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経済産業省は、原発の新増設に新たな道を開く。小型原発の開発を進め、二〇四〇年ごろまでに実用化を目指すとする。

 東京新聞(以下、「東京」)は2018年12月1日、表題について次のように報じた。


(1)地球温暖化対策を名目に、経済産業省が新たな小型原発の開発を進め、二〇四〇年ごろまでに実用化を目指す方針を固めた。太陽光や風力などの再生可能エネルギーが世界的に普及している中、経産省は温室効果ガス削減には原発が必要と判断。将来の建設を想定しており、原発の新増設に道を開くことになる。
(2)新方針は十一月十四日、経産省内で開かれた非公開の国際会議で、同省資源エネルギー庁の武田伸二郎原子力国際協力推進室長が表明した。本紙は武田室長に取材を申し込んだが、応じていない。出席者らによると、武田室長は地球温暖化防止の枠組み『パリ協定』実現のために、原発を活用する方針を表明。国内の多くの原発が四〇年ごろに寿命を迎えることを受け、『将来も一定の原発比率を維持するには、新原発の建設に向けて今、準備を始める必要がある』と述べた。」
(3)開発目的は「再生エネが増えていくので、これをサポート(補完)する必要がある」とした。天候で変わる太陽光などの不安定な出力をならす必要があり、既存の大型原発より出力を調整しやすい小型原発が必要との見解を示した。また、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムが国内外に大量に蓄積し、核不拡散の観点で各国の懸念が高まっていることから、プルトニウムを大量に燃やす原発が必要としている。東京など大都市圏の需要を満たすには大型の原発も必要とし、従来の軽水炉の改良も目指す。新しい方針は近く正式発表される。
(4)日本は今年から、原発を温暖化対策として進めるための国際的な枠組み「クリーンエネルギーの未来のための原子力革新(略称NICE(ナイス) Future(フューチャー))」に、米国やカナダと共に主体的に関わり、参加国を募っている。今後、参加国の政府や企業との連携を検討し、三年以内に具体的な計画を策定する。
(5)政府が今年夏に決定したエネルギー基本計画は新型炉の研究を進めるとしたが、新設には言及していなかった。世耕弘成(ひろしげ)経産相は国会で「新設、建て替えは全く考えていない」と答弁しており、新増設を想定した新方針は、従来の立場を翻すことになる。


 「東京」は、このことについて、「将来に大きな負の遺産」と次のよう批判した。


(1)東京電力福島第一原発事故から八年目、今も多くの人が避難生活を強いられている中で、政府は新型原発の開発方針を打ち出した。「温暖化対策」という国際的な約束を盾に、再生可能エネルギーとの共存を模索する。原発の生き残りを図ろうとする「原子力ムラ」の思惑が透けて見える。
(2)政府は、二〇三〇年度に発電量の20~22%を原発で賄う目標を立てたが、稼働期間を最長の六十年としても、達成は難しい。さらに、世界的に再生可能エネルギーが安くなり、事故対策でコストがかさむ原発は採算が合わない。
(3)そこで経済産業省が持ち出した理屈が「温暖化対策のための原発」。国際的な枠組み「NICE Future」参加国の政府や原子力産業などとの連携をもくろむ。今のうちに新設のめどを付け、将来にわたり原発を一定規模、維持する道筋をつける狙いだ。だが、地球温暖化問題では、今の世代が責任を持って、いかに「持続可能な社会」を実現するかが問われている。原発は発電時に温室効果ガスを出さないが、核のごみがたまる。小型原発でもこの点は同じだ。
(4)核のごみの最終処分場は、日本では見つかる見通しすらない。原発でごみを増やし続けるのは「持続可能」どころか、将来に大きな負の遺産を残す。矛盾を抱えた政策に巨額の税金を投入することに、国民の理解が得られるとは思えない。
(伊藤弘喜)

(5)「<小型原発>:現在主流の軽水炉より小型の原発。従来の原発の出力が100万キロワット前後なのに対し、3分の1未満の出力となる。主要機器を工場で製造して現地で据え付けるため、コストが安くなるとされる。出力を調整しやすいという特徴もある。各国は1980年代からさまざまなタイプを開発しているが、実用化には至っていない。」
(6)「<パリ協定>:地球温暖化を防ぐため、各国が温室効果ガスの排出削減に取り組むことを定めた国際協定。産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目指す。2016年に発効し、現行の京都議定書を引き継ぎ、20年に始まる。」
(東京新聞)


