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「もんじゅ」、30年に及ぶ廃炉作業にはいる。

 表題について、朝日新聞(以下、「朝日」)は2018年8月30日、次のように報じた。


(1)「廃炉が決まった高速増殖原型炉『もんじゅ』(福井県敦賀市)で30日、炉内外にある核燃料を取り出す作業が始まった。準備段階で機器のトラブルが相次ぎ、当初の7月開始予定から1カ月遅れで、30年に及ぶ本格的な廃炉作業に入った。」
(2)「作業開始前、運営主体の日本原子力研究開発機構の児玉敏雄理事長が職員らに訓示し、『安全、着実に進めることが信頼につながることを常に意識し、気を引き締めて取り組んでほしい』と呼びかけた。」
(3)「作業は午前10時半に始まった。原子力規制委員会が認可した廃炉計画では、2022年度までに原子炉と貯蔵槽で冷却材のナトリウムに漬かっている計530体の核燃料を洗浄し、水の入ったプールに移す。取り出した燃料の処分方法は決まっていない。全ての廃炉作業が完了するのは47年度末になる予定だ。」
(八百板一平)


 また、「朝日」は2018年8月31日、「もんじゅ廃炉 長く険しい道を着実に」、と社説で論評した。
この文殊廃炉をどのように捉えるのか。
「朝日」の社説で考える。
「朝日」の指摘は次のものである。


(1)「日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅで、核燃料の取り出しが始まった。これから30年にわたる廃炉作業の本格的な一歩である。長く険しい道のりを、着実に進んでいかねばならない。」

(2)廃炉の作業は、燃料を取り出しつつナトリウムを抜き、機器類を撤去した後、建物を解体するという流れで進む。高速炉の廃炉は海外でも米英仏などで10例ほどしかない。慎重に作業を進めてもらいたい。」
(3)「プルトニウムは原爆の材料にもなる。核拡散の面で不要な懸念をもたれぬよう、燃料の取り出しに当たっては、国際原子力機関(IAEA)との情報共有を心がけることが大切だ。」
(4)「計画では22年度までに、炉心と炉外貯蔵槽に残る530体の燃料をナトリウムの中から取り出して洗浄し、水を張ったプールに移すことになっている。ナトリウムは不透明で、取り出す際、中の燃料を目視することはできない。もんじゅでプールまで移した燃料は過去に2体だけで、作業の経験者は10人ほどだという。8年前の試験運転では、燃料交換装置が炉内に落下するトラブルがあった。今回も各種の装置の不具合が相次ぎ、7月下旬の予定だった作業開始が1カ月も遅れた。今後も念には念を入れた点検が欠かせない。」
(5)「燃料の取り出し以外も気を抜けない。ナトリウムは水や空気に触れると激しく反応する性質があり、95年のナトリウム漏れの際には火災が起きた。放射能を帯びたナトリウムは、特に慎重に扱う必要がある。」
(6)「原子力機構は過去にさまざまなトラブルを起こし、安全意識の低さや気の緩みが批判されてきた。もんじゅと同時に東海再処理施設の廃止作業も70年かけて進める。長い期間、緊張感と士気を保たねばならない。」
(7)「もんじゅにはすでに1兆1千億円が投入され、廃炉には少なくとも3750億円がかかる。これらの大部分は税金だ。トラブルやミスで廃炉費用が大きく膨らむようでは困る。」
(8)「普通の原発の廃炉と同様の難問が待ち受けていることも忘れてはならない。取り出した燃料やナトリウム、解体で出てくる各種の放射性廃棄物の処分法はまだと決まっていない。政府は問題を先送りにせず、解決に取り組むべきである。」


