2019年 05月 26日 ( 3 )

沖縄-辺野古-沖縄 高江から-2019年5月26日

「共生」社会を作り上げるためには、多角的視点が必要である。
 この取り組みは、その実践である。
「沖縄戦の最新の研究成果を反映し網羅的に分かりやすくまとめた『沖縄戦を知る事典―非体験世代が語り継ぐ』(吉川弘文館)が25日までに発刊された。『障がい者』の項目を執筆したのは、生まれつきの脳性麻痺(まひ)のため、肢体不自由のハンディがある上間祥之介さん(23)=南風原町=だ。戦争を体験した視覚障がい者2人、聴覚障がい者1人、肢体不自由者1人の計4人に、当事者の視点から聞き取り調査をし、参考文献を踏まえて執筆した。『僕だからこそ書ける視点を大事にしたい』という上間さん。視覚や聴覚など障がいによって異なる体験の特徴を出したいと思いを込めて書いた。」、と琉球新報。


 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2019年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。
 2019年5月26日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-苦難、当事者目線で 「沖縄戦を知る事典」発刊 障がい者の沖縄戦執筆-2019年5月26日 06:00


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「沖縄戦の最新の研究成果を反映し網羅的に分かりやすくまとめた『沖縄戦を知る事典―非体験世代が語り継ぐ』(吉川弘文館)が25日までに発刊された。『障がい者』の項目を執筆したのは、生まれつきの脳性麻痺(まひ)のため、肢体不自由のハンディがある上間祥之介さん(23)=南風原町=だ。戦争を体験した視覚障がい者2人、聴覚障がい者1人、肢体不自由者1人の計4人に、当事者の視点から聞き取り調査をし、参考文献を踏まえて執筆した。『僕だからこそ書ける視点を大事にしたい』という上間さん。視覚や聴覚など障がいによって異なる体験の特徴を出したいと思いを込めて書いた。」
②「関係者によると、障がい者自身が当事者の視点で戦争体験を調査し、成果をまとめたことは『全国的にも前例がないのではないか』と指摘する。」
③「上間さんが障がい者の戦争体験について調べ始めたのは、沖縄国際大に在学中だった。当時、沖国大教授だった吉浜忍さんが講師を務める沖縄戦の講義を3年生の時に受講し、関心を深めた。卒業論文は障がい者の沖縄戦体験についてまとめた。2018年3月に大学を卒業し、今回の事典で障がい者の項目の執筆を吉浜さんから打診を受けて引き受けた。」
④「研究者や地域史編集者ら経験豊富な執筆者がいる中で、上間さんは『僕で大丈夫かなと不安もあった』と明かす。聞き取り調査をへて、戦場を逃げる中、視覚障がい者は音やにおいで状況を読み取ったことや、障がい者を毒殺する光景を目の当たりにした証言なども記録し、まとめ上げた。執筆者に推薦した吉浜さんは『上間さんには、当事者としてわれわれには分からない体験がある。調査する意欲に頭が下がる。障がい者の戦争体験の証言は本当に少ない。今後も多様な体験を聞き取りし、障がい者にとっての沖縄戦体験の全容を捉えてほしい』と語った。」                         (古堅一樹)


(2)琉球新報-重機使用の工事再開 石垣陸自 「アセス必要」市民批判-2019年5月26日 05:30


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【石垣】石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画を巡り、沖縄防衛局は25日、国指定特別天然記念物カンムリワシの営巣活動が確認されたとして一時中断していた重機使用の工事を再開した。配備予定地ではダンプが砂利を搬入したり、パワーショベルが作業したりする様子が確認された。同日には伊波洋一参院議員が現場を視察し、防衛省職員からカンムリワシの保全対策などについて説明を受けた。」
②「石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会メンバーと予定地に近接する高台から現場を視察した伊波氏は、4~7月とされるカンムリワシの営巣期間外の調査に基づき、3月に着工した防衛省の姿勢を批判。『営巣期間は工事を中止し、環境影響評価(アセスメント)をきちんとするべきだと防衛省職員には伝えた』とした。」
③「市民連絡会共同代表の上原秀政さん(64)は『アセス逃れのために3月に着工を強行した後に営巣が見つかった。アセスを実施しないから後から後から問題が出てくる。住民の理解を得るというのならば、アセスは必要だ』と指摘した。」
④「現場を訪れた配備予定地に近い川原公民館長の具志堅正さん(57)は『工事再開はやはり早い。(防衛局が再開の根拠とした)島外有識者だけでなく、地元専門家の意見を聞いて初めて影響があるかどうか分かると思う。防衛局の主張をすんなり受け入れた市長にも、カンムリワシのことをもっと慎重に考えてほしい』と求めた。」


