2019年 09月 05日 ( 2 )

沖縄-辺野古-沖縄 高江から-2019年9月5日

 安倍晋三政権が、散々利用した『基地負担の軽減』という言葉の実態。
「4日午後3時ごろ、国頭村安田の北部訓練場返還地で、米海兵隊UH1Yヘリの離着陸が目撃された。発着地は2016年12月に返還された『LZ―FBJヘリパッド』と呼ばれる一帯で、やんばる国立公園にも含まれている。搭乗していた米兵が側面ドアから降りるようなそぶりも見せたが、結局は降りずに、ヘリは離陸した。宮城さんは『(返還地で)緊急着陸などはあると思っていたが、今回は訓練で着陸したのではないか。やりたい放題だ』と憤った。」、と琉球新報。
主権の喪失と軍事植民地主義が呼応し合っている。


 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2019年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。
 2019年9月5日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-北部訓練場返還地で米軍ヘリ離着陸 国頭村安田、研究者が目撃-2019年9月4日 20:30


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【国頭】4日午後3時ごろ、国頭村安田の北部訓練場返還地で、米海兵隊UH1Yヘリの離着陸が目撃された。発着地は2016年12月に返還された『LZ―FBJヘリパッド』と呼ばれる一帯で、やんばる国立公園にも含まれている。」
②「目撃したチョウ類研究者の宮城秋乃さんによると、ヘリは4日午後2時半ごろ、返還地付近に飛来し、午後3時ごろに着陸した。陸上にとどまったのは数十秒間で、その後離陸したという。」
③「搭乗していた米兵が側面ドアから降りるようなそぶりも見せたが、結局は降りずに、ヘリは離陸した。宮城さんは『(返還地で)緊急着陸などはあると思っていたが、今回は訓練で着陸したのではないか。やりたい放題だ』と憤った。」


(2)琉球新報-水源に生息する魚類から有機フッ素化合物PFOS 710倍 汚染源は泡消化剤の可能性 京大准教授ら比謝川を調査-2019年9月5日 07:00


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「本島中南部の水源として利用される比謝川流域に生息する魚類から2016年に検出された有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)の値が、環境省が15年に国内17都道府県で調査した魚類の含有量中央値の約710倍に上っていたことが3日までに分かった。調査は京都大の田中周平准教授や国立研究開発法人土木研究所の鈴木裕識研究員らが行った。鈴木氏らがまとめた科研費成果報告書は、水質調査で検出された関連する化学物質から『比謝川の汚染源が泡消火剤である可能性が示唆された』としている。」
②「泡消火剤は米軍嘉手納基地で使われ、県などは比謝川のPFOS汚染は嘉手納基地である可能性が高いと指摘してきた。」
③「田中氏らの調査によると、比謝川流域で分析した魚類15資料のPFOS平均値は1グラム当たり64ナノグラムで、環境省15年調査の中央値である同0・09ナノグラムを大きく上回った。報告書は比謝川の河川魚類は『高度に汚染されている』と分析している。」
④「体内のPFOS値を分析したのはソードテール(49~102ナノグラム)、パールダニオ(43~111ナノグラム)、グッピー(35~48ナノグラム)、テラピア(22~100ナノグラム)の4種。」
⑤「調査では魚類からPFOSの前駆体(ある化学物質が生成する前段階の物質)である『N―EtFOSE』が1グラム当たり584ナノグラム検出された。泡消火剤から生成したという研究事例がある『6:2FTS』が同190ナノグラム、『8:2FTS』も同7・8ナノグラム検出されたことなどから、科研費報告書は『泡消火剤が汚染源の可能性であることが示唆された』としている。」
⑥「ただ、田中氏は『実際に汚染源をたどって細部まで由来を検証した調査結果ではない』とした上で、『泡消火剤以外の物質からPFOSが生成する可能性はある』と付け加えた。」
(島袋良太)
⑦「京都大の田中周平准教授らが2016年に実施した調査で、比謝川流域に生息する魚類の体内から検出された有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)値が全国中央値の約710倍に上っていた。汚染は米軍嘉手納基地で使われる泡消火剤が原因だと疑われてきたが、田中氏らの調査では泡消火剤から生成したという研究事例がある『6:2FTS』などが検出され、汚染源が泡消火剤である可能性が高まった。だが米軍は県による基地への立ち入り調査要請を拒んでおり、また日本政府に提供したとされる基地内の汚染調査結果も公表されていない。」
⑧「同じく田中氏らが16年に実施した水質調査では、比謝川に合流し、嘉手納基地の排水が流れる大工廻川でPFOS値が1リットル当たり412ナノグラム、同じ有機フッ素化合物でPFOSの代替物質として使われる『PFHxS』が同164ナノグラム検出された。16年に田中氏らが関西の淀川と安威川の40地点で実施した調査の中央値である同6・9ナノグラム(PFOS)、同1・6ナノグラム(PFHxS)を大きく上回った。」
⑨「PFOSは発がん性などのリスクが指摘される。魚類から高濃度のPFOSが検出された比謝川流域の水は、県内7市町村に給水する北谷浄水場の水源となっている。ただ、どれほどのPFOSを摂取すれば健康被害を招くかについて、国際機関の世界保健機関(WHO)などによる統一基準は存在していない。基準が存在しない中で、沖縄では健康リスクが指摘されるPFOSの飲料水中の値が突出して高い状況が続いている。」
⑩「米国は水道水中の濃度について米国環境保護庁がPFOSやPFOA(ピーホア)の合計値を1リットル当たり70ナノグラムと設定しているが、これより厳しい水準を独自に設定した州もある。日本では規制基準がないため、厚生労働省が『暫定目標値』の設定に向けた作業を進めている。」
(島袋良太)


