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「3.11」を出発点に。再稼働の『同意権』の広がり。社説、論説から。~朝日新聞20180403~

 愛媛新聞は2018年4月3日、「原発稼働同意 『茨城方式』足がかりに」、とその社説で論評した。
 どのようなことを言っているのか。
実は、朝日新聞は、「日本原子力発電(原電)の東海第二原発の再稼働をめぐり、茨城県や立地自治体の東海村に加え、水戸市など周辺5市の事前了解も必要とする安全協定が、原電との間で結ばれた。」ことに関して、「原発の周辺市町村は、立地自治体と同様にリスクを背負うのに、再稼働の是非について権限がない。今の地元同意手続きが抱えるそんな欠陥を正すうえで、大きな一歩である。」、と結論づけている。
 朝日新聞は、次のようにその理由を示す。


(1)「再稼働に対する事実上の『同意権』が周辺市町村に広がることになる。このことが、電力会社が関係自治体と結ぶ安全協定に明記されるのは、全国で初めてだ。」
(2)「原電は東海第二の再稼働に向けた準備を進めている。事故に備える避難計画の策定を義務づけられる30キロ圏の人口は、全国の原発で最多の約100万。計画づくりが難航している自治体が多く、住民の不安も根強い。30キロ圏にある5市は、東海村と同じような同意権を原電に求めてきた。」
(3)「今回の新協定には、東海村や周辺5市との事前協議により『実質的に事前了解を得る仕組みとする』との文言が盛り込まれた。民主的な合意を得るうえで、前進と言える。ただ協定には、6市村の中で意見が食い違った場合にどうするかなど、あいまいな部分も残る。関係する全自治体が納得するまで徹底的に協議するなど、住民の安全を最優先に考えて運用してほしい。」
(4)「同意権が道県や立地市町村に限られることに対しては、関西や九州など各地の自治体から異論が相次いでいる。事故のリスクや避難対策の負担を引き受けさせられる周辺自治体が、再稼働手続きに関与したいと考えるのは、当然のことだ。」
(5)「電力大手各社は再稼働のハードルが上がるのを嫌う。だが地元の信頼を得たいのなら、消極的な姿勢を改め、同意権の対象拡大に応じなければならない。」


 朝日新聞は、最後に、次のようにまとめる。

(1)「安全協定に基づく今の同意手続きは、法的な根拠を持たず、住民の安全に対する責任をあいまいにしている面がある。政府は『電力会社と自治体の問題で、関与する立場にない』というが、傍観者のような振る舞いは無責任ではないか。国が主導して、同意ルールの法制化を検討するべきだ。」
(2)「今回は県と、立地する東海村、周辺5市が協力し、原電を動かした。原発をめぐっては、立地自治体と周辺自治体の間で溝が生じている地域も目立つ。その解消のため、道や県が果たせる役割は大きい。『茨城方式』を全国に広げたい。」


 確かに、『同意権』については、次のことがいえる。


Ⅰ.電力会社は、消極的な姿勢を改め、同意権の対象拡大に応じなければならない。
Ⅱ.日本政府は、自らが主導して、同意ルールの法制化を検討しなければならない。




by asyagi-df-2014 | 2018-04-15 14:12 | 書くことから-原発 | Comments(0)

玄海原発が再稼働されたことを受けて。(2)

 表題について、東京新聞は2018年3月24日、「玄海原発再稼働 全島避難はできるのか」、と論評した。
 東京新聞は、玄海原発再稼働を「九州電力玄海原発が再稼働した。関西電力大飯原発に続く矢継ぎ早の再稼働。噴火や避難に対する住民の不安はやはり、置き去りにしたままだ。誰のために急ぐのか。電気は足りているというのに。」、と批判する。
 東京新聞は、問題点を次のように指摘する。


(1)「原発は、南北に長い日本列島に広く分布する。地勢や気象の条件も、立地によって大きく異なり、住民の不安のありようも、さまざまだ。」
(2)「玄海原発では、阿蘇カルデラの噴火リスクが、重大な不安要因として挙げられる。カルデラとは火山活動でできた巨大な窪地(くぼち)。破局的な噴火を起こす恐れが指摘されている。」


