2019年 10月 25日 ( 3 )

沖縄-辺野古-沖縄 高江から-2019年10月25日

「全米約66万人の組合員でつくるアジア太平洋系米国人労働者連合(APALA)のメンバーを招き、名護市辺野古の新基地建設問題を考えるシンポジウム(主催・オール沖縄会議)が23日、那覇市の八汐荘であった。APALA幹部ら4人のパネリストが登壇し、市民ら約130人が参加。米国内の世論喚起などで連帯し、建設阻止に向けて共に行動することを確認した。」、と沖縄タイムス。
 確かに、一方の当事者の自覚が必要である。


 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2019年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。
 2019年10月25日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)沖縄タイムス-全米66万人の労組幹部、新基地阻止へ「米世論喚起」 那覇でシンポ 沖縄大学に労働問題解決の拠点設立-2019年10月25日 07:00


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「全米約66万人の組合員でつくるアジア太平洋系米国人労働者連合(APALA)のメンバーを招き、名護市辺野古の新基地建設問題を考えるシンポジウム(主催・オール沖縄会議)が23日、那覇市の八汐荘であった。APALA幹部ら4人のパネリストが登壇し、市民ら約130人が参加。米国内の世論喚起などで連帯し、建設阻止に向けて共に行動することを確認した。」
②「APALAは19日に来県。23日までに新基地建設現場や平和の礎、米軍の窓枠が落下した普天間第二小学校などを訪問した。」
③「創設者のケント・ウォンさんは『権力にあらがう沖縄の長年続く闘いに感銘している』と強調。『平和を願い、軍事拡張を止めるとの思いを米国につなぎ、今日をスタートに力強い連帯を築きたい』と話した。また、労働問題の解決に向けた拠点となる『レイバー(労働)センター』を沖縄大学に設立する意向を示し『学生との交流が米国と沖縄の連帯を育むはずだ。未来の子や孫のために協力し合おう』と呼び掛けた。」
③「『子どもたちが近くの米軍基地から多大な影響を受けている』と語ったのは、普天間第二小を視察したAPALA議長のモニカ・タマラさん。『米国内の米軍基地は学校の近くや住宅地にない』と説明し、『子どもたちがこの異常な環境に慣れてしまうことが大きな問題で、強く印象に残った』と語気を強めた。」
④「前参院議員の糸数慶子さんは『米国と対等な関係を築くのが日本政府のやるべきこと。APALAを通じ、沖縄の理解者を増やすことが問題を解決する手だてだ』とした。」
⑤「ジュゴン保護キャンペーンセンターの吉川秀樹さんは『県民の声は住民運動や訴訟、選挙結果などを通じて表されている。それらを米国へ発信し続けるのも大切』と説いた。」
⑥「シンポジウムに参加した那覇市の具志一正さん(65)は『APALAのバックアップで、辺野古の工事が止められれば』と期待した。」


(2)沖縄タイムス-知事、与党と調整難航も 那覇軍港移設で-2019年10月25日 14:40


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「那覇軍港の浦添移設は軍港の位置を巡り沖縄県と那覇市、浦添市で見解が異なり、翁長雄志前県政の時代から進展が見られなかった。浦添市の松本哲治市長が『新たな案』に言及するなど柔軟な姿勢を示す状況の変化を受け、移設実現へと一気に動きだす可能性もある。一方で、軍港移設が進んだ場合、玉城デニー県政と移設反対の意見がある県政与党との調整が難航することもあり得る。」
②「県や那覇市が推す北側案は、民間港(民港)と離れた北側の場所に軍港を整備することで、民港の物流などの機能に与える影響を少なくする計画。2017年4月に開かれた国と県、那覇、浦添による移設協議会でも総合評価は北側案が高かった。」
③「一方で、浦添市は軍港を北側に整備するとビーチからの眺望を損なうなどの理由で軍港を南側にするよう求めている。松本氏は独自に『浦添市西部開発に関する懇話会』を設置。港湾機能の懸念は軍民で進入路を分けることで解消し、民港がビーチやクルーズ岸壁、商業施設エリアと隣接し経済効果が高められる点で優れていると結論付けた。」
④「新たな協議会では県、那覇、浦添の専門部署が各案の民港への影響、周辺開発との連携をあらためて整理し、どの案ならば課題を解決できるかを話し合う。協議がまとまれば、国を交えた移設協議会のテーブルに乗り移設が進む。」
⑤「玉城知事は新たな会議の結論をまとめる時期を明確に示していないが、24日の3者会談で合意した文書では『(来年3月末の)那覇空港第二滑走路の供用開始を見据え協議する』と明記。松本市長は2年後の市長選までに実績を残したい考えもあるとみられ、この1年で移設協議が大きく動くことも想定される。」
⑥「一方で、玉城知事の与党である共産党の浦添市委員会は9月に知事と面談し、軍港の浦添移設に反対し無条件全面返還を求めるよう要請した。浦添市案を受けて膠着(こうちゃく)していたこの間、県政与党と県政の中で軍港問題は事実上の棚上げ状態だった。移設が進めば、知事は県政与党との調整が迫られることになる。」           (政経部・銘苅一哲)