 確かに、「もんじゅ」の廃炉作業には、次の問題が横たわっている。


Ⅰ.日本原子力研究開発機構がこれから30年にわたる廃炉作業(燃料の取り出しや放射能を帯びたナトリウムの処理など)を果たして担えるという疑問が拭えない。したがって、このことをきちっと確認する国側の監視システムが必要であること。
Ⅱ.現場の材料になるプルトニウムの管理について、国際原子力機関(IAEA)との情報共有が必要であること。
Ⅲ.取り出した燃料やナトリウム及び各種の放射性廃棄物の処分方法が決定されていない中での作業開始であり、大きな難題を未解決のままであること。
Ⅳ.廃炉費用は国民の税金で賄われること。このため、廃炉費用が膨らまないように、日本原子力研究開発機構と国の責任を明確にすること。




by asyagi-df-2014 | 2018-09-09 15:10 | 書くことから-原発 | Comments(0)

電力会社十社は、MOX燃料を再処理するための費用の計上を、二〇一六年度以降中止していた。

 東京新聞は2018年9月3日、表題について次のように報じた。


(1)「通常の原発でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマルを巡り、原発を持つ電力会社十社が、一度使ったMOX燃料を再処理して再び燃料として利用するための費用の計上を、二〇一六年度以降中止していたことが二日、分かった。政府は核燃料サイクル政策の一環としてMOX燃料を再利用する方針を掲げていたが、電力各社が費用計上をやめたことで資金面での根拠を失い、事実上、MOX再処理の断念となる。」
(2)「MOX再処理には新たな再処理工場の建設が必要で、巨額の費用がかかることが断念の理由とみられる。政府は七月に閣議決定したエネルギー基本計画で、使用済みMOX燃料の『処理・処分の方策を検討』と明記、初めて廃棄物として処分する選択肢にも言及した。MOX再処理ができなくなれば、核燃料の再利用は一度のみとなり、核燃料サイクルの意義は大きく崩れることになる。」
(3)「プルサーマルは、再稼働した関西電力高浜原発や四国電力伊方原発、九州電力玄海原発で実施中。政府と電力会社は国内外に保有する余剰プルトニウム削減のため、今後も順次プルサーマルの原発を増やしたい考えだが、使い終わったMOX燃料は再処理されないため、全て廃棄物となる恐れが出てきた。」
(4)「電力会社が出資する日本原燃は、青森県六ケ所村で使用済み燃料の再処理工場とMOX燃料の加工工場の建設を進めているが、総事業費は約十六兆円と巨額で操業延期も続く。MOX再処理には新たに『第二再処理工場』を造らなければならないが、さらなる費用確保は困難な情勢だ。」
(5)「これまで電力会社は再処理に関する費用を、通常の核燃料とMOX燃料に分けて将来の支払いに備える引当金や積立金の形で準備。十社は使用済みMOX燃料再処理のため一六年三月末時点で引当金計約二千三百億円を計上していた。一方、政府は一六年、新たに認可法人「使用済燃料再処理機構」を設立。通常の核燃料もMOX燃料も区別せず、原発で使った分に応じて機構に拠出金を支払う形になった。」


 確かに確認しました。
電力各社が、MOX再処理を断念したことを。




by asyagi-df-2014 | 2018-09-03 20:38 | 書くことから-原発 | Comments(0)

やはり、「3.11」を出発点に。~京都新聞20180826~

「日本には原発を動かす条件も環境も整っていない。そう考えざるを得ない。」、と京都新聞は主張する。
 どういうことなのか。
 京都新聞(以下、「京都」)は2018年8月26日、「原発事故の賠償  リスクの放置は無責任だ」、とその社説で論評した。
「京都」の主張は次のものである。


