2018年 02月 08日 ( 2 )

沖縄-辺野古 高江から-2018年2月8日

 稲嶺進さんの人となりを表すこと。
「【名護】任期満了を迎えた稲嶺進名護市長の退任式が2月7日、市役所で開かれた。退任あいさつで稲嶺さんは『一つだけ心残りと懸念が心の重しとしてのしかかっている。それが辺野古移設問題だ。新基地建設は百害あって一利なしとの判断に立ち、子の未来のためにも、名護市のためにも新基地建設は許してはならないとの思いは全く変わらない』と語り、今後も一人の市民として同問題に関わっていくことを誓った。」
(琉球新報)。
「手が届かない所にあるブドウをキツネがどうせ酸っぱいと思い込むイソップ寓話(ぐうわ)を引用。『自分の意思や外からの圧力で現実に対する認識をねじ曲げ、行動を正当化する。心したいものだと思う』と、目標を高く持ち続けることを説いた。」
(沖縄タイムス)。
 稲嶺さんは市民とともに歴史を動かした人。
 でも、本当にすごいのは、「前日に退任した前名護市長の稲嶺進さんも姿を見せ『8年間、たくさんの応援を頂いた』と感謝を述べた。『現場から民主主義や地方自治が発せられる意味は大きい。立場は変わったが思いは同じだ。ともに頑張りましょう』とあいさつ。」(沖縄タイムス)、ということ。




 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2018年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。
 2018年2月8日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-「稲嶺さん、ありがとう」 名護市長退任 市民ら胴上げ-2018年2月8日 05:00


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「【名護】任期満了を迎えた稲嶺進名護市長の退任式が2月7日、市役所で開かれた。退任あいさつで稲嶺さんは『一つだけ心残りと懸念が心の重しとしてのしかかっている。それが辺野古移設問題だ。新基地建設は百害あって一利なしとの判断に立ち、子の未来のためにも、名護市のためにも新基地建設は許してはならないとの思いは全く変わらない』と語り、今後も一人の市民として同問題に関わっていくことを誓った。」
②「市役所には2期8年の最後を見届けようと400人を超える市民が駆け付け、花道を作った。市民は涙で目を真っ赤にし、稲嶺さんに『ありがとう。ご苦労さま』と言葉を掛けた。花道の最後には市民による胴上げも行われ、稲嶺さんは4度、高らかに空を舞い、笑顔で市役所を後にした。山里将雄副市長と座間味法子教育長も同日付で退任した。」
③「稲嶺さんは、基地問題について『20年にわたり国策の下で市民は翻弄(ほんろう)されてきた。なぜ、こんなに小さな町で国策の判断を市民が求められるのか。いつまで続くんだろうと思うと心が痛い』と時折、言葉を詰まらせながら苦悩の日々を語った。」
④「退任式に駆け付けた市民は市役所の外にまであふれた。涙交じりに『ありがとう』と口にしながら花道を進む稲嶺さんに次々と駆け寄り、『進さんのおかげで安心して暮らせた』『ご苦労さまでした。あなたを忘れません』などと感謝やねぎらいの言葉を掛けたり、花束を贈ったりしていた。」
⑤「市長選で稲嶺さんに投票したという学生の金城彩花さん(29)は、今後も一市民として基地建設阻止を訴えていくという稲嶺さんの姿勢に『これからも頑張ってほしい』と期待を込めた。」


(2)沖縄タイムス-国策に翻弄された20年「本当に心が痛い」 稲嶺氏、名護市長を退任-2018年2月8日 07:53


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄県名護市長選で落選した現職の稲嶺進氏が7日、退任した。職員や支持者500人以上を前に最後のあいさつに臨み、辺野古新基地建設問題について『20年にわたって分断と対立、国策という名の下で市民は翻弄(ほんろう)されてきた。いつまで続くのだろう、と本当に心が痛い』と語った。」
②「8日には渡具知武豊氏が新市長に就任する。稲嶺氏は『公約として掲げた海兵隊の県外、国外移転を日米両政府に強く求めてほしい』と望んだ。また、手が届かない所にあるブドウをキツネがどうせ酸っぱいと思い込むイソップ寓話(ぐうわ)を引用。『自分の意思や外からの圧力で現実に対する認識をねじ曲げ、行動を正当化する。心したいものだと思う』と、目標を高く持ち続けることを説いた。」
③「この日も朝から自宅近くで小学生の登校を見守る日課の交通安全指導を実施。節目にいつも身に着ける故岸本建男元市長の形見のネクタイで退任式に出席した。職員と市民ら多数から『ありがとう』などの言葉と花束を受け取った。」
④「山里将雄副市長、座間味法子教育長も辞表を出し7日付で退任、空席となった。」