(3)琉球新報-冨里さん、故郷〝帰国〟 比残留孤児 父と戦争で生き別れ 津堅島で墓参りへ-2019年5月26日 05:00


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「戦争で父と生き別れとなり、フィリピンに残留した冨里ゼナイダスミコさん(78)が25日、那覇空港に降り立ち、初めて父親の故郷・沖縄の地を踏んだ。出迎えた異母弟の冨里利雄さん(71)=うるま市=と抱き合ったスミコさんは『父は私たちを忘れたと思ったが、今日の出来事が実現したのは父のおかげだと思う』と喜びをかみしめた。」
②「スミコさんの父は県出身の冨里清繁さんで1996年に死去、母は日系2世の寺田アントニアさんで戦争で45年に亡くなった。」
③「父と生き別れたスミコさんは戦後、親戚の家事手伝いをしながら苦学したという。ある時、母方の伯母がスミコさんと母の出生証明書を見つけ、父が『ヤマト フサト』だと分かった。『ヤマト』は童名とみられる。」
④「スミコさんが父を捜していたところ、フィリピン日系人リーガルサポートセンターの調査で、冨里清繁さんが父だと分かったのは2007年。清繁さんは終戦後、強制送還され沖縄で既に亡くなっていた。利雄さんは姉がいることを父の知人から聞かされていた。清繁さんは生前フィリピンの話はしなかったが、死の間際に頼み事をするように何かを訴えていた。」
⑤「 スミコさんが利雄さんと対面したのは戦後70年が経過した15年。スミコさんは『父の親族に会いたい』という長年の思いがかなったことで喜びの涙を流し神に感謝した。その姿に感激した利雄さんが『父の墓参りをさせたい』と考え、初来沖が実現した。」
⑥「スミコさんは26日、清繁さんが眠る津堅島を訪れる。『父の墓をお参りしたい。これ以上の願いはない』。父との再会に胸を膨らませた。」


(4)沖縄タイムス-届け沖縄の民意、全国に 国会包囲で訴え 平和と民主主義の実現を-2019年5月25日 21:43


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「【東京】名護市辺野古の新基地建設に反対する『国会包囲行動』が25日、国会周辺であり約5千人(主催者発表)が集まった。2月の県民投票で71%に達した新基地建設反対の民意を全国に発信しようと、市民らが国会周辺で思い思いに抗議の意思を表現した。同日、全国32都道府県、38カ所でも新基地建設に反対する集会が開かれた。」
②「包囲行動には国政野党の立憲、国民、共産、社民の国会議員のほか、作家の落合恵子さんら文化人も参加。沖縄からはヘリ基地反対協の安次富浩共同代表も駆けつけ、辺野古新基地建設の工事強行に抗議の声を上げた。」
③「主催者あいさつで『【止めよう! 辺野古埋め立て】国会包囲実行委員会』の野平晋作氏は『沖縄の民意を尊重できないなら、それは日本には民主主義がないという事ではないか。沖縄に過剰に押しつけられている米軍基地の問題を解決することで、日本に本当の平和と民主主義を実現しよう』と強調した。」
④「主催団体は他に『基地の県内移設に反対する県民会議』『戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会』」。


(5)沖縄タイムス-石垣への陸自配備工事再開 重機やトラック次々 カンムリワシ営巣場所から400メートル 市民ら「納得いかない」-2019年5月26日 08:18