(1)「政府は原発事故に備えた原子力損害賠償法に基づく賠償金を現行の1200億円に据え置く方針を決めた。」
(2)「東京電力福島第1原発の事故の賠償金は、今年7月時点で8兆円を超えている。同法で定めた民間保険や政府補償による賠償上限を引き上げる必要性は以前から指摘されていた。政府の専門委員会は当然、引き上げで同意する方向だった。しかし、電力会社と政府の双方が引き上げに後ろ向きで、結果的に見送りとなった。」
(3)「万が一への備えが不十分なまま、原発の再稼働が進んでいくことになる。『原発のコスト』などの著書で知られる龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)は『無保険で車を運転しているような状態』と指摘する。」
(4)「賠法は、民間保険と政府補償契約で賠償額を充当する仕組みで、賠償額の増額は電力会社の負担になる。電力会社は電気代値上げにつながるとして難色を示し、賠償額を増やすなら国が手当てしてほしいと要求した。電力自由化で競争が激化しているうえ、原発再稼働のための安全対策に費用がかかっているためという。原発の運転にお金がかかるから、万が一の事故に備えた賠償金を十分用意できない、というわけだ。それなら原発から撤退すればよい。税金をあてにするなど、論外ではないか。」
(5)「国も世論の反発を恐れ、財政出動による政府補償の増額を拒んだ。
 電力会社が十分な補償を用意して原発を運転しているかどうかを監督するのが、本来の国の役割ではないのか。「再稼働ありき」だから電力会社の言い分を聞くしかない、というなら極めて無責任である。」
(6)「『原発は比較的安価なエネルギー』。国と電力会社はこう繰り返しているが、万が一の事故に十分に備えれば、割が合わないのは明らかだ。」


 「京都」の次の指摘は、実に重たい。


(1)「今月10日、中国電力が建設中の島根原発3号機の新規稼働に向けて原子力委員会に審査を申請した。2011年の東日本大震災当時に建設中だった原発が審査を申請するのは2例目になる。」
(2)「島根3号機は、事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型原子炉(改良型)である。中国電が3号機の稼働を目指す背景には、電力自由化による競争の激化がある。中国地方には新電力や関西電力が進出している。関電のように原発を再稼働させ、火力発電向け燃料負担を軽減し、増益を狙いたいというわけだ。」
(3)「こうした経営方針は、関電や九州電力、四国電力にも共通する。電力会社の表面的な経営改善のために、本来負うべきリスクへの対応が放置されたまま再稼働が進んでいる。」
(4)「米国のニューヨーク州は昨年、原発1基の廃止を決めた。都心部から80キロ圏内にあり、事故時の避難や補償が不可能だからだ。福島の教訓を生かした判断である。本来、日本がとるべき道ではないだろうか。」


 確かに、「京都」の「万が一への備えが不十分なまま、原発の再稼働が進んでいくことになる。『原発のコスト』などの著書で知られる龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)は『無保険で車を運転しているような状態』と指摘する。」、との指摘は、言いえて妙である。
 「原発の運転にお金がかかるから、万が一の事故に備えた賠償金を十分用意できない、というわけだ。それなら原発から撤退すればよい。税金をあてにするなど、論外ではないか。」(「京都」)、「電力会社が十分な補償を用意して原発を運転しているかどうかを監督するのが、本来の国の役割ではないのか。「再稼働ありき」だから電力会社の言い分を聞くしかない、というなら極めて無責任である。」(「京都」)、もまた。
 まさしく、「京都」の「米国のニューヨーク州は昨年、原発1基の廃止を決めた。都心部から80キロ圏内にあり、事故時の避難や補償が不可能だからだ。福島の教訓を生かした判断である。本来、日本がとるべき道ではないだろうか。」、との指摘こそ日本が生かされる道である。




by asyagi-df-2014 | 2018-09-02 08:18 | 書くことから-原発 | Comments(0)

もう一度じっくり考えよう。~高知新聞20180708~

 高知新聞(以下、「高知」。)は2018年7月8日、「【大飯原発訴訟】気になる司法判断の流れ」、と社説を掲げた。
 どういうことなのか。
 「高知」は、指摘する。


(1)「原発は安全といえるのか―。東京電力福島第1原発事故を受け、問われ続けるこの問題にまた一つ、司法の判断が加わった。」
(2) 関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁金沢支部は、差し止めを認めた一審の福井地裁判決(2014年)を取り消した。住民らが逆転敗訴した。
(3)「差し止め訴訟は仮処分の申し立てと異なり、確定するまで効力を持たない。大飯3、4号機はことし3~5月に再稼働しており、控訴審判決は事実上、これにお墨付きを与えたことになる」。
(4)「判決で注目すべきは『2基の危険性は社会通念上無視し得る程度にまで管理・統制されている」と認めた点だ。住民らの生命と生活を守る人格権を侵害する「具体的危険性はない」と言い切った。


