2018年 03月 14日 ( 2 )

沖縄-辺野古- 高江から-2018年3月14日

 「ザトウクジラの親子2頭が11、12の両日、大浦湾を遊泳しているのが確認された。」、と琉球新報。「ブリーチング」が見られたという。 
クジラが遊泳する海、大浦湾。
 その自然の豊かさに、思いを深くする。





 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2018年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。
 2018年3月14日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-名護・大浦湾に親子クジラ-2018年3月14日 06:50


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【名護】ザトウクジラの親子2頭が11、12の両日、大浦湾を遊泳しているのが確認された。13日には姿が確認されなかったことから、外洋に旅立ったとみられる。親子は海面に背中を出したり、ブリーチングをしたりするなどして、元気な姿を見せた。目撃者は『まさかクジラを大浦湾で見ることができるとは思ってもみなかった』と珍しい出来事に驚いていた。」
② 「大浦湾でグラスボートの船長を務める西原瑠夏(るか)さん(36)は11日午前にクジラの親子が大浦湾を泳いでいる姿を確認した。安部の海岸から沖合500メートルの場所で、クジラが海中から海上へ体を持ち上げ、倒れる勢いで水しぶきを上げる『ブリーチング』をしていた。」
③「西原さんは『親子の姿をもう少し見ていたいという気持ちもあるが、無事に旅立ってくれてうれしい』と話した。」
④「長年にわたって大浦湾で水中カメラで写真を撮り続けている『ダイビングチームすなっくスナフキン』の西平伸代表(60)は『初めて大浦湾でクジラを見た。また、大浦湾で再会したい』と話した。」


(2)沖縄タイムス-「審判対象に当たらず」 辺野古工事差し止め訴訟、那覇地裁が沖縄県の訴え却下-2018年3月14日 05:00


  沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「名護市辺野古の新基地建設を巡り、無許可での岩礁破砕は違法として、沖縄県が国を相手に破砕を伴う工事の差し止めを求めた訴訟の判決が13日、那覇地裁であった。森鍵一(もりかぎ・はじめ)裁判長は『訴えは、法律上の争訟(裁判所の審判対象)に当たらない』として県側の訴えを却下した。国と県の間で起きている漁業法を巡る解釈の争いについては、司法判断を下さないまま門前払いとした。」
②「地裁は県側が、判決言い渡しまで求めていた、破砕行為の一時禁止の仮処分申し立ても同日付で却下。県側は本訴訟については控訴を、仮処分については即時抗告などを検討する。」
③「本訴訟の判決は『国や地方公共団体が原告となった場合、行政上の義務の履行を求める訴訟は審判対象とならない』と判示した2002年の最高裁判決に沿ったかたちで言い渡された。判決理由で森鍵裁判長は『【県知事の許可を受けずに岩礁破砕行為を行ってはならない】とする義務の履行を国に求める訴訟は、行政上の義務履行を求めており不適法だ』と指摘した。」
④「県側は『訴訟の対象となっている海域を使用する権利があり、財産権に準じた権利に基づいて訴えている』と主張していた。これに対し判決は『海は公共のものであり、国が直接管理しており、私人の所有を認める法律もない』と反論。『本件海域に県が何らかの権限を行使することができたとしても、私法上の財産権に準じた権利に基づくものとは言い難い』として県側の主張を退けた。」
⑤「また県側は『2002年の最高裁判決が示す審判の対象範囲には誤りがある』と主張していたが、判決は『司法権の役割は国民の権利や利益の保護救済を図ることにあり、行政の権限救済ではない』と指摘し、県側の訴えを退けた。」
⑥「菅義偉官房長官は判決後の記者会見で『辺野古における埋め立て工事を進めていくことが求められている』との考えを示した。提訴は昨年7月で、新基地建設を巡る国と県の訴訟は5度目。」


(3)琉球新報-平和運動センター議長に有罪判決 懲役2年、猶予3年 ほか2人も猶予刑-2018年3月14日 15:36


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「名護市辺野古の新基地建設や東村高江の米軍北部訓練場ヘリコプター発着場建設に対する抗議活動を巡り、威力業務妨害や公務執行妨害・傷害などの罪に問われた山城博治沖縄平和運動センター議長(65)ら3人の判決公判が14日午後1時半、那覇地裁で開かれた。柴田寿宏裁判長は議長に懲役2年(求刑懲役2年6月)、執行猶予3年を言い渡した。」
②「ほか2人も猶予刑を言い渡した。うち一人は一部無罪とした。弁護団は判決を不服として即時控訴した。」
③「起訴状によると、山城議長は2016年1月に名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ工事用ゲート前でブロックを積み上げ、資材搬入の業務を妨害したとされる。弁護側は資材搬入を止めるためのブロックを積み上げ行為について、威力業務妨害を適用することは『表現の自由を侵害し違憲だ』などと主張し、器物損壊を除く各事案で無罪を訴えていた。」
④「那覇地裁周辺には議長らの支援者が多く駆け付け、拳を挙げて無罪を強く訴えていた。」