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄県石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画で沖縄防衛局は25日、カンムリワシの営巣活動を確認後に中断していた駐屯地造成工事を再開した。午前9時ごろ、ショベルカーなどの重機が稼働し、荷台に砂利を積んだ大型トラックが往来した。繁殖活動に配慮した8日の中断から17日。『(営巣活動に)支障がない』とした防衛局の対応に、市民からは『説明が不十分。納得できない』など非難の声が上がった。」
②「防衛局は沖縄本島に住む有識者に意見を求めて再開を決めた。『営巣場所から400メートル離れており支障はない』『大きな機械音が突発的に出るような作業は避けるべきだ』などの助言があったという。有識者の氏名は明かしていない。」
③「重機の使用にもお墨付きを与え、初日から稼働した。現場はフェンスで囲まれ立ち入りが規制されているが、重機の稼働音や低いエンジン音が外まで聞こえた。」
④「一方、鳥類の専門家や市民からは『再開ありきだ』と反発が広がった。日本野鳥の会石垣島支部の小林孝事務局長は『400メートルの距離があるから影響がないという根拠は何なのか。本島在住でカンムリワシと付き合いのない人が遠くからものが言えるのだろうか』と首をかしげた。」
⑤「予定地周辺に住む於茂登公民館の嶺井善元館長(53)は『日頃から地域を歩き、周辺で4つがいを確認している。性急な工事再開で営巣放棄があれば個体数が減って(在来種が絶滅した)第二のトキになるんじゃないか』と憤った。」
⑥「『石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会』の上原秀政共同代表(64)は『今からでも環境アセスメントをやるべきだ』と訴えた。} 


(6)琉球新報-米兵を銃刀法違反容疑で逮捕 10センチのバタフライナイフを助手席に携帯-2019年5月26日 10:18


 琉球新報は、「嘉手納署は25日未明、読谷村の路上で正当な理由なく刃体6センチ以上の刃物を所持していたとして、銃刀法違反の容疑で嘉手納基地所属の米空軍上等兵(20)を現行犯逮捕した。容疑を否認している。逮捕容疑は25日午前2時20分ごろ、読谷村の国道58号で容疑者所有の車の助手席ドアポケットに長さ約10センチのバタフライナイフを携帯していた疑い。嘉手納署によると、警察官がライトの消えた車を運転する容疑者に職務質問をした際、ナイフを発見した。」、と報じた。


(7)沖縄タイムス-酒気帯び運転容疑で米軍の男を逮捕 沖縄市の国道で沖縄署-2019年5月26日 13:07


 沖縄タイムスは、「沖縄署は26日、酒気を帯びた状態で車を運転したとして、米軍嘉手納基地所属の空軍兵長22を道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕した。調べに対し『酔っていないと思った』と容疑を否認しているという。呼気からは基準値約2倍のアルコールが検出された。逮捕容疑は同日午前0時45分ごろ、沖縄市城前町の国道330号で酒気帯び状態で普通乗用車を運転した疑い。巡回中の警察官が方向指示器を付けたまま走行する車を見つけ停止させたところ、男から酒の臭いがしたという。」、と報じた。


(8)沖縄タイムス-有事にトランプ大統領が乗り込む? 米軍「空飛ぶ司令室」E4B機が嘉手納基地に飛来-2019年5月26日 09:01


 沖縄タイムスは、「沖縄県の米軍嘉手納基地に25日午後7時、米軍の空中指揮機E4Bが飛来した。米大統領の外遊の際には随行して近くの米軍基地に待機することが多く、トランプ米大統領の訪日に合わせた飛来とみられる。同機は有事の際に米大統領が搭乗し、指揮、管制など通信中枢としての機能を果たすことから『空飛ぶ司令部』とも呼ばれている。」、と報じた。


