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イスラエルによる「ラファ攻撃」は許されない。(3)

 マスコミに「ラファ攻撃」が文字や画像で流される。
 しかし、すでに、問題は「人道」の視点からは隠しきれない状況にある。

 2024年5月24日、国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)は、パレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けるイスラエルに対し、暫定措置としてガザ南部ラファでの軍事作戦の即時停止などを命じた。
 しかし、イスラエルからの攻撃は依然として継続されている。

 この問題に関する、2024年5月28日までに確認できた各新聞社の社説・論説は、次のもの。

(2024年5月26日)
朝日新聞社説-司法裁の命令 ラファ攻撃は許されぬ-
北海道新聞社説-国際司法裁命令 ラファ侵攻やめる時だ-
読売新聞社説-ガザでの攻撃 人道危機の拡大を傍観するな-
(2024年5月27日)
沖縄タイムス社説-国際司法裁が命令 ラファ侵攻即刻やめよ-
(2024年5月28日)
信濃毎日新聞社説-ラファへの攻撃 司法裁の命令に背くな-
愛媛新聞社説-ラファ攻撃停止命令 国際社会からの警告に向き合え-


 この社説・論説の中から、2024年5月26日付の「人道危機」を掲げた読売新聞(「ガザでの攻撃 人道危機の拡大を傍観するな」)と朝日新聞(朝日新聞社説-司法裁の命令 ラファ攻撃は許されぬ)社説で、このラファ攻撃の問題を考える。なお、1.国際司法裁判所(ICJ)のガザ南部ラファでの軍事作戦の即時停止の評価、2.パレスチナの現状把握、3.主張,に区分する。

1.国際司法裁判所(ICJ)のガザ南部ラファでの軍事作戦の即時停止の評価
(読売新聞)
1.国連の機関・国際司法裁判所(ICJ)はイスラエルに対し、ラファ攻撃の即時停止などを求める暫定措置を命じた。この命令には法的拘束力があり、従わなければ国際法違反となる。
2.一方、人道の罪などに関する条約締約国でつくる国際刑事裁判所(ICC)の検察官は、戦争犯罪などの容疑でハマス幹部に加え、ネタニヤフ氏とイスラエル国防相に対する逮捕状を請求した。
3.ハマスの罪を問うのは当然として、イスラエルの行為も重大な犯罪だととらえているのだろう。

(朝日新聞)
1.国連の最高司法機関である国際司法裁判所(ICJ)が24日、ガザ南部ラファでの軍事作戦の即時停止をイスラエルに命じた。
2.ICJは、これまでジェノサイド(集団殺害)行為を防ぐ「あらゆる手段」を講じるよう求めていたが、軍事作戦の停止に踏み込んだのは初めてだ。その意味は重い。
3.理由として、ガザの人道状況が壊滅的なレベルに達していることを強調した。先のICJの決定をイスラエルが不法に無視し続けていると認定したに等しい。
4.ICJの命令には法的拘束力があり、履行しなければ国際法違反になる。だが、従わない場合に強制的に執行する手段はない。イスラエルの政府高官は「戦い続ける」との声明を出した。
5.今後、命令不履行の問題が国連安保理に持ち込まれた場合、米国がイスラエル支持の立場をとり続ければ、国連憲章が掲げる「法の支配」の理念は深く傷つくだろう。

2.パレスチナの現状把握
(読売新聞)
1.イスラエル軍が、パレスチナ自治区ガザをまたしても空爆した。最南部ラファには戦車を投入し、大規模な地上作戦を始めた。
2.ラファには、ガザ北部や中部から逃れてきた数十万人がなおとどまっている模様だ。軍はエジプトとの間の検問所を制圧し、食料などの搬入も妨げている。
3.イスラエルは「ラファへの攻撃は限定的だ」と主張しているが、日々、犠牲者は増えている。
4.ガザ侵攻開始から7か月で、女性や子供を含む住民3万5000人以上が死亡した。イスラエル軍が人命を顧みない無差別攻撃を仕掛けている結果だ。
5.だが国際社会の批判はむしろ、過剰な反撃を続けるイスラエルに向けられるようになった。
6.南アフリカなどはイスラエルの攻撃をジェノサイド(集団殺害)と非難している。欧州でも、イスラエルに対し「国際法を守るべきだ」との批判が広がっている。