 日本という国は、「温暖化対策のための原発」という詭弁が許される国なのだ。
 「原発の生き残りを図ろうとする『原子力ムラ』の思惑が透けて見える」(「東京」)というあからさまな強弁である。
それは、誰の目にも明らかなのは、「核のごみの最終処分場は、日本では見つかる見通しすらない。」(「東京」)という実態であるにもかかわらずである。
やはり、『否』を突きつけなくてはならない。






by asyagi-df-2014 | 2018-12-06 10:51 | 書くことから-原発 | Comments(0)

高松高裁は、申し立てを却下した松山地裁の決定を支持し、住民側の抗告を棄却した。

 朝日新聞は、表題について次のように報じた。


(1)愛媛県の住民が四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求めた仮処分申し立ての即時抗告審で、高松高裁(神山隆一裁判長)は15日、申し立てを却下した松山地裁の決定を支持し、住民側の抗告を棄却した。この仮処分については、松山地裁が昨年7月、原子力規制委員会の新規制基準や四電の安全対策に「不合理な点はない」として申し立てを却下。住民側はこれを不服とし、高松高裁に即時抗告していた。
(2)即時抗告審では新規制基準や基準地震動(想定される最大の揺れ)の合理性、火山噴火の影響の評価などが争点になった。審尋は4回開かれ、地震の専門家らが住民側の参考人として出廷し、「四電の基準地震動の策定に関する調査は不十分」などと証言していた。
(3)この日の決定は「新規制基準の内容は不合理とはいえない。規制委員会の火山の影響評価も合理性がある」などと住民側の主張を退けた。一方、佐田岬半島の付け根にある原発の事故時の避難計画について、海路避難の輸送能力に懸念があるなどとして「不十分」と指摘。「対策の先送りは到底許されない」とした。ただ、計画がある以上は違法性はないと判断した。
(4)差し止めを求めていた松山市の松浦秀人さん(72)は「残念でならないし、怒りさえ覚える。福島の惨状を繰り返さないためには原発を止めなければいけない」と話した。四電は「伊方原発3号機の安全性は確保されているとのこれまでの主張が認められた妥当な決定」とのコメントを出した。
(5)伊方原発をめぐっては、広島高裁が昨年12月、熊本県の阿蘇山が過去最大規模の噴火をした場合、「火砕流が到達する可能性が小さいとはいえない」として運転を差し止める決定を出した。しかし、今年9月に同高裁の異議審で取り消され、四電は10月に運転を再開している。原発をめぐる仮処分申し立てでは、福井地裁が2015年4月、大津地裁が16年3月、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の運転を差し止める決定を出したが、その後の異議審や抗告審で決定は取り消されている。
(森下裕介)



by asyagi-df-2014 | 2018-11-15 15:40 | 書くことから-原発 | Comments(0)

九州電力による太陽光発電の出力制御は、「九州の太陽光の『潜在力』が示された」、と捉えればいいのか。

 九州電力による太陽光発電の発電抑制について、朝日新聞は2018年10月13日、次のように報じていた。


(1)九州電力は13日午前、再生可能エネルギー事業者の太陽光発電を一時的に止める「出力抑制」を開始した。九電の送電網につながる約2万4千件の太陽光発電事業者のうち9759件が対象になる。出力抑制は離島を除き、国内で初めて。
(2)今回の出力抑制は、発電と需要の需給バランスが崩れて、大規模な停電に陥るのを防ぐため。国のルールに基づき、最大43万キロワットを抑える計画。午前9時から午後4時の間で、電力の需給に応じて九電が遠隔操作で送電網から切り離す。
(3)この日は晴れて太陽光の発電量が増え、原発などの電力も含んだ供給力は、正午から30分の間に1293万キロワットになる見通し。一方、秋の過ごしやすい気温で冷房などの電力の使用量が減り、需要は828万キロワットにとどまりそうだ。送電線でほかの地域に送るなどの調整をしたうえでも余った電力を抑える。
(4)九州では太陽光発電が盛んなうえ、この夏までに原発4基(計414万キロワット)も再稼働し、電力の供給力が高まっていた。余った電力をどう有効に生かすかが課題になっている。九電は14日にも出力抑制を行う可能性がある。
(山下裕志)


