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パレスチナの国家承認。(2)

 パレスチナの国家承認に向けて、2025年9月22日現在、フランスや英国、カナダ、ポルトガルがパレスチナを正式に国家承認する見通しとなっている。

 実は、このことについて、沖縄タイムスは(「パレスチナ問題 主体的判断で承認せよ」-2025年9月22日)、琉球新報は(「パレスチナ国家不承認 日本の信頼失われないか」-2025年09月23日)、と両者は社説で論評した。
 この二社の社説で、沖縄の視点を通して、パレスチナを考える。

(1)沖縄タイムス社説

 沖縄タイムスは、最初に、日本政府の国家承認への対応について、「パレスチナの国家承認を巡り、日本政府が見送る方針を表明した。承認によりイスラエルが態度を硬化させ、ガザの情勢が悪化することを懸念したというが、理解に苦しむ。」、と突きつける。
 このことに関する、沖縄タイムスの把握。
1.パレスチナはこれまでに約150カ国が国家として承認している。イスラエルの一方的な攻撃を受け、G7加盟国としては初めてフランスや英国、カナダも承認する見通しだ。
2.そうした中、日本が見送る背景には承認に反対する米国との関係を重視したことがある。
3.米国は7月以降、日本に対して複数の外交ルートで承認を見送るよう要請。石破茂首相の側近は「パレスチナには申し訳ないが、日本外交の基軸は日米同盟だ」と語った。
 その上で、「国際社会からの信頼を失いかねない。『属国』のような対応だ。」、と日本政府のあり方を批判する。
 また、現在のイスラエルによるガザ攻撃について、「もはや虐殺」、と次のことを示す。
1.イスラエルのガザ攻撃はもはや虐殺だ。国連人権理事会の調査委員会は今月、ネタニヤフ首相らがパレスチナ人に対する「ジェノサイド(民族大量虐殺)」を扇動したと結論付けた。
2.委員会が判断の根拠としたのは、ナチスドイツによるユダヤ人虐殺の教訓から生まれた国連の「ジェノサイド条約」だ。ネタニヤフ首相は、自らの行為が同様と見なされた重みを自覚しなければならない。
3.国際社会の非難にもかかわらず、イスラエルは新たにガザ市中心部へ侵攻している。ハマスの掃討が目的だが、多くの民間人が巻き込まれるに違いない。
4.承認により多くの国が連帯してイスラエルへ強い警告を表明する時だ。
 さらに、日本政府のあり方について指摘する。
1.日本はイスラエルとパレスチナが共存する「2国家解決」を支持する立場だ。
2.岩屋毅外相は21日のテレビ番組で、イスラエルの今後の対応次第ではパレスチナの国家承認やイスラエルへの制裁を検討するとした。
3.2年近い戦闘と人道支援の遮断による飢餓でガザの死者はすでに6万5千人を超えた。大量の大型爆弾投下で街はがれきと化している。
4.そうした中でも地上戦を強行するネタニヤフ首相の真の目的は「ガザの殲(せん)滅(めつ)」ではないのか。このまま攻撃にさらされれば2国家解決の前提が崩れかねない。
5.英国などはイスラエル極右閣僚らの入国禁止措置に踏み切っており、経済制裁も辞さない構えだ。
6.飢餓や大量殺害を見過ごすことは許されない。日本は今からでも方針転換すべきだ。
 さらに、「米国の責任も大きい。」、と米国政府のあり方に向けて、次のことを指摘する。
1.戦闘開始以降、停戦や飢餓状態の解消などガザを巡る国連安全保障理事会の決議案について、常任理事国である米国の拒否権行使は7回にも及んでいる。
2.国家承認についても「ハマスを助長させるだけ」として否定するが、そもそもハマスが台頭した背景にはイスラエルによる抑圧がある。
3.このまま戦闘が続けば犠牲が増えるだけだ。
4.一刻も早い停戦へ、大国の責任を果たさなければならない。 
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1675296 参照)

