2026年1月1日の朝、社説・論説・主張等を読む。(2)
2026年 01月 10日
2026年1月1日の朝、各新聞社の社説・論説・主張等を読む。
2026年に、正対して、真摯に向き合うために。
この日の朝に、確認した社説等を、標題から「民主主義社会の未来」、「分断」、「排外主義」、「『沖縄戦80年』・『戦後80年』の継承、『新しい戦前』」の四つに区分けすると次のようになる。
(民主主義社会の未来)
琉球新報社説-2026年を迎えて 夢を語り、理想掲げよう-
沖縄タイムス社説-時代の分岐点で 非戦・共生の東アジアを-
毎日新聞社説-海図なき世界 「ポスト真実」超えて 未来を描き社会を変える-
北海道新聞社説-分岐点’26>ポピュリズム考 民主主義の軌道を正す-
読売新聞社説-知力、体力、発信力を高めたい 世界秩序の受益者から形成者に-
新潟日報社説-2026年を迎えて 平和の尊さをかみしめる-
日本農業新聞論説-国際女性農業従事者年 誰もが生きやすい社会へ-
熊本日日新聞社説-新しい年を迎えて 民主主義を確かなものに-
(分断)
朝日新聞社説-つなぐ’26 退潮する民主主義 「分断の罠」に陥らぬよう-
東京新聞社説-年のはじめに考える 「怒」を「恕」に変える-
中國新聞社説-不寛容の時代に 分断でなく「第三の道」探ろう-
西日本新聞社説-新年に考える 分断をほどく鍵は足元に-
静岡新聞社説-年のはじめに 分断克服し平和を守れ-
(排外主義)
信濃毎日新聞社説-共同体と外国人 郷に従え―と言うよりも-
神戸新聞社説-排外主義にあらがう/地域の「小さな輪」をつないで-
(「沖縄戦80年」・「戦後80年」の継承、「新しい戦前」)
高知新聞社説-【年初に 展望】「新しい戦前」払拭の道を-
徳島新聞社説-新年を迎えて 異論を大切にする社会に いま一度「不戦の誓い」を-
今回は、「排外主義」の論点から、2026に向き合うことにする。
(1)神戸新聞社説-排外主義にあらがう/地域の「小さな輪」をつないで-
神戸新聞は最初に、日本社会の有り様を「日本には既に395万人を超える外国人が暮らし、幅広い分野でともに社会を支えている。『多文化共生』は遠い理想ではなく、私たちが生きる現実の課題である」と位置づけ、日本社会の「排外主義」の現状を次のように分析する。
1.日本には既に395万人を超える外国人が暮らし、幅広い分野でともに社会を支えている。「多文化共生」は遠い理想ではなく、私たちが生きる現実の課題である。
2.高市政権は「排外主義とは一線を画す」と言いながら、外国人を規制の対象としか見ないような政策に前のめりだ。昨年の参院選で急浮上した排外的な主張がこのまま日本社会に根を張るのか、2026年は重大な岐路を迎える。
その上で、「国籍や文化的背景、価値観の違いを抱えた人々が、互いに安心して暮らすために何ができるだろう。地域と国の動きから考えたい。」、と日本社会の現状を示す。1.昨年11月、豊岡市の芸術文化観光専門職大学で、学生らがプロとの協働で制作した舞台「もう風も吹かない」が初日を迎えた。平田オリザ学長が作・演出を手がけ、03年に桜美林大学演劇コースの卒業公演でも上演された。舞台は近未来の40年、国際協力機構(JICA)が開発途上国支援で続けてきた海外協力隊の訓練所。財政破綻した日本は海外支援の停止を決め、最後の派遣候補となった若者たちが葛藤する姿を描く。
2.再演が決まった後、アフリカとの交流強化を図るJICAのホームタウン事業が「移民が増える」との誤情報で撤回に追い込まれ、20年前の作品は一気に現実味を増した。3.平田さんは「自国第一主義が広がる世界で人を助けることや平和の意味、自分はどう関わるかを学生たちと深く考える機会になった」と話す。
次に、「異質なものへの不安」、と日本社会の現状を分析する。
1.政府が「秩序ある共生社会」を掲げ、外国人の受け入れに関する関係閣僚会議を発足させた昨年11月、全国知事会は「排外主義を強く否定し、多文化共生社会の実現を目指す」とうたう共同宣言をまとめた。
2.約230万人の外国人労働者が全国34万カ所の事業所で働き(24年10月現在)、外国人住民が増加する中で外国人刑法犯の摘発数は05年以降、減少傾向にある-。宣言は数字を示して交流サイト(SNS)上に出回る「外国人犯罪が増えた」などのデマを打ち消し、外国人は「地域社会になくてはならない存在」と訴えた。政府には「正確なデータに基づく情報発信」を求め、日本語教育や生活支援などに国が責任を持って当たる基本法の制定などを提言した。