(3)沖縄タイムス-【深掘り】ハンセン病元患者の家族への補償額決定 原告は要求額に満たず「苦渋の決断」 置き去りの被害回復には道筋-2019年10月25日 14:00


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「ハンセン病元患者の家族を対象にした補償法案の基本方針が24日決まり、置き去りにされていた家族の被害回復への道が整った。だが補償額は当初の要求と開きがあり、受け入れは原告には苦渋の判断。補償が実現しても、偏見や差別を恐れ当事者が名乗り出ないことも考えられ、今後の啓発活動が課題になる。」
②「『最終解決に向けて、非常に大きな一歩だ』。24日夕方、参院議員会館の会議室。熊本訴訟弁護団の徳田靖之共同代表が基本方針が決まったと切り出すと、集まった原告から安堵(あんど)の声が漏れた。」
③「政府は原告・弁護団側と補償内容を何度も協議してきた。対象範囲については同居のおい、めい、孫を含めるなど、熊本地裁判決が認めた以上に広げることで比較的早い段階で合意が成立した。だが補償額の協議は難航。政府側は判決で示した最大130万円から20万円の上積みで打開を図ろうとしたが、訴訟で1人当たり550万円を求めた原告側の考えとの差は開いたままだった。」
④「『交渉決裂もあり得た状況』(弁護団関係者)だったが、原告側は最終的に政府が譲歩して示した最大180万円の案を受け入れた。ただ、原告団長の林力さん(95)は記者会見で『国がこれで罪をつぐなったと合点する人はいない』と苦渋の判断だったと明かした。」
⑤「元患者家族への補償が決まったことは他の訴訟の関係者にも影響を与えている。旧優生保護法(1948~96年)下で障害者らに強制も含めた不妊手術を施していた問題では、今年4月に一時金320万円を支給する法律が施行された。だが支給の対象は本人のみで、家族は入っていないためだ。現在、7地裁に20人が国家賠償請求訴訟を起こしており、原告には本人だけでなく、配偶者も含まれている。全国被害弁護団の新里宏二共同代表は『産むか産まないかを決める権利は個人のものであり夫婦のもの。子を育てる喜びを奪われた本人とともに配偶者らも補償すべきだ』と強調。その上で『元患者家族訴訟の思いを受け継ぎ、全力で取り組む』と語った。」
⑥「元患者家族の補償関連法は臨時国会での成立は確実となったが、懸念もある。ハンセン病問題に詳しい神戸学院大の春日勉教授(刑事政策)は『元患者の家族だと周囲に知られることを恐れ、請求をためらう人もいるのでは』とみる。」
⑦「訴訟関係者は、熊本訴訟の原告らは元患者の家族というだけで差別にさらされ続けている現状を話しており、実際、原告561人のうち名前を出して裁判に臨んだのは数人だった。春日教授は『待っていたら出てこない人もいる。行政は請求を促す仕組みを整えるべきだ』と指摘した。」


