトで報告できるようにすると述べた。法律の施行を受け、SNS各社は迅速に対応せざるを得なくなる。また、問題投稿が素早くスタッフに通知されるよう、包括的なクレーム受理体制の整備が求められている。」
(3)「大半の投稿は24時間以内に削除する必要があるが、『複雑なケース』への対応には1週間の期限が与えられる。フェイスブックは、違反報告に対応して投稿内容の監視を強化するため、ドイツで数百人のスタッフを採用したとされる。」
(4)「ドイツ国内では法律に対して賛否両論があり、意図せずして検閲や言論の自由の抑制につながる可能性があると懸念する人もいる。NetzDGは、政府や規制当局によるソーシャルメディア規制としては最も極端な例だ。プロパガンダやデリケートな内容を、ソーシャルメディアで拡散する手法が注目され、ソーシャルメディア企業に対する世間の目がこの1年で今まで以上に厳しくなったのを反映している。」
(5)「英国では複数の政治家がソーシャルメディア各社について、ヘイトスピーチなどの不快な内容を『恥ずかしいくらい全く』管理できていない、『とんでもない』と厳しく批判している。
(6)「欧州委員会もソーシャルメディアに対し、ヘイト(憎悪)を含む内容を素早く削除するよう求める指針を発表している。」





by asyagi-df-2014 | 2018-01-07 12:25 | 書くことから-ヘイトクライム | Comments(0)

川崎市は2017年11月9日、ヘイトスピーチを事前規制するガイドラインを公表。

 表題について、朝日新聞は2017年11月9日、次のように報じている。


(1)「川崎市は9日、外国人への差別的言動などヘイトスピーチの恐れがある場合に、市の公園などの公的施設の利用を事前に規制できるガイドライン(指針)を公表した。ヘイトスピーチを事前に規制する指針は全国初という。来年3月末までに施行する。」
(2)「指針では、『ヘイトスピーチが行われる恐れが客観的な事実に照らし、具体的にある場合』に、警告や公的施設の使用不許可や条件付きの許可ができるとした。利用を許可した後に、ヘイトスピーチが行われる恐れがあると分かった場合は、許可を取り消せる。」
(3)「施設利用の申請書類ではヘイトスピーチが行われるかが分からなくても、申請者側のそれまでの活動歴や、インターネットでの情報発信などから総合的に判断するという。」
(4)「不許可や許可取り消しの場合は、弁護士らでつくる第三者機関から意見を聴いたうえで結論を出す。憲法が定める『表現の自由』の制約にならないよう、『他の利用者に著しく迷惑を及ぼす危険のあることが、客観的な事実に照らして明白な場合に限る』との要件を盛り込んだ。市民会館での集会を認めなかった大阪府泉佐野市の判断が憲法に違反するかが争われた裁判で、最高裁が1995年に示した判決内容を踏まえた。」


 こうした「ガイドライン」が必要とされる背景についても、次のように指摘している。


(1)「ヘイトスピーチは2013年以降、東京・新大久保や大阪・鶴橋などで激化。川崎市でも公園を利用した集会やデモが繰り返された。16年5月には、外国人への差別的言動の解消をはかるヘイトスピーチ対策法が成立。①命や身体、財産に危害を加えるよう告げる②著しく侮蔑する③地域社会からの排除をあおる――ことなどを『不当な差別的言動』と定めた。」
(2)「川崎市は同月末、排外主義的なデモを繰り返す団体に、市内の公園使用を不許可に。横浜地裁川崎支部も6月初め、デモを禁じる仮処分決定を出していた。」
(3)「今回の指針は、市の案に対して市民からパブリックコメントを募り、一部修正して作成された。一方、大阪市では16年1月、ヘイトスピーチの抑止策をまとめた全国初の条例を成立させ、同年7月から全面施行している。ヘイトスピーチがあったと認定されれば、市は行為者の個人や団体名を公表できる。」