(3)琉球新報-米軍ヘリ、国立公園内の返還跡地に着陸 数十秒後に離陸-2019年9月5日 06:30


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【国頭】4日午後3時ごろ、国頭村安田の北部訓練場返還地で、米海兵隊UH1Yヘリとみられる機体の離着陸が目撃された。離着陸地点は2016年12月に返還された「LZ―FBJ」とみられるヘリ発着場(ヘリパッド)跡地で、やんばる国立公園にも含まれている。地元への事前通知はなかった。返還された区域で米軍ヘリが着陸したことに、地元からは反発の声が上がりそうだ。」
②「沖縄防衛局は『現在、米軍に照会中だ。米側から新たな情報が得られ次第、関係自治体に情報提供する』としている。」
③「目撃したチョウ類研究者の宮城秋乃さんによると、米軍ヘリは4日午後2時半ごろ付近に飛来し、午後3時ごろに着陸した。着陸は数十秒間で、すぐに離陸したという。米兵がヘリの側面ドアから降りるようなそぶりも見られたが降りず、そのままヘリは離陸した。宮城さんは『(返還地で)緊急着陸などはあると思っていたが、今回は訓練で着陸したのではないか。やりたい放題だ』と憤った。国頭村の宮城久和村長は取材に『どんな事情があったのか、緊急着陸なのか分からないが、返還地は国立公園にも指定されている場所で好ましい事態ではない。防衛局などに詳細を確認したい』と述べた。」


(4)琉球新報-名護市長、財政支援を要請 最終処分場建設で岩屋防衛相に 普天間移設先の関係者と面談-2019年9月5日 15:02


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【名護】来県中の岩屋毅防衛相は5日、名護市のオキナワマリオットリゾート&スパで渡具知武豊名護市長、米軍普天間飛行場移設先周辺の名護市辺野古、久志、豊原各区(久辺3区)の区長と面談した。渡具知市長は岩屋防衛相に一般廃棄物処理施設整備への高率補助適用を求める要請書を手渡した。」
②「要請書では市が2020年度から整備を計画している一般廃棄物処理施設について『市の財政に大きな負担が生じることが懸念される』などの理由を挙げ、財政支援を求めている。要請を受け岩屋防衛相は『最大限努力する』と述べた。」


