カテゴリ:書くことから-原発( 317 )

原発処理水は「放出のほか選択肢ない」、と次の一手を打つ。

 辞める大臣に言わせてみせる。官房長官は、一応否定してみせる。そして、次は・・・。
シナリオは決まっているんだろう。
東京新聞は2019年9月10日、表題について次のように報じた。


(1)東京電力福島第一原発で増え続ける汚染水を浄化した後の処理水に関し、原田義昭環境相=写真=は十日の記者会見で「所管外ではあるが、思い切って放出して希釈する他に選択肢はない」と述べた。海洋放出計画の有無に懸念を示す韓国政府に、日本政府は「処分方法は未定」と回答しており、現職閣僚の原田氏の発言は議論を呼ぶ可能性もある。
(2)内閣改造を前に、就任約一年間の仕事を振り返った感想として答えた。第一原発敷地内に立ち並ぶ処理水保管タンクを視察したことや、原子力規制委員会が海洋放出案を支持している点を理由に挙げた。
(3)複数の処分計画案を検討してきた政府小委員会では八月、長期保管の可否についても本格的な議論が始まった。福島県の漁業関係者らは風評被害を心配し海洋放出に反対している。
(4)放出の影響に関し原田氏は、韓国を念頭に「国によっては意見が出ると思うが、誠意を尽くして説明することが何よりも大切だ」と話した。




by asyagi-df-2014 | 2019-09-11 12:19 | 書くことから-原発 | Comments(0)

福島第一原発は津波が来る前に壊れていた。

 MSNニュ-スが2019年8月13日、文春オンラインの「『福島第一原発は津波が来る前に壊れていた』元東電社員“炉心専門家”が決意の実名告発」を流した。
これは、次の内容である。


(1)福島第一原発事故から8年。
(2)大事故を受けて、一時は「稼働中の原発はゼロ」という状態にもなったが、新しい安全基準(「新規制基準」)が定められ、現在、国内で7基の原発が稼働中だ(玄海原発4号機、川内原発1・2号機、大飯原発4号機、高浜原発3・4号機、伊方原発3号機)。
(3)2013年に定められた「新規制基準」について、電気事業連合会はこう説明している。
「東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故では地震の後に襲来した津波の影響により、非常用ディーゼル発電機・配電盤・バッテリーなど重要な設備が被害を受け、非常用を含めたすべての電源が使用できなくなり、原子炉を冷却する機能を喪失しました。この結果、炉心溶融とそれに続く水素爆発による原子炉建屋の破損などにつながり、環境への重大な放射性物質の放出に至りました。こうした事故の検証を通じて得られた教訓が、新規制基準に反映されています」
(4)要するに、「津波で電源を喪失し、冷却機能を失ってメルトダウンが起こり、重大事故が発生した」ということだ。この点に関して、津波の規模が「予見可能だったか、想定外だったか」という議論がなされてきた。しかし双方とも「津波が事故原因」という点では一致し、多くの国民もそう理解している。
(5)ところが、「津波が原因」ではなかったのだ。
(6)福島第一原発は、津波の襲来前に、地震動で壊れたのであって、事故原因は「津波」ではなく「地震」だった――“執念”とも言える莫大な労力を費やして、そのことを明らかにしたのは、元東電「炉心専門家」の木村俊雄氏(55)だ。
(7)木村氏は、東電学園高校を卒業後、1983年に東電に入社、最初の配属先が福島第一原発だった。新潟原子力建設所、柏崎刈羽原発を経て、1989年から再び福島第一原発へ。2000年に退社するまで、燃料管理班として原子炉の設計・管理業務を担当してきた“炉心屋”である。東電社内でも数少ない炉心のエキスパートだった木村氏は、東電に未公開だった「炉心流量(炉心内の水の流れ)」に関するデータの開示を求め、膨大な関連データや資料を読み込み、事故原因は「津波」ではなく「地震」だったことを突き止めた。
(8)「津波が来る前から、福島第一原発は危機的状況に陥っていた」。「事故を受けて、『国会事故調』『政府事故調』『民間事故調』『東電事故調』と4つもの事故調査委員会が設置され、それぞれ報告書を出しましたが、いずれも『事故原因の究明』として不十分なものでした。メルトダウンのような事故を検証するには、『炉心の状態』を示すデータが不可欠となるのに、4つの事故調は、いずれもこうしたデータにもとづいた検証を行っていないのです。ただ、それもそのはず。そもそも東電が調査委員会に、そうしたデータを開示していなかったからです。そこで私は東電にデータの開示を求めました。これを分析して、驚きました。実は『津波』が来る前からすでに、『地震動』により福島第一原発の原子炉は危機的状況に陥っていたことが分かったのです」
(9)7基もの原発が稼働中の現在、このことは重大な意味をもつ。「津波が原因」なら、「津波対策を施せば、安全に再稼働できる」ことになるが、そうではないのだ。
(10)木村俊雄氏が事故原因を徹底究明した「福島第一原発は津波の前に壊れた」の全文は、「文藝春秋」9月号 に掲載されている。


 まずは、「文藝春秋」9月号をの購入してみるか。




by asyagi-df-2014 | 2019-08-15 12:33 | 書くことから-原発 | Comments(0)

