2018年 08月 31日 ( 2 )

沖縄-辺野古-沖縄 高江から-2018年8月31日

 沖縄は動いた。
「違法な状態を放置できないという法律上の行政原理の観点から承認の撤回が相当と判断した」、と判断。この判断に基づき、「防衛局から聴聞を実施し、調書の内容と報告書、主宰者の意見を参酌して、不利益処分を検討したところ、庁内の決裁手続きをへて、聴聞通知書を出した」、との行政手続きを行った。
「名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄県は31日、埋め立て承認を撤回する通 知書を沖縄防衛局に提出した。」、と沖縄タイムス。
謝花 喜一郎沖縄県副知事は、その理由を次のように明確にした。

 「本件埋立承認については、留意事項に基づく事前協議を行わずに工事を開始したという違反行為があり行政指導を重ねても是正しないこと、軟弱地盤、活断層、高さ制限及び返還条件などの問題が承認後に判明したこと、承認後に策定したサンゴやジュゴンなどの環境保全対策に問題があり環境保全上の支障が生じることは明らかと認められたことなどから、①公有水面埋立法4条1項1号で規定する『「国土利用上適正且つ合理的なること』の承認要件を充足しないことが明らかになったこと、②留意事項1に違反していること、③公有水面埋立法4条1項2号で規定する『環境保全及び災害防止に付き十分配慮せられたるものなること』の承認要件を充足しな いことが明らかになったこと、が認められ、県としては、違法な状態を放置できないという法律による行政の原理の観点から、承認取消しが相当であると判断」。

いずれにしろ、「承認の撤回」は、日本の問題であることをまず最初に確認し、沖縄とともに闘うことが重要になる。


 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2018年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。
 2018年8月31日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-県、きょう承認撤回 埋め立て根拠消滅 国と県、再び法廷闘争へ-2018年8月31日 06:30


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡り県は31日午後、仲井真弘多前知事による埋め立て承認を撤回する。政府は2013年に仲井真前知事が埋め立てを承認したことを受けて辺野古新基地建設を進めている。撤回により承認の法的根拠が失われ工事が止まる。当初は8月17日から開始を予定していた辺野古海域への土砂投入は当面できなくなる。県が『最後の切り札』としていた撤回に踏み切るが、政府は工事再開へ法的対抗措置を講じる構えだ。辺野古新基地を巡る国と県の対立は再び法廷に入り、重大局面を迎える。」
②「県は30日、31日に撤回に関する記者会見を開くと発表した。31日午後、県土木建築部の担当者が撤回処分の通知書を沖縄防衛局に提出する。提出後の午後4時から、富川盛武、謝花喜一郎の両副知事が会見し、詳しく説明する。建設予定海域に軟弱地盤の存在が明らかになったことや事前に決めた環境保全対策を実行していないことなどを処分の根拠にするとみられる。」
③「県幹部は29日に協議し、31日に埋め立て承認を撤回する方針を確認した。翁長雄志氏の知事在任中の急逝や台風の影響で国が土砂投入を先送りしたことも踏まえ、県は慎重に撤回の時期を検討してきた。任期中に撤回すると明言していた翁長氏の遺志を尊重し、必要な手続きを終え、撤回処分に踏み切ることを決めた。」
④「沖縄防衛局は対抗して撤回の効力をなくす訴訟を起こすなど対抗策を取る方針で、国と県は再び法廷闘争に入ることになる。国が裁判所などに執行停止を求めて認められた場合、数週間から数カ月で工事が再開される見通しだ。」
⑤「翁長氏は7月27日、埋め立て承認を撤回する方針を表明し、8月8日死去した。翌9日、県は防衛局から撤回処分に関する意見を聞き取る『聴聞』を実施した。」