 原発4基を再稼働させてきた九州電力の、今回のあり方については、怒りしかない。
一方、東京新聞(以下、「東京」)は2018年10月20日、「九州の太陽光 『潜在力』が示された」、とその社説で切り返した。
 こうした見方もできるのかと、改めて感心している。
「東京」は、軽やかに次のように論じる。


(1)九州電力が太陽光発電の出力制御に踏み切った。原発の電気が最優先、お日さまは後回しということだ。それにしても電気が余って困るとは-。この国の豊かな潜在力。生かさない手はないのだが。
(2)何とも不思議、というより非常にもったいない。
(3)全国に先駆けて、原発四基を再稼働させた九州電力。好天で送電線の空きが少なくなったため、太陽光による電気の受け入れを一時取りやめるという事態になった。電力小売りが自由化されても、既存の大事業者による送電網の独占状態は続いている。電力会社が過剰と判断すれば、せっかく発電可能な電力をむだにするしかないのである。


 「東京」は、切り込む。


(1)少なくとも一つ、明らかになったことがある。日本は、未来の「エネルギー大国」になり得るということだ。長い間、この国は「資源小国」と言われてきた。石油、石炭の時代が続いていたからだ。そのために、原子力を「準国産エネルギー」ということにして、原発を優遇し続けてきた。だがこの国では、太陽こそ「純国産エネルギー」。太陽光は無限にあって、しかもただ。その上、火山の多い九州は地熱資源も豊かな半面、原発にはとりわけ不向き。本来、自然エネルギー活用で世界をリードすべき土地柄ではないのだろうか。
(2)ではなぜ、太陽光の電力が“制御”されてしまうのか。
(3)「原発の電気を最優先で送電網に流しなさい」とする、国のルールがあるからだ。再生可能エネルギーを主力にすると言いながら、旧態依然の“原発びいき”。「純国産」を普及するには、これをまず改めるべきではないか。
(4)「自然エネルギーは天候に左右されるので、不安定だ」と言われるが、日本は南北に細長く、気象条件もさまざまだ。例えば、北海道や東北には風が豊富にある。風はお日さまが沈んだ後も吹く。全国各地の“埋蔵資源”を開発し、調整力を高めて、融通、補完し合う。集中から分散、そして連携へ-。既存のインフラを基にして、そんな新たなシステムを構築できれば、「エネルギー大国日本」も絵空事とは思えない。
(5)もちろん送電網の大幅な増強が不可欠だ。コストはかかる。しかし、安全対策から廃炉、核のごみの処分まで、原発の方がよほど“金食い虫”だ。石油や石炭の輸入も減る。そう考えれば、決して損な投資ではないはずだ。


 「東京」の指摘は、日本のエネルギー政策の転換を、「既存のインフラを基にして、そんな新たなシステムを構築できれば、『エネルギー大国日本』も絵空事とは思えない。」、と本気で謳いあげる。
九州電力の今回の行為は、九州という大地の可能性を、「太陽こそ『純国産エネルギー』。太陽光は無限にあって、しかもただ。その上、火山の多い九州は地熱資源も豊かな半面、原発にはとりわけ不向き。本来、自然エネルギー活用で世界をリードすべき土地柄ではないのだろうか。」、ということを示したというのである。
確かに、変換の時は来ている。



by asyagi-df-2014 | 2018-10-30 07:14 | 書くことから-原発 | Comments(0)