 この指摘について、東京新聞は次のように続ける。


(1)「九州、山口五県の住民が『阿蘇山噴火の火砕流による重大事故の危険がある』として、玄海原発再稼働の差し止めを求めた仮処分申請を、佐賀地裁は二十日、『原発の運用期間中に破局的噴火を起こす恐れは極めて小さい』とする九電側の主張をいれて却下した。」
(2)「昨年末、広島高裁は『百三十キロ離れた原発に到達する恐れがある』として、愛媛県にある四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを命じている。」
(3)「楽観論に対しては『巨大噴火の時期や規模は予測不可能』とする地震学者の意見も根強く、原子力規制委員会の『火山影響審査』のあり方を疑問視する声もある。」


 こうした状況を、東京新聞は、「関西電力大飯原発は十四日、地震の揺れの強さの『過小評価』を懸念する専門家の声を考慮せず、再稼働に踏み切った。拙速の構図は同じである。」、とする。


 東京新聞は、「安全神話」の復活 と今回の玄海原発の再稼働については、次のように結論づける。


(1)「避難計画の実効性は、すべての原発に共通する課題である。その上、玄海原発は『離島リスク』を抱えている。玄海原発三十キロ圏には本土との間に橋のない十七の離島があり、一万九千人が暮らしている。もしもの時には、空路や海路に頼るしかない。荒天の場合はどうするか。放射線防護が付いた屋内避難施設も、『完備』というにはほど遠い。」
(2)「長崎県壱岐市は、島全体が四十キロ圏内に含まれる。」
(3)「福島原発事故の教訓に従えば、二万七千島民全員の島外避難が必要になる。そんなことができるのか。」
(4)「これでも九電側は避難計画の現状を『地域の実情を踏まえた詳細なもの』と主張し、規制委も司法も、これを受け入れた。「安全神話」が復活したというしかない。」
(5)「少なくとも、噴火リスクと離島リスクを払拭(ふっしょく)できない限り、玄海原発は動かせないはずなのだが。」


 確かに、「長崎県壱岐市は、島全体が四十キロ圏内に含まれる。福島原発事故の教訓に従えば、二万七千島民全員の島外避難が必要になる。そんなことができるのか。」、という事実は、火山問題とともに、「噴火リスクと離島リスクを払拭(ふっしょく)できない限り、玄海原発は動かせない。」、ということなのだ。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-30 06:52 | 書くことから-原発 | Comments(0)

漁協祝島支店は、上関原子力発電所建設に伴う漁業補償金をめぐり、原発関連の補償金配分案を再び拒否。

 朝日新聞は2018年3月28日、表題について次のように報じた。


(1)「上関原子力発電所建設に伴う漁業補償金をめぐり、県漁業協同組合は27日、祝島支店(上関町)の組合員を集めた総会部会を柳井市内で開いた。補償金の配分基準案が提案され、27対23で否決。2015年4月の部会に続き、組合員は補償金の受け取りを拒む姿勢を示した。」
(2)「部会は午前9時に始まった。支店への補償金約10億8千万円について、県漁協側が各漁師への配分基準案を説明し、採決した。県漁協によると、正組合員51人のうち議長を除く50人が投票し、4票差で否決した。」
(3)「すべて非公開で、会場の外では数人の警備員が待機し、周囲にはフェンスが張り巡らされた。原発建設に反対する島民や市民らが集まり、結果を待った。部会が終わり、准組合員として出席していた『「上関原発を建てさせない祝島島民の会』の清水敏保代表が「否決されました」と報告すると拍手がわいた。原発反対派で祝島支店の運営委員長を務める岡本正昭さん(68)は『主張が通って安心している。自分は3代続く漁師。絶対に海を売ってはいけない。これからも拒否の意志を堅く持ち頑張っていく』と話した。配分案に賛成する男性組合員(81)は『残念だ』と述べた。」
(4)「県漁協の村田則嗣常勤監事は『正規の意思決定の場での議決は尊重しなければならない』と話した。」
(5)「祝島支店への漁業補償金の分配をめぐっては、13年に受け取りが可決されたものの、15年には配分基準案が否決された。」
(尾崎希海)




by asyagi-df-2014 | 2018-03-29 12:37 | 書くことから-原発 | Comments(0)

玄海原発が再稼働されたことを受けて。(1)

