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ソウル中央地裁は、韓国前大統領の尹錫悦(ユンソンニョル)被告に、内乱を首謀した罪などで無期懲役(求刑は死刑)の判決を言い渡した。(1)

 ソウル中央地裁は、2026年2月19日、韓国前大統領の尹錫悦(ユンソンニョル)被告に、内乱を首謀した罪などで無期懲役(求刑は死刑)の判決を言い渡した。

 このことに関して、朝日新聞は、次のように報じた。

(1)朝日新聞-韓国の尹錫悦前大統領に無期懲役判決 非常戒厳などを「内乱」と判断(清水大輔)-2026年2月19日 16時10分
1.2024年12月に非常戒厳を出し、内乱を首謀した罪などに問われた韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領(65)に対し、ソウル中央地裁は19日、無期懲役(求刑死刑)の判決を言い渡した。非常戒厳の宣布や国会への軍投入などを刑法上の「内乱」に当たると判断した。一方、「物理的な暴力行使の事例がほとんど見当たらない」といった情状を考慮した。
2.韓国刑法は内乱について、国家権力を排除し、国憲を乱す(憲法機能を侵害する)目的で暴動を起こすこととし、首謀者には死刑や無期懲役、無期禁錮を科すと定める。韓国には死刑制度があるが、1997年を最後に執行はなく、事実上の死刑廃止国とされる。韓国メディアによると、近年では軍内の銃乱射事件で2016年に確定判決が出るなど、死刑判決自体は出ていた。
3.判決は、尹前大統領が国会の活動をまひさせ、相当の期間、国会の機能を適切に果たせなくする目的で国会に軍を投入し、暴動を起こしたとして内乱罪が成立すると判断。「国家の存立と憲法的機能を破壊し、法秩序そのものを否定する行為」だと断罪した上で、「民主主義の核心的価値を根本的に損なった」と非難した。
(逮捕・起訴までの経緯)
1.弁護側は公判で、当時の「巨大野党」による政府高官への相次ぐ弾劾(だんがい)訴追などによって国政がまひしていたとして、非常戒厳は国政妨害を国民に警告するためだったなどと主張し、正当化した。
2.しかし、判決は尹前大統領がそうした主張で「兵力を動員し、国会封鎖を試みたのは過ち」だと退けた。一方で、尹前大統領について「緻密(ちみつ)な計画性や、(軍に)実弾所持などの物理的な暴力行使が見当たらない」ことを酌量したと述べた。
3.尹前大統領は検察出身。検事総長などを経て、22年3月の大統領選で保守系政党「国民の力」の公認候補として当選した。24年4月の総選挙で同党が大敗し、支持率が低下して厳しい政権運営を迫られていた中で非常戒厳を出した。
4.尹前大統領は非常戒厳から11日後に国会から弾劾され、昨年4月に憲法裁判所が非常戒厳を違憲、違法と認定したため、大統領を罷免(ひめん)された。昨年1月、現職大統領として初めて逮捕・起訴されていた。
(韓国の「内乱罪」とは)
1.韓国の刑法は自国の領土で国家権力を排除したり、憲法秩序を乱したりする目的で暴動を起こした場合、首謀者に死刑や無期懲役、無期禁錮を科すと定めている。内乱の「重要任務従事者」については死刑、無期もしくは5年以上の懲役、もしくは禁錮刑を科す。
2.憲法は、大統領は在職中に刑事上の訴追を受けないとする「不訴追特権」を認めているが、内乱などは例外と規定している。
(識者「今後の韓国政治のカギは保守勢力」)
1.韓国は1987年の民主化以降、持続的に民主主義を発展させてきた。政治がいかに激しく対立しても、それ自体が民主主義の基盤を揺るがすという考えはなかった。だが、尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領は非常戒厳でそれを壊してしまった。
2.与野党が争っているから、国政運営が難しいから軍まで動員して何かをするというのは、民主主義国家の市民の常識として受け入れがたい。
3.韓国の民主主義は民主化を求める長い運動と大きな犠牲のうえに築かれたものだ。戒厳軍による弾圧で市民に多くの犠牲者が出た「光州事件」などと違い、今回は死者も出なかったという指摘もあるが、それは運が良かったに過ぎない。
4.つくり上げてきたものを壊そうとしたことへの国民感情はかなり厳しいものがあり、尹前大統領には反省の姿勢も見えない。それだけに、判決が最高刑である死刑にならなかったことで、社会に大きな対立と論争を呼ぶ可能性がある。韓国では死刑は実際には執行されないが、象徴的な意味があるからだ。
5.今後の韓国政治のカギは保守勢力がどうなるかにある。いまは進歩(革新)系の李在明(イジェミョン)政権と与党が独走しているが、判決を機に保守勢力が尹前大統領と決別し、立て直すことができるのか。保守勢力が与党側と健全に競える存在になることが、韓国の政治や民主主義の発展にとっては重要だ。
(https://digital.asahi.com/articles/ASV2M01HWV2MUHBI013M.html?pn=5&unlock=1#continuehere 参照)