(9)沖縄タイムス-「水の安全を求めるママたちの会」設立 河川から有害物質検出が続き-2019年5月26日 10:00


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「北谷浄水場の水源である本島中部の河川などから人体に有害な影響が指摘される有機フッ素化合物が検出されたことを受けて、本島在住の主婦らが25日、『水の安全を求めるママたちの会』を立ち上げた。早ければ週明けにも水問題の改善を求めて玉城デニー知事や県議会など関係機関に要望書を提出する。」
②「呼び掛け人の山本藍さん(41)が、米軍嘉手納基地や普天間飛行場周辺の河川などで有機フッ素化合物の検出が相次いだことから、SNSで緊急ミーティングを告知。会場となった那覇市内の飲食店には有志14人が集まり赤嶺政賢衆院議員も同席して意見交換した。」
③「参加者からは今回の水問題が根本的に解決されず、県民への情報提供が不十分なまま県側が水道水の安全性を強調したことに疑問が上がった。『米軍基地から有害物質が垂れ流されている限り問題は解決しない。立ち入り検査を行うべきだ』などの意見があった。」
④「同会は署名運動やSNSを使った広報活動で問題提起と賛同者を募る考えで、山本さんは『私たちが口にする水が安全になるためには生活者目線で声を上げる必要がある。今が安全と決めるのは早い』と訴えた。」




by asyagi-df-2014 | 2019-05-26 17:24 | 沖縄から | Comments(0)

「やむを得なかったと判断している」との強弁の向こうには沖縄県民の悲劇が待っている。

 「やむを得なかったと判断している」との強弁の向こうに、実は、沖縄県民の悲劇がある。
何を問題にしているのか。
沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2019年5月25日、「岩屋毅防衛相は24日の閣議後会見で、米軍嘉手納基地で21日に実施されたパラシュート降下訓練に「(米側の)事情を聞いてみるとやむを得なかったかな、と判断した」と述べ、容認する考えを明言した。降下訓練は通常、伊江島補助飛行場で実施されるが、日米両政府は「例外的」な場合に限り嘉手納で認めている。ことしは既に3回実施されており、謝花喜一郎副知事が23日、関係機関へ抗議した直後の発言。県や周辺自治体は強く反発している。」、と報じていた。


 このことに関して、沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2019年5月26日、「[パラシュート降下訓練]県内での中止を求める」、と社説で見解を表明した。
 「タイムス」は、「地元住民の安全をないがしろにし、米軍の訓練を優先する驚くべき発言である。」、と批判を明確にする。
 「タイムス」は、何が問題なのかについて、指摘する。


(1)米軍嘉手納基地で実施されたパラシュート降下訓練について岩屋毅防衛相が「やむを得なかったと判断している」と訓練を容認した。
(2)降下訓練は、1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で伊江島補助飛行場へ移転することが明記された。
(3)米軍が地元の反対を押し切って嘉手納で強行するのは例外規定があるからだ。2007年、日米合同委員会で嘉手納が「例外的な場合に限って使用される」という抜け穴がつくられた。
(4)沖縄の基地は民間地域と隣り合わせである。今回も住宅地上空を横切り、滑走路に降り立っている。一歩間違えば住民を巻き込む事故が起きる不安が拭えない。伊江島でもたびたび提供区域外の畑などに落下している。沖縄での降下訓練はやめるべきである。


 今回の岩屋発言そのものについては、次のように切り込む。
 
 
(1)岩屋氏は、伊江島での条件が整わず、5回中止したとする米軍に理解を示す。
(2)17年に外務・防衛閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で政府が米側に「地元の懸念」を伝えた。歴代防衛相は嘉手納では行わないよう要請してきたが、岩屋氏は逆にお墨付きを与えた形だ。とうてい認められない。
(3)看過できない点はまだある。米軍が悪天候でも訓練ができるよう大型救助船を導入しても嘉手納の降下訓練がゼロにならないとの見通しを示していることだ。今後も嘉手納での降下訓練を容認しているということではないのか。