 西日本新聞は2018年3月20日、運転差し止めの仮処分申し立ての佐賀地裁の判決について、次のように報じていた。


「九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の運転差し止めを周辺住民ら73人が求めた仮処分申し立てについて、佐賀地裁(立川毅裁判長)は20日、『新規制基準の合理性に疑いはなく、玄海原発が新基準に適合するとした原子力規制委員会の判断に看過しがたい欠落はない』として住民側の申し立てを却下した。九電は23日にも3号機の再稼働に踏み切る見通し。住民側は決定を不服とし福岡高裁に即時抗告する方針。」


 また、西日本新聞は、次のように解説していた。


(1)「原発の運転差し止めを巡っては、2011年の東京電力福島第1原発事故以降、全国で裁判が相次いだ。昨年12月には広島高裁が四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について、約130キロ離れた阿蘇カルデラ(熊本県)の危険性を理由に、高裁レベルで初めて運転差し止めを決定。玄海原発も阿蘇カルデラからほぼ同じ距離にあるため、同地裁の判断が注目された。」
(3)「地裁決定では、九州全域に火砕流が及ぶような阿蘇カルデラの破局的噴火について『少なくとも地下10キロより浅くに破局的噴火を起こすような大規模なマグマだまりはないと確認されている」として危険性を否定。広島高裁決定と同様に新規制基準の安全対策指針『火山影響評価ガイド』を厳格に運用すれば、危険が認められるとの住民側の主張を退けた。
(4)争点となった避難計画についても『(国の)原子力防災会議で合理的と了承され、九電が今後も実効性の向上に努めるとしており、不適切とは言えない』と判断。『避難計画の作成範囲を30キロ圏内に限るのは実効性はない』という住民側の主張は認めなかった。」
(5)「福島事故後に原子力規制委員会が策定した新規制基準については『福島事故を受けて調査分析され、現在の科学技術水準を踏まえて策定された』として合理性を認めた。立川裁判長は昨年6月、玄海3、4号機の再稼働を巡り、別の住民団体による運転差し止めの仮処分申し立ても却下していた。」


 こうした状況の中で、九州電力は、2018年3月23日の午前、玄海原発3号機(出力118万キロワット)を再稼働させた。
 この玄海3号機の稼働は定期検査で運転を停止した2010年12月以来、約7年3カ月ぶりである。
西日本新聞は、2018年3月23日朝、「玄海原発再稼働 安全対策に終わりはない」、と社説で論評した。
この、再稼働を西日本新聞社の社説で考える。
西日本新聞社は、この再稼働が、「東京電力福島第1原発事故後に作られた原子力規制委員会の新規制基準下での再稼働は5原発7基目となる。九電管内では川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機に続き3基目だ。」、と説明するとともに、「住民の懸念や不安を解消するためにも、九電は正確で迅速な情報公開に努め、安全性を最優先する姿勢を忘れないでもらいたい。」、と指摘する。


 また、次のように問題点をあげる。


(1)「佐賀県と立地自治体の玄海町から同意を得たとはいえ、周辺自治体や住民の懸念は根強い。地元範囲をどう設定すべきか。合意手続きは現状のままでいいのか。積み残された課題は少なくない。」
(2)「避難計画の実効性を高めることも玄海原発では大きな課題になっている。緊急防護措置区域の半径30キロ圏内に福岡、長崎両県を含む3県8市町が入り、有人離島は国内の原発では最多の20に上る。避難計画の対象は計26万人を超す。
(3)「避難計画の策定は基本的に自治体任せになっているのが現状だ。海路に頼る離島住民の迅速な避難など訓練で浮かんだ具体的な課題の解決を急ぎたい。隣接県との広域的な調整も含めて国がもっと積極的に関わるべきではないか。」


 あわせて、広島高裁の判決との整合性についても指摘する。


「原発を巡っては、広島高裁が昨年12月、熊本県の阿蘇カルデラの噴火リスクを理由に四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)3号機の運転差し止めを命じた。一方、阿蘇からの距離が伊方とほぼ同じ約130キロの玄海3、4号機については、佐賀地裁がリスクを認めず、運転差し止めの仮処分申し立てを却下した。相反する裁判所の決定をどう受け止めるべきなのか。


 西日本新聞は社説の最後を、九州電力の玄海原発の再稼働に対して、「私たちは東日本大震災で想定外の災害が起こり得ることを思い知らされた。その教訓を生かすためにも、原発の安全性追求には終わりがないことを再認識したい。幾つもの重い宿題を抱えて、玄海原発は再稼働する。国や電力会社は、あの『3・11』で原発の『安全神話』とは決別したことを改めて肝に銘じ、不断の安全対策に取り組むよう求めたい。」、と結ぶ。


