2018年 11月 19日 ( 2 )

沖縄-辺野古-沖縄 高江から-2018年11月19日

「1968年、米軍嘉手納基地でB52戦略爆撃機が離陸に失敗、墜落した事故から19日で50年となった。住民ら16人が重軽傷を負い、周辺の住宅や学校など365件に窓ガラスが割れるなどの被害を出した事故は、大きな衝撃を与えた。しかし、今なお米軍機絡みの事故は絶えず、米軍基地による沖縄の負担は解消されていない。」、と琉球新報。
 もちろんこのことは、米軍基地による沖縄の基地負担は全く解消されていないことを示す。
しかし、一方では、「黒い殺しや」と恐れられたB52は嘉手納に常駐し、沖縄から飛び立ちベトナムに爆撃を行った。沖縄は「悪魔の島」と恐れられたことを忘れてはいけない。


 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2018年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。
 2018年11月19日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-B52、嘉手納墜落50年 基地負担解消されず-2018年11月19日 05:00


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「1968年、米軍嘉手納基地でB52戦略爆撃機が離陸に失敗、墜落した事故から19日で50年となった。住民ら16人が重軽傷を負い、周辺の住宅や学校など365件に窓ガラスが割れるなどの被害を出した事故は、大きな衝撃を与えた。しかし、今なお米軍機絡みの事故は絶えず、米軍基地による沖縄の負担は解消されていない。」
②「B52は65年7月28日、台風避難を理由に嘉手納基地に降り立った。ベトナム戦争では広範囲を破壊するじゅうたん爆撃を行い、ベトナム人は『死の鳥』と呼び恐れた。当時、沖縄の米軍基地の役割が補給から出撃地に変化していた。嘉手納基地がB52の出撃拠点となったのは、米国の財政上の理由と日本政府の理解であることが米国防省の覚書『嘉手納のB52常駐』で明らかになっている。」
③「嘉手納基地には、68年2月5日からB52が常駐を開始。嘉手納村(当時)の奥間敏雄村長は同14日、即時撤去を要請したが、米軍司令官は一蹴した。県内で撤去を求める声が高まったことなどを受け、70年10月6日に全機が撤退したが、復帰後だけも台風避難などの名目で嘉手納基地に累計440機が飛来している。」



(2)琉球新報-「新基地阻止 連帯を」 アイルランド国際会議2日目 沖縄から訴え-2018年11月19日 05:00


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【ダブリンで大矢英代通信員】アイルランドの首都ダブリンで開催されている『全世界から米軍基地とNATO基地の撤退を求める国際会議』2日目は現地時間の17日、沖縄平和運動センターの山城博治議長と共に辺野古での抗議行動の先頭に立つ稲葉博さんが登壇した。稲葉さんは『世界の人たちと手を取り合えば、必ずこの闘いに勝てると信じている。皆さんの力が必要だ』と新基地建設阻止への連帯を呼び掛けた。」
②「稲葉さんは、健康状態の懸念で欠席した山城議長のあいさつ文を代読し、抗議行動による威力業務妨害罪などで起訴され、現在も控訴中であることを報告した。『米軍基地や自衛隊基地の拡張、戦争策動に反対して運動することは大変な困難を伴うが、軍事基地のない、戦争のない、平和な世界のために共に頑張っていこう』と訴えた。」
③「質疑応答ではドイツ人男性から、『沖縄にこれだけ多くの米軍基地が集中しているのは、台湾や中国との地理的な近さが影響しているのか』との質問があった。退役軍人らによる国際平和団体『ベテランズ・フォー・ピース(VFP)』メンバーのタラック・カウフさんが『中国脅威論は為政者が米軍基地の存在を肯定するためにつくり出したものだ』と解説し、『武力で国際関係の改善などできないことを訴え続けなければいけない』と述べた。」
④「会議2日目は、アジア、ヨーロッパなど地域ごとに米軍基地による水質汚染や騒音被害などの報告があった。最終日の18日はワークショップ形式で、全世界からの米軍基地、NATO基地の撤去に向けて具体的な取り組みを話し合う。また、米軍撤退を求めるデモ行進もある。」