(4)琉球新報-MC130着陸装置の一部、伊江島補助飛行場で発見 米軍、防衛局に報告 判明前の18日に見つかるも伝えず-2019年10月25日 19:25


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「米軍MC130J特殊作戦機から着陸装置の一部がなくなっていた問題で、米軍が18日に伊江村の伊江島補助飛行場で部品を発見していたことが25日、分かった。米軍から報告を受けた沖縄防衛局が25日、沖縄県に伝え、県が発表した。米軍は部品不明が判明した21日時点では『米軍が管理する飛行場』と説明していた。」
②「発表によると、当該機は米空軍嘉手納基地と伊江島補助飛行場で着陸して止まらずにすぐ離陸する『タッチ・アンド・ゴー訓練』をしていたとした。発見した部品について、米軍は着陸装置の主脚にある『トルク管とバネ』と説明。部品の寸法についても計り直したとして、重さ約0・5キロ、縦約1メートル34センチ、直径3センチと修正した。」
③「嘉手納基地を拠点とする第353特殊作戦群が原因を調査しており、当該機は発覚後、飛行していないという。第353特殊作戦群は25日午後6時半現在、本紙の取材に回答していない。」



by asyagi-df-2014 | 2019-10-25 21:30 | 沖縄から | Comments(0)

ハンセン病の家族補償法案の骨子案が了承される。

 朝日新聞は2019年10月25日、表題について次のように報じた。


(1)ハンセン病元患者の家族の補償の仕組み作りを進めている、二つの超党派の議員懇談会の合同総会が24日開かれ、補償額を1人あたり最大180万円などとする補償法案の骨子案を了承した。6月の熊本地裁判決で請求を棄却された人や裁判に参加していない人も補償する。今後、法案化の作業を進め、開会中の臨時国会での成立を目指す。
(2)骨子案によると、補償額は元患者の親子、配偶者が1人あたり180万円、きょうだいや元患者と同居していたおい、めい、孫、ひ孫らは130万円とする。元患者のハンセン病療養所の入所歴の有無は問わず広く補償する。判決で棄却された2002年以降に家族に元患者がいると認識した人や、療養所の入所時期によって家族の関係づくりが妨げられた被害を認められなかった人も等しく補償する。厚生労働省によると、対象者は推定2万~3万人になるという。
(3)提訴後に亡くなった約20人の原告に対しては、訴訟を通してハンセン病家族の問題解決を促したとして、補償金と同様の一時金を支払うことを省令で定める。
(4)補償金の請求期限は法施行から5年間。対象者は療養所の患者台帳や戸籍などの資料で確認。確認できない場合は、外部有識者による審査会が認定する。
(5)また、元患者の名誉回復のためのハンセン病問題基本法の改正案の骨子案も了承された。元患者の家族を新たに対象に加える。
(6)会見した、林力・原告団長(95)は「元患者の家族それぞれの人生があり、これで合点する人はいない。ただ、補償金が出ることは大変ありがたい。これを契機にハンセン病問題の社会啓発、教育内容の充実に全力を注ぎたい」と話した。
(7)弁護団共同代表の徳田靖之弁護士は「今回の成果は闘ってきた原告、支えてくれた市民のおかげ。ハンセン病問題の最終解決に向けての大きな一歩になった。これからは最大の目的である差別、偏見の解消のために国に総力を挙げた取り組みをさせていくという、最も困難な仕事に取り組んでいきたい」と述べた。(富田洸平、土肥修一)
(7)「国には、隔離政策を徹底したのと同じくらいの力を啓発に入れてほしい」。沖縄県に住む60代の女性原告は、そう願う。療養所に隔離された両親と1歳で離ればなれになった。6月の熊本地裁判決は、国の隔離政策で離散した親子らについて「家族関係の形成が阻害された」と認定した。だが、賠償の対象期間は沖縄以外が1960年以降なのに対し、沖縄は本土復帰の72年以降。女性は復帰前に両親と同居したため、離散についての慰謝料は認められなかった。「沖縄」を理由に区別されたことに不満が残った。「被害がなかったと言われたような気がしていて、ずっともやもやしていた。日本人として教育を受けてきたのに、なぜ今さら別に扱うのか」。それでも控訴せず、国と弁護団との議論を見守った。了承された骨子案で沖縄と他地域の区別がなくなったことに「良かった。国側にも真摯(しんし)に受け止めてもらえた」と喜んだ。
(8)元患者や家族への差別や偏見の解消は残る課題だ。「今後は元患者やその家族が住みやすい社会を作ってほしい。裁判で終わりという話ではない」。骨子案では、判決で訴えが退けられた原告や裁判に参加しなかった家族も補償の対象に。棄却された沖縄県の30代男性は「裁判に参加できなかった人も喜んでいると思う」と評価した。
(9)一方、補償額は最大180万円で、訴訟で求めた500万円とは開きがある。東北地方に住む50代の男性原告は「(受けた被害を考えれば)500万円でも足りないくらい。納得しろと言われても、すぐに『分かりました』とはならない」と複雑な胸の内を明かした。男性が1歳の頃、ハンセン病が再発した父は療養所に入り、家族ばらばらの生活を余儀なくされた。だが、判決では賠償額は抑えられた。父が療養所に近い自宅に週末だけ戻っていたためだ。「週末に帰ってきたら家族関係ができるのか」。受け入れられなかった。骨子案ではこうした区分もなくなった。額に不満は残るが、「首相が約束したとおり、国は本腰を入れて啓発に取り組んでほしい」と語った。(一條優太)


