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東京新聞の望月衣塑子記者の排除をねらった官邸からの申し入れに、「新聞労連」が声明で反論。

 官邸が2018年12月28日に、東京新聞の望月衣塑子記者の排除をねらった申し入れを行ったことに対して、日本新聞労働組合連合(以下、「新聞労連」)は2019年2月5日、「首相官邸の質問制限に抗議する」との抗議声明(以下、「声明」)を発表した。
このことについて、朝日新聞は2019年2月5日、次のように報じた。


(1)首相官邸は昨年12月28日、首相官邸の記者クラブ「内閣記者会」に対して、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設工事に関する東京新聞記者による質問について「事実誤認がある」として、「当該記者による問題行為については深刻なものと捉えており、貴記者会に対して、このような問題意識の共有をお願い申し上げるとともに、問題提起させていただく」と文書で要請。これに対して記者クラブ側は、「記者の質問を制限することはできない」と伝えた。
(2)新聞労連は声明で、「今回の申し入れは、明らかに記者の質問の権利を制限し、国民の『知る権利』を狭めるもので、決して容認することはできない。厳重に抗議する」とした。また、官房長官の記者会見で司会役の報道室長が質問中に数秒おきに「簡潔にお願いします」などと質疑を妨げていることについても問題視。官邸側が「事実をねじ曲げ、記者を選別」しているとして、「ただちに不公正な記者会見のあり方を改めるよう、強く求める」としている。

 
 この「声明」は、官邸からの申し入れに対して、国民の「知る権利」の観点から、次のように指摘する。


(1)首相官邸が昨年12月28日、東京新聞の特定記者の質問行為について、「事実誤認」「度重なる問題行為」と断定し、「官房長官記者会見の意義が損なわれることを懸念」、「このような問題意識の共有をお願い申し上げる」と官邸報道室長名で内閣記者会に申し入れたことが明らかになりました。
(2)記者会見において様々な角度から質問をぶつけ、為政者の見解を問いただすことは、記者としての責務であり、こうした営みを通じて、国民の「知る権利」は保障されています。政府との間に圧倒的な情報量の差があるなか、国民を代表する記者が事実関係を一つも間違えることなく質問することは不可能で、本来は官房長官が間違いを正し、理解を求めていくべきです。官邸の意に沿わない記者を排除するような今回の申し入れは、明らかに記者の質問の権利を制限し、国民の「知る権利」を狭めるもので、決して容認することはできません。厳重に抗議します。


 また、「声明」は、官房長官の記者会見のあり方について、批判を加えます。


(1)官房長官の記者会見を巡っては、質問中に司会役の報道室長が「簡潔にお願いします」などと数秒おきに質疑を妨げている問題もあります。このことについて、報道機関側が再三、改善を求めているにもかかわらず、一向に改まりません。
(2)なにより、「正確な事実を踏まえた質問」を要求する官邸側の答弁の正確性や説明姿勢こそが問われています。2017年5月17日の記者会見で、「総理のご意向」などと書かれた文部科学省の文書が報じられた際に、菅義偉官房長官は「怪文書のようなものだ」と真っ向から否定。文書の存在を認めるまで1カ月かかりました。こうした官邸側の対応こそが、「内外の幅広い層に誤った事実認識を拡散させる」行為であり、日本政府の国際的信用を失墜させるものです。官邸が申し入れを行った18年12月26日の記者会見でも、菅官房長官は「そんなことありません」「いま答えた通りです」とまともに答えていません。
(3)日本の中枢である首相官邸の、事実をねじ曲げ、記者を選別する記者会見の対応が、悪しき前例として日本各地に広まることも危惧しています。首相官邸にはただちに不公正な記者会見のあり方を改めるよう、強く求めます。


 さらに、「声明」は、「追記」のかたちで、東京新聞望月記者の質問内容を一方的に「事実誤認」としたことについても、次のように批判を行います。 


(1)そもそも官邸が申し入れのなかで、東京新聞記者の質問を「事実誤認」と断じた根拠も揺らいでいます。記者が、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設をめぐり、「埋め立て現場ではいま、赤土が広がっております」「埋め立てが適法に進んでいるか確認ができておりません」と質問したことに対して、官邸側は申し入れ書のなかで、「沖縄防衛局は、埋立工事前に埋立材が仕様書どおりの材料であることを確認しており、また沖縄県に対し、要請に基づき確認文書を提出しており、明らかに事実に反する」「現場では埋立区域外の水域への汚濁防止措置を講じた上で工事を行っており、あたかも現場で赤土による汚濁が広がっているかのような表現は適切ではない」と主張しました。
(2)しかし、土砂に含まれる赤土など細粒分の含有率は、政府は昨年12月6日の参議院外交防衛委員会でも「おおむね10%程度と確認している」と説明していましたが、実際には「40%以下」に変更されていたことが判明。沖縄県が「環境に極めて重大な悪影響を及ぼすおそれを増大させる」として立ち入り検査を求めていますが、沖縄防衛局は応じていません。「赤土が広がっている」ことは現場の状況を見れば明白です。偽った情報を用いて、記者に「事実誤認」のレッテルを貼り、取材行為を制限しようとする行為は、ジャーナリズムと国民の「知る権利」に対する卑劣な攻撃です。


 この上で、「新聞労連」は、次のように決意表明を行う。


「新聞労連は今年1月の臨時大会で、『メディアの側は、政治権力の【一強】化に対応し、市民の【知る権利】を保障する方策を磨かなければなりません。(中略)いまこそ、ジャーナリストの横の連帯を強化し、為政者のメディア選別にさらされることがない【公の取材機会】である記者会見などの充実・強化に努め、公文書公開の充実に向けた取り組みを強化しましょう』とする春闘方針を決定しています。今回の東京新聞記者(中日新聞社員)が所属する中日新聞労働組合は新聞労連に加盟していませんが、国民の『知る権利』の向上に向けて、共に取り組みを進めていきたいと考えています。」