 この中で、「高知」は、この判決を次のように切る。


(1)「判決で注目すべきは『2基の危険性は社会通念上無視し得る程度にまで管理・統制されている』と認めた点だ。住民らの生命と生活を守る人格権を侵害する『具体的危険性はない』と言い切った。一審とあまりに対照的だ。」
(2)福井地裁判決は、『よって立つ』指針として人格権を挙げた。福島の事故のような被害を招く『具体的危険性が万が一でもあるのかが判断の対象』と位置付け、原子炉規制法などに『左右されない]とした。その上で、関電が策定した大飯原発の基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)を上回る地震発生の可能性などに言及。大飯原発の安全性を
『楽観的』『脆弱(ぜいじゃく)』と批判した。」
(3)「福島事故で原発の『安全神話』は崩壊した。『想定外』におびえる住民に寄り添った判決といってよい。これに対し二審は、関電側の主張を全面的に採用した形だ。」
(4)「原子力規制委員会の新規制基準は最新の科学的、専門的知見を反映したもので、その基準と規制委による大飯3、4号機の適合判断はいずれも不合理な点はない、とした。
 最高裁は、1992年の四国電力伊方原発を巡る判決で、判断は『行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきだ』との見解を示している。」
(5)「名古屋高裁支部もこの枠組みを踏襲したといえよう。福島事故の後、全国で相次ぐ原発の運転差し止めを巡る多くの司法判断も同様の流れにある。」
(6)「訴訟の控訴審判決は今回が初めてで、係争中の同様の訴訟に与える影響は少なくあるまい。規制委の前委員長は新規制基準が『絶対安全とは申し上げない』と発言したが、司法が新規制基準を重視する流れが加速する可能性がある。」
⑦「『今回の判決は原発の廃止・禁止にも触れている。』判断は司法の役割を超え、国民世論として幅広く論議され、立法府や行政府の政治的な判断に委ねられる」とした。司法の立ち位置の強調にも、議論の呼び掛けにも聞こえるが、原発の危険回避には廃止を急ぐことが最善ではないのか。」
⑧「国際的には再生可能エネルギーが重視される方向にあるが、日本政府は原発回帰が鮮明だ。司法判断の流れも気になる。原発をどうするのか国民的論議が不足している。」


 当然、「原発の危険回避には廃止を急ぐことが最善ではないのか。」(「高知」)、ということになる。
ただし、やはり、大きく論議をしようではないか。




by asyagi-df-2014 | 2018-07-16 05:32 | 書くことから-原発 | Comments(0)

「3.11」を出発点に。再稼働の『同意権』の広がり。社説、論説から。~朝日新聞20180403~

 愛媛新聞は2018年4月3日、「原発稼働同意 『茨城方式』足がかりに」、とその社説で論評した。
 どのようなことを言っているのか。
実は、朝日新聞は、「日本原子力発電(原電)の東海第二原発の再稼働をめぐり、茨城県や立地自治体の東海村に加え、水戸市など周辺5市の事前了解も必要とする安全協定が、原電との間で結ばれた。」ことに関して、「原発の周辺市町村は、立地自治体と同様にリスクを背負うのに、再稼働の是非について権限がない。今の地元同意手続きが抱えるそんな欠陥を正すうえで、大きな一歩である。」、と結論づけている。
 朝日新聞は、次のようにその理由を示す。