 確かに、大事なことは、「国には、隔離政策を徹底したのと同じくらいの力を啓発に入れてほしい」(朝日新聞)ということへの注視である。
 ともにすべき大事なことは、弁護団共同代表の徳田靖之弁護士は「今回の成果は闘ってきた原告、支えてくれた市民のおかげ。ハンセン病問題の最終解決に向けての大きな一歩になった。これからは最大の目的である差別、偏見の解消のために国に総力を挙げた取り組みをさせていくという、最も困難な仕事に取り組んでいきたい」(朝日新聞)、ということだ。




by asyagi-df-2014 | 2019-10-25 12:49 | ハンセン病 | Comments(0)

辺野古新基地建設にかかる「関与取り消し訴訟」の沖縄県の敗訴。

 琉球新報は2019年10月24日、「米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡り、県の埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決の取り消しを求め、県が国を相手に7月に提起した『関与取り消し訴訟』で、福岡高裁那覇支部(大久保正道裁判長)は23日、県の訴えを却下した。国が私人として行政不服審査法を利用したことは違法だという県の主張について、判決では埋め立て承認は『国の機関と一般私人とを区別することなく同様に扱うことが予定されている』として、国交相の裁決は違法ではないと判断した。県は上告する方針。」、と報じた。
 この判決について、24日の朝に扱ったのは、沖縄の二紙と毎日新聞であった。
 この三紙を通じて、この判決の意味を考える。
 三紙の社説の見出しと特徴的な主張は、次のものである。


(1)琉球新報社説-関与取り消し訴訟 国追随の一方的な判決だ-「政府の言い分だけを一方的に採用した、国追随の不当な判決だ。」
(2)沖縄タイムス社説-[辺野古訴訟却下]政府に追随した判決だ-「今回の判決は問題だらけの新基地建設にお墨付きを与えるようなものである。司法が行政へ追従したと言わざるを得ない。」
(3)毎日新聞社説-辺野古訴訟で県側敗訴 国へのお墨付きではない-「辺野古の埋め立てに司法がお墨付きを与えたと考えるべきではない。県側は上告する構えで、那覇地裁に起こしたもう一つの訴訟も控える。」


 琉球新報(以下、「新報」)と沖縄タイムス(以下、「タイムス」)の二紙からは、この国の司法の不条理に対しての怒りが直接伝わってくる。毎日新聞(以下、「毎日」)は、この国のやり方を戒める言説となっている。
この三紙の主張は、1.判決内容、2.この判決が意味するもの、3.判決を受けての各新聞社の主張、にまとめられる。
それは、つぎのものである。