 確かに、今回の官邸の動き- 官邸の意に沿わない記者を排除するような今回の申し入れ-は、「明らかに記者の質問の権利を制限し、国民の『知る権利』を狭める」ものである。
 やはり、労働組合は、闘うことによってはじめて道を開くことができる。



by asyagi-df-2014 | 2019-02-20 07:06 | 書くことから-労働 | Comments(0)

真実。実質賃金のマイナスを厚労省が認めた。(2)

 朝日新聞は2019年1月31日、表題について次のように報じた。


(1)「毎月勤労統計」の不正調査問題で、厚生労働省は2018年1~11月の物価変動の影響を除いた「実質賃金」の前年同月比の伸び率について、実態に近い数値でみた場合に9カ月分でマイナスになる可能性があるとの見解を示した。大半がマイナスだったことになり、野党は賃金が上がったように見せる「アベノミクス偽装だ」と批判を強めている。
(2)厚労省は04年に調査対象の一部で不適切な抽出調査を開始。さらに18年1月以降は不適切なデータ比較を始め、同月以降の賃金の伸び率が実際より高く算出されていた。問題の発覚をうけて今月23日、本来の調査結果に近づけるデータ補正をした12年以降の再集計値を公表した。
(3)その結果、18年1~11月の「現金給与総額」の実質賃金の前年同月比でプラスだったのは、3、5~7、11の5カ月で変わらなかったが、伸び率は10カ月で下がった。5月は0・7ポイント下がって0・6%増となり、最大の伸び率は6月の2・0%で、0・5ポイント下がった。
(4)ただ、18年1月には調査対象の見直しがあり、総務省は実際の賃金の動向をつかむには17年も18年も続けて調査対象となった事業所に限った調査結果を重視すべきだとしている。野党がこうした事業所に限って試算をしたところ、増減率はさらに8カ月で下がった。プラスは6月(0・6%)の1カ月のみとなり、前年と同じだった11月を除くと9カ月でマイナスになると出た。5月は1・1ポイント減のマイナス0・5%となった。野党は18年1~11月の平均は、厚労省の再集計値ではマイナス0・05%だが、試算ではマイナス0・53%に大幅に悪化するとしている。
(5)厚労省は17、18年で共通の調査事業所に限った実質賃金の伸び率は公表していないが、野党がこの試算を30日の合同ヒアリングで示したところ、厚労省の担当者が「同じような数字は出ると思う」と認めた。野党は厚労省に、共通事業所に限った実質賃金を算出して公表するよう求めている。



by asyagi-df-2014 | 2019-01-31 22:29 | 書くことから-労働 | Comments(0)

真実。実質賃金のマイナスを厚生労働省が認めた。

 田中龍作ジャーナルは2019年1月30日、「【アベノミクス偽装】「実質賃金マイナス」 ついに厚労省が認めた」、と伝えた。
田中龍作ジャーナルの報告は、次のもの。


(1)これでも安倍政権はシラを切ろうというのだろうか。麻生財務大臣から事実上の指示を受けて賃上げ偽装に手を染めさせられていた厚労省が、2018年の実質賃金の伸び率はマイナスであることを、きょう30日、事実上認めた。総務省に続くもので、政府の事務方たちがアベノミクスの肝である賃金上昇はなかったとの認識を示したことになる。
(2)きょう午前、野党5党が国会内で開いた政府(厚労省、総務省など)からのヒアリングには、アベノミクスのウソを暴いた『アベノミクスによろしく』の著者である明石順平弁護士が招かれた。明石弁護士は、問題となっている2018年の「実質賃金の伸び率」を一覧表とグラフにして政府の官僚たちに示した。計算式はこうだ―
(3)「名目賃金指数」を「消費者物価指数」で割り、100を掛けると「実質賃金指数」が出る。それを前年同月と比べれば『実質賃金の伸び率』となる。2018年は6月を除くと、ほとんどの月がマイナスだ。6月の数字は、自民党総裁選直前の8月、御用マスコミが「実質賃金、21年ぶりの記録的な伸び」と一斉に報じていたものだ。
(4)山井和則議員が厚労省に「明石弁護士の試算は間違っているのか?」と質した。厚労省の屋敷次郎・大臣官房参事官は、モゴモゴ言いながらも最後は「ほぼ同じような数字が出ることが予想される」と答えた。「マイナス」という単語こそ使わなかったが、厚労省が「実質賃金の伸び率がマイナス」であったことを認めた瞬間だった。野党議員たちの間から「ウォー」と どよめき が起きた。長妻昭元厚労大臣は「これは凄い」と感嘆の声をあげた。
(5)アベノミクスの肝である賃金上昇はなかった。税金や社会保障費ばかりが高くなり、実質賃金は下がっていった。人々の生活は苦しくなっていったのである。

  ~終わり~




by asyagi-df-2014 | 2019-01-31 21:21 | 書くことから-労働 | Comments(0)

これが、日本という国の実態なのか。

 何が起こっているのか。
朝日新聞(以下、「朝日」)は2019年1月11日、「厚生労働省が「毎月勤労統計」を不適切に調査していた問題で、この統計をもとに給付水準が決まる雇用保険と労災保険の給付額が本来より少なかった人が延べ約2千万人いたことが10日、分かった。過少支給の総額は数百億円に上る。厚労省が、不適切な手法を組織的に隠蔽(いんぺい)するために本来の調査手法に近づけるデータ補正を始めた可能性があることも判明した。」、と報じた。
このことについて、「朝日」は2019年1月11日、「勤労統計不正 速やかな解明が必要だ」、と論評した。
 「政府の様々な統計は、政策立案の根拠になるものだ。その大事な統計を扱う自覚と緊張感があまりに欠けている。猛省を求めたい。」、と断じる「朝日」は、次のように主張する。


