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沖縄タイムス記者阿部岳の「大弦小弦」は、「弾圧の順番」だった。

 沖縄タイムス記者阿部岳(以下、阿部)の「大弦小弦」(2019年8月26日))は、「弾圧の順番」だった。
 どこかで聞いた話であるが、違うのは、実は差し迫った状況だということ。
 「ドイツの牧師マルティン・ニーメラーは「ナチスが最初共産主義者を攻撃した時」で始まる警句を残した。「私は声を上げなかった。私は共産主義者ではなかったから」。次に社会主義者、労組と弾圧が広がる」、と阿部の話は始まる。
 どこかまで意識できているかと、阿部は問う。
 このように。


(1)日本も労組が標的になる段階まできた。生コン車の運転手らでつくる連帯ユニオン関西地区生コン支部、通称「関生(かんなま)」。組合員らの逮捕は延べ85人、委員長と副委員長の勾留は28日で1年になる
(2)警察と検察は労使交渉を「強要」とみなすなど、憲法が保障する組合活動自体を罪に問う。取調室では「関生を削っていく」と宣言したという。ナチスを礼賛する差別主義者が、ネットと街頭で唱和する
(3)弁護団は、今や少なくなった「闘う組合」が狙われたとみる。関生は生コン価格を上げさせ、大企業の権益を脅かしてきた。だから弾圧される。国策に抗する辺野古や高江とも共通点がある
(4)沖縄で抗議に加わったことがある組合員も今回起訴された。「社会の片隅に置かれた感じ。沖縄と同じで誰も関心を持ってくれない」。メディアも問題視しない


 だから、阿部は、「強制収容所から生還したニーメラーの警句は『彼らが私を攻撃した時、私のために声を上げる者は誰一人残っていなかった』と結ばれる。『私は関生とは違う』と理由を探し、口をつぐむ人にもいつか権利を奪われる番が来る。」、と一人一人に警告する。



by asyagi-df-2014 | 2019-09-07 07:04 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

この時期に、「消費税引き上げ10%増税は見合わせるべきだ」、と主張した。

 何と、琉球新報(以下、「新報」)が2019年9月2日の社説で、「消費税引き上げ10%増税は見合わせるべきだ」、と主張した。
 実は、この見出しを何度も見てしまった。
例えば、毎日新聞(以下、「毎日」)は2019年9月1日の社説で「消費増税まで1カ月 暮らし混乱させぬ準備を」、と示していた。
「毎日」の見解は、次の4つにまとめられるが、要は、「増税による景気への悪影響を抑える効果も見込める。日本は消費が弱いだけに重要性は一段と増す。」「欧州では軽減税率で市民生活が大きく混乱したとの話は聞かない。日本でも早期定着を図ってほしい。」、とこの増税を受け入れている。

①税収が景気に左右されにくい消費税は、高齢化が進む社会の貴重な財源だ。
②低所得者ほど負担が重い逆進性という課題を抱える。
③生活必需品対象の軽減税率は日々の買い物の痛税感を和らげ、低所得者の負担を軽くする。消費税率20%前後の欧州では広く定着している。
④増税による景気への悪影響を抑える効果も見込める。日本は消費が弱いだけに重要性は一段と増す。

「毎日」は手続や準備をしっかりやれと政府に言っているようで、実は、国民に受け入れろと言っているのである。


しかし、「新報」は、どうやら違うことを主張するのである。
「新報」は、沖縄の現在の様子を示す。


(1)10月1日に予定されている消費税率10%への引き上げまで1カ月を切った。だが家計の負担増や景気への悪影響が懸念され、慎重意見や反対論は根強いままだ。
(2)今回の引き上げは、外食・酒類を除く飲食料品などの生活必需品について税率を8%に据え置く軽減税率が導入されることが大きな特徴だ。商品によっては8%と10%の二つの税率が存在することになるが、税率区分などの制度は複雑であり、企業などの準備も十分とは言えないようだ。
(3)小売店は複数の税率に対応するためにレジを更新しなければならない。だがレジ生産が追い付かず、県内でも販売業者が注文受け付けを停止せざるを得ない状況だという。レジの更新が間に合わない場合、税率ごとに料金を計算しレシートや領収書は手書きで対応する必要がある。経理や税申告にも支障が生じる。
(4)さらに不安なのは来店客への周知、対応だろう。飲食料品は軽減税率の対象だが、例えば店内のイートインコーナーで飲食すると外食扱いで10%になる。みりん風調味料は食品で8%だが、本みりんは酒類扱いで10%だ。
(5)共同通信社が8月中旬に実施した全国電話世論調査によると軽減税率制度を「あまり理解していない」「ほとんど理解していない」の合計が約44%に上った。消費者に制度が浸透しているとは言えず、店頭での混乱も心配される。


 また、「新報」は、沖縄の立場から増税の問題点を確認することになる。


(1)増税に伴う景気の腰折れ懸念も払拭(ふっしょく)できないままだ。
(2)2014年の8%への消費税率引き上げでは景気低迷が長引いた。政府は今回、経済の冷え込みを防ぐため、キャッシュレス決済時のポイント還元や低所得者ら向けのプレミアム付き商品券などの景気対策を実施する。
(3)これら景気対策には「大盤振る舞い」との批判があるが、一方でポイント還元策などの消費下支え効果を疑問視する見方もある。米中貿易摩擦に伴う輸出低迷や円高進行、人手不足など、さまざまリスクを抱える時期での増税の是非自体を問う声は消えない。
(4)消費者心理が冷え込めば沖縄の主力産業である観光への波及も避けられない。専門家は県内の賃金・雇用環境への影響にも警鐘を鳴らしており、留意する必要がある。


 最後に、「新報」は、次のようにまとめる。


(1)政府は増税について年金などの社会保障費や幼児教育・保育の無償化の財源になると説明するが、そもそも消費税は低所得者ほど負担が重くなる「逆進性」の課題を抱える。軽減税率も高所得者ほど恩恵は大きい。困窮者らにさらなる家計負担を強いるような増税の在り方には大いに疑問がある。
(2)8月中旬の全国調査では10%引き上げに反対が51・3%と賛成の43・3%を上回った。野党は増税中止や減税を求めている。消費税を引き上げる状況にはない。増税は見合わせ、法人税や所得税とのバランスを含めて税制全体を議論し直すことが必要だ。


 結局、「新報」は、①「困窮者らにさらなる家計負担を強いるような増税の在り方には大いに疑問がある。」、②「消費税を引き上げる状況にはない。」、③「増税は見合わせ、法人税や所得税とのバランスを含めて税制全体を議論し直すことが必要だ。」、との理由から、「消費税引き上げ10%増税は見合わせるべきだ」、とこの時期に主張するのである。


