2019年 08月 09日 ( 2 )

沖縄-辺野古-沖縄 高江から-2019年8月9日

平安名純代・米国沖縄タイムス特約記者が伝える。
「今回の法案を、米議会が再び新基地建設計画を見直す契機にするには、沖縄から上下両院軍事委員会に対し、軟弱地盤や滑走路などの問題点を論理的に明示し、米政府監査院による精査を求める必要がある。夏は短い。いかにして目に見える方法で説得力ある訴えができるかどうかが鍵だ。」(沖縄タイムス)、と説く。
 確かに、一地方自治体にとっては、壮大なる闘いである。
 どういうことか。
 「グアムの情勢は沖縄に確実に影響する。在沖米海兵隊を受け入れる施設が整わなければ、沖縄から転出できないからだ。ぶつかる壁を乗り越えようとするたびに、移転先各地で新たな問題に直面する海兵隊は米議会に助けを求めている。米上院が国防予算の大枠を決める国防権限法案に、インド太平洋地域における米軍再編計画の検証を義務付ける条項を盛り込んだ。」、と。


 
沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2019年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。
 2019年8月9日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)沖縄タイムス-国土交通相の裁決取り消し求める二つの裁判 抗告訴訟と関与取り消し訴訟の違いは 訴える資格の有無が焦点-2019年8月8日 20:00


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「名護市辺野古の新基地建設を巡り、県が国との8件目となる新たな訴訟を提起した。今回の抗告訴訟、7月に提起した関与取り消し訴訟は、いずれも県の埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決の取り消しを求めているが、論点やメリットは異なる。」

辺野古を巡る二つの訴訟の比較
②「抗告訴訟では県に訴える資格(出訴資格)があるか、主観的な利益があるかなどの入り口論を、裁判所が認めるかが第1の焦点となる。資格が認められれば、県による撤回の適法性を巡る具体的な審理に入ることになる。昨年8月の撤回以降、適法か違法かの司法判断は示されていない。」
③「国交相の撤回取り消し裁決を不服として県が審査を求めた国地方係争処理委員会の判断は、県の申し出は審査の対象外とする入り口論にとどまっている。県は抗告訴訟で具体的な審理に入った場合のメリットとして、埋め立て承認後に発覚した軟弱地盤の問題などを指摘し、撤回の適法性を主張できる点を挙げている。」
④「一方で、7月に提起した国地方係争処理委員会の判断を不服とする関与取り消し訴訟は、別の意味合いを持つ。県は国交相の裁決は『違法な国の裁決』であり、訴訟で取り消せると主張している。地方自治法によると本来、今回のような国交相の裁決は訴訟の対象にならない。そのため『違法であれば訴訟の対象になる』という入り口論で県の主張が認められれば、すぐさま県の勝訴になる。
⑤「訴訟の期間は、抗告訴訟が地裁に提訴するため高裁、最高裁へと発展した場合に確定判決まで時間がかかる。関与取り消し訴訟は高裁からスタートするため、抗告訴訟に比べて司法判断が早く示される可能性が高い。」