(1)賃金や労働時間の動向の指標となる毎月勤労統計の調査が、長年にわたって決められた方法通りに行われず、データに誤りがあることがわかった。統計法に基づく政府の基幹統計での信じがたい不正で、行政に対する信頼を揺るがす行為だ。
(2)なぜこんなことが起きたのか。過去のデータにどれだけの誤りがあり、その影響はどこまで及ぶのか。徹底的に調べて速やかに公表するべきだ。


 また、「朝日」はその理由を、次のように指摘する。


(1)毎月勤労統計は従業員5人以上の事業所が対象で、500人未満は抽出、500人以上はすべての事業所を調べることになっている。全数調査の対象は全国に5千以上あるが、その約3割を占める東京都で、厚生労働省が抽出した約500事業所しか調査していなかった。
(2)このルール違反は04年から続いていたという。何らかの事情があったのかもしれないが、ならば調査方法を変更し、対外的に明らかにするのが筋である。自分たちの都合で、勝手にルールを破ることなど許されないのは言うまでもない。
(3)都内の規模の大きな事業所は比較的賃金が高い傾向にある。こうした事業所が一部しか集計に加えられなかったために、賃金のデータは正しく調査した場合より低くなっていたとみられている。


 あわせて、「朝日」は以下の指摘をする。


(1)このデータは、雇用保険や労災保険の給付金の上限などを決めるのにも使われる。調査方法を勝手に変えたことで、本来の給付額より少なくなった人が多数いるという。全容の解明と被害の救済を急がねばならない。
(2)看過できないのは、厚労省が昨年1月から、東京都の大規模事業所のデータについて、全数調査の結果に近づけるような統計処理を行っていたことだ。その時点で、調査方法がルールと異なっており、データに問題があるということに、当然気付いていたはずだ。なのに事実を速やかに公表しなかったことは、組織ぐるみの隠蔽(いんぺい)と言われても仕方ない。
(3)昨年12月20日には厚労相にも報告があがったが、翌21日にはそのことを伏せたまま、従来通りに問題のある統計を公表している。あまりに不誠実で、事態の深刻さを理解していない。


 「朝日」は最後に、「昨年の通常国会で厚労省の労働実態調査のずさんさが明らかになり、裁量労働制に関わる法改正が撤回になったことは記憶に新しい。政府の様々な統計は、政策立案の根拠になるものだ。その大事な統計を扱う自覚と緊張感があまりに欠けている。猛省を求めたい。」、とする。


 どうだろうか。
 今回のことは、この国の状況を、まさに、示すものではないのか。
 本当に、壊される前に、変えなくては。




by asyagi-df-2014 | 2019-01-12 09:26 | 書くことから-労働 | Comments(0)

この国は、壊されてきている。

 何が起こっているのか。
 朝日新聞は2019年1月11日、このことについて次のように報じた。


(1)厚生労働省が「毎月勤労統計」を不適切に調査していた問題で、この統計をもとに給付水準が決まる雇用保険と労災保険の給付額が本来より少なかった人が延べ約2千万人いたことが10日、分かった。過少支給の総額は数百億円に上る。厚労省が、不適切な手法を組織的に隠蔽(いんぺい)するために本来の調査手法に近づけるデータ補正を始めた可能性があることも判明した。
(2)根本匠厚労相が11日、問題発覚の経緯や過少支給などの検証結果を公表し、謝罪する。
(3)毎月勤労統計は、厚労省が都道府県を通じて、労働者1人当たりの現金給与総額や労働時間の変化を毎月調べて公表している。本来はすべてを調べるルールの500人以上の事業所について、厚労省が2004年から、東京都分は約1400の事業所のうち約500事業所だけを抽出して調べていた。
(4)関係者によると、昨年1月調査分から統計システムを変更。約500事業所を約3倍にして本来の調査対象数に近づける補正を始めた。それまでは抽出した少ない事業所数のまま集計しており、比較的賃金の高い都内の大規模事業所数が本来の3分の1ほどだったことで本来より低い賃金の結果が出ていたとみられる。
(5)雇用保険の失業給付の日額上限や下限、労災保険の給付水準は同統計の平均給与額で決まっている。本来より少ない平均給与額の影響で過少給付になった人は延べ約2千万人で、総額は数百億円規模になるという。
(6)同統計をめぐっては、昨年1月分から調査事業所の入れ替え方法など算出の仕方を大きく変え、統計システムを大規模に改修した。厚労省が、このタイミングで補正を始めることも決めたという。不適切な手法の問題を以前から認識し、組織的に隠蔽しようとした可能性がある。補正は公表されず、前年同月との比較データなどが発表されていた。
(7)04年に不適切な調査が始まったきっかけについて、厚労省の関係職員の1人は「(実務を担う)東京都から抽出調査の要望があった」と話しているという。昨年12月中旬、毎月勤労統計などの政府の「基幹統計」を専門的な立場で審議する総務省の統計委員会の西村清彦委員長(政策研究大学院大特別教授)が厚労省に、調査結果の不自然さを指摘し、問題が発覚したという。
(8)厚労省は、雇用保険や労災保険の過少給付の不足分を追加で対象者に支払うことにしており、政府は予算措置のためにすでに閣議決定した新年度予算案を修正し、閣議決定し直す方向で調整に入った。いったん閣議決定した予算案を修正するのは極めて異例だ。




by asyagi-df-2014 | 2019-01-11 19:20 | 書くことから-労働 | Comments(0)