「東京電力福島第一原発の汚染水対策が難航している。」、と朝日新聞。

 朝日新聞は2019年7月28日、表題について次のように報じた。


「東京電力福島第一原発の汚染水対策が難航している。原子炉建屋などの地下にたまる高濃度汚染水はなお約1万8千トン。計画通りに減らせていない場所もある。安倍晋三首相は2013年9月の東京五輪招致演説で「状況はコントロールされている」と言い切ったが、開幕まで1年を切った今も、現場は汚染水を制御しきれていない。」、と朝日新聞(以下、「朝日」)の記事は、確かに、この国の危うさを突く。
 したがって、「見通しが立っているのか、お手上げなのか、示して欲しい」(「朝日」)との原子力規制委員会側の発言報道は、本音を表している。
 「朝日」は、次のように指摘する。
(1)廃炉の進捗(しんちょく)を監視する原子力規制委員会の6月の検討会で、伴信彦委員は東電の担当者にいらだちをぶつけた。3号機の原子炉建屋地下階の一部エリアで計画通り水位が下がらない状態が2カ月も続いているのに、原因についてあいまいな説明に終始したからだ。
(2)建屋地下の高濃度汚染水は、福島第一が抱える汚染水リスクの「本丸」だ。1~3号機の溶融燃料を冷やした水に、建屋の割れ目などから流入する地下水が加わって生まれる。放射性物質の濃度は、タンクに保管されている処理済み汚染水の約1億倍。事故直後には、地下の坑道を伝って海へ漏れ、魚介類から基準値を超える放射性物質が検出される事態を招いた。
(3)100万トン以上に増えたタンクの汚染水も、もとは建屋地下からくみ上げたもの。この「おおもと」をなくさない限り汚染水対策は終わらない。
(4)事故当初、1~4号機の原子炉建屋とタービン建屋の地下にたまっていたのは約10万トン。東電は、井戸から地下水をくみ上げたり、建屋の周りの土壌を凍らせる「凍土壁」をつくったりして地下水の流入を減らしながら、地下の汚染水の水位を徐々に下げてきた。事故から8年が過ぎた今、1万8千トンに。20年度中に6千トンに減らし、最下階の床をほぼ露出させる目標だ。
(5)ただ、思うようには進まない。検討会で規制委から「持ち帰って検討しますでは、また1カ月が無駄になる」と追及されることもあった。3号機の問題の区画も、溶融燃料を冷やす水が流れ込んでいることはわかったが、そこだけ水位が下がらない理由が不明だ。
(6)建屋内の水位が高いままだと、周囲の地下水の水位を下げたとき割れ目などから汚染水が地中へ漏れ出す恐れがあるため、作業全体が滞ってしまう。その後、東電は実際に作業員を現場に向かわせ調査したが、理由は特定できなかった。


 また、「朝日」は、東京電力の津波対策の遅れについても追求する。


(1)「おおもと」を減らす作業と並行して、規制委は津波対策も求めている。再び巨大津波に襲われると、引き波で地下の高濃度汚染水を海へもっていかれるおそれがあるからだ。国の地震調査研究推進本部が17年、北海道沖の千島海溝で東日本大震災級の地震が切迫している可能性が高いとの見解を公表するなど、警戒を緩められない状況にある。
(2)だが、この対策も遅れがちだ。原発事故の影響で密閉できなくなった扉など、津波時に汚染水の流出ルートになりうる開口部を約50カ所閉じる工事は21年度末までかかる見込み。千島海溝の巨大地震の津波も防げる防潮堤の増設は20年度上半期までかかるという。


 さらに、「朝日」は指摘を続ける。


(1)「コントロール」発言があった13年9月当時は、タンクにためていた高濃度汚染水があちこちで漏れて海へ流れたり、地中にしみこんだ汚染水が地下水と混ざって港湾内へ流れ込んだりしていた。政府は「港湾外の海水の放射性物質濃度は検出できないほど低くなっており、全体として状況はコントロールされている」と説明してきた。
(2)その後、岸壁に鉄板を打ち込むなどの対策が進み、海への汚染水流出はほぼ止まったとされる。ただ、建屋の表面や地表に残る放射性物質が雨水とともに海に流れ込むのは防ぎきれていない。東電は、16年度に排水路を通じて1日平均約1億ベクレルの放射性セシウムが流出していたと試算している。
(3)一方、筑波大の青山道夫客員教授(地球化学)が、東電が公表している原発周辺の海水に含まれる放射性物質のデータをもとに、同時期に原発から海へ流出した放射性セシウムの量を試算すると、1日あたり約20億ベクレルと出た。魚介類に影響が出るようなレベルではないものの、「東電が把握しているルート以外にも流出経路があると考えないと説明できない。しっかり調査すべきだ」と指摘する。
(4)東電は「計算の仕方が違っており、単純に比較できない。海水の放射性物質の濃度は大きく変動しておらず、新たな流出はないと考えている」と説明する。
(5)安倍首相は五輪招致にからみ、「汚染水による影響は、港湾内の0・3平方キロの範囲内で完全にブロックされている」とも述べた。東電は「放射性物質が外に漏れるのを完全に遮っているわけではない。少なくとも近海で放射性物質の濃度が上昇しているとは認められない」としている。
(杉本崇、今直也)