(4)沖縄タイムス-国と県が争う5つ目の裁判…辺野古問題の本質、国民的議論を【記者の視点】-2018年3月14日 16:22


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「辺野古新基地建設問題で国と県が争う五つ目の裁判でも、一審で国が勝訴、県が敗訴した。中身が審理されたわけでないのに、内容の分かりづらさが手伝ってか、結果を見れば、法律的に国が正しく、工事を進めるのは仕方がないという方向に国民世論が流れる懸念がある。」
②「県は辺野古問題の本質を問い直さなければならない。翁長雄志知事は『沖縄戦で軍事占領した土地に普天間飛行場を造り、そこが危険になったから代わりの土地をよこせというのは理不尽だ』と主張している。使い勝手の良い新たな基地ができれば、米軍の駐留が長引くとも指摘する。」
③「悲惨な沖縄戦から過酷な米軍統治時代を経て、73年が過ぎた。なお全国の米軍専用施設面積の7割以上が沖縄に集中していることが問題の本質である。その上に、県内基地全体の2・5%に過ぎない普天間を返すのに、県内移設を条件としていることが大きな反発を生み出している。」
④「裁判は目的ではなく、圧倒的な権力に対抗する県や県民の一つの手段でしかない。国はそれを利用してさまつな争点に閉じ込め、勝訴に欣(きん)喜(き)雀(じゃく)躍(やく)するようでは解決が遠のく。沖縄の過重負担を前提に成り立つ安全保障体制について、国民全体での議論を避けてはいけない。」
⑤「一方、県は出口戦略を持たなければ、辺野古阻止を期待する人々の失望が残るだけの裁判に終わる。岩礁破砕やサンゴ特別採捕、埋め立て海域の活断層など辺野古阻止の糸口を見つける作業のほか、本質を見失わないよう問題提起を繰り返す必要がありそうだ。」(政経部・福元大輔)


(5)沖縄タイムス-「勝訴」アピールしたい政府 「無傷の負け」強調する県 辺野古めぐる対立変わらず-2018年3月14日 13:16


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「名護市辺野古の新基地建設に伴う岩礁破砕許可を巡る訴訟は13日、国が勝訴した。政府には新基地建設推進の根拠としたい思惑が透けるが、渡具知武豊名護市長は『県の対応を注視する』と従来の見解を繰り返し、県も辺野古反対の姿勢を崩していない。三者の辺野古を巡る構図は変わらないままだ。」(政経部・福元大輔、東京報道部・大城大輔、北部報道部・城間陽介)
②「『辺野古を進める後押しになる』。小野寺五典防衛相は判決からわずか10分ほどの午後3時12分、記者団の前に姿を現し、勝訴をアピールした。だが、今回の訴訟は工事に岩礁破砕許可が必要か否かを問う裁判。新基地建設の是非そのものを問うものではない。小野寺氏も一度は『(米軍普天間飛行場の)辺野古移設についてお認めをいただいた』と発言したが、すぐに『これ自体が移設を認めたということではない』と訂正した。」
③「ただ、政府関係者は秋の知事選を見据え、こう語る。『経済界の呉屋守將氏(金秀グループ会長)がオール沖縄の共同代表を抜け、腹心の浦崎唯昭副知事が辞め、裁判でも負けた。翁長知事は、ますます厳しくなった」
④「判決を受け、再編交付金を受け取るため、新基地建設へ協力的な姿勢をにじませるのではないかとの臆測がとんだ渡具知氏のコメントは『あえて聞くまでもない』(与党市議)ほど、従来の域を出なかった。市議会で受け取るかどうかは『即答できない』と答弁するなど、慎重姿勢は以前よりも増している。」
⑤「市長を支える市議の一人は『裁判を注視すると言って当選した。それだけ複雑な民意に配慮している』と、早々に態度表明することはないとみる。再編交付金に慎重なのも『まだ副市長も決まっていない。議会の紛糾を避けるためではないか』と推し量る。」
⑥「『負けは負けでも無傷の負けだ』。法廷で判決を聞いた謝花喜一郎知事公室長は県は『無傷』との認識を示した。県から岩礁破砕の許可を得ずに工事を進めることが違法か、どうかの判断は下されていないからだ。県幹部は『中身が審理されていない以上、国が裁判の結果をたてに県の求めを“蹴る”ことはできない。県は繰り返し違法だと主張するだけだ』と、撤回の要件になる可能性も示唆する。先が見えない状況に変わりはないが、謝花氏は『まだまだわれわ れは国と争う。県の権限行使について否定されたわけではない』と強気の姿勢を示した。」