第7回ブラック企業大賞がノミネ-トされる。

 第7回ブラック企業大賞が2018年12月5日、次のように9社ノミネ-トされた。
 なお、ホ-ムペ-ジでは、ブラック企業の定義について、次のようにされている。


 ブラック企業には幅広い定義と解釈がありますが、『ブラック企業大賞』では次のようにブラック企業を定義し、その上でいくつかの観点から具体的な企業をノミネートしていきます。
 ブラック企業とは・・・・①労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を、意図的・恣意的に従業員に強いている企業、②パワーハラスメントなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人(学校法人、社会福祉法人、官公庁や公営企業、医療機関なども含む)。


 この「ブラック企業大賞」のホ-ムページの内容ををそのまま掲載する。

 2018年12月5日、ブラック企業大賞実行委員会は、2018年のブラック企業大賞のノミネート企業9社を発表いたしました(以下)。ウェブ投票も開始しましたので(~12月22日17:00締切)、ぜひご参加ください。

1.株式会社ジャパンビジネスラボ

 株式会社ジャパンビジネスラボは、都内で語学学校等を運営する企業である。同社で英語講師を務めていた正社員の女性は、2014年、育休明けに保育園が見つからず規定上の休職を申し出たが拒否された。同社には「希望する場合は正社員への契約変更が前提」と記載された育休明け社員向け契約社員転換制度があり、このままでは自己都合退職になると言われた女性は、「正社員に戻れるなら」と、週3回、1年雇用の契約社員として職場復帰した。
  復帰後、保育園が見つかり、正社員に戻りたいと求めたが、会社は拒否し、1年後の2015年、「期間満了」を理由に社員を雇い止めした。なお、社員は面談の中で上司から「俺は彼女が妊娠したら、俺の稼ぎだけで食わせるくらいのつもりで妊娠させている」と発言されるなどした。社員は会社を相手取って地位確認を求める訴訟を起こし、2018年9月、東京地裁は、会社が行った雇止めについては無効、会社の対応は不法行為とする判決を下した。ただし、正社員の地位の確認を求めた点については退けた。
 判決文では「原告の受けた不利益の程度は著しく、被告(会社側)の不誠実な対応はいずれも原告が幼年の子を養育していることを原因とするもの」と認定している。また、「俺の稼ぎだけで食わせる」発言については、「暗に妊娠した者とその配偶者に落ち度がある批判しているものと捉えられかねない不用意かつ不適切な言動であり、交渉に臨む態度として許容されない」と厳しい指摘をした。
 現在、会社側も社員側も共に控訴して係争中である。
 女性の労働市場への参加が進む中、出産した女性社員を短期契約の契約社員などに転換させ、契約期限をもって雇止めにする新手の出産解雇は、ここ数年目立っている。その典型的な例の一つとしてノミネートした。

2.財務省

 財務省は、国家予算の編成などを担う省庁の1つであり、行政の中枢に位置付けられる国の重要機関である。
 今年4月、当時、財務省の事務方のトップである事務次官が、テレビ朝日の女性記者に対して、取材中に性的な言動を繰り返していたことが報道された。同省の最高責任者である麻生太郎財務大臣は当初、事実関係の確認には双方から意見を聴くべきだなどとし、被害女性に名乗りでるよう促す一方で、事務次官がはめられた可能性などにも言及した。
その後、財務省は顧問弁護士に調査を委託。同月27日の記者会見で、事務次官によるセクシュアルハラスメント(セクハラ)があったと判断したことを発表した。なお、事務次官側はセクハラについて否定している。
 この過程で麻生大臣は、日本には「セクハラ罪という罪はない」と発言し、セクハラを軽視する態度を崩さなかった。また、セクハラ行為を防止することが第一であるはずなのに、「男を番記者にすればいい」などと女性記者を排除するような発言もあった。こうした麻生大臣の言動は、セクハラが深刻な社会問題であることの認識を欠いていると指摘せざるを得ない。
 現在、健全な民間企業はセクハラなどのハラスメントをなくそうと努力している。にもかかわらず、「女性活躍」を標榜する政府の中枢機関で起きたセクハラ事件に対して、その対応があまりにお粗末であったと言わざるを得ない。その悪影響は計り知れないほど大きい。そこで、民間企業ではないが特別にノミネートした。

3.三菱電機株式会社

 三菱電機株式会社は、家電から発電機まで様々な電気製品を製造するメーカー企業であり、我が国の代表的な大企業である。
 同社では男性社員5人が長時間労働が原因で精神障害や脳疾患を発症して2014~17年に相次いで労災認定されていたことが発覚した。5人はシステム開発の技術者か研究職で、そのうち2人は過労自死しており、3人には裁量労働制が適用されていた。裁量労働制が適用された3名の中には過労自死した社員も含まれていたという。
 同社・ネットワーク製作所(兵庫県尼崎市)に勤務し、2016年2月に過労自死した男性社員は亡くなる4カ月ほど前から法定時間を上回る残業がそれ以前の約5倍に急増し、月80時間前後の残業が続いたという。この時期に精神障害が発症したとして、2017年6月に労災認定された。裁量労働制が適用されていたため「残業」扱いにもなっていない。
 また、同社名古屋製作所(名古屋市)の技術者の男性社員(当時28歳)は、2012年8月に過労自死した。2011年にシステム開発プロジェクトの担当に任命されたが、システムに次々と不具合が発生した。完成が予定に間に合わず、遅れを取り戻すために月100時間を超す長時間労働が数カ月続き、精神障害を発症。2014年12月に労災認定された。
 長時間労働による過労死という深刻な事故を起こしながら、同社は再発防止できず、4年間に2人もの過労自死を出したことは極めて重大であり、短期間に長時間労働を原因とした労災が5件も認定されたことも異常な状況であるため、ノミネートした。