(3)沖縄タイムス-B52の嘉手納飛来、日本政府が容認 基地の自由使用を米に保証-2018年11月19日 05:30


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「1968年のB52戦略爆撃機墜落事故を受け、B52部隊の嘉手納基地からの撤退を求める声が強まる中、69年8月の沖縄返還交渉で米側が撤退後も嘉手納へ飛来できるよう求め、日本側が容認していたことが、極秘指定の外交文書で明らかになった。B52部隊は70年10月に撤退したが、核爆弾を搭載できるB52の飛来を『いかなる理由であれ、拒否する』という地元の意向に反する形で密約が交わされていた。19日、墜落事故から50年を迎える。」(政経部・福元大輔、中部報道部・篠原知恵)
②「文書は事故から9カ月後の69年8月15日付で、外務省の東郷文彦アメリカ局長とスナイダー駐日米公使との会談記録。民主党政権下の2010年に、外務省が核再持ち込みなどを巡る『いわゆる【密約】』問題に関する調査報告書』の関連文書として公開している。」
③「沖縄からのB52部隊撤退に関し、スナイダー公使が『B52が颱風(たいふう)避難で立寄ることなどは出来ると云うことでなければ困る』と主張。東郷局長が『核搭載と云うことでなければ解決し得べし』と、飛来を認める内容が記録されている。」
④「スナイダー氏は、ほかに『ワシントンは自由出撃の保証に強くこだわっている』『沖縄返還がベトナム戦争の遂行に支障を与えるものではないという内容を考えたい』『仮に返還時の核撤去が決まっても返還後、有事の際の持ち込みに何らかの了解が絶対に必要になる』と発言している。B52の飛来容認も、沖縄返還後の基地の自由使用を米側に保証する位置付けになったとみられる。」
⑤「B52は68年2月以降、嘉手納基地に常駐。同年11月19日に離陸に失敗した1機が嘉手納基地内で爆発を繰り返し、炎上する事故が発生し、撤去運動が激しさを増した。
B52部隊は沖縄返還前の70年10月6日に撤退した。嘉手納町によると、72年の返還後も嘉手納に延べ440機が飛来している。このうち、ベトナム戦争が終結する75年までの約3年間で175機が飛来した。」
⑥「最近では2010年2月6日、燃料不足を理由に1機が嘉手納に緊急着陸し、2日後に離陸した。『嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会』は同機が飛来しないよう求めている。」


(4)沖縄タイムス-B52墜落:秋山道宏助手(明治学院大)に聞く 生活と生命、揺れる住民 経済的選択肢の源流に-2018年11月19日 05:30


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「1968年に嘉手納基地で起きたB52墜落爆発事故を、地域住民の視点から研究している明治学院大学国際平和研究所の秋山道宏助手(社会学)に、沖縄の戦後史における事故の位置付けなどを聞いた。」(聞き手=政経部・福元大輔)
②「-沖縄では68年体制といわれる保革の構図が鮮明になる中での事故だった。:『その年の8月の嘉手納村長選で沖縄自民党の西銘順治総裁が【米軍基地がなくなれば、戦前のようにイモを食い、ハダシで歩く生活に逆戻りする】という趣旨で演説した。いわゆるイモ・ハダシ論だ。その中で、自民党公認の古謝得善氏が当選。そして、11月に事故が起きた』『B52の撤去運動が激しくなる中で、古謝氏が【私は政党人で、しかも保守系だが、ロボットではない。村民に背は向けられない。B52をどけるために効果があれば、村民大会もやるし、ほかの集会にでも参加する】と語った。単なるパフォーマンスではない、一人の生活者としての切迫感が伝わってくる言葉だ』」
③「-核搭載可能な爆撃機墜落の衝撃は大きかった。:『当時の新聞や私が行ったインタビューから、事故を目撃した住民が【キノコ雲のようだった】と話していたことが明らかになっている。事故直後、知花弾薬庫内の核貯蔵施設の存在が明るみに出たが、B52が常駐する意味合いを住民が意識していることが分かる』」
④「-日常化された基地被害、事故の恐怖からゼネストの実施を目指したが、回避された。:『B52撤去運動の広がりは、事故の危機感が契機になったのは間違いない。一方、経済的な損失や地域生活への影響を考え、ゼネストを回避しようとした経済界や地元嘉手納からの動きもあった。忘れてはいけないのはどちらも生活、生命を守りたいという生活者の論理であることだ』『結局、ゼネストは回避される。政治的な選択肢が狭められる中、経済的な選択肢を新たにつくろうと模索したことが、【豊かさ】や【本土との格差是正】を求める開発主義へと向かう復帰後の流れにつながり、その後の地域構造をつくり上げていったと考えた時、この事故の戦後史における位置付けが見えてくるのではないか。そう考え、研究を続けている』」