 確かに、『3.11』は、原発の「安全神話」に決別をしたはずだったのだ。
今、このことを忘れるわけにはいかない。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-24 08:48 | 書くことから-原発 | Comments(0)

広島高裁は、四国電力伊方原発3号機の運転禁止を命じた高裁決定に対しての四国電側の仮処分の執行停止の申し立てを却下。

 毎日新聞は2018年3月22日、表題について次のように報じた。


(1)「四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを命じた昨年12月の広島高裁の仮処分決定について、同高裁は22日、四電による執行停止の申し立てを却下した。三木昌之裁判長は『差し止め命令を取り消す明らかな事情があるとはいえない』と理由を述べた。」
(2)「高裁決定は9月末までの運転差し止めを求めており、異議審で判断が覆らない限り、期間中の再稼働は不可能になった。異議審は4月23日に第1回審尋が行われる予定で、三木裁判長が担当する。」
(3)「四電は『認められなかったことは残念。異議審で早期に命令を取り消していただけるよう主張・立証に全力を尽くす』とのコメントを発表した。住民側の原告団は『予想通りの内容でとりあえず安堵(あんど)している』としている。」
(4)「高裁決定は原発から130キロ離れた熊本県・阿蘇カルデラの破局的噴火で火砕流が到達する可能性を指摘し、立地不適と判断。運転差し止めを命じた。差し止め期間は、別の訴訟で異なる判断が出る可能性を挙げ、9月末までとした。」
【東久保逸夫】




by asyagi-df-2014 | 2018-03-23 12:34 | 書くことから-原発 | Comments(0)

佐賀地裁は、「玄海原発が新基準に適合するとした原子力規制委員会の判断に看過しがたい欠落はない」、と住民側の申し立てを却下する。

 西日本新聞は2018年3月19日、表題について次のように報じた。


(1)「九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の運転差し止めを周辺住民ら73人が求めた仮処分申し立てについて、佐賀地裁(立川毅裁判長)は20日、『新規制基準の合理性に疑いはなく、玄海原発が新基準に適合するとした原子力規制委員会の判断に看過しがたい欠落はない』として住民側の申し立てを却下した。九電は23日にも3号機の再稼働に踏み切る見通し。住民側は決定を不服とし福岡高裁に即時抗告する方針。
(2)「原発の運転差し止めを巡っては、2011年の東京電力福島第1原発事故以降、全国で裁判が相次いだ。昨年12月には広島高裁が四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について、約130キロ離れた阿蘇カルデラ(熊本県)の危険性を理由に、高裁レベルで初めて運転差し止めを決定。玄海原発も阿蘇カルデラからほぼ同じ距離にあるため、同地裁の判断が注目された。」
(3)「地裁決定では、九州全域に火砕流が及ぶような阿蘇カルデラの破局的噴火について『少なくとも地下10キロより浅くに破局的噴火を起こすような大規模なマグマだまりはないと確認されている」として危険性を否定。広島高裁決定と同様に新規制基準の安全対策指針『火山影響評価ガイド』を厳格に運用すれば、危険が認められるとの住民側の主張を退けた。
(4)争点となった避難計画についても『(国の)原子力防災会議で合理的と了承され、九電が今後も実効性の向上に努めるとしており、不適切とは言えない』と判断。『避難計画の作成範囲を30キロ圏内に限るのは実効性はない』という住民側の主張は認めなかった。」
(5)「福島事故後に原子力規制委員会が策定した新規制基準については『福島事故を受けて調査分析され、現在の科学技術水準を踏まえて策定された』として合理性を認めた。立川裁判長は昨年6月、玄海3、4号機の再稼働を巡り、別の住民団体による運転差し止めの仮処分申し立ても却下していた。」




by asyagi-df-2014 | 2018-03-21 20:36 | 書くことから-原発 | Comments(0)