(2)沖縄タイムス-辺野古新基地:沖縄県が埋め立て承認を撤回 沖縄防衛局に提出-2018年8月31日 15:32


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄県は31日、埋め立て承認を撤回する通知書を沖縄防衛局に提出した。公有水面埋立法に基づく埋め立て承認が撤回されたことで防衛局は新基地建設の法的根拠を失い、辺野古の工事の中断を余儀なくされる。一方、国が撤回の執行停止を裁判所に求めるなど対抗措置が予想され、工事が止まる期間は一定にとどまる可能性がある。」
②「8日に死去した翁長雄志前知事は生前、防衛局が県に通知していた17日の埋め立て土砂投入の前に承認を撤回する考えだった。死去を受けて知事の職務代理者となった富川盛武副知事は、撤回の権限を従来から辺野古問題を担当する謝花喜一郎副知事に委任し、撤回に向けて準備を進めていた。」
④「国は天候などを理由に17日の土砂投入を見送り、県の撤回時期もずれ込んだが、県が今月9日に実施した防衛局の意見や反論を聞く『聴聞』の報告書が同20日に完成したことで手続きが整い撤回に踏みきった。」
⑤「撤回の理由として大浦湾側の軟弱地盤で護岸を建設した場合に倒壊の危険性があり活断層の存在も指摘されていることや、完成後に周辺の建物が米国の高さ基準に抵触することなどを指摘。公有水面埋立法が定める承認の要件である『国土利用上適正かつ合理的』『災害防止、環境保全に十分配慮する』との項目を満たしていないとしている。」
⑥「翁長知事の死去を受けて県内ではあらためて辺野古問題への関心が高まっており、県の承認撤回や国の対応は9月30日投開票の知事選にも影響を与える可能性がある。」


(3)沖縄タイムス-辺野古新基地:承認取り消しで副知事の会見 全文 「翁長知事の熱い思いをしっかりと受け止める」-2018年8月31日 16:29


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


「普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認について、本日、当該埋立承認を取り消しました。

 県は、これまで、承認後に生じた事由として、埋立承認に附した留意事項や環境保全措置に関する問題点等について、法的な観点から慎重に検討を行ってきたところですが、こうした問題点等は、取消処分の原因となる事実に該当すると判断し、本年8月9日に、沖縄防衛局に対し、聴聞を実施したところです。

 聴聞手続きにおいて、沖縄防衛局は、意見書と証拠書類を提出し、 行政庁に対して質問を行った上で、意見書に沿って意見を陳述した ところです。
 聴聞の結果については、8月20日に主宰者から、聴聞に係る調書と報告書が提出されましたので、調書の内容と報告書に記載された主宰者の意見について十分に参酌し、予定される取消処分について検討したところです。

 その結果、本件埋立承認については、留意事項に基づく事前協議を行わずに工事を開始したという違反行為があり行政指導を重ねても是正しないこと、軟弱地盤、活断層、高さ制限及び返還条件などの問題が承認後に判明したこと、承認後に策定したサンゴやジュゴンなどの環境保全対策に問題があり環境保全上の支障が生じることは明らかと認められたことなどから、
・公有水面埋立法4条1項1号で規定する「国土利用上適正且つ合理的なること」の承認要件を充足しないことが明らかになったこと
・留意事項1に違反していること
・公有水面埋立法4条1項2号で規定する「環境保全及び災害防止に付き十分配慮せられたるものなること」の承認要件を充足しな いことが明らかになったこと
が認められ、県としては、違法な状態を放置できないという法律による行政の原理の観点から、承認取消しが相当であると判断し、本日付けで、沖縄防衛局に対し、公有水面埋立承認取消通知書を発出したところです。

 8月8日に逝去された翁長知事は、平成26年12月の就任から、辺野古新基地建設阻止を県政運営の柱にし、県民のために自らを投げ打ち、まさに命を削り、その実現に向け取り組んできました。
 
 今回の承認取消しは、辺野古に新基地は造らせないという翁長知事の強く、熱い思いをしっかりと受け止めた上で、埋立承認の取消処分の権限を有する者として、公有水面埋立法に基づき適正に判断したものであります。

 辺野古新基地建設阻止の実現に向け、今後とも全力で対応していく考えでありますので、県民の皆様のご理解とご協力をよろしくお願い致します。

平成30年8月31日
沖縄県副知事 謝花 喜一郎


(4)沖縄タイムス-辺野古新基地:承認取り消しに副知事「適正に判断した」-2018年8月31日 16:31


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄県の知事職務代理者を務める富川盛武副知事と、謝花喜一郎副知事は31日、県庁で記者会見を開き、名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立て承認を撤回した理由などを説明した。埋め立て承認時の留意事項の違反や不十分な環境保全措置などの問題点を認め、『違法な状態を放置できないという法律上の行政原理の観点から承認の撤回が相当と判断した』と語った。」
②「承認撤回を表明後、8日に亡くなった翁長雄志前知事に対し、謝花氏は『辺野古新基地建設の阻止を県政運営の柱にし、県民のために自らをなげうち、まさに命を削り、その実現に取り組んできた』と強調。前知事の強く熱い思いをしっかりと受け止めた上で『適正に判断した』と語った。」
③「撤回の理由では、沖縄防衛局が留意事項の基づく事前協議を行わずに工事を開始したという違反行為があり、行政指導を重ねても是正しなかったこと、埋め立て予定海域に軟弱地盤や活断層などが新たに判明したこと、サンゴやジュゴンなどの環境保全対策に問題があることなどを認定。公有水面埋立法の承認要件を充足しないことが明らかになったとしている。」
④「防衛局が8月17日の埋め立て土砂投入を通知していたこととの関連について、謝花氏は『防衛局から聴聞を実施し、調書の内容と報告書、主宰者の意見を参酌して、不利益処分を検討したところ、庁内の決裁手続きをへて、聴聞通知書を出した』と行政手続きであることを重ねて示した。」
⑤「国の対抗措置に関して、『県は法的な観点から慎重に議論を重ねてきた。専門家の意見も聞いた。裁判所に県の見解を訴え、県の考えが認められるように全力を尽くしたい』と話した。」
⑥「9月30日投開票の知事選との関連や、翁長知事の後継として出馬表明した玉城デニー氏との関連についても、謝花氏は『あくまでも行政手続きとして作業している。政治的な判断ではない。違法な状態を放置できないという法律による行政原理の観点から撤回した』と繰り返した。」