4.株式会社日立製作所・株式会社日立プラントサービス

 株式会社日立製作所は、日立グループの中核的企業であり、日本を代表する電機メーカーである。会長の中西宏明氏は、日本経団連会長を務めている。また、日立プラントサービスは日立製作所のグループ会社である。
 2013 年に同社に新卒入社した20 代の労働者が、日立プラントサービスに在籍出向中、精神疾患によって労災認定された。この労働者は富山県の工事現場で設計・施工管理監督をしていたが、月100 時間を超える長時間残業が頻発し、最大で月160 時間を超えていた。
 さらに、所長から「いらない」「着工まで不要」「めざわりだから帰れ」「仕事辞めてしまえ」などの暴言を受け続け、労働時間を勤怠記録に記入する際には「考えてからつけるように」と言われ、労働時間の過少申告に追い詰められた。さらには座っていた椅子を蹴られており、これらの長時間労働やパワハラによって精神疾患を発症した。
 加えて、同社では山口県の笠戸事業所において、数百名のフィリピン人技能実習生を不正に働かせていたとして、法務省が技能実習適正化法違反の疑いで同社を調査している。報道によれば、彼らは配電盤や制御盤を作る「電気機器組み立て」を習得するはずが、窓や排水パイプ、カーペットやトイレを鉄道車両に取り付ける作業しかさせられていなかったという。技能実習生の在留資格の更新ができないことを理由に、すでに99 名が解雇されている。
 長時間労働とパワハラによって深刻な労災が発生したこと、また、外国人技能実習生に対する扱いの不適切さからノミネートした。

5.株式会社ジャパンビバレッジ東京

 株式会社ジャパンビバレッジ東京は、サントリー食品インターナショナルグループ傘下の自動販売機オペレーション大手・ジャパンビバレッジホールディングスの子会社である。
 同社は、2017 年末に足立労働基準監督署により「事業場外みなし労働時間制度」の違法適用を指導され、違法な長時間残業があったとして是正勧告を受けた。この労働者の残業時間は月100 時間を超えていたという。
 しかし、同社はこの制度を違法適用したことで、1日10 時間を超える自動販売機の補充などの労働に対して、7時間45 分の給与しか支払っていなかった。
 また、ある支店の支店長がクイズを出し、正解者にのみ有給休暇の取得を認める「有給チャンス」とよばれるパワハラの存在も明らかとなり、メディを賑わせた。言うまでもないが、有給休暇の取得は労働者の権利であるので、「クイズに正解すること」をその取得条件とすることは法律違反である。この「有給チャンス」問題に関連して、同社の複数の管理職が処分されたという。
 自動販売機でいつでも飲み物が買えるのは、その自動販売機に飲料を補充する労働者があってのことであるが、その利便性の裏には、無理のある労働条件や有給休暇すらまともに取らせないパワーハラスメントなどの横行があったことは、世に広く知られるべきことであるのでノミネートした。

6.野村不動産株式会社

 野村不動産株式会社は、不動産業界の最大手企業である。野村不動産では、「裁量労働制」が違法適用されていた2016 年9月、50 代の男性社員が過労自殺していたことが今年3 月発覚した。
 同社では2005 年、会社の中枢で経営企画の立案や情報分析などを行う社員が対象の「企画業務型裁量労働制」を約600 人の社員に適用した。だが実際には、マンションの営業担当など本来は適用の対象とはならない業務の担当者がここに多数含まれており、亡くなった社員もこれを適用された結果、一ヶ月の残業時間が180 時間を超えることもある長時間労働を強いられていた。
 上記の過労自殺が労災認定された2017 年12 月には、こうした裁量労働制の違法適用とそれに伴う違法残業、残業代未払いなどにより同社の東京本社など5 つの事業所が労働基準監督署から是正勧告を受けたほか、宮島誠一社長が東京労働局から是正の特別指導を受けている。
 裁量労働制が違法な長時間労働の温床となっている事実を示し、その悪用が最悪の労災事故を引き起こした事例としてノミネートした。


7.スルガ銀行株式会社

 スルガ銀行は静岡県沼津市に本店を置き、東京ほかの大都市でも営業展開していた地方銀行である。同行では、今年5 月に破産手続開始が決定し破綻した不動産会社「スマートデイズ」の勧誘のもと同社のシェアハウスに投資していた一般投資家らに不正な融資をしていたことが判明し、今年9 月7 日にはこの問題に関する第三者委員会(委員長=中村直人弁護士)の調査報告書が公表された。これにより、同行が行員たちに過大なノルマを押し付ける一方、達成できない人に対しては凄絶なパワーハラスメントを行っていたことが発覚した。
 上記報告書によれば、第三者委ではスルガ銀行の全行員を対象にアンケート調査を実施。その結果、「首を捕まれ壁に押し当てられ、顔の横の壁を殴った」「数字ができないなら、ビルから飛び降りろといわれた」、「ゴミ箱を蹴り上げたり、空のカフェ飲料のカップを投げつけられた」「死んでも頑張りますに対し、それなら死んでみろと叱責された」「ものを投げつけられ、パソコンにパンチされ、お前の家族皆殺しにしてやるといわれた」…などの回答が多数寄せられたとされており、第三者委もこうしたパワハラの蔓延が不正融資の温床になったとの見方を示している。
 パワハラ行為それ自体のひどさもさることながら、この放置・励行が最終的には社会全体に害を及ぼすことの実例としてノミネートした。

8.ゴンチャロフ製菓株式会社

 ゴンチャロフ製菓株式会社は神戸市に本社を置き、チョコレート・焼き菓子などの洋菓子の製造販売及び喫茶経営を手がけている。
 2016 年6 月、同社の工場に勤務していた当時20 歳の男性が電車に飛び込んで自殺した。これが長時間労働と上司によるパワーハラスメントが原因として、2018 年6 月に西宮労働基準監督署により労災認定された。
 報道によると、チョコレート製造などに携わっていた男性は、廃棄品は牧場に回されることから、ミスをすると「牛のえさ、作りに来とんか」と責められ、辞意を申し出ると「お前の出身高校からはもう採用しない」と叱られるなど、上司からパワハラを受けていたという。
 さらに男性は2015 年9 月~12 月には月約80~100 時間の残業をしており、同労基署は「業務による強い心理的負荷が認められる」とした。長時間労働とパワーハラスメントによって20 歳の若い命が奪われるという痛ましい事例であり、近年社会問題となっている長時間労働とパワーハラスメントを象徴する事例としてノミネートした。