京都地裁は、原発避難訴訟で国の責任を認定する。

 毎日新聞は2018年3月15日、「国の責任認定は前橋地裁、福島地裁判決に続いて3件目」、と表題について次のように報じた。


(1)「東京電力福島第1原発事故に伴い、福島、茨城、千葉各県などから京都府に自主避難するなどした57世帯174人が国と東電に計約8億5000万円の損害賠償を求めた訴訟で、京都地裁(浅見宣義裁判長)は15日、国と東電に対し、賠償するよう命じた。原発避難者の集団訴訟で国の責任を認めたのは、昨年3月の前橋地裁、同10月の福島地裁判決に続いて3件目。」
(2)「原発避難者の集団訴訟は、全国で約1万2000人が約30件起こしている。判決は前橋地裁を皮切りに、千葉、福島、東京各地裁に続いて5件目(東京地裁は被告が東電のみ)。千葉地裁は国の責任を認めていなかった。」
(3)「京都訴訟原告の事故当時の居住地は、福島市やいわき市など東電が賠償対象とする福島県内の『自主的避難区域』が143人で、同区域外の福島県や茨城、千葉など他県が29人。他の2人は国の避難指示などが出た福島県内の区域に住んでいた。いずれも平穏な日常生活を奪われ、二重生活に伴う負担増を強いられたなどと訴え、原則1人550万円の賠償を求めていた。」
(4)「政府の地震調査研究推進本部は2002年、福島沖で巨大津波地震が起き得るとした『長期評価』を公表している。原告側は国の責任について『津波の危険性を予見できたのに有効な安全対策を怠った』と主張。一方、国は『長期評価からは地震を予見できず、規制権限の行使義務もなかった』と反論していた。」
(5)「16日に東京地裁、22日には福島地裁いわき支部でも集団訴訟の判決が予定されている。」
【飼手勇介】
(6)「国の責任、司法判断として定着しつつある」:淡路剛久・立教大名誉教授(民法・環境法)の話:「判決は、自主避難をせざるをえなかった原告の個別事情を踏まえ、避難の相当性を認めた。被害実態に必ずしも即していない中間指針に基づく賠償を司法的に是正する内容で、重要な判断だ。一方、東電からの賠償額で十分として請求を棄却された人がかなりおり、裁判所の損害認定額が低かったと感じる。国の責任は前橋、福島両地裁に続き、京都地裁でも認められ、司法判断として定着しつつある。国は賠償の基準や期間、さらには地域復興についても、政策のあり方を見直す必要があるのではないか。」
(7)「難の判断基準、司法がより具体的に示す」:除本理史(よけもとまさふみ)・大阪市立大大学院教授(環境政策論)の話:「避難が合理的かどうかの判断基準を、司法がより具体的に示した。中間指針で賠償対象となった区域の外でも、司法が独自に賠償を認定する流れが定着してきた点も注目すべきだ。ただ、放射性物質の汚染による不安が長く続いていることを考えると、避難の時期を12年4月1日までで区切ったのは短すぎる。」




by asyagi-df-2014 | 2018-03-17 12:56 | 書くことから-原発 | Comments(0)

東京地裁は、原発避難訴訟で国と東京電力に賠償命令。

 毎日新聞は2018年3月165日、「東京地裁も国と東電に賠償命令 国は4例目」、と表題について次のように報じた。


(1)「東京電力福島第1原発事故に伴い、福島県から東京都や愛知県に避難している47人が国と東京電力に計約6億3500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(水野有子裁判長)は16日、国と東電に計約5900万円を原告42人に支払うよう命じた。」
(2)「原発避難者の集団訴訟は全国で約30件起こされており、地裁判決は6件目。このうち被告に国を含む訴訟の判決は5件目で、これまでに前橋、福島、京都の3地裁が国の責任を認め、千葉地裁が国の責任を否定していた。」
(3)「東京訴訟の原告の大半は、福島市やいわき市などから避難する『自主避難者』。国の避難指示は受けていないものの、放射性物質による健康被害を避けるために避難を余儀なくされ、事故前の平穏な日常を奪われたとして精神的慰謝料などを求めていた。」
【近松仁太郎】




by asyagi-df-2014 | 2018-03-16 18:43 | 書くことから-原発 | Comments(0)

