2018年 03月 05日 ( 3 )

沖縄-辺野古- 高江から-2018年3月5日

 「米軍キャンプ・シュワブゲート前では4日、『さんしんの日』のイベントが開催された読谷村文化センターからのラジオ中継に合わせて、正午ちょうどに20人余りが『かぎやで風』を演奏した。市民約150人が集まり、三線の音色に耳を澄ませた。」、と沖縄タイムス。
「文化を権力でつぶすことはできない。三線の文化をよりどころにしながら基地建設阻止の闘いを続けたい」「基地建設阻止を諦めない。三線文化は外からの圧力に対する大きなエネルギーを秘めていると思う」、との声が沖縄のこころを奏でる。




 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2018年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。
 2018年3月5日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-市民、賛否ぶつけ合う 陸自弾薬庫で説明会 宮古島市-2018年3月5日 05:00


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【宮古島】宮古島市への陸上自衛隊配備で市城辺の保良鉱山に弾薬庫の配備を計画している防衛省は4日、全市民を対象に住民説明会を市中央公民館で開いた。約140人が参加した。防衛省は地対空・地対艦ミサイルを保管する弾薬庫施設の安全対策を強調し、配備に理解を求めた。反対する市民は、集落が近隣から近く『有事の際に攻撃を受ける可能性がある』と懸念を示した。賛成の市民は配備が抑止力になり、また地域活性化にもつながると主張した。それぞれが意見をぶつけ合い、一時騒然となる場面もあった。」
②「施設の説明をした防衛省の米山栄一施設計画課長は『弾薬庫の安全性については自信を持っている。万全の措置を取らせてもらう』と強調した。」
③「鉱山から約250メートルの距離に住むという女性は『保良鉱山を所有する会社は別の場所にも鉱山を開発している。その周辺に住民は住んでいない。なぜ住民が近くに住む保良でなければならないのか』と訴えた。」
④「下地島に自衛隊を誘致する活動をする仲間頼信さん=市伊良部=は『(自衛隊の)抑止力はぜひ必要だ。保良の人と条件整備をして双方が納得できるようにしてほしい』と述べ、過疎化が進む集落近くに自衛隊宿舎を造ることを提案した。」
⑤「賛否双方の主張にヤジや怒号が飛ぶ場面もあった。中立の立場という男性は『小さな島で賛成派と反対派で目を血走らせて闘っているのが残念』と双方に冷静になることを呼び掛けた。防衛省が終了を宣言した後、全ての質問に答えていないとして、防衛省職員に詰め寄る市民もいた。」


(2)沖縄タイムス-三線が奏でる平和の音色 辺野古ゲート前でも「さんしんの日」-2018年3月5日 08:56


 沖縄タイムスは、「米軍キャンプ・シュワブゲート前では4日、『さんしんの日』のイベントが開催された読谷村文化センターからのラジオ中継に合わせて、正午ちょうどに20人余りが『かぎやで風』を演奏した。市民約150人が集まり、三線の音色に耳を澄ませた。毎年3月4日にゲート前でかぎやで風を踊る女性(71)=沖縄市=は『文化を権力でつぶすことはできない。三線の文化をよりどころにしながら基地建設阻止の闘いを続けたい』と話した。三線を弾き始めて20年ほどになる67歳の女性=那覇市=は『基地建設阻止を諦めない。三線文化は外からの圧力に対する大きなエネルギーを秘めていると思う』と語った。」、と報じた。


