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 2026年1月1日の朝、社説・論説・主張等を読む。(3)

 2026年1月1日の朝、各新聞社の社説・論説・主張等を読む。
2026年に、正対して、真摯に向き合うために。

 この日の朝に、確認した社説等を、標題から「民主主義社会の未来」、「分断」、「排外主義」、「『沖縄戦80年』・『戦後80年』の継承、『新しい戦前』」の四つに区分けすると次のようになる。

(民主主義社会の未来)
琉球新報社説-2026年を迎えて 夢を語り、理想掲げよう-
沖縄タイムス社説-時代の分岐点で 非戦・共生の東アジアを-
毎日新聞社説-海図なき世界 「ポスト真実」超えて 未来を描き社会を変える-
北海道新聞社説-分岐点’26>ポピュリズム考 民主主義の軌道を正す-
読売新聞社説-知力、体力、発信力を高めたい 世界秩序の受益者から形成者に-
新潟日報社説-2026年を迎えて 平和の尊さをかみしめる-
日本農業新聞論説-国際女性農業従事者年 誰もが生きやすい社会へ-
熊本日日新聞社説-新しい年を迎えて 民主主義を確かなものに-
(分断)
朝日新聞社説-つなぐ’26 退潮する民主主義 「分断の罠」に陥らぬよう-
東京新聞社説-年のはじめに考える 「怒」を「恕」に変える-
中國新聞社説-不寛容の時代に 分断でなく「第三の道」探ろう-
西日本新聞社説-新年に考える 分断をほどく鍵は足元に-
静岡新聞社説-年のはじめに 分断克服し平和を守れ-
(排外主義)
信濃毎日新聞社説-共同体と外国人 郷に従え―と言うよりも-
神戸新聞社説-排外主義にあらがう/地域の「小さな輪」をつないで-
(「沖縄戦80年」・「戦後80年」の継承、「新しい戦前」)
高知新聞社説-【年初に 展望】「新しい戦前」払拭の道を-
徳島新聞社説-新年を迎えて 異論を大切にする社会に いま一度「不戦の誓い」を-