四国電力伊方原発運転差し止め訴訟の第8回口頭弁論を傍聴してきました。

 四国電力伊方原発運転差し止め訴訟の第8回口頭弁論・第11回審尋が、2018年3月1日14時より、大分地方裁判所で開催されました。今回も傍聴参加と報告集会に参加してきました。
口頭弁論は、1週間前に部屋が変更になり、これまでと同様に第1法廷で開催されました。ただ、今回は、参加者の数が今までの半数近くに減っていました。また被告弁護士も3名となっており、いささか気にる状況であると感じられました。このことについて、徳田弁護士は報告集会の最後に、「今日のような傍聴者の数では心許ない。」、と危惧感を示しました。
 「伊方原発を止める大分裁判の会」が、今取り組まなければならない課題が、100名以上の原告を目指す第3次提訴の取り組みとあわせて、明らかになっている気がします。
 さて、今回の口頭弁論も、裁判長の、「一番後ろの人聞こえますか」、との確認から始まり、いつも通り20分ほどの時間で終了しました。
 今回の本訴訟では、徳田靖之弁護士(以下、徳田弁護士)の意見陳述が行われました。
徳田弁護士の意見陳述の要約は次のものです。

 まず、徳田弁護士は、「改めて、本件における、司法判断の枠組みのあり方について、見解を明らかにする」、とこの意見陳述の目的を明らかにしました。
 このことの意味について、福島原発事故後の司法判断(大飯、高浜、仙台、伊方)の概観を示す中で、「私は、司法に身を置くものとして、福島原発事故という、未曾有の大事故を共通体験しながらも、司法判断が、このような形で、別れた原因がどこにあるのか、そのことを冷静に分析する必要性があると痛切に感じて、これらの司法判断を細かく検討してきました。」、とこれまでの司法判断の問題点を指摘し、「こうした見解の相違は、原発の安全性に関する司法判断の枠組みについての、理解の相違に由来しているとの結論に至った」、と司法判断の枠組みのあり方が重要であると示したのでした。
 次に、こうした司法判断の分裂をもたらした要因が三点あると指摘しました。
それは、第1に、伊方原発に関する最高裁平成4年10月20日判決(以下、最高裁判決)が示した、司法判断の枠組みに関する判事についての理解の相違であること。第2に、社会通念は判断基準になるのかということ。第3に、審査基準ないし適合性判断はどこまで信頼しうるのかという、三点にあると強調しました。
 この三点について、具体的に次のように述べています。

第1点目に関して、徳田弁護士は、この最高裁判決は、「原子炉を設置しようとする者が、原子炉の設置、運転につき、所定の技術的能力を欠くとき、又は原子炉施設の安全性が確保されないときには、当該原子炉施設の従業員やその周辺住民等の命、身体に重大な危害を及ぼし、周辺の環境を放射能によって汚染するなど、深刻な災害を引き起こす恐れがあることに鑑み、右災害が万が一にも起こらないようにするため、原子炉施設の位置、構造及び設備の安全性につき、科学的、専門技術的見地から、十分な審査を行わせることにある」と判示しているのですが、この判決でいう「万が一にも起こらないようにするため」という要件をどう理解するのかという点において、原発の再稼働を認めた各司法判断は、「大きな間違いを犯していると思うのです。」、と指摘します。 
 あわせて、「住民の訴えを棄却した司法判断においては、原発が対応すべき災害の規模について、何故にか、『合理的に予測される』範囲で足りると解釈している』とも。さらに、「どのような意味においても、合理的に予測される範囲で足りるとの判断は、『万が一にも』との最高裁の判示とは、著しき乖離している」、と結論づけています。
 この上で、徳田弁護士は、「最高裁判決が掲げる『万が一にも起こらないように』との基準に従う限り原発に求められる安全性とは、少なくとも予測される最大規模の自然災害に対応することであることは明らかです。私は、同じく火砕流の問題を指摘しながら、住民らの抗告を排斥した福岡高裁宮崎支部決定とは異なり、今回の広島高裁決定が数万年前の大規模火砕流の発生を念頭において、伊方原発の操業差し止めを命じたのは、正に、こうした最高裁の言う『万が一にも』との要件を適用したものであり、司法の見識を示したものとして、高く評価されるべきであると考えます。」、と裁判所にあるべき司法判断の枠組みを示しました。

