大原湾側の工事が2024年8月1日から着工される。果たして、「有効な手立て」などを獲得することができるのか。
2024年 06月 25日
辺境という言葉の利用が、忘れ去ることができる「事実」という言葉として、利用するものとしてあることを痛感させられる。
国策として、「構造的沖縄差別」という枠組みを押しつけることにより、このことを当然のごとく構造化する。
では、どのようなことが引き起こされているのか。
辺野古新基地建設に関して、大原湾側の工事にこの8月1日から着工する、というのだ。
このことについて、沖縄タイムスは2024年6月19日、「大浦湾、8月本格着工 辺野古新基地建設巡り 軟弱地盤にくい打ち 国が沖縄県に通告、事前協議は打ち切りに」(政経部・嘉良謙太朗)、と次の様に報じている。
1.名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局が8月1日、大浦湾側の軟弱地盤を改良する本格工事に着手することが18日、分かった。同日、県に通告した。大浦湾側の護岸新設工事に向け、防衛局は県と事前協議を続けていたが、事実上打ち切った形。海底に砂くいを打ち込む地盤改良工事が始まる見通しとなり、県が反発を強めるのは必至だ。(政経部・嘉良謙太朗)
2.地盤改良は7万本超の砂くいを打ち込み、地盤強度を高める計画。自然環境への影響が懸念されている。ただ、県側は工事を止める有効な手だてを見いだせていない。
3.事前協議は2013年に県が埋め立て申請を承認した際に付した留意事項に基づく。県は2月以降、工事の実施設計や環境保全対策に関する質問を4回にわたって防衛局に送付し、協議を重ねてきた。
4.一方、防衛局は18日、県に対して「十分協議してきた」と回答。8月1日に協議中の大浦湾側の工事に着手する考えを伝えた。事実上の協議打ち切りだが、県は協議は継続中との認識で、7月中旬にも5回目の質問状を送る方針。
5.防衛局は18日、本紙の取材に「実施設計協議については、県と協議中で、やりとりの詳細は差し控える」と説明。その上で、協議の打ち切りを通知した事実はないとし「引き続き適切に対応していく」とした。
6.新基地建設を巡っては、防衛局が今年1月、大浦湾側の海域で、護岸建設に使用する資材を仮置きする海上ヤードの造成工事に着手。5月にはサンゴ類の移植作業を始め、本格的な埋め立て工事に向けた準備を進めてきた。
7.防衛局は昨年12月、大浦湾側の埋め立てに向け、護岸新設や地盤改良などの計4工事について施工業者と契約。契約額は総額で約641億円に上り、工期は最長で28年3月15日までとなっている。
8.辺野古を巡る訴訟では県の敗訴が続く。16日投開票の県議選では、新基地建設に反対する玉城デニー知事を支持する議員が過半数を割り込み、厳しい局面が続いている。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1380793 参照)
この工事着工を、「県側は工事を止める有効な手だてを見いだせていない。」、と沖縄タイムスは指摘する。
考えてみれば、地方自治体が「有効な手立て」などを獲得することは、並大抵の手段では困難であることは予想がつく。
何しろ、国は「構造的沖縄差別」という枠組みを作った中で、周到な準備を重ねたのち、今回の様に決定事項として押しつけて来るのであるから。
それも、政治が司法という後ろ盾を前面に押し立てて画策することになるのだから。
では、どのような「有効な手立て」が可能なのだろうか。
沖縄タイムスは2024年6月25日、「大浦湾側8月着工 国際世論に働きかけよ」、とこの指摘の向こう側に向けて社説で論評した。
この沖縄タイムスの社説で、「有効な手立て」などを獲得することについて考える。
最初に、沖縄タイムスによる「県議会野党の攻勢が予想される中で、玉城知事は就任以来最大の正念場を迎える。」、との事実経過の把握。
1.名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局は8月1日から、軟弱地盤が広がる大浦湾側の本格的な地盤改良工事に着手する。
2.16日の県議選で玉城デニー知事を支える県政与党が大敗し、少数与党に転落。防衛局はその2日後の18日に、工事の着手を県に通知した。
3.攻め手を欠く玉城県政はこれにどう対応していくのか。
4.これまでのように「対話による解決」を呼びかけるだけでは事態は何も動かない。
5.具体的な対抗策が打ち出せなければ、知事を支えてきた市民団体からの批判は避けられない。
6.県議会野党の攻勢が予想される中で、玉城知事は就任以来最大の正念場を迎える。
ここでは、環境保護の観点から辺野古新基地建設の問題点を指摘する。
1.辺野古・大浦湾埋め立てはあまりにも問題が多い。最も懸念されるのは環境保護の面だ。
2.多様なサンゴが生息する大浦湾は、海外の研究者らによつて、日本初の「ホープスポット(希望の海)」に認定された。環境保護団体が指摘するように、辺野古・大浦湾埋め立ては「生物多様性国家戦略」や「生物多様性おきなわ戦略」の趣旨に反する。
3.防衛局は5月からサンゴ類の移植作業を始めた。対象は大浦湾側に生息するサンゴ類約8万4千群体。これまでに移植したサンゴの生存率は高くない。工事を前提にしているため生存率の評価も甘くなりがちだ。
4.移植時期を疑問視する専門家もおり、工事ありきの印象は拭えない。
さらに、日本国憲法で謳う「地方自治の本旨」を明らかに逸脱する行為を批判する。
1.市民団体との話し合いの場で県の前川智宏土木建築部長は「防衛局に対して県はこれまで、45回の行政指導を行ってきたが、防衛局はそのほとんどに従っていない」ことを明らかにしたという。
2.驚くべき指摘である。
3.政府は昨年末、地盤改良工事に必要な設計変更申請の承認を県に代わって「代執行」し、工事着手の権限を得た。
3.代執行は地方自治法に盛り込まれた制度ではあるが、地方分権改革の趣旨に反する劇薬であり、過去には一件も例がない。
4.県の45回に上る行政指導のほとんどに従わず、その上、県から承認権を取り上げ、自分が提出した設計変更申請を自分が承認する。
5.憲法で定められた地方自治を根本から掘り崩すようなもので、ここまで来たらもはや、制度そのものが崩壊したというしかない。
最後に、沖縄タイムスは、「政府はなぜ、強行策を取り続けるのか。」と問いかけるとともに、地方自治体が「有効な手立て」などを獲得するための戦略を投げかける。
1.米軍は地位協定によってさまざまな特権を与えられており、日本の主権や国民の人権に関わる問題であっても、米軍の言いなりになるケースが多い。
2.国内法の適用が大幅に制限されている現状は、地位協定の国際基準から見ても異常である。
3.埋め立て承認の再撤回を求める市民団体の声に県はどう応えるのか。
4.生物多様性の保護・回復という世界的な課題を正面から見据え、国際世論を引きつける具体策を示すことが県に求められる。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1384389 参照)
沖縄タイムスからの沖縄県への提起は、「生物多様性の保護・回復という世界的な課題を正面から見据え、国際世論を引きつける具体策を示すこと」。
確かに、「構造的沖縄差別」を真っ正面から立ち向かうには、国際世論を引きつけることであることは、正しい方向性ではある。ただ、これを有効にさせない構造が背景にあるのも厳しい現実である。
やはり、そのことを可能にするのは、あふれんばかりの日本中から沸き起こる「声」である。
by asyagi-df-2014
| 2024-06-25 12:11
| 書くことから-いろいろ
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