9.株式会社モンテローザ

 株式会社モンテローザは「白木屋」「魚民」「笑笑」「目利きの銀次」「山内農場」などの居酒屋チェーンを展開する外食企業である。
 2017 年6 月、同社が福岡県福岡市で運営する「わらわら九大学研都市駅店」の店長(当時53 歳)が開店準備中に倒れ、致死性不整脈で亡くなった。遺族の労災申請を受けて福岡中央労働基準監督署が調査したところ、男性が亡くなるまでの3カ月間の時間外労働が過労死ラインとされる月80 時間におおむね達していると確認されたことなどから、今年8 月7 日、労災と認定された。
 男性のいとこがインターネットで発表した告発漫画によれば、男性は生前、友人とのLINE で「15 時から深夜3時まで勤務。それから6 時台の始発まで帰れず、8 時前にやっと帰宅。そのあと12 時には起きないといけない」「地獄です」などと漏らしていた。
 モンテローザでは各店に勤怠管理ソフトを導入しており、亡くなった男性も記録上は週に2 日休み、休憩も取れていることになっていた。だが上記漫画や一部報道によれば、このソフトは一種の「労基署対策」であり、実際はサービス残業や休日出勤、休憩なしの労働がまかり通っていたという。
 外食産業における長時間労働の結果の過労死という幾度となく繰り返される悲劇は、けっして看過できないためノミネートした。


by asyagi-df-2014 | 2018-12-06 20:27 | 書くことから-労働 | Comments(0)

派遣法改正は、成長戦略政策に乗った経営者側からの要求を満たすためだけに特化した『法改正』でしかない。~沖縄タイムス20180925~

 沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2018年9月24日、「[「派遣切り」問題]法改正で待遇改善図れ」、とその社説で論評した。
「タイムス」の主張は、「正社員への道はむしろ狭まったのではないか。」、との指摘である。
 「タイムス」は、法改正の矛盾について、次のように示す。


(1)改正労働者派遣法の施行から3年を前に、「派遣切り」や「雇い止め」への不安が高まっている。
(2)2015年9月30日に施行された改正法は、派遣労働者が同じ職場で働ける期間を最長3年に制限するものだった。それまで受け入れ期間に制限がなかった秘書や通訳など26専門業務でもルールを統一したのだ。
(3)他方、派遣会社に対しては雇用安定措置を義務付けた。同じ職場で3年を迎えた労働者の正社員化など直接雇用を派遣先企業に依頼するほか、派遣会社自らが無期雇用するなどの対応である。派遣元と派遣先は、10月1日以降、この雇用安定措置をとらなければならない。


 しかし、日本という国の実態は、「ところが3年の経過を前に、派遣切りが指摘されている。」「市民団体『非正規労働者の権利実現全国会議』が昨年来続ける労働相談にも深刻な事例が数多く寄せられている。」、というのが実情ではないのかと言うのである。
 どいうことなのか。


(1)15年以上継続勤務してきた女性が直接雇用されることなく派遣を打ち切られた、派遣元が派遣先に求めた高額の紹介料が壁となって直接雇用が頓挫した、派遣元で無期雇用となった場合、時給が下がると言われた-などである。
(2)3年前の法案審議で安倍晋三首相は、「正社員を希望する人にはその道を開き、派遣を選択する人には処遇の改善を図る」と意義を繰り返した。
(3)希望者の正社員化どころか、現状は雇用の安定とは逆の方向に進む。


 「タイムス」は、この問題の本質を次のように指摘する。


(1)そもそも派遣法改正は、労働分野の規制改革を掲げる安倍政権が経済界の意向をくんで進めた規制緩和策である。
(2)改正法の最大のポイントは、企業の派遣労働者受け入れ期間の制限をなくしたことだ。働く個人でみると同じ職場にいられるのは3年に限られるが、3年ごとに人を入れ替え、労働組合の意見を聞くといった手続きを踏めば、企業は派遣労働者に同じ仕事を任せられる。そのため当時から「不安定な雇用が拡大する」との懸念が強かった。 
(3)頼みの綱の雇用安定措置も、派遣元は直接雇用の依頼義務を負うが、派遣先が断るのを拒めない。派遣先が見つからない間も給与を保障する派遣元での無期雇用には高い壁がある。


 だから、「タイムス」は、日本政府に対して、まずはきちんとした「雇用安定措置の実効性や、派遣切りの実態を調査すべきだ。」、と要求する。
また、「改正労働契約法により4月から始まった『無期転換ルール』で、開始直前の雇い止めが問題となったばかりだ。法の『抜け道』を利用したルール逃れである。改正派遣法も同様に『抜け道』による悪影響が目立ってきている。」、「派遣で働く人は、昨年6月時点で約156万人。リーマン・ショック後、雇い止めが横行したピーク時からは減っているものの、ここ数年増える傾向にある。」、との実態を突きつける。 


 「タイムス」は、「企業のやる気やモラルに頼るだけでは待遇改善は図れない。法の再改正を含む見直しが必要だ。」、と


 確かに、「労働分野の規制改革を掲げる安倍政権が経済界の意向をくんで進めた規制緩和策」(沖縄タイムス)としての派遣法改正は、成長戦略政策に乗った経営者側からの要求を満たすためだけに特化した『法改正』でしかない。
むしろ、沖縄タイムスの「法の再改正を含む見直しが必要だ。」との論調さへがむなしく響く。



by asyagi-df-2014 | 2018-09-29 07:52 | 書くことから-労働 | Comments(0)