(6)沖縄タイムス-翁長知事「抑止力論」を否定 ワシントンで講演 辺野古移設再考促す-2018年3月14日 16:07


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「【ワシントン=大野亨恭】沖縄県名護市辺野古の新基地建設反対を訴え訪米中の翁長雄志知事は13日午前(日本時間13日深夜)、米ワシントンで開いたシンポジウムの基調講演で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に関し『本土が受け入れに反対するので、政治的に沖縄にしか置けないというのが理由だ』と述べ、日米両政府が主張する『抑止力論』を否定した。」
②「知事は、新基地建設に関し、『県民は反対しているが日米両政府は辺野古が唯一との立場を変えず移設工事を進めている』と指摘。安倍晋三首相が国会で、沖縄の基地負担が進まない理由を『移籍先の日本本土の理解が得られない』としたことに『大変残念だ』と強い不快感を示した。その上で、沖縄の基地負担軽減のために『現実的な解決策が示され、実行されることを望んでいる』と訴えた。また、日米両政府が辺野古新基地建設を強行すれば、『安定的な日米安保体制を構築するのが難しくなる』と述べ、日米両政府に再考を促した。このほか、知事は沖縄歴史や、基地形成過程、基地経済に依存しない好調な沖縄経済の現状などを紹介した。」
③「シンポには1996年に米軍普天間飛行場の全面返還が合意された当時の米国防長官のウィリアム・ペリー氏や元米政府高官のモートン・ハルペリン氏らが登壇する。」


(7)沖縄タイムス-辺野古新基地:全国から約200人、抗議の座り込み 午前中の資材搬入なし-2018年3月14日 13:09


 
 沖縄タイムスは、「沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前では13日午前、北海道や青森、埼玉、神奈川、京都、奈良、長崎など全国各地の平和運動団体や労働組合のメンバーら約200人が座り込み、新基地建設に抗議した。」、と報じた。
 また、「秋田から来た女性は『辺野古の新基地建設反対運動で日本の民主主義を守る』と意気込んでいた。午後0時半時点で、基地内への資材の搬入はない。一方、米軍キャンプ・シュワブ沿岸の『K2』護岸建設現場ではブロックの設置が進み、『K4』でも捨て石がショベルカーで敷き詰められる作業が確認された。」、と報じた。


(8)沖縄タイムス-「依然、深刻な状態だ」不正薬物密輸、沖縄で過去最多41件 大麻が2.5倍に-2018年3月14日 09:56


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄地区税関は13日までに、2017年に空港や港湾などで摘発した不正薬物の密輸が41件に上り、過去最多だったと発表した。大麻の摘発が前年と比べて約2・5倍に増え、全体を押し上げた。覚醒剤は件数・押収量ともに減少したが、2年連続でキロ単位の密輸を摘発しており、税関は『依然深刻な状況だ』と警戒感を強めている。」
②「最も摘発が多かった大麻は前年比12件増の20件。押収量89・88グラムで、約6・2倍に増えた。うち15件は航空旅客などの密輸。国際郵便物の利用も2件増の4件だった。税関は『危険ドラッグの取り締まりが厳しくなり、薬物常習者が大麻に回帰する状況が続いている可能性がある』とみる。」
③「覚醒剤は2件減の6件で押収量約1・9キロ。昨年12月には、那覇空港行きの航空機に乗り、南アフリカから覚醒剤約1・9キロを密輸しようとしたとして、ドイツ国籍の男が逮捕された。危険ドラッグなど指定薬物は前年と同数の3件だったが、押収量が増加。銃砲類の摘発・押収はなかった。」




by asyagi-df-2014 | 2018-03-14 17:03 | 沖縄から | Comments(0)

