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政府は、高額寮費制度見直しを凍結した。(1)

 日本政府(石破茂首相)は2025年3月7日、医療費の患者負担に月ごとの限度を設ける「高額療養費制度」の見直しをめぐって、制度見直しをいったん全面的に凍結することを決めた。このことにより、2025年8月からの負担限度額の引き上げは見送られた。

 このことに関して、朝日新聞は2025年3月7日、「高額療養費の今夏引き上げ、首相が見送り表明 批判の強まりを受け」、と次のように報じた。
1.石破茂首相は7日、医療費の患者負担に月ごとの限度を設ける「高額療養費制度」の見直しをめぐり、今年8月の負担限度額の引き上げを見送る方針を表明した。与野党や患者団体からの批判の強まりを受け、3度目の方針転換で制度見直しをいったん全面的に凍結することを決めた。政府・与党は、参院で審議中の2025年度当初予算案の再修正に向けて調整に入った。
2.首相は同日夜、全国がん患者団体連合会の幹部らと首相官邸で面会し、凍結を求める声などが記された約3600人分のアンケート結果を受け取った。その後、自民党の森山裕、公明党の西田実仁両幹事長とも面会し、凍結方針を伝えた。首相は記者団に「検討プロセスに丁寧さを欠いたとのご指摘を政府として重く受け止めねばならない。患者の皆様にご不安を与えたまま、見直しを実施することは望ましいことではない」と述べ、今年秋までに見直し内容を改めて検討するとした。
3.同連合会の天野慎介理事長は面会後、「首相の決断に感謝したい。ただ、短期間で(見直し内容が)審議され、同様の引き上げ策が出てくることを懸念する」と話した。
4.政府の当初案では、25~27年にかけて3段階で負担限度額を引き上げるとしていた。最終形では、70歳未満の真ん中の所得区分の人は、現行から5万8500円増の13万8600円にする計画だった。
5.しかし、患者団体などの要望を受け、2月中旬に長期間の治療が必要な人の負担増を見送る方針を表明。同月末には、第1段階にあたる今年8月の引き上げは「経済物価動向の変化」に対応するため実施するが、26年と27年はいったん凍結するとした。
6.政府はその後も、「高額療養費の総額は、医療費全体の倍のスピードで伸びている。制度の持続可能性の維持と現役世代の保険料負担抑制の観点から見直しを行う」と繰り返し説明。しかし、「受診控えにつながる」との懸念は強く、患者団体や野党の理解は得られなかった。今夏に参院選を控えるなか、自公の反発も強まり、全面凍結に至った。
7.立憲民主党の野田佳彦代表は7日、記者団の取材に対して、全面凍結を評価しつつ「判断が遅かった。患者団体の声を聞いていれば、こんなことになっていなかった。政策決定プロセスに問題があった」と指摘した。
8.制度見直しの一部凍結などを反映した25年度当初予算案の修正案は4日に衆院を通過し、現在は参院で審議されている。今回の全面凍結に伴い約100億円の支出増になるため、予算案は再び修正される見通し。参院で再修正案が可決されれば、衆院に戻して再度議決する必要がある。予算案が参院で修正されれば09年以来で、極めて異例だ。
9.当時は参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」で、麻生太郎内閣のもとで2兆円の定額給付金を盛り込んだ08年度第2次補正予算案が参院で修正された。
(高額療養費制度とは)
1.大きな手術などによって医療費の支払いが膨らんだ際、所得などに応じた限度額を上限に負担を抑える仕組み。所得区分は現行、70歳未満で五つ、70歳以上で六つ。例えば、70歳未満で真ん中の所得層の場合、30万円の窓口負担でも実際の支払いは8万7430円となる。
2.政府は当初、限度額の計算のもととなる基準額を2025年8月から27年8月まで、3段階で引き上げる想定だった。70歳未満の場合、第1段階では現行の区分のまま2・7~15%を増額。26年8月以降は区分を細かくした上で、基準額を上げる考えだった。最終形で真ん中の所得区分となる人は、現行から5万8500円増の13万8600円に引き上げられるとしていた。
(https://digital.asahi.com/articles/AST370RS3T37UTFL007M.html?pn=3&unlock=1#continuehere 参照)