(5)沖縄タイムス-ベトナムから「悪魔の島」と呼ばれた沖縄 米軍機事故の恐怖-2018年11月19日 05:30

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「米施政権下の1968年に嘉手納基地で発生したB52墜落爆発事故は、冷戦真っただ中で、ベトナム戦争への出撃拠点にもなっていた沖縄の危険性をまざまざと浮き彫りにした。“黒い殺し屋”の異名を持つB52戦略爆撃機は北ベトナムへの爆撃(北爆)を繰り返した。沖縄はベトナムから「悪魔の島」と呼ばれ、その“加害性”も住民を苦しめた。」(政経部・福元大輔)
②「『B52が事故を起こしたから撤去せよと言うが、沖縄にいる民間の旅客機が事故を起こしたら果たして撤去せよと言えるのか。交通事故と同じ偶発的なものだ。基地を撤去したら沖縄経済が困るだろう』。事故の3日後、古謝得善嘉手納村長ら代表団の抗議に対し、嘉手納基地の司令官はこう言い放った。」
③「65年のベトナム戦争開戦以来、米軍から『沖縄なくして戦争は続けられない』といわれるほど、嘉手納基地の重要性は高まっていた。事故を受けても、米軍はB52の飛行を停止せず、住民らを不安に陥れた。」
④「極東最大の米軍基地『嘉手納』では、度々大きな事故が起きていた。59年6月の宮森小学校ジェット戦闘機墜落、61年12月の川崎ジェット機墜落では多くの沖縄住民が犠牲になった。」
⑤「グアムからベトナムへ向かうB52に太平洋上で給油する役割を持つことから『北爆の女房』といわれたKC135空中給油機も66年5月、嘉手納基地で墜落、炎上し、乗用車で走行中の村民1人が死亡した。」
⑥「基地の拡張工事のためのアスファルト工場から砂ぼこりが集落に飛散したり、基地から流出したジェット燃料が地下水を汚染し、井戸の水が燃えたりするなど、慢性的な爆音に加え、日常生活への被害が相次ぎ、地元住民の負担は限界を超えていた。」
⑦「68年2月にB52部隊が嘉手納に常駐するようになると、住民の反発は最高潮に達した。事故前からB52の撤去を求める県民大会の開催、リボン闘争、本土への直訴など抗議の動きが絶えなかった。そんな中での68年11月の事故だったが、米軍は戦争に不可欠なB52の沖縄からの撤退に向き合わず、『交通事故』などと火消しに走った。さらに同年12月2日には嘉手納への着陸に失敗したB52が滑走路をはみ出し、『一歩間違えれば大惨事』と住民の不安、恐怖を増幅させている。」