(3)沖縄タイムス-原爆と地上戦、核兵器廃絶と基地排除 広島の大学生ら、沖縄戦跡歩き平和考える-2018年3月5日 05:50


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「広島経済大学の岡本貞雄教授のゼミの学生や県内大学生ら約50人が1日から、沖縄戦跡を歩く『オキナワを歩く』を行っている。今年で12回目。3日は大雨の中、名護市の北部病院から本部町の八重岳野戦病院跡まで約12キロを歩いて戦争体験者の話を聞き、黙とうをささげ、それぞれの平和を考えた。」
②「野戦病院跡では元女子学徒隊員の上原米子さん(91)や、元鉄血勤皇隊員の大城幸夫さん(89)から当時の体験を聞いた。上原さんは『生きて話ができる私は幸運。みなさんが悲惨な目に遭わないように語り継ぐし、みなさんも周りの人と話をしてほしい』と訴えた。」
③「参加した香田峻也さん(3年)は『沖縄と広島の戦争の違いを考えながら歩いた』と感想。『原爆が落ちた広島は核兵器廃絶に向かったが、地上戦を経験した沖縄は基地排除に向かった。亡くなった若い命を考えると、自分も恥ずかしくない、後悔しない生き方をしたい』と語った。」
④「河野裕次さん(同)は『過酷な体験を学び、命の尊さを考えた。戦跡巡りも生きているから、健康だからこそできることに感謝したい』と表情を引き締めた。」
⑤「一行は4日、那覇市首里金城町の養秀会館で沖縄国際大の学生と『今に続く戦争』について議論。広島経大の学生が制作したドキュメンタリー映画『眼差まなざし ヒロシマから沖縄へ』も上映された。5日は県庁を訪れ、元白梅学徒隊の中山きくさんについて同ゼミが制作したDVDを県内全ての中学、高校に贈呈する。」


(4)沖縄タイムス-辺野古サンゴ採捕許可、国が再申請へ 県は延長不許可通知【深掘り】-2018年3月5日 06:00


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局が変更申請していた『オキナワハマサンゴ』の特別採捕許可を県が不許可としたことに対し、防衛局は2日、早ければ月内にも環境監視等委員会を開き、委員の議論を踏まえて許可を再び申請する方針を固めた。県は同日、不許可を通知する文書を防衛局に提出した。県がサンゴの特別採捕許可で不許可の通知を出すのは初めて。」
②「オキナワハマサンゴ1群体の特別採捕許可を巡っては、県が2月16日に許可したが、サンゴに『食害』の跡が見つかったことが発覚。県は『傷が食害か物理的な衝撃によるものか判断が困難』と指摘し、移植は環境監視等委員会の助言を受け慎重に検討すべきだと求めていた。これに対し防衛局は、期限を4月30日まで延長する変更申請を県に提出した。」
③「県は不許可の理由を『2カ月間の延長の妥当性について判断できない』と説明。改めて環境監視等委員会の指導や助言を踏まえた対応を求めている。防衛局は『県の許可を得た上で、環境に十分配慮しながら移植に向けて適切に対応する』とコメントした。」
④「防衛局は、2月に開かれた第12回環境監視等委員会で、委員に対し『繁殖期前の4月末までに移植することを想定している』と報告しており、許可申請を急ぐ構えだ。また、防衛局は同日、オキナワハマサンゴとヒメサンゴ計9群体の移植を求めて県に新たな特別採捕許可を申請した。」


(5)琉球新報-1時間以上かけて資材搬入 辺野古、波高く海上抗議は中断-2018年3月5日 14:56


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で5日午後1時25分までに、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブでは2回の資材搬入が行われた。」
②「午前11時46分すぎに行われた2回目の搬入では、約30分かけて座り込む市民を機動隊が強制的に移動させた後、1時間以上にわたり砕石などを積んだトラックがゲートから基地内に出入りした。」
③「米軍キャンプ・シュワブ沿岸ではショベルカーが砕石をならす作業が確認された。海上での抗議は波が高いことから、午前9時すぎに終了した。」


(6)沖縄タイムス-「おかしいと言う権利ある」 辺野古ゲート前、新基地建設に抗議-2018年3月5日 14:03


 沖縄タイムスは、「沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前では5日、新基地建設に反対する市民が座り込み抗議を続いた。午前11時50分ごろから市民約60人を機動隊が強制排除。市民が『おかしいことはおかしいと言う権利がある』などと抗議する中、午後1時半ごろまでにゲート内に工事用車両約90台が入った。」、と報じた。
 また、「午前9時ごろ、辺野古崎西側の『K2』護岸建設現場では、海に投下された石材をショベルカーが押し固める作業が確認された。波が高いため、新基地建設に反対する市民らは船の上から抗議した。」、と報じた。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-05 17:43 | 沖縄から | Comments(0)

日本の労働法制は労働者の命を守れない。違法適用の裁量労働の社員が、過労自殺。

 毎日新聞は2018年3月5日、表題について次のように報じた。


(1)「裁量労働制を違法に適用したとして厚生労働省東京労働局から特別指導を受けた不動産大手「野村不動産」(東京)の50代の男性社員が過労自殺し、労災認定されていたことが関係者への取材で明らかになった。男性も裁量労働制を違法適用されていたという。」
(2)「政府は今国会に提出を予定する働き方改革関連法案から裁量労働制の対象拡大を削除し、来年以降に提出を先送りする考えだが、現行の制度でも過労死が防げていない実態が判明した。」