沖縄から-三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記第80回

沖縄の地で、体を張って新しい歴史を作ろうとしている人たちがいる。
そこには、その煌めきの記録を残そうとしているジャーナリストがいる。
だとしたら、その生きざまの瞬間を私たちは受け取る必要がある。
三上知恵の沖縄撮影日記。




 今回の三上さんの報告は、「軍隊とともに心中する覚悟がありますか? ~島に軍隊が来るということ」。
 三上さんは、最後に、元自衛官の井筒さんの訴えで今回の報告を閉めています。


「『島に軍隊を引き受けるということは、島民は軍と一緒に心中する覚悟があるということです。そのことを、政治家はちゃんと説明しましたか?』。元自衛官のこの言葉だけでも、石垣島の島民すべての耳に届けたい。」


 日本という国は、ここまで来ているのです。
 だとしたら。
 三上さんの80回目の報告は次のものです。


(1)島の運命を左右する、いえ、日本の「国防という名の戦争をめぐる政策」に大きくかかわる選挙が目白押しの沖縄。今度は石垣市長選挙だ。言うまでもない、自衛隊ミサイル部隊の配備が既定路線のように押し付けられていく島々で、石垣だけはまだ用地取得も済んでいない。奄美、宮古島ではすでに基地建設は着工された。2年前から駐屯開始している与那国島では、巨大な弾薬庫も完成して島の風景は音を立てて変わっていく。軍事要塞化が進む南西諸島にあって、最後の砦になっているのが石垣島なのだ。
(2)石垣市長選挙は3月4日公示、3月11日投開票。現職の中山義隆市長と元県議の砂川利勝候補の2人は自衛隊誘致派、一方自衛隊基地建設に反対する民主団体や政党が統一候補として推す宮良みさお候補の三つ巴の闘いになっている。しかし名護市長選のように、誘致派の二人も巧みに焦点をずらしている。中山市長は「市民とオープンな議論をしたい」と中立のような主張をしているが、この3年、オープンな議論は全くしてこなかった。砂川氏は自衛隊配備には賛成、しかし現計画である於茂登岳のふもとへの計画は白紙を求めるというもの。単純な自衛隊配備計画の賛否を問う形にはなっていないのが、悩ましい。
(3)自衛隊のこと、計画されているミサイル基地の役割、軍事問題に無縁だった市民にその是非の判断を迫るのは無理がある。しかしこの選挙で宮良氏が勝利しない限りは、石垣への自衛隊配備は決定的になるだろう。だからこそ選挙に臨む前に、配備の内容、目的、今の国防をめぐる常識、何よりも軍隊と同居するというのがどういうことなのか、基礎的な情報を知ったうえで投票してほしいので、今回は1月末に石垣島で行われた元自衛隊員の講演の様子を動画でアップした。石垣市民はとにかくこれを見てから判断してほしい。そして全国の皆さんも、たぶんこの講演内容には驚愕すると思う。
(4)石垣島での講演に招かれたのは、元陸自レンジャー隊員で、ベテランズ・フォー・ピース・ジャパン代表の井筒高雄さん。南西諸島の軍事利用には早くから警鐘を鳴らしてきた人物だ。
(5)井筒:有事の際、国民を保護するために自衛隊がいるのではないんです。国を守るために、あるいは自衛隊の基地を守んなきゃいけないんです。皆さんを守って自衛隊基地がやられてしまったら自衛隊は反撃できませんから。防御できませんから。みなさんを守らないんですよ? 自衛隊は基地を守るんですよ。国を守るんですよ。権力者を守るんですよ。
(6)いきなり核心の話だ。元自衛隊員に「戦争になったら自衛隊は国民を守らない」と言われてしまえば、面食らう人も多いだろう。私は今、7月公開予定の沖縄戦のドキュメンタリー映画の製作真っ最中だから、いかにして日本の軍隊が沖縄県民を守らなかったか、守れなかったかに日々向き合っている。もっと言えば秘密保持のために住民を殺してしまったり、お互いに殺し合う「自決」へ誘導したり、死の病が蔓延する地域に押し込めていった、その様相とがっぷり四つに映像を繋いでいるので、「軍隊は住民を守らない」、は、沖縄戦のどこを押しても飛び出してくる教訓だとスッと理解できる。でも、大方の国民は、自衛隊は別でしょ? あの時の日本軍と、今の自衛隊は、まさか別物でしょ? と思っている人が大多数だと思う。けれども、どうやら井筒さんの言うことが正しいのだ。もう少し聞いてみよう。