 さて、この「新報」と「毎日」の違いは、どこから来るのだろうか。
 恐らく、「新報」の記者は、小さなお店に張り付いているのであろう。そのお店の主の愚痴や抗議に日常的に付き合わされている様子が浮かぶ。
 でも、当然、10月1日以降の小さなお店の混乱ぶりや怒りをを記事にしてくれることになるだろ。
 もちろん、ひどい目に遭わされている人達の姿も。



by asyagi-df-2014 | 2019-09-03 06:34 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

地盤改良有識者会議は安倍晋三政権のごり押し常套手段。

 沖縄県名護市の辺野古新基地建設をめぐり、安倍晋三政権は、埋め立て予定海域の大浦湾側に広がる軟弱地盤の改良工事について、土木工学の専門家らでつくる有識者会議を設置するという。
このことについて、沖縄タイムスは2019年8月24日、次のように伝えた。


(1)政府は、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、埋め立て予定海域東側で見つかった軟弱地盤の改良工事に向け、土木工学など専門家らによる有識者会議を設置する方針を固めた。9月上旬に東京都内で初会合を開く。政府関係者が23日、明らかにした。識者から地盤改良工事の技術的な提言を受けることで工事の正当性を強調し、工事に反対する県の主張に対抗する構えだ。
(2)改良工事は、砂を締め固めたくい約7万7千本を海底に打ち込み、地盤を強化する工法で、政府は3年8カ月かかると試算している。有識者会議の結論を根拠に、移設工事の設計変更に反発する県に対し「科学的なお墨付きを得た」として、正当性を主張する狙いがあるとみられる。
(3)県は昨年8月、軟弱地盤が見つかったことなどを理由に辺野古沿岸部の埋め立ての承認を撤回した。沖縄防衛局は、対抗措置として行政不服審査法に基づく審査請求を申し立てて、国土交通相は今年4月に撤回を取り消す裁決をした。
(4)政府は、年内にも改良工事の設計変更をまとめる方針。その後、県に申請する見込みだが、手続きは年明け以降にずれ込む可能性がある。ただ、玉城デニー知事は申請を認めない方針だ。また、政府は県が進める辺野古新基地建設に関する二つの訴訟にも対応を迫られており、有識者会議が迅速に結論を出せば、一連の司法闘争にもこうした動きが影響を与えそうだ。
(5)こうした政府の動きに対し、県幹部は「軟弱地盤が判明し、防衛局は技術的な検討を今ままでもしてきたはずだ。今更何を検討するのか分からないが、お墨付きを得て変更申請をした後に県が拒否しづらい環境をつくりたいのだろう」と静観する。


 この記事を沖縄の二紙で目にした時、すぐに浮かんだのは、「この会議は安倍晋三政権得意のごり押し常套手段ではないか」、ということだった。
 このことに関して、琉球新報(以下、「新報」は2019年8月25日、「地盤改良有識者会議 結論ありきではないのか」、と社説で論評した。
 「新報」の指摘を見てみる。


(1)名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府は埋め立て予定海域の大浦湾側に広がる軟弱地盤の改良工事について、土木工学の専門家らでつくる有識者会議を設置する。9月上旬にも東京都内で初会合を開くという。
(2)識者から地盤改良工事の技術的な提言を得て工事の正当性を強調し、工事に反対する県の主張に対抗しようという意図が見える。
(3)しかし本来、政府が設置する有識者会議は公正でなければならない。辺野古新基地建設のように政府と地元沖縄の意見が対立しているような案件ならなおさらだ。少なくとも、会議に沖縄県が推薦する専門家を入れ、議事録を公表するなどして、公平性と透明性を担保するべきだ。


 「新報」は、この会議の歪な目的に対する疑問と「少なくとも、会議に沖縄県が推薦する専門家を入れ、議事録を公表するなどして、公平性と透明性を担保するべきだ。」、とする理由を次のように示す。


(1)大浦湾の軟弱地盤は、沖縄平和市民連絡会の北上田毅氏らが情報開示請求で入手した沖縄防衛局の地質調査報告書によって2018年3月に発覚した。地盤の強さを示すN値がゼロを示す、「マヨネーズ状」といわれる非常に緩い砂地や軟らかい粘土があることが分かった。大規模な構造物を建設する場合、N値が50程度必要とされ、不足している場合は大規模な地盤改良が必要となる。
(2)県は昨年8月、軟弱地盤が見つかったことなどを理由に辺野古沿岸部の埋め立て承認を撤回した。沖縄防衛局は対抗措置として、行政不服審査法に基づく審査請求を申し立て、国土交通相が今年4月、撤回を取り消す裁決をした。
(3)防衛省が国会に提出した地盤改良に関する報告書では、改良が必要な海域は大浦湾側を中心に73ヘクタールあり、海底に砂ぐい約7万7千本を打ち込む工法を用いる。改良には県への設計変更申請が必要だが、玉城デニー知事は変更を認めない方針だ。
(4)辺野古の埋め立てについては仲井真弘多元知事が承認の条件として国が設置した環境監視等委員会がある。しかし委員会の運営は辺野古の関連工事を請け負う環境建設コンサルタント「いであ」(東京)が担い、しかも同社を含む受注業者から委員に寄付や理事報酬が支払われたことが明らかになった。委員会の中立性は極めて疑わしい。
(5)委員会の副委員長を務めた東清二琉球大名誉教授は「基地建設ありきで大事なことを調査せず、はんこだけで実施している委員会だ。何の意味もない」と指摘して辞任した。議事録も作成しないこのような委員会が公正に役割を果たしているだろうか。軟弱地盤の有識者会議も、専門家の「お墨付き」を得るための結論ありきの存在ではないのか。


 逆に、「新報」は、「そもそも安倍晋三首相は辺野古の地盤改良について『一般的で施工実績が豊富な工法』で可能と述べ、施工のたやすさを強調してきた。しかし一般的な工法なら有識者に改めて意見を聞くまでもないだろう。有識者会議の設置は辺野古新基地建設工事がいかに困難なのかを示した格好だ。」、と断じる。


 これまでの安倍晋三政権の手法は、自らの目的をごり押しするために『有職者会議』等を利用するのが常套手段であった。
 背景には、世論を誘導することによって、違法な強攻策をも辞さない手法を有効にするためである。
 それは、「新報」の「政府が設置する有識者会議は公正でなければならない。辺野古新基地建設のように政府と地元沖縄の意見が対立しているような案件ならなおさらだ。少なくとも、会議に沖縄県が推薦する専門家を入れ、議事録を公表するなどして、公平性と透明性を担保するべきだ。」、との当たり前の意見を無視するためのものでもある。
 『専門家に意見がすでに出ている。』、と。



by asyagi-df-2014 | 2019-08-31 06:11 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

韓国政府の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了をここで考える。

 韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を韓国サイドから見てみる。
ハンギョレは2019年8月24日、「理解できない米国の反応と居直った日本」と社説で論評した。
 また、YAHOOニュ-スは2019年8月21日、中央日報日本語版で「安倍首相の判断ミス…輸出減少は韓国1兆ウォン、日本5兆ウォン」、とこの間のことを伝えた。
ハンギョレの指摘は次のものである。まずは、米国の対応について。