 また、朝日新聞は同日、このことに関して、「高額療養費制度の見直し、二転三転して凍結 首相にあきれる自民幹部」(森岡航平、吉備彩日、笠井哲也)、と次のように報じた。
1.高額療養費制度の見直しについて、石破茂首相が見送りの判断に追い込まれた。制度案を2度修正し、新年度予算案が衆院を通過した直後の異例の事態。選挙を控えて世論に敏感になる党内を抑えられなかった首相の迷走は、政権基盤のもろさを如実に示している。
2.「本年8月に予定されている定率改定を含め、見直し全体について実施を見合わせるという決断をした。患者の皆様にとって大切な制度が、持続可能なものとして次の世代に引き継がれるよう努力したい」
3.7日午後8時、官邸での患者団体との面会に続き、自民、公明両党の幹事長とも面会した首相は、記者団にこう表明した。
4.この間、野党、省庁、当事者ら各方面の声に囲まれて、首相の判断は二転三転した。最終的に判断を覆したのは、夏の参院選への影響を恐れる与党内の声に抗しきれなくなったからだ。
(「与党は混乱状態だ」)
1.政府が昨年末に決めた高額療養費制度の見直しが焦点になったのは、新年度予算案の審議が本格化した1月末。患者の不安を訴えた立憲民主党議員の質問がきっかけだった。所管する厚生労働省が、患者や関係団体の意見を十分聞いていなかったことも明るみに出た。
2.首相は当初、周囲に「凍結も考えざるを得ない。もう取り返しがつかない事態だ」と語り、全面凍結も視野に入れる考えを示した。少数与党で、野党の賛同を得ないと予算案の衆院通過を見込めないため、与党内でも凍結を促す声が強まった。
3.一方で、厚労省や財務省は方針転換に抵抗した。立憲の野田佳彦代表の予算委での質問を翌日に控えた2月27日夜、首相は福岡資麿厚労相や加藤勝信財務相らとひそかに面会。3段階の限度額引き上げのうち、今年8月の第1段階だけを実施する「部分凍結」の方針を決めた。
4.複数の関係者によると、首相は事前に野田氏とも秘密裏に接触し、全面凍結には応じられない意向を伝えたという。28日の予算委で首相は野田氏の質問に、前日に決めた方針の通り部分凍結を表明。野田氏は予算委後、「期待はずれだった」と漏らしたが、予算案の採決は容認した。3月4日、予算案は自民、公明、日本維新の会などの賛成多数で可決され、この問題は決着したかに見えた。
5.だが翌5日、風向きが一変する。参院予算委での審議の冒頭、野党側の求めで参考人として出席した全国がん患者団体連合会の轟浩美理事が、当事者らの切実な声を紹介し、改めて全面凍結を求めた。
6.多くの政府関係者にとって想定外だったのは、首相が患者団体と面会する場を設けると約束したことだ。政府高官は「パフォーマンスが過ぎる。世論で同情論が強まれば、冷静な議論ができない」と顔をしかめたが後の祭り。厚労省関係者は「首相の答弁はアドリブだ。面会して何もなし、というわけにはいかない」と頭を抱えた。
7.与党内の動きも激しくなった。予算委でのやりとりの3時間後、公明の斉藤鉄夫代表が急きょ官邸に首相を訪ね、約30分面会した。斉藤氏は「(部分凍結は)理解が得られていない」と再検討を迫った。
8.同日午後の予算委では、自民党の佐藤正久氏が「ねじれ国会」を生んだ2007年の参院選を取り上げ、「年金と社会保障で大惨敗した。高額療養費制度の方針は、国民の理解がまだまだ得られていない」と異を唱えた。翌6日の予算委では、公明の谷合正明氏も「政府の方針は分かりにくい。命に関わることで、改めて多様な国民の声を聞いて判断してほしい」と要望。首相周辺が「佐藤さんはいつから野党になったんだ」と驚くほど、「負担増」のイメージに対する参院側の忌避感は強かった。
9.7日朝、首相はあらためて福岡厚労相、加藤財務相と官邸で会談し、全面凍結の方針を決めた。予算の再修正が必要となる事態に、自民幹部は「患者団体の受け止めは厳しいと早々に官邸に伝えていた」とあきれる。公明幹部も「与党は混乱状態だ」と漏らした。