(5)沖縄タイムス-埋め立て承認撤回で法的措置取る、と防衛相-2018年8月31日 17:34


 沖縄タイムスは、「小野寺五典防衛相は31日、米軍普天間飛行場の移設先、沖縄県名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認を県が撤回したことに関し『非常に残念だ。沖縄防衛局が処分理由を精査し必要な法的措置を取る』と記者団に述べた。」、と報じた。    (共同通信)


(6)琉球新報-辺野古ゲート前で約20人座り込み 資材搬入確認されず-2018年8月31日 12:34


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【辺野古問題取材班】普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で31日午前、米軍キャンプ・シュワブゲート前には、新基地建設に反対する市民ら約20人が集まり、座り込みを行った。午前11時半までに資材の搬入は確認されなかった。」
②「一方、海上では市民がカヌー8艇、抗議船3隻で抗議した。カヌーで抗議に参加した作家の目取真俊さんは抗議船にあるマイクを握り、思いを訴えた。撤回を表明し、亡くなった翁長雄志知事に触れた上で目取真さんは『工事を強行する政府に対抗して、翁長知事は自らの命に代えて撤回を表明した。その意味が君たちにわかるか』と言葉を強めた。ゲート前の安仁屋真孝さん(63)=沖縄市=は『(この動きで)今後大きなうねりになってくれれば良い』と期待を込めて話した。」


(7)琉球新報-縄への基地集中は「人種差別」 国連が日本政府に勧告-2018年8月31日 09:56


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「国連人種差別撤廃委員会は30日、対日審査の総括所見を発表した。日本政府に対し、沖縄の人々は『先住民族』だとして、その権利を保護するよう勧告した。米軍基地に起因する米軍機事故や女性に対する暴力について『沖縄の人々が直面している課題』と懸念を示した。その上で『女性を含む沖縄の人々の安全を守る対策を取る』『加害者が適切に告発、訴追されることを保証する』ことなどを求めた。同委員会が勧告で、差別の根拠として米軍基地問題を挙げたのは2010年以来。」
②「同委員会は10年、沖縄への米軍基地の集中について『現代的な形の人種差別』と認定し、差別を監視するために沖縄の人々の代表者と幅広く協議するよう勧告した。14年の前回勧告は基地問題に言及しなかったが、今回は再び言及した。」
③「今回の総括所見は、日本政府が沖縄の人々を先住民族と認めていないことに懸念を示した。『琉球(の人々)を先住民族として認め、その権利を守るための措置を強化する立場を再確認すること』を勧告した。」
④「総括所見は16、17の両日にスイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれた対日審査の結果を踏まえ、まとめられた。」







by asyagi-df-2014 | 2018-08-31 18:48 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄から-三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記第83回

沖縄の地で、体を張って新しい歴史を作ろうとしている人たちがいる。
そこには、その煌めきの記録を残そうとしているジャーナリストがいる。
だとしたら、その生きざまの瞬間を私たちは受け取る必要がある。
三上知恵の沖縄撮影日記。



 今回の三上さんの報告は、「『なまからどー! ぬちかじり、ちばらなやーさい!』(これからですよ。命の限り頑張りましょう!)。集会のたびにそう呼びかけ、県民の喝さいを浴びていた翁長知事。その翁長知事が、逝った。」、と始まる。
三上さんの声をじっくり聞こう。