(朝日新聞)
1.昨年10月に始まったイスラム組織ハマスとイスラエル軍の戦闘で、ガザでの死者は3万5千人を超えた。ラファには戦火を逃れた約150万人が身を寄せていたが、イスラエルは今月7日に地上戦を開始した。
2.イスラエル側は「限定的な作戦だ」と主張するが、80万人以上が避難を余儀なくされた。ハマスに捕らえられた人質の解放のための停戦交渉も作戦開始で中断したままだ。
3.バイデン米大統領はラファでの大規模な地上作戦に反対すると繰り返している。なし崩し的に拡大するラファ侵攻を許さぬ姿勢を貫き、武器供与停止などでイスラエルへの圧力を強めてもらいたい。
4.国際人道法に反するイスラエルの過剰な軍事報復への批判は日に日に高まる。
5.国連総会は今月、パレスチナの国連加盟を支持する決議を採択した。143カ国の賛成に対し、反対は9カ国にとどまった。その後、ノルウェー、アイルランド、スペインがパレスチナを国家として承認すると発表した。

3.主張
(読売新聞)
1.住宅や病院などを見境なく攻撃し、どれだけの犠牲者を出すつもりなのか。人道の危機を拡大し続けるイスラエルの強硬姿勢は看過できない。
2.今回の紛争は、イスラム主義組織ハマスの越境攻撃が直接の原因だ。約1200人を殺害し、今も100人以上の人質を取っている。ハマスのテロは許し難い。
3.米国のバイデン大統領は、ラファを本格攻撃すれば武器供給を停止すると、異例の警告を発したが、イスラエルのネタニヤフ首相は、聞く耳を持たないかのように攻撃を続けている。
4.11月の米大統領選で、親イスラエルのトランプ前大統領が返り咲けば、全面的に支持してくれるとでも思っているのだろうか。
5.日本が、こうした国際社会の動向を「注視している」などと紋切り型の説明で済ませているのは物足りない。人命や人権の尊重といった普遍的な価値を重視する観点から、関係国に戦闘停止を強く働きかける外交を展開すべきだ。

(朝日新聞)
1. 昨年10月に始まったイスラム組織ハマスとイスラエル軍の戦闘で、ガザでの死者は3万5千人を超えた。ラファには戦火を逃れた約150万人が身を寄せていたが、イスラエルは今月7日に地上戦を開始した。
2.イスラエル側は「限定的な作戦だ」と主張するが、80万人以上が避難を余儀なくされた。ハマスに捕らえられた人質の解放のための停戦交渉も作戦開始で中断したままだ。
3.国連加盟国としての義務を果たさなければ、世界で信頼を失うばかりでなく、国際秩序の土台を成す「法の支配」を傷つける事態にもなりかねない。イスラエルはただちにガザでの戦闘をやめ、停戦交渉の席に戻るべきだ。
4.イスラエルのネタニヤフ首相は「テロを利する」などと反論するが、筋違いだ。パレスチナ国家の樹立を否定し、パレスチナ人の命を軽んじる独善的な姿勢こそが、外交上の孤立を深めている現実から目をそらしてはならない。

(https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20240525-OYT1T50197/ 参照)
(https://digital.asahi.com/articles/DA3S15943473.html?iref=pc_rensai_long_16_article 参照)

 実は、「人道」の視点は、イスラエルの国家戦略として国際社会に敷衍させられてきた。
 この間、イスラエルはナクバで行われてきた「民族浄化」を消し去ろうとしてきた。
 その結果が、人道主義という国連決議をないものとする現在のパレスチナの状況である。
 本当の意味で、「人道」の視点をいかに克服できるかが問われている。
 では、読売新聞と朝日新聞の社説は、この地平に立つことができているか、
 「人道」という視点は、「今回の紛争は、イスラム主義組織ハマスの越境攻撃が直接の原因だ。約1200人を殺害し、今も100人以上の人質を取っている。ハマスのテロは許し難い。だが国際社会の批判はむしろ、過剰な反撃を続けるイスラエルに向けられるようになった。」(読売新聞)の主張に端的に顕されている。
 そこには、国連報告者の「ジェノサイド」や「民族浄化」の指摘が盛り込まれないか不十分な指摘で終わっている。



by asyagi-df-2014 | 2024-06-26 19:34 | パレスチナ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人