 また、東京新聞は2017年11月10日、このように伝えた。


(1)「市立公園など公的施設でのヘイトスピーチ(憎悪表現)を事前規制するガイドラインを策定した川崎市。来年三月からは、ヘイトスピーチを行う恐れがある場合、市が施設を使わせないようにできる。ヘイト被害を訴えてきた市内の在日コリアンからは歓迎する声が上がる一方で、運用面の課題なども指摘されている。」
(2)「『私たちを被害から事前に守る策を行政機関が持ったことは心強い。大きな一歩だ』。ガイドラインが示された市議会を傍聴した同市川崎区の在日コリアン三世、崔江以子(チェカンイジャ)さん(44)は笑顔を浮かべた。」
(3)「昨年六月施行のヘイトスピーチ対策法は、国や自治体にヘイト根絶に向けた取り組みを求めているが、ヘイトスピーチをした人に対する罰則はない。ここ数年、川崎市内で繰り返されたヘイトスピーチ。今回のガイドラインは、こうした被害を事前に食い止める効力を持っている。」
(4)「対策法ができる前、市内でのヘイトデモの予告を受け、市に施設を貸さないよう要請したが断られた崔さん。『理念法と呼ばれている法律に川崎市が実効性を持たせた』と評価した。」
(5)「ただ、表現の自由との兼ね合いや、『許可』『不許可』をどこで線引きするかなど、運用上の問題も残されている。専修大の山田健太教授(言論法)は『地方自治体でヘイトスピーチ規制に向けた動きが出ているのは良いこと』とした上で、反戦や護憲を掲げる団体への公共施設の使用不許可が相次いでいる問題に触れ『【この団体だからダメ】という外形的理由による一律の禁止は、過度な事前規制につながる恐れがある。非常に慎重な運用が必要だ』という。」
(6)「関西学院大の金明秀(キムミョンスー)教授(社会学)は『対策法に沿って差別の撤廃に取り組む動きは、法の精神を具体化する試みとして評価できる』としながら『巧妙化するヘイトスピーチ、デモにどこまで対応できるか』と指摘する。」
(7)「この日、ガイドラインが示された市議会文教委員会でも▽利用申請当日に施設を貸し出す場合、第三者機関に意見を聞くなどの対応が速やかに取れるか▽民間企業などに管理運営を委託する指定管理者制度を導入している公的施設での責任の所在はどうなるのか-といった問題が突き付けられた。市はガイドラインの周知期間中に対応を考える方針だ。」
(8)「ヘイトスピーチ問題に詳しい前田朗・東京造形大教授(刑事人権論)は『問題点がある場合は、このガイドラインを具体的に議論して改善していけば良いという段階に入った』とみている。」


 確かに、この川崎市のガイドラインは、「対策法に沿って差別の撤廃に取り組む動きは、法の精神を具体化する試みとして評価できる」(関西学院大の金明秀(キムミョンスー)教授)ものである。
 東京新聞の指摘する「表現の自由との兼ね合いや、『許可』『不許可』をどこで線引きするかなど、運用上の問題」や「巧妙化するヘイトスピーチ、デモにどこまで対応できるか」(同上)、といった懸念は、『問題点がある場合は、このガイドラインを具体的に議論して改善していけば良いという段階に入った』(前田朗・東京造形大教授)、との指摘をそのまま受け取ることができるのではないか。


 このことについて、信濃毎日新聞は「ヘイト事前規制 表現の自由踏まえつつ」(2017年11月11日)、河北新報は「ヘイト事前規制/地域が多様性尊重してこそ」(2017年12月5日)、それぞれの社説で論評した。
この二社の社説で、このガイドラインがどのように各地域で捉えられているのかについて紹介する。