九州電力の太陽光発電抑制て何なの。

 朝日新聞は2018年10月12日に、表題について次のように報じた。


(1)九州電力は12日、太陽光など再生可能エネルギーの発電事業者に一時的な発電停止を求める「出力抑制」を、13日に実施することを決めた。離島を除き、国内初の抑制に踏み切る。原発4基を再稼働させていることもあり、増える太陽光の電力を受け入れきれないと判断した。
(2)12日の午後4時ごろから、停止を求める事業者に電話やメールで周知を始めた。九電は同日夜、報道関係者向けに説明する。
(3)13日は好天が予想され太陽光の発電量が伸びるとみられる。一方、工場の稼働が減り、秋の過ごしやすい気温で冷房などの電力の使用量は落ち込むことが想定される。そのため電力の需要と供給のバランスをとるのが難しくなると考えた。午前9時~午後4時の間、43万キロワットを抑制する。
(4)電力はためることが難しく、常に需要と供給を一致させる必要がある。このバランスが崩れると、電力の周波数が乱れ、故障を防ぐために発電所が停止し大規模な停電につながるとされる。九電は14日にも、出力抑制を実施する可能性があるとしている。13日午後に最終判断し、事業者に通知する。実施する場合、13日の対象とは別の事業者を選ぶ。今後も、電力需要の低下する休日には出力抑制を行うケースが想定される。九電はその度に、停止回数が均等になるように対象の事業者を選ぶという。
(5)日照条件に恵まれた九州では、すでに800万キロワット程度の太陽光発電が接続されている。昨年の夏場に記録したピーク時の需要(1600万キロワット弱)のおよそ半分に当たる。
(6)さらに九電はこの夏までに、原発4基(計414万キロワット)を再稼働させた。国のルールは原発を「ベースロード電源」として優遇し、出力を抑えるのは太陽光や風力より後になっている。国は、原子力は発電量のこまめな調整が難しく、火力などより燃料費は安いとみているためだ。
(山下裕志)


 確かに、「国のルール」が問題だ。でも、九電さん、迷惑をかけないのは、原発を止めることだけど。




by asyagi-df-2014 | 2018-10-14 13:09 | 書くことから-原発 | Comments(0)

水俣病は、終わっていないということ。(2)-朝日新聞20180930-

 水俣病は、1968年9月26日に政府が水俣病を公害と認定してから50年の節目を迎えた。
「水俣病は終わっていない」ということの確認のために、朝日新聞(以下、「「朝日」」)の社説を見る。
 「朝日」は2018年9月3026日、「公害認定50年 『水俣病』は終わらない」、と社説で論評した。
まず、「朝日」は、「水俣病は終わっていない」ことがもたらしている今日の状況を、「熊本と新潟で発生した水俣病を、政府が『公害病』と認定してから50年になる。これだけの長い時間が経ったにもかかわらず、いまも訴訟が続き、患者に対する心ない中傷と差別、そして補償の有無や金額をめぐる対立・葛藤が、地域に暗い影を落とす。」、と描き出す。
 次に、この影の正体を、次のように指摘する。


(1)認定は68年9月26日。熊本で患者の発生が最初に報告(公式確認)されてから、実に12年が過ぎていた。原因企業のチッソはこの年の5月まで、大量のメチル水銀を不知火海に排出し続けた。対応の遅れは膨大な患者を生み、昭和電工による新潟水俣病の被害ももたらした。
(2)認定時に政府がとりまとめた見解にあらためて目を通すと、事実に基づかない、きわめて不誠実な内容に驚く。
(3)水俣湾内の魚介類を食べることを禁止し、チッソ工場の排水処理施設を整備したことによって、患者は60年以降出ていないとして「終息」を宣言。補償問題も民事上の和解が成立しているとして、幕引きを図った。
(4)だが摂食禁止は有名無実で、施設も水銀を完全に除く機能はなく、汚染は止まらなかった。和解も、圧倒的に強い立場のチッソが、新たな要求はしないと患者に約束させたうえで低額の見舞金を支払う内容で、73年に熊本地裁が「公序良俗に反する」と述べ、無効とした。その後も新たな患者の存在が次々と明らかになり、現在、新潟を含む全国の裁判所で1500人以上が被害を争い、水俣病と認定するよう申請している人は2千人にのぼる。


 この上で、「朝日」は、「『終息』にほど遠い状況を作りだした大きな原因は、行政のかたくなな態度にある。」、と断じる。
 また、次のことを日本政府に突きつける。


(1)患者の認定制度は対象を絞り込む装置として機能し続け、最高裁が幅広く救済する判決を言い渡しても、政府は基準を見直さない。このため司法に助けを求める動きが繰り返される。
(2)被害の実態も本当のところはわかっていない。民間医師団が自分たちの検診活動の結果と政策とのギャップに驚き、住民たちの広範な健康調査の必要性を訴えても、政府が一切応じないからだ。高齢になって症状の悪化を訴える被害者は少なくないが、その日常を支える体制も十分とはとても言えない。
(3)人の生命や健康よりも産業の振興が優先され、政官産学のもたれ合いの中で真相が覆い隠される。それが水俣病の歴史だ。そしてそのゆがんだ構造は、克服されないまま日本社会の中に厳然としてある。


