2018年 03月 18日 ( 2 )

沖縄タイムスの『沖縄・基地白書』を読む。(11)

 沖縄タイムスは、「国内の米軍専用施設面積の70・4%が集中する沖縄では、名護市辺野古の新基地建設以外にも騒音や墜落の危険性などの問題を抱えている。国防や外交の視点ではなく、住民の暮らしの目線から沖縄の米軍基地問題を検証する。」、と『沖縄・基地白書』の連載を始めた。
 今回は、第10回-「沖縄・基地白書(10)「夜中なのにまたか」シュワブ内の廃弾処理 自宅に亀裂」(2018年3月14日)から。


 今回の話は第1部 被害 名護市辺野古。
 跳び起きてしまうほどの「バーン」というごう音は、1月中旬の夜11時前だったというのだ。
それも、「名護市基地対策係の測定器では、『電車が通る時のガード下』に相当する100・6デシベルを記録した。」、というのだ。
沖縄タイムスは、沖縄の基地被害を、次のように伝える。


(1)「1月中旬の夜11時前だった。『バーン』というごう音に名護市辺野古の島袋文子さん(87)は跳び起きた。『夜中なのにまたか』。趣味の貝細工などを並べたガラスケースは、ガタガタと音を立てた。」
(2)「名護市基地対策係の測定器では、『電車が通る時のガード下』に相当する100・6デシベルを記録した。この日だけで80デシベル以上の爆発音が、48回に及んだ。」
(3)「音の正体は米海兵隊の『廃弾処理』や『爆破訓練』。キャンプ・シュワブ内の久志岳にある第3廃弾処理場で、訓練で不発だったり、使用期限の切れたりした銃弾や砲弾を爆破する。また橋や道路の爆破を想定した訓練も実施する。」
(4)「島袋さんの自宅から約1・3キロしか離れていない。1人暮らしで、ベッドの下に靴を置く。逃げるための備えだ。足が不自由なため、『家が崩れれば、ハイハイする』と決めている。」
(5)「シュワブ内での廃弾処理は1974年に始まった。基地内の工事で1年中断した後、81年5月に再開した際、たまっていた廃弾を一気に処理したことや、周辺対策がおろそかだったことから、民家60軒以上に一部損壊などの被害が出た。島袋さんの自宅はその一つだ。玄関や風呂場の壁など至る所にひびが入った。屋根の亀裂から雨水が漏れ、修繕に100万円かかった。その後も爆発による振動は36年間続き、家は徐々に沈下したと感じている。」
(6)「周辺には補償が出たと聞くが、『請求しなかった』という理由で島袋さんにはなかった。7年前に『どうしても見てほしい』と連れてきた沖縄防衛局の職員は『ここへ来たことは内緒にしてほしい』と言い、手土産のバナナ1房を残し、何の対処もしなかった。」
(7)「名護市によると、米軍訓練による80デシベル以上の爆発音の発生は、辺野古で2014年に46日653回、15年に49日522回、16年に89日498回。そのたびに島袋さんは『生きた心地がしない』」時間を過ごしている。」
(8)「島袋さんは辺野古新基地建設の反対運動に参加する象徴的な女性だ。『工事したければ、私をひき殺しなさい』と工事車両の前に立ちはだかったこともある。『沖縄戦で傷を負い、死んだ人間の血の泥水を飲んで生き延びた』。二度と戦争を起こさない。強い思いで悲惨な体験を語る。その上に言う。『戦に負けたからと、基地を置いたことで、人間の住む場所が人間の住める場所ではなくなった。私が新基地に反対する理由の一つだ』(「沖縄・基地白書」取材班・福元大輔)
(8)「[メモ]爆破日時提供 地位協定が壁:いつ米軍の廃弾処理や爆破訓練があるか。日米地位協定で米軍の排他的管理権を認めているため、日本側が運用の中身を知る仕組みはない。名護市のホームページ(HP)では米側が『好意的通報』という名目で沖縄防衛局に伝えた予定日時が掲載されている。HPを見ない住民には分からない。その上『2月10日7時半から18時』などと幅がある。住民らは『山火事を予防するため、雨の次の日に多いようだ』と経験則で予想するしかない。具体的な日時の提供を求めても、地位協定が壁となり、実現していない。」