 あわせて、沖縄タイムスは2025年9月23日、「パレスチナの現状に無関心でいることは、沖縄の声が県外から無視され、自ら意思決定できない現状を容認するのと同じこと。私たちは、本当にそれでいいのだろうか」、とパレスチナの問題を沖縄の問題の地平か、ら紙面で訴えている。

(2)琉球新報社説

 琉球新報は、最初に、日本政府のこの問題への対応を次のように指摘する。
1.岩屋毅外相がパレスチナの国家承認を見送ると表明した。国連総会と国連本部で開催されるパレスチナ問題解決に向けた首脳級会議に合わせて、先進7カ国(G7)の英国、フランス、カナダが承認を進める中での判断である。                 2.パレスチナ自治区ガザで飢饉が進行し、人道危機が極限状態に達する中、国際的圧力をかける最大のタイミングではないか。承認先送りは、日本外交の信頼が失われることにつながるのではないか。
3.岩屋外相は、現時点での承認は、イスラエルが態度を硬化させる懸念があり、停戦や中東和平の実現への影響は小さいとの見方を示した。また、林芳正官房長官は「いつ承認するかの問題だ。重大な関心を持ち総合的に検討する」と述べた。
4.岩屋外相はこの間、ガザへの物資搬入について各国の外相らと共同声明を発したり、イスラエルのサール外相に飢饉発生を「到底容認できない」と伝えたりしてきた。しかしイスラエルは、米国を後ろ盾に、強硬姿勢を変えないばかりか、停戦交渉の仲介国であるカタールを空爆して、交渉相手であるイスラム組織ハマスの幹部を殺害した。これ以上の残虐、横暴があるだろうか。
5.今回、英国、フランスなどが国家承認に踏み切るのは、それがイスラエルにとってより大きな圧力になるからである。                         
 その上で、日本政府の対応について、「岩屋外相から不承認方針を伝えられたイスラエルのサール外相が、『責任ある決定』に謝意を伝えたとX(旧ツイッター)に投稿したことがそれを裏付けている。米国も日本に承認しないよう要求していた。岩屋外相は『わが国が主体的に判断した』と述べたが、米国に追従したとみられても仕方がなかろう。」、と突きつける。
 最後に、琉球新報は、パレスチナ問題について触れる。
1..パレスチナ問題の直接の発端は、1947年の国連総会決議によるパレスチナの分割と翌年のイスラエル建国だ。
2.イスラエルを認めないアラブ諸国とイスラエルの4次にわたる戦争などを経て、1993年のオスロ合意で、2国家が共存する「2国家解決」を目指すことになった。
3.イスラエルの穏健派やパレスチナ自治政府が2国家解決を望む一方、双方に、相手の国家を認めない強硬派が存在した。イスラエルは入植地拡大を暴力的に続け、パレスチナの強硬派はテロで対抗してきた。2010年から米オバマ政権が和平に尽力したが、14年に暗礁に乗り上げ、16年からの第1次トランプ政権が極端にイスラエル寄りになり、現在の混迷に至っている。
4.2国家共存によるパレスチナ問題の解決は国際社会の責務である。
5.そして、何よりも停戦が先だ。日々、多くの命が失われている。1日でも1時間でも早く停戦し、人道支援をする必要がある。日本はパレスチナ国家承認を先送りせず、国際的圧力の一翼を担って米国とイスラエルを説得し、停戦実現に積極的な役割を果たすべきである。
(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-4640277.html 参照)

 何とまあ、「岩屋外相から不承認方針を伝えられたイスラエルのサール外相が、『責任ある決定』に謝意を伝えたとX(旧ツイッター)に投稿した」(琉球新報)、というのだ。
 このことは、日本政府の「責任ある決定」は、イスラエルによる、ジェノサイドや民族浄化を後押しするということになる。。
 琉球新報の指摘につけ加えることは、1948年5月14日のイスラエル建国そのものが、パレスチナにとって、ジュノサイドであり、民族浄化であったということ。


by asyagi-df-2014 | 2025-09-26 12:36 | パレスチナ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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