「日米の対中戦略の中で、沖縄の『要塞化』へのピースが急ピッチで埋まっていく。」、と沖縄タイムス。
2024年 03月 31日
沖縄県うるま市の陸上自衛隊勝連分屯地で、2024年3月30日、第4地対艦ミサイル中隊と第7地対艦ミサイル連隊本部の新編に伴う式典が開かれた。
このことに関連して、沖縄タイムスは「2024年3月29日、「不安と恩恵が隣り合わせ 自衛隊地対艦ミサイル部隊配備 勝連で大きな反対集会なく」(中部報道部・又吉朝香、平島夏実)、と次のように報じた。
1.「関係者以外立ち入り禁止」。うるま市の陸上自衛隊勝連分屯地をぐるりと囲む林に今春、新しい看板が立った。沖縄本島で初となる地対艦ミサイル部隊が配備され、30日には記念式典が開かれる。同じうるま市で進むゴルフ場跡地の陸自訓練場計画と違い、大規模な反対集会はない。なぜなのか。地域住民を訪ねると、勝連分屯地が米軍のミサイル基地だった時代から続く「アメとムチの構図」が垣間見える。(中部報道部・又吉朝香、平島夏実)
2.「パンッパンッパンッ」。分屯地近くの勝連内間に住む70代男性は毎朝、射撃訓練の音を聞いている。今度はミサイル部隊が来た。「どんな訓練が行われるんだろう」と不安がる。
3.しかし、抗議集会に誘われても一度も参加したことはない。「高齢者が多い地域だが、県外からきた若い自衛隊員がエイサー行事だって盛り上げてくれた。地域の仲間の仕事を邪魔できない」とつぶやいた。
4.現在、勝連分屯地となっている地域は1940年代初頭に日本軍が強制接収し、高射砲や高射機関銃が配備された。終戦後は米軍がミサイル基地として使い、73年からは自衛隊が駐屯している。住民は80年以上も基地と隣り合わせの生活をしている。
5.60年代に平敷屋小学校で教師をしていた80代男性は、平敷屋にあった米軍の核ミサイル「メースB」が格納庫から押し上げられるときの「ゴーッ」という重低音と地響きをよく思い出す。基地のフェンスの周りには警備員が四六時中いて、近づけず物々しい雰囲気があった。
6.男性は「あの時の恐怖が繰り返されるという危機感もある。しかし、基地の恩恵もある」と語る。勝連分屯地はうるま市勝連平敷屋、内間、平安名にまたがり172人の地主がいる。
7.平敷屋自治会は勝連分屯地や米軍ホワイトビーチなどに字有地があり、年間約1億8千万円が入る。小中学生の子ども1人当たり年間最大3万円の給食費を補助するほか、区が造った墓地を相場の4分の1以下で購入できる。
8.地対艦ミサイルの連隊本部と新たな中隊が新編され、勝連分屯地の人員は現在の90人から約290人規模に増える。ゲートの正面には4階建ての隊舎ができた。
9.25日昼のゲート前。県外から新たに配属された自衛隊員を家族が訪ね、住民票を届ける場面があった。妻は「子どもたちは転校を嫌がる。沖縄には長く住みたい」と話した。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1333340 参照)
こうした中、沖縄タイムスは2024年3月30日、「『ミサイルを持ち帰れ』座り込む市民を機動隊が排除し騒然 陸自勝連分屯地での連隊発足式典を前に 沖縄・うるま市」、と報じた。
1.30日午前10時からうるま市の陸上自衛隊勝連分屯地で第4地対艦ミサイル中隊と第7地対艦ミサイル連隊本部の新編に伴う式典が開かれるのを前に、市民ら約100人が配備反対を訴え、ゲート前に座り込み抗議を始めた。警戒に当たっていた県警の機動隊が座り込む市民らを排除し一時騒然となった。
2.同9時ごろ、式典に出席するとみられる制服や迷彩柄の自衛隊、米軍関係者などが乗った車やバスが続々と分屯地へと入ると、市民が「ミサイルを持ち帰れ」「戦争には協力しない」とシュプレヒコールを繰り返した。
3.ゲート前で自衛隊幹部に抗議文を手交した「ミサイル配備から命を守る市民の会」の照屋寛之共同代表は、先の沖縄戦で軍隊が住民を守らなかったことに触れ「自衛隊が来たがために県民が(戦争に巻き込まれ)死ぬことがあってはならない」と訴えた。
4.抗議文は「(ミサイル配備など軍事強化で)中国を挑発し戦争を誘発する危機的状況をつくり出している。沖縄が最前線に立たされている」とし、「沖縄島に配備された一切のミサイル撤去と軍拡政策を止め、外交による平和実現に取り組んでいく」ことを求めた。