(2)沖縄タイムス-新基地建設巡る抗告訴訟 「裁決は違法」「承認撤回は適法」県主張の要旨-2019年8月8日 19:30


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立て承認の撤回で、県が撤回を取り消した国土交通相の裁決の取り消しを求め、提訴した。訴状では『裁決は違法』『承認撤回は適法』『県には訴える資格があり、訴えの内容は裁判で審査されるもの』などと主張している。要旨をまとめた。」
(裁決の違法性-国は審査請求できず)
②「名護市辺野古の埋め立て承認撤回で、沖縄防衛局が行政不服審査法に基づき審査請求し、国土交通相が認めた裁決は違法である。行政不服審査法では、一般私人が立てないような『固有の資格』で処分を受けた場合、行政不服審査の請求はできないとしている。公有水面埋立法では、埋め立て承認に係る処分は国の機関のみが受けることができる。また、本件埋め立て事業は、日本と米国との条約に基づくもので、一般私人が行えるものではないことから、沖縄防衛局は『固有の資格』で処分を受けたと言える。よって、審査請求の適格を欠くことは明らかだ。」
③「仮に沖縄防衛局が審査請求できる立場にあっても、埋め立て承認を撤回したのは謝花喜一郎副知事であることから、審査請求先は副知事の最上級庁(上の立場)の知事である。国交相は、審査庁ではないにもかかわらず、裁決を行った。また、国交相は埋め立て事業を推進する内閣の一員であり、判断権者の公正・中立という行政不服審査制度の前提が欠落していることからも、裁決は違法だと言える。」
(撤回の適法性-承認時と事情異なる)
④「県の承認撤回は適法であり、それを取り消した国交相の裁決は違法である。2013年12月の埋め立て承認後の大浦湾側の土質調査で、承認の前提となった土質とは全く異なる軟弱地盤だと判明した。仮に設計概要の変更で地盤を改良するにしても、大規模で大深度に及ぶ工事にどれだけの年数を要するのか、定かでない。辺野古新基地建設完成まで長い年数がかかり、普天間飛行場の長期固定化につながる。公有水面埋立法で承認の要件とする『埋め立て地の用途に照らして適切な場所』に適合しないと認められる。」
⑤「また、大浦湾側に活断層の存在が指摘されていること、埋め立て区域周辺の建築物などが米国防総省の統一施設基準の高さ制限を超過していること、辺野古新基地が完成しても、他の条件が満たされなければ普天間飛行場が返還されないことが、承認後、新たに判明した。公水法の災害防止への配慮や環境保全措置も不十分と言わざるを得ない。」
⑥「撤回後、知事選や衆院沖縄3区補選、参院選で辺野古移設反対を訴えた候補が当選した。2月の県民投票では、投票総数の7割を超える43万4273票が辺野古埋め立て工事の反対票だった。撤回は県民の支持を得ている。このような理由から、撤回は適法である。」
(提訴の適法性-自治の侵害 解決必要)
⑦「この訴訟の適法性について、『法律上の争訟』(裁判所の審判の対象)になるかどうかは(1)当事者間の具体的な権利義務または法律関係の存否に関する紛争で(2)法律の適用で終局的に解決できるもの-が要件となる。国交相の裁決で県の承認撤回の効力が消滅するかどうかについて、具体的な法律関係の紛争があり、裁判所の判断で解決が可能であることから『法律上の争訟』に該当する。」
②「また、原告適格について行政事件訴訟法9条は『法律上の利益を有する者』に限り提起できると定めている。最高裁では『当該処分で自己の権利、もしくは法律上保護された利益を侵害され、または必然的に侵害される恐れのある者』に原告適格が認められると定式化している。国交相裁決は、県の埋め立て承認撤回の効力を失わせるものであり、その法的効果が県(原告)に及んでいることは明らかであり、県の原告適格は認められる。公有水面埋立法に基づく埋め立て免許・承認は都道府県の事務であり、知事が判断するものであることから、この訴訟は自治権侵害に対するものとしても認められる。」