 また、この男性社員の労災認定について次のように報じた。


(1)「関係者によると、男性は東京本社に勤務し、個人が所有する住宅を賃貸する業務を担当していたが、2016年9月に自殺した。顧客などへの対応に追われて長時間労働が続いており、残業が月180時間を超えることもあったという。遺族が労災申請し、昨年12月に労災と認定された。」
(2)「野村不動産は当時、会社の中枢で企画立案をする人に限り適用できる企画業務型裁量労働制を、社員約1900人のうち約600人に適用し、男性もその一人だった。東京労働局は昨年12月、裁量労働制を適用した社員に営業など対象外の業務をさせたとして、同社の宮嶋誠一社長に是正を求める特別指導をしたと発表した。ただ、社員の労災認定は明らかにしていない。」
(3)「野村不動産は今年4月から裁量労働制を廃止する方針。安倍晋三首相や加藤勝信厚労相は今国会での答弁で、同社への特別指導を裁量労働制の違法適用を取り締まった事例として挙げている。」


 さらに、この事例に合わせて、「『高プロ』も乱用の懸念」、と続けた。

(1)「裁量労働制は実際の労働時間ではなく、あらかじめ決めた『みなし労働時間』に基づいて残業代込みの賃金が支払われる。このため労働時間管理が甘くなり、過労死遺族から『長時間労働につながる恐れがある』という声が上がっていた。野村不動産のケースのように、違法適用されても外部からのチェックが難しい面もあるとされる。」
(2)「こうした懸念は、政府が働き方改革関連法案に盛り込む予定の『高度プロフェッショナル制度』(高プロ)にも共通している。高プロは年収が1075万円以上の一部専門職を労働時間規制の対象から外す制度で残業代が支払われなくなる。年104日の休日を取得させるなど健康確保措置も企業に義務付けられるが、他の日は長時間労働をさせても違法ではない。制度が乱用される懸念は残る。」
(3)「安倍晋三首相は今国会の答弁で、『時間ではなく成果で評価される働き方を労働者が自ら選択できる』と高プロを創設する意義を強調している。一方、野党は『高プロは【スーパー裁量労働制】。根っこは一緒だ』と批判を強めており、政府に法案から高プロを外すよう求めている。」
【古関俊樹】




by asyagi-df-2014 | 2018-03-05 12:33 | 書くことから-労働 | Comments(0)

安倍晋三政権の働き方改革-裁量労働制削除-を考える。

 東京新聞は2018年3月1日、表題に関連して次のように報じた。


(1)「安倍晋三首相は一日の参院予算委員会で、今国会に提出予定の『働き方』関連法案から裁量労働制の対象を拡大する部分を削除すると正式表明した。高収入の専門職を労働時間規制から外す『高度プロフェッショナル(残業代ゼロ)制度』創設については『予定通り今国会に提出する法案に盛り込む』と強調した。民進党の大塚耕平代表への答弁。」
(2)「首相は裁量労働制を巡る厚生労働省のデータに多数の不備があったことについて『精査せざるを得なくなったことを重く受け止めている』と表明。実態把握に努めるとともに、裁量労働制の対象拡大部分を法案から『全面削除する』と語った。」
(3)「大塚氏は、法案に含まれる残業時間の罰則付き上限規制や非正規労働者の待遇改善を図る『同一労働同一賃金』について『われわれも賛成だ』と指摘。長時間労働につながるとの批判がある残業代ゼロ制度も関連法案から削除すれば『前向きに審議に応じられる』と迫った。」
(4)「これに対し首相は『柔軟な働き方を可能にし、生産性の向上にもつながる』と拒否。残業規制と『同一労働同一賃金』、残業代ゼロ制度創設を一括して提出する考えを示した。」
(5)「残業代ゼロ制度を巡っては、立憲民主、希望、民進、共産、自由、社民の野党六党の国対委員長は国会内で会談し、関連法案から切り離すべきだとの認識で一致。立憲民主党の辻元清美国対委員長が一日、自民党の森山裕国対委員長と国会内で会談し、切り離しを求めた。公明党の山口那津男代表は一日の党中央幹事会で、関連法案から裁量労働制の対象拡大を削除するとした首相の判断について『大きな決断だ』と評価。関連法案について、残業代ゼロ制度も含めて『大改革を成し遂げていく政府、与党の意思は変わりはない』と成立に向けて努力する意向を強調した。菅義偉(すがよしひで)官房長官は一日午前の記者会見で、裁量労働制の対象拡大部分を削除した関連法案の国会提出時期について『速やかに(与党と)調整し次第、対応する』と話した。」
(6)「<残業代ゼロ制度> 専門的な業務を行う事務職を対象に、労働時間の規制を外す制度。導入されれば、残業時間や休日・深夜の割増賃金が一切支払われなくなるため、長時間労働につながるとの懸念がある。現在検討中の法案では、対象者は年収1075万円以上で、金融ディーラーや研究開発職などの専門職に限られている。導入には本人の同意が必要。裁量労働制は労働時間の規制は残した上で、実際に働いた時間に関係なく、あらかじめ労使で決めた時間を働いたとみなす制度。」