(5)沖縄タイムス-「我々の抗議はセレモニーではない」 自民県連、岩屋防衛相に飛行停止求める-2019年9月5日 11:00


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリが窓を落下させた事故で、自民党沖縄県連(中川京貴会長)は5日午前、那覇市内で岩屋毅防衛相と面会して抗議し、原因究明までの同型機の飛行停止を求めた。岩屋氏は米側の飛行前の点検で安全は確認されているとし、飛行停止は求めない考えを改めて示した。中川氏は、徹底した再発防止策や事故発生後の迅速な連絡体制の確立、基地負担軽減を求めた。」
②「これに対し岩屋氏は、米側へ機体の点検整備や実効性のある再発防止策、事故発生時の速やかな通報を申し入れたことを説明し、この後面会する予定のクラーディ四軍調整官にも要請する考えを示した。」
③「面会後、中川氏は記者団の取材に応じ、繰り返される事故に不快感を示した上で、『われわれの抗議はセレモニーではない。高いレベルで交渉し、地元の声を伝えてほしい』と要望した。」
④「一方、飛行停止を求めない防衛省の姿勢には『大臣に直接、抗議、要請ができた。(日米間の)高いレベルでの話し合いができると思っている』と述べるにとどめ、評価を避けた。」
⑤「岩屋氏はこの後、名護市の久辺3区長や米軍関係者と面会するほか、玉城デニー知事とも会談する。」


(6)沖縄タイムス-市民に対する嫌がらせ? 宮古島市、損害賠償額は1100万円 市議会で質問集中-2019年9月5日 09:09


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「【宮古島】宮古島市議会(佐久本洋介議長)の9月定例会は4日、議案質疑を行った。不法投棄ごみ撤去事業を巡り、市長らを提訴した市民6人を提訴する議案に質問が集中した。中立・野党市議から『市民への嫌がらせとの批判がある』『何が名誉毀損(きそん)に当たるのか』と追及の声が上がった。与党市議からも、提訴の契機や損害賠償の根拠を求める質問が相次いだ。」
②「与党の新里匠氏は、提訴を決めた時期を質問。長濱政治副市長は、市民が7月26日に開いた報告会で『いたずらに市の行為を不正と主張したことが契機になった』と答弁した。」
③「与党の前里光健氏は、損害賠償額の根拠について質問。長濱副市長は『住民訴訟でかかった弁護士費用などが550万円、名誉毀損に対する損害賠償が450万円、今後の訴訟費用が100万円で計1100万円』と明らかにした。」
④「中立の真栄城徳彦氏は『市民に対する嫌がらせと批判が渦巻いている。仮に否決されたら市は訴訟を取り下げるのか』とただした。長濱副市長は『否決された場合は弁護士らと相談したい』と述べるにとどめた。」
⑤「野党の國仲昌二氏は、議案書で損害賠償の根拠規定を民法と記述している箇所が、正しくは刑法だと指摘。『間違えた議案を上程するのは非常に問』とした。市民らの主張が名誉毀損に当たるかとの問いに長濱副市長は『法廷内でのやりとりは判断しかねるが、名誉毀損になり得ると考えている』とした。」


(7)沖縄タイムス-京大学長「問題あった」 遺骨の存在確認を拒絶 琉球王家の子孫らが返還求め提訴-2019年9月5日 07:00


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄県今帰仁村の墓所から持ち出されたとする遺骨の返還を琉球王家の子孫らが京都大に求めた訴訟を巡り、京大側が遺骨の存在を確認しようとした龍谷大教授の申し入れを拒絶し、山極寿一学長が一連の対応について『問題があった』と発言していたことが3日、関係者への取材で分かった。」
②「龍谷大教授で訴訟の原告の松島泰勝氏によると、2017年5月、京大総合博物館に遺骨の有無を確認しようとしたが『すべての館蔵資料について、個別の問い合わせには応じていない』と拒絶された。その後『本件での来訪を遠慮してほしい』との文書が京大から送られ、警備員に本部棟への入館を阻止されるなどの対応を受け、提訴に至った。」
③「関係者によると、山極学長は今年8月、京大職員組合との懇談で、組合側から『門前払いし、一切説明しない。(松島氏は)京大に立ち入らないでくれと言われた』と指摘されると『問題があった』と述べた。遺骨に関しては『今帰仁村教育委員会と慎重な審議をしている』と説明したという。」