(1)「政府が何が何でも辺野古の埋め立てを開始すると宣言していたXデー、8月17日を10日後に控え、翁長知事は突然旅立ってしまった。すい臓ガンが相当体を痛めつけていることは誰の目にも明らかだった。しかし『たとえ倒れることになっても』11月の知事選に立つのだと周囲に見せている気迫はこれまで以上だと聞いて、悪性リンパ腫から生還した山城博治さんのように驚異的な精神力で病を克服してくれるものと信じた。が、8月8日、翁長雄志知事は天に召された。私は神を恨む。なぜこのタイミングで、彼を連れ去ったのか。」
(2)「新作の映画『沖縄スパイ戦史』が各劇場で順次公開され、各地で舞台あいさつに回っているときに訃報に接した。広島の横川シネマで詩人のアーサー・ビナードさんとトークに入るとき、映画が始まる直前に知事が亡くなったことを伝えた。会場はどよめいた。アーサーさんの大きな目にも涙が溜まっていた。『たぶん、他府県の知事という存在とは…違うと思うんですね』。私は地方自治法も適用されなかった米軍統治下の沖縄で、沖縄の人々がどれだけ、自分たちの手で自分たちの知事を選ぶことができたら、と悔しい思いをしたのかを説明しようと試みた。移住者である私でも何かをえぐり取られたように感じているこの喪失感の説明をしようとした。」
(3)「『だから、知事というよりは国王? かな? まあそれも違うけど(笑)、損ばっかりしている沖縄のために、家族を守るためにいつも闘ってくれる人。それはお父さんですよね。だからお父さんを失ったような。最後まで気を張って、楽にしてあげることもできなくて…』」
(4)「そこまで言ったら顔がくしゃくしゃになってしまった。自分でもそこまで翁長ファンだった自覚はないのだが、失ったものの大きさに急激に打ちのめされつつあった。私も報道畑が長く、物事を冷静につい斜めにみる癖のついた人間だ。それでも、『辺野古だけはやめて』という沖縄県民の想いの先頭に立って体を張っている大きなリーダーのもとで、いつの間にか勇気づけられながら、撮影をしたり発言をしたりしていたのだ。そのことにやっと気づいた。私でさえ、守られていたのだ。過去も現在も未来も沖縄を踏みつけてはばからない能面のように冷たい日本政府に対し、堂々と正論を言い、私たちの人権、生活環境を守るために、誰より先に矢面に立ってくれるリーダー、それを外側から描きだす仕事をしているつもりだった。けれども私は、大きな盾を失った当事者としてうろたえるような悲しさに襲われていた。ようやくわかった。私は紛れもなく一県民として、あなたしかいないと期待し、お願い、頼む! とすがるように応援していた人間だったのだ。ほかの県民と全く同じように。」
(5)「『うちなーんちゅ、うしぇーてないびらんど!(沖縄の人間をみくびるな!)』」
(6)「オスプレイを強行配備するならば普天間基地を封鎖するぞ、と市町村長や議員らも座り込んだ2012年の9月末、当時那覇市長だった翁長さんがゲート前でこう叫んだ。このセリフは『いただき!』と思った。以後私は事あるごとにこのシーンを取り上げた。『標的の村』の番組、映画にもあえて何度も使った。こういうリーダーを待っていたんだ、という熱気と共にこの言葉と翁長さん知事待望論は広がっていった。」
(7)「『戦場ぬ止み』という映画は2014年、翁長知事を誕生させる島ぐるみの大きなうねり、激動の沖縄を捉えている。辺野古には基地を造らせないと訴える翁長さんを取り巻く観衆が、数百人が数千人になり、1万人を超えたセルラースタジアムで菅原文太さんが駆け付けたときの熱狂はまさに地鳴りのよう。島を揺るがすほどのエネルギーで、保革を超えて沖縄を束ねる初めての存在『翁長知事』を押し上げていった。」
(8)「『標的の島 風かたか』では、国に訴えられた翁長知事が法廷に立つときに、裁判所前に詰めかけた大勢の県民から声援を受けるシーンがある。そこで知事はこう言った。『いま、国と対峙する厳しい局面を迎えているけれども、私たちのうやふぁーふじ(先祖)が味わった辛酸に比べれば大したことはない。ましてや、将来の子や孫の世代が、あの時、つまり今の我々が頑張ったおかげで、平和な島になったんだよ、と言われることを想像してみたら、こんな苦労なんて苦労のうちには入らない』。そして翁長コールを背に裁判所に入っていく姿。これは映画には入っていないが、裁判所の道向かいで群衆から離れて一人そわそわとしているおばあさんがいた。どうしたんですか? と話しかけると『ここから応援してるんですよ。たった一人で国に立ち向かって。少しでも気を送って、と思ってね。かわいそうに、私たちのために、一人でね』と目を真っ赤にして裁判所の建物を見つめていた。彼女にとっては、自分より若い沖縄の青年が全部被って大きな敵と闘ってくれていると映るのだろう。だからかわいそうに、という言葉になるのだろう。上の世代からも下の世代からも惜しみない応援のエネルギーが注がれていた。こんな知事が他府県にいるだろうか。」