労働者が追い込まれている実態を変えなくては。

 毎日新聞は2018年9月17日、表題に関して次のように報じた。


(1)「三菱電機(本社・東京都千代田区)の男性社員5人が精神障害や脳疾患を発症し、2014~17年に労災認定されていたことが判明した。同社が27日、明らかにした。いずれも開発業務にあたるエンジニアで、うち2人は過労自殺していた。自殺者1人を含む3人には裁量労働制が適用されていたが、同社は今年3月、これを廃止している。」
(2)「同社によると、労災認定されたのは20~40代(いずれも認定か死亡当時)の男性社員で、長時間労働が原因とみられる。このうち、情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)で医療用半導体レーザーの研究開発などを担当していた社員(当時31歳)は16年11月、記者会見して、違法な長時間残業を強いられて適応障害を発症し、神奈川労働局藤沢労働基準監督署から労災認定されたと明らかにした。」
(3)「同社では04年に裁量労働制を導入し、全社員約3万人のうち研究職や企画業務にあたる社員約1万人に適用していた。裁量労働制は実際に働いた時間でなく、あらかじめ決めた『みなし労働時間』を基に残業代込みの賃金を支払う制度。仕事の進め方や時間配分を自分で決められる労働者に限り適用できるが、長時間労働の温床となっているとの指摘がある。
(4)「裁量労働制が適用されていた3人(労災認定は15年3月~17年8月)のうち、コミュニケーション・ネットワーク製作所(兵庫県尼崎市)の当時40代の社員は16年2月に過労自殺、2人は脳疾患を発症した。また、12年8月に過労自殺した名古屋製作所(名古屋市)の当時20代の社員や、労災を公表した社員も将来的には裁量労働制が適用される可能性の高い業務だった。」
(5)「今年3月に裁量労働制を全廃したことについて、同社広報部は「労働時間をより厳格に把握するため」と説明し、一連の労災認定との関連については「直接的な理由ではない」としている。」
【神足俊輔】


 2004に裁量労働制を導入した三菱電機が、2018年3月で、裁量労働制を全廃した理由を、是非とも公にし、学ぶ必要がある。
その理由の一つが、裁量労働制では果たせなかった「労働時間をより厳格に把握するため」ということが明確になったので。
確かに、労働者にとって「時間」の問題は、命に関わるのだから。




by asyagi-df-2014 | 2018-09-27 17:10 | 書くことから-労働 | Comments(0)

沖縄が非正規率が43.1%で全国一の高さである地平から、日本の非正規雇用問題を考える。

 沖縄タイムス(以下、「タイムス」。)は2018年7月15日、「2017年の就業構造基本調査では、沖縄県内の役員を除く雇用者に占め『「派遣社員』、『契約社員』、『嘱託』、『パート・アルバイト』などの非正規雇用者の割合は43・1%で、若年層では44・4%といずれも全国で最も高かった。好調な県経済を背景に有効求人倍率など雇用情勢は改善し、人手不足から女性や高齢者でも働く人が増えているが、非正規の割合が依然と高い状況が続いている。6月に成立した働き方改革関連法では、非正規の待遇改善が盛り込まれており、県経済の持続的な発展のためにも企業側の対応が急務となっている。」、と伝えた。
 あわせて、「タイムス」はこの非正規雇用の問題点を、「雇用形態が不安定だと転職率が上がり、平均継続就業期間は短くなる。企業にとっては技術やノウハウが蓄積されず、生産性低下につながりかねない。県経済全体にとってもデメリットになるといえる。まずは、労働者が企業に定着し、安心して働ける環境整備が急務である。」、と解説する。
 また、「タイムス」は2018年7月16日、「[非正規率全国一]政府の対応が不可欠だ」と社説を掲げた。
 日本の非正規雇用問題について、沖縄の地平から考える。
「タイムス」は、沖縄の非正規の実態を次のように示す。


「パートや有期契約、派遣などで働く県内の非正規労働者が過去最多の25万3800人となったことが、総務省の2017年就業構造基本調査で明らかになった。雇用者全体に占める割合は43・1%に上り、5年前の前回調査に引き続き全国一の高さである。非正規は全国的にも増えているが、その平均割合は38・2%。最も低い徳島は32・6%で、沖縄とは10ポイント以上の開きがある。働く人のおよそ2人に1人が、賃金が安く身分が不安定な非正規という現実は深刻だ。」


 こうした状況に、「タイムス」は、次の問題点を指摘する。


(1)「県内景気は58カ月連続で『拡大』し、経済は好調だというのに、雇用の『質』がなかなか改善されないのはなぜなのか。」
(2)「指摘されるのは、サービス業など第3次産業に極端に偏る産業構造である。仕事の繁閑が大きく、製造業に比べて低いとされる労働生産性が長期の安定した雇用を阻んでいる。」
(3)「資本力の弱い中小零細企業が大部分を占めていることも影響している。」

 
 また、「タイムス」は、こうした沖縄の抱える問題に、「これ以上放置できない問題だ。」として、次の疑問を挙げる。


(1)「フルタイムで働いても非正規の平均月給は正社員の7割に届かない。同じ仕事をしているにもかかわらず、身分の違いだけで、これだけ差が生じるのは不合理である。」
(2)「本土との格差の代名詞とされる1人当たりの県民所得が全国最下位なのも、沖縄の極めて厳しい子どもの貧困率も、全国一低い大学進学率も、生涯未婚率の高さも、雇用の質と密接に絡み合っている。」