 最後に、「朝日」は、現状の危うさを批判する。


(1)福島第一原発事故は、発生直後から汚染水との格闘の連続だった。電源復旧作業に向かった作業員が足を水につからせ被曝(ひばく)。海への流出元の特定に時間がかかったうえ、高濃度汚染水の保管場所を確保するため、比較的低濃度の汚染水を意図的に海に放出し、海外から批判を浴びた。
(2)いくらくみ出しても、地下水が流入して追いつかない。状況把握は後手に回り、場当たり的な対応を繰り返した。タンクからの水漏れなどトラブルも相次いだ。
(3)「コントロール」発言があったのは、まだまだ混乱の渦中と言うべき時期だった。国際社会の懸念を払拭(ふっしょく)する目的だったとしても、歯切れの良い言い切りは、現場の実態とかけ離れていたあれから6年。当時に比べれば対策は進み、高濃度汚染水の量も減ったとはいえ、封じ込めができていない状況に変わりはない。
(4)農林水産省によると、原発事故を理由とする水産物の輸入規制は22カ国・地域で続いている。事故を起こした国に対する海外の視線はいまだ厳しい。
(5)東京五輪が近づくなか、何かのトラブルで汚染水がまた海に漏れ出すことがあれば、日本の国際的な信用は大きく傷つくだろう。潜在的なリスクから目をそむけてはならない。(編集委員・佐々木英輔)



 確かに、「朝日」は、ことの問題点を改めて指摘してくれる。
 一つには、安倍晋三政権の「『コントロール』発言があったのは、まだまだ混乱の渦中と言うべき時期だった。国際社会の懸念を払拭(ふっしょく)する目的だったとしても、歯切れの良い言い切りは、現場の実態とかけ離れていたあれから6年。当時に比べれば対策は進み、高濃度汚染水の量も減ったとはいえ、封じ込めができていない状況に変わりはない。」(「朝日」)、ということ。
 二つ目には、例え臨まない五輪だとしても「東京五輪が近づくなか、何かのトラブルで汚染水がまた海に漏れ出すことがあれば、日本の国際的な信用は大きく傷つく」、ということ。
 そして、このことが示しているのは、リスクが厳然と存在していること。



by asyagi-df-2014 | 2019-07-31 07:26 | 書くことから-原発 | Comments(0)

東京電力は、福島第二廃炉の完了が40年以上かかるとが知事に伝える。

 原子力発電所の問題がより明確になる。
 朝日新聞は2019年7月24日、「福島第一原発事故から8年4カ月、ようやく地元が求めていた福島県内の原発全10基の廃炉が実現に向かうが、課題が残る。」、と表題について次のように報じた。


(1)東京電力ホールディングス(HD)の小早川智明社長は24日、福島県庁を訪れ、内堀雅雄知事らと会談し、福島第二原発(富岡町、楢葉町)の全4基を廃炉する方針を正式に伝えた。廃炉は1基あたり30年ほどかかり、4基すべてが完了するまで40年超かかるとの見通しも示した。早ければ月末に開く東電HDの取締役会で正式に決める。
(2)福島第一原発事故から8年4カ月、ようやく地元が求めていた福島県内の原発全10基の廃炉が実現に向かうが、課題が残る。
(3)小早川社長は会談で「全号機かつ4基の廃炉は例がなく、また並行して福島第一の廃炉作業を安全かつ着実に進める必要があり時間を要したが、検討におおむねめどが立った」と述べた。内堀知事は「重く受け止めている。県内原発の全基廃炉実現に向けての大切な一歩だ」と評価した。
(4)福島第二の4基は各110万キロワットで、福島第一と同じ沸騰水型炉。1982~87年に運転を始めた。2011年の東日本大震災では津波で3基が原子炉の冷却機能を失ったが、過酷事故は免れ、その後はずっと運転を停止している。東電は4基の廃炉費用を計約2800億円と見込む。
(5)小早川社長は、廃炉を円滑に進めるため、原発のプールにある約1万体の使用済み核燃料を、空冷で保管する乾式貯蔵施設を敷地内に設けて移す方針を示し、知事らに理解と協力を求めた。知事らの回答を待ち、取締役会で廃炉を正式決定する。小早川社長は、乾式貯蔵施設で一時保管する使用済み燃料は廃炉が終わるまでに、県外に全量搬出する方針も示したが、搬出先は「検討中」とした。内堀知事は県外への全量搬出を求めている。
(6)福島第二の廃炉が決まれば、東電が所有する原発は、建設中の東通原発(青森県)を除き、柏崎刈羽原発(新潟県)の7基だけとなる。東電は、柏崎刈羽の再稼働を経営再建の最大の柱と位置づけるが、新潟県の花角英世知事が是非を判断するのは22年夏前までずれこむとみられる。地元の桜井雅浩柏崎市長は6、7号機の再稼働に同意する条件として1~5号機の廃炉計画づくりを求めている。6月18日の地震直後に、一部設備に異常があると柏崎刈羽から誤った情報が発信され、桜井市長は計画づくりの回答の受け取りを拒否し、再稼働は見通せない。
(7)東日本大震災以降、全国で21基が廃炉となり、再稼働した9基の2倍に上る。政府がエネルギー基本計画で掲げる30年度に総電力量に占める原発比率を20~22%にするとの目標はますます非現実的になっている。(桜井林太郎、伊藤弘毅)
(8)第二原発の廃炉方針が正式に伝えられ、地元の富岡、楢葉両町が関心を寄せるのは、原発立地に伴う交付金がどうなるか、だ。両町には電源三法に基づく電源立地地域対策交付金が支払われている。今年度はそれぞれ約10億円。第二原発は東日本大震災で停止中だが、稼働しているとみなされている。楢葉町ではこの交付金が歳入の約1割を占める。廃炉が決まると、翌年度から電源立地交付金はなくなり、廃炉が決まった他の原発と同じく、「廃炉交付金」が出るが、金額は段階的に減り、10年間でゼロになる仕組みだ。
(9)2015年9月に避難指示が解除された楢葉町は住民票を登録している6881人のうち町内に住んでいるのは55%。17年4月に大部分が解除され、1万2910人が住民登録している富岡町は8%にとどまる。この日の会談後、松本幸英楢葉町長は「(帰還を進めるには)住民サービスのレベルを上げないといけない。電源立地交付金に代わりうるものを国に要望している」、宮本皓一富岡町長も「電源立地交付金がそのままなくなれば、町が立ちゆかなくなる」と述べた。
(10)第二原発の廃炉が決まっても、本格的な解体作業が始まるのは10年以上先とみられ、1日平均4千人が働く第一原発の廃炉への影響は当面なさそうだ。地元には第二原発の廃炉作業が動き出し、再び多くの作業員が働けば、地域の活性化につながるとの期待もある。ただ、富岡町の女性(56)は避難先で「住民の帰還はあまり見込めず、廃炉が決まっても町の形は描けていない」と心配する。
(関根慎一、床並浩一、石塚広志)




