2018年 03月 17日 ( 3 )

沖縄タイムスの『沖縄・基地白書』を読む。(10)

 沖縄タイムスは、「国内の米軍専用施設面積の70・4%が集中する沖縄では、名護市辺野古の新基地建設以外にも騒音や墜落の危険性などの問題を抱えている。国防や外交の視点ではなく、住民の暮らしの目線から沖縄の米軍基地問題を検証する。」、と『沖縄・基地白書』の連載を始めた。
 今回は、第9回-「沖縄・基地白書(9)自宅上空を見上げ『ここが海兵隊の交差点』 低空飛行の恐怖」(2018年3月13日)から。


 今回の話は、第1部 被害 名護市久志。
 「ここが海兵隊の交差点」、と言わざるを得ない地区の話。
 それも、「森山さんは『1日平均では少ないように見えるが、訓練は集中する上、昼夜を問わない。低空飛行だと墜落、つり下げ訓練だと落下の恐怖がある』と数字以上の負担を感じる。」、という日常について。
 沖縄タイムスは、次のように伝える。


(1)「米軍キャンプ・シュワブやハンセンに近接する名護市久志の森山憲一さん(75)は、自宅上空を見上げ、『ここが海兵隊の交差点』と苦笑いを浮かべた。」
(2)「シュワブとハンセンに計32カ所のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)があり、海兵隊ヘリが訓練で飛び交う。さらに北部訓練場や伊江島、沖縄本島東側の訓練空域へ移動する際も、久志周辺を通過するからだ。」
(3)「訓練の様子を撮影した動画を保存している。自宅の目の前の海を水面ぎりぎりで低空飛行するHH60救難ヘリが、水しぶきを上げながら急上昇。集落を越え、山裾のヘリパッドに着陸していく。『これは敵地での航空機事故などを想定した訓練。レーダーに捕捉されない低さで侵入し、事故機の乗員らを救助する』。森山さんは淡々と解説する。」
(4)「オスプレイが着陸した瞬間には、土煙が舞い、辺りを包み込んだ。『2015年5月ハワイでのオスプレイ墜落は、着陸時に巻き上げた砂でエンジン出力を喪失したのが原因と言われる。砂漠など厳しい環境への対策だろう』」
(5)「自宅屋上で撮った映像では、オスプレイが旋回し、国立沖縄高専の校舎裏側で離着陸を繰り返した。『わざわざ学校周辺でやらなくても、という理屈は通じない。この辺で一番高い高専の校舎は、都合の良い障害物でしかない』。名護市はオスプレイが普天間飛行場に配備された12年から市内7カ所で騒音を測定。久志では63デシベル以上の騒音が年1200〜1500回発生している。」
(6)「森山さんは『1日平均では少ないように見えるが、訓練は集中する上、昼夜を問わない。低空飛行だと墜落、つり下げ訓練だと落下の恐怖がある』と数字以上の負担を感じる。」
(7)「政府は名護市辺野古の新基地建設の意義を『周辺に民家はなく、住宅防音工事助成事業の対象は普天間飛行場周辺の1万世帯から辺野古ではゼロになる』と強調する。森山さんは『それは滑走路での離着陸の話。訓練による被害は今でも起きているが、考慮されていない』と憤る。」
(8)「16年の名護市安部でのオスプレイ墜落で名護市議会の抗議活動に通訳で同行した。『危険な訓練を止めるべきだ』と訴えた市議に海兵隊大佐はこう言い放った。『危険だからこそやらなければならない』。軍の論理がまかり通る。森山さんは『住民が人間扱いされない。そんな地域がどこにあるか』と吐き捨てた。」
(「沖縄・基地白書」取材班・福元大輔)
(9)[メモ]基地外の活動 根拠あいまい:「米軍が提供施設・区域の外で訓練する根拠は明確に規定されず、あいまいだ。日米安保条約では、日本が施設と区域を提供し、米軍の使用を認める。日米地位協定では施設・区域の間や日本の港、飛行場との間の移動を認めるが、施設・区域の外での訓練について明記していない。ところが政府は2013年の答弁書で『安保条約はその目的達成のため、米軍が軍隊の機能に属する諸活動を当然の前提としている』と説明。米軍機が国民の頭上で旋回、低空飛行し、物資をつり下げるのも『当然の前提』と見なしたといえる。」