(1)韓国政府が韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了を決めた後、米国が「失望」と「懸念」を込めた論評を出した。米国防総省と国務省は22日(現地時間)、韓国政府がGSOMIAを延長しなかったことについて、「強い懸念と失望を表明する」と発表した。マイク・ポンペオ国務長官も韓国政府の決定に「失望した」という反応を示し、マーク・エスパー国防長官もチョン・ギョンドゥ国防長官との電話会談で「懸念」を表明した。韓国政府の決定に対する不満を露わにしている。
(2)米国がGSOMIAの維持を強く希望してきただけに、このような反応はある程度予期されたものだった。しかし、韓日の対立が最高潮に達するまで、対岸の火事のように手を拱いてきたにもかかわらず、今になって声を荒げる米国の態度には、我々こそが失望させられたと言わざるを得ない。過去の歴史問題を口実に経済報復措置に乗り出した日本に対しては沈黙を守る一方、対抗措置を取った韓国に対しては不満を露わにするのは、同盟に対する正しい態度とは言えない。米国は今からでも、日本の誤った行動について、批判すべきことは積極的に批判しなければならない。


 次に、日本の対応について。


(1)日本がGSOMIAの終了決定に“居直り”ともいうべき無礼な態度を取ることについても、遺憾を覚える。日本側が韓国政府のGSOMIA終了決定を受け、真夜中にもかかわらず、駐日大使を呼んで抗議したのは常軌を逸するものだ。河野太郎外相が「韓国が極めて否定的で非合理的な行動を続けている」と抗議したのも盗人猛々しい行動と言わざるを得ない。河野外相の主張こそがそのまま日本に返さなければならない言葉だ。安倍晋三首相が「韓国が韓日請求権協定に違反するなど、国と国との間の信頼関係を損ねる対応を続けている」と述べたのも、日本の経済報復に対する省察の態度が見られない発言という点で、同じ問題を抱えている。日本は、このような居直りの態度が韓日関係を解決するのに役に立っておらず、韓国国民の反感を高めるだけであることを自覚しなければならない。


 それは、韓国内部の対応についても、「国内政界の一部で、GSOMIAの終了をめぐって、安保危機を誇張していることも見苦しい。自由韓国党のファン・ギョアン代表は『北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)は万歳を叫び、中国とロシアは祝杯をあげながら喜ぶだろう』とし、政府が安保を自ら壊していると主張した。ファン代表が本当に国益に関心があるなら、このような辻褄の合わない発言を慎まなければならない。GSOMIAが終了しても、韓日間の情報交換が減るだけで、韓米同盟自体に問題が生じるわけではないのは保守政界もよく知っているだろう。」、と指摘する。


 ハンギョレは、最後に、「日本が反発し、米国が抗議する状況だが、韓国政府はこのような時であればあるほど、国民を信じて毅然として対処しなければならない。GSOMIAの終了は日本の誤った行動に対する正当な対応であり、韓国の自尊心を守るために避けられない措置だ。政府は原則を守りながら、韓日関係が相互尊重と互恵の中で発展できる案を模索しなければならない。」


 どうやら、ハンギョレは、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了は、「韓国の自尊心を守るために避けられない措置だ」、と捉えている。
また、「韓日関係が相互尊重と互恵の中で発展できる案を模索しなければならない。」、とも。


 一方、中央日報日本語版は、「安倍首相の判断ミス…輸出減少は韓国1兆ウォン、日本5兆ウォン」。とその『事実』を次のように指摘している。


(1)安倍晋三首相の判断ミスだった。日本政府が韓国を相手に経済報復を始めた7月(累計基準)、対日本輸入は対日輸出より大幅に減少したことが確認された。
(2) 韓国貿易協会によると、7月の対日輸出額は167億9100万ドル(約20兆2900億ウォン、約1兆8000億円)だった。これは前年同月比5.4%減。一方、対日輸入額は284億6900万ドル(34兆4100億ウォン)と、前年同月比12.7%減少した。前年と比較すると両国の輸出入の減少は明確に表れた。
(3) 昨年7月の対日輸出額は177億5100万ドル(21兆4600億ウォン)、対日輸入額は326億2200万ドル(39兆4300億ウォン)だった。1年間に日本企業の対韓輸出は5兆200億ウォン減少した半面、韓国企業の対日輸出は1兆1700億ウォン減少した。これは日本企業が韓国企業よりも損失が大きかったと解釈できる。
(4)日本政府は先月4日、高純度フッ化水素など半導体素材3品目の韓国輸出規制を発表した。こうした理由から7月の輸出入統計に関心が集まっていた。日本を相手にした輸入額は輸出額と比較して減少幅が大きい。貿易協会によると、対日輸出は今年2月から先月まで6カ月連続でマイナスとなっている。2月が-2.3%、3月が-6.0%、4月が-6.5%、5月が-5.0%、6月が-6.3%、7月が-5.4%(7月)。
(5) 一方、日本からの輸入は昨年12月から8カ月連続でマイナスとなった。-12.7%(2月)、-14.5%(3月)、-12.3%(4月)、-13.2%(5月)、-13.3%(6月)、-12.7%(7月)だ。
(6)ムン・ビョンキ貿易協会首席研究員は「米国と中国の貿易紛争に世界的な景気減速が重なり、日本を相手にした輸出と輸入が減少したとみられる」とし「日本の経済報復も制限的に影響を及ぼしたようだ」と述べた。
(7) 韓国と日本の貿易減少は日本政府の統計でも確認できる。日本財務省が19日に出した7月の貿易統計によると、韓国に対する輸出額は前年同月比5.9%減の4363億円(4兆9500億ウォン)。日本財務省は「韓国に対する輸出が昨年11月から9カ月連続でマイナスとなった」と伝えた。品目別には原動機が47.4%減少した。半導体など製造装備(-41.6%)、荷役機械(-39.5%)、金属加工機械(-36.6%)の減少幅も大きかった。韓国に対する原料品の輸出も23.4%減少した。一方、化学製品の対韓輸出は前年同月比7.5%増加した。日本財務省は「(輸出制限した半導体素材の)品目分類がないため、これによる輸出減少があったのかは確認できない」と伝えた。


UさんはFBで、「どちらにとっても得るものがない、無意味な消耗戦に持ち込んでしまった安倍さんの判断ミスの代償はあまりに大きいと思う。」、とコメントした。
確かに、このコメントが大枠を捉えているのではないか。




by asyagi-df-2014 | 2019-08-30 07:16 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

伝え続ける責任とは。-沖縄タイムス社説から-

 何を伝えなければならないのか。
 沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2019年8月22日、軍の食料を確保し、戦略の足手まといになる女性や子どもらを立ち退かせるのが目的だった疎開船「対馬丸」の沈没と「乗船者のうち氏名が判明している1484人(2019年8月22日現在)が犠牲になった。うち半数以上の784人が学童だった。」(「タイムス」)との犠牲を伝えた。