3.背景には人口減少と高齢化が進み、農業や介護が成り立たない地方の切実な事情がある。自治体は同時に、住民登録している人には国籍にかかわらず住民として接する責務があり、住民間の摩擦の対応にも追われる。国の議論が規制一辺倒に傾けば地域の分断を招きかねない。地方の実情に基づき、国の暴走にくぎを刺すメッセージは重要だ。
4.排外主義の根底にある不公平感や社会不安の本当の要因を直視する必要がある。これまで政府は「移民政策は取らない」としながら外国人労働者の受け入れを拡大し、共生策を自治体に丸投げしてきた。場当たり的な政策の穴から目をそらし、批判の矛先を「異質なもの」に向ける空気を放置すれば、不安が消えるどころか息苦しさは増すだろう。
さらに、「排外主義」を克服する道筋を「顔の見える関係から」、と次のように示す。
1.2年ほど前からネパールなどの外国人住民が急増している神戸市東灘区。「外国人がごみ出しのルールを守らない」、深夜のコンビニ前で話し込む外国人の集団に「どう注意したらいいか分からない」といった相談が寄せられるようになった。調べると、日本語のルール説明が理解できない、アルバイト先に向かうバスを待つために集まっている、などの事情があった。簡易な日本語で話しかければ伝わることも分かった。
2.区はまず「顔の見える関係づくり」をと、自治会長らの協力を得て、地域の行事や防災訓練などへの参加を粘り強く呼びかける。
3.同区に拠点を置く認定NPO法人コミュニティ・サポートセンター神戸は、「世界とつながるカフェ」を始めた。日本語学校の留学生と地域住民がテーブルを囲み、おにぎりを食べながら交流する。ネパールの留学生ラクシュミさん(21)は、介護福祉士の資格を取って経験を積み、将来は母国で介護施設を開くのが夢だ。普段日本人と話す機会はほとんどないといい、参加者の質問に笑顔で答えていた。
古部新聞は、2026年1月1日の朝に、次の希望で締める。
「単身者や高齢者、障害のある人、子育てに悩む親など、地域とのつながりを要する人は外国人だけではない。一つの輪は小さくても、いくつもつなぎ合わせて誰も取り残さない安全網を築けないものか。地域社会に蓄積された小さな共生の輪を探し、希望を見いだしたい。」、と。
(https://www.kobe-np.co.jp/opinion/202601/0019870130.shtml 参照)
「排外主義」は、外国人だけではなく、「単身者や高齢者、障害のある人、子育てに悩む親など、地域とのつながりを要する人」(神戸新聞)との関係も壊すものである。
確かに、「地域社会に蓄積された小さな共生の輪」の力を大きくしたい。
(2)信濃毎日新聞社説-共同体と外国人 郷に従え―と言うよりも-
信濃毎日新聞は、最初に、日本社会の有り様を、「『郷に入っては郷に従え』。昨年来、外国人政策をめぐる話題でよく耳にするようになった。よその土地に入るなら、その文化や習慣を尊重した方がいい―。新天地に飛び込む者の心得だ。それを、受け入れる側が声高に語ればどうなるか。よそ者は出て行けと言わんばかりの重苦しい空気が広がりかねない。」、と語り始める。
では、それとは違う有り様はどういうものなのか、信濃毎日新聞は、「『老舗』の挑戦」として示す。
1.外国人の旅行者や移住者を多く迎えている地域を訪ねた。
2.「自分たちの生活が守れないと思えば、排外的な気持ちになるのも理解はできますよ」。新潟県境に近い野沢温泉村の坂井俊さん(66)が語る。江戸時代以来の自治組織「野沢組」の惣代(そうだい)だ。
3.雪質のいいスキー場と温泉が人気で、もともと外国人は多かった。やがて外国人による宿泊施設や空き家の売買が盛んになり、横文字の看板が目立ち始めた。
4.広大な山林や水源、温泉源を管理し、地縁で強く結び合ってきた共同体はすでに、若者の流出などでほころびが出始めていた。代々守ってきた地域や暮らしはどうなるのか。不安の声が住民から寄せられるようになった。
5.そこで野沢組はどうしたか。
6.「外国人委員会」をつくり、働きかけに本腰を入れ始めた。宿や飲食店の外国人経営者らを通じ、共同湯の入り方、ごみの分別、雪の片付け方といった約束事への理解を求め、交流を重ねた。