by asyagi-df-2014 | 2019-07-25 12:26 | 書くことから-原発 | Comments(0)

「原子力規制委員会の検討チームが、原発の耐震対策に欠かせない計算方法の見直し案をまとめた。」とのこと。

 「自然災害やテロは、対策が整うのを待ってはくれない。」から「原発耐震対策 最新知見を早く生かせ」まで、朝日新聞(以下。「朝日」)の社説は、怠惰な人間に気付きをもたらしてくれる。
今回の「朝日」の「福島の事故を繰り返してはならない、という反省が制度の原点である。電力各社は適切に対応しなければならない。」、との指摘は次のものである。


(1)原発の安全対策は、最新の科学的な知見に基づいていなければならない。この大原則にのっとった当然の手続きである。原子力規制委員会の検討チームが、原発の耐震対策に欠かせない計算方法の見直し案をまとめた。近く正式決定し、電力各社に指示を出す。
(2)今回の見直しは、再稼働したものを含め、新規制基準を満たした原発にも適用される。最新の知見をもとに規制が見直された場合、既存の原発にも対策を義務づける「バックフィット制度」に基づくものだ。
(3)全国の原発の耐震対策は、想定される最大の地震の揺れが前提となっている。これを基準地震動といい、原発ごとに(1)海溝型地震や原発周辺の活断層による地震(2)全国どこでも起こりうる「震源を特定できない地震」を想定して定めている。
(4)今回、検討チームが見直したのは(2)の揺れの計算方法だ。現在の方法は過去1回の地震データしか生かしておらず、事例を増やして計算の信頼度を上げることが懸案となっていた。新たな計算方法は、00~17年に起きた89回の地震の観測記録を分析してまとめた。今後、電力各社は地盤の状況などを加味し、原発ごとに基準地震動を計算し直すことになる。


 「朝日」は、この見直しによって、「再計算の結果、耐震性が不足していると評価されれば、対策工事の追加が必要だ。すでに運転中の5原発では、九州電力の川内原発(鹿児島県)や玄海原発(佐賀県)、四国電力の伊方原発(愛媛県)などに影響する可能性がある。」、と指摘するのである。


 「朝日」は、最後に、このように指摘する。


(1)これまでも新たな知見に応じて見直された規制が、バックフィット制度によって全国の原発の安全対策に反映されてきた。火災や火山噴火、警報なしの津波など案件は10例を超える。
(2)規制委は、対策が終わるまで運転停止を命じることもできるが、実際に止めた例はない。影響の大小や追加工事の時間などをもとに猶予期間を設け、運転の継続を認めてきたのだ。
(3)原発を止めたくない事業者にとって、猶予期間は長いほど都合がいい。たとえば4月、航空機テロ対策の追加工事が遅れたため、電力会社は5年間の猶予期間を延ばすよう求めた。
(4)この要望を規制委は却下し、来年の春以降、工事が終わっていない原発は止まる。運転継続ありきで、安全がおろそかになっては困る。今後も規制委は猶予期間を必要最小限にとどめ、厳格に運用するべきだ。


 確かに、今後の動きに注視する必要がある。



by asyagi-df-2014 | 2019-07-25 05:43 | 書くことから-原発 | Comments(0)

