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「食料・農業・農村基本法改正案」を考える。(2)

 農林水産省は2024年2月1日、食料・農業・農村基本法改正案を、開催中の通常国会に提出するとした。

 実は、日々老いを感じる中で中山間地に住む者にとって、地域の担い手をどのように確保していくのか、自分の農地をどうやって維持していくのか、ということを常に問われている。
 この意味で、食料・農業・農村基本法改正案について考える。

 では、この問題をどのように捉えるのか。
 毎日新聞は2024年2月26日、「農業基本法と食料安保 担い手育てる政策急ぐ時」、と社説で論評した。
 この社説で、25年ぶりに改正されることになる食料・農業・農村基本法改正について考える。
 毎日新聞は、最初に、この改正を次のように位置づける。
1.気候変動やウクライナ危機で、食料の安定供給の確保が世界的な課題となっている。2.国内の生産基盤を強化しなければならない。
 また、どのような改正なのかについて、押さえる。
1.農政の基本方針を定める食料・農業・農村基本法が25年ぶりに見直される。食料安全保障を新たな柱に位置付け、供給不安が生じる事態への備えを拡充する。
2.例えば海外の紛争などで穀物の輸入が滞るような緊急時に、政府が農家に増産を指示する仕組みを整備する。新法を含む関連法案が今国会に提出される。
 次に、現在の政府の解散に向けて、問題点を指摘する。
1.だが、担い手や農地を確保できなければ掛け声倒れに終わる。
2.主に農業で生計を立てる基幹的農業従事者は、過去20年で半減した。平均年齢は70歳近い。引退による農家の激減が予想される。
 この上で、どのような政策が必要であるかについて、触れる。
1.危機を乗り切るには、手放される農地を意欲のある若手や農業法人に集約させることが不可欠だ。
2.規模拡大は進んでいる。耕作規模10ヘクタール以上の生産者の比率は2020年に55・3%となり、10年間で13・6ポイント上昇した。こうした大規模農家や、小規模でも付加価値の高い作物を販売する法人が、農業の中核となってきた。
3.一方で、他の生産者から農地を引き継いで規模を拡大しても、点在するため生産性が向上しないケースがある。地方自治体や農業委員会は生産者間の調整に努め、集約を進める必要がある。
4.ITを活用したスマート農業にも期待がかかる。企業の資金や技術を生かす戦略が問われよう。政府は法人の農地取得に関する規制を緩和する方針だが、効果は限られそうだ。企業が農家と連携して参入する選択肢を増やしたい。
5.肥料や電気代の高騰で、価格転嫁も重要課題に浮上している。ただ、消費者不在のまま値段を決めれば国産離れを招く。効率改善の施策を講じた上で、適正な価格水準に対する理解を得るのが筋だ。
6.主食米の生産を抑えて米価を維持する現在の政策は、食料安保と矛盾する。主にコメの転作対象とされてきた麦や大豆も、生産をテコ入れする方策が求められる。
7.限られた生産者で供給の安定を図ることができるよう、農政の転換をためらうべきではない。
 最後に、毎日新聞は、「人口減少や国際情勢の変化に即した改革を急ぐ時だ。次代の農業を担う人材の育成が急務である。」、と提起する。
(https://mainichi.jp/articles/20240226/ddm/005/070/008000c 参照)


 ただ、政府の言う「国内の生産基盤を強化」(毎日新聞)という意味がわかりにくい。
 毎日新聞が指摘するように「担い手や農地を確保できなければ掛け声倒れに終わる。」、ということが、背景に横たわる日本の厳しい現実だからだ
 例えば、この対策として、「手放