(3)琉球新報-再編交付金「遡及する制度ない」 防衛相、名護への交付で答弁 希望は「二重払い」問題視-2018年2月8日 06:45


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「小野寺五典防衛相は7日の衆院予算委員会で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設の進展に応じて支給される再編交付金を巡り、遡及(そきゅう)して交付するかを問われ『過去にさかのぼって交付する制度になっていない』と否定した。質問した後藤祐一氏(希望)は、再編交付金が再開すれば久辺3区への補助金『再編関連特別地域支援事業』との『二重払い』になると指摘した。」
②「防衛省はこれまで、稲嶺進市長が新基地建設に反対していたため、要件を満たさないとして交付しなかった。8日に就任する渡具知武豊氏は再編交付金を受け取る意向を示している。後藤氏はこれまで名護市が受け取っていなかったために名護市辺野古、豊原、久志の『久辺3区』への補助金『再編関連特別地域支援事業』が支給されていたとして、再編交付金も交付されれば『二重払い』になるとして、2018年度予算案から削除すべきと主張した。」
③「小野寺氏は『新市長と協議する中で考えたい』と述べた。麻生太郎財務相は『取り扱いも含めて防衛省として対応を検討してもらいたい』とした。」


(4)琉球新報-産経新聞「批判に行き過ぎた表現」 「日本人救った米兵」記事で「おわびと削除」-2018年2月8日 13:32


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「昨年12月1日に沖縄自動車道で発生した人身事故について産経新聞が『曹長は日本人運転手を救出した後に事故に遭った』と報じ、救出を報じない沖縄メディアを批判した件で、米軍が『救助行為はしていない』と産経報道を否定したことを受け、産経新聞は8日付朝刊で謝罪記事と事故報道の検証記事を掲載した。」
②「1面に掲載された『おわびと削除』では『取材が不十分』」とした上で、昨年12月12日付朝刊3面の記事と同年12月9日にインターネットで配信した産経ニュースをともに『削除』する意向を伝えた。その上で『記事中、琉球新報、沖縄タイムスの報道姿勢に対する批判に行き過ぎた表現がありました』とし、『両社と読者の皆さまにおわびします』と謝罪した。」
③「1面には併せて乾正人・産経新聞社執行役員東京編集局長の談話が掲載された。乾編集局長は『沖縄県警への取材を怠るなど事実関係の確認作業が不十分』とし、『琉球新報、沖縄タイムスに対する行き過ぎた表現があったにもかかわらず、社内で十分なチェックを受けずに産経ニュースに配信、掲載』と経緯を説明した。その上で『こうした事態を真摯に受け止め、再発防止のため記者教育をさらに徹底するとともに、出稿体制を見直し、記事の信頼性向上に努めていく』とし、事故にあわれた関係者、沖縄2紙と読者におわびした。」
④「3面の検証記事では曹長の行動が『ネットで賞賛されている』との情報を得た上で、救助を伝える曹長の夫人のフェイスブックや米NBCテレビの報道を確認。米海兵隊には取材したが、『沖縄県警には取材しなかった』と取材が不十分だったことを認めた。横転した車両に乗っていた日本人男性が代理人の弁護士を通じ、『米軍関係者に救助された記憶はない』と説明したことも弁護士のコメント全文と併せて紹介した。」



(5)琉球新報-「率直にわびた姿勢に敬意」 産経謝罪記事を受け、普久原編集局長  「事実の報道に徹する」-2018年2月8日 12:57


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「産経新聞が昨年12月12日付で報じた『米海兵隊曹長の日本人救出』の記事で、記述していた内容に事実誤認があったことを認め、8日付紙面で謝罪と検証の記事を掲載したことを受け、琉球新報の普久原均編集局長は8日、『きちんと事実を検証し、取材の不十分さを認めて、率直にわびた姿勢には敬意を表します』などとするコメントを発表した。」
②「普久原編集局長は『米海兵隊曹長が日本人運転手を救助した後、事故に遭ったという事実があれば報道し、救助した事実がなければ産経新聞の報道の誤りをただすという方針で取材しました』と説明した。その上で『琉球新報は今後とも【事実の報道に徹する】という基本姿勢を堅持します』と決意を示した。(以下、普久原編集局長のコメント全文)」