(3)沖縄タイムス-沖縄の声、米議会へ発信を 米国防権限法案 新基地再考の機に-2019年8月7日 14:11


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「グアムの情勢は沖縄に確実に影響する。在沖米海兵隊を受け入れる施設が整わなければ、沖縄から転出できないからだ。ぶつかる壁を乗り越えようとするたびに、移転先各地で新たな問題に直面する海兵隊は米議会に助けを求めている。」
②「米上院が国防予算の大枠を決める国防権限法案に、インド太平洋地域における米軍再編計画の検証を義務付ける条項を盛り込んだ。沖縄の海兵隊は、グアムやハワイ、オーストラリアへ分散移転する予定だ。しかし、グアムでは建設に反対する住民らによる訴訟で計画が見直され、問題は解決したかのように見えたが、昨年末から新たな歴史的遺物が次々と発見され、住民たちの反対は再び高まっている。」
③「海兵隊は、分散移転後はグアム近郊のテニアンや北マリアナ諸島での訓練を予定しているが、島々を大人数で移動するための船が足りない。オーストラリアでは、使用を予定していたダーウィン港が中国企業に長期貸与されたため、新たに米軍専用港湾を確保する必要性が浮上した。このままでは有事への対応どころか、訓練に支障を来すことになり、海兵隊は議会へ助け舟を求めている。」
④「計画の再検証を求める条項が盛り込まれたのは、いわば、足りないものを明らかにし、議会の承認と予算を得る必要に迫られたからと言えるだろう。ずさんな計画のほころびは、移転予定の先々で浮き彫りになっているが、新基地建設を巡る沖縄の状況はアメリカからは見えにくい。」
⑤「この状況を改善するには、沖縄から声を張り上げる必要がある。県ワシントン事務所は米国での沖縄の現状発信が役割だが、今年、ホームページ上で発信した沖縄基地関連ニュースはわずか5本。米議会への直接行動も十分とはいえず、米議員らに直接伝わる情報は日本政府からのものがはるかに多いようだ。」
⑥「そう遠くない昔、米議会には沖縄の味方がいた。影響力のある有力議員たちが党派を超えて結束し、辺野古移設の見直しを主張したのは2011年。当時、上院軍事委員会のレビン氏らが見直しの根拠としたのは、米政府監査院(GAO)の調査報告書だった。」
⑥「今回の法案を、米議会が再び新基地建設計画を見直す契機にするには、沖縄から上下両院軍事委員会に対し、軟弱地盤や滑走路などの問題点を論理的に明示し、米政府監査院による精査を求める必要がある。夏は短い。いかにして目に見える方法で説得力ある訴えができるかどうかが鍵だ。」
(平安名純代・米国特約記者)


(4)沖縄タイムス-辺野古の軟弱地盤、「全国の問題に」 沖縄知事の諮問会議 新基地の実現可能性を疑問視 米軍基地の整理縮小も-2019年8月9日 14:40


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「玉城デニー知事が重要政策について有識者の意見を聞く『万国津梁会議』の米軍基地問題に関する会議の第2回会合が8日、県庁であり、名護市辺野古の新基地建設や在沖米軍基地の整理縮小について各委員が意見を交わした。今後の会合で会議としての考え方をまとめ、玉城知事に報告することを確認した。」
②「副委員長を務める沖縄国際大法学部の野添文彬准教授が会合後に会見。新基地建設で発覚した軟弱地盤について意見が上がったとし、『日本全国で共有するべきで、米国でも知られているとは言い難い。実現可能性や費用の問題を訴えるべきだという指摘があった』と説明した。」
③「このほか、米国の国防権限法案を巡る議論で在沖海兵隊の分散配置が検討されている状況を県が注視するべきだとの意見や、東アジア地域の変化を踏まえた在沖米軍基地の整理縮小を考える必要があるなどの意見が上がったという。」
④「会議は非公開で、県は後日、議事録の概要を公表する予定。計4回の会合で考えをまとめる予定で、次回は未定。この日の会合では慶應義塾大学教授で国際政治学が専門の添谷芳秀氏が委員に就任した。」