5.文書を受け取った自衛隊幹部は「上司や宛先に申し伝えます」と述べ、立ち去った。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1334167 参照)
こうした「新しい戦前」、「沖縄・南西諸島の軍事拠点化」にたち向かわされている沖縄の現状について、沖縄タイムスは2024年3月30日、「陸自ミサイル部隊新編 負担押し付けの強化策」、と社説で論評した。
こうした問題を、沖縄タイムスの社説で考える。
沖縄タイムスの把握。
1.陸上自衛隊はきょう、うるま市の勝連分屯地で、地対艦ミサイル(SSM)の連隊本部と、1個中隊の新編に伴う式典を開く。
2.南西諸島で12式地対艦誘導弾を扱う中隊の配備は、鹿児島県の奄美大島、宮古島、昨年3月の石垣島に次いで、沖縄本島では勝連分屯地が初めてとなる。
3.SSM連隊は、上部部隊としてこの4個中隊を指揮する「司令塔」だ。北海道の3個と、青森、熊本にあり、沖縄で6個目になった。
4.日米の対中戦略の中で、沖縄の「要塞(ようさい)化」へのピースが急ピッチで埋まっていく。
ここで、ミサイル配備について指摘する。
1.地対艦ミサイルは日本に侵攻する相手国の艦艇を陸上から迎撃する能力を持つ。
2.中隊には発射機と弾薬運搬車を各4基、予備を含むミサイルを30発など、それぞれ配備するといわれる。
3.ミサイルやレーダーを車に搭載し、移動展開でき、防衛省は戦争を未然に防ぐ「抑止力」と強調する。
4.ただ、ひとたび発射すれば相手国の航空機や偵察衛星で位置を割り出され、攻撃対象になるリスクを抱える。
この上で、「周辺地域の安全に関する説明は圧倒的に足りない。」、と突きつける。
次に、沖縄戦から、「新しい戦前」及び「沖縄・南西諸島の軍事拠点化」を見据える。
1.来年は沖縄戦から80年の節目を迎える。当時とミサイルの機能などに違いはあるが、「軍隊のいる場所が狙われる」という教訓は、今も生きている。
2.防衛省、自衛隊は「新たな戦前に立っているのではないか」といった県民の不安や懸念に向き合わなければならない。
3.勝連分屯地の定員は200人増の計290人となる。機能や役割を含め、明らかな負担の増加だ。
4.防衛省は12式地対艦誘導弾を改良し、射程を200キロから1千キロ程度に延ばす「能力向上型」を開発している。他国領域のミサイル基地などを破壊する敵基地攻撃能力として使う想定だ。
5.配備時期を2026年度から25年度に前倒しする。配備先は決まっていないと繰り返すが、沖縄を検討しているのは間違いない。
6.岸田文雄首相は22年の沖縄の日本復帰50年記念式典で、「基地負担軽減を着実に積み上げる」とした。その目玉だった米軍キャンプ瑞慶覧の住宅地区を返還に先立ち、日米で共同使用する「緑地ひろば」の開所式も、きょう開かれる。しかしもともと返還予定で、ほとんど使われていなかった土地だ。負担軽減とは程遠い。
最後に、沖縄タイムスは、「新しい戦前」、「沖縄・南西諸島の軍事拠点化」にたち向かわされている沖縄について、「頭ごなしの押し付けは許されない。」、と締める。
1.外務省がまとめた24年版外交青書の原案では、対中国で、日本、米国、フィリピンの3カ国連携を強化する重要性を明記している。
2.中国を「共通の敵」とする動きが強まっている。
3.日米両政府は4月の首脳会談で、在日米軍司令部(東京・横田基地)の機能強化など指揮統制の見直しに合意し、共同文書に盛り込む方向で調整している。中国や北朝鮮をにらみ、自衛隊と米軍の相互運用性を高める狙いがある。
4.在日米軍の7割以上が集中する沖縄でさらなる負担増は避けられない。頭ごなしの押し付けは許されない。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1333964 参照)
by asyagi-df-2014
| 2024-03-31 06:38
| 沖縄から
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