(7)井筒:避難計画は示されています? 国民保護計画はどのくらいの人がその存在を知っていますか? どこに逃げるんですか、この島の人たちは。説明受けましたか?
 有事になったら、皆さんは避難民として、安全な場所に逃がしてもらえるわけじゃないんです。自衛隊法103条を使って、業務従事命令とか、自衛隊に協力を求められるんですよ。こういう真実を防衛省はちゃんと説明しなきゃダメなんですよ。基地を押し付けるんだったら。
(8)自衛隊法103条は物資の収容、業務従事命令について定めている。つまり徴兵制なんか無くとも有事の際、私たちの国では国民が軍隊に力を貸さないといけないことにすでになっている。しかも、15年前の有事法制関連三法案が可決成立したときに恐ろしいことが決まっていたのを案外国民はスルーしているが、自衛隊の活動を円滑にするために私有地や家屋の強制使用も認めてしまった。病院、学校などの施設だけでなく、個人の住宅もだ。燃料、医薬品、食料の保管と収用も命じることができる。つまり、軍隊が優先して使うので、医薬品も食料も保管命令=使うな、収容=差し出せ、ということになる。これは、1944年に沖縄守備軍が入ってきて、学校は兵舎になり民家も提供し、やがて沖縄県民に餓死者が続出しても食料提供を民間に強制し続けた沖縄戦の姿とぴったり重なる。
(9)私は今、沖縄戦のマニュアルともいえるいくつもの大本営作成の「教令」を読み込んでいるのだが、例えば1944年に作られた「島嶼守備部隊戦闘教令(案)の説明」では、「第二十二 住民の利用」という項目がある。これは非常に恐ろしいことが書かれているので現代語で要約する。
(10)「第二十二 住民の利用」:島の戦闘は住民をいかに利用するかにかかっている。喜んで軍のために労働をさせ、あるいは警戒や(お互いの)監視の仕事をさせ、またどんどん食料の供出をさせ、最後は直接武器をとって戦闘させるまでに至らしめねばならない。不逞の分子に対しては断固たる処置(スパイは処刑)を講じなければならない
(11)この方針のもとに沖縄戦は闘われたのだが、同じ内容はその後に出される教令にも引き継がれ、本土決戦のマニュアルとして書かれた「国土決戦教令」にまで引き継がれていく。つまり、沖縄や南の島だからこんな酷いマニュアルを作ったんでしょ、と本土の方々は思いたいだろうが、事実は違った。本土の私たちはもっと大事に守られるはずよ、と思っている人がいるとしたら残念ながらそれは勘違いだ。それが73年前の陸軍の、全国の住民に対するスタンスであったし、恐ろしいことにそれは現在と何ら変わってないのではと思える。
(12)井筒:戦争の基本をお伝えしますね。戦争になったら軍人より多く死ぬのはその地域に暮らす国民です。市民です。場所が日本であるかどうか、関係ないです。戦争当事国の普通の市民の方が、兵士、自衛隊員より多く死ぬ。この現実をしっかり認識すべきです。
(13)ここに面白い資料がある。戦争による被害者の、軍人民間人の割合は時代とともに明らかに変わっているのだ。①第一次世界大戦は軍人の被害が95%で民間人は5%、②第二次世界大戦では軍人の被害52%で民間人が48%、③朝鮮戦争では軍人の被害15%で民間人が85%、④ベトナム戦争では軍人被害がたったの5%で95%は民間人の犠牲だ。つまり昔は兵隊が死ぬのが戦争だったが、今はいかに自国軍の兵士を守りながら戦うかを重視した戦法、兵器にシフトしているということだ。対中国戦略の中で「先島戦争」が想定されていて、日米のシミュレーションがどうなっているのかわからないが、公にされている「離島奪還訓練」からわかることもある。日本版海兵隊「水陸機動団」が、いよいよ今月27日に正式発足する。かれらが一生懸命アメリカ海兵隊とともに訓練してきた「離島奪還作戦」は、敵に制圧されてしまった日本の島(有人島を想定)に十分な空爆を加えてから水陸機動団が上陸して奪還するわけだから、その局面だけを見ても、自衛隊員より島に残ってしまった民間人の死者の方がはるかに多くなるだろう。