(1)アジア・太平洋戦争の最中の1944年8月22日、国の疎開命令で学童ら1788人が乗船した疎開船「対馬丸」が、米潜水艦ボーフィン号の魚雷攻撃で沈められた日から22日で75年を迎える。44年7月、サイパン島で日本軍が玉砕し米軍の沖縄上陸が必至と判断した政府は、沖縄本島などから本土へ8万人、台湾へ2万人を送る疎開命令を沖縄県へ伝えた。疎開は軍の食料を確保し、戦略の足手まといになる女性や子どもらを立ち退かせるのが目的だった。
(2)対馬丸事件の以前にも、沖縄関係者を乗せた船が周辺海域で17隻沈められていたが、軍事機密としてかん口令が敷かれ、県民へ正確な情報は伝わっていなかった。
(3)対馬丸は44年8月21日午後6時35分、学童らを乗せて那覇から長崎へ出発。だが、南西諸島の海域は既に日本の補給路を断とうとする米潜水艦の動きが活発化。日本側の軍事情報は米軍に傍受され、対馬丸の船団もボーフィン号に追跡を受けていた。当時、建造から30年がたった老朽船は速度が遅く、翌22日午後10時12分、鹿児島県悪石島の北西約10キロで魚雷を受け、11分後の同23分に沈没した。
(4)対馬丸記念館によると、乗船者のうち氏名が判明している1484人(2019年8月22日現在)が犠牲になった。うち半数以上の784人が学童だった。


 何を、何故、伝えなければならないのか。
 「タイムス」は同日社説で、「[対馬丸撃沈75年]伝え続ける責任がある」、と示した。
まず最初に、「あまりにも多くの夢、希望、未来が、暗い海にのみ込まれていった。」というその様子を伝える。


(1)集団疎開の学童や一般の疎開者ら1788人を乗せた「対馬丸」が米潜水艦に撃沈されてから、きょうで75年となる。犠牲者は氏名が判明しただけで1484人。そのうち学童は半数以上の784人に上る。「雪も富士山も見ることができる」。修学旅行気分で船に乗り込んだ子どもも多かった。あまりにも多くの夢、希望、未来が、暗い海にのみ込まれていった。
(2)「生と死は紙一重だった」。垣花国民学校4年生だった上原清さん(85)は、あの日、あまりの蒸し暑さに船倉の寝場所を抜けだし甲板で寝ていた。そのため魚雷を受けてもいち早く海に飛び込めた。だが、「そこからが地獄の始まり」。上原さんは年長の少年3人と台風の影響が残る荒波を必死で救命いかだにしがみついた。日中は灼熱の太陽が体中に刺さった。海水を飲んだが、しょっぱくてすぐに吐き出した。体中が熱くなり、氷やアイスケーキを思い浮かべることで、喉の渇きを癒やした。4日間、一滴も水を飲んでいなかった。
(3)「リッカ、シーバイ、ヌマ(おい、小便飲もう)」「ウヌママ、ソーチーネー、シヌンドー(このままだと死んでしまうぞ)」。3、4滴しか出なかったが、手のひらに浸して一気に飲み干した。奄美大島に流れ着くまでの6日間、食べたのは、仲間が素手で捕まえたカワハギ1匹。「4人で分け、刺し身一切れ分だったが生きる希望が湧いた」。生き延びたのは奇跡だった。


 もしかしたら、最大の罪の一つは、被害者に、「体験を語るまでに59年もの時間が必要だった。」もの負い目を負わせてしまったことなのかもしれない。
「タイムス」は、伝える。


(1)対馬丸が長崎向けに那覇港を出港したのは1944年8月21日。7月にサイパンが陥落。米軍の沖縄上陸は必至と判断した日本軍の要請を受け、政府は女性や子ども、高齢者を島外へ疎開させるよう沖縄県に命じた。
(2)軍の食糧を確保し、戦闘の足手まといになる住民を戦場から排除する目的もあった。
(3)対馬丸の沈没は、国策で進めていた疎開を妨げることから軍事機密として厳重なかん口令が敷かれた。県民に正確な情報が伝わらず、生存者は、事実を語れないことに苦しんだ。そして生存者たちは、戦後も「自分だけ助かってしまった」という負い目を抱き生きてきた。
(4)「亡くなった子どもたちのために本当のことを伝えたい」。上原さん自身、体験を語るまでに59年もの時間が必要だった。
(5)対馬丸撃沈は、その後の「10・10空襲」、凄惨(せいさん)な地上戦へと沖縄がのみ込まれていく中で起きた。


 「タイムス」は、「[対馬丸撃沈75年]伝え続ける責任がある」の意味を示す。
「悲劇から75年の歳月が流れた。生存者の語り部は4人。親・きょうだいから次の世代へ遺族の代替わりが進む中、対馬丸記念館は昨年度から遺族宅を訪問し、戦前戦後の暮らしなどを聞き取る作業を始めた。今を生きる私たちに求められているのは『生きたかった』子どもたちの声に耳を澄ませ、戦争を知る努力を怠らないことだ。」、と。
 だからこそ、「悲劇を学び、伝え続ける責任がある。」、と。
このことが、新聞社の責任である、と。




by asyagi-df-2014 | 2019-08-29 07:14 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

「見たくない過去、語ろう」、とは。 

 朝日新聞(以下、「朝日」)の記事が目についた。
「朝日」は2019年8月21日、国際政治学者の藤原帰一の「(時事小言)原爆投下と慰安婦像 見たくない過去、語ろう」を掲載した。
藤原帰一(以下、「藤原」)は、まずこのように、気ががりを指摘する。


(1)今年もまた、広島に原爆が投下された8月6日、長崎が被爆した8月9日、そして8月15日の終戦記念日と、戦争で亡くなった方々を追悼する式典が催された。新聞とテレビは74年前の戦争を振り返る記事や番組でいっぱいだった。
(2)それを読み、観(み)ながら、心に引っかかることがあった。第2次世界大戦において展開された暴力のなかに、広く語られる暴力と、語ることの許されない暴力の二つがあることだ。


 「藤原」の指摘する「第2次世界大戦において展開された暴力のなかに、広く語られる暴力と、語ることの許されない暴力の二つがある」、とは何を具体的に指すのか。
「藤原」の示す「語ることの許されない暴力」、とは次のものである。