(2)朝日新聞-死刑回避の判決に与党反発 韓国、尹前大統領の非常戒厳巡り対立続く(清水大輔、貝瀬秋彦)-2026年2月19日 20時53分
1.2024年12月に非常戒厳を出した韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領に19日、無期懲役の一審判決が言い渡された。内乱首謀罪の最高刑である死刑が求刑されるなか、無期懲役とした裁判所の判断に与党などは反発しており、今後も尹前大統領や非常戒厳をめぐる政治、社会の対立が続きそうだ。
2.判決は、尹前大統領らの行為を「合法的な手続きを無視し、暴力的な手段を通じて国会などの機能をまひさせようとしたもので、民主主義の核心的価値を根本的に損なったという点で非難の余地が大きい」とした。
3.また、動員された軍と警察の政治的中立性が大きく損なわれ、国際社会における韓国の政治的地位なども低下したと指摘し、「私たちの社会は政治的に二分され、極限の対立状態を経験している」とした。
4.尹前大統領が犯行を主導的に計画し、多くの人を関与させたことや、謝罪の意を示していないことも指摘した。一方で「非常に緻密(ちみつ)に計画したようには見えず、物理的な力の行使をできるだけ控えようとした事情も見受けられる」とした。
5.戒厳軍が民主化を求める市民を弾圧し、多くの犠牲者が出た1980年の「光州事件」などをめぐり内乱罪に問われた全斗煥(チョンドゥファン)元大統領は、一審では死刑判決を受けた。明示していないものの、今回の判決は死者が出なかったことなどを考慮した可能性もあるとみられる。
6.進歩(革新)系の李在明(イジェミョン)政権を支える与党・共に民主党は強く反発している。鄭清来(チョンチョンレ)代表は「国の根幹を揺るがした内乱の首謀者に死刑ではなく無期を宣告することで、司法の正義を揺るがした。国民感情に反する非常に不十分な判決だ」と批判した。一部の市民団体も最高刑でなかったことに反発した。
7.一方、尹前政権を与党として支えた保守系・国民の力の院内代表は「今回の判決の歴史的・政治的意味を深く省察し、憲政秩序を脅かし破壊するいかなる勢力、行為とも断固として線を引く」との声明を出した。
8.ただ、国民の力の執行部は尹前大統領との「絶縁」は明言してこなかった。韓国メディアによるとこの日、同党の有志が記者会見し、尹前大統領を支持する保守強硬勢力との絶縁を執行部に求めた。同党の支持率は低迷が続いており、保守勢力が尹前大統領をめぐる亀裂を克服できるかが焦点になっている。
(尹錫悦前大統領に対する内乱罪裁判の判決骨子)
・事件の核心は国会に軍隊を動員した行為で、国会議事堂を封鎖し、与野党の主要人物を拘束することで、国会の活動をまひさせる目的が認められる
・投入した軍の撤収時期について計画されていなかったことから、相当の期間、国会の活動を阻止させようとしていたと判断できる
・これらの行為は刑法が定める国憲を乱す(憲法機能を侵害する)目的の暴動にあたり、内乱罪が成立する
・弁護側は非常戒厳について、国家危機の状況を打開し、自由民主主義体制を守るためだったと主張するが、兵力の動員や国会封鎖などの行為は過ちだ
・内乱罪は国家の存立と憲法的機能を破壊し、法秩序そのものを否定する行為だ。民主主義の核心的価値を根本的に損ない、非難の余地は大きい
・軍と警察の政治的中立性が大きく損なわれ、結果として韓国社会は二分され、極限の対立状態を経験している
・犯行を直接主導的に計画し、謝罪の意思も示していない。一方で、緻密(ちみつ)な計画性や物理的な暴力行使は見当たらず、計画の大半は失敗に終わった。無期懲役に処す
(https://digital.asahi.com/articles/ASV2M3TZDV2MUHBI01LM.html?pn=4&unlock=1#continuehere 参照)