 こうした安倍晋三政権の動きに対して、2018年3月2日には、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、日本経済新聞、東京新聞が、その社説でこのことについて論評した。
 この社説をもとに、表題について考える。
 まずは、それぞれの社説の題目は次のようになっている。
まあ、いつものように、朝日・毎日・東京対読売・日経というかたちである。この違いは、どこにその軸足を置くのかということから起こる。それは、「高プロ」制度を、「脱時間給」制度の創設として捉えるかどうかとして、端的に表れる。


①朝日新聞社説-働き方改革 「高プロ」制度も削除を
②毎日新聞社説-裁量労働拡大を今国会断念 元々「一括」が無理だった
③東京新聞社説-裁量労働制 断念で幕引きとするな
④読売新聞社説-裁量労働制断念 冷静に審議できる環境整えよ
⑤日本経済新聞社説-裁量労働拡大をいつまで先送りするのか


 この五社の社説の必要な部分をを要約する。


Ⅰ.『高プロ』をどのように捉えているのか


(朝日新聞)
(1)「納得できない。高プロも法案から削除して出直すべきだ。働き過ぎに歯止めをか ける規制の強化こそ急がねばならない。裁量労働制を削除する理由について、首相は『国民が(政策立案に使われた労働実態調査の)データに疑念を抱く結果になった』と語った。しかし、問われているのは単なるデータの問題ではない。規制を緩めて企業が残業代の支払い義務を免れると、歯止めがなくなって長時間労働が横行するのではないか。その懸念と不安に政府が答えられていないことが問題の根本だ。その構図は今も変わっていない。」
(2)「働き方改革法案の本来の目的は、残業時間に上限を設け、長時間労働を是正することだ。その規制強化が及ばないのが、裁量労働制と高プロである。」
(3)「裁量労働制では、実際の労働時間に関係なくあらかじめ定めた時間を働いたとみなし、その時間分の残業代しか出ない。高プロは、専門職で高年収の人を規制の外に置く。深夜・休日の割増賃金もなく、裁量労働以上に長時間労働につながる懸念は大きい。」
(4)「二つの制度では働く時間を自由に決められると、首相は今も利点を強調する。だが、多くの職場では仕事の量を自分で決められないのが実態だ。裁量労働では仕事の時間配分を具体的に指示してはいけないが、守られていない例が少なくない。高プロには指示を禁じる規定すらない。」
(5)「一連の規制緩和策は、安倍政権が成長戦略の一環として方針を決め、厚生労働省の審議会が追認してきたのが実情だ。審議会では労働側の反対意見を押し切って結論が出され、議論が尽くされたとは言い難い。」


(毎日新聞)
(1)「首相は、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す『高度プロフェッショナル(高プロ)』制度の創設は外さず、残業時間規制などと抱き合わせにした法案を今国会に提出する考えを変えていない。」
(2)「『高プロ』は裁量労働制と同様、経営者側の長年の要望を受けた制度で、首相は従来、これらを一体として改革することが『企業の生産性向上につながる』と力説してきた。」