(1)あいちトリエンナーレの企画「表現の不自由展・その後」が抗議ばかりでなく暴力行為の予告などを受けて中止となった。抗議や脅迫の元となった展示のなかには、昭和天皇の肖像群が燃える作品に加え、慰安婦の少女を表現した作品が、あったと報道されている。
(2)企画展の中止に関する論評の多くは憲法によって保障された表現の自由との関係から議論するものであった。もちろん展示会を暴力によって威迫することがあってはならない。だが、表現の自由とはまた別に、気になった問題がある。慰安婦の姿を表現することは受け入れることができない、そのような展示は認められないと考える人々が日本国内に少なからず存在するということだ。
(3)初めてのことではない。慰安婦の姿を表現した少女像は、設置を求める運動が韓国系団体を中心として展開され、ソウルの日本大使館前ばかりでなく世界各地に設置される一方、撤去を求める運動も行われてきた。ここでは慰安婦の表象が戦時性暴力ではなく反日的な行為として捉えられている。語られない、語ることが許されない戦争の暴力である。「見たくない過去」といってもいいだろう。


 一方、「広く語られる暴力」について、次のように示す。


(1)語られる過去もある。日本で広く伝えられてきた暴力の中核は、広島と長崎への原爆投下だろう。膨大な数の国民の生命を奪い、生き延びた人々についてもその心と身体(からだ)にむごい傷を与えたこの事件は、核兵器は地上から廃絶されなければならないという願いとともに繰り返し語られてきた。原爆投下ばかりでない。広島・長崎の被爆は、東京や阪神への空襲、あるいは沖縄戦を始めとした、銃後の日本人が経験した戦争のシンボルとして伝えられてきたといっていいだろう。
(2)一般市民の視点から戦争を捉えた作品の一つが「この世界の片隅に」である。こうの史代の漫画を原作としてテレビドラマも映画も作られたが、ここでは片渕須直が監督したアニメ映画を取り上げてみよう。この映画のほとんどが、絵を描くのが好きな主人公、すずの視点で貫かれている。この夢見がちな少女は北條周作と結婚して広島を離れて呉に住むことになるが、太平洋戦争のさなか、日を追うごとに暮らしは厳しさを増してゆく。食べるものにも事欠く状態となり、呉は米軍の空襲を受け、広島に原爆が投下される。悲劇としか呼びようのない展開ではあるが、悲劇性を印象づける画面づくりや音響効果は抑制され、他方では結婚前のすずが住んだ広島も、夫の実家がある呉も、細部まで描かれている。
(3)「この世界の片隅に」は、反戦や反核のメッセージを訴えるのではなく、すずの目に映ったものを観客に伝えることに徹している。ここで描かれる戦争の姿は、必ずしも新しいイメージではない。空襲と原爆投下というこれまでにも日本で語られてきた戦争経験が、軍人ではない日本国民の視点から精妙に表現されている。


 ここで、「藤原」は、この「広く語られる暴力と、語ることの許されない暴力の二つ」について、「『表現の不自由展・その後』の中止が発表された後、私は、3年前に観た『この世界の片隅に』を再見し、改めて感銘を受けた。そして、『この世界の片隅に』と慰安婦の少女像もともに受け入れることはできないのかを考えた。」、と次のように語る。


(1)戦争の記憶が政治的な争点となることは日本に限った現象ではない。1995年、スミソニアン航空宇宙博物館の企画した原爆投下の展覧会がアメリカ国内の反発を受けて中止に追い込まれ、原爆を投下したエノラ・ゲイが展示されるにとどまった。ここには「見たくない過去」としての原爆投下を排除する態度がある。
(2)原爆投下を「見たくない過去」とするアメリカ人がいるように、慰安婦を「見たくない過去」とする日本国民がいるのだろう。だが、原爆投下への批判がアメリカ国民への侮辱ではないように、慰安婦を語ることを日本国民への侮辱だと考える必要もない。
(3)不条理な暴力に踏みにじられた人間を描く点において、すずに心情同化して戦争を捉えることと慰安婦の表象を通して植民地支配と戦争を語ることとの間には矛盾はない。既に植民地支配も侵略戦争も過去のものとした日本であればこそ、民族の違いを超えて戦時の暴力の犠牲を見ることはできるはずである。(国際政治学者)


 確かに、「原爆投下を『見たくない過去』とするアメリカ人がいるように、慰安婦を『見たくない過去』とする日本国民がいるのだろう。」(「藤原」)という現状があったとしても、「だが、原爆投下への批判がアメリカ国民への侮辱ではないように、慰安婦を語ることを日本国民への侮辱だと考える必要もない。」(「藤原」)、ということは確かである。
 一方では、植民地支配や侵略戦争を、自国的にも対外的にもきちんと精算できていないからこそ、慰安婦像が戦時暴力を暴くものとして捉えられるのである。
ただ、「見たくない過去、語ろう」は、極めて正しい。




by asyagi-df-2014 | 2019-08-28 07:13 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

天皇制ということ。

 この所の沖縄の二紙は、初代宮内庁長官の故田島道治氏が昭和天皇とのやりとりを詳細に記録した「拝謁記」の一部公開の内容について、大きく取りあげている。
琉球新報(以下、「新報」)は2019年8月21日、早くも、「昭和天皇『拝謁記』 戦後責任も検証が必要だ」、と社説で論説した。
 前もって用意できたものかどうかは分からないが、非常に早い見解の表明である。
 どういうものであるのか。
 「新報」の指摘は次のものである。


(1)初代宮内庁長官の故田島道治氏が昭和天皇とのやりとりを詳細に記録した「拝謁(はいえつ)記」の一部が公開された。
(2)それによると、本土で米軍基地反対闘争が起きていた1953年、昭和天皇は「全体の為(ため)ニ之がいいと分れば一部の犠牲は已(や)むを得ぬと考へる…」「誰かがどこかで不利を忍び犠牲を払ハねばならぬ」(引用部は一部原文のまま)などと述べていた。
(3)昭和天皇が47年、米軍による沖縄の長期占領を望むと米国側に伝えた「天皇メッセージ」の根本にある考え方と言っていいだろう。


 このことに関しての「新報」の見解は明快である。
 それは、「沖縄を巡り、昭和天皇には「戦争責任」と「戦後責任」がある。歴史を正しく継承していく上で、これらの検証は欠かせない。」、というものである。
 その理由を次のように示す。
まず、「戦争責任」について。

(1)45年2月、近衛文麿元首相が国体護持の観点から「敗戦は必至」として早期和平を進言した。昭和天皇は、もう一度戦果を挙げなければ難しい―との見方を示す。米軍に多大な損害を与えることで講和に際し少しでも立場を有利にする意向だった。
(2)さらに、45年7月に和平工作のため天皇の特使として近衛元首相をソ連に送ろうとした際には沖縄放棄の方針が作成された。ソ連が特使の派遣を拒み、実現を見なかった。


 次に、「戦後責任」について。


(1)そして47年9月の「天皇メッセージ」である。琉球諸島の軍事占領の継続を米国に希望し、占領は日本に主権を残したまま「25年から50年、あるいはそれ以上」貸与するという擬制(フィクション)に基づくべきだ―としている。宮内府御用掛だった故寺崎英成氏を通じてシーボルトGHQ外交局長に伝えられた。
(2)既に新憲法が施行され「象徴」になっていたが、戦前の意識が残っていたのだろう。
(3)これまで見てきたように、昭和天皇との関連で沖縄は少なくとも3度切り捨てられている。根底にあるのは全体のためには一部の犠牲はやむを得ないという思考法だ。
(4)こうした考え方は現在の沖縄の基地問題にも通じる。