(5)沖縄タイムス-日韓対立 沖縄観光を直撃 空路減便、ホテル・レンタカーの稼働にも波及 団体客7割減った旅行社も-2019年8月9日 09:11


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「日韓関係の悪化に伴い、沖縄を訪れる韓国人観光客の減少が長期化している。7月上旬に日本が韓国に輸出規制強化措置を加えたことでキャンセルが相次ぎ、政府が2日に輸出を優遇する『ホワイト国(優遇対象国)』から韓国を除外したことで、状況がさらに悪化。ホテルやレンタカー会社などにも影響が広がり、8月は韓国の団体旅行客が前年比7割減となった旅行社もある。那覇-韓国を結ぶ航空路線の運休・減便も相次ぐ。韓国は10月以降に、旅行シーズンのピークを迎える。県内の観光関係者は、修復の気配がない日韓関係の亀裂に懸念の声を上げている。」(政経部・仲本大地)
②「2018年度に沖縄を訪れた観光客999万人のうち、韓国客は55万人(5・5%)で、そのうちの約90%が空路を利用した。ただ、日韓関係の悪化に伴う利用客の減少で採算が合わなくなり、那覇-釜山路線を運航するアシアナ航空(提供座席数約160席)は23日から、週3便の路線をすべて運休。那覇-ソウルを結ぶイースター航空(約190席)も、9月18日から10月26日にかけて週7便から4便に減便する。」
③「世界最大級の米オンライン旅行会社『エクスペディア』で沖縄市場を統括する山崎美穂氏は『韓国客の予約状況は7月ごろから減少傾向にあった上、【ホワイト国】の指定除外以降、急激に落ち込んだ』と説明。『県が誘客に注力するカナダやドイツなど欧米客が伸びているものの、現状では韓国客の落ち込みをカバーできるほどではない』と話す。」
④「沖縄ツーリスト(OTS)では、8月の韓国の団体客の売り上げが前年同月比75%減少する見通しで、9月も予約段階で90%減となっており、底が見えない。同社が運営するレンタカー会社の予約数も、7月は6割減となった。」
⑤「本島南部のホテルでは、30人規模の韓国の団体客が昨年8月は週3~4組あったものの、今年は大幅に減少し『昨年の1割程度』(担当者)にとどまっている。『大きな痛手だ。中国、台湾、香港の観光客で穴埋めを考えているが、どこも政治情勢が不安定で期待できない』と嘆く。」
⑥「県は19年度の観光客数1030万人の目標達成への影響を計りかねる。担当者は『国家間の問題なので、影響がいつまで続くか分からない。対策は難しく、現状では情報収集を徹底したい』と静観する。昨年度の韓国客数が半減したとしても、年間の落ち込みは30万人弱にとどまるため、影響は限定的との見方もある。一方で、観光関係者は『韓国の旅行者は10月以降に増えていく。県や沖縄観光コンベンションビューローが主体となった対策が必要だ』と危機感を募らせている。」

検証を義務付ける条項を盛り込んだ。」、と。




by asyagi-df-2014 | 2019-08-09 20:44 | 沖縄から | Comments(0)

「ホワイト国から除外」という安倍晋三政権の意図。(2)

 朝日新聞は2019年8月2日、「韓国の『ホワイト国』除外を閣議決定 8月下旬に発動へ」、と表題について次のように報じた。

(1)韓国向けの輸出規制をめぐり、安倍政権は2日午前の閣議で、輸出手続きを簡略化できる「ホワイト国」のリストから韓国を外す政令改正を決めた。規制強化「第2弾」の発動決定で、日韓の対立は一段と深刻な事態に陥ることになる。
(2)外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づいてホワイト国を指定している政令を改正。準備期間を経て、8月28日に実際に韓国がホワイト国から外れる見通しだ。ホワイト国は欧米諸国が中心で、韓国はアジア唯一の国で、2004年に指定された。指定された国が除外されるのは初めてで、ホワイト国はこれで26カ国となる。
(3)政府は7月4日、韓国向けの輸出規制強化の「第1弾」として、半導体関連3品目を「包括許可」の対象から外した。政府の個別の許可を必要にするようにして国内企業の手続きが煩雑になり、韓国企業にとっては日本からの輸入が滞る恐れがある。ホワイト国でなくなると、さらに武器転用の懸念がある化学物質、炭素繊維などの先端素材、工作機械といった幅広い品目の輸出に原則、個別の許可が必要になる。ただ、非ホワイト国向けの輸出でも、管理がしっかりしている企業には優遇措置を与える仕組みもある。
(4)韓国は、一連の措置を韓国人元徴用工の損害賠償問題への「対抗措置」ととらえて猛反発している。だが、日本は一連の措置は、あくまでも国内の輸出管理制度の適切な運用に必要な見直しで、「自由貿易の原則に反するものではない」(世耕弘成経済産業相)と主張。双方の議論は平行線のままだ。米国が日韓の仲裁に乗り出す姿勢を示しており、2日夜にはバンコクで、日米韓外相会談が開かれる予定だ。


