2018年 03月 31日 ( 1 )

あかささまな金の暴力は地域社会を壊すだけ。-沖縄タイムス・琉球新報社悦20181325から-

 沖縄タイムスと琉球新報は、2018年3月25日付けの社説で、「[名護市へ再編交付金]政府のアメ あからさま」「名護市に再編交付金 札束で頬たたくのやめよ」、とそれぞれ論評した。
 どういう事態が起こっているのか。
 「辺野古新基地建設を巡り、防衛省は名護市に米軍再編交付金の支給を再開する方針を決めた。中嶋浩一郎沖縄防衛局長が渡具知武豊市長に正式に伝達した。渡具知氏は2月の市長選で新基地に反対していた現職を破り、初当選した。前市長時代は再編交付金をストップしており、手のひらを返したような政府の対応である。」、と沖縄タイムスは説明する。
 まさしくそれは、権力を握る者のあからさまな暴力、攻撃の姿を示すものである。
 二社の「主張」等は、次のものである。


Ⅰ.沖縄タイムス

ⅰ.事実関係
(1)「再編交付金は『再編による住民生活の安定に及ぼす影響の増加の程度を考慮し、再編の円滑かつ確実な実施に資すると認める場合に』自治体に交付するものだ。渡具知氏は『県と国が係争中の裁判の行方を注視する』と、選挙戦でも新基地の賛否を明確にせず、再編交付金は『受け取れるのであれば受け取る』と発言していた。」
(2)「再編交付金は、米軍再編への協力の度合いに応じて支給されるもので、その矛盾が指摘されていた。今回、防衛省が再開の方針を決めたのは『前市長においては辺野古移設に反対と明確に言っていた。一方、現市長は賛成でも反対でもない』ことを理由に挙げている。」
(3)「渡具知氏は『法令にのっとって対応する。決して容認ということではない』と強調している。防衛省は2017年度の交付金約15億円についても18年度に繰り越す手続きをとり、支給する方針だ。」
(4)「交付再開は防衛省が賛否を明らかにしない渡具知氏を、新基地の『円滑かつ確実な実施に資する』と認めたことを意味する。名護市の協力が得られたと判断したのである。」
ⅱ.問題点等
(1)「再編交付金は、新基地建設を受け入れることがそもそもの条件である。これまでの基地に関連する政府資金とは性格を全く異にするものだ。地域を分断し、地方自治を破壊することにつながる懸念が大きいにもかかわらず、財政事情の厳しい自治体に対し、政府は遮二無二に再編交付金による基地受け入れを迫っているのである。」
(2)「それだけではない。新基地を巡って防衛省は、辺野古、豊原、久志の『久辺』3区には市を通さず、別の補助金を交付している。前市長が新基地に反対していたため、創設したものだ。補助金を地縁団体に交付するのは極めて異例で、市の頭越しに直接カネをばらまくなりふり構わぬやり方である。地縁団体には公金の使途をチェックする機能もない。これまた、モラルハザード(倫理観の欠如)や地域コミュニティーの分断を招きかねない『禁じ手』である。」
(3)「沖縄関係予算は減額傾向が続くが、使途の自由度が高い一括交付金も減少の一方である。今秋の知事選をにらみ、新基地に反対する翁長雄志知事に対する『兵糧攻め』とみられても仕方がない。再編交付金や『久辺』3区への補助金はもちろん、一括交付金も基地を沖縄に押し込める制度になりかねない。」
(4)「基地の集中する沖縄においてカネの力で国策に従わせようとする政府のやり方は目に余る。政府がカネをぶらさげて地方自治に介入してくるのは、地方自治そのものをゆがめるものだ。」


Ⅱ.琉球新報


ⅰ.事実関係
(1)「米軍再編事業の進展に応じて支給される米軍再編交付金について、沖縄防衛局は名護市に対する交付を8年ぶりに再開することを決めた。すでに年度末だが、2017年度分から約15億円を交付する。」
(2)「渡具知武豊市長が米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設について『法令にのっとって対応する』と明言したためだ。渡具知氏は移設について『容認でも反対でもない』として態度を明確にしていない。」
(3)「しかし防衛局は交付に必要な『再編事業への理解と協力』が得られたと判断し、交付を決めた。これでは移設容認を促すための懐柔交付金ではないか。」
ⅱ.問題点等
(1)「再編交付金は在日米軍再編に伴い、基地負担が増える市町村に交付される。進展状況などによって交付額が算定される。さらに交付には『再編事業への理解と協力』が必要とされている。このため移設反対を公約に掲げて当選した稲嶺進前市長時代は交付が止められた。『再編交付金の額を定めることが適当でないと認める特段の事情があるときは、当該再編関連特定周辺市町村の交付点数を減じ、または零(ゼロ)とすることができる』との施行規則に基づき、交付点数を『ゼロ』にしたからだ。」
(2)「再編交付金は米軍再編事業の進展に応じて支給されるものだ。稲嶺氏が市長時代から辺野古への新基地建設は強行され、工事は進められてきた。再編事業は進展していたはずだ。それなのに交付されなかったのは『再編事業への理解と協力』がなかったからということになる。」
(3)「稲嶺氏は市長時代に『再編交付金は名護市がお断りするといったことはない。ある日突然、交付ゼロの通知が来て止められた』と答弁している。つまり政府に尻尾を振って従順を誓う自治体には交付するが、言いなりにならずに異を唱える自治体には、たとえ再編事業が進んでも一銭も出さないという極めていびつな制度なのだ。」
(4)「政府はこれまで、新基地建設が進む名護市の辺野古、豊原、久志の3区に再編関連特別地域支援事業として補助金を交付している。移設に反対する稲嶺市政を通り越しての支出だ。地元住民を政府の政策になびかせようと誘導する地方分権に反する悪質な補助事業と言わざるを得ない。」
(5)「政府は名護市に対して、米軍再編交付金だけでなく、米軍再編に協力する市町村を対象にする再編推進事業補助金の交付も検討している。次々と露骨な懐柔策を打ち出していく方針のようだ。」
(6)「新基地建設をはじめとする米軍再編事業に対する県民の理解を得るために、政府は金をばらまくことしか方策を見いだせないのだろう。札束で頬をたたくのはやめるべきだ。沖縄の圧倒的多数の民意である辺野古移設反対の声に耳を傾けることが先決だ。」


 安倍晋三政権は、沖縄の政治状況を、「交付再開は防衛省が賛否を明らかにしない渡具知氏を、新基地の『円滑かつ確実な実施に資する』と認めたことを意味する。名護市の協力が得られたと判断したのである。」(沖縄タイムス)、と利用価値あるものに変えた。
 政府による次の狙いは、今まで以上に、沖縄に疲弊をもたらすことになる。
 確かに、あからさまな金の暴力-「移設容認を促すための懐柔交付金」(琉球新報)-とは、「基地の集中する沖縄においてカネの力で国策に従わせようとする政府のやり方は目に余る。政府がカネをぶらさげて地方自治に介入してくるのは、地方自治そのものをゆがめるものだ。」(沖縄タイムス)、ということである。
 今、必要なことは、「札束で頬をたたくのはやめるべきだ。沖縄の圧倒的多数の民意である辺野古移設反対の声に耳を傾けることが先決だ。」(琉球新報)、ということだ。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-31 08:16 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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