 「新報」は、最後に、今回の「拝謁記」の一部公開について、「『拝謁記』で明らかになった昭和天皇の発言が、現政権による改憲の動きに利用されることはあってはならない。」とし、次のようにまとめる。


(1)日本の独立回復を祝う52年の式典で昭和天皇が戦争への後悔と反省を表明しようとしたところ、当時の吉田茂首相が反対し「お言葉」から削除されたという。だからといって昭和天皇の責任が薄れるものではない。
(2)戦争の責任は軍部だけに押し付けていい話ではない。天皇がもっと早く終戦を決意し、行動を起こしていれば、沖縄戦の多大な犠牲も、広島、長崎の原爆投下も、あるいは避けられたかもしれない。
(3)「拝謁記」で、昭和天皇が戦前の軍隊を否定しつつも、改憲による再軍備を口にしていたことは驚きだ。憲法99条は天皇や国務大臣など公務員に「憲法尊重擁護の義務」を課している。象徴である天皇自身が憲法改正を主張することは許されないはずだ。


 現在の「構造的沖縄差別」が天皇メッセ-ジによって位置づけられたのは間違いことである。そして今、「『拝謁記』で明らかになった昭和天皇の発言が、現政権による改憲の動きに利用されることはあってはならない。」(琉球新報)、ということが直近の課題である。




by asyagi-df-2014 | 2019-08-27 11:10 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

沖縄国際大学にCH53D大型ヘリコプタ-が墜落して15年が経つが。

 2004 年8月13日(金曜)、沖縄国際大学の本館に米軍ヘリが墜落・炎上した。
2004年9月12日には、「沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故に抗議し、普天間飛行場早期返還を求める宜野湾市民大会」が開催され、「米国大統領・在日米国大使・在日米軍司令官・在沖米四軍調整官・在沖米国総領事・内閣総理大臣・外務大臣・防衛庁長官・防衛施設庁長官・外務省特命全権大使・那覇防衛施設局長・沖縄県知事」宛ての「市民決議」が採択されている。
その「市民決議」は次のように告発していた。


 2004年8月13日、午後2時18分頃、沖縄国際大学本館に米海兵隊所属CH-53D型ヘリコプターが接触し、墜落炎上するという大惨事が起こった。
 墜落ヘリは、沖縄国際大学本館の機能を麻痺させ、本館を削り取ったブロック片や部品が地域住民を襲い、その結果、多くの市民が被害を被った。
 墜落ヘリの乗組員3人の負傷だけですみ、民間人には犠牲者が出なかったのは奇跡としか言いようがない。今回の事故は過去に起きたヘリ事故の中でも、最悪の事故であり、日米両政府及び米軍に対し、強い怒りを持って抗議する。
 さらに、米軍は日米地位協定を盾にして、拡大解釈により事件現場の立ち入りを制限し、所有者である沖縄国際大学関係者はじめ、宜野湾市及び県の関係機関を含め日本側の捜査、調査を排除した。そのために、大学運営の回復や地域住民の不安を取り除くための事故原因の究明や被害実態の把握に支障をきたした。提供施設外において米軍が優先され、法治国家である日本の主権が侵害された事態は、異常な事態と言わざるを得ない。
 また、市民、県民が、連日この事故に対し抗議し、米軍機の飛行中止を求めている最中、「原因究明まで事故機は飛ばさない」と在沖米四軍調整官が自ら発表したにもかかわらず、8月22日の静かな日曜日に次々とCH-53Dヘリを飛行させたことは、私たち宜野湾市民はもとより、沖縄県民に対する侮辱であり、挑戦と受け止めざるを得ない。
 1996年のSACO最終報告による普天間飛行場の返還合意の原点は、危険きわまりない欠陥飛行場を取り除き、県民の基地負担の軽減を図ることであったはずである。返還期限の7年がすでに経過し、今回のヘリ墜落事故は、その原点が改めて問われるものであり、日米両政府には今こそヘリ基地としての運用を直ちに中止させ、普天間飛行場の早期返還を実現するよう求める。
 すでに普天間基地所属機50機のうち40数機が同基地を離れていることが発表されており、残る10数機を早急にハワイ等に撤退するよう併せて強く求める。
 8万8千余の宜野湾市民は、尊い命と平穏なくらしを守るために、今回の米軍ヘリ事故とその後の対応に対し、怒りを持って抗議し、以下のことを強く求める。
              記
1.被害の徹底調査と事故原因を明らかにし、すべての被害に対する謝罪と完全補償を早急に実施すること
1.すべての米軍機の民間地上空での飛行を直ちに中止すること
1.ヘリ基地としての運用を中止すること
1.危険極まりない普天間飛行場を早期返還すること
1.SACO合意を見直し、辺野古沖への移設を再考すること
1.日米地位協定を抜本的に見直しすること


 問題は、この6項目の「市民決議」に米国と日本政府の両国がどれくらい真摯に向き合ってきたのかということである。
 このことについて、2019年8月12日の沖縄タイムス(以下、「タイムス」)及び琉球新報(以下、「新報」)の社説は、「[沖国大ヘリ墜落15年] 危険性の除去策を示せ」及び「沖国大ヘリ墜落15年 対等な日米関係の構築を」、とそれぞれが批判を明らかにした。
 つまり、それが答えとしての現状であると。
「市民決議」の6項目がどのように扱われてきたのか、「タイムス」と「新報」の二紙で、1.事故原因、2.事故後の沖縄県民及び字の湾市民の現状、3.一向に改善されない問題点、の視点から見てみる。


1.事故原因
(「タイムス」)
 2004年8月13日、宜野湾市の沖縄国際大学構内に、米軍普天間飛行場所属のCH53D大型輸送ヘリが墜落・炎上した。飛散したヘリの破片は多くの民家や車両などに被害を与えたが、死者が出なかったのは奇跡というほかない事故だった。当時はイラク戦争の最中で、普天間はフル回転。整備士が過労でピンを付け忘れる人為ミスが原因だった。
(「新報」)
 大学内の現場跡地には、小さな公園が整備されている。記憶の風化にあらがうように焼け焦げたアカギの木が立ち、被災した校舎の壁の一部が設置されている。モニュメントにはこう記されている。「米軍は事故直後から墜落現場を一方的に封鎖し、本学関係者の要請する緊急かつ必要最小限度の立ち入りはもとより、沖縄県警の現場検証さえ拒否するなど『国家主権』が侵害されている異常な状態が続いています」。大学が設置した対策本部が発生2日後に出した抗議文の一節だ。