(1)「再稼働に対する事実上の『同意権』が周辺市町村に広がることになる。このことが、電力会社が関係自治体と結ぶ安全協定に明記されるのは、全国で初めてだ。」
(2)「原電は東海第二の再稼働に向けた準備を進めている。事故に備える避難計画の策定を義務づけられる30キロ圏の人口は、全国の原発で最多の約100万。計画づくりが難航している自治体が多く、住民の不安も根強い。30キロ圏にある5市は、東海村と同じような同意権を原電に求めてきた。」
(3)「今回の新協定には、東海村や周辺5市との事前協議により『実質的に事前了解を得る仕組みとする』との文言が盛り込まれた。民主的な合意を得るうえで、前進と言える。ただ協定には、6市村の中で意見が食い違った場合にどうするかなど、あいまいな部分も残る。関係する全自治体が納得するまで徹底的に協議するなど、住民の安全を最優先に考えて運用してほしい。」
(4)「同意権が道県や立地市町村に限られることに対しては、関西や九州など各地の自治体から異論が相次いでいる。事故のリスクや避難対策の負担を引き受けさせられる周辺自治体が、再稼働手続きに関与したいと考えるのは、当然のことだ。」
(5)「電力大手各社は再稼働のハードルが上がるのを嫌う。だが地元の信頼を得たいのなら、消極的な姿勢を改め、同意権の対象拡大に応じなければならない。」


 朝日新聞は、最後に、次のようにまとめる。

(1)「安全協定に基づく今の同意手続きは、法的な根拠を持たず、住民の安全に対する責任をあいまいにしている面がある。政府は『電力会社と自治体の問題で、関与する立場にない』というが、傍観者のような振る舞いは無責任ではないか。国が主導して、同意ルールの法制化を検討するべきだ。」
(2)「今回は県と、立地する東海村、周辺5市が協力し、原電を動かした。原発をめぐっては、立地自治体と周辺自治体の間で溝が生じている地域も目立つ。その解消のため、道や県が果たせる役割は大きい。『茨城方式』を全国に広げたい。」


 確かに、『同意権』については、次のことがいえる。


Ⅰ.電力会社は、消極的な姿勢を改め、同意権の対象拡大に応じなければならない。
Ⅱ.日本政府は、自らが主導して、同意ルールの法制化を検討しなければならない。




by asyagi-df-2014 | 2018-04-15 14:12 | 書くことから-原発 | Comments(0)

玄海原発が再稼働されたことを受けて。(2)

 表題について、東京新聞は2018年3月24日、「玄海原発再稼働 全島避難はできるのか」、と論評した。
 東京新聞は、玄海原発再稼働を「九州電力玄海原発が再稼働した。関西電力大飯原発に続く矢継ぎ早の再稼働。噴火や避難に対する住民の不安はやはり、置き去りにしたままだ。誰のために急ぐのか。電気は足りているというのに。」、と批判する。
 東京新聞は、問題点を次のように指摘する。


(1)「原発は、南北に長い日本列島に広く分布する。地勢や気象の条件も、立地によって大きく異なり、住民の不安のありようも、さまざまだ。」
(2)「玄海原発では、阿蘇カルデラの噴火リスクが、重大な不安要因として挙げられる。カルデラとは火山活動でできた巨大な窪地(くぼち)。破局的な噴火を起こす恐れが指摘されている。」


 この指摘について、東京新聞は次のように続ける。


(1)「九州、山口五県の住民が『阿蘇山噴火の火砕流による重大事故の危険がある』として、玄海原発再稼働の差し止めを求めた仮処分申請を、佐賀地裁は二十日、『原発の運用期間中に破局的噴火を起こす恐れは極めて小さい』とする九電側の主張をいれて却下した。」
(2)「昨年末、広島高裁は『百三十キロ離れた原発に到達する恐れがある』として、愛媛県にある四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを命じている。」
(3)「楽観論に対しては『巨大噴火の時期や規模は予測不可能』とする地震学者の意見も根強く、原子力規制委員会の『火山影響審査』のあり方を疑問視する声もある。」


 こうした状況を、東京新聞は、「関西電力大飯原発は十四日、地震の揺れの強さの『過小評価』を懸念する専門家の声を考慮せず、再稼働に踏み切った。拙速の構図は同じである。」、とする。


