沖縄県うるま市の陸上自衛隊勝連分屯地に、地対艦ミサイル(SSM)の連隊本部や新たな中隊の一つを配備する。
2024年 03月 26日
このことに関して、沖縄タイムスは2024年3月6日、「うるまの陸自分屯地にミサイル部隊、21日配備 10日にも公道使い装備搬入」(東京報道部・新垣卓也)、と次のように報じた。
1.うるま市の陸上自衛隊勝連分屯地に、地対艦ミサイル(SSM)の連隊本部や新たな中隊一つを配備する計画を巡り、防衛省は21日に部隊を新編する方針を固めた。連隊本部は、先島諸島や奄美大島のSSM部隊を束ねる。指揮統制機能を向上させることで、南西諸島の防衛体制を強化する狙いがある。防衛省関係者などが5日、本紙取材に明らかにした。(東京報道部・新垣卓也)
2.複数の関係者によると、第7地対艦ミサイル連隊(仮称)の本部やその指揮下に入るミサイル中隊一つが21日、勝連分屯地に新編され、30日に記念行事を開く。
3.部隊が扱うミサイル発射機を備えた車両など関連装備の搬入は、10日早朝にも実施する方向で調整しているが、日程が変わる可能性もあるという。中城湾港から、公道で勝連分屯地へ搬送する見通し。
4.部隊新編で計約160人が新たに加わり、分屯地の定員は計250人規模になる見込みだ。
5.勝連の連隊本部には、すでに配備が完了している宮古島駐屯地、石垣駐屯地、瀬戸内分屯地(鹿児島県瀬戸内町)のSSM部隊も指揮下に入る。
6.陸自のSSM部隊は、接近してくる他国軍の艦艇を地上から攻撃する「12式地対艦誘導弾」を運用する。南西地域のミサイル防衛網をより強化し、抑止力などを高めたい考えだ。
7.防衛省は12式地対艦誘導弾の射程を、現在の約200キロから約千キロに延ばす「能力向上型」を開発している。配備は2026年度の予定だったが、25年度への前倒しがすでに決まっている。
8.防衛省は配備先を未定とするが、木原稔防衛相は「能力向上型はアップグレードされており、当然(既存の部隊も)そういうものを目指していく」との見解も示している。
9.一方、勝連分屯地への部隊配備に反対する市民団体は1日、中村正人市長に対し、計画断念を求める約1万500人分の署名を提出している。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1319697 参照)
また、琉球新報は2024年2月24日、「中城港に車両搬入計画 勝連ミサイル部隊 来月9、10日 発射機か」(明真南斗)、と報じた。
1.3月中下旬にうるま市の陸上自衛隊勝連分屯地に地対艦ミサイル部隊が発足する予定に関し、防衛省・自衛隊が3月9、10の両日いずれかに福岡県から中城湾港へ民間船舶で車両を搬入する計画を立てていることが関係者への取材で23日までに分かった。配備する12式地対艦ミサイルの発射機などを含むとみられる。
2.ただ、うるま市内では石川地域に陸自の訓練場を整備する計画を巡って地元の反発が強まる中、県や市など地元自治体、港湾運送業界との調整が付くかどうか不透明で、計画を変更する可能性もある。
3.うるま市の陸上自衛隊勝連分屯地に新編される地対艦誘導弾(ミサイル)部隊の人員について、防衛省が第7地対艦ミサイル連隊本部や本部管理中隊に約100人、連隊本部の指揮下のミサイル中隊を約60人と予定している。(明真南斗)
(https://ryukyushimpo.jp/news/politics/entry-2835575.html 参照)
では、この問題をどのように捉えるのか。
2024年3月7日付けの沖縄タイムス及び琉球新報の社説で考える。
沖縄タイムスは、「勝連ミサイル部隊 住民の不安に向き合え」、と社説で論評した。
この問題を、「ミサイル部隊を配備すれば、相手側の攻撃目標になるかもしれない。南西諸島への相次ぐミサイル配備は相手国を刺激し、ミサイル軍拡を招く恐れもある。」、と始める。
そして、「住民が不安を抱くのは当然だ。」、とする。
このことに加えて、「だが防衛省は、いまだに住民説明会すら開いていない。1万500人分の反対署名に託された住民の不安や懸念を置き去りにしたまま、配備計画だけが進む。」、と指摘する
沖縄タイムスの陸上自衛隊勝連分屯地に関する把握。
1.防衛省は、うるま市の陸上自衛隊勝連分屯地に新たに、地対艦ミサイルの連隊本部と1個中隊を21日付で編成する。
2.車両などの関連装備は10日に搬入するという。
3.勝連への配備が予定されているのは、他国軍の艦艇を地上から攻撃する「12式地対艦誘導弾(ミサイル)」。
4.南西諸島では奄美大島(瀬戸内町)、宮古島、石垣島にこの部隊が置かれているが、沖縄本島配備は初めてだ。
5.勝連に置かれる連隊本部は、これらの部隊を束ね、指揮統制する役割を果たす。
6.防衛省は、12式地対艦誘導弾を改良した長射程のミサイルを2025年度から前倒しし配備する計画である。
7.敵基地攻撃能力を備えた長射程の改良型ミサイルはいつ、どこに配備されるのか。防衛省は今のところ具体的な構想を明らかにしていないが、配備されれば標的になる危険性が一層高まるのではないか。実際、沖縄戦でも砲門を開いて米軍を攻撃したら、その数倍も集中砲火を浴び、陣地もろとも破壊された。
次に、こうした状況とその結果がもたらす危険性について、沖縄タイムスは指摘する。