 「朝日」は最後に、やはり、「公害病認定から半世紀。『水俣病』は終わっていない。」、と。


 確かに、「水俣病は終わっていない」ことの原因は、日本政府の不誠実さにある。




by asyagi-df-2014 | 2018-10-07 07:02 | 書くことから-原発 | Comments(0)

今回の広島高裁伊方原発の再稼働容認は許されない。(2)

 広島高裁は、2018年9月25日、2017年12月に判断した四国電力伊方原発3号機の「運転差し止め仮処分決定」を取り消した。
 この高裁の判断について、今回は、東京新聞(以下、「東京」)-伊方運転容認 “常識”は覆されたのに-の社説で、捉える。


 「東京」は、まず最初に、「四国電力伊方原発の運転差し止め決定が、同じ広島高裁に覆された。しかし例えば、どの原発の直下でも巨大地震は起こり得るという北海道地震の新たな教訓は、十分に考慮されたと言えるのか。」、とこの高裁判断を批判する。
 また、「東京」は「福島第一原発事故後、高裁レベルとしては初の運転差し止め決定は、いともあっさり覆された。」と続け、この判断の問題点を指摘する。


(1)今回、広島高裁は「大規模な破局的噴火が起きる可能性が根拠を持って示されておらず、原発に火砕流が到達する可能性は小さい」と指摘した。昨年末とは真反対。「運転期間中に破局的噴火を起こすという可能性は極めて低い」と強調する四国電力側の主張をそのま受け入れた形である。
(2)争点は火山だけではない。原発が耐え得る地震の強さについても、住民側は「過小評価」だとして争った。この点に関しても「詳細な調査で揺れの特性などを十分把握した」とする四国電力側の評価が判断の基本にあるようだ。


 したがって、「東京」は次のように批判を加える。


(1)だがたとえそうだとしても、それらは過去の知見になった。北海道地震が、地震そのものの“常識”をご破算にしたのである。
(2)これまで、地震に対する原発の安全性は、重要施設の直下に活断層があるか否かが、基準にされた。ところが活断層のあるなしにかかわらず、原発の直下でも震度7の大地震が起こり得るということを、北海道地震は知らしめた。
(3)活断層の存在は一般に地表に現れる。だが、北海道地震の震源は、今の科学では見つけようのない地中に埋もれた断層だった。北海道で起こったことは、日本中どこでも起こりうる。地震に対する原発の規制レベルも大幅に引き上げるべきだということだ。


 だからこそ、「毎日」は、次のように断じる。


「地震国日本は、世界有数の火山国。巨大噴火は予知できないというのは、それこそ学会の常識だが、大噴火のリスクに対する考え方も、そろそろ改めるべきではないか。“活断層なき大地震”の教訓が十分に反映されていない以上、古い地震科学や社会通念に基づいて原発の再稼働を認めることは、あまりに危険と言うしかない。」


 確かに、「3.11」は、日本という国が「偏った知見」に寄りかかることの危険性を知らしめたのではなかったのか。
「北海道地震が、地震そのものの“常識”をご破算にしたのである。」(「東京」)という新しい知見を得てしまった以上、今どの地点に立つのか、は明らかではないのか。
「東京」の主張を、あらためて再掲する。
「地震国日本は、世界有数の火山国。巨大噴火は予知できないというのは、それこそ学会の常識だが、大噴火のリスクに対する考え方も、そろそろ改めるべきではないか。“活断層なき大地震”の教訓が十分に反映されていない以上、古い地震科学や社会通念に基づいて原発の再稼働を認めることは、あまりに危険と言うしかない。」




by asyagi-df-2014 | 2018-10-05 07:03 | 書くことから-原発 | Comments(0)

今回の広島高裁伊方原発の再稼働容認は許されない。(1)

 広島高裁は、2018年9月25日、2017年12月に判断した四国電力伊方原発3号機の「運転差し止め仮処分決定」を取り消した。
 この高裁の判断について、毎日新聞(以下、「毎日」)-伊方原発の再稼働容認 リスクを直視していない-の社説で、捉える。

 「毎日」は、「高裁はきのう、昨年12月に出した四国電力伊方原発3号機(愛媛県)に対する運転差し止めの仮処分決定を取り消した。四電の異議を認めたもので、四電は再稼働に向け準備を始めた。」とはじめ、「同じ広島高裁が、1年もたたないうちに正反対の結論を出した。」、と言い切る。
 また、「毎日」は、今回の高裁の判断の問題点について、次のように指摘する。