 こうした安倍晋三政権による「ホワイト国」除外がどのような意味を持つものなのか。
 このことを考える上で、2019年7月25日に出された「声明」-「 韓国は「敵」なのか」(以下、「声明」)-(昨今の日韓関係の悪化を憂慮する有志(「声明 韓国は『敵なのか』世話人一同)、を取りあげる。
 まず、この「声明」については、「日韓関係はいま、悪循環に陥っています。いま、ここで悪循環を止め、深く息を吸って頭を冷やし、冷静な心を取り戻さなければなりません。本来、対立や紛争には、双方に問題があることが多いものです。今回も、日韓政府の双方に問題があると、私たちは思います。しかし、私たちは、日本の市民ですから、まずは、私たちに責任のある日本政府の問題を指摘したいと思います。韓国政府の問題は、韓国の市民たちが批判することでしょう。 双方の自己批判の間に、対話の空間が生まれます。その対話の中にこそ、この地域の平和と繁栄を生み出す可能性があります。」、と「声明 韓国は『敵』なのか」世話人一同 」、と位置づけられている。


 「声明」は、最初に、両国家間の対立の模様を次のように示しています。


(1)私たちは、7月初め、日本政府が表明した、韓国に対する輸出規制に反対し、即時撤回を求めるものです。半導体製造が韓国経済にとってもつ重要な意義を思えば、この措置が韓国経済に致命的な打撃をあたえかねない、敵対的な行為であることは明らかです。(2)日本政府の措置が出された当初は、昨年の「徴用工」判決とその後の韓国政府の対応に対する報復であると受けとめられましたが、自由貿易の原則に反するとの批判が高まると、日本政府は安全保障上の信頼性が失われたためにとられた措置であると説明しはじめました。これに対して文在寅大統領は7月15日に、「南北関係の発展と朝鮮半島の平和のために力を尽くす韓国政府に対する重大な挑戦だ」とはげしく反論するにいたりました。


 この上で、「1.韓国は「敵」なのか」、「2.日韓は未来志向のパートナー 」、「3.日韓条約、請求権協定で問題は解決していない」の三点に渡って次のように指摘しています。


1.韓国は「敵」なのか


(1)国と国のあいだには衝突もおこるし、不利益措置がとられることがあります。しかし、相手国のとった措置が気にいらないからといって、対抗措置をとれば、相手を刺激して、逆効果になる場合があります。
(2)特別な歴史的過去をもつ日本と韓国の場合は、対立するにしても、特別慎重な配慮が必要になります。それは、かつて日本がこの国を侵略し、植民地支配をした歴史があるからです。日本の圧力に「屈した」と見られれば、いかなる政権も、国民から見放されます。日本の報復が韓国の報復を招けば、その連鎖反応の結果は、泥沼です。両国のナショナリズムは、しばらくの間、収拾がつかなくなる可能性があります。このような事態に陥ることは、絶対に避けなければなりません。
(3)すでに多くの指摘があるように、このたびの措置自身、日本が多大な恩恵を受けてきた自由貿易の原則に反するものですし、日本経済にも大きなマイナスになるものです。しかも来年は「東京オリンピック・パラリンピック」の年です。普通なら、周辺でごたごたが起きてほしくないと考えるのが主催国でしょう。それが、主催国自身が周辺と摩擦を引き起こしてどうするのでしょうか。
(4)今回の措置で、両国関係はこじれるだけで、日本にとって得るものはまったくないという結果に終わるでしょう。問題の解決には、感情的でなく、冷静で合理的な対話以外にありえないのです。
(5)思い出されるのは、安倍晋三総理が、本年初めの国会での施政方針演説で、中国、ロシアとの関係改善について述べ、北朝鮮についてさえ「相互不信の殻を破り」、「私自身が金正恩委員長と直接向き合い」、「あらゆるチャンスを逃すことなく」、交渉をしたいと述べた一方で、日韓関係については一言もふれなかったことです。まるで韓国を「相手にせず」という姿勢を誇示したようにみえました。そして、六月末の大阪でのG20の会議のさいには、出席した各国首脳と個別にも会談したのに、韓国の文在寅大統領だけは完全に無視し、立ち話さえもしなかったのです。その上でのこのたびの措置なのです。
(6)これでは、まるで韓国を「敵」のように扱う措置になっていますが、とんでもない誤りです。韓国は、自由と民主主義を基調とし、東アジアの平和と繁栄をともに築いていく大切な隣人です。