1.判決内容
(「新報」)
(1) 裁判で争われたのは、国民(私人)の権利・利益を救済するためにある行政不服審査法を、国の機関である沖縄防衛局が利用したことの適法性だった。公有水面埋立法は公有水面を「国ノ所有ニ属スル」と定める。国が都道府県知事から埋め立て権限を得る場合は「承認」であり、国以外の者は「免許」として別の制度とするなど、国の特別な地位を認めている。本来なら行政不服審査制度を利用できないはずの沖縄防衛局が、私人になりすまして制度を利用したことは違法だと県は訴えた。
(2)ところが判決は、埋め立て承認を巡り国とそれ以外で相違があることを認めておきながら、「本質部分における相違ではない」と県の主張を退けた。全く理解不能だ。
 米軍基地建設のための埋め立てという事業の目的を踏まえても、国は一般私人と異なる「固有の資格」を持つというのが当然の考え方だろう。国の立場をおもんぱかったような論理に、裁判所の存在意義を疑ってしまう。
(3)さらに、辺野古移設を推進する内閣の一員である「身内」同士による結論ありきの手続きという不公平性の指摘についても、判決は「審査請求人と審査庁のいずれもが国の機関となることは行政不服審査制度上当然に予定されている」と問題視しなかった。あまりの形式論だ。

(「タイムス」)
(1)大久保正道裁判長は「(地方自治法によって)裁決は国の関与から除外され、訴訟の対象になり得ない」などとして県の訴えを却下した。判決は県の訴えをことごとく退け、国の主張を全面的に認めている。

(「毎日」)
(1)問題は、国の機関である沖縄防衛局が私人の立場で承認撤回の取り消しを申し立て、同じ国の国土交通相がそれを認める裁決をしたことだ。この手続きの根拠法となった行政不服審査法は国民の権益救済を目的としたものだ。辺野古の埋め立てを進める国の内部で審査の申し立てと裁決が行われては、第三者性や公平性が確保される保証はない。
(2)県側は防衛局の申し立ても国交相の裁決も違法だと主張した。100人を超える行政法学者が「制度の乱用であり、法治国家にもとる」と憂慮する声明を発表している。 しかし判決は、国の機関が一般私人と同じ立場で処分を受けた場合には制度を適用すべきだとして、国側の主張を認めた。著しい権限の乱用もなかったとした。
(3)地方自治法は国と地方の係争処理手続きの対象に「裁決」は含まれないと定めている。判決はそれを根拠に「訴訟の対象になり得ない」との形式論で県の訴えを退けた。


2.この判決が意味するもの
(「新報」)
(1)法をねじ曲げてでも地方の決定を押しつぶす政府の強権的なやり方に、裁判所がお墨付きを与えることになる。判決が地方自治や法治主義に及ぼす影響について重大な危惧を抱かざるを得ない。
(2)翁長県政で決定し、玉城県政へと引き継がれた埋め立て承認撤回を、どんな手段を使ってでも覆そうという意思を現政権が持っていることを裁判所も知らないはずがない。辺野古移設を「唯一の解決策」として埋め立てを強行する政府の手法は、法律を逸脱していないのか。行き過ぎた権力行使には歯止めをかけることが、三権分立の下で司法に課せられた役割のはずだ。
(3)玉城デニー知事は意見陳述で「国が一方的に決定を覆すことができる手法が認められれば、政府の方針に従わない地方公共団体の行政処分について強制的に意向を押し通すことができるようになる」と述べ、決して沖縄だけの問題ではないと強調していた。