Ⅰ.信濃毎日新聞社説の主張


(1)「差別や排外主義をあおる言動を許さない厳しい姿勢を、自治体として明確に示した。表現の自由に十分配慮した上で、差別と排除にどう立ち向かうか。地域、社会で議論し、取り組みを根づかせていく一歩にしたい。」
(2)「集会やデモによる意見表明の自由は、民主主義の土台である。公権力による介入は最大限抑制的でなければならない。とりわけ事前規制には慎重であるべきだ。指針が協議会の報告に沿って、その点を十分考慮したことは評価できる。表現の自由を過度に制約しないよう、利用制限は「極めて例外的な場合」に限ると明記した。不許可、許可取り消しにあたっては、事前に第三者機関の意見を聴き、判断の公平性、透明性を担保するとした。その上でどう実効性を持たせるか。実際に利用を制限する判断は難しさが伴うだろう。個別の事例に丁寧に対応し、前に進めていくほかない。ヘイトスピーチの根絶に向け、他の自治体の先例となる取り組みにつなげたい。」
(3)「あからさまなヘイトスピーチは一時期より減ったものの、なお沈静化してはいない。大阪市が、ヘイトスピーチと認定した団体・個人名を公表する条例を制定するなど、川崎以外でも動きは起きているが、まだ広がりを欠く。」
(4)「差別的な言動がはびこらない社会をどうつくっていくか。国や自治体が責務として取り組むとともに、市民が自ら動き、排外主義を押し返す力を地域社会で高めていくことが欠かせない。」


Ⅱ.河北新報社説の主張


(1)「『不当な差別的な言動を許さない』という揺るぎのない意思の表れだろう。」
(2)「ただ、憲法が保障する表現の自由をむやみに制約してはならないのは当然のこと。手探りの面もあろうが、実績を積み重ねていく中で両立の課題を解決していくべきだ。」
(3)「利用の制限としては、ヘイトスピーチの恐れが『客観的事実に照らして具体的に認められる場合』に警告、条件付き許可、不許可、許可の取り消しにできる、と定めた。
とりわけ不許可と許可取り消しについては、他の利用者に著しく迷惑を及ぼす危険が明白な場合などに限定した。不許可などに至る判断に、公平性、透明性が担保されなければならないのは言うまでもない。専門家による客観的な視点が不可欠だ。市が設置する第三者機関に事前に意見を求めるように、一定の歯止めをかけた点は評価できる。」
(4)「ヘイトスピーチをどう定義するのか。理念法として昨年6月に施行された『ヘイトスピーチ対策法』に基づき、差別的意識を助長し、または誘発する目的を有する-ことなど4要件を挙げている。それでも抽象的な内容であるのは否めない。何らかの物差しが必要ではないか。対策法の基本的な解釈をまとめ、許されない具体例を示した法務省の見解が参考になろう。」
(5)「ガイドラインという規制の手だてができたのは前進と言えるが、直ちにヘイトスピーチが根絶するわけではないのも確かだろう。」
(6)「 少子高齢化が急速に進む日本社会を見れば、労働力としてこれから外国人が増えることがあっても減ることはあり得ない。東北も例外であるまい。コミュニティーが多様性を拒否するのではなく、尊重することが求められる。」




by asyagi-df-2014 | 2017-12-22 07:09 | 書くことから-ヘイトクライム | Comments(0)