 「タイムス」は、パラシュート降下訓練について、次のように断じる。


(1)例外の定義を巡り、河野太郎外相は今年3月、国会で「拡大解釈をすることは許されない」と答弁した。
(2)具体的には、①定期的ではなく小規模、②悪天候などの制約により伊江島で行えない、③喫緊の必要がある-ことを基準として例示した。
(3)嘉手納での降下訓練は今年1、2月と連続して行われ、河野氏が基準を例示した後の5月も続いた。定期的、小規模の定義があいまいだ。
(4)今回米軍は伊江島の「海象条件が悪く、救難ボートを運用できない」ことを理由に挙げたが、実際はダイビングが可能な海象条件だったことがわかっている。
(5)米軍は48時間前の情報で決定していると説明する。米軍の一方的な解釈でどうにでもなるような例外規定は撤廃すべきだ。
(6)県が欧州の地位協定と比較した調査によると、例えばドイツやイタリアでは米軍の訓練にはいずれも事前通告や両国の承認が必要である。地域の意見を吸い上げる委員会も設置されている。
(7)日本では日米合同委員会という沖縄が関わることのない「密室」の中で決まっている。沖縄の声は、軍の論理を押し通す米軍と、米軍の運用に口を差し挟むことをしない政府との間に埋没しているのが現状である。
(8)政府が呪文のように唱える負担軽減とは裏腹に負担増が実感である。沖縄の声に耳を傾け、米軍と本気になって向き合わなければならない。


 沖縄から、受け取るものは、「沖縄の負担軽減」の政策が「沖縄の負担増」の構造をつくり出しているというまやかしの「姿」である。
確かに、安倍晋三政権が行わなければならないのは、沖縄の声に耳を傾け、米軍と本気になって向き合うことである。




by asyagi-df-2014 | 2019-05-26 16:03 | 米軍再編 | Comments(0)

認知症基本政策策定とは。

 朝日新聞(以下、「朝日」)は2019年5月19日、「朝日新聞-認知症、基本計画策定を政府に義務づけ 自民の法案骨子」、と次のように報じた。


(1)自民党の社会保障制度調査会・介護委員会は17日、「認知症基本法案(仮称)」の骨子を公表した。認知症に関する施策を推進するための基本計画の策定を政府に義務づけ、首相がトップの推進本部を設置すると定める。公明党と協議し、今国会に共同提案する方針。
(2)骨子では、施策にあたっての基本理念として「認知症の人が地域において尊厳を保持しつつ他の人々と共生すること」を掲げる。政府の基本計画は、認知症の人や家族らの意見を聞いた上で策定することとし、都道府県や市町村の計画策定は努力義務とした。
(3)取り組むべき施策として、交通の安全確保や見守り体制の整備などを進める「地域づくりの推進」を挙げた。「認知症の予防」では、予防に関する活動の推進や情報収集、早期発見・対応に向けた医療体制の整備などが必要だとした。
(4)政府は来月、認知症対策の指針となる大綱を決定する予定。「共生」と「予防」を2本柱とし、予防促進に向けて、70代に占める認知症の人の割合を2025年までに6%減らすとの数値目標を盛り込む。基本法が成立すれば、大綱を基本計画と位置づける方向だ。
(石川春菜)