第2点目に関して、「社会通念を判断基準」に採用することに関して、「住民らの仮処分申し立てを棄却した司法判断に共通するのは、福岡高裁宮崎支部決定をはじめとして、『社会通念』を判断機銃として採用することです。・・・よく考えてみますと、これらの司法判断で用いられる『社会通念』なるものの内容は、全く不可思議としか言い様がありません。」、と厳しく批判します。
 この上で、徳田弁護士は、「原発の安全性に関して、『合理的に予測される範囲』で足りるとするのが『社会通念』であるという判断は、どこから出てくるのでしょうか。こうした司法判断は、原発の操業差し止めという結果のもたらす影響の大きさに怯えて、司法としての責任を回避するために、司法が作り出した、免責の為の『虚妄』ないし政府や電力会社への『忖度』の産物としか言いようがありません。」、と裁判所に「社会通念を判断基準」に採用することの間違い-虚妄性-を示します。

第3点目に関して、徳田弁護士は、住民らの申し立てを容認した樋口決定や山本決定とこれを排斥した司法判断とを比較して、「原子力規制委員会の規制基準や適合性判断に関する丸投げとも言うべき評価です。」、と審査基準ないし適合性判断はどこまで信頼しうるのかということに関して、裁判所側の『丸なげ』ではないかと、批判します。
この上で、裁判所に、「福岡高裁宮崎支部の決定をはじめとする原発の再稼働を容認する司法判断は、こうした審査基準が合理的であるかどうか、適合性判断が合理的であるかどうかの立証責任を電力会社側に負わせるのではなく、不合理な点がないということを立証すれば足りるとの見解を示しています。しかしながら、審査基準が合理的であるということは、前提事実ではなく、事業者において立証すべき間接事実のはずであり、その基準が合理的であるというためには、福島原発事故の原因が具体的に明らかにされ、二度とこうした事故を起こさないために基準であることが、立証されるべきであることは、当然のことだと思料されます。事業者側にこうした立証をさせることなく、不合理な点がないことの立証を求めれば足りるとする司法判断は、まさしく、司法としての責任放棄としか言いようがありません。」、と突きつけています。

 最後に、徳田弁護士は、この意見陳述書を「以上述べたところを正面から受けとめていただいて、裁判所が、正しい法的判断枠組みに基づく判断をなされるよう切望して意見陳述とします。」、と結んでいます。


 さて、17時15分から18時直前まで行われた報告集会では、3人の弁護士の熱い説明がありました。
 今回も、メモをとるのは報告集会でという形となりました。
メモとなった各弁護士の話は、次のものでした。

(1)河合弁護士
①火山についての四電のプレゼンは、面白くない、長々とやっただけだ。
②仮処分は、次回の5月24日(木)で結審となる。9月か10月に判決になるかもしれない。
③勝訴へ向けて、確信を持って前に進みたい。
(2)小森弁護士
①ただの灰と死の灰の違いを理解していない。
②原発事故が起きれば、日本全体が立ち入り禁止地域になる。これは世界にそのまま広がる。
③たいした根拠はないのに、火山学者の論点を新しい知見として利用する形できているので、きちんと反論する。
④火山学者が、危機的状況にある。毒まんじゅうが火山学会に回り出した。
(3)中野弁護士
①「社会通念」については国際理解から見てもおかしい。
②科学の基本は、不確実性にある。


 最後に、中山田共同代表の「四電は低頻度で心配ないと強調するがそもそもが違う」との感想と、徳田弁護士の「この最高裁の『万が一』は、そもそも住民側を負けさせるための判例であったのだが、徹底的に使えるのではないか」との言葉が、司法の枠組み問題とも関わって、非常に記憶に残りました。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-03 06:57 | 書くことから-原発 | Comments(0)

福島地裁は、自殺と原発事故の因果関係を認める判決。

 河北新報は、表題について次のように報じた。


(1)「東京電力福島第1原発事故による避難を苦に自殺したとして、当時102歳だった福島県飯舘村の大久保文雄さんの遺族3人が、東電に約6000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福島地裁(金沢秀樹裁判長)は20日、自殺と原発事故の因果関係を認め、計1520万円の支払いを命じた。」
(2)「原発事故に伴う避難と自殺を巡る損害賠償請求訴訟の判決は3件目。過去2回も福島地裁で言い渡され、今回を含め全ての判決で因果関係を認定した。」
(3)「判決によると、大久保さんは2011年4月11日、飯舘村が原発事故で計画的避難区域に指定されることをテレビニュースで知り、翌12日未明、自室で首をつった状態で見つかった。」




by asyagi-df-2014 | 2018-02-20 19:56 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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