在日朝鮮人のフリーライター李信恵さんが「在日特権を許さない市民の会」と桜井誠・前会長に損害賠償を求めていた2審・大阪高裁判決が確定。

 YAHOOニュース(ハフポスト日本版)は2017年11月30日、表題について次のように報じた。


(1)「在日朝鮮人のフリーライター李信恵さんが『民族差別的な発言で名誉を傷つけられた』として、『在日特権を許さない市民の会』(在特会)と桜井誠・前会長に損害賠償を求めていた裁判で、最高裁が上告不受理の決定をしたことがわかった。李さんの代理人弁護士のもとに最高裁から通知が届いた。決定は11月29日付け。李さんが勝訴し、在特会側に77万円の支払いを命じた2審・大阪高裁判決が確定することになる。」(渡辺一樹/ハフポスト日本版)
(2)「2審・大阪高裁判決は、桜井氏が2013~14年にネット放送でした『朝鮮ババア』といった発言を『限度を超える侮辱行為』と認定し、『人種差別と女性差別との複合差別に当たる』と指摘していた。」
(3)「李信恵さんは、ハフポスト日本版の取材に、次のように答えた。:『ほんまはちょっとしんどい時もあったけど、みんながいたから今日の日を迎えることができました。本当に嬉しいです。京都朝鮮学校や徳島県教組の事件で裁判で勝ちを積み重ねてきた方々、それ以前から絶え間なく続いてきた在日やマイノリティたちの闘い、カウンターや支援者のみんな、たくさんの思いが重なり、繋がったからこそ掴み取れた勝利だと思います。代理人の二人にも、心からお礼を云いたいです。みなさま、チョンマルコマッスミダ(本当にありがとうございます)』」




by asyagi-df-2014 | 2017-11-30 20:40 | 書くことから-ヘイトクライム | Comments(0)

「反日勢力と戦う現場へと出撃しましょう」との参加を呼びかけのデモが。

 東京新聞は2017年7月17日、標題について次のように報じた。


(1)川崎市中原区の公園近くの路上で十六日午前、デモ行進があり、それに抗議する人たちも集まって一時騒然となった。排外主義的な言動を繰り返してきた市内の男性がブログでデモを予告し、ヘイトスピーチ(憎悪表現)に反対する人たちがインターネットなどを通じて抗議を呼びかけていた。
(2)デモを予告した男性は、昨年六月に市内で「日本浄化」とうたったデモを計画したが、抗議する人たちが集まり、開始直後に中止した。今回のデモはブログで「反日勢力と戦う現場へと出撃しましょう」などと参加を呼びかけていた。
(3)デモ参加者が撮影した動画によると、十六日のデモでは「デモこそ人権 検閲やめろ」と書かれたプラカードや日の丸が掲げられた。ヘイトスピーチの言動はなかったが、抗議のために近くに集まっていた人たちがデモ参加者を取り囲み、約十分で終わった。神奈川県警は数百人態勢で警戒に当たった。
(4)抗議を呼びかけた市民団体「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」によると、デモに約二十人、抗議に約千人が参加。同団体事務局長の三浦知人(ともひと)さんは「男性はブログで『日本人をみくびるな』などと主張してデモを予告しており、差別感情をあおる目的なのは明らかだ」と話した。
(5)ヘイトスピーチ対策法が昨年六月に施行されたことを受け、川崎市はヘイトの恐れがある場合、公的施設の利用を事前規制する全国初のガイドラインづくりを進めており、今年六月に案を公表した。現在、パブリックコメント(意見公募)を受け付けており、来年三月に施行する予定





by asyagi-df-2014 | 2017-07-19 12:20 | 書くことから-ヘイトクライム | Comments(0)

在特会と桜井誠前会長は、大阪高裁で再び敗訴。

在特会と桜井誠前会長は、大阪高裁で再び敗訴。



 朝日新聞は2017年6月19日、標題について次のように報じた。


(1)「民族差別的な発言で名誉を傷つけられたとして、在日朝鮮人のフリーライター、李信恵(リシネ)さん(45)が『在日特権を許さない市民の会』(在特会)と桜井誠・前会長に計550万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が19日、大阪高裁(池田光宏裁判長)であった。高裁は、在特会側に77万円の支払いを命じた一審・大阪地裁判決を維持した。」
(2)一審では桜井氏が2013~14年にインターネット放送で『朝鮮ババア』と発言したことなどを侮辱と認定。高裁は、発言が李さんの容姿をおとしめていたとも指摘し、新たに『女性差別との複合差別に当たる』と述べた。」
(3)賠償額の増額はなかった。在特会側に加え、李さんも一審判決に一部不服があるとして控訴していた。





by asyagi-df-2014 | 2017-06-25 20:29 | 書くことから-ヘイトクライム | Comments(0)

