関東大震災における朝鮮人虐殺に、きちんと向き合うこと。(2)
2025年 09月 29日
東京都の小池百合子知事は、関東大震災の直後に虐殺された朝鮮人犠牲者を追悼する9月1日の式典に、9年連続で、追悼文を送らないことになった。
このことについての社説等は、次のもの。
(2025年8月25日)
信濃毎日新聞社説-朝鮮人の虐殺 都知事は真摯に向き合え-
(2025年8月26日)
東京新聞社説-朝鮮人の虐殺 追悼文が「共生」の礎に-
(2025年8月30日)
朝日新聞社説-朝鮮人虐殺 今こそ向き合う姿勢を-
しんぶん赤旗主張-大震災と朝鮮人虐殺 問われているのは今の日本だ-
このことについて、信濃毎日新聞(「朝鮮人の虐殺 都知事は真摯に向き合え」-2025年8月25日)及び東京新聞(「朝鮮人の虐殺 追悼文が『共生』の礎に」-2025年8月26日)、の社説で、「9年連続で追悼文を送らない」ことが抱える問題を押さえる。
(1)信濃毎日新聞社説
信濃毎日新聞は、このことついて、このように始める。
1.東京都の小池百合子知事は今年もまた、1923年の関東大震災で虐殺された朝鮮人らを悼む式典に、追悼文を送らない考えだ。
2.不送付は9年連続になる。「全ての方々に慰霊の気持ちを表してきた」という説明もこれまで通り。心なしか、年々メディアの扱いも小さくなっている。
その上で、信濃毎日新聞は「この問題を軽んじてはならない。」と位置づけ、「関東大震災の朝鮮人虐殺は、民族差別とデマが引き起こしたヘイトクライム(憎悪犯罪)である。二度と繰り返さないために、痛恨の歴史と真摯(しんし)に向き合い続ける必要がある。」、と示す。
次に、関東大震災の朝鮮人虐殺にきちんと向き合うことの意味を示す。
1.震災は23年9月1日に発生し、直後から虐殺が始まった。
2.「朝鮮人が暴動を起こした」といったデマにあおられ、軍隊や警察だけでなく住民の自警団などが丸腰の朝鮮人らを暴行、殺害した。犠牲者は推計で1千~数千人とされる。
3.例年9月1日に墨田区の慰霊碑の前で、市民団体主催の追悼式典が開かれている。歴代の都知事が追悼文を寄せ、小池氏も初当選直後の16年には送ったが、17年から取りやめた。
4.朝鮮人虐殺は公文書でも裏付けられている史実だ。だが近年、SNSを中心に荒唐無稽な「否定論」が横行する。
5.追悼文の送付に後ろ向きな小池氏の姿勢は、こうした主張を補強する材料に使われ、在日コリアンなどへのヘイトスピーチを勢いづかせかねない。
6.実際、23年には朝鮮人への加害を正当化する主張をしてきた保守系団体が9月1日に碑の近くで集会を開き、「朝鮮帰れ」などとヘイトスピーチをした。
7.関東大震災から百年余。東京は一段と国際化が進み、多様なルーツの住民が暮らしている。訪日外国人も多い。虐殺の記憶は遠のいたけれど、足元には差別やヘイトの火種がくすぶっている。
8.韓国系民族学校にルーツを持ち、夏の甲子園に京都府代表で出場した京都国際高を誹謗(ひぼう)中傷する投稿もSNS上で相次いでいる。府などは今月、悪質な投稿の削除を京都地方法務局に要請した。
9.先の参院選では複数の政党が外国人排斥につながる政策を掲げ、外国にルーツのある人への偏見を助長する主張も見受けられた。これに対し小池氏は定例会見で「ヘイトスピーチなどの問題や、これが競い合って排他主義につながることは非常に危険」と述べ、共生に向けた議論を促した。
最後に、信濃毎日新聞は、このように社説を締める。
「であれば都政トップとして、差別とヘイトを許さない姿勢を明確に示すべきだ。追悼文の送付は、その一歩となる。」、と。
(https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2025082500118 参照)
(2)東京新聞社説
東京新聞最初に、「1923年9月1日の関東大震災では、多くの朝鮮人らがデマのために虐殺された。犠牲者の追悼は、繰り返してはならない「負の歴史」を直視することであり、多様な民族・人種の人々との共生に向けた礎となる。政治家は、その先頭にこそ立つべきだ。」、と突きつける。
では、この突きつけの意味は、どういうことであるのか。
1.大震災の直後、「朝鮮人が爆弾を投げた」「井戸に毒を入れた」などの悪質なデマが拡大。各地で官憲や民間で組織した自警団が朝鮮人らを殺害した。
2.内閣府の中央防災会議は2009年にまとめた報告書で、犠牲者を千~数千人としている。日本の近代史上、国内最大級の民族大量虐殺(ジェノサイド)である。
3.発生から102年がたち、歴史的事実の風化が危ぶまれる中、各地での追悼式典は、記憶を継承するための大切な取り組みだ。
4.昨年、千葉県の熊谷俊人、埼玉県の大野元裕両知事がそれぞれ地元での式典に初めて追悼文を送った。今年も送付するか否かは検討中といい、続けるよう求めたい。
5.東京都の小池百合子知事は、墨田区での式典に追悼文を今年も送らない方針を表明した。歴代都知事が1974年から送付し、小池氏も2016年は送ったものの、翌年から中止している。別の法要で全犠牲者を一緒に追悼していると説明するが、先人の努力を無にする行為ではないか。
6.虐殺の背景には、大火災に対する驚愕(きょうがく)や恐怖に加え、植民地支配下の人々への差別、抗日運動への警戒感があったと考えられる。
その上で、東京新聞は、「当時と状況は異なるものの、日本の国力低下や格差拡大で国民の不満や不安が鬱積(うっせき)しており、その矛先が再び、身近な外国人に向くことがあってはならない。」、と指摘する。
最後に、東京新聞は、日本の今の現状を通して、次のことで社説を締める。
1.7月の参院選で「日本人ファースト」を掲げた参政党が「外国人が優遇されている」などと事実と異なる主張を展開し、神谷宗幣代表は朝鮮人の蔑称も口にした。
2.埼玉県ではクルド人に対するヘイト行為が繰り返され、SNS上でも差別的な投稿が相次ぐ。
3.小池氏は参院選期間中の記者会見で、排外主義やヘイトを「非常に危険だと思っている」として懸念を表明したことがある。「分断」ではなく「共生」を目指す姿勢は評価する。
4.朝鮮人虐殺の事実を重く受け止め、哀悼の意を示してはどうか。政治家としての発信力の強さは、未来の蛮行を防ぐためにこそ使ってほしい。
(https://www.tokyo-np.co.jp/article/431055 参照)
関東大震災における朝鮮人虐殺は、「公文書でも裏付けられている史実」(信濃毎日新聞)であり、「日本の近代史上、国内最大級の民族大量虐殺(ジェノサイド)」(東京新聞)である。
したがって、私たちに求められていることは、「関東大震災の朝鮮人虐殺は、民族差別とデマが引き起こしたヘイトクライム(憎悪犯罪)である。二度と繰り返さないために、痛恨の歴史と真摯に向き合い続ける必要がある」(信濃毎日新聞)、ということ。
by asyagi-df-2014
| 2025-09-29 19:36
| 人権・自由権
|
Comments(0)