2.事故後の沖縄県民及び字の湾市民の現状
(「タイムス」)
(1)あれから15年。この間墜落事故は9件発生している。県民は軍用機の飛行を見るたびに墜落の恐怖におびえる生活を強いられており、理不尽というしかない。
(2)17年12月には同市野嵩の緑ヶ丘保育園の屋根に米軍ヘリから部品が落下。米軍は部品の保有は認めたものの落下は否定している。6日後には普天間第二小の校庭にCH53E大型輸送ヘリの窓が落下した。体育をしていた児童から十数メートルしか離れておらず、大惨事になるところだった。
(3)沖国大での墜落事故後、日米両政府は普天間周辺での飛行ルートに合意した。病院や学校、住宅地上空を避けることなどを定めているが、「できる限り」などの抜け道があり、守られていない。合意では緑ヶ丘保育園も第二小も飛行ルートに入っていない。だが沖縄防衛局の航跡調査では両教育施設上空付近や住宅地上空を頻繁に飛行していることが確認できる。
(4)合意はなきがごとくで、騒音被害とともに、学校・日常生活が危険にさらされ続けているのである。
(「新報」)
 宜野湾市の沖縄国際大に米海兵隊所属の大型輸送ヘリCH53Dが墜落してから、13日で15年になる。事故は沖縄の社会に大きな衝撃を与え、県民は大学に隣接する米軍普天間飛行場の一日も早い返還を強く求めてきた。だが今も大学や周辺住宅地の上空を米軍機が日常的に飛び交う。


3.一向に改善されない問題点
(「タイムス」)
(1)捜査権は主権に関わる重要な問題だ。沖国大ヘリ墜落事故があらわにしたのは、民間地にもかかわらず日本の捜査権が及ばないことだった。
(2)米軍が大学を封鎖し、県警が現場に入れたのは6日後。機体はすでに回収されていた。批判が高まり日米両政府は基地外での米軍機事故に関するガイドライン(指針)に合意。(現場に近い)内周規制線は日米共同で規制、外周規制線は日本側が規制、機体の残骸は米側が管理-などといった内容だったが、実際は内周の日米共同規制も、主導権は米軍にある。
(3)その後に起きた東村高江の民間地にCH53E大型輸送ヘリが不時着・炎上した事故が示している。日本側の立ち入りは6日後。米軍が機体、土壌を持ち去った後だった。これを契機に指針を改定。内周規制線内への日本側の「迅速かつ早期の立ち入り」が可能としている。だがこれも米軍次第だ。日本は「主権国家」とはとうてい呼べない。
(4)安倍晋三首相が約束した普天間の「5年以内の運用停止」は、米側と交渉した形跡もなく2月で期限が切れた。大浦湾に広がるマヨネーズ並みの軟弱地盤の存在が明らかになり、政府は辺野古新基地の工期も総事業費も示すことができない。説明責任を果たすことなく遮二無二に強行しているのは異常である。
(5)普天間の危険性除去に有効な手を打たず、いつ完成するともしれない新基地を待つつもりなら県民を愚弄するものだ。危険性の放置は県民の生命と財産を蔑ろにするもので政府の責任の放棄である。
(「新報」)
(1)米軍ヘリは大学の本館ビルに激突し、墜落・炎上した。住宅地上空を米軍機が普通に行き来する沖縄の空の現実を突き付けた重大事故だったことに加え、記憶に苦々しく残るのは米軍の振る舞いだ。米軍は数日間、事故現場を一方的に封鎖し、機体の搬出や木々の伐採などの作業を続けた。日米地位協定などを盾に県警の現場検証要請を拒み、市道の通行も止めた。米国と日本のいびつな主従関係や沖縄の属領性の本質を照らし出した事故だったと言える。「良き隣人」を掲げていた米軍が見せた素顔は、多くの県民の失望と怒りを招いた。そして事故後に大学が指摘した「異常な状態」の温床は現在も残されたままだ。
(2)2017年10月には東村高江の牧草地でCH53D後継機のCH53Eが不時着し炎上したが、県警が現場に立ち入ることができたのは発生6日後で、米軍が機体や周辺土壌を持ち去った。16年12月には普天間基地所属の輸送機MV22オスプレイが名護市安部の沿岸に墜落したが、同様に米軍が現場を規制した。
(3)日米両政府は今年7月、基地外での米軍機事故の現場対応に関する指針について、日本側が現場に速やかに立ち入ることができるよう改定に合意した。だが立ち入りや機体捜査には依然米側の同意が必要で、米軍が絶対的な主導権を握る状況は変わらない。
(3)トランプ米大統領は先日、日米安保条約は「不公平」だとして日本側に在日米軍駐留経費負担の増額を迫る構えを見せたが、日本側にとっては米軍の特権的地位を保障した不平等な日米地位協定の改定こそが最優先で取り組むべき課題であるはずだ。
(4)米国に付き従う姿勢は技術的にもコスト的にも先が見通せない辺野古移設合意への拘泥につながり、政府自ら「世界一危険」と言う住宅地中心部の基地返還を遅らせ続けている。主権が侵害される異常な状態を改めて対等な関係構築に歩み出し、早期返還の願いにいいかげん応えてほしい。


 沖縄国際大学の本館に米軍ヘリが墜落・炎上からの15年は、依然として、「普天間の危険性除去に有効な手を打たず、いつ完成するともしれない新基地を待つつもりなら県民を愚弄するものだ。危険性の放置は県民の生命と財産を蔑ろにするもので政府の責任の放棄である。」(「新報」)及び「米国に付き従う姿勢は技術的にもコスト的にも先が見通せない辺野古移設合意への拘泥につながり、政府自ら『世界一危険』と言う住宅地中心部の基地返還を遅らせ続けている。主権が侵害される異常な状態を改めて対等な関係構築に歩み出し、早期返還の願いにいいかげん応えてほしい。」(「タイムス」)、との結論しか日本人にもたらしていない。
 結局、2004年9月12日の「市民決議」-「日米地位協定を抜本的に見直しすること」-は、「日本側にとっては米軍の特権的地位を保障した不平等な日米地位協定の改定こそが最優先で取り組むべき課題」(「新報」)と15年が経過した今も、「主権国家の放棄が国民の危険性の放置として顕れる」という問題点を告発せざるを得ない状況として残されたままである。



by asyagi-df-2014 | 2019-08-20 08:38 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

高知新聞は、「対話による解決を探れ」、と。

 何のことか。
 沖縄県による日本国への8回目の訴訟についてである。
「対話による解決を探れ」、との結論は、ごく当たり前の普通のものではないか。
高知新聞は2019年8月11日、「【辺野古訴訟】対話による解決を探れ」と社説で論評した。
 高知新聞の「国と自治体が法廷闘争を繰り返す事態は異常である。まず安倍政権が強硬姿勢を改め、十分な対話を尽くすのが本来の姿だということをあらためて指摘しておきたい。」、との指摘は次のものである。


