人気ブログランキング | 話題のタグを見る

パレスチナの国家承認。(1)

 パレスチナの国家承認に向けて、2025年9月22日現在、フランスや英国、カナダ、ポルトガルがパレスチナを正式に国家承認する見通しとなっている。

 このことに関して、朝日新聞は2025年9月22日、「パレスチナの国家承認 『国際法上の国家』になるとは 撤回の場合も」(花房吾早子)、と次の記事を報じた。
1.英仏カナダがパレスチナを「国家承認」する方針を打ち出しています。国連などによると、すでに147カ国が国家承認をしていて、世界の約7割を超えます。一方、日本政府は当面の間、見送る方針です。そもそも「国家承認」とは何なのでしょうか。南山大の山田哲也教授(国際法)に聞きました。
2.「国家承認」とは、既存の国家が新たに誕生した国を国際法上の存在として承認する制度です。二国間でいろいろな条約を結んだり、互いに大使を送り合ったり大使館を設置したりすることができます。こうしたことは、相手を「国際法上の国家」と認めて初めてできることです。
3.「国際法上の国家」とみなすには、四つの要件を満たしている必要があります。
 ①継続して住む国民がいる
 ②境界線に囲まれた領域がある
 ③領域を実効的に支配し、統治する政府がある
 ④他国と関係をつくる外交能力がある
4.さらに第2次世界大戦後、国際連合憲章2条4項の「武力不行使の原則」や国際人権規約1条1項の「人民自決の原則」、基本的人権の尊重などを順守していることも、新国家成立の正統性を判断する基準として加わりました。
(「独立宣言」=「国家」ではない)
1.こんな例があります。1965年、アフリカ南部の南ローデシア(現ジンバブエ)で、少数白人政権がローデシアとして一方的に独立宣言をしました。アパルトヘイト(人種隔離)政策による差別が根強かった当時、宗主国の英国も国連も多数派の黒人による支配を独立の要件としていました。そのため、少数白人政権による独立国家を認めず、他国にも国家承認しないよう呼びかけました。
2.独立を宣言しても、他国が国家承認をしなければ「国際法上の国家」とは扱われません。法律の世界で「違法から権利は生まれない」と言いますが、重大な違反によって生み出された結果は認められないのです。
3.たとえば、ロシアは2014年、ウクライナ南部クリミア半島を独立国家として承認しました。さらに、ロシアへの併合を一方的に宣言。ロシア軍が占領する中での住民投票で賛成多数となった結果をもとにした宣言のため、クリミアをロシア連邦の国の一つと承認する国は、北朝鮮やニカラグアをのぞくとほとんどありません。
4.日本はこれまで、植民地支配から独立した国々を中心に新国家を承認してきました。近年では、南太平洋のニウエ(2015年)、クック諸島(11年)、アフリカの南スーダン(同)を承認しました。今年4月現在で、195カ国に日本の大使館を設置しています。
5.一方、北朝鮮を承認していません。2006年、当時の小泉純一郎首相は国会で、北朝鮮が「国際法を順守する意思と能力を有しているかについても考慮」したうえで承認していないと答弁しています。
(利益が絡む重い判断)
1.国家承認が撤回される場合もあります。                    2.コソボでは1990年、アルバニア系住民が「コソボ共和国」としてセルビアからの独立を宣言。もともと対立していたアルバニア系とセルビア系の間で紛争が起き、北大西洋条約機構(NATO)や国連の介入をへて、2008年にコソボ共和国として独立しました。日本など約100カ国が国家承認をしている一方、セルビアの影響を受ける中南米やアフリカなどの国々が国家承認を撤回したとされています。
2.ある国を承認するかどうかは、各国の判断に委ねられています。承認の背景には、承認する国やされる国にとっての政治的、経済的な利益が見え隠れすることもあります。
3.今回、日本政府がパレスチナの国家承認を見送る方針だということについて、驚きはありません。岩屋毅外相は今月16日の会見で「適切な時期・在り方を含めて、政府として、総合的な検討を継続している」と言っていて、いずれ条件がそろえば承認する用意があるという意味に私は受け取りました。
4.パレスチナが「国際法上の国家」となる要件を満たしていると言えるか、難しいです。パレスチナ自治区のガザとヨルダン川西岸を含め、明確な領域があるか、実効性を伴う政府があるか、は争点でしょう。
5.しかし、今はそうした疑問より、パレスチナが国家承認されることで、イスラエルの態度がさらに強硬になり、パレスチナの人道危機が改善しないのでは、という疑問が呈されている状況です。
6.逆に、欧米諸国は国家承認をすることで、イスラエルに圧力をかけ、ガザで続く「大量虐殺」と言える状況をやめさせようとしているのでしょう。
7.いずれにしても、国家承認を行うとは、国の外交政策にとって重い判断であることに変わりはありません。
(https://digital.asahi.com/articles/AST9M3H7VT9MUHBI01FM.html?pn=12&unlock=1#continuehere 参照)


by asyagi-df-2014 | 2025-09-25 12:35 | パレスチナ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人