  ◇     ◇
③「8日付産経新聞「おわびと削除」に対するコメント」 琉球新報編集局長 普久原均:「『米海兵隊曹長の日本人救出』に関する今回の報道で、8日付産経新聞がきちんと事実を検証し、取材の不十分さを認めて、率直にわびた姿勢には敬意を表します。
 今回の件に関して、琉球新報社は『事実の報道に徹する』という基本姿勢に基づき慎重に取材を進めてきました。
 産経新聞が報じたように、米海兵隊曹長が日本人運転手を救助した後、事故に遭ったという事実があれば報道し、救助した事実がなければ産経新聞の報道の誤りをただすという方針で取材しました。関係機関を取材した結果、曹長による救助行為を米軍が否定し、沖縄県警も確認していないことが判明したため、1月30日付本紙の報道に至りました。
 琉球新報は今後とも『事実の報道に徹する』という基本姿勢を堅持します。」


(6)沖縄タイムス-産経新聞おわび 沖縄タイムス編集局長コメント-2018年2月8日 11:03


 沖縄タイムスは、「沖縄タイムス執行役員編集局長・石川達也 産経新聞は、沖縄県警への取材を怠ったと認めた上で、沖縄タイムスと琉球新報の『報道姿勢に対する行き過ぎた表現があった』として、記事を削除、おわびしました。報道機関として評価します。表現の自由は言論機関の根幹ではありますが、事実関係の取材が不十分なまま、2紙に対し『メディア、報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ』などの表現を用いたことは不適切だったと思います。沖縄タイムスは今後も事実に基づいた報道を徹底します。」、と報じた。


(7)沖縄タイムス-「立場変わったが思いは同じ」名護市長を退任した稲嶺さん、辺野古のゲート前に-2018年2月8日 13:18


 沖縄タイムスは、「沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前では8日、最大で約100人の市民が新基地建設に反対して早朝から座り込んで抗議した。」、と報じた。
 また、「前日に退任した前名護市長の稲嶺進さんも姿を見せ『8年間、たくさんの応援を頂いた』と感謝を述べた。『現場から民主主義や地方自治が発せられる意味は大きい。立場は変わったが思いは同じだ。ともに頑張りましょう』とあいさつ。大きな拍手や指笛が鳴り響いた。」、と伝えた。
 さらに、「午前中は資材を積んだ工事用車両97台が基地内へ入った。一方、海上ではシュワブ沿岸の『K2』『K4』の両護岸で、砕石投入が確認された。」、と報じた。


(8)沖縄タイムス-米国製5インチ艦砲弾2発、不発弾処理へ 西普天間地区9日午前10時から-2018年2月8日 08:34


 沖縄タイムスは、「沖縄県宜野湾市の西普天間住宅地区で見つかった米国製5インチ艦砲弾2発の不発弾処理作業が9日午前10時から行われる。午後1時終了予定。避難半径は230メートルと88メートルで、対象区域に住宅や道路がなく、避難対象者や交通規制はない。同住宅地区内の喜友名山川原1066番地に現地対策本部を設置する。問い合わせは宜野湾市市民防災室、電話098(892)3151。」、と報じた。




by asyagi-df-2014 | 2018-02-08 17:31 | 沖縄から | Comments(0)

名護市長選挙(2018年2月4日)を終えて。

 琉球新報は、2018年2月24日、速報で「名護市長選、渡具知武豊氏が初当選 現職・稲嶺氏に3458票差」、と次のように伝えた。



 「米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題が最大の争点となった名護市長選は4日に投開票され、移設を推進する政府が推す無所属新人の渡具知武豊氏(56)=自民、公明、維新推薦=が2万389票を獲得し、初当選した。移設阻止を訴えた無所属現職の稲嶺進氏(72)=社民、共産、社大、自由、民進推薦、立民支持=は1万6931票で、3458票差だった。市長が移設反対派から変わるのは8年ぶり。日米両政府が進める辺野古移設が加速していくことは確実で、移設阻止を訴える翁長雄志知事ら『オール沖縄』勢力には、秋に予定される知事選に向け大きな打撃となった。」