 東京新聞は、「安全神話」の復活 と今回の玄海原発の再稼働については、次のように結論づける。


(1)「避難計画の実効性は、すべての原発に共通する課題である。その上、玄海原発は『離島リスク』を抱えている。玄海原発三十キロ圏には本土との間に橋のない十七の離島があり、一万九千人が暮らしている。もしもの時には、空路や海路に頼るしかない。荒天の場合はどうするか。放射線防護が付いた屋内避難施設も、『完備』というにはほど遠い。」
(2)「長崎県壱岐市は、島全体が四十キロ圏内に含まれる。」
(3)「福島原発事故の教訓に従えば、二万七千島民全員の島外避難が必要になる。そんなことができるのか。」
(4)「これでも九電側は避難計画の現状を『地域の実情を踏まえた詳細なもの』と主張し、規制委も司法も、これを受け入れた。「安全神話」が復活したというしかない。」
(5)「少なくとも、噴火リスクと離島リスクを払拭(ふっしょく)できない限り、玄海原発は動かせないはずなのだが。」


 確かに、「長崎県壱岐市は、島全体が四十キロ圏内に含まれる。福島原発事故の教訓に従えば、二万七千島民全員の島外避難が必要になる。そんなことができるのか。」、という事実は、火山問題とともに、「噴火リスクと離島リスクを払拭(ふっしょく)できない限り、玄海原発は動かせない。」、ということなのだ。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-30 06:52 | 書くことから-原発 | Comments(0)

漁協祝島支店は、上関原子力発電所建設に伴う漁業補償金をめぐり、原発関連の補償金配分案を再び拒否。

 朝日新聞は2018年3月28日、表題について次のように報じた。


(1)「上関原子力発電所建設に伴う漁業補償金をめぐり、県漁業協同組合は27日、祝島支店(上関町)の組合員を集めた総会部会を柳井市内で開いた。補償金の配分基準案が提案され、27対23で否決。2015年4月の部会に続き、組合員は補償金の受け取りを拒む姿勢を示した。」
(2)「部会は午前9時に始まった。支店への補償金約10億8千万円について、県漁協側が各漁師への配分基準案を説明し、採決した。県漁協によると、正組合員51人のうち議長を除く50人が投票し、4票差で否決した。」
(3)「すべて非公開で、会場の外では数人の警備員が待機し、周囲にはフェンスが張り巡らされた。原発建設に反対する島民や市民らが集まり、結果を待った。部会が終わり、准組合員として出席していた『「上関原発を建てさせない祝島島民の会』の清水敏保代表が「否決されました」と報告すると拍手がわいた。原発反対派で祝島支店の運営委員長を務める岡本正昭さん(68)は『主張が通って安心している。自分は3代続く漁師。絶対に海を売ってはいけない。これからも拒否の意志を堅く持ち頑張っていく』と話した。配分案に賛成する男性組合員(81)は『残念だ』と述べた。」
(4)「県漁協の村田則嗣常勤監事は『正規の意思決定の場での議決は尊重しなければならない』と話した。」
(5)「祝島支店への漁業補償金の分配をめぐっては、13年に受け取りが可決されたものの、15年には配分基準案が否決された。」
(尾崎希海)




by asyagi-df-2014 | 2018-03-29 12:37 | 書くことから-原発 | Comments(0)

玄海原発が再稼働されたことを受けて。(1)

 西日本新聞は2018年3月20日、運転差し止めの仮処分申し立ての佐賀地裁の判決について、次のように報じていた。


「九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の運転差し止めを周辺住民ら73人が求めた仮処分申し立てについて、佐賀地裁(立川毅裁判長)は20日、『新規制基準の合理性に疑いはなく、玄海原発が新基準に適合するとした原子力規制委員会の判断に看過しがたい欠落はない』として住民側の申し立てを却下した。九電は23日にも3号機の再稼働に踏み切る見通し。住民側は決定を不服とし福岡高裁に即時抗告する方針。」