(東京新聞)
(1)「政府は、労働時間規制から外す働き方で『残業代ゼロで働かせ放題になる』と批判のある高度プロフェッショナル制度(高プロ)の創設は法案に盛り込む方針だ。首相は一日の国会で『柔軟な働き方を可能とし、生産性の向上につながっていく』と意義を強調した。」
(2)「だが、労働者自身に働き方を決められる裁量がほとんどないのが実態ではないか。長時間労働が助長され過労死が増えると批判される点では、裁量労働制と同じだ。高プロ創設も法案から切り離し再考する必要がある。」


(読売新聞)
(1)「野党は、脱時間給制度についても『過労死を誘発する大改悪』などと批判している。不安をいたずらにあおるような決めつけは不毛だ。具体的な対案を提示し、建設的な論戦を挑んでもらいたい。」
(2)「野党の『長時間労働を助長する』との批判は一面的過ぎる。」


(日本経済新聞)
(1)「社会のこうした変化に備える改革が、裁量労働拡大であり、成果をもとに賃金を払う『脱時間給』制度の創設である。裁量労働の拡大では、法人顧客への提案業務をともなう営業職などが新たに対象になる。一部の専門職などに限られている対象者が広がる。最初の法案が提出されてからこの4月で丸3年になる。日本の成長力の底上げを考えるなら、裁量労働制の拡大をこれ以上、先延ばしする時間は本当はない。法案に残す脱時間給制度の新設は政府が意義を十分に説く必要がある。」
(2)「今回の国会論議の混乱は首相が不備なデータをもとに裁量労働制が労働時間の短縮につながるかのような答弁したことに端を発している。政府内には裁量労働の拡大について、実態を把握し直さない限り推し進めないとの声がある。しかし、そもそも裁量労働制は、働く時間の短縮を目的とした制度ではない。厚生労働省の労働政策審議会はこれまで相当の時間をかけて議論してきた。国会審議の先延ばしは日本の生産性の低迷を長引かせるだけだ。」


Ⅱ.一括法案という手法について


(毎日新聞)
(1)「そもそも経営者側が求める規制緩和と、労働者側の視点に立った残業規制を抱き合わせて一括法案にすること自体に無理がある。今回はその矛盾が表れただけである。」(2)「一括法案に野党が反対すれば『野党は残業規制にも反対した」とアピールできる。そんな狙いもあるはずだ。やはり、一つ一つ法案を切り離し国会で丁寧に検討すべきだ


(東京新聞)
(1)「関連法案は、多岐にわたる制度変更を盛り込んだ八本の法案を一本に束ねる。個々に議論を重ねるべき重要な制度が多い中で、一括して法案を通そうとする安倍政権の姿勢は乱暴にすぎる。」


Ⅲ.その他の主張

(朝日新聞)
(1)「一連の規制緩和策は、安倍政権が成長戦略の一環として方針を決め、厚生労働省の審議会が追認してきたのが実情だ。審議会では労働側の反対意見を押し切って結論が出され、議論が尽くされたとは言い難い。」
(2)「都合の良いデータだけを見て、批判や異論に耳を傾けない。国会審議の混乱は、結論ありきで突き進む政権の体質が生んだと言えるだろう。首相の姿勢が問われている。そのことを自覚すべきだ。」


(毎日新聞)
(1)「遅すぎた決断と言うべきだろう。」
(2)「ただしこれで一件落着ではない。この問題は、首相が1月末の国会で、野党の懸念に反論するため『裁量労働制で働く人の労働時間は一般労働者より短いというデータもある』と自ら持ち出したのが始まりだ。首相は再度実態を調査し、裁量労働制部分は今国会後、改めて提出する意向だという。しかし、まず必要なのは、なぜずさんな調査となったかの検証だ。厚労省が言うように単なるミスだったのか。『裁量労働制は長時間労働につながらない』という結論を導き出す意図が最初からあったのか。公正さという政治の根幹に関わる疑問は消えていない。」
(3)「首相が削除を表明したのは新年度予算案が衆院を通過し、年度内の成立が確実になった直後だ。国会はこの1カ月、データ問題に集中した。もっと早く決断していれば、北朝鮮問題など他の課題にも審議時間を割けたはずだ。その責任も大きい。」