福岡地裁は原告側の請求を棄却。原子力規制委員会の設置変更許可は新規制基準を満たすのか。

 朝日新聞は2019年6月17日、表題について次のように報じた。


(1)九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)が新規制基準を満たすとした原子力規制委員会の設置変更許可について、鹿児島県の住民ら33人が取り消しを求めた行政訴訟の判決が17日、福岡地裁であった。倉沢守春裁判長は原告側の請求を棄却した。
(2)争点は火山に関する規制委の安全審査の内規(火山影響評価ガイド)の合理性や、巨大な噴火が起きた際の影響の評価などだった。
(3)判決は、火山ガイドについて、「火山活動の可能性の有無や程度を正確に評価する前提となる知見が確立していない疑いがあり、不合理な点が無いと立証されたかは疑いが残る」と指摘。しかし、「合理的に予測される範囲を超える危険性については、発生の可能性が相応の根拠で示されない限り、対策を講じなくても社会的に容認されている」と判断した。
(4)過去に川内原発周辺で起きた破局的噴火については「現在の科学で予知することは不可能で、影響は著しく重大」としつつも、「極めて低頻度の自然災害の危険性は、発生の可能性が相応の根拠で示されない限り、自然災害として想定されなくても不合理とは言えない」と指摘。「破局的噴火は原子炉等規制法の想定する自然災害に含まれず、火山ガイドが不合理とはいえない」と結論付けた。
(5)また、判決は東京電力福島第一原発事故の影響を踏まえ、原告適格があるのは「原発からおおむね250キロ内の住民」と指摘。東京などに在住する原告については、訴えを却下した。
(一條優太)




by asyagi-df-2014 | 2019-06-18 11:49 | 書くことから-原発 | Comments(0)

経団連の電力政策についての提言とは。

 経団連が電力政策についての提言をまとめた。
 このことに関連して、朝日新聞(以下、「朝日」)は2019年4月10日、「経団連と原発 異論に向き合い議論を」、と社説で論評した。
 「朝日」の見解を次のものである。


(1)経団連が電力政策についての提言をまとめた。内容は多岐にわたり、再生可能エネルギーの拡大に必要な送電線網の整備や、老朽化が進む発電所への投資促進など、方向性はうなずけるものもある。
(2)しかし原発については疑問が多い。脱炭素化をめざす上で「不可欠なエネルギー源」と原発を位置づけ、運転期間の大幅延長の検討や新増設を進める方針の明示を、政府に求めた。


 「朝日」は、この原発についての疑問を次のように指摘する。


(1)原子力への逆風が国内外で強まっている現実を、踏まえるべきではないか。福島第一原発の事故以降、世論調査で原発に否定的な意見が多数を占めている。安全対策費用の上昇で、政府や電力業界が長年強調してきた原発の経済性は低下した。高レベル放射性廃棄物の処分地の検討も、依然進まない。
(2)提言では、こうした状況にどう対処するのか、具体的な言及は乏しい。解決の道筋を示さぬまま、原発の必要性を訴えるだけでは、説得力を欠く。
(3)化石燃料を使う火力発電に電力の8割を頼る現状への批判を強調し、原発推進の根拠とする一方で、多くの温室効果ガスを出す石炭火力の問題をほぼ素通りしている点も、ちぐはぐだ。日ごろ、炭素税などのカーボンプライシングに反対していることと合わせ、温暖化問題での経団連の姿勢は、目先の利害にとらわれすぎていないだろうか。


 「朝日」は、経団連提言と経団連の姿勢そのものについてへの指摘をさらに続ける。


(1)ほかに提言で目を引くのは、「社会全体が電力問題を自分ごとと捉え、国民的な議論が行われることが期待される」という記述だ。もっともなことだが、実際の動きを見ると、「言行不一致」と言わざるを得ない。
(2)経団連の中西宏明会長は最近、原発に理解が広がらない現状について「議論が不足している」と述べ、幅広い層を巻き込んだ議論を訴えている。ところが、脱原発と再エネ推進の政策提言をしている民間団体から公開討論を申し込まれると、「エモーショナル(感情的)な反対をする人たちと議論しても意味がない」と拒否した。
(3)エネルギー問題は複雑で、意見が分かれるテーマが多い。中でも原発をめぐっては、推進・反対派の双方とも内輪で固まる傾向が強く、建設的な政策論議はなかなか深まらない。状況を打開したいのなら、経団連が異論にも正面から向き合い、さまざまな専門家や市民らとの対話に踏み出すべきだ。原発を手がける日立製作所の経営者でもある中西会長こそ、その先頭に立ってもらいたい。


 「朝日」は、最後を、「開かれた話し合いは、論点や課題、それぞれの主張の長所や弱点を見えやすくする。社会に広く受け入れられる解決策を練り上げる、一歩となるはずだ。」、とまとめる。


 もちろん、日本の電力政策についての議論の根本には、やはり、「3.11」を置くことが必要であり、日本の基本政策がこのことから離れことは間違っている。




by asyagi-df-2014 | 2019-04-16 08:28 | 書くことから-原発 | Comments(0)