(8)沖縄タイムス-「持ち去りは盗掘」人類学会へ抗議文 返還訴訟を支える会-2019年9月5日 07:14


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「京都大学が保管している琉球人の遺骨の返還訴訟を巡り、日本人類学会が『(遺骨は)国民共有の文化財として保存・継承され、研究に供与されるべきだ』などとする要望書を同大学に提出していた件で、同訴訟を支える会は3日、同学会へ抗議文を送付したと発表した。」
②「抗議文では、遺骨が持ち去られた百按司(むむじゃな)墓は『琉球国の伝統に基づいた崖葬であり、現在も信仰の対象そのもの』と指摘。学会の要望書は『琉球の民の文化をないがしろにし、大和(日本)民族とは異なるご遺骨を日本人の一部として研究対象に含めるのは間違った選択』などと批判した。」
③「県庁で会見した与那嶺義雄共同代表は『遺骨持ち去りは植民地支配の中での蛮行で、盗掘だ。学会の対応は納得できるものではない』と話した。」



by asyagi-df-2014 | 2019-09-05 17:27 | 沖縄から | Comments(0)

年金の財政検証から考える。(1)

 年金制度は、人の命に関わる国作りの基本政策である。
 持続可能な社会の実現のために、非常に大きなインパクトを持つ。
 そんな中、安倍晋三政権は2019年8月27日、年金の財政検証を公表した。
 このことについて、朝日新聞は2019年8月28日、「鬼門の年金検証、3カ月遅れの公表 野党『選挙対策だ』」、と次のように報じた。


(1)政府は27日、前回より約3カ月遅れで年金の財政検証を公表した。参院選での争点化を意図的に避けたとみる野党は批判を強め、早期の国会審議を求める。年金問題は安倍晋三首相の「鬼門」とされているだけに、秋の臨時国会では大きなテーマとなりそうだ。
(2)財政検証の公表を受け、立憲民主党など野党は27日、財政検証に関する合同ヒアリングを国会内で開いた。立憲の長妻昭・元厚生労働相は出席後、「機械的にオプション試算なんてすぐできる。間違いなく選挙対策で遅らせたと認定できる」と指摘。「生身の人間がもらっているお金の話。(年金は)老後の命綱だ」として、閉会中審査や臨時国会の早期開会を求めた。国民民主党の玉木雄一郎代表も同日、訪問先の福岡市で「参院選の前に出せるものを3カ月も遅らせた。大事なことは隠そうという政権の体質が表れている」とし、財政検証をめぐる安倍政権の対応を批判。「国民の大きな関心事で、国会の中でしっかり議論したい」と述べた。野党が攻勢を強めるのは、年金問題を政権の弱点とみているからだ。
(3)第1次安倍政権下の2007年、年金記録のずさんな管理問題が国会の焦点となり、「ミスター年金」と呼ばれた長妻氏らが追及を強め、自民党は同年の参院選で大敗。首相退陣とその後の政権交代につながった。今年7月の参院選を前には老後の生活費が「2千万円不足する」と指摘した金融庁審議会の報告書の受け取りを麻生太郎金融相が拒み、年金に対する国民の不安が高まった。
(4)野党の求めに対し、自民党の国会対策委員会幹部は「議論するなら臨時国会が開いてからすればいい」と、早期の国会審議要求には応じない構えだ。別の自民党国対幹部も「『首相の外交日程が詰まっている』と言ってスルー(無視)すればいい」。政権の鬼門である年金問題の議論に時間を費やしたくないとの思いがにじむ。だが、年金問題は「全世代型社会保障改革」を掲げる安倍政権の優先課題の一つで、議論を避けることはできない。安倍首相は26日、訪問先の仏南西部ビアリッツでの記者会見で「(消費税は)社会保障を全世代型に転換していく上において必要な財源だ。国の信頼を守るためにも必要と考える」と強調し、10月に消費税率を10%に引き上げることを改めて明言した。政府は秋以降に社会保障制度改革の議論を本格化させる方針で、与野党の攻防は激しくなりそうだ。」                         (及川綾子、寺本大蔵)