 また、「朝日」は前日、このことに関して、政府方針の内容とこのことに関する視点を次のように報じている。


(1)政府は16日、70代に占める認知症の人の割合を、2025年までの6年間で6%減らすとの数値目標を公表した。現役世代の減少や介護人材の不足、社会保障費の抑制に対応するために認知症の予防促進を掲げており、その一環として初めて数値目標を設定する。来月決定する認知症対策の指針となる大綱に盛り込む。
(2)厚生労働省の推計によると、65歳以上の認知症の人は15年時点で約520万人おり、65歳以上の人口の約16%。25年には約700万人となり、約20%に達する。「生涯現役社会の実現」を掲げる政府は、認知症対策を重要課題と位置付け、数値目標を設定することにした。
(3)16日の有識者会議に示した方針では、70代で認知症になる時期を19~29年の10年間で現在より1歳遅らせることで、70代の認知症の人の割合は約10%減るとした。25年には団塊の世代が全員75歳以上となり、認知症の人の増加が見込まれることから、25年までの6年間の目標として6%減を掲げることにした。6%減が達成できた場合、70~74歳の認知症の割合は18年の3・6%から3・4%に、75~79歳の10・4%は9・8%に下がることになる。
(4)目標達成に向けて進める認知症予防の取り組みとしては、運動不足の解消や社会参加を促すための「通いの場」の拡充などを挙げた。ただ、実効性や数値目標が実際に達成に至るかは不透明だ。
(5)政府は15~25年を対象とした認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)を策定ずみだが、対策を強化するため、25年までを対象とした大綱を来月まとめる方針。これまでは認知症になっても地域で安心して暮らせるようにする「共生」に重点を置いていたが、大綱では「共生」と「予防」の2本柱とする。
(石川春菜)
<視点>予防強調、数字独り歩き懸念
(6)認知症に向き合う現場では、科学的根拠に基づく予防のあり方を研究したり、実践したりする取り組みも進められている。こうした予防の取り組み自体は否定されるものではない。しかし、認知症の国家戦略とも言うべき大綱に、認知症の人の割合を減らす数値目標を盛り込むことは、予防そのものの意義とは別の危うさをはらむ。新たな大綱において、予防と並ぶ柱は「共生」。削減目標はこの共生の理念を揺るがしかねない。かつて認知症は「痴呆(ちほう)」「ぼけ」と呼ばれ、本人は「何もわからない」という偏見のなかで孤立していた。近年、認知症の人自身が思いを語ることで、少しずつその壁を崩してきた。本人の活動や交流の場は急速に広がっている。
(7)いま国が予防を強調する背景には、社会保障費抑制の狙いもあるだろう。いまだ根強い偏見の中で、財政的圧力を背景とした削減目標の数字が独り歩きすれば、自治体が認知症の削減率を競うような、思わぬ副作用が生じないとも言い切れない。
(8)認知症の当事者でつくる日本認知症本人ワーキンググループのメンバーは今年3月、厚生労働相らと意見交換をした際、予防重視の方針について、「頑張って予防に取り組んでいながら認知症になった人が、落第者になって自信をなくしてしまう」との意見を伝えたという。こうした当事者の懸念を軽視すべきではない。誰のための予防で、何のための削減目標なのか。政府は、わかりやすく明確に説明する必要がある。
(編集委員・清川卓史)


 さて、琉球新報(以下、「新報」)は2019年5月19日、「認知症対策の大綱案 『共生』の理念を忘れずに」、と社説でこのことに関して論評した。
「新報」は、「政府が認知症対策を強化するための新たな大綱の素案を示した。『予防』重視の方針を打ち出したことが特徴だが、もう一つの柱である『共生』の視点に立った取り組みをしっかりと進める必要がある。」との押さえの中で、次のように指摘する。


(1)素案では2025年までの6年間で、70代に占める認知症の人の割合を6%低下させることを目指すとした。認知症の人数を抑制する数値目標の導入は初めてだ。70代で発症する時期を10年間で現在より1歳遅らせることで、70代の認知症の人の割合を1割減らせると試算している。
(2)予防の具体策としては、運動や人との交流が発症を遅らせる可能性があるとして、公民館や公園など身近な場での体操や教育講座など「通いの場」への参加を促した。市民農園での農作業など地域活動も推奨している。
(3)認知症の治療法はまだ確立されていないが、予防には運動や健康的な食事、禁煙が良いとされており、高齢者の運動不足解消や孤立防止に向けた具体策を進めていくことは評価できる。ただ新たな数値目標の達成に向けて、こうした取り組みでどの程度の効果が見込めるかは不透明だ。
(4)政府は素案に治療法の開発強化も盛り込んだ。治療薬の臨床試験(治験)に、認知症になる可能性がある人の参加を増やす仕組みを構築するという。「未発症」段階での研究を深めることで発症のメカニズムが解明され、早期の診断や予防法の開発へ道が開けることが期待されよう。ただ未知な部分も大きい。認知症対策の科学的根拠がまだ不十分であることは政府も認めている。そうした中で予防重視の方針や数値目標を新たに示した背景には、膨張する社会保障費を抑制したいという思惑がある。
(5)だが、予防重視の方針に関して当事者や家族からは「認知症になった人は努力が足りないと思われるのでは」と、数値目標が独り歩きすることへの懸念も出ている。有識者からも「認知症にならない社会をつくる、という誤ったメッセージになる」と疑問がある。当事者らのこうした声は正面から受け止めなければならない。
(6)認知症の高齢者は2015年時点で約520万人と推計されており、高齢者の7人に1人に上る。さらに、団塊の世代全員が75歳以上となる25年には約700万人に達する。認知症の発症原因や予防の科学的効果が十分立証されていない中、加齢によって誰でも発症し得る病気であることを理解することがまずは大切なことではないか。
(7)政府は大綱の前身となる15年の国家戦略(新オレンジプラン)で、「住み慣れた地域で自分らしく暮らせる社会の実現」を掲げた。認知症になっても地域で安心して暮らすことができるという「共生」の理念だ。その基本精神を置き去りにすることなく、当事者に寄り添って新たな対策を進めてほしい。