「裁判所は『社会通念』を重視する決定を出しているが、国民の思いとは大きく異なる。」、と大分合同新聞は主張。

 大分合同新聞(以下合同)は2019年3月16日、「『司法は住民を切り捨てた』―。四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転禁止を求める仮処分申請を却下した15日の山口地裁岩国支部決定に対し、住民側弁護団は『無責任だ』と怒りをあらわにした。」、
と伊方原発の仮処分却下の判断に、住民の怒りの声を対置させた。
また、合同はこの怒りの意味を、「伊方原発の仮処分却下 社会通念は安全神話か」、とその論説で論評した。
まず合同は、次のように抑える。


(1)福島第1原発の事故発生から8年が経過した。原発の稼働停止を求める住民側の訴えに対し、裁判所は原発の危険性について「社会通念」の判断から稼働を認めることが多い。老朽原発の運転延長なども含め、原発事故の風化さえ感じられる。
(2)四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを山口県内の住民3人が求めた仮処分申請について、山口地裁岩国支部は15日、却下する決定をした。


 次に、合同は、何が争点だったのか、司法の判断の問題について、次のように指摘する。。


(1)同支部で最大の争点になったのは、原発沖の活断層リスクをどう評価するかだった。
(2)審尋で住民側は小松正幸・愛媛大学元学長(地質学)の見解を基に、「伊予灘沖約8キロにある活断層帯は、中央構造線の本体ではない。本体はもっと原発に近く、地震を引き起こす可能性がある」と指摘した。
(3)原発が立地する際、場所を決めてから活断層などの調査を電力会社側がする。当然、立地を難しくする調査結果については慎重な姿勢になりがちだ。
(4)鈴木康弘・名古屋大学教授は著書「原発と活断層」で「最大の問題は、調査を全て電力会社に委ね、政府が責任を負わない点にある。活断層調査は、調査位置が数メートルずれただけで誤った結論を招く恐れもある」「“安全審査の手引”など策定中の議論で、従来の活断層認定には問題が多く、活断層が見落とされている事実に向き合わざるをえなくなった」と指摘する。
(5)2017年末、広島高裁は阿蘇山の巨大噴火リスクを理由に伊方原発3号機の運転を禁じる決定を出した。阿蘇カルデラは伊方原発から130キロに位置し、約9万年前に大爆発を起こしている。広島地裁で18年8月にあった仮処分申請の審尋で、火山学の専門家は「阿蘇からの火砕流は伊方に到達したと考えられる」と警告した。しかし、同年9月の異議審決定で広島高裁は「社会通念上、リスクは無視できる」と稼働を容認。山口地裁岩国支部も「巨大噴火の発生頻度は著しく小さく、(原発)運用期間中に巨大噴火が発生する具体的根拠があるといえない場合、社会通念上容認できる水準以下と評価できる」と同様の判断だった。


 特に、合同は、この間重要な争点となってきた「社会通念」のことについて、次のように明確に批判する。


(1)福島第1原発事故は、想定を上回る津波が発生することが指摘されていたのに、先送りしたことが取り返しのつかない大惨事につながった。
(2)日本世論調査会が実施した防災世論調査で、福島第1原発事故のような深刻な原発事故が起こる可能性について「心配が残る」と答えた人は86%にも達した。
(3)裁判所は「社会通念」を重視する決定を出しているが、国民の思いとは大きく異なる。過去起きたか、あるいは可能性がある最大規模の地震や火山噴火を検討材料から外しては、福島第1原発事故の要因ともなった“安全神話”になりかねない。可能性のある地震や火山噴火をクリアできない原発は廃止すべきだろう。


 ここで、こんなことを書くのは、相応しくないのだが、今回の合同の原発問題について論説は、私自身の合同への偏見を払拭する。
 確かに、「裁判所は『社会通念』を重視する決定を出しているが、国民の思いとは大きく異なる。過去起きたか、あるいは可能性がある最大規模の地震や火山噴火を検討材料から外しては、福島第1原発事故の要因ともなった“安全神話”になりかねない。可能性のある地震や火山噴火をクリアできない原発は廃止すべきだろう。」(合同再掲)に、繋がる。




by asyagi-df-2014 | 2019-03-22 07:07 | 書くことから-原発 | Comments(0)

「3.11」をあらためて。(3)

 「3.11」をあらためて捉え直す時。
 日本という国が、果てしなく壊れているとの実感の中にいる。
 「3.11」は、実は次への未来の基底として位置づけるということではなかったのか。
それは、「3.11」が次への新しい取り組みの始まりとすることができなくなっているということである、「3.11」そのものが歪められてしまったということでもある。
「3.11」をあらためて、中心に据えて捉え直すために。

 ここでは、とっかかりとして東京新聞、毎日新聞及び朝日新聞の2019年3月10日付けの社説で考えてみる。
今回は、朝日新聞(以下、「朝日」)の「原発被害からの復興 福島の『いま』と向き合う」との社説から。
「朝日」は、「3.11」の意味の一つを、「東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故から8年。福島県で今も、人々の心に影を落とすのは、放射能をめぐる「風評」と「風化」の問題だ。」、と評する。
 また、このことについて、「原発周辺は住民の帰還が進まず、難しい課題を抱える一方、それ以外の多くの地域では、放射線量が平常の水準に下がっている。食品の安全対策も効果をあげている。だが県外を中心に、汚染の被害や健康への悪影響についての誤解、全体的に不安な印象などは消えていない。福島の現状は十分知られておらず、むしろ見聞きすることは減りつつある。」、とする。