 また、西日本新聞は、次のように解説していた。


(1)「原発の運転差し止めを巡っては、2011年の東京電力福島第1原発事故以降、全国で裁判が相次いだ。昨年12月には広島高裁が四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について、約130キロ離れた阿蘇カルデラ(熊本県)の危険性を理由に、高裁レベルで初めて運転差し止めを決定。玄海原発も阿蘇カルデラからほぼ同じ距離にあるため、同地裁の判断が注目された。」
(3)「地裁決定では、九州全域に火砕流が及ぶような阿蘇カルデラの破局的噴火について『少なくとも地下10キロより浅くに破局的噴火を起こすような大規模なマグマだまりはないと確認されている」として危険性を否定。広島高裁決定と同様に新規制基準の安全対策指針『火山影響評価ガイド』を厳格に運用すれば、危険が認められるとの住民側の主張を退けた。
(4)争点となった避難計画についても『(国の)原子力防災会議で合理的と了承され、九電が今後も実効性の向上に努めるとしており、不適切とは言えない』と判断。『避難計画の作成範囲を30キロ圏内に限るのは実効性はない』という住民側の主張は認めなかった。」
(5)「福島事故後に原子力規制委員会が策定した新規制基準については『福島事故を受けて調査分析され、現在の科学技術水準を踏まえて策定された』として合理性を認めた。立川裁判長は昨年6月、玄海3、4号機の再稼働を巡り、別の住民団体による運転差し止めの仮処分申し立ても却下していた。」


 こうした状況の中で、九州電力は、2018年3月23日の午前、玄海原発3号機(出力118万キロワット)を再稼働させた。
 この玄海3号機の稼働は定期検査で運転を停止した2010年12月以来、約7年3カ月ぶりである。
西日本新聞は、2018年3月23日朝、「玄海原発再稼働 安全対策に終わりはない」、と社説で論評した。
この、再稼働を西日本新聞社の社説で考える。
西日本新聞社は、この再稼働が、「東京電力福島第1原発事故後に作られた原子力規制委員会の新規制基準下での再稼働は5原発7基目となる。九電管内では川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機に続き3基目だ。」、と説明するとともに、「住民の懸念や不安を解消するためにも、九電は正確で迅速な情報公開に努め、安全性を最優先する姿勢を忘れないでもらいたい。」、と指摘する。


 また、次のように問題点をあげる。


(1)「佐賀県と立地自治体の玄海町から同意を得たとはいえ、周辺自治体や住民の懸念は根強い。地元範囲をどう設定すべきか。合意手続きは現状のままでいいのか。積み残された課題は少なくない。」
(2)「避難計画の実効性を高めることも玄海原発では大きな課題になっている。緊急防護措置区域の半径30キロ圏内に福岡、長崎両県を含む3県8市町が入り、有人離島は国内の原発では最多の20に上る。避難計画の対象は計26万人を超す。
(3)「避難計画の策定は基本的に自治体任せになっているのが現状だ。海路に頼る離島住民の迅速な避難など訓練で浮かんだ具体的な課題の解決を急ぎたい。隣接県との広域的な調整も含めて国がもっと積極的に関わるべきではないか。」


 あわせて、広島高裁の判決との整合性についても指摘する。


「原発を巡っては、広島高裁が昨年12月、熊本県の阿蘇カルデラの噴火リスクを理由に四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)3号機の運転差し止めを命じた。一方、阿蘇からの距離が伊方とほぼ同じ約130キロの玄海3、4号機については、佐賀地裁がリスクを認めず、運転差し止めの仮処分申し立てを却下した。相反する裁判所の決定をどう受け止めるべきなのか。


 西日本新聞は社説の最後を、九州電力の玄海原発の再稼働に対して、「私たちは東日本大震災で想定外の災害が起こり得ることを思い知らされた。その教訓を生かすためにも、原発の安全性追求には終わりがないことを再認識したい。幾つもの重い宿題を抱えて、玄海原発は再稼働する。国や電力会社は、あの『3・11』で原発の『安全神話』とは決別したことを改めて肝に銘じ、不断の安全対策に取り組むよう求めたい。」、と結ぶ。