「ヘイトスピーチ対策法」施行一年を考える。

 2017年6月3日、ヘイトスピーチ対策法が施行されて1年がたった。
このことが日本社会に何をもたらしているのか、もたらしていないのかについて考える。
 毎日新聞は2017年6月4日、「ヘイトスピーチ対策法 1年 デモ一掃、街に平穏 川崎」、と次のように伝えた。


(1)在日コリアン排斥を訴えるヘイトスピーチが繰り返された川崎市の関係者は、対策法の抑止効果を評価するが、一方でかいくぐる手法も出現しており、より効果的な対策が急務となっている。
(2)川崎市は昨年5月、ヘイトスピーチを繰り返した団体の市立公園の利用を不許可とした。市人権施策推進協議会の阿部浩己会長=神奈川大法科大学院教授=は、福田紀彦市長が公園利用を不許可とした背景を「対策法が与えた影響は大きい」と話す。団体は翌6月5日、中原区に場所を移して開始しようとしたが、直後に県警の説得などで)中止した。(3)在日コリアンが多く住む市内の桜本地区でのヘイトデモを禁じる横浜地裁川崎支部の仮処分決定(同6月)も、対策法を根拠とした。桜本地区は仮処分後、平穏を取り戻した。在日コリアン3世の崔江以子(チェカンイジャ)さん(43)は、「『ヘイトデモが来るのでは』との不安がなくなり、安心して暮らせるようになった」と笑う。崔さんの長男(14)も友人から「(デモがなくなり)よかったね」と声をかけられるという。
(4)他方で対策法を意識した動きも出てきた。過去にヘイトスピーチを主催した男性が今年3月に市内で開いた講演では、差別と断定される言葉は口にせず、聴衆からの質問も受けなかった。阿部会長は「実際に発せられた言葉だけでなく、背景なども総合的に勘案し、差別的言動と判断するのが重要」と指摘する。
(5)市は今秋、ヘイトスピーチをする恐れがある個人・団体による公的施設の利用を事前規制するガイドラインを制定する。崔さんは市の姿勢を評価しつつ、「差別そのものを根絶する条例や法律が必要」と強調する。福田市長は、憲法が保障する表現の自由も視野に「時間をかけて、納得できる条例にすべきだ」と述べるなど、条例制定には慎重に対処する姿勢を示している。


 何よりも、「(デモがなくなり)よかったね」との声は、ヘイトスピーチ対策法の成果である。だが、毎日新聞が指摘する、「対策法の抑止効果を評価するが、一方でかいくぐる手法も出現しており、より効果的な対策が急務」ということが今後の大きな課題となっている。
 これに関連して、朝日新聞(2017年6月5日)及び琉球新報(2017年6月4日)の社説は次のように指摘する。