 「朝日」は、「『風評』『風化』の悩み」について、続ける。


(1)地元では苦悩や葛藤が続く。
(2)例えば、原発の敷地にたまり続ける低濃度の汚染水をどうするのか。県産米の「全量全袋検査」をどう縮小していくか。汚染水問題で政府は、浄化処理して海に流す案を有力視する。だが、風評被害を心配する漁業団体や住民らが反発し、解決の糸口は見えない。
(3)風評は現実に復興の足かせとなっている。県内の農業産出額は事故前の9割にとどまる。観光業もまだ回復途上だ。福島産の農作物や魚は、厳しい検査で安全を確かめて流通している。米は15年産以降、「基準値超えゼロ」が続く。それでも、買い控えは解消していない。消費者庁の先月の調査では、放射性物質を理由に福島産の購入をためらう人は約13%。食品検査のことを知らない人は、約45%にのぼった。
(4)問題の根っこには、放射線についての知識や関心、「安心」の感覚は、人によって違いが大きいという実情がある。「福島への関心が時間とともに薄れる中、何となく悪いイメージがうっすら固定化した人は、かなり分厚く存在するのではないか」。放射能と食の問題に詳しい社会学者、五十嵐泰正・筑波大准教授は、こうみる。


 この上で、「朝日」は、「問題を克服するには」、と書き込む。


(1)風評を乗り越えるには、いくつものハードルがある。
(2)行政や関係業界は、放射線の科学的知識や安全対策の発信を続けている。事実を広めるアプローチは大切だ。しかし、それだけでは限界がある。放射能を特段、意識しない多くの消費者に福島産を買ってもらうには、まず売り場に置かれる必要がある。流通業者には商品を正当に評価する姿勢が望まれる。供給側が「おいしさ」などの魅力を磨き、イメージを高めることも欠かせない。ただ、漠然と不安を抱いたり、放射線のリスクに敏感で意識的に福島を避けたりする人もいる。福島の生産者側との間に溝やあつれきもみられる。
(3)事故の後、原発や放射線対策にかかわる行政や専門家への不信が社会に広がった。8年を経ても、放射能や風評がからむ課題について冷静に議論し、広く納得をえられる解決策を探る素地は整っていない。
(4)船に乗って、福島第一原発の沖で魚を釣る。放射性物質の濃度を測り、結果を公表する。福島県いわき市の地域活動家、小松理虔(りけん)さん(39)は、こんな取り組みを5年前から続けてきた。調査は約30回を重ね、数百人が「呉越同舟」した。放射能が気になる市民、行政や専門家、脱原発や復興支援の活動家……。そこで、人の心を動かす力に気づいたという。
(5)放射能が「何となく不安」な人にも、体験とデータが重なって納得感が生まれ、「何となく安心」に変わっていく。一緒に釣りをすると、立場を超えてみながよく笑う。小松さんが心がけるのは、楽しさを前面に出して興味をひくことだ。「当事者を限定せず、多くの人に福島にかかわってもらうことが、風評や風化にあらがう力になる。共通の体験は、『分断』を乗り越えるきっかけにもなりうると思う」
(6)事故の被害をめぐっては、「放射能が心配/気にしない」のほかにも、「避難を続ける/地元に戻る」「原発はなくすべき/必要」など、多くの分断の軸が交錯する。ネット上では激しい攻撃の言葉が飛び交う。多くの人にとって「ややこしそうな」テーマとなり、日常の中で話題にしにくい空気は地元にもある。


 こうして、朝日新聞は、次のように投げかける。


(1)この状況は、数十年かかる廃炉などの後始末や、住民が散り散りになった地域社会の再生をいっそう困難にしている。だが、原発推進の国策の末にもたらされた苦しみを取り除くのは、社会全体に課せられた重大な責任である。福島にどう向き合うか、問われ続ける。
(2)まずは等身大の姿を知り、情報やイメージを更新する。そして、こじれた状況を一つひとつときほぐし、人々がそれぞれの考えを尊重しながら建設的に語り合える環境を取り戻す。福島が開かれた復興の道のりを歩めるよう、世の中のスイッチを入れ直したい。


 確かに、「3.11」の意味を問うことは、常に「風評」との闘いを必然にする。
 では、どうしたら。
「まずは等身大の姿を知り、情報やイメージを更新する。」(「朝日」)、とは重要な指摘ではある。




by asyagi-df-2014 | 2019-03-17 07:37 | 書くことから-原発 | Comments(0)

「3.11」をあらためて。(2)

 「3.11」をあらためて捉え直す時。
 日本という国が、果てしなく壊れているとの実感の中にいる。
 「3.11」は、実は次への未来の基底として位置づけるということではなかったのか。
それは、「3.11」が次への新しい取り組みの始まりとすることができなくなっているということである、「3.11」そのものが歪められてしまったということでもある。
「3.11」をあらためて、中心に据えて捉え直すために。