2.日韓は未来志向のパートナー


(1)1998年10月、金大中韓国大統領が来日しました。金大中大統領は、日本の国会で演説し、戦後の日本は議会制民主主義のもと、経済成長を遂げ、アジアへの援助国となると同時に、平和主義を守ってきた、と評価しました。そして日本国民には過去を直視し、歴史をおそれる勇気を、また韓国国民には、戦後大きく変わった日本の姿を評価し、ともに未来に向けて歩もうと呼びかけたのです。日本の国会議員たちも、大きく拍手してこの呼びかけに答えました。軍事政権に何度も殺されそうになった金大中氏を、戦後民主主義の中で育った日本の政治家や市民たちが支援し、救ったということもありました。また日本の多くの人々も、金大中氏が軍事政権の弾圧の中で信念を守り、民主主義のために戦ったことを知っていました。この相互の敬意が、小渕恵三首相と金大中大統領の「日韓パートナーシップ宣言」の基礎となったのです。
(2)金大中大統領は、なお韓国の国民には日本に対する疑念と不信が強いけれど、日本が戦前の歴史を直視し、また戦後の憲法と民主主義を守って進むならば、ともに未来に向かうことは出来るだろうと大いなる希望を述べたのでした。そして、それまで韓国で禁じられていた日本の大衆文化の開放に踏み切ったのです。


3.日韓条約、請求権協定で問題は解決していない


(1)元徴用工問題について、安倍政権は国際法、国際約束に違反していると繰り返し、述べています。それは1965年に締結された「日韓基本条約」とそれに基づいた「日韓請求権協定」のことを指しています。日韓基本条約の第2条は、1910年の韓国併合条約の無効を宣言していますが、韓国と日本ではこの第2条の解釈が対立したままです。というのは、韓国側の解釈では、併合条約は本来無効であり、日本の植民地支配は韓国の同意に基づくものでなく、韓国民に強制されたものであったとなりますが、日本側の解釈では、併合条約は1948年の大韓民国の建国時までは有効であり、両国の合意により日本は韓国を併合したので、植民地支配に対する反省も、謝罪もおこなうつもりがない、ということになっているのです。
(2)しかし、それから半世紀以上が経ち、日本政府も国民も、変わっていきました。植民地支配が韓国人に損害と苦痛をあたえたことを認め、それは謝罪し、反省すべきことだというのが、大方の日本国民の共通認識になりました。1995年の村山富市首相談話の歴史認識は、1998年の「日韓パートナーシップ宣言」、そして2002年の「日朝平壌宣言」の基礎になっています。この認識を基礎にして、2010年、韓国併合100年の菅直人首相談話をもとりいれて、日本政府が韓国と向き合うならば、現れてくる問題を協力して解決していくことができるはずです。
(3)問題になっている元徴用工たちの訴訟は民事訴訟であり、被告は日本企業です。まずは被告企業が判決に対して、どう対応するかが問われるはずなのに、はじめから日本政府が飛び出してきたことで、事態を混乱させ、国対国の争いになってしまいました。元徴用工問題と同様な中国人強制連行・強制労働問題では1972年の日中共同声明による中国政府の戦争賠償の放棄後も、2000年花岡(鹿島建設和解)、2009年西松建設和解、2016年三菱マテリアル和解がなされていますが、その際、日本政府は、民間同士のことだからとして、一切口を挟みませんでした。
(4)日韓基本条約・日韓請求権協定は両国関係の基礎として、存在していますから、尊重されるべきです。しかし、安倍政権が常套句のように繰り返す「解決済み」では決してないのです。日本政府自身、一貫して個人による補償請求の権利を否定していません。この半世紀の間、サハリンの残留韓国人の帰国支援、被爆した韓国人への支援など、植民地支配に起因する個人の被害に対して、日本政府は、工夫しながら補償に代わる措置も行ってきましたし、安倍政権が朴槿恵政権と2015年末に合意した「日韓慰安婦合意」(この評価は様々であり、また、すでに財団は解散していますが)も、韓国側の財団を通じて、日本政府が被害者個人に国費10億円を差し出した事例に他なりません。一方、韓国も、盧武鉉政権時代、植民地被害者に対し法律を制定して個人への補償を行っています。こうした事例を踏まえるならば、議論し、双方が納得する妥協点を見出すことは可能だと思います。
(5)現在、仲裁委員会の設置をめぐって「対立」していますが、日韓請求権協定第3条にいう仲裁委員会による解決に最初に着目したのは、2011年8月の「慰安婦問題」に関する韓国憲法裁判所の決定でした。その時は、日本側は仲裁委員会の設置に応じていません。こうした経緯を踏まえて、解決のための誠実な対応が求められています。