Ⅰ.効果と実態
(朝日新聞)
(1)東京・新大久保や大阪・鶴橋をはじめ、多くの在日コリアンが生活する地域でのデモや街宣行動は減少傾向にある。川崎市や大阪市では、差別をあおるデモを繰り返した団体や個人に、裁判所が一定範囲での活動を禁じる仮処分決定を出した。「不当な差別的言動は許されない」と明記した国の対策法ができた成果だといえよう。
(2)一方、ネットやSNS上では、匿名を隠れみのにした排外的な表現が後を絶たない。大阪のNPO法人・コリアNGOセンターには、今も「絶対に在日朝鮮人を日本から追い出す」と脅すメールが届く。日韓の歴史認識をめぐる摩擦や北朝鮮の核・ミサイル実験が報じられるたび、緊張を強いられる人々がいる。「韓国にお帰りください」といったメッセージが今も届くというフリーライターの李信恵(リシネ)さん(45)は「社会の根っこの偏見や差別意識は変わっていないと感じる。対策法という骨組みはできたが、肉付けはこれからです」と話す。
(琉球新報)
(1)対策法は国外出身者とその子孫への差別を助長する著しい侮辱などを「不当な差別的言動」と定義し「許されない」と宣言した。国や自治体に相談体制の整備や教育、啓発を実施するよう求めている。ただし憲法が保障する表現の自由を侵害する恐れがあるとして、禁止規定や罰則はもうけられていない。
(2)法務省は自治体に対して「○○人は殺せ」「祖国へ帰れ」などの文言や、人をゴキブリなどに例える言動をヘイトスピーチの具体例として提示している。ところがデモをする側が対策法に認定されないよう文言を変えている。福岡市の街頭宣伝ではプラカードの書き込みを「朝鮮人死ね」ではなく「朝鮮死ね」に変えたり、叫ぶ言葉も「日本海にたたき込め」ではなく「日本海に入ってください」に変えたりしている。憎悪表現による攻撃をしていることに変わりない。法逃れだけ進んで、こうした街宣が続くとしたら、標的にされる人々はこれからも傷つき、恐怖を抱き続けるだろう。
(3)一部の自治体では抑止条例制定の動きがみられる。公的施設でのヘイト禁止を明記するなどの対策に乗り出すところもある。その一方で、ほとんどの自治体は対策法で努力義務となっている相談窓口の整備を既存の制度活用にとどめている。対策が進んでいるとは言い難い。
(4)法務省によると、2016年に全国の法務局が救済手続きを始めたインターネット上の人権侵害は1909件(前年比10%増)で、過去最多となった。デモは半減したが、ネット空間での差別が横行している状況を放置するわけにはいかない。
(5)沖縄では米軍基地建設に反対する人々に対して、ヘイトスピーチとしか言いようがない攻撃も相次いでいる。米軍北部訓練場のヘリパッド建設現場では大阪府の機動隊員が反対運動をしている市民に「土人」と発言した。東京のローカルテレビ局の東京メトロポリタンテレビジョンはヘリパッド建設に反対する市民を「テロリスト」に例える番組を放映した。デモやネットだけでなく、公共放送や警察官までもがヘイトスピーチに手を染めている。極めて深刻な状況だ。


Ⅱ.問題点の指摘
(朝日新聞)
(1)対策法に罰則はもうけられていない。一方で同法は自治体に対し、相談窓口を置くことや人権教育の充実、啓発活動などの施策を、地域の実情に応じて講じるよう求めている。しかし集会を事前規制するガイドラインや、条例づくりの動きがあるのは川崎市、名古屋市、神戸市などひと握りだ。自治体を後押しするためにも、国は定期的に実態調査し、手立てを示してほしい。居住地によって泣き寝入りを余儀なくされる人をうんではならない。
(2)全国で初めてヘイトスピーチ抑止条例をつくった大阪市は今月、在日コリアンに「ゴキブリ」「殺せ、殺せ」などと発言するデモの動画を「ヘイト」と認定し、内容や日時などを公表した。条例では投稿者の実名を公表できるが、動画投稿サイトの運営会社の協力が得られず、ネット上の呼称を公表した。今後、市は投稿者の実名を把握するために条例の改正も検討するという。実効ある抑止に向けた先行自治体の模索を、他の自治体も参考にしてほしい。
(琉球新報)
(1)警察庁によると、差別をあおるなどの右派系市民グループによるデモは、昨年6月3日の施行から今年4月末までに35件を確認し、前年同期の61件からおよそ半数近くに減った。一定の効果が出ているとも映るが、デモは続いている。対策法の限界を指摘する声もあり、さまざまな施策を進める必要がある。


 どうやら、ヘイトスピーチ対策法が施行されて1年がたった日本の姿は、「法務省によると、2016年に全国の法務局が救済手続きを始めたインターネット上の人権侵害は1909件(前年比10%増)で、過去最多となった。デモは半減したが、ネット空間での差別が横行している状況を放置するわけにはいかない。」(琉球新報)、「デモやネットだけでなく、公共放送や警察官までもがヘイトスピーチに手を染めている。極めて深刻な状況だ。」(琉球新報)、というものでしかない。
 やはり、必要なことは、「対策法施行から1年がたち、課題も見えてきた。民族、出自、障がいなど全ての差別を網羅する差別禁止法制定の必要性を指摘する声もある。包括的な法整備の検討も含め、今後議論を深めたい。(琉球新報)」という地平の確立である。
 当然そこには、「大切なのは一人ひとりが、同様の言動を受けたらどんな風に感じるか、想像することだ。家庭や学校、職場で、社会的少数者の尊厳を傷つける言動を許さないという意思を共有したい。(朝日新聞)」、ということが前提になる。




by asyagi-df-2014 | 2017-06-07 06:58 | 書くことから-ヘイトクライム | Comments(0)