 確かに、『3.11』は、原発の「安全神話」に決別をしたはずだったのだ。
今、このことを忘れるわけにはいかない。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-24 08:48 | 書くことから-原発 | Comments(0)

広島高裁は、四国電力伊方原発3号機の運転禁止を命じた高裁決定に対しての四国電側の仮処分の執行停止の申し立てを却下。

 毎日新聞は2018年3月22日、表題について次のように報じた。


(1)「四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを命じた昨年12月の広島高裁の仮処分決定について、同高裁は22日、四電による執行停止の申し立てを却下した。三木昌之裁判長は『差し止め命令を取り消す明らかな事情があるとはいえない』と理由を述べた。」
(2)「高裁決定は9月末までの運転差し止めを求めており、異議審で判断が覆らない限り、期間中の再稼働は不可能になった。異議審は4月23日に第1回審尋が行われる予定で、三木裁判長が担当する。」
(3)「四電は『認められなかったことは残念。異議審で早期に命令を取り消していただけるよう主張・立証に全力を尽くす』とのコメントを発表した。住民側の原告団は『予想通りの内容でとりあえず安堵(あんど)している』としている。」
(4)「高裁決定は原発から130キロ離れた熊本県・阿蘇カルデラの破局的噴火で火砕流が到達する可能性を指摘し、立地不適と判断。運転差し止めを命じた。差し止め期間は、別の訴訟で異なる判断が出る可能性を挙げ、9月末までとした。」
【東久保逸夫】




by asyagi-df-2014 | 2018-03-23 12:34 | 書くことから-原発 | Comments(0)

佐賀地裁は、「玄海原発が新基準に適合するとした原子力規制委員会の判断に看過しがたい欠落はない」、と住民側の申し立てを却下する。

 西日本新聞は2018年3月19日、表題について次のように報じた。


(1)「九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の運転差し止めを周辺住民ら73人が求めた仮処分申し立てについて、佐賀地裁(立川毅裁判長)は20日、『新規制基準の合理性に疑いはなく、玄海原発が新基準に適合するとした原子力規制委員会の判断に看過しがたい欠落はない』として住民側の申し立てを却下した。九電は23日にも3号機の再稼働に踏み切る見通し。住民側は決定を不服とし福岡高裁に即時抗告する方針。
(2)「原発の運転差し止めを巡っては、2011年の東京電力福島第1原発事故以降、全国で裁判が相次いだ。昨年12月には広島高裁が四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について、約130キロ離れた阿蘇カルデラ(熊本県)の危険性を理由に、高裁レベルで初めて運転差し止めを決定。玄海原発も阿蘇カルデラからほぼ同じ距離にあるため、同地裁の判断が注目された。」
(3)「地裁決定では、九州全域に火砕流が及ぶような阿蘇カルデラの破局的噴火について『少なくとも地下10キロより浅くに破局的噴火を起こすような大規模なマグマだまりはないと確認されている」として危険性を否定。広島高裁決定と同様に新規制基準の安全対策指針『火山影響評価ガイド』を厳格に運用すれば、危険が認められるとの住民側の主張を退けた。
(4)争点となった避難計画についても『(国の)原子力防災会議で合理的と了承され、九電が今後も実効性の向上に努めるとしており、不適切とは言えない』と判断。『避難計画の作成範囲を30キロ圏内に限るのは実効性はない』という住民側の主張は認めなかった。」
(5)「福島事故後に原子力規制委員会が策定した新規制基準については『福島事故を受けて調査分析され、現在の科学技術水準を踏まえて策定された』として合理性を認めた。立川裁判長は昨年6月、玄海3、4号機の再稼働を巡り、別の住民団体による運転差し止めの仮処分申し立ても却下していた。」




by asyagi-df-2014 | 2018-03-21 20:36 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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