(1)伊方から約130キロの距離にあり、9万年前に超巨大噴火を起こした阿蘇山(熊本県)のリスク評価が焦点だった。火砕流が山口県にまで達し、世界最大級の陥没地形(カルデラ)を形成したことから、破局的噴火とも呼ばれる。
(2)12月の決定は、原子力規制委員会の審査の手引書「火山影響評価ガイド」を厳格に適用し、「過去の破局的噴火で火砕流が到達した可能性が十分小さいとはいえない」として差し止めを命じていた。これに対し異議審では、巨大噴火の予知が困難なことを前提に「自然災害の危険をどの程度まで容認するかという社会通念を基準に判断せざるを得ない」と指摘した。
(3)国が破局的噴火のような災害に具体的対策を取っておらず、国民の大多数も格別に問題視していないとも言及して、破局的噴火が起きるリスクを火山ガイドの適用範囲から除外。立地に問題ないと判断した。だが、司法には国民一般が問題視していないリスクに警鐘を鳴らす役割もあるはずだ。破局的噴火のような巨大なリスクをどう評価するかについては、今回の広島高裁同様、判断が分かれているのが実情だ。さらなる議論が必要だろう。


 「毎日」は、「伊方原発は、大地震の恐れや地形条件などの点で、問題が多い場所に立地していると指摘されてきた。施設の近くには国内最大級の断層『中央構造線断層帯』が走り、想定を超える揺れが襲う危険性がある。また、細長い佐田岬半島の付け根付近に原発があり、半島に住む約4700人の避難経路が寸断されることが危ぶまれている。」という問題に、「決定はそうしたリスクを直視していないのではないか。」、と疑問を呈する。 この上で、「四電は伊方原発を主力に据え、再稼働できないと赤字が膨らむと主張する。しかし原発頼みの姿勢に固執すれば、万一の際の電力の安定供給にも不安を残しかねない。慎重に検討すべきだ。」、と断じる。


 ここでもまた、「巨大噴火の予知が困難なことを前提に「自然災害の危険をどの程度まで容認するかという社会通念を基準に判断せざるを得ない」と指摘した。」(「毎日」)との「社会通念」が立ちはだかる。
 この「社会通念」には、日本人が「3.11」とどのように立ち向かえるのかという真摯な理念ではなく、安易で迎合的に権力にすがりつく姿勢しかない。



by asyagi-df-2014 | 2018-10-04 05:56 | 書くことから-原発 | Comments(0)

大分地裁民事第1部は、伊方原発運転差止仮処分申請について、住民の請求を退けるという不当な決定を行った。

 2018年9月28日、大分地裁民事第1部(佐藤重憲裁判長、伊藤拓也裁判官、工藤優希裁判官)は、伊方原発運転差止仮処分申請について、住民の請求を退けるという不当な決定を行った。
 伊方原発運転差止大分裁判弁護団は、同日、「弁護団声明(大分地裁仮処分決定を受けて)」を発表した。
この大分地裁民事第1部の決定の問題点を弁護団声明で確認する。
まずは、この決定の骨子をみてみる。
その主文は、「1 第1事件及び第2事件の各債権者らの申立てをいずれも却下する。」及び「2 申立費用は,第1事件及び第2事件の各債権者らの負担とする。」、とされている。
 また、その決定の理由は、次のようになっている。


(1) 本件においては、審理・判断方法が問題となっているほか、 ①新規制基準の策定上の手続等及び規定内容等の合理性、 ②地震に対する安全性確保対策の合理性、③ 耐震設計における重要度分類の合理性、④使用済燃料ヒット等の安全性、⑤地すべりと液状化現象に対する安全性、⑥火山事象に対する安全性確保対策の合理性、⑦ シビアアクシデシト対策の合理性、⑧住民避難計画の合理性が主たる争点となっている。
(2)当裁判所は、基本的には、債務者が、新規制基準の内容に不合理な点がないこと及び本件原発が新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断に不合理な点がないこと、ないしその調査,審議及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落がないこと(専門的な知識を必要とする事柄について,その分野の知見に照らし、無理のない思考に基づいて適合性判断がされていること)を,債権者らによる指摘を踏まえ、相当の根拠,資料に基づき、主張疎明する必要があり,裁判所はこのような観点から審理・判断すべきであると解した上、債務者において,各争点に関して上記不合理な点がないこと等の疎明があると判断するなどし,結論として、本件申立ては,被保全権利である人格権に基づく妨害予防請求権についての疎明を欠き,理由がないとして、これをいずれも却下することとした。
   