(「タイムス」)
(1)県は、国の機関である防衛省沖縄防衛局が一般私人の権利救済を目的とする行政不服審査法(行審法)を使って国交相に審査を申し立てたのは違法であると主張した。判決は、公有水面の埋め立てを排他的に行って土地を造成する点では防衛局と一般私人は本質的に異なるものではなく、「沖縄防衛局は、行審法に基づき、国交相に審査請求をすることができる」と国の立場を追認した。埋め立て用途がどのようなものであるかは影響しないとしている。米軍に基地を提供する私人がいるだろうか。とうてい納得できない。
(2)県は、新基地建設を推進する安倍内閣を構成する防衛局の申し立てを同じ内閣の国交相が審査するのは身内同士による判断で、中立・公正に重大な問題があると主張した。判決は、国交相が内閣の一員だからといってただちに審査庁の立場を放棄していたということはできず、その権限・立場を著しく濫用(らんよう)したとは認められない-とした。本当にそうだろうか。「辺野古が唯一」と内閣を挙げて新基地建設を推進する中で、国交相が中立的に裁決することは不可能だ。
(3)防衛局の申し立てを国交相が裁決する手法を認めるのは地方自治を破壊するものだ。強引な法解釈によって国の方針に従わない自治体の決定は、何であれ国が覆すことができるようになる。沖縄だけの問題ではないのである。1999年の改正地方自治法で国と自治体の関係が「上下・主従」から「対等・協力」の関係に改められたことにも、もとるものだ。

(「毎日」)
(1)米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する沖縄県の訴えを福岡高裁那覇支部が却下した。県が辺野古の埋め立て承認を撤回したのに対し、国側が県の撤回処分を取り消した行政手続きの是非を問う裁判だった。国と県が今後の対応を協議する契機になることも期待されたが、埋め立てをめぐる実質的な審理もなく、門前払いに終わったのは残念だ。
(2)こうしたお手盛りの審査を司法が追認したら、国と地方を対等と位置づける地方自治の原則がゆがめられるのではないか。


3.判決を受けての各新聞社の主張
(「新報」)
(1)裁判官が時の権力におもねるような判断ばかりを示すならば、司法に対する信頼は失墜する。裁判官は良心に従い職権を行使する独立した存在であることを改めて強調しておきたい。

(「タイムス」)
(1)県は上告する構えだ。撤回後の昨年9月の知事選から今年7月の参院選まで「辺野古反対」を掲げた候補者が3連勝。2月の県民投票では投票総数の7割以上が埋め立て工事に反対の民意を示した。だが国は工事を進め対話にも応じない。そんな中での県敗訴であり、玉城デニー知事に手詰まり感が漂うのも事実だ。
(2)埋め立てが始まっていない大浦湾側には「マヨネーズ並み」といわれる軟弱地盤が広がる。海底に約7万7千本の砂ぐいを打ち込むなど大規模な地盤改良が必要になる。サンゴ類や海藻草類などに決定的な影響を及ぼすのは確実だ。国の天然記念物のジュゴンは周辺からいなくなり、絶滅の疑いが出ている。地盤改良には県の承認が必要だが、玉城知事は認めない方針だ。
(3)今回の判決は問題だらけの新基地建設にお墨付きを与えるようなものである。司法が行政へ追従したと言わざるを得ない。

(「毎日」)
(1)2月の県民投票などで再三にわたり「辺野古ノー」の民意が示され、埋め立て区域では広大な軟弱地盤が見つかっている。その中で埋め立てを進める是非の審理を県側は司法に求めていた。
(2)辺野古の埋め立てに司法がお墨付きを与えたと考えるべきではない。県側は上告する構えで、那覇地裁に起こしたもう一つの訴訟も控える。
(3)法廷闘争が続いている間も埋め立ては進む一方、国と県の断裂もさらに深まっていく。仮に埋め立ての完成にこぎつけたとしても、地元の敵意に囲まれた米軍基地の円滑な運用は見通せないだろう。
(3)まずは国側が対決姿勢を改め、対話の道を探るべきだ。


 確かに、日本の司法の逸脱制は、「裁判官が時の権力におもねるような判断ばかりを示すならば、司法に対する信頼は失墜する。裁判官は良心に従い職権を行使する独立した存在であることを改めて強調しておきたい。」、との「新報」の主張に端的に表現されている。
 また、このことは、「こうしたお手盛りの審査を司法が追認したら、国と地方を対等と位置づける地方自治の原則がゆがめられるのではないか。」(「毎日」)との指摘そのものを招くものでしかない。
 現在の日本の司法の歪みは、現政権が倒れたとしても、果たして回復可能なものなのだろうかとの疑念が強い。



by asyagi-df-2014 | 2019-10-25 06:58 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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