 今回は、「分断」克服の論点から、2026に向き合うことにする。

(1)朝日新聞社説-つなぐ’26 退潮する民主主義 「分断の罠」に陥らぬよう-

 朝日新聞は、最初に、「いま、世界の民主主義の現在地を考えてみたい。」、と俯瞰する。
 朝日新聞によるその俯瞰図。
1.世界における独裁的国家の数(91)が、民主的国家の数(88)を2002年以来初めて上回った――。スウェーデンの独立調査機関「V-Dem」は25年の報告書で「民主主義の後退がどれほど深刻化しているかを示すものだ」と警告した。共産主義と対峙(たいじ)した冷戦が終わり、軍配が上がったかにみえた民主主義は、試練にさらされている。
2.グローバル化の恩恵が市民に行き渡らず、富の偏在を生んだ。「取り残された」と感じる人々の、既存政治や社会への不満や憎悪がSNS空間で増幅され、分断が広がる。
3.一方、権威主義は市民を監視して異論を封じ、国家統制の下での意思決定も迅速で、一見効率がよい。我々にとって、民主主義は守るべきものなのか。そんな思いを抱く人も少なくないだろう。
 そして、「その価値とは何か。自由のない抑圧から解放され、新たな芽吹きに期待が膨らむ戦後間もなく、旧文部省が刊行した中高生向けの教科書『民主主義』の記述が示唆に富む。」、とその俯瞰図を説き明かす。
 次に、「民主国家の強みとは」と次のように説く。
1.民主主義の強みは、市民が個人として尊重され、その自由と平等を根底に置いていることだ。熟議に時間はかかる政治システムだが、「誤りに陥っても、それを改めることができる」修正力を与える。例えば、政治腐敗を選挙で正す。真実を覆い隠した米国のベトナム戦争も、市民の声によって政策転換させた。
2.独裁政治は、政府の過ちを批判しようとする声を権力が封殺し、「自分の陥った誤りを改めることができない」。
3.米国務省と米国大使館が運営する「アメリカンセンター」のウェブサイトにも「民主主義とは何か」が掲載され、「政府を法の支配下に置き、すべての市民が法の下で平等な保護を受ける」こと、「多数の意思を尊重する一方で、個人および少数派集団の基本的な権利を熱心に擁護する」ことなどが並んでいた。
4.だが、昨年にはそれらのページが削除されていた。トランプ政権の再登板と関係があるかは定かではない。戦後、法の支配に基づく国際秩序を牽引(けんいん)してきた米国だが、現政権は昨年11月に策定した国家安全保障戦略で「米国が世界秩序全体を支える時代は終わった」と宣言。米大統領は、自身の疑惑を追及した検察官を解雇したりして司法に露骨に介入するなど、三権分立の破壊を進めている。
5.3年前の新年の社説で我々は「民主主義を守り育む」と退潮を懸念しつつ、復調にも期待を示した。しかし、状況は当時より悪化している。
6.米政権が国際開発局による対外援助活動を打ち切って、東南アジア諸国での民主化支援が滞り、中国やロシアを利している。ドイツやフランスなど欧州でも反移民の極右政党が台頭している。
 また、世界の状況の悪化について、「退潮測る四つの指標」、と指摘する。
1.民主国家が、どう権威主義に傾斜していくのか。米NGO「フリーダムハウス」は22年の報告書で、民主主義が後ずさりしていないかを見分ける「四つの指標」を提示した。
2.一つ目は、権力者が司法の独立を弱めるなど「法の支配の弱体化」。
3.二つ目は、不透明な資金調達や選挙規則の操作など、公正・中立な選挙への疑念。
4.三つ目は、ジャーナリストへの攻撃や情報へのアクセス制限など「報道の自由への攻撃」。
5.最後は、社会的弱者が直面する「移民への差別・不当な扱い」だ。
 その上で、「旧文部省の教科書でも『独裁主義は、民主化されたはずの今後の日本にも、いつ、どこから忍びこんでくるかわからない』と民主主義の脆弱性を指摘し、市民の自覚と批判的精神が必要だと強調した。」、と衝く。
 次に、「日本にも押し寄せる波」、と日本社会の現状を「日本の現在地はどうか」、と衝く。
1.民主主義が揺らぎつつある。四つの指標に照らせば、高市政権が意気込むスパイ防止法は、権力を法で縛る「法の支配」から、法で市民の権利を狭める転換点になりうる。報道活動の萎縮を生む特定秘密保護法に続き、「外国から日本を守る」ことを名目に言論への規制を強めかねない。
2.自民党が政治とカネの問題を封印し、与党に有利な選挙制度の改変で、少数政党を恣意的に排除しないか。外国人受け入れ制限で政府の有識者会議が始動したが、日本でも排外主義がはびこらないか。
3.民主主義の大敵は「分断」だ。排外主義や威勢のよい主張で民衆の支持を得るポピュリズムの波が日本にも押し寄せる。それは生活への不満など政治や社会のゆがみの裏返しでもある。そのゆがみを修復できるか。逆にポピュリズム政治家がそれをまた利用して恐怖をあおるのか。いま分岐点にある。流れに任せて分断が深まれば、相手を敵視して憎悪を生み、やがて権威主義的な色彩を強めてゆく。
 最後に、朝日新聞は、次のように締める。
 「民主主義は、過去試練にさらされても復元力を見せてきた。意見や立場は異なっても互いを尊重し、対話を通じて妥協点とつながりを見いだしていく。政治も市民もこの理念と強みを見つめ直し、分断の罠に陥らぬようにしたい。」、と。
(https://www.asahi.com/articles/DA3S16374476.html 参照)

「民主主義が後ずさりしていないかを見分ける『四つの指標』」(米NGO「フリーダムハウス」)-「法の支配の弱体化」・「公正・中立な選挙への疑念」・「報道の自由への攻撃」・「移民への差別・不当な扱い」-。
 「トランプ2.0」は、民主主義の後退として、明らかに危険水域にある。
 では、日本社会がどうなっているのか。
 実は、安倍晋三政権以来の政治運営及び社会状況は、まさに、このことに当てはまる。