 基地被害は、「政府は名護市辺野古の新基地建設の意義を『周辺に民家はなく、住宅防音工事助成事業の対象は普天間飛行場周辺の1万世帯から辺野古ではゼロになる』と強調する。森山さんは『それは滑走路での離着陸の話。訓練による被害は今でも起きているが、考慮されていない』と憤る。」ということにあるということに気づかされる。
政府のやり方の欺瞞性に気づきながら、本当の実態を正確につかめていないことがよくわかる。
改めて、確認する。
 米軍基地被害は、「『危険だからこそやらなければならない』。軍の論理がまかり通る。森山さんは『住民が人間扱いされない。そんな地域がどこにあるか』と吐き捨てた。」、という構図にある。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-17 18:44 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

京都地裁は、原発避難訴訟で国の責任を認定する。

 毎日新聞は2018年3月15日、「国の責任認定は前橋地裁、福島地裁判決に続いて3件目」、と表題について次のように報じた。


(1)「東京電力福島第1原発事故に伴い、福島、茨城、千葉各県などから京都府に自主避難するなどした57世帯174人が国と東電に計約8億5000万円の損害賠償を求めた訴訟で、京都地裁(浅見宣義裁判長)は15日、国と東電に対し、賠償するよう命じた。原発避難者の集団訴訟で国の責任を認めたのは、昨年3月の前橋地裁、同10月の福島地裁判決に続いて3件目。」
(2)「原発避難者の集団訴訟は、全国で約1万2000人が約30件起こしている。判決は前橋地裁を皮切りに、千葉、福島、東京各地裁に続いて5件目(東京地裁は被告が東電のみ)。千葉地裁は国の責任を認めていなかった。」
(3)「京都訴訟原告の事故当時の居住地は、福島市やいわき市など東電が賠償対象とする福島県内の『自主的避難区域』が143人で、同区域外の福島県や茨城、千葉など他県が29人。他の2人は国の避難指示などが出た福島県内の区域に住んでいた。いずれも平穏な日常生活を奪われ、二重生活に伴う負担増を強いられたなどと訴え、原則1人550万円の賠償を求めていた。」
(4)「政府の地震調査研究推進本部は2002年、福島沖で巨大津波地震が起き得るとした『長期評価』を公表している。原告側は国の責任について『津波の危険性を予見できたのに有効な安全対策を怠った』と主張。一方、国は『長期評価からは地震を予見できず、規制権限の行使義務もなかった』と反論していた。」
(5)「16日に東京地裁、22日には福島地裁いわき支部でも集団訴訟の判決が予定されている。」
【飼手勇介】
(6)「国の責任、司法判断として定着しつつある」:淡路剛久・立教大名誉教授(民法・環境法)の話:「判決は、自主避難をせざるをえなかった原告の個別事情を踏まえ、避難の相当性を認めた。被害実態に必ずしも即していない中間指針に基づく賠償を司法的に是正する内容で、重要な判断だ。一方、東電からの賠償額で十分として請求を棄却された人がかなりおり、裁判所の損害認定額が低かったと感じる。国の責任は前橋、福島両地裁に続き、京都地裁でも認められ、司法判断として定着しつつある。国は賠償の基準や期間、さらには地域復興についても、政策のあり方を見直す必要があるのではないか。」
(7)「難の判断基準、司法がより具体的に示す」:除本理史(よけもとまさふみ)・大阪市立大大学院教授(環境政策論)の話:「避難が合理的かどうかの判断基準を、司法がより具体的に示した。中間指針で賠償対象となった区域の外でも、司法が独自に賠償を認定する流れが定着してきた点も注目すべきだ。ただ、放射性物質の汚染による不安が長く続いていることを考えると、避難の時期を12年4月1日までで区切ったのは短すぎる。」




by asyagi-df-2014 | 2018-03-17 12:56 | 書くことから-原発 | Comments(0)

沖縄防衛局が名護市辺野古海域での地質調査結果の報告書が活断層が走っている可能性を指摘したこと。

 どういうことなのか。
 琉球新報は2018年3月7日、「沖縄防衛局が名護市辺野古の新基地建設予定海域で実施した地質調査結果の報告書に、埋め立て予定地近くの陸地を走る辺野古、楚久断層とみられる2本の断層について『活断層の疑いがある線構造に分類されている』と明記し、活断層の可能性を指摘していることが6日分かった。海底地質についてもC1護岸付近の地質が『非常に緩い、柔らかい堆積物』とし、『構造物の安定、地盤の沈下や液状化の検討を行うことが必須』だと指摘している。政府はこれまで活断層の存在を『認識していない』としてきたが、政府側の調査でも活断層や地盤の軟弱性の問題が指摘されたことで、安全性の面でも辺野古新基地計画が問題を抱えていることが浮き彫りになった。」、と報じたのでる。


