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地方自治法の改定を考える。-国の指示権拡大-(3)

 地方自治法改正案が2024年5月28日、の衆院総務委員会で、自民、公明両党などの賛成多数で可決された。

 このことに関して、朝日新聞は同日、「地方自治法改正案、衆院総務委で可決 「指示権」の必要性あいまい」(千葉卓朗)、と次の様に報じた。
1.大規模災害や感染症の大流行などの非常事態に国が地方に対応を指示できるようにする地方自治法改正案が28日の衆院総務委員会で、自民、公明両党などの賛成多数で可決された。「指示権」の必要性や、指示権の恣意(しい)的運用への歯止めなどが焦点だったが、これらに応える抜本的な修正はなく、立憲民主、共産両党は「地方分権の流れに逆行する」と反対した。
2.改正案には自公のほか、日本維新の会、国民民主党が賛成した。週内に衆院本会議で可決され、審議の場は参院に移る見通し。政府・与党は今国会での成立を目指している。
3.新型コロナへの対応をめぐり国と地方自治体の調整が混乱したことを教訓に、政府は国の指示権拡大を柱とする改正案を提出した。だが、そもそも指示権拡大が本当に必要なのかははっきりしないままだ。
4.現行制度では、災害対策基本法などの個別法に基づき、国が自治体に指示できる。改正案は、個別法で対応できない事態が起き、「国民の生命等の保護のために特に必要な場合」に国が指示権を行使できるとする。
5.立憲などは委員会審議で、個別法で対応できない事態とはどのような状況か問い続けたが、政府側は「現時点で具体的に想定しうるものはない」(松本剛明総務相)とし、明確な答弁をしなかった。この日の委員会採決前の討論でも、立憲の大築紅葉氏は「(改正案の)根拠となるべき立法事実がない」と改めて批判した。
6.国の「恣意的な判断」による指示権の乱用を防ぐための歯止めも焦点だった。全ての野党は、指示権拡大により国が地方に不当に介入する懸念があると指摘した。
7.この結果、自民、公明、維新は、国の指示内容について国会への事後報告を義務付ける修正を加えたうえで、改正案を賛成多数で可決した。
8.ただ、立憲は事後報告では不十分だと主張。改正案に盛り込まれた指示権行使前に地方の意見を聞く「努力義務」を「義務」とすることや、国会の事前関与も必要だと訴えた。
9.改正案の付帯決議案には、国と地方が「事前に十分に必要な調整を行うこと」と明記されたが、国会への事前報告は盛り込まれなかった。十分な歯止めとなるのか実効性は不透明。立憲の吉川元氏は「時の内閣の判断で何でも指示できるようになり、危険だ」と批判した。(千葉卓朗)
(https://digital.asahi.com/articles/ASS5X3V61S5XUTFK00BM.html?pn=4&unlock=1#continuehere 参照)

 この問題を、朝日新聞社説(「自治法改正案 疑問は残ったままだ」-2024年5月29日)で考える。
 朝日新聞の主張は、「多くの疑問は残されたままだ。審議を打ち切り、採決されたことに抗議する。」、と明確。
 どういうことなのか。
1.非常時に国が自治体に必要な指示を出せるようにする地方自治法改正案が、衆院総務委員会で与党や日本維新の会などの賛成で可決された。国会への事後報告を義務づける修正が加えられたが、閣議決定を経れば指示できる仕組みは変わらず、恣意(しい)的な運用のおそれも消えていない。
2.政府は大規模災害や感染症などの際に個別の法律で想定しない事態が起きた場合、国民の安全を確保するために必要だと説明する。だが、武力攻撃事態対処法で想定しない事態も視野にあるのかについては、あいまいな答弁を繰り返した。有事の際に一方的に国に従わせることを可能とするような危うい改正に不誠実な答弁を続けたのは問題だ。
3.有事の際に港湾や空港などを使うには、例えば特定公共施設利用法で自治体が国の要請に意見を申し出る規定があり、可能な限り慎重な手続きが課せられている。
4.だが今回の改正案では、国は国会承認なしに自治体に網羅的に指示ができ、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」の「おそれ」の段階で、自衛隊のための道路開放や攻撃に備えた自治体職員の動員協力にまで道が開ける。
5.「想定していない」と言われても法律上可能になる事実は重い。参議院ではこうした点に加え、なぜ必要か、前提から議論すべきだ。
 さらに、朝日新聞の指摘は、具体的な問題として指摘される。
1.審議から浮かぶのは地方の解決力や実情を軽視する姿勢だ。沖縄の基地移設で、埋め立て承認を県が拒否した際、政府は代執行までして工事を強行した。自治体が思い通りに動かない時、民意を無視してでも国策を推進する意図が背景にあるのではないか。
2.国の考えが常に正しいとは限らない。コロナ禍での突然の一斉休校要請は現場を混乱させたとの批判が強い。PCR検査の目安の一つを「37・5度以上の発熱4日以上」としたことも根拠が薄く、検査を受けず重症化する人が相次いだため、独自ルールで検査した所もある。必要なのは自治体の創意工夫が生かせる権限移譲ではないか。
3.立憲民主党などが求めた自治体との事前調整や事後の検証、「指示は必要最小限」は法案の付帯決議に盛り込まれた。客観的な検証の仕組みは明確にしておく必要がある。
 朝日新聞は、社説の最後を、「地方制度調査会の答申が首相に手渡されて約5カ月。地方の声を十分くみ取って審議が進んできたとはいえない。地域の問題は地域で考えることが基本だ。地方自治の理念を後退させてはならない。」,と結ぶ。
(https://digital.asahi.com/articles/DA3S15945528.html?iref=comtop_Opinion_03 参照)


by asyagi-df-2014 | 2024-06-22 19:47 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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