(2)中國新聞社説-不寛容の時代に 分断でなく「第三の道」探ろう-

 中國新聞は、最初に、日本社会の現状を「新年をことほぐ気持ちに影を落とすのが、社会に広がる分断である。」と指摘し、その社会を「立場の違う人を受け入れぬ『不寛容の時代』」と位置づけ、2026年を「いかに克服するか、模索する年になろう。」、と説く。
 また、「昨年発表された曲で印象に残った一つが、宇多田ヒカルさんの『Mine or Yours』だった。直訳すれば『私のものか、あなたのものか』。『僕』の視点で、ずっと一緒にいたい『君』との日常を歌う。」、と取り上げる。
 この曲に対して起こった反響について、中國新聞は、「別姓答申から30」と次のように押さえる。
1.こんな歌詞がある。〈令和何年になったらこの国で夫婦別姓OKされるんだろう〉。二人は好みの違いや互いのアイデンティティーを尊重しながら生きていく。その一つに姓があり、選べることが大事なのだ。
2.ところがネット上には宇多田さんの曲を「もう聞かない」と批判が飛び交った。別姓が日本の伝統や家族の絆を破壊するという根拠のない主張とともに。
3.1996年に法相の諮問機関、法制審議会が選択的夫婦別姓制度の導入を答申して、ことしでちょうど30年になる。
4.国連の女性差別撤廃委員会は再三導入を勧告している。同姓を強いる民法の規定を「差別的」だとして。夫と妻のどちらの姓を選んでもいいのに、95%は女性が変えているからだ。
5.昨秋に誕生した高市早苗政権は、結婚前の旧姓の通称使用を法制化する方針でいる。意図は選択的別姓制度導入への一里塚ではない。高市氏を支持する保守層の家父長的な価値観に沿う戸籍上の同姓固定化だ。
6.もとより名前は個人を形づくる重要な要素である。その選択を奪う不平等を放置したままでは解決にならない。結婚前から積み上げた実績や仕事の評価の断絶も完全には避けられない。
 この状況を、中國新聞は、「姓を巡る議論は出尽くしたはずだ。それなのに意見の対立を乗り越え、社会を前に進める役割を政治は果たしていない。」、と突きつける。
 さらに、中國新聞は、「広がった排外主義」について指摘を行う。
1.昨夏の参院選で「日本人ファースト」を掲げた参政党が伸長した。排外主義的な主張を自民党などは厳しく批判すべきなのに同じ土俵に乗った。差別をあおる言説が「票になる」と飛びつく姿に目を覆いたくなった。
2.生活の苦境や将来への不安がこうした訴えを広げたことを見逃してはならない。
3.排外主義者が主張するような特権はなく、外国人犯罪も統計上は減少傾向にある。それなのに「自分が守られないのは、外国人が守られているからだ」という空気が急速に広がった。
4.国民の暮らしに真摯(しんし)に向き合ってこなかった既存政党の振る舞いが生んだのは、経済的・社会的な「強者」と「弱者」の分断だけでなく、実は「弱者」同士の分断ではなかったか。政権は外国人労働者の受け入れ制限にも手をかけようとしている。
 最期に、2026年1月1日の朝に、中國新聞は「押しつけの『正義』」に「異」を唱える。
1.高市氏が意気込む「積極財政」と「安全保障」も不安要素だ。
2.強い経済を目指すとする財政出動が、円安や物価高を加速させれば格差は広がる。防衛力の強化は「力の信奉」に他ならない。非核三原則の見直し検討や側近による「日本は核保有すべきだ」発言は論外である。
3.政権の振りかざす「正義」が、気に入らぬ意見を「反日」などと決めつけて攻撃する強い言葉と結びついた時、刃(やいば)となって暴走する。単純な二元論で相手を切り捨てるのではない「第三の道」が必要だ。
4.事実を基に対話を重ね、分かり合えないことを分かり合う。複雑な事情にも耳を傾ければ共有できる部分が見えてくる。粘り強さを強いるが、個人が互いに尊重し合うことは民主主義の土台である。
5.相手を理解し、歩み寄ろうとすることで、正義の刃をむき出しにする人が実は社会のひずみに苦しんでいることや、弱者同士の対立で得をしているのは誰なのかという構造的な問題が浮かび上がってくるはずだ。不寛容を問うことが、国民本意の政治を取り戻す一歩になる。
(https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/766805 参照)

 やはり、「分断」を克服するためには、「沖縄戦80年」、「戦後80年」の実相が示してきたように、不寛容を国是にすることこそが、大事なことである。


by asyagi-df-2014 | 2026-01-11 19:31 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

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