 ここでは、とっかかりとして東京新聞、毎日新聞及び朝日新聞の2019年3月10日付けの社説で考えてみる。
今回は、毎日新聞(以下、「毎日」)の「過酷事故8年の原発 政策転換はもはや必然」との社説から。
「毎日」は、「原発の未来には持続可能性はない」、と評する理由を次のように示す。


(1)世界を震撼(しんかん)させた原発過酷事故から8年。東京電力福島第1原発の構内は整備が進んだが、当時の悪夢の爪痕は厳然として残る。
(2)メルトダウンした1~3号機の中には溶けて構造物と混じり合った燃料デブリ計約900トンがそのまま存在する。先月、特殊な器具でデブリに触れることはできたが、取り出しの見通しが立ったわけではない。
(3)廃炉のゴールは何十年先なのか。何兆円の費用がかかるのか。わかっているのは道のりの困難さだけだ。
(4)一方、この8年で誰の目にもはっきりしてきたことがある。持続可能性のない原発の未来像だ。こうした状況で、私たちがめざすべき道は何か。現実を直視し、エネルギー政策を転換していくことが急務だ。


 また、「毎日」は、「廃炉作業の道のり」について、次のように指摘する。

(1)東電は今後、燃料デブリを詳しく分析し、2021年から本格的な取り出しを始める計画だ。しかし、原子炉建屋内は放射線量が極めて高い。スケジュールありきで作業を急げば思わぬトラブルに直面するだろう。作業員の安全をないがしろにすることがあってはならない。
(2)事故直後からの課題である汚染水問題も作業の困難さを象徴する。対策の切り札とされた「凍土遮水壁」は完成したものの、原子炉建屋への地下水流入は止まらず、処理水は構内のタンクにたまり続けている。放射性トリチウムが残留するこの水をどうするか。薄めて海に放出すれば確かに作業の安全性は高まる。しかし、漁業者らから懸念の声が上がるのは当然のことだ。政府と東電は、透明性のある国民的な議論を積み重ねなければならない。
(3)こうした困難な廃炉作業を尻目に政府は「原発維持政策」を進めてきた。福島の事故以降、再稼働した原発は9基。例外だった運転40年を超える老朽原発の延命も「原則」となった。被災した老朽原発「東海第2」を再稼働させる計画さえあり、「原発依存度の低減」という政府の方針は有名無実化しつつある。
(4)一方で、小規模原発の廃炉決定も相次ぐ。東電の被災原発を除くと7原発11基。事故後に求められるようになった安全対策の費用が回収できないとの経済合理性からの判断だ。
(5)高額の安全対策費は「原発輸出」の破綻にもつながった。今年に入って日立製作所が英国での原発建設計画を凍結、三菱重工業もトルコでの建設計画から事実上撤退する見通しだ。東芝はすでに海外の原発事業から撤退。安倍政権が成長戦略と位置づけてきた原発輸出に経済性がないことはもはや明らかだ。


 「毎日」は最後に、「3.11」の意味を受けとる中でのこれからについて、「事故当事国である日本での原発新増設は事実上不可能」、「新たなエネルギー政策の構築に踏み出さねば、対応が後手に回るばかりだ。」、と次のように提起する。


(1)こうした状況をみれば事故当事国である日本での原発新増設は事実上不可能だ。少なくとも西側諸国では原発が持続可能性のない斜陽産業となったことを政府は認識すべきだ。 その上で、昨年改定したエネルギー基本計画の「30年度に原発比率20~22%」を見直し、新たなエネルギー政策の構築に踏み出さねば、対応が後手に回るばかりだ。
(2)中でも重要なのは再生可能エネルギーの「主力電源化」だろう。もちろん、それは簡単な課題ではない。太陽光や風力で従来の原発分をどう補うのか。変動する再生エネの調整に火力発電を使うと温暖化対策に逆行する、という問題をどう解決するのか。一朝一夕にはいかない。
(3)ただ、これまでの原発依存政策が再生エネの成長を妨げてきたことも確かだ。世界で拡大する太陽光パネルや風力発電機の市場で日本の影が薄くなってしまった背景にも、政府の失策があるだろう。今後は、再生エネを活用するための投資にこそ力を入れるべきだ。「国のインフラ」としての送電網の整備、原発優先の給電システムの見直し、原発廃炉で余った送電網の有効活用などが重要だ。
(4)同時に、再生エネを安定運用するための気象予測や電力需要予測、需要と供給のバランスを取るシステム、蓄電池の開発など、日本の得意分野をビジネスとして発展させる方向にかじを切ったほうがいい。
(5)今後、国内外で多数の廃炉が必要となることを思えば、廃炉人材を育成し、廃炉ビジネスを展開する戦略も立てるべきだ。
(6)事故炉と通常の原発の廃炉作業は異なるとはいえ、福島の経験を一般の廃炉に生かすこともできるはずだ。福島で得られる知見を統合し、一般の廃炉技術の開発につなげる。官民が協力し、「原発後」の産業にも活路を見いだしてほしい。




by asyagi-df-2014 | 2019-03-16 07:06 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
画像一覧
更新通知を受け取る