 琉球新報の社説は、2018年3月8日、「辺野古に活断層疑い 新基地の危険性また一つ」とし、「活断層の上に巨大な施設を造ることほど愚かなことはない。たとえそれが『疑い』の段階であってもだ。」、と断じた。
琉球新報は、この活断層の「疑い」について、次のように批判した。


(1)「沖縄防衛局が名護市辺野古海域で2017年2~4月に実施した地質調査結果の報告書で、新基地建設予定海域に活断層が走っている可能性を指摘していることが分かった。埋め立て予定海域近くの陸地を走る辺野古断層と楚久断層とみられる2本の断層を『活断層の疑いがある線構造に分類されている』と明記している。」
(2)「活断層は過去に地震を起こした形跡があり、将来も地震を起こす可能性がある断層のことである。地震が起きて地盤がずれたり、津波が発生したりすれば、新基地の滑走路が破壊されるだけではすまない。弾薬や燃料など基地内の有害物質が海や近隣集落に流出し、火災や汚染などの二次被害が起きる可能性がある。攻撃目標になるだけでなく、新基地の危険性がまた一つ明らかになった。」


 このことから、琉球新報は、「活断層の疑いがあることを政府自身が指摘している以上、辺野古新基地建設は直ちに中止すべきである。」、と主張する。


 また、この報告書では、海底地層の軟弱性等について、「報告書はC1護岸付近の海底地質を『非常に緩い、柔らかい堆積物』とし『構造物の安定、地盤の沈下や液状化の検討を行うことが必須』とも指摘している。」、とされていることを受けて、琉球新報は、「地盤の強度は、数値が高いほど堅いことを示すN値が「ゼロ」を示す場所が多く存在し、地盤がもろいことも報告書は示している。」、と指摘する。


 今回の沖縄防衛省の報告書をどのように受けとめなければならないのかについて、琉球新報は、次のようにまとめる。


(1)「防衛局は自身が作成した報告書の指摘に従い、科学的、客観的に検討していく責任がある。『工事ありき』の結論に結び付けるような恣意的な検討は許されない。」
(2)「報告書から導き出されることは、政府が工事を進める場所は新基地建設地には適さないということである。それ以外の結論はあり得ない。」
(3)「沖縄の基地負担軽減の面から言えば、新基地を辺野古に造ることは明らかにその目的に逆行する。地震や津波など災害の面からしても、辺野古海域に新基地を建設することは新たな危険を生み出すことにしかならない。この事実を政府は重く受け止め、対応すべきである。」
(4)「専門家からはこの間、新基地建設予定海域に活断層が存在する可能性が指摘されてきた。にもかかわらず、政府は17年11月、『辺野古沿岸域に活断層が存在するとは認識していない』との答弁書を閣議決定した。閣議決定の時点で、防衛局の報告書がまとまっていたか定かではない。だが、報告書と答弁書の大きな隔たりは看過できない。」
(5)「報告書は、沖縄平和市民連絡会の北上田毅氏が情報公開請求で入手し、公になった。本来ならば、防衛局が調査実施機関として積極的に公表すべきものである。政府にとって不都合な調査結果を隠蔽(いんぺい)しようとしたのではないか。そう疑うほかない。」


 さて、「沖縄防衛局が名護市辺野古海域での地質調査結果の報告書が活断層が走っている可能性を指摘していたこと」は、どのような意味を持つのか。
 驚いたことに、安倍晋三政権は、「17年11月、『辺野古沿岸域に活断層が存在するとは認識していない』との答弁書を閣議決定した。」(琉球新報)。であるとしたら、この調査結果をいち早く公表するのが、安倍晋三政権の勤めでなければならない。
 今回のことは、「政府にとって不都合な調査結果を隠蔽(いんぺい)しようとしたのではないか。」との指摘が当てはまるものである。

 だとすると、やはり、辺野古新基地建設は直ちに中止しなければならない。





by asyagi-df-2014 | 2018-03-17 07:17 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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