2017年 07月 17日 ( 1 )

「共謀罪」を考える。(51)-AERA2017年7月10日号より-

 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織的犯罪処罰法が、2017年6月21日公布(2017年7月11日施行)された。
 AERA2017年7月10日号は、「『使えない』法律との意見もあるが・・・ 警察に『共謀罪』を与えていいのか」を掲載した。
 AERAは、「7月11日に施行される『共謀罪』法。一般市民を巻き込むか否かは、運用する警察にゆだねられている。『共謀罪は使えない法律』との指摘もあるが、だからといって安心していいのだろうか。」、と指摘する。
 この指摘をAERAの引用から考える。
まず最初に、AERAでは、「『共謀罪』法の運用」について、早稲田大学大学院法務研究科の古谷修一教授の「これをどう運用するかはわかりませんが、利用できるようにしておきたい、と考えるのではないでしょうか」という次の疑問を紹介する。


(1)「今回成立した共謀罪の形には、賛成できません」。そう語るのは、早稲田大学大学院法務研究科の古谷修一教授。早くから、日本国内での共謀罪導入を唱えてきた人物でもある。
(2)それでも今回成立した「共謀罪」法に賛成できない理由は、共謀罪が適用される犯罪の数が277とあまりに多いことだ。条約5条には、犯罪の種類について「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的の(犯罪)」と規定している。
(3)なぜ277もの犯罪が決められたのか。古谷教授は共謀罪を運用する側の心の内をこう推察する。「これをどう運用するかはわかりませんが、利用できるようにしておきたい、と考えるのではないでしょうか」


 次に、「法律の解釈の問題」についての賛否や法の実態論についての考え方を載せる。


(1)賛成-「共謀罪を実際に運用する警察と司法システムへの信頼感」


 法律の解釈には確かに幅がある。賛成派の意見の底流にあるのは、共謀罪を実際に運用する警察と司法システムへの信頼感だ。賛成派の椎橋隆幸・中央大学名誉教授はこう語る。
「日本の警察は基本的に適正な法執行をしているし、比較法的に見ても権限の行使は抑制的だ。警察が判断を誤っても検察が公判維持が難しいと考えればそこで止まるし、裁判所の判断もある」
 また木村弁護士は、こうも語る。
「現行法でもデモ等に関する威力業務妨害の実行行為をもとに、共謀共同正犯理論で、単なる『共謀者』の立件が可能である。しかし、警察は法の限界に挑むような執行はしていない」


(2)反対-「警察が『これは共謀罪だ』『彼らは犯罪組織だ』と思い込んで捜査を始めてしまうことは止められないし、その時点で重大な人権侵害は起こりうる。」


 警察は立件できる手段がない。だから共謀罪は安心──。だが、未来にわたってそんな安心が担保されるのか。
 法律には、拡大解釈を罰則をもって明確に禁じる文章が記載されているわけではない。また前出の梓澤弁護士は、「警察は刑事訴訟法上、『犯罪があると思料するときは』捜査ができると規定されている」とも指摘する。いくら検察や裁判所が歯止めになるといっても、警察が「これは共謀罪だ」「彼らは犯罪組織だ」と思い込んで捜査を始めてしまうことは止められないし、その時点で重大な人権侵害は起こりうる。そして警察はすでに現状の法体系でも、個人の人権を脅かす捜査や情報収集を繰り返してきた。



(3)「共謀罪」法の実態は、「こんな法律があっても使えない、という結論になっています」。


 警察取材が長いジャーナリストは、共謀罪法を冷めた目で見る警察幹部が少なくないと指摘する。
「国際条約批准のために作文された法律で捜査現場が使うことを想定していない、準備行為の立件のためには捜査手段を整えなければいけないがその見通しがない、といった意見があります」
 立件に必要な捜査手段とは、通信傍受や潜入捜査のことだ。通信傍受は00年に始まったが、対象犯罪が13類型に限られている。過去の刑事司法改革論議では警察が会話傍受、たとえば直接机の下などに盗聴器を仕掛ける捜査手段の導入も提案したが、見送られたという。そのため、「こんな法律があっても使えない、という結論になっています」(ジャーナリスト)というのだ。


 では、AERAの「『使えない』法律との意見もあるが・・・ 警察に『共謀罪』を与えていいのか」との指摘をどのように受けとめるのか。
 AERAは、次の二つの見解を紹介し、自らの見解を表明している。

 

(1)警察は立件できる手段がない。だから共謀罪は安心──。だが、未来にわたってそんな安心が担保されるのか。
 法律には、拡大解釈を罰則をもって明確に禁じる文章が記載されているわけではない。また前出の梓澤弁護士は、「警察は刑事訴訟法上、『犯罪があると思料するときは』捜査ができると規定されている」とも指摘する。いくら検察や裁判所が歯止めになるといっても、警察が「これは共謀罪だ」「彼らは犯罪組織だ」と思い込んで捜査を始めてしまうことは止められないし、その時点で重大な人権侵害は起こりうる。そして警察はすでに現状の法体系でも、個人の人権を脅かす捜査や情報収集を繰り返してきた。


(2)公安警察を長く取材し『日本の公安警察』などの著書があるジャーナリストの青木理さんは、「警察官はおおむねみんなまじめだし、職務に忠実」と言う。そして、こう付け加える。
「だからこそ、彼らは暴走する可能性があることを忘れてはいけない」
 オウム事件で存在感を発揮できなかった公安警察は外事3課を創設してテロ対策に乗り出したものの、捜査ターゲットが見当たらないまま、イスラム教徒に対する大規模な情報収集を行った──そう、青木さんは読む。膨大な個人情報への遠慮のない侵入は、彼らの「まじめさ」のたまものでもある。だから共謀罪による監視対象者を一定期間後に開示するなど、警察の捜査手法を第三者にチェックさせる仕組みが不可欠と青木さんは言う。
「実際にテロが起きて世論がヒステリックになった時、警察がその後押しを得て捜査手法を広げ暴走する可能性がある。内なる暴力装置の暴走こそが国を危うくするという発想がない今の政治家は『平和ボケ』だ」


 私たちは、「共謀罪」法について「こんな法律があっても使えない、という結論になっています」ということをも冷静に受けとめ、やはり、「警察には暴走する可能性がある」、ということを基本に対応していかなければならない。
 その理由をAERAから再掲する。


Ⅰ.「警察は立件できる手段がない。だから共謀罪は安心」ということが、未来にわたって担保されるのか。
Ⅱ.法律には、拡大解釈を罰則をもって明確に禁じる文章が記載されているわけではない。
Ⅲ.警察は刑事訴訟法上、「犯罪があると思料するときは」捜査ができると規定されている。
Ⅳ.警察が「これは共謀罪だ」「彼らは犯罪組織だ」と思い込んで捜査を始めてしまうことは止められないし、その時点で重大な人権侵害は起こりう   る。
Ⅴ.警察はすでに現状の法体系でも、個人の人権を脅かす捜査や情報収集を繰り返してきた。





by asyagi-df-2014 | 2017-07-17 16:34 | 共謀罪 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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