(9)「そして就任以来、『埋め立て承認の取り消し』『国が知事を被告にした裁判』『和解勧告』そして作業中断後の工事再開、そして『承認の撤回表明』と、ありとあらゆる民主主義の手続きの中で可能な手段を駆使し作業を遅らせてきた知事だったが、安倍政権は、ある時は面会を拒否し、ある時は勝手にルールを変えるなどあからさまな沖縄冷遇に徹して、粛々と工事を進めてきた。そして宣告された8月17日を前に、いつ撤回のカードを切るか、今日か、明日かという政府との神経戦に入って間もなく、翁長さんの命の灯は尽きてしまった。」
(10)「しかしその結果、あれだけ政府が喧伝した『辺野古の息の根を止める日・8月17日』に、作業は行われなかった。政府は表向きは台風の影響だとしたが、強行すれば、知事を失った悲しみに暮れる沖縄県民の怒りにふれて知事選に不利になると判断したのだろう。あらゆる政治手続のカードを苦心して切ってきた翁長知事は、奇しくも、最後は自らの『死』をもって目前に迫った土砂の投入を止めた形になった。なんて壮絶な幕引きなのだろう。」
(11)「なんとしても辺野古への埋め立て土砂の投入を止めたいと、政府の決めたXデー直前の11日にはずっと前から大規模な県民大会が組まれていたが、知事逝去を受けて辺野古阻止の県民大会は翁長知事の追悼式の様相を呈していた。当初予想した倍以上の7万人が台風の雨風をものともせず結集した。今回の動画は、できるだけ多くの県民の思いや表情を見てほしくて、20人のインタビューを入れて大会の様子を12分にまとめている。沖縄県民の、世代や立場を超えたこの悲しみと怒りをぜひ見てほしい。そして当日会場に行けなかった私や大矢英代さんへの博治さんからのメッセージも、個人向けではあるが今回はあえて入れた。マガジン9のために編集するこの動画は、私自身も過去を思い出すために繰り返し見るのだが、どんな時も、いい時も悪い時も記録してほしいとおっしゃった博治さんのこの表情を一生忘れないで、肝に銘じるために。」
(12)「前にもここに書いたが、沖縄のおじいたちは教えてくれた。「勝ったかどうかじゃない。闘ったか、闘ってないか。それが大事なんだ。それこそが、子や孫へ贈る財産なんだ」。
(12)「父や祖父があきらめずに闘ってくれていたことに、子の世代はいつか気づく。誰のためにそうしていたのか。どんなに辛く、でも誇らしいことだったのか。そしていつの間にか、自暴自棄になったり逃げたりするより立ち向かうことを選べる自分、いくつもの抵抗の仕方を見て知ってる自分を発見するだろう。それこそが、他人が奪うことができない本当の財産だ。」
(13)「翁長知事は県民すべてに、まんべんなく、泥棒も権力者も奪うことができない宝物を与えてくれた。命限り(ぬちかじり)大事な人たちのために闘う姿を、最後の最後まで見せ続けてくれた。そして彼のマブイ(魂)は140万個の光る宝玉となりすべての県民の心にそっと宿ったのだ。私はこの時代に沖縄に生きていることを幸いに思う。観察者や撮影者としてではなく一県民としてあなたを選び、思いを託し、あなたを支え、一喜一憂しながらも民の力を信じ、民主主義を実践で学びながら激動の時代を共に過ごせたことを誇りに思う。」


 三上さんの声を。


「翁長さん、翁長さんはいいチャンスをくれましたね。沖縄県民が心をひとつにしたら想像もつかないことが起きる。その予言は本当かもしれませんし、今なのかもしれません。あなたが命がけで守ろうとした辺野古の海を『守り切りましたよ』、と報告できるように、心をひとつに結んで頑張る県民の姿を、どうか大勢のご先祖たちとともに見守っていてください。間もなく旧盆が来ますね。御馳走とエイサーで一息ついて、心安らかに祖霊となって私たちを導いてください。」



 確かに、翁長さんの「うちなーんちゅ、うしぇーてないびらんど!」は、存在そのものを打ち砕く力があった。
 肝に銘じよう。
「勝ったかどうかじゃない。闘ったか、闘ってないか。それが大事なんだ。それこそが、子や孫へ贈る財産なんだ」、と。




by asyagi-df-2014 | 2018-08-31 07:07 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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