 大分地裁民事第1部の決定は、どうやら、次のようになる。

(1)原子力規制委員会の新規制基準の内容に不合理な点がないこと。
(2)本件原発が新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断に不合理な点がないこと。また、原子力規制委員会の調査,審議及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落がないこと。
(3)よって、本件申立ては,被保全権利である人格権に基づく妨害予防請求権についての疎明を欠き,理由がないとして、これをいずれも却下することとした。


 この決定に対して、伊方原発運転差止大分裁判弁護団は声明で、次のように、厳しく批判を加えている。


Ⅰ.大分地裁民事第1部の決定の(1)(2)の判断に対して、「大分地裁の裁判体は、期日においても積極的に原発の危険性について審理しようという姿勢が著しく欠如していた。決定内容は、その姿勢を反映したものであり、四国電力株式会社の主張を鵜呑みにし、新規制基準と適合判断の合理性をほとんど無批判に認めるものとなっている。結論ありきの形だけの審理しか行わず、司法としての本来の責務を放棄したものといわねばならない。」、と反論する。
Ⅱ.特に、(1)に関して、「3日前の広島高裁決定でさえ、火山ガイドの不合理性が改めて認定されたにもかかわらず、大分地裁は原子力規制庁が作成した『原子力発電所の火山影響評価ガイドにおける【設計対応不可能な火山事象を伴う火山活動の評価】に関する基本的な考え方について』に沿って、火山ガイドの合理性を肯定した点は、権力側に追従しようという姿勢を如実に示すもので、断じて承服できない。」、と批判する。
Ⅲ.「3.11」がもたらしたのものは、「福島原発事故から7年半が経過しても,帰還困難区域は7市町村に及び,最も離れた地域は原発から30km以上離れている。避難指示が解除された地域でも、帰還する者は少なく、復興には程遠い現状である。甲状腺がん若しくは悪性疑いと判定された福島県内の事故当時18才以下だった子どもは、現在確認されているだけでも211人にのぼり、そのうち175人は既に手術がなされている。」、との実体が現実に残されていること。また、「大分県には伊方原発から40数kmしか離れていない地域もある。しかも間には瀬戸内海が広がり、放射性プルームを遮るものがない。ひとたび伊方原発で過酷事故が起これば、大分県にも甚大な被害が及ぶ危険性が十分にある。」、との伊方原発をめぐる大分県の実体を指摘する。
 Ⅳ.さらに、「特に地震や噴火などの複合災害時には,住民が安全に避難できる保証はまったくない。」、と。
Ⅴ.結局、「大分県民は,伊方の地に原発が建設されることを望んだことはなく、,その経済的な恩恵を受けたこともない。それにもかかわらず,伊方原発のリスクだけを引き受けなければならないのは、明らかに理不尽である。」、と断じる。


  伊方原発運転差止大分裁判弁護団は声明の最後で、「私たちは、大分県民が無用な被ばくや避難を強いられることなく、この恵み豊かな郷土を次の世代に繋いでいけるよう、今後も伊方原発の危険性を訴えていく。」、と結んでいる。


 日本の司法に対する苛立ち・不信感は、「大分県民は、伊方の地に原発が建設されることを望んだことはなく、その経済的な恩恵を受けたこともない。それにもかかわらず、伊方原発のリスクだけを引き受けなければならないのは、明らかに理不尽である。」との本来の生活者からの訴えを無視し、「四国電力株式会社の主張を鵜呑みにし、新規制基準と適合判断の合理性をほとんど無批判に認めるものとなっている。」との政治的権力への迎合や大企業のための経済的利潤追求手段の確保に安易に走るその実体にある。
大分地裁民事第1部の決定は、まさしくその典型である。
だとしたら、大分裁判弁護団の「私たちは、大分県民が無用な被ばくや避難を強いられることなく、この恵み豊かな郷土を次の世代に繋いでいけるよう、今後も伊方原発の危険性を訴えていく。」、との決意に繋がるしかない。
この伊方原発の危険性を改めさせ、日本の司法の危うさを裁判官の薄ら笑いを越えていくために、ともに、本訴に参加しよう。



by asyagi-df-2014 | 2018-10-01 06:06 | 書くことから-原発 | Comments(0)