7.6年目を迎え、共同湯の掃除や祭礼などに外国人スタッフらが参加し、自主制作ビデオを使って旅行者に地域ルールを周知するなど協力が広がりつつある。全630戸のうち、組員になる外国人の家も20戸ほどと増えつつある。
そして、「コミュニケーションがないところに不安は生じる。『互いを知れば人間はみな同じだと分かりますよ』。坂井さんの手応えだ。」、と。
また、「煽られやすい時代」、と日本社会の現状から今を見つめる。
1.外国人が増え続けている。法務大臣の勉強会は昨年、総人口に占める割合が2040年にも欧米並みの10%超になるとした。これまでの推計より30年早まるという。
2.急な変化は摩擦も生む。真偽不明の情報がSNSを駆けめぐり、政治にも波及。昨夏の参院選などで外国人政策は一大争点に浮上した。排外主義と一線を画すとしながら「秩序」を強調する高市早苗政権が今月、対応策を示す。「帰化」要件や出入国管理の厳格化など規制を強める方向だ。
3.他方、バブル後の「失われた30年」で日本人の世帯収入は減り続け、多くの人が将来不安を抱える。高級マンションを爆買いしている、福祉にただ乗りしている…などと、外国人が不満のはけ口にされているとみる識者は多い。
4.そこまで私たちは余裕を失い、変わってしまったのだろうか。
5.「排外主義の人が増えたとは思いません。そういう言葉がはびこりやすい環境になったということではないですか」。そう語るのは野沢温泉村と並ぶ北信地方のスノーリゾート、山ノ内町のケビン・マヤソンさん(62)だ。
6.米国出身で、バブル全盛の頃に来日。東京で経営していた会社を売却し、軽井沢町を経て3年前にやって来た。
7.来日当時から差別的な人はいたと言う。では何が変わったのか。日本人を優先せよ、ルールを守れないなら出て行け―と、以前ならはばかられた言葉を政治家らが口にし、SNSが悪意を増幅、拡散するようになった。
8.煽(あお)られやすい時代だとマヤソンさんは感じる。だからこそ、互いの顔が見える「リアル」な交流の場をつくろうと考えた。
9.町内では、主産業の温泉街、農園、スキー場に欠かせない働き手としてアジア系の移住者が増えている。昨年11月、住民らと協同して、タイやベトナムなどの食材を扱う店を開いた。次は農産物市場、立ち飲みバー、コワーキングスペースも―と夢を広げる。
10.時を同じくして、町社会福祉協議会もアジア系住民らとの共存の場づくりに乗り出した。日本語教室や生活相談、起業支援などを通じ、誰もが暮らしやすい共同体を育もうとしている。
11.彼らの少なからずが家族への仕送りで生活を切り詰め、職場以外で日本人と知り合う機会もなく、仲間内のコミュニティーで孤立しがちだという。「言葉も文化ももっと知りたい」。日本生まれの娘がいるネパール出身のホテル従業員(36)は期待を寄せる。
12.人口の急減で先細る地域を、さまざまな人が行き交うようになった。その一人一人は、ともに地域を支え、立て直していく仲間になり得る存在である。
13.「共存できなければ廃れるだけ。『郷に従え』でなく、いかに気持ちよく協力し合えるかです」。野沢組惣代、坂井さんの言葉だ。
最後に、信濃毎日新聞は、「ともに将来を描く」と示すことで締める。
「地道な働きかけを重ねた今、委員会の名称から「外国人」を外す検討を始めている。分け隔てする必要を感じなくなるかかわり合いをどうつくっていくか。「郷」の側からこそ、知恵を絞ろう。」、と。
(https://www.shinmai.co.jp/news/article/gf01d5aakiufm43p2oigs1rg 参照)
「排外主義」を作りだしている現状は、「来日当時から差別的な人はいたと言う。では何が変わったのか。日本人を優先せよ、ルールを守れないなら出て行け―と、以前ならはばかられた言葉を政治家らが口にし、SNSが悪意を増幅、拡散するようになった。」(信濃毎日新聞)、と示す。
では、「排外主義」を超えるためには、何が。
「コミュニケーションがないところに不安は生じる。『互いを知れば人間はみな同じだと分かりますよ』」(信濃毎日新聞)とし、「ともに将来を描く」(信濃毎日新聞)ことで。
by asyagi-df-2014
| 2026-01-10 20:15
| 書くことから-いろいろ
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