(3)朝日新聞-尹氏に無期懲役 「内乱」への判決の重み-2026年2月21日 5時00分
1.軍事独裁との闘いを経て勝ち取り、培ってきた民主主義を、選挙で国民に選ばれた大統領が自ら踏みにじろうとした。韓国社会を一時深刻な危機に陥れ、国内外に衝撃を与えた事態の重大さを物語る判決となった。
2.2024年12月に非常戒厳を宣言したことをめぐり、内乱を首謀した罪に問われた韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領に対し、ソウル中央地裁が無期懲役の判決を言い渡した。
3.北朝鮮と対峙(たいじ)する韓国の憲法は、大統領が「戦時やこれに準ずる国家非常事態」に戒厳令を出せると定める。22年5月に大統領に就いた保守系の尹氏は、国会の多数を占める進歩(革新)系の野党が進めた政権幹部らへの相次ぐ弾劾(だんがい)訴追などを理由に、非常戒厳が「権限行使の範囲内」と正当性を主張してきた。
4.判決は、尹氏が国会に軍を差し向けたことが、議事堂の封鎖や政治家の拘束によって国会の活動を封じるための動きで、憲法に基づく秩序を侵害する暴動にあたるとし、内乱罪を認定した。
5.尹氏側は「納得しがたい」と反発している。
6.戒厳令は軍事独裁政権時代に繰り返されたが、1987年の民主化以降は今回の非常戒厳が初めて。国会の決議により短時間で解除されたが、民主主義の根幹である政治活動や報道の自由が奪われかねない紙一重の事態だった。
7.韓国の刑法は、内乱首謀者に対して死刑、無期懲役、無期禁錮のいずれかを科すと定める。今回、求刑は死刑だったが、判決は「緻密(ちみつ)な計画性や物理的な暴力行使が見当たらない」として極刑とはしなかった。
8.韓国には死刑制度が今もあるが、97年を最後に執行されていない。今後も裁判が続き、仮に死刑判決が確定したとしても、執行される可能性は極めて低い。
9.だが、尹氏への判決が死刑ではなかったことに、進歩系の李在明(イジェミョン)政権の与党などから批判が出ている。一方、保守層には一部とはいえ尹氏を擁護する声がある。保守と進歩の二大勢力が激しく対立してきた韓国だが、判決が分断をさらに深める事態が懸念されている。
10.尹氏に重い刑罰が科せられれば、それで決着する話ではない。司法の場を通じて真相の究明を進め、絶大な権力を持つ大統領の暴走の再発を防ぐことは重要だ。
11.民主化から来年で40年。分断をもたらした現在進行形の課題に社会全体で向き合い、民主主義のありようについて議論を深める契機としなければならない。
(https://www.asahi.com/articles/DA3S16408991.html?iref=pc_ss_date_article 参照)



by asyagi-df-2014 | 2026-02-26 12:36 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

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