(6)琉球新報-「辺野古 米と条件闘争を」 国際司法裁判所元所長・小和田恒氏 県外移設を困難視、国に進言-2018年11月19日 09:41


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「国際司法裁判所(オランダ)の元所長で15年在籍した同裁判所裁判官を6月に退任した小和田恒氏(86)が13日、琉球新報社を訪れ、富田詢一琉球新報会長、玻名城泰山社長と辺野古新基地問題や沖縄の課題について意見交換した。小和田氏は米軍普天間飛行場の県外移設は難しいとした上で『沖縄について日本は米国と条件闘争をすべきだ』と述べ、若い世代に『沖縄の明るい将来に目を向けてほしい』と要望した。」
②「小和田氏は皇太子妃雅子さまの父。名桜大の客員教授を務めており、12日の同大での講演のため来県した。瀬名波栄喜前学長の案内で琉球新報社を訪問した。小和田氏の主な発言は、以下の通り。」
③「1972年の本土復帰の時に福田赳夫外務大臣の秘書官を務めた。1984年、外務省条約局長の時に米軍基地の状況を知るために沖縄県内を回り、日本の国全体で沖縄のことを考えないといけないと思った。普天間飛行場をあのままにしておくわけにはいかないと強く思った。北部訓練場についても、ベトナム戦争が終わった後にあそこでやる必要はない。ただ米軍にしてみれば今まで通りが一番いいだろうし、そう思っているだろう。しかし、日本政府が何もしないわけにはいかない。」
④「普天間問題を(国際司法裁判所在任中の2009年に)オランダから見ていたが、稲嶺恵一知事と岸本建男名護市長が頑張って辺野古に合意したのに、鳩山由起夫さんがかき回した。どこかに移すとか、できもしないことを言うべきではない。現在は政府が強硬なのもあって県民は不信感を募らせているが、そういう状態を放っておいてはいけない。」
⑤「最も重要なことは普天間をどうにかすることだ。世界中を見てもあんな危険な基地はない。ただ、沖縄の外に持っていくことは不可能だ。機能をどこに持っていくかと言うならば、以前合意した辺野古だろう。日本政府は米国と条件闘争ならできるのではないか。政府は米国ときっちり決めた上で、県と話し合いを持つべきだ。この点で橋本龍太郎さん、小渕恵三さんは頑張っていた。」
⑥「中国や北朝鮮のことを考えても、沖縄でないといけないだろう。だから条件闘争だ。日本国民全体でどうにかしないといけない。沖縄には申し訳なくて口にはしないが、そのままにしておけということが、本土ではみんな腹の中にはある。沖縄県と日本政府がいきり立ってばかりでは解決しない。」
⑦「若い人たちには沖縄の明るい将来に目を向けてほしい。どうやったら豊かになるのかを考えてほしい。沖縄を久しぶりに訪れたら活気に満ちた場所になっている。地の利もある。東南アジアに向けての経済の中心地として発展して豊かになっていくはずだ。」
⑧「沖縄に限らず日本の若者は素直で吸収力はあるが、自分でやらなければならないという意思が希薄だ。自分の道を自分で開いていくという気持ちが大事だ。中国でも講義をすることがあるが、あちらの学生はアグレッシブ(攻撃的)だ。世界で何をするかと考えるよう学生に刺激を与えるべきだ。」


(7)琉球新報-汚濁防止膜の設置作業続く 名護市辺野古沿岸部 ゲート前、53台が砕石搬入-2018年11月19日 14:01


 琉球新報は、「【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は19日、汚濁防止膜の設置作業を進めた。「K9護岸」周辺に停泊するクレーン台船で汚濁防止膜をつり上げ、海上に降ろし、同日午前11時頃から、タグボートで牽引(けんいん)して海上に設置し始めた。臨時制限区域を示すフロートの周辺ではカヌー6艇、抗議船1隻が汚濁防止膜設置作業を確認し、抗議した。米軍キャンプ・シュワブのゲート前では午前までに、砕石などを積んだ工事関係車両が53台、ゲート内に入った。」、と報じた。


(8)琉球新報-航空自衛隊那覇基地所属のF15が嘉手納基地に緊急着陸 油圧系統の不具合-2018年11月19日 13:41


 琉球新報は、「航空自衛隊那覇基地所属のF15戦闘機1機が19日午前9時1分、油圧系統の不具合で米軍嘉手納基地に緊急着陸した。那覇から北西にある訓練空域で訓練をしていた。原因確認中。那覇基地によると、このF15は8時20分ごろに那覇空港を離陸し、不具合が生じたため、8時29分ごろに優先的な着陸受け入れを求めて緊急状態を宣言した。着陸したF15は点検を受けた後、駐機場から格納庫に移動している。」、と報じた。