1.「島しょ防衛」や「南西シフト」というキーワードとともに、異常なまでに氾濫しているのは「抑止(力)」という言葉である。
2.ミサイル部隊配備についての高良鉄美参院議員の質問主意書に対し、政府は「わが国への攻撃を抑止する効果を高めるもの」だと指摘し、こう答えている。「ご指摘の『子どもたちの安心、安全な学校生活』及び『子どもたちや周辺住民の安全』にもつながる」
3.質問に対する誠意ある回答とは、とてもいえないような言い方だ。
4.抑止とは平たく言えば脅しである。相手の攻撃を思いとどまらせるため、攻撃したら仕返しをするぞと脅すことである。
5.「抑止力の強化」は「中国の脅威」とセットになって語られる。だから抑止力の強化策は国民の中に中国への警戒心や不信感を生む。中国への不信感の高まりが、政府の抑止力強化を後押しする。
沖縄タイムスは、最後に、「抑止力を過信し、防衛力増強を続ければ、安全保障のジレンマに陥り、地域の緊張を高める。」と警告し、次のことを日本政府及び日本国民に突きつける。
1.東アジアの緊張緩和を図るためには、関係国による信頼醸成の試みが重要だ。
2.日米軍事一体化を深化させることが抑止力を高める、と政府は事あるごとに強調するが検証が必要である。
3.防衛省の政策の欠陥は、抑止力強化策が地元負担の著しい増加につながるという視点が欠落していることだ。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1320231 参照)
この「防衛省の政策の欠陥は、抑止力強化策が地元負担の著しい増加につながるという視点が欠落していることだ。」、との沖縄タイムスの指摘は実に重たい。
次に、琉球新報は、「勝連ミサイル部隊 説明なき配備は許されぬ」、と社説で論評した。
琉球新報もまた、「地域住民の理解がなくとも装備を増強できると考えているのなら誤りだ。ミサイルなど強引な武器搬入は防衛政策への不信を招くだけである。」、と突きつける。
琉球新報による問題の経過の指摘。
1.うるま市の陸上自衛隊勝連分屯地への地対艦誘導弾(ミサイル)部隊配備で、防衛省が10日に車両約20台を搬入する計画だ。21日には約160人規模のミサイル部隊が発足する。この部隊が沖縄本島に配備されるのは初めて。中国を念頭に対処力を強化する狙いがある。
2.ミサイル配備計画が公になったのは2021年8月である。防衛省の22年度予算概算要求に盛り込まれた。うるま市では計画に反対する市民団体が発足し、反対運動が続いている。今年1月にも400人規模の集会があった。現時点で市民の理解を得た計画とは言えない。このまま配備を許すわけにはいかない。
3.解せないのは防衛省が市民に対し、計画の説明をしていないことだ。市民団体は説明会の開催を再三求めている。既存の自衛隊施設内での装備増強と部隊発足なので市民への周知は必要ないとでも考えているのだろうか。
4.うるま市の中村正人市長は22年6月の市議会定例会で「周辺住民などの生命や財産に影響が生じる可能性があれば、国に情報の提供を求めたい」と述べている。しかし、23年3月の市議会答弁では中村市長は説明会開催を求めない考えを示した。「(説明会を)働きかける立場にいない」というのが理由だ。
琉球新報は、この住民説明会の開催について、「防衛は『国の専権事項』と言われるが、住民説明が不要というわけではない。」とし、「住民への説明が不可欠であり、理解が得られなければ計画を見直すか、断念すべきだ。基地を抱える自治体の首長も『国の専権事項』という理由で防衛問題を避けてはならない。」、と突きつける。
また、「ミサイル部隊配備に関連し、うるま市石川で防衛省が計画している陸自訓練場も同様だ。」、とこのことに関して指摘する。
1.市内全自治会、中村市長、玉城デニー知事が白紙撤回を求めている。県議会は7日の本会議で白紙撤回を求める意見書を全会一致で可決する。文字通り超党派で訓練場計画を拒否しているのだ。
2.地元の強い反対を受け、防衛省は計画の大幅見直しの作業を進めている。
3.しかし、沖縄側の超党派要求は「白紙に戻せ」ということだ。その意思を重く受け止めるべきだ。
琉球新報は最後に、基地負担の過重な在り方に対して、
1.うるま市は現在でも広大な米軍基地や自衛隊基地が存在している。
2.嘉手納基地を発着する米軍機の騒音被害に悩まされ、海域ではパラシュート降下訓練が実施されている。
3.基地の重圧を背負う市民が住宅地や教育施設に隣接する訓練場に反対し、中国など周辺国との緊張を高め、攻撃対象にもなりかねないミサイル配備に異を唱えるのは当然だ。
4.国がどれほど「中国の脅威」を唱えても地域住民の安心・安全に反する計画の実現は困難である。陸自訓練場はその実例だ。防衛省はそのことを認識すべきである。
(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-2875403.html 参照)
琉球新報の「国がどれほど『中国の脅威』を唱えても地域住民の安心・安全に反する計画の実現は困難である。」は、まさに真理を突く。
by asyagi-df-2014
| 2024-03-26 19:24
| 安全保障
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