 「声明」は、最後に、「私たちは、日本政府が韓国に対する輸出規制をただちに撤回し、韓国政府との間で、冷静な対話・議論を開始することを求めるものです。いまや1998年の「日韓パートナーシップ宣言」がひらいた日韓の文化交流、市民交流は途方もない規模で展開しています。BTS(防弾少年団)など、K-POPの人気は圧倒的です。テレビの取材にこたえて、『(日本の)女子高生は韓国で生きている』と公然と語っています。300万人が日本から韓国へ旅行して、700万人が韓国から日本を訪問しています。ネトウヨやヘイトスピーチ派がどんなに叫ぼうと、日本と韓国は大切な隣国同士であり、韓国と日本を切り離すことはできないのです。」と分析した後で、「安倍首相は、日本国民と韓国国民の仲を裂き、両国民を対立反目させるようなことはやめてください。意見が違えば、手を握ったまま、討論をつづければいいではないですか。」、と断じています。


 この問題を考え上で、確認することは、次のことです。

1.「安倍晋三総理が、本年初めの国会での施政方針演説で、中国、ロシアとの関係改善について述べ、北朝鮮についてさえ『相互不信の殻を破り』、『私自身が金正恩委員長と直接向き合い』、『あらゆるチャンスを逃すことなく』、交渉をしたいと述べた一方で、日韓関係については一言もふれなかったことです。まるで韓国を『相手にせず』という姿勢を誇示したようにみえました。そして、六月末の大阪でのG20の会議のさいには、出席した各国首脳と個別にも会談したのに、韓国の文在寅大統領だけは完全に無視し、立ち話さえもしなかったのです。その上でのこのたびの措置なのです。これでは、まるで韓国を『敵』のように扱う措置になっていますが、とんでもない誤りです。」、との安倍晋三政権の姿勢があること。
2.「日韓基本条約の第2条は、1910年の韓国併合条約の無効を宣言していますが、韓国と日本ではこの第2条の解釈が対立したまま」であるという歴史的経過があり、「安倍政権が常套句のように繰り返す『解決済み』」では決してないこと。
3.問題は、「元徴用工たちの訴訟は民事訴訟であり、被告は日本企業です。まずは被告企業が判決に対して、どう対応するかが問われるはずなのに、はじめから日本政府が飛び出してきたことで、事態を混乱させ、国対国の争いになってしまいました。」、という事実であること。
4.どう考えても、『韓国は、自由と民主主義を基調とし、東アジアの平和と繁栄をともに築いていく大切な隣人であり、日韓は未来志向のパートナー。』を譲ることはできないこと。


 やはり、両国民を対立反目させるようなことはやめ、意見が違えば、手を握ったまま、討論をつづければいいではないか」、と安倍晋三政権に訴える。



by asyagi-df-2014 | 2019-08-09 07:08 | 米軍再編 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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