 戦後の日本の民主勢力の闘いは、沖縄の闘う姿に支えられてきた。そこには、『沖縄から日本が見える。』、という言い方で表現されてきた状況があった。
 気になるのは、日本のどこかで、またぞろ、「あの沖縄で何故負けたのか」、という言葉が囁かれることになるのかということである。
 実は、この選挙の敗北の意味について、沖縄タイムスの阿部岳記者の署名入り記事(沖縄タイムス2018年2月5日)は、「民意を背負えば、小さな自治体でも強大な権力に対して異議申し立てができる。沖縄に辛うじて息づいていたこの国の民主主義と地方自治は、ついにへし折られた。」、と指摘する。
 私自身も、自分のブログに、次のように書いた。


「『市民の選択の結果だ。真摯(しんし)に受け止めないといけない』と言葉少なに話した。」、と琉球新報。
 確かに、その通りである。
 しかし、『苦渋の選択』を呑まなかった稲嶺進さんは歴史に残る人。
『選挙は厳しい結果になったが、気がくじけるのを奮い立たせてきた。負けないぞと思って来たみんなを見て、これからも頑張ろうという思いだ』と語った。」(琉球新報)の声は日本中に届いている。
何故なら、「今後の市政との関係について『落ち着いた政治を行って、市民生活を良くするために経済や雇用を良くしていく。新市長は教育や福祉、環境行政に力を入れてもらいたいという市民の声に応えてもらいたい。国としても責任をもって応援する』と支援を明言した。」(沖縄タイムス)、とのにやけた顔の安倍晋三の言葉は、『構造的沖縄差別』の宣言に過ぎないことを知っているのは、すでに、沖縄だけではない。


 もしかしたら、このように書いた私自身も「沖縄の最後まで諦めない闘い」にすがりつきたかったのかもしれない。
確かに、この名護市長選挙の「敗北」は、大きな意味を持っている。
このことを理解するために、沖縄タイムスの阿部岳記者の記事と琉球新報及び沖縄タイムスの社説で考える。
 まずは、阿部岳記者は、次のように指摘している。


(1)「名護市長選の陰の勝者は、安倍政権だった。そして陰の敗者は、この国の民主主義だった。」
(2)「直前の世論調査でも、市民の3分の2が辺野古新基地建設に反対している。それでも稲嶺進氏が落選したのは、工事がじりじりと進んだことが大きい。市民は実際に止められるという希望が持てなかった。」
(3)「稲嶺氏自身は公約を守り、民意を体現して阻止に動いてきた。日本が民主主義国家であるなら、工事は当然止まるはずだった。」
(4)「安倍政権は、既成事実を積み重ねて市民の正当な要求を葬った。民主主義の理想から最も遠い『あきらめ』というキーワードを市民の間に拡散させた。稲嶺氏の2期目が始まった2014年に辺野古の工事に着手。抗議行動を鎮圧するため本土から機動隊を導入し、16年の東村高江では自衛隊まで使った。
(5)「力を誇示する一方、辺野古周辺の久辺3区に極めて異例の直接補助金を投入した。今回の選挙直前には、渡具知武豊氏が当選すれば新基地容認を明言しなくても再編交付金を出すと言いだした。何でもありなら、財源を巡る政策論争は成り立たない。」
(6)「安倍政権は名護の選挙の構図自体を4年かけて変え、市民から選択の余地を奪った。大多数の国民がそれを黙認してきた。渡具知氏も『辺野古の【へ】の字も言わない』という戦略で、暮らしの向上と経済振興を語った。市民は反対しても工事が進むならせめて、と渡具知氏に希望を託した。基地問題からは、いったん降りることにした。それを責める資格が誰にあるだろう。」
(7)「民意を背負えば、小さな自治体でも強大な権力に対して異議申し立てができる。沖縄に辛うじて息づいていたこの国の民主主義と地方自治は、ついにへし折られた。」



 琉球新報は「名護市長に渡具知氏 新基地容認は早計だ」、沖縄タイムスは「[名護市長に渡具知氏]『基地疲れ』経済を重視」、と2018年2月5日の社説で論評した。
 この二紙の主張等は次のものである。