 まず確認しなければならないことは、次のことである。


「米軍訓練による80デシベル以上の爆発音の発生は、辺野古で2014年に46日653回、15年に49日522回、16年に89日498回。」(名護市)、との事実。
 その下で、「生きた心地がしない」時間を強制されている人がいるということ。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-18 18:36 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

東京MXとDHCは、「変えることのできない私の出自を使って沖縄をたたいた。自分がストレートにたたかれるより何倍もこたえた」を真摯に捉えなければならない。-琉球新報20180310~

 2018年3月10日の琉球新報の社説は、「東京MX人権侵害認定 ヘイト拡散見過ごせない」、とこの問題の本質を言い当てる。
 どういうことなのか。
琉球新報は、「BPOの勧告を評価したい。」とした上で、このように指摘する。


(1)「東京メトロポリタンテレビジョン(東京MX)の番組『ニュース女子』について、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は東京MXに対し、ヘイトスピーチ(憎悪表現)反対団体「のりこえねっと」の辛淑玉(しんすご)共同代表への人権侵害を認定し、勧告内容の放送や再発防止策を提出することなど求める勧告を出した。」
(2)「BPOの勧告を評価したい。東京MXは再発防止に努めるとのコメントを発表したが、誠実な対応とは言えない。番組内容を訂正し、辛代表らに謝罪した上で、侵害された人権の回復に向けた措置を講ずるべきだ。」
(3)「2017年1月に放送された『ニュース女子』は、米軍北部訓練場のヘリパッド建設に反対する市民をテロリストに例え、辛さんを『黒幕』のように報じた。放送人権委員会は、番組で報じられた反対運動への『日当』や『黒幕』など真実性の証明がなく、辛さんへの名誉毀損(きそん)に当たるとし、最高裁の判例などを基に判断した。」
(4)「放送倫理上の問題については、辛さんに取材をしていないにもかかわらず、東京MXの考査で問題とされていないことや、反対運動に朝鮮人や中国人がいるなどと特定の国籍や民族的出自を出して、在日韓国人である辛さんと関連づけたことに『人種や民族を取り扱う際に必要な配慮がなされていない』などと指摘した。」
 辛さんは会見で「変えることのできない私の出自を使って沖縄をたたいた。自分がストレートにたたかれるより何倍もこたえた」と語った。心中を察するに余りある。


 あわせて、BPOの限界についても、指摘する。


(1)「一方、BPOの限界もある。『ニュース女子』は化粧品大手ディーエイチシーのグループ会社DHCテレビジョンが取材・制作する「持ち込み番組」だ。BPOは民放連と加盟各社、NHKが設置した第三者機関で、勧告はテレビ局に限られる。DHCのような制作会社は対象外だ。」
(2)「DHC側は、番組批判に対し『誹謗(ひぼう)中傷』と反論し『基地反対派の言い分を聞く必要はない』とまで言い切った。最初から『沖縄ヘイト』を助長する番組を制作する意図があったのではないかと疑わざるを得ない。」


 さらに、琉球新報は、ヘイトクライムに関する日本の現状を告発する。


(1)「辺野古新基地建設などが国内で伝えられる一方で、『沖縄は基地で食べている』『基地反対運動は県外の過激派がやっている』という虚偽が広がり一部で定着しつつあることを危惧する。「ニュース女子」は、基地の過重負担に苦しむ沖縄の実情に背を向け、公共の電波を使って虚偽のレッテル貼りを重ねた。」
(2)「東京MXは同番組の放送を3月末で打ち切るが、DHC側は一部地方局や衛星放送、インターネット媒体で放送を継続すると発表した。」
(3)「事実をねじ曲げた番組がこれ以上拡散するのは見過ごせない。放送倫理の破壊を許してはならない。」


 東京MXやDHCは、まずは、「変えることのできない私の出自を使って沖縄をたたいた。自分がストレートにたたかれるより何倍もこたえた」、辛淑玉さんのこの言葉を身にしみ込まさせる必要がある。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-18 07:11 | 人権・自由権 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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