(9)沖縄タイムス-米軍機墜落を想定し避難計画 年度内にも図上訓練 嘉手納町-2018年11月19日 08:36


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄県嘉手納町が米軍機の墜落と嘉手納基地内の火災を想定した避難計画の図上訓練を年度内にも実施することが分かった。職員の配置や町民誘導の流れを確認する。今後は、町民が参加する防災訓練の実施へつなげたい考えだ。」
②「町職員による図上訓練には、道路管理や避難誘導にかかわる建設課や、高齢者や障がいのある人ら配慮を要する人に対応するために福祉課、計画をつくった総務課など関係部署が庁舎内の会議室に集まって流れを確認する。」
③「避難計画は町地域防災計画に盛り込まれ、6月にホームページで発表された。県内自治体が米軍基地災害の避難計画を作るのは初。米軍機墜落は機体爆発につながる可能性があるため、町民の退避などが明記されている。」
④「基地内の火災や弾薬庫地区で起きた場合など複数の事態を想定。風向きに応じた煙害対応などもまとめられた。」




by asyagi-df-2014 | 2018-11-19 17:30 | 沖縄から | Comments(0)

安倍晋三政権の唱える「幼保無償化」とは。

 最近、安倍晋三政権の政策をじっくり検討することをどこかで嫌がっている気がする。
 こうして、各紙の社説等を読んで始めて気づかさせられることが多い。
 今回も、高知新聞(以下、「高知」)が「【幼保無償化】急ごしらえの不備を露呈」、沖縄タイムス(以下、「タイムス」)が 「[幼保無償化]自治体の懸念に応えよ」、と2018年11月14日付けで社説で論評した。
 どういうことなのか。
 この二紙で、安倍晋三政権の幼保無償化政策を考える。


 「高知」は、まず最初に、事実経過を次のように指摘する。


(1)安倍政権が来年10月に導入を目指す幼児教育・保育の無償化が、幼保の現場や自治体に混乱や政府とのあつれきを生んでいる。
(2)消費税率10%への引き上げに伴う税収増分から財源を賄う方針の政府は、増税分が配分される地方にも負担を求める。これに自治体側が「押し付けだ」と反発している。
 全国知事会など地方6団体は政府に「国費で全額負担」を求め、特に全国市長会は与野党に直訴するなど徹底抗戦の構えだ。政府の2019年度の予算編成が本格化していく中、折り合いをつけられるか見通せていない。
(3)幼保無償化は安倍首相が昨秋、衆院解散に踏み切った際に突如、目玉公約として表明した。消費税増税分の使途を「全世代型社会保障」へ転換するとうたった。自民党内にも周知されない唐突な変更で、党内にも不満が漏れるほどだった。
(4)実際の制度設計も選挙の後に突貫工事で進められてきたのが実態だ。政府は無償化の費用総額を約8千億円と算出し、増税分の30%が配分される地方にも一部負担を求める方向を打ち出した。


 こうした安倍晋三政権の強引な手法に対し、「高知」は、「増税分の新たな歳入を想定し、その使途や活用事業を検討していた自治体が、政府の一方的な負担要請に反発するのは当然の受け止めではないか。少子化対策や子育て支援は、疲弊が進む地方にとって最重要課題だ。それを美名の看板にして振りかざし、政権方針に従わせようとする強引なやり方に映る。」、と指摘する。


 また、「無償化方針は、子どもを受け入れる現場側にも思わぬ波紋を広げている。」、と問題点の指摘を加える。


(1)共同通信の調査で、全国の私立幼稚園の約4割が来年度に保育料を値上げすることが分かった。この中には、税金で保育料が確実に得られる無償化を見越した「便乗値上げ」の可能性も指摘される。
(2)共働き世帯の増加などで子どもを保育所に入れる傾向が強まり、幼稚園の経営は厳しさが増しているという。保護者の所得を基に自治体が保育料を決める保育所などに対し、幼稚園は独自に設定できる。無償化が「保育の質の向上」を伴わない値上げを誘発しかねないという懸念がある。
(3)各地の園では既に来年度の園児の募集も始まっているが、無償化の詳細な制度設計が示されず、混乱を招いているという。そのしわ寄せは結局、入園先を決められない保護者、何より、子どもたちに向かうことになる。
(4) 保護者には現実の問題として、待機児童解消の受け皿づくりを急ぐよう求める声が根強い。無償化にもなお、高所得者ほど負担軽減が大きくなる「金持ち優遇策」といった批判も残っている。