Ⅰ.主張

(琉球新報)

(1)「渡具知氏の当選によって市民が新基地建設を容認したと受け止めるのは早計である。渡具知氏は、建設容認を明言せず、問題を解決するために国と対話する姿勢を示しただけだからだ。」
(2)「安倍晋三首相は2日の衆院予算委員会で、沖縄の基地負担軽減について『移設先となる本土の理解が得られない』との認識を示した。普天間飛行場の県内移設は、軍事上ではなく政治的な理由であることを首相が初めて認めたことになる。政治家として無責任で沖縄に対する差別発言だ。渡具知氏の当選をもって、他府県に移設できない新基地を名護市に押し付けることは許されない。」
(3)「名護市の課題は新基地問題だけでなく、経済活性化や雇用促進も重要だ。基幹病院整備は早急に取り組む必要がある。福祉、教育、人口減なども切実だ。これらの課題にしっかり取り組んでほしい。」


(沖縄タイムス)


(1)「渡具知氏が『県外・国外移転』を公約に掲げて当選した事実は重い。市長就任後もぶれることなく『県外・国外移転』を追求し、地位協定見直しに向け積極的に取り組んでもらいたい。」
(2)「新基地阻止を強く訴えた稲嶺氏だったが、地域活性化や医療など生活に密着した課題への対応が見えにくかったという印象は否めない。稲嶺氏が敗れたことは、新基地建設反対運動だけでなく、秋の知事選に大きな影響を与えるのは確実だ。翁長知事による埋め立て承認撤回に不透明さが増し、一部で取り沙汰されている県民投票も見通せなくなった。翁長知事は今後、公約である新基地阻止をどのように実現していくのか。県議会与党とも早急に対応を協議し、新たな方針を打ち出す必要がある。」


Ⅱ.選挙結果を受けて

(琉球新報)


(1)「当選した渡具知氏は辺野古移設について『国と県が係争中なので注視していく』と語っている。新基地容認とするのは牽強(けんきょう)付会である。一例を挙げれば、名護市長選を前に、琉球新報社などが実施した電話世論調査から市民の態度は明白だ。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画について、53・0%が「反対」、13・0%が「どちらかといえば反対」を選択し、66%を占めた。一方で「賛成」は10・5%、「どちらかといえば賛成」が17・8%と3割に満たない。」
(2)「渡具知氏の当選は、新基地建設の是非を争点化することを避けて経済を前面に出し、前回自主投票だった公明の推薦を得た選挙戦術が奏功したと言える。」
(3)「渡具知氏は『国と県の裁判を注視していく』と語りつつ『岸本建男元市長が辺野古移設を受け入れた。私はそれを支持し容認した』とも述べている。当時、岸本市長は受け入れに当たって、住民生活や自然環境への影響を抑えるためのⅰ環境影響評価の実施ⅱ日米地位協定の改善と15年の使用期限ⅲ基地使用協定の締結-など7条件を提示した。条件が満たされなければ「移設容認を撤回する」と明言した。岸本氏が示した条件は満たされていない。渡具知氏はこの点に留意すべきだ。」
(4)「一方、普天間の県外国外移設を求めている公明党県本部は、自民党が推薦する渡具知氏を推薦した。金城勉代表は渡具知氏と政策協定を結んだ理由について『地位協定の改定と海兵隊の県外、国外の移転を求めるということで合意に至った』と述べている。それなら海兵隊が使用する新基地は必要ないではないか。」

(沖縄タイムス)