 さて、今回の年金の財政検証について、8月27日から8月29日までの各新聞は、どのように評価しているのか、
 各新聞の社説・論説等の見出しは次のようになっている。


(1)琉球新報社説-年金財政検証 問題の先送り許されない-2019年8月29日
(2)京都新聞社説-年金財政検証  厳しい見通し直視せよ-2019年8月28日
(3)沖縄タイムス-[年金の財政検証]低給付世帯の対策急務-2019年8月28日
(4)朝日新聞社説-年金財政検証 不安に応える改革を-2019年8月28日
(5)毎日新聞社説-年金財政の検証 見通しに甘さはないのか-毎日新聞2019年8月28日
(6)東京新聞社説-年金制度の将来 安心の底上げを図れ-2019年8月28日
(7)日本経済新聞社説- 年金再改革を政治に迫る財政検証-2019年8月27日
(8)河北新報社説- 年金の財政検証/老後の不安解消には程遠い-2019年8月29日
(9)秋田魁新報社説-年金の財政検証 将来見据え議論加速を-2019年8月29日
(10)岩手日報論説-年金の財政検証 将来見据え議論加速を-2019年8月29日
(11)信濃毎日新聞社説-年金財政検証 厳しさ直視して改革を-2019年8月29日
(12)福井新聞論悦-老後の不安募るばかりだ-2019年8月29日
(13) 神戸新聞社説-年金財政検証/制度改革に踏み出さねば-2019年8月29日
(14)中国新聞社説-年金財政検証 多様化映すモデル示せ-2019年8月29日
(15)山陰中央新報論説-年金財政検証/少子高齢化の現実直視を-2019年8月29日
(16)高知新聞社説-【年金財政検証】不安解消する制度改革を-2019年8月29日
(17)南日本新聞社説- [年金財政検証] 低額受給者の対策急げ-2019年8月9日


 この17社だけでも、その論調の特徴は、問題点の指摘と制度改革の必要性を指摘、批判するものばかりである。
 「不安に応える改革を」「問題の先送り許されない」「厳しい見通し直視せよ」「低給付世帯の対策急務」「安心の底上げを図れ」「老後の不安解消には程遠い」「老後の不安募るばかりだ」「少子高齢化の現実直視を」と並べるだけで理解できるし、それは、「年金再改革を政治に迫る財政検証」「将来見据え議論加速を」「厳しさ直視して改革を」「制度改革に踏み出さねば」「不安解消する制度改革を」「多様化映すモデル示せ」、と制度改革そのものを要求したものになっている。
 つまり、安倍晋三政権の年金政策は、持続可能な名社会を担保するものにはなっていないということである。


 ここでは、日本経済新聞の社説「年金再改革を政治に迫る財政検証」(2019年8月27日)を取りあげる。
日本経済新聞は、「厚生労働省が年金財政の検証結果を、同相の諮問機関である社会保障審議会年金部会に提出した。厚生年金・国民年金の財政健全度を今後100年の超長期にわたって推計し、若い世代に将来像を示す重要な作業だ。結果からは、基礎年金の最低保障機能の強化や、低成長が続くなかでも年金の実質価値を毎年下げるルールへの改定など、一段の制度改革の必要性が読み取れる。」、と指摘している。
 ここでは、改めて、年金財政の検証とは、「厚生年金・国民年金の財政健全度を今後100年の超長期にわたって推計し、若い世代に将来像を示す重要な作業だ。」(日本経済新聞)、ということであることが確認できる。
 また、日本経済新聞は、破局のシナリオと政策の変換について、具体的に指摘する。


1.破局のシナリオ
(1)厚労省が年金の定期健診と呼ぶ財政検証は、2004年の年金改革法によって原則5年に1度の実施が義務づけられている。09年、14年に続く3度目の検証で浮かんだのは、若い世代にとって十分な年金が確保できない恐れだ。同省は「夫が会社員、妻が専業主婦だった高齢夫婦」をモデル世帯としている。年金の支給水準を表す指標は、男性会社員の平均手取り所得に対するモデル世帯の年金額の比率を示す所得代替率を用い、経済前提は6通り用意した。
(2)このなかで賃金・物価の上昇率が低い3つのケースは、将来の所得代替率が政府目標の50%を下回る。なかでも賃金・物価の上昇率を最も低く見積もったケースは、2050年代に国民年金の積立金が枯渇し、代替率は30%台後半に急落することを確認した。破局のシナリオといってよかろう。
(3)厚労省は社保審年金部会で、賃金・物価の上昇率が高いケースを挙げ、将来も代替率50%確保は可能だと強調した。また、非正規社員の厚生年金への加入促進などによって代替率の低下に歯止めをかけられるという試算をもとに、関連法の改正案を20年の通常国会に出す意向が示された。