 こうした問題点を取りあげる中で、「高知」は、「選挙の人気取りのため、急ごしらえした公約の不備が露呈したといえる。矛盾や不信を抱えたままの見切り発車は許されない。子育ての現場に寄り添い、将来も見据えた制度設計へ議論を尽くすべきだ。」、と結論づける。


 「タイムス」は、「費用負担への反発や保育の『質』への懸念は、合意形成作業を軽視し、導入を急いだひずみだ。」、と批判する。
「タイムス」も同様に、事実経過を次のように押さえる。


(1)来年10月に始まる幼児教育・保育の無償化を巡って、全国市長会が「国が費用を全額負担すべきだ」との要望書を与党に提出した。全国知事会も同様に「国の責任で必要な財源を」と政府に要請している。
(2)無償化は昨年の衆院選直前に安倍晋三首相が突如、消費税増税の使い道を変更して掲げた公約だった。3~5歳児は全世帯、0~2歳児は住民税非課税世帯を対象とするもので、必要財源は約8千億円と見込んでいる。
(3)政府は消費税が引き上げられれば地方税収も増えるとして自治体にも負担を求める考えだが、地方は政府が決めた政策なのだから「全額国費」を主張している。
(4)少子高齢化を「国難」と位置付ける安倍政権は、消費税10%への引き上げで得られる税収5兆円強のうち、約1兆7千億円を幼保無償化を含む子育て支援策に振り向ける予定だ。2012年の「社会保障と税の一体改革」では、増収分の多くを財政赤字の削減に充てる予定だった。


 「タイムス」は、まず、「すべての子どもが幼児教育を受けられる環境を整えることに異論はない。しかし振り返れば、増税分の使い道を変更し無償化に充てることは、自民党内でも国会でも議論らしい議論がなかった。自治体が『税収をあてにしていろいろな政策を準備してきた』と反発するのはもっともである。」、と批判する。
 この上で、安倍晋三政権の幼保無償化政策の問題点を端的に指摘する。


(1)保育の実務を担う自治体で無償化への賛同が広がらないのは、待機児童問題が解消されない段階での効果を疑問視しているからだ。
(2)政権の看板政策とはいえ、聞こえてくるのは、「待機児童の解消と順番が逆」「保育士の確保などに財源を使うべき」といった声である。
(3)今年9月時点の保育士の有効求人倍率は2・79倍。全体の1・64倍に比べ人手不足が目立つ。保育士が集まらず保育所を新設したのに開園できなかったり、受け入れ人数を制限したりといったケースも、ここ数年増えている。
(4)幼児教育が無償化されれば、子どもを預けて働きたいと考える親は増えるはずだ。それに見合った施設整備が進まなければ、待機児童が増え不公平感が広がる。さらに無償化による需要の掘り起こしは、現場を疲弊させ、保育の質の低下を招きかねない。
(5)国の施策の不備は、無償化を見越した「便乗値上げ」の動きとしても表れている。共同通信が先月実施した調査によると、私立幼稚園の約4割が来年度、保育料の値上げを考えている。職員の給与引き上げのためとする園が多かったものの、中には国の補助上限額まで引き上げるとした不自然なケースも。便乗値上げのツケを支払わされるのは私たち納税者である。 


 結局、「タイムス」は、「唐突に選挙公約に掲げ突貫工事で進められた無償化政策は、制度設計や効果の検証が不十分だ。誰のための施策なのか、原点に立ち返る必要がある。」、と断じるのである。


 こうして二紙の社説を読んでみると、安倍晋三政権の幼保無償化には、明らかに次のことが言える。


Ⅰ.「タイムス」の「唐突に選挙公約に掲げ突貫工事で進められた無償化政策は、制度設計や効果の検証が不十分だ。誰のための施策なのか、原点に立ち返る必要がある。」、との主張がすべてを物語る。
Ⅱ.現在の状況は、「増税分の新たな歳入を想定し、その使途や活用事業を検討していた自治体が、政府の一方的な負担要請に反発するのは当然の受け止めではないか。少子化対策や子育て支援は、疲弊が進む地方にとって最重要課題だ。それを美名の看板にして振りかざし、政権方針に従わせようとする強引なやり方に映る。」(「高知」)、との反論そのものである。




by asyagi-df-2014 | 2018-11-19 07:19 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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