「MQ4嘉手納飛来 県民無視の強行配備だ」、と沖縄タイムス。
2024年 06月 12日
沖縄の基地負担の増大が、日米両政府によって、一方的に推し進められる。
例えば、沖縄タイムスは2024年5月22日、この基地負担増大の一端について、「米軍、5月23日に降下訓練 嘉手納基地で6カ月連続 県幹部や嘉手納町議ら『お手上げ状態』」(中部報道部・砂川孫優、政経部・島袋晋作)、と次の様に報じた。
1.米軍が23日午後6時~9時半にかけ、米軍嘉手納基地でパラシュート降下訓練を計画していることが21日、分かった。米連邦航空局の航空情報(ノータム)に掲載され、沖縄防衛局が基地周辺自治体に通知した。実施されれば、同基地での降下訓練は昨年12月から6カ月連続となる。訓練のたびに日米両政府の関係機関に訓練中止を求めてきた県幹部や嘉手納町議らは「日米合意が無視され続けている」「お手上げ状態。どうしたらいいのか」など憤りと徒労感を口にした。(中部報道部・砂川孫優、政経部・島袋晋作)
2.基地周辺自治体によると、21日昼過ぎに防衛局から降下訓練の情報提供があった。訓練内容は分かっていない。県は22日、沖縄防衛局と外務省沖縄事務所に訓練中止を要請する方針。
3.降下訓練は原則として伊江島補助飛行場で実施することになっているが、米軍はこれまで同飛行場の滑走路の不具合などを理由に嘉手納での訓練を「例外」や「即応体制の維持」などと強調。県や基地周辺自治体と議会などが訓練の全面禁止などを求めているが、毎月1回の訓練を強行してきた。
4.県幹部は「毎月要請しての繰り返しでどうしたらいいのか」と頭を抱える。「日米合意は無視され、常態化で例外規定も無視している」と首をかしげた。
5.嘉手納町議会の當山均基地対策特別委員長は「これ以上何をすれば米軍に地元の意見が伝わるのか」と嘆く。
6.基地周辺3市町の首長らで構成する「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)」に対し、「訓練反対の統一見解を持つ三連協が上京して直接、関係機関に要請してほしい。常態化の流れを断ち切ってほしい」と訴えた。
7.嘉手納での降下訓練を巡っては、4月に第18航空団の司令官ニコラス・エバンス准将が報道各社のインタビューで「当分、毎月1回行い、次回は5月末を予定している」と述べ、中止しない考えを示した。
8.一方、エバンス氏の発言を受けて防衛省は「『毎月、降下訓練を実施してきた』と話しており、今後について述べたものではないと説明を受けた」とコメントしていた。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1363726 参照 2024年5月22日)
こうした状況下で、嘉手納基地に常時配備されたMQ9に続けて、嘉手納基地に米海軍の大型無人偵察機MQ4Cトライトンが飛来したのである。
この問題に関して、沖縄タイムスは「2024年5月22日、「MQ4嘉手納飛来 県民無視の強行配備だ」、と社説で論評した。
この社説で、この問題を考える。
沖縄タイムスは最初に、この「MQ4嘉手納飛来」の何が問題であるかの核心を、「基地の機能強化、周辺の負担増加につながる、という県民の声を無視するような強行配備である。」、と言い当てる。
沖縄タイムスの主張の根拠。
1.米海軍の大型無人偵察機MQ4Cトライトン1機が嘉手納基地に飛来した。20日夜の着陸では北谷町砂辺で「騒々しい街頭」レベルの71・8デシベルを観測した。
2.防衛省は「騒音による影響は限定的」と説明するものの、これまでなかった機体による騒音は、負担の上乗せにほかならない。
3.グアムの海軍基地からの移駐で、10月まで2機を嘉手納に一時展開する計画だ。
4.17日未明に飛来する予定を取りやめた理由や、もう1機が飛来する時期など不明な点が多い。日本政府がそういった情報を地元に説明しないのも問題である。
5.MQ4は高い高度で広い範囲、昨年10月から嘉手納に常時配備のMQ9は低い高度で狭い範囲の海洋を監視する。
6.MQ4は嘉手納に常駐する有人のP8哨戒機とセットでの運用を想定している。MQ4が巡回しながら不審船などの目標を絞り込み、P8が引き継いで対処する。主に中国を念頭に情報収集や警戒監視を強化する狙いがある。中国とフィリピンが領有権を争う南シナ海での監視も任務の一つとみられる。
7.日米比の軍事協力が進む中、沖縄の米軍基地の役割や機能が強化され、拡大している可能性がある。
この上で、沖縄タイムスは、「嘉手納では、米軍が23日に6カ月連続のパラシュート降下訓練も実施する見通しだ。負担軽減に逆行する動きで、認められない。」、と批判する。
さらに、MQ4及びMQ9について言及する。
1.米紙などによると、MQ4は2018年9月に米カリフォルニア州での試験飛行中にエンジンが停止し、飛行場に胴体着陸した。同年末を予定していた機体配備が1年以上遅れたという。
2.防衛省が嘉手納への一時配備を県など関係自治体に通告したのは今月10日である。それからわずか10日後の飛来になるが、過去の事故や原因、再発防止の取り組みなど十分な説明があったと言えない。
3.MQ9は18年6月からの約4年間に、海外で4件の墜落を含む7件の事故を起こしていたことが分かった。この情報も嘉手納への配備後に地元自治体が質問し、沖縄防衛局が回答したものだ。
しかも、沖縄県では、「県議会では与野党を問わず、不満、反発が広がっている。自民、公明の会派も『住民の理解を得られていない』と沖縄防衛局に配備の再検討を求めている。」,というのが実態なのにもかかわらずである。
沖縄タイムスは、最後に、こうした状況をもたらしている問題そのものについて指摘する。
1.在日米軍基地への装備品の配備や変更に日本側が口出しできない背景には、1960年の日米安保条約改定の際に結ばれた「事前協議」の取り決めがある。
2.解禁された文書などによると、「米軍の装備における重要な変更」で事前協議の対象になるのは核弾頭や中・長距離ミサイルの持ち込み、そのための基地建設だけで、航空機や艦船は対象にならず、米軍任せになっている。
3.日本の主権を制限した取り決めが住民の頭越しの配備、政府の主体性のなさを生み出していないか。事前協議の在り方を見直す必要がある。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1363635 参照)
「日米比の軍事協力が進む中、沖縄の米軍基地の役割や機能が強化され、拡大している可能性がある。」、と沖縄タイムスの指摘は、まさに、「新しい戦前」が呼び込む状況を示している。
by asyagi-df-2014
| 2024-06-12 19:09
| 安全保障
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