大阪地裁は、改めて禁止を求めるとともに、実施した場合、仮処分申請をしたNPOに1日当たり60万円の支払いを命じる決定。

 朝日新聞は2017年3月4日、標題について次のように報じた。


(1)大阪市生野区内で「ヘイトスピーチ」のデモを禁じる仮処分決定を受けた大阪府内の団体メンバーの男性に対し、大阪地裁は改めて禁止を求めるとともに、実施した場合、仮処分申請をしたNPOに1日当たり60万円の支払いを命じる決定を2日付で出した。
(2)NPOは在日コリアンの人権擁護活動をしている「コリアNGOセンター」(大阪市生野区)。男性がデモを昨年12月29日に実施すると予告したため、差し止めを求めて申し立て、大阪地裁は同月20日、センターの半径600メートル以内での侮辱や名誉毀損(きそん)行為を禁じる仮処分決定を出していた。
(3)センター代理人の林範夫弁護士は「仮処分決定が出たにもかかわらず、本人が年末年始に何度も対象地域周辺に来たため、申し立てた。今回の決定により、鶴橋周辺では事実上、ヘイトスピーチをさせない抑止的な効果があると思う。もし、ヘイトをやろうとする者がいれば、我々はまた同じような申し立てをする」と話した。
(4)センターは、男性が昨年のデモなどを実施した場合は1日につき100万円を支払うよう求める間接強制の申し立てを出していた。


 2016年12月20日のことについては、毎日新聞が次のように報告していた。


(1)在日コリアンへの差別や排除をあおるヘイトスピーチを巡り、大阪地裁(森純子裁判長)は20日、大阪市生野区でデモを主催した大阪府内の男性に対し、同区のNPO法人の事務所から半径600メートル以内でのデモを禁止する仮処分決定を出した。法人が13日に仮処分を申し立てていた。禁止圏内には、JR鶴橋駅や在日コリアンが多く暮らすコリアタウンが含まれる。
(2)法人は民族教育などを進める「コリアNGOセンター」(生野区桃谷3)。法人によると、ヘイトスピーチ対策法が成立した今年5月以降、同種の仮処分決定は、6月の横浜地裁川崎支部に続き全国で2例目。
(3)申立書によると、「在日特権を許さない市民の会」元幹部の男性がネット上で、今月29日に鶴橋駅周辺で「防犯パトロール」と称したヘイトスピーチデモを行うと予告した。 法人は大阪市が国内で最も多くの在日コリアンが暮らす自治体だとしたうえで、「出自を理由に差別されない権利の保護は極めて重要」と主張。デモは人格権を侵害するとして差し止めを求めた。
(3)大阪市では7月、ヘイトスピーチをした団体などの公表を盛り込んだ全国初の条例が施行されたが、対策法と同様、事前規制や罰則の規定はない。 法人の郭辰雄代表理事は「今回の司法判断は画期的で、ヘイトスピーチ防止に大きな弾みがつく」。元幹部の男性は「今回の活動は防犯パトロール。ヘイトスピーチには当たらない」とコメントした。



 ヘイトスピーチ対策法は、残念ながら事前規制や罰則の規定はない。しかし、このような積み重ねで、「ヘイトスピーチをさせない抑止的な効果」を発揮していくことが、現状では重要である。





by asyagi-df-2014 | 2017-03-04 12:01 | 書くことから-ヘイトクライム | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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