10.官邸の幹部官僚は嘆く。「衆院通過後の予算修正など、役人としては『まさか』だ。あり得ないことが続いている。政治に振り回されている」
(子ども関連政策への財源は?)
1.政府が、今夏から3段階で想定していた高額療養費制度の見直しの全面的な「凍結」方針を固めた。参院選をにらみ懸案を先送りした形だが、そもそもの見直しの目的は子ども関連政策の財源確保。代わりの財源探しは避けられない。
2.高額療養費制度の見直しに向けた布石は、2023年に閣議決定された「改革工程」だった。
3.同時期に決まった「こども未来戦略」では、児童手当の大幅拡充など年3.6兆円規模の対策を盛り込んだが、当時の岸田文雄首相は財源としての「増税」の議論を封印。対策のうち1.1兆円は28年度までに社会保障の歳出削減で賄う予定とした。その削減候補を示したのが「改革工程」。検討項目の一つに制度見直しが挙がった。
4.だが、次のハードルでつまずいた。
5.高額療養費は、法改正を経ずに閣議決定で制度の見直しができる。厚生労働省内にも「できれば手をつけたくない」(幹部)という声があったが、国会で政治課題になることを避ける狙いもあり、数ある削減項目の中で白羽の矢が立った。同省は、24年6月にまとめた「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に制度見直しを盛り込むことを検討。「骨太の方針」は予算編成に向けた地ならしとされており、明記してはずみをつける算段だった。ところが、計画は幻に終わった。
6.当時も岸田政権で、関係者によると、自民党総裁選を控え、衆院選も取りざたされる中、「負担増」の議論を回避したい政権側の内諾を得られなかったという。
7.それでも夏ごろには厚労省幹部が引き上げの腹案を作成。衆院選を経て24年11月に第2次石破内閣が発足すると、内々に与党との調整を急ぎ、年末に政府案をまとめた。
8.「表」舞台の審議会での議論は昨年11月から計4回。この間、がん患者らのヒアリングは実施されなかった。省内からも「事前に制度利用者の声をもっと丁寧に聞くべきだった」と悔やむ声が上がる。だが、こうしたプロセスも批判の対象となり、今年2月以降、計3回の方針転換の末に全面的な凍結に追い込まれた。
9.政府は当初、25年度の一般会計予算案で、高額療養費制度の見直しにより、約160億円の歳出削減ができるとしていた。だが、2回目までの方針転換によって想定する削減が見込めなくなり、自民、公明両党は予算修正案で55億円の支出を計上。修正予算案は今月4日、衆議院で可決された。
10.今回、さらに8月からの限度額引き上げも見送ると、25年度分だけで約100億円の支出がふくらむ。当初予算の再修正などが視野に入る。
11.あわせて新たな財源の確保も必要だ。制度見直しの当初案では、最終的に年1600億円規模の公費を削減できると見込んでいた。仮に、高額療養費の引き上げを見送れば、代わりの財源の確保が求められる。
12.ただ、削減の検討項目を示した「改革工程」に入っているのは、高齢者の医療・介護サービスの窓口負担割合(1~3割)の見直しや、介護のケアプラン(介護サービスの計画)の有料化など、ハードルが高いとされるものばかり。実現までの壁は高い。
13.こうした事情を知る与党中堅はうめく。「全面凍結はあり得ない」
(https://digital.asahi.com/articles/AST373WHST37UTFL00RM.html?pn=5&unlock=1#continuehere 参照)


by asyagi-df-2014 | 2025-03-17 12:06 | 高齢者福祉・医療 | Comments(0)

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