 さらに、「タイムス」はこうした実態が沖縄に抱えさせられている問題点を指摘する。


(1)「中でも深刻なのは若者の雇用を巡る状況だ。15歳から34歳までの若年者の非正規率は44・4%とさらに悪く、こちらも全国一だった。」
(2)「高校や大学を卒業して最初の就職先が非正規というのは珍しくない。しかし社会人の入り口での不安定雇用は働くことへの意欲をそぐばかりか、格差の固定化を招きかねない。」
(3)「調査では、1年前と現在の勤め先が異なる転職者率も公表され、県内は6・7%と最も高かった。若者の離職率の高さは雇用の『ミスマッチ』ということもあるのだろうが、労働条件の悪さなど働き続けることが困難な現実にしっかり向き合う必要がある。」


 当然、この問題は、沖縄県だけで解決できるものではない。
 したがって、「タイムス」は、次のことを日本という国の課題とすることを要求する。


(1)「非正規を雇用の調整弁と考えている企業もあるかもしれない。ただ2人に1人という現実は深刻で、一企業での解決は困難である。一自治体で取り組める話でもない。」
(2)「製造業が育成されないなど産業構造の問題は、米軍統治下で『基地依存型輸入経済』を余儀なくされた経済政策を引きずるものだ。」
(3)「安倍晋三首相が何かにつけ『私が先頭に立って、沖縄の振興を前に進めていく』と話すのは、沖縄振興を国の責務と自覚しているからだろう。政府と県が一体となって構造転換や生産性の向上を促す新しい施策を打ち出す時だ。」


 沖縄の地から、不正規雇用の問題を考える時、まずは沖縄が抱えさせられている構造的問題がある。
 それは、①サービス業など第3次産業に極端に偏る産業構造であることから、仕事の繁閑が大きく、製造業に比べて低いとされる労働生産性が長期の安定した雇用を阻んでいること、②沖縄では資本力の弱い中小零細企業が大部分を占めていること、③こうした問題の背景には、「製造業が育成されないなど産業構造の問題は、米軍統治下で『基地依存型輸入経済』を余儀なくされた経済政策を引きずるものだ。」(沖縄タイムス)との構造的問題が横たわっていることである。
 実際この問題から、「沖縄の将来を担う世代の能力を生かすことができない」(沖縄タイムス)状況が生まれてきている以上、「社会にとって大きな損失だ。」、との沖縄の課題の指摘は、深刻な意味を持つ。

もちろん、日本の非正規雇用の問題は、非正規雇用が成長戦略という企業利潤の非常な追求のための「雇用の調整弁」と位置づけられていることが、大きな格差や差別を生じさせている原因であることを押さえておく必要がある。



by asyagi-df-2014 | 2018-07-21 09:30 | 書くことから-労働 | Comments(0)

「働き方改革」法が成立。この問題をきちんと押さえるために。(4)

 「この国は、また壊された。」
 何故なのか。
 「労働者の命と健康を犠牲にする」法律を作ってしまったから。

 毎日新聞の2018年6月29日付け「安倍政権が今国会の最重要課題と位置づけるは、29日午前の参院本会議で自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。残業時間の罰則付き上限規制が初めて設けられる一方、反対の声が根強い『高度プロフェッショナル制度』(高プロ)が創設される。施行は原則2019年4月だが、制度の適用は企業の規模などにより時期が異なる項目もある。」、との記事を上記のように捉えた。

この問題をきちんと整理するために、日本労働弁護団の「働き方改革関連法案の採決強行に対する抗議声明(2018年7月3日)」(以下、「声明」。)で考える。
「声明」は、次のように問題点を指摘する。


(1)「日本のほとんどの労働組合と組合員及び過労死を考える家族の会などの市民団体をはじめとする多くの国民が反対し、日本弁護士連合会や過労死弁護団、日本労働弁護団など法律家団体の多くが反対する中で、安倍晋三政権は、働き方改革関連法案の採決を強行し、成立させたこと」
(2)「国会の会期を延長し、もっと十分な審議時間があったにもかかわらず、法案の問題点や疑問点が多数残されたままで審議を尽くすことなく、野党の多くが反対するのを押し切って採決を行ったこと」
(3)「高プロ制度を望む労働組合や労働者など誰もいないにもかかわらず強行採決したこと」
(4)「高プロ制度は、労働基準法に基づく労働時間規制を全て外してしまい、使用者が対象労働者に対して際限のない長時間労働をさせることが可能となるという意味で、労働基準法による労働者保護規制の破壊であり、わが国で働く労働者に取り返しのつかない弊害をもたらすものであること」
(5)「改正法は、政府与党が説明するような『労働者が自らの意思で柔軟な働き方を選択できる』制度ではなく、『時間ではなく成果で評価され賃金が支払われる』制度でないことが明らかであること。何故なら、『高プロ』制度は、『長時間労働を助長し、過労死を増加させる危険が高い』『定額の固定賃金で働かせ放題になる』ものでしかなく、政府が働き方改革関連法案で掲げる『長時間労働の是正の目的』と高プロ制度の本質は完全に矛盾するものであるから」
(6)「『労働者の命と健康を犠牲にする』法律は断じて作ってはならないこと」


 日本労働弁護団は「声明」で、「労働基準法の労働時間規制を破壊する改正法に断固として反対し、政府与党に対し、速やかに高プロ制度を創設する法律を撤回することを求める。」、と要求する。
 この上で、「全ての労働組合と労働者に対して、それぞれの職場で働く労働者の命と健康を守るために、高プロ制度の導入に反対し、この制度を使わないまま廃止させることを強く呼び掛ける。」、と決意表明をする。
 また、「今後、もし、高プロ制度を導入する企業があるならば、当該企業は『ブラック企業』の烙印を押され、社会的な批判・非難の対象となることを免れ得ないであろう。」、と警告する。


 私たちも続けて、「高プロ制度を導入する企業があるならば、当該企業は『ブラック企業』の烙印を押され、社会的な批判・非難の対象となることを免れ得ない」、と高らかに宣言しよう。



by asyagi-df-2014 | 2018-07-13 07:12 | 書くことから-労働 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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