(1)米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、県が国を相手取って新たな訴訟を那覇地裁に起こした。県の埋め立て承認撤回を国土交通相が取り消す裁決をしたのは違法だとして、国に裁決の取り消しを求めている。県は7月にも、裁決への国交相の関与は違法だとして福岡高裁那覇支部に裁決取り消しを求め、提訴している。今後は二つの裁判が並行して進むことになる。
(2)政府は、選挙や県民投票で示された民意を無視して埋め立て工事を強行してきた。訴訟は県が現時点で取ることができる対抗措置だろう。当面は司法が工事の正当性をどう判断するかが注目される。


 また、「翁長前知事時代から数えて国と県の訴訟は8件になった。それ自体が政府の説明姿勢の欠如と、『辺野古ノー』の民意を顧みない問答無用の姿勢を証明している。」、と
諸々の矛盾や疑問を明確にする。


(1)埋め立て承認の撤回は、昨年8月に死去した翁長雄志前知事の遺志を引き継ぎ、県が決定した。2013年の承認時には分かっていなかった軟弱地盤の発覚や、環境保全措置の不十分さなどが根拠になった。
(2)工事を止められた防衛省沖縄防衛局は行政不服審査法に基づき審査請求などを申し立て。石井国交相は防衛省の主張通りに撤回の効力を一時停止した。昨年12月から海域への土砂投入が始まり、着々と移設計画の既成事実化が進んでいる。
(3)国の法的手続きには、当初から厳しい批判があった。全国の行政法研究者らは、国民の権利救済を目的とする行政不服審査法を使って防衛局が申し立てたことを「国民のための制度を乱用し、法治国家にもとる」と糾弾している。
(4)同じ内閣の国交相による審査では中立性も望めないとする玉城デニー知事は「自作自演の極めて不当な決定」と主張してきた。その是非が司法の場で問われよう。
(5)軟弱地盤についても国と県の主張は対立したままだ。政府は地盤改良の費用を公にしておらず、総事業費を「少なくとも3500億円以上」とする。一方、県は総工費は最大2兆6500億円まで膨らむとの見通しを示してきた。
(6)工期も防衛省が3年8カ月と試算する一方、県は5年は必要と主張する。玉城知事は「適切な場所と言えないことは明らかだ」としており、承認撤回の正当性まで立ち入った審理になるのかも注目される。
 玉城知事は7月の提訴に伴い「政府に対し、司法によらず、対話による解決の必要性と重要性を繰り返している」とも訴えている。
(7) 翁長前知事時代から数えて国と県の訴訟は8件になった。それ自体が政府の説明姿勢の欠如と、「辺野古ノー」の民意を顧みない問答無用の姿勢を証明している。


 だから、高知新聞は、安倍晋三政権に向けて、「安倍首相は6月の沖縄全戦没者追悼式で『基地負担の軽減に向けて確実に結果を出す』と述べた。対話と沖縄の人々の納得を欠いては、それは禍根を残すだけではないか。」、と優しく諭すのである。


 どうだろうか。
 この高知新聞の見解も、安倍晋三政権の誤りを突いているではないか。




by asyagi-df-2014 | 2019-08-19 07:05 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

米国大統領、あなたは世界のトップリーダーとしての資質を欠いているよ。

 「世界のトップリーダーとしての資質を欠いていると断じざるを得ない。人種差別的な発言を繰り返し分断をあおるトランプ米大統領のことだ。」、との書き出しに頷いてしまった。
琉球新報(以下、「新報」)は2019年8月10日、「米大統領の差別発言 ヘイトクライム誘発する」、と社説で論評した。
「新報」は、その批判の根拠を次のように示す。


(1)7月には民主党の非白人女性下院議員4人に対し「世界最悪の国から来て、米政府はどうすべきか語っている。国に帰り、まず立て直してはどうか」とツイッターで攻撃した。4人の議員はそれぞれ、元ソマリア難民、プエルトリコ系、パレスチナ系、黒人。昨年の中間選挙で初当選した新人だ。この間、舌鋒(ぜっぽう)鋭くトランプ政権を批判してきた。
(2)米下院は「人種差別だ」と非難する決議を賛成多数で可決している。多数を占める民主党だけでなく、共和党からも賛同する議員が出た。
(3)それでもトランプ氏の暴言は収まらない。黒人のカミングス下院監視・政府改革委員長(民主党)に矛先を向けた。東部メリーランド州ボルティモアの地元選挙区について「ネズミがはびこり、吐き気がするめちゃくちゃな場所だ」とツイッターでののしった。下院監視・政府改革委はトランプ氏の不倫問題、長女イバンカさんらを起用する縁故主義、ロシア疑惑などを巡って追及を続けてきた。
(4)黒人運動の有力指導者アル・シャープトン師に対しても「白人と警官が嫌い」「詐欺師」とツイッターでこき下ろしている。


 これだけの差別発言を行って、そのままでいられることの方が不思議だ。
また、この差別発言が、自分の政治的地位を維持するための恣意的行為であることが明確なのだから、差別を再生産させることからより一層罪は重い。


 「新報」の批判続く。差別発言は、すでにヘイトクライムという意味で。


 トランプ氏は2017年の就任以来、さまざまな言動で物議を醸してきた。今回の差(1)別発言は象徴的だ。品格がみじんも感じられず、良識のかけらさえうかがうことができない。これが一般人なら実害は少ないのだろうが、世界最大の権力を持つ米国の大統領なのだから、問題は深刻だ。
(2)人種差別を容認するようなトランプ氏の態度は、白人至上主義者を勢いづけ、憎悪犯罪(ヘイトクライム)を助長、誘発する恐れが強い。
(3)南部テキサス州エルパソの商業施設で3日、白人の男が銃を乱射し、22人の死者を出した。男が投稿したとみられるインターネット上の「犯行予告」には「この攻撃は、ヒスパニックのテキサス侵略に対する返答だ」「移民は米国の未来に有害なだけだ」といった主張が見られた。
(4)男はツイッターでトランプ氏を称賛していたようだ。反移民政策を取るトランプ氏の姿勢が、男の行動に影響を及ぼした可能性がある。
(5)来年の大統領選に向けた支持者集会でトランプ氏は非白人女性議員4人について「米国が好きでないなら、出て行ってもらったらいい」と述べた。会場からは「送り返せ」の大合唱が起きた。
(6)こうした人々に支えられた大統領の誕生は、人権を尊重する意識が社会の中で薄れ、倫理観が崩れつつあることを示していよう。重大な懸念を抱かざるを得ない。


 最後に、「新報」は、「国民の分断を是正し差別のない社会を築くことは、国の指導者の務めだ。」、と断じる。


 安部晋三政権の暴挙を許してしまっている日本が、どれぐらい米国を批判できるのかという思いがないわけではない。
 しかし、米国に従うのを国是にしてしまっている日本の現状を見た時、やはり、強く抗議しなければならない。




by asyagi-df-2014 | 2019-08-18 06:27 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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