大分地裁は、住民側の申し立てを却下する決定で3号機再稼働を容認。

 大分合同新聞は2018年9月29日、表題について次のように報じた。


(1)大分県内の住民4人が四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求めた仮処分申請で、大分地裁は28日、住民側の申し立てを却下する決定をした。佐藤重憲裁判長は、東京電力福島第1原発事故後に導入された原発の新規制基準や地震、火山噴火に対する四国電の対策に「不合理な点はない」と、同機の再稼働を容認する判断を示した。住民側は福岡高裁に即時抗告する方針。
(2)伊方3号機は約130キロ離れた阿蘇山の巨大噴火リスクを理由に運転を禁じた昨年12月の広島高裁の仮処分決定を受けて停止していた。その判断も25日の異議審決定で覆り、運転再開が可能になった。大分地裁も追認し、10月27日の再稼働に向けて準備を進める。
(3)審理では▽新規制基準の合理性▽耐震設計の基準となる揺れ「基準地震動」の妥当性▽阿蘇山の巨大噴火のリスク―の3点が主な争点になった。
(4)決定理由で佐藤裁判長は、新規制基準が「専門性、透明性、中立性が確保された上で策定され、合理性が認められる」と指摘した。原発近くを通る国内最大級の活断層「中央構造線断層帯」などの影響を過小評価しているという住民側の主張に対しては、四国電の計算手法や規制委の審査結果に「不合理な点はない」と判断した。噴火リスクを巡っては、国の原子力規制委員会の審査内規「火山影響評価ガイド」を合理的だと認定した。巨大噴火について、原発運用期間中の発生が差し迫っているといえなければ「危険性は社会通念上、無視できる」との考えを提示。阿蘇山で運用期間中に発生する可能性は低いとする同社の主張を支持した。
(5)住民側は2016年6、7月に仮処分を申請。今年5月までに計12回の審尋が開かれた。同種仮処分の裁判は高松高裁と山口地裁岩国支部でも続いている。
(6)大分地裁では仮処分と並行して差し止め訴訟も継続中。大分県民514人が原告となり、住民運動による裁判としては同地裁で過去最大規模に発展している。



by asyagi-df-2014 | 2018-09-29 18:10 | 書くことから-原発 | Comments(0)

広島高裁は、広島高裁の仮処分決定について、四電の保全異議を認め、決定を取り消した。

 朝日新聞は2018年9月25日、表題について次のように報じた。


(1)四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を差し止めた広島高裁の仮処分決定について、広島高裁(三木昌之裁判長)は25日、四電の保全異議を認め、決定を取り消した。四電はこれを受け、停止中の伊方原発の運転再開に向けた準備に入る。
(2)異議審では、阿蘇山(熊本県)の噴火リスクへの判断が焦点だった。決定で三木裁判長は、約9万年前と同規模の破局的噴火への対策を四電側がとることができるかについて、「現在の知見では、その前ぶれとなる現象を的確にとらえることはできず、具体的予防措置を事前にとることはできない」と指摘。「破局的噴火が伊方原発3号機の運用期間中に発生する可能性が相応の根拠をもって示されているとは認められない」として、「具体的な危険は存在しないことが証明された」と結論づけた。
(3)仮処分を申し立てたのは広島市と松山市の住民4人。広島地裁は昨年3月、住民側の申し立てを退けた。だが、広島高裁は昨年12月、これを不服とした住民側の即時抗告を認め、運転を差し止める決定を出した。伊方原発から約130キロ離れた阿蘇山が過去最大規模の噴火をした場合、火砕流の影響を受けないとはいえず、原発の立地は不適切と判断した。
(4)この決定に対して四電が申し立てた異議審で、四電は「過去最大規模の噴火を起こすようなマグマだまりはなく、大規模な噴火の可能性は十分小さい」とし、伊方原発に火砕流が届く可能性も小さいと主張した。一方、住民側は四電の説明に合理性が欠けるなどと反論していた。
(5)阿蘇山の噴火リスクをめぐっては、佐賀地裁が今年3月、九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県)の再稼働差し止めを求めた住民らの仮処分申し立てを却下している。地裁は決定で「具体的な危険はない」と判断した。
(新谷千布美)




by asyagi-df-2014 | 2018-09-25 20:16 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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