(14)井筒:現実を見ると、もう皆さんかわいそうだとしか言いようがないんです。だって「離島奪還」なんですよ? 離島奪還というのはどういうことですか? 皆さんは守られないんですよ。一回占領されちゃいますよ、といってるんです。皆さんが人質になるのか、収容所に入れられるのか、はたまたその国に持っていかれちゃうのか。そりゃわかりません。そのあとに、離島奪還しますよ、自衛隊が、と。そのとばっちりに、皆さんは人身御供というか、日本列島、本土を守るための防波堤ですよ、与那国も石垣も宮古も。だってここ、離島奪還するんですもん全部。作戦で。みなさんを守るんじゃないんです。皆さんは、とられちゃうんです。とられちゃったのをとり返すという戦略を一生懸命練っているんですよ。それが先島の自衛隊配備の実態ですからね。勘違いしないでくださいよ。災害派遣のために来るんじゃないんですよ。
(15)また、私たちは今度の映画で「スパイ虐殺(沖縄県民をスパイ容疑で虐殺したこと)」の実態を今につながる恐怖として明らかにしようとしているのだが、井筒さんは、自衛隊がいるところには必ず情報保全隊が来る、と話している。いわゆる情報部隊だ。自衛隊基地内の監視も、基地の外に住む住民の監視も、軍隊では重要な任務である。もちろん彼らは「住民をスパイするために来ました」という顔はせずに、地域の祭りに、学校行事に、会合に入ってくる。そして住民をきちんと選別するという。賛成してるか反対してるか。自衛隊を敵視する住民をマークしなければ安心して作戦を遂行できない。彼らは「敵」と通じる可能性が高いというわけである。
(16)そうやって沖縄戦の前後(地上戦になる前から、また6月23日のあとにも)に罪もない沖縄県民が大勢虐殺されていった事実がある。情報保全を担当する自衛官が島中を歩いて監視する、島民が情報収集の対象になるという島になっていいのか。この動きは軍隊が駐留する前から始まっていく。そして恐ろしい社会の変化をもたらす。
(17)井筒:いいですか? 戦争するときは「差別」をしないといけないんですよ。自分たちの味方じゃない人は攻撃対象なんです。自衛隊員も本音と職務のはざまで苛まれています。私もそうでした。任務を遂行しなければいけないんですよ自衛隊員は。情報収集で、街は変わります。島の文化も変わります。皆さんが頑張れるか、頑張れないかです。
(18)この講演を井筒さんはこう締めくくりました。
(19)井筒:最後に、自由に発言できる石垣島を私は守るべきだと思います。自由に発言できるかできないか。自衛隊が街に入ってきて町会に入ってきて、行事に入ってきて、言いたいことも言えなくなる。それは健全な民主主義社会とは私は言えないと思う。
(20)自衛隊出身者がここまで言うのは、私はとても勇気がいることだと思う。井筒さんは翌日、日本軍の強制移住命令のためにマラリアで苦しんで死んでいった3600人余りが祀られている戦争マラリアの慰霊碑の前に立った。初めてではなかった。そして「なぜこの人たちが死ななければならなかったのか。また同じようなことがこの島で起きたら、犠牲者のみなさんに申し訳がない」と言って男泣きに泣いた。私は、沖縄戦の地獄を経験した心ある軍人たちの呻きが、井筒さんの体をとおして嗚咽となり、2018年を生きる私たちに最後のメッセージを発しているように思えた。
(21)「島に軍隊を引き受けるということは、島民は軍と一緒に心中する覚悟があるということです。そのことを、政治家はちゃんと説明しましたか?」。元自衛官のこの言葉だけでも、石垣島の島民すべての耳に届けたい。


 確かに、井筒高雄さんの「戦争の基本をお伝えしますね。戦争になったら軍人より多く死ぬのはその地域に暮らす国民です。市民です。場所が日本であるかどうか、関係ないです。戦争当事国の普通の市民の方が、兵士、自衛隊員より多く死ぬ。この現実をしっかり認識すべきです。」、ということを肝に銘じます。
 「①第一次世界大戦は軍人の被害が95%で民間人は5%、②第二次世界大戦では軍人の被害52%で民間人が48%、③朝鮮戦争では軍人の被害15%で民間人が85%、④ベトナム戦争では軍人被害がたったの5%で95%は民間人の犠牲だ。つまり昔は兵隊が死ぬのが戦争だったが、今はいかに自国軍の兵士を守りながら戦うかを重視した戦法、兵器にシフトしているということだ。」、との三上さんの指摘とともに。






by asyagi-df-2014 | 2018-03-14 07:19 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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