(東京新聞)
(1)「『国民に疑念を抱かせた』。首相は、裁量労働制部分の法案からの削除についてこう述べた。今国会への提出も断念する。発言はその通りである。しかし、疑念は一向に解消していない。一般の労働者よりこの制度で働く人の労働時間が短いとの不適切な比較データをなぜ厚生労働省が作成したのか。どんな意図で誰の指示があったのか。この制度による働き方についてどう考えているのか。政府は、この疑問に依然として十分に答えていない。首相は国会で『きっちり実態把握をしない限り、政府全体として前に進めない』と制度に対する新たな調査を行う意向を示した。ならば、政府内でのデータ作成の経緯も調査し公表すべきだ。」
(2)「対象業務の拡大は経済界が求めており、官邸主導で議論が進められた。政策の方向を決めてから厚労省の労働政策審議会に諮られた経緯がある。労政審には今回問題となった比較データが提供されたわけではない。逆に議論に必要な情報が十分に提供されていたのか疑問も残る。」
(3)「裁量労働制は、あらかじめ労使で労働時間と賃金を決める働き方だ。ブラック企業が悪用し長く働かせるケースが問題化している。国会ではこうした問題点や対策の議論こそ求められている。」
(4)「働き方は多くの人の生活に影響する。しかも二つの制度は働く人の命と健康に深くかかわる。政府はその重みをかみしめるべきだ。」


(読売新聞)
(1)「法案の根拠となるデータに不備があった以上、今国会成立を断念したのはやむを得まい。政府は、早急に態勢を立て直さなければならない。」
(2)「政府は3月中にも働き方改革関連法案を国会に提出する。残業時間の上限規制、正規と非正規の待遇差を是正する同一労働同一賃金、高収入の専門職を労働時間規制から外す脱時間給制度の創設などを盛り込む方針だ。首相は今国会を『働き方改革国会』と位置づける。労働力人口が減少する中、働きやすい環境を整え、生産性向上につなげることが重要である。政府は、客観的かつ正確な資料を用意し、冷静な議論に資することが必要だ。」


(日本経済新聞)
(1)「柔軟に働くための労働時間制度の改革を、後退させてはならない。仕事の進め方や時間配分を働き手自身が決められる裁量労働制の対象業務の拡大は、できるだけ早く実現すべきだ。」
(2)「安倍晋三首相は裁量労働制をめぐる不適切データ問題を受けて、働き方改革関連法案から同制度に関する部分を切り離し、今国会への提出を断念する方針を決めた。だが対象業務の拡大を先送りすればするほど、働き方改革の眼目である労働生産性の向上は進みにくくなる。柔軟に働ける制度の意義を政府は認識し直してほしい。」
(3)「国会での裁量労働制の論議が不適切な調査データの問題にばかりとらわれているのは、おかしなことだ。時代の変化に合わせた労働法制のあり方をどう考えるか、という本質的な議論にこそ力を入れるべきではないか。」
(4)「時間をかけて働くほど賃金が増える現在の制度には、働き手自身の生産性向上への意識が高まりにくいという問題がある。戦後、長く続いてきた仕組みだが、国際的にみて低い日本のホワイトカラーの生産性を上げるには制度の見直しが不可欠だ。」
(5)「グローバル競争がさらに激しくなり、人工知能(AI)が普及すれば、生産性の低いホワイトカラーは失職する恐れもあるだろう。」


 表題を受けて、今、確認しなければならないのは、次のことである。


Ⅰ.働き方改革法案の本来の目的は、残業時間に上限を設け、長時間労働を是正することと捉えなければならない。
Ⅱ.長時間労働の規制強化が及ばないのが、裁量労働制と「高プロ」である。
Ⅲ.経営者側が求める規制緩和と、労働者側の視点に立った残業規制を抱き合わせて一括法案にすること自体に無理がある。当然、一つ一つ法案を切り離し国会で丁寧に検討しなければならない。
Ⅳ.今回の一括法案という手法は、野党が反対すれば『野党は残業規制にも反対した」と理由付けができるという、安倍晋三政権の意図が見えるものである。
Ⅴ.安倍晋三政権は、「高プロ」について、「柔軟な働き方を可能とし、生産性の向上につながっていく」とするが、日本の労働現場の現状は、労働者自身に働き方を決められる裁量がほとんどないのが実態である。したがって、「高プロ」の導入は、長時間労働を助長し、過労死を増えすものでしかない。


 最後に、押さえておかなければならないのは、「働き方は多くの人の生活に影響する。しかも二つの制度は働く人の命と健康に深くかかわる。政府はその重みをかみしめるべきだ。」(東京新聞)、ということだ。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-05 06:50 | 書くことから-労働 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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