 確かに、基本理念として「認知症の人が地域において尊厳を保持しつつ他の人々と共生すること」を掲げ、「予防」と「共生」が掲げられてはいるが、安倍晋三政権の成長戦略路線の中では、削減目標ありきの社会保障費抑制のための「予防」政策が偏重されることは、既定路線なのではないか、との不信感が拭えないこと。
「朝日」と「新報」の指摘から受け取るものは、次のことである。


Ⅰ.「認知症の発症原因や予防の科学的効果が十分立証されていない中、加齢によって誰でも発症し得る病気であることを理解することがまずは大切なこと」(「新報」)であることを、取り組みの大原則にしなければならないこと。
Ⅱ.「かつて認知症は「痴呆(ちほう)」「ぼけ」と呼ばれ、本人は「何もわからない」という偏見のなかで孤立していた。近年、認知症の人自身が思いを語ることで、少しずつその壁を崩してきた。本人の活動や交流の場は急速に広がっている。」(「朝日」)、との取り組みの成果を大切にしなければならないこと。
Ⅲ.「認知症の国家戦略とも言うべき大綱に、認知症の人の割合を減らす数値目標を盛り込むことは、予防そのものの意義とは別の危うさをはらむ」(「朝日」)ものであること。したがって、予防と並ぶ柱は「共生」であり、削減目標はこの共生の理念を揺るがしかねないものであること。
Ⅳ.いま国が予防を強調する背景には、社会保障費抑制の狙いがあること。また、「いまだ根強い偏見の中で、財政的圧力を背景とした削減目標の数字が独り歩きすれば、自治体が認知症の削減率を競うような、思わぬ副作用が生じないとも言い切れない。」(「朝日」)ことが予想されること。
Ⅴ.「予防重視の方針について、『頑張って予防に取り組んでいながら認知症になった人が、落第者になって自信をなくしてしまう』との意見を伝えたという。こうした当事者の懸念を軽視すべきではない。」(「朝日」)こと。また、「『認知症になった人は努力が足りないと思われるのでは』と、数値目標が独り歩きすることへの懸念も出ている。有識者からも『認知症にならない社会をつくる、という誤ったメッセージになる』と疑問」(「朝日」)を解消することが大事であること。
Ⅵ.「誰のための予防で、何のための削減目標なのか。政府は、わかりやすく明確に説明する必要がある。」(「朝日」)ことが重要であること。
Ⅶ.国の社会保障費抑制政策の中で、「公助」の位置づけは著しく後退させられてきているが、今回の基本政策の具体策の一つとして、「地域づくりの推進」や「公民館や公園など身近な場での体操や教育講座など『通いの場』への参加」(「新報」)が位置づけられている。このことは実際に、地域住民への過度な「自助」「共助」の押しつけになる危険性がある。特に、過疎地域では、その負担は危険水域に達している状況がある。このことのために、「公助」があって初めて、「自助」「共助」が生かされることを背景にした政策立案をする必要があること。




by asyagi-df-2014 | 2019-05-26 08:50 | 持続可能な社会 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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