(1)「辺野古の海を切りさくように次々と護岸が造られる中で迎えた選挙である。『もう止められない』との諦めムードをつくり、米軍普天間飛行場の辺野古移設問題を争点から外し、経済振興を前面に押し出すのが渡具知陣営の一貫した戦術だった。」
(2)「渡具知氏は選挙期間中、全くといっていいほど辺野古を語っていない。現職の失政が市の閉塞感を招いたとして流れを変えようと訴え、暮らしの向上を求める市民の期待票を掘り起こした。勝利の最大の理由は、一にも二にも自民、公明、維新3党が協力体制を築き上げ、徹底した組織選挙を展開したことにある。」
(3)「菅義偉官房長官が名護を訪れ名護東道路の工事加速化を表明するなど、政府・与党幹部が入れ代わり立ち代わり応援に入り振興策をアピール。この選挙手法は『県政不況』という言葉を掲げ、稲嶺恵一氏が現職の大田昌秀氏を破った1998年の県知事選とよく似ている。」
(4)「注目すべきは期日前投票が2万1660人と過去最多となったことである。有権者の44・4%に及ぶ数字は、企業や団体による働き掛け、締め付けが徹底していたことを物語っている。」
(5)「前回選挙との大きな違いは、自主投票だった公明が、渡具知氏推薦に踏み切ったことだ。渡具知氏が辺野古移設について『国と県の裁判を注視したい』と賛否を明らかにしなかったのは、公明との関係を意識したからだろう。両者が交わした政策協定書には『日米地位協定の改定及び海兵隊の県外・国外への移転を求める』ことがはっきりと書かれている。安倍政権が強調する『辺野古唯一論』と、選挙公約である『県外・国外移転』は相反するものだ。」
(6)「本紙などの出口調査では、辺野古移設反対が64・6%に上った。選挙によって辺野古移設反対の民意が否定されたとはいえない。」


 さて、今回の名護市長選挙の「敗北」をどのように捉えることができるのか。
 一つには、「名護市長選の陰の勝者は、安倍政権だった。そして陰の敗者は、この国の民主主義だった。」との沖縄タイムス阿部岳記者の指摘の重みである。安倍晋三政権がこの選挙結果を『民意』として強攻策で押してくるのは目に見えている。それだけの覚悟が必要とされる。
 もう一つには、「渡具知氏が『県外・国外移転』を公約に掲げて当選した事実は重い。市長就任後もぶれることなく『県外・国外移転』を追求し、地位協定見直しに向け積極的に取り組んでもらいたい。」(琉球新報)、「両者が交わした政策協定書には『日米地位協定の改定及び海兵隊の県外・国外への移転を求める』ことがはっきりと書かれている。安倍政権が強調する『辺野古唯一論』と、選挙公約である『県外・国外移転』は相反するものだ。」(沖縄タイムス)、との指摘に関わることである。新市長やそれを支えた市民及び公明党関係者には、このことを深く理解する必要があるし、少なくとも新市長の市政運営がこの線に沿ってなされるように関わっていく必要がある。
 また、安倍晋三政権には、「渡具知氏の当選によって市民が新基地建設を容認したと受け止めるのは早計である。渡具知氏は、建設容認を明言せず、問題を解決するために国と対話する姿勢を示しただけだからだ。」(琉球新報)、との指摘を突きつけていく必要がある。
 ところで、「この選挙手法は『県政不況』という言葉を掲げ、稲嶺恵一氏が現職の大田昌秀氏を破った1998年の県知事選とよく似ている。」、との沖縄タイムスの指摘は、今回の選挙をあまりにも言い当てたものとなっているではないか。このことからくみ取るものもまた多い。


 沖縄タイムスの「辺野古の海を切りさくように次々と護岸が造られる中で迎えた選挙である。『もう止められない』との諦めムードをつくり、米軍普天間飛行場の辺野古移設問題を争点から外し、経済振興を前面に押し出すのが渡具知陣営の一貫した戦術だった。」「菅義偉官房長官が名護を訪れ名護東道路の工事加速化を表明するなど、政府・与党幹部が入れ代わり立ち代わり応援に入り振興策をアピール。この選挙手法は『県政不況』という言葉を掲げ、稲嶺恵一氏が現職の大田昌秀氏を破った1998年の県知事選とよく似ている。」、という指摘は、この選挙結果を表現しているのかもしれない。
 やはり、気になるのは、この「敗北」の結果の克服策も、残念ながらより一層の困難さに追い込まれる中でしか見つからないのではないかいう杞憂である。
 沖縄タイムス阿部岳記者の結論「名護市長選の陰の勝者は、安倍政権だった。そして陰の敗者は、この国の民主主義だった。」から「民意を背負えば、小さな自治体でも強大な権力に対して異議申し立てができる。沖縄に辛うじて息づいていたこの国の民主主義と地方自治は、ついにへし折られた。」、が今見える風景であることには間違いない。

 だとしたら、本当の意味で、このへし折られたところから、この「敗北」を次につなげるかは、私たち本土の人間と言われる一人一人に、問われている。




by asyagi-df-2014 | 2018-02-08 07:32 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
画像一覧
通知を受け取る