2.政策の変換
(1)年金部会の委員の間でも成長戦略を求める声が出た。その重要性は論をまたない。しかし不本意にも低い成長が続く場合に備え、打っておくべき手を提案するのが審議会本来の役割ではないか。
(2)最大の問題は、年金の実質価値を毎年小刻みに切り下げるマクロ経済スライドには下限があり、賃金・物価の上昇率が低いときには作用せず、しわ寄せが若い世代に集中する仕組みにある。
(3)仮に日本経済がデフレから抜け出せなくても、賃金・物価の動向にかかわらず実質価値を下げるようにルールを改定すべきだ。マクロ経済スライドには基礎年金を著しく目減りさせる副作用がある。これは、低年金の単身女性などにとって深刻な問題だ。消費税収をうまく使って基礎年金の最低保障機能を強化するなど、財源論とセットで本格的な制度改革にカジを切るときである。
(4)所得代替率の低下を緩やかにするには、基礎年金の加入期間を40年から45年に延ばすのも有効だと厚労省は説明した。日本人の長寿化に伴って高齢者の就労率は高まっている。加入期間の延長は検討課題になりうるだろう。
(5)ただしそのぶん年金を増やすなら、必要になる税財源の確保が欠かせない。安倍晋三首相は参院選前の党首討論で、税率10%後の消費増税について「例えば、今後10年間くらいは上げる必要がないと思う」と述べている。
(6)財源は天から降ってこない。増税なくして持続的に基礎年金の充実を図るのは不可能である。負担と給付に関する大枠の議論を政治が主導して始めるときだ。


 さらに、日本経済新聞は、「モデル世帯の設定のあり方」と「検証結果の公表時期」について、次のように指摘する。


(1)不安定な雇用に甘んじている就職氷河期の世代が高齢化する数十年後は、低年金者の割合がさらに上昇するのは避けがたい。最低保障の強化をめざす方向性は、参院選でほとんどの政党が公約に取り入れた。与野党共同で改革案を練るのが理想であろう。
(2)また、50%の所得代替率を確保する対象として「夫が会社員を40年、妻は一度も働きに出たことがない主婦」という高度成長期に多数派だった夫婦像をモデル世帯にするやり方は、時代にそぐわなくなりつつある。
(3)これは、誰もが現役の収入の5割の年金がもらえるという虚構を振りまく一因にもなっている。過去との比較で、モデル世帯の代替率を指標に使うのはやむを得まいが、年金の実情を若い世代に明快に説くためにも、単身や共働きなど多様化する世帯像を前提にした見せ方を工夫してほしい。
(4)前回は6月初めだったが、今回は3カ月ほど遅れた。その間には参院選があった。選挙前の公表に待ったをかける政治の圧力はなかったのか。こうした疑念が若者の年金不信を高めていることを与党政治家は自覚してほしい。


 今回の日本経済新聞の社説から、次のことを受け取る。


Ⅰ.「年金部会の委員の間でも成長戦略を求める声が出た。その重要性は論をまたない。しかし不本意にも低い成長が続く場合に備え、打っておくべき手を提案するのが審議会本来の役割ではないか。」との日本経済新聞の指摘は、審議会だけでなく政府そのものの姿勢と捉えなければならない。
Ⅱ.「財源は天から降ってこない。増税なくして持続的に基礎年金の充実を図るのは不可能である。負担と給付に関する大枠の議論を政治が主導して始めるときだ。」、とは北欧型の社会保障モデルを参考にするという前提が必要であること。。
Ⅲ.持続可能な社会を実現するために重要な年金制度の財政検証公表は、政治的に利用されてはならない。





by asyagi-df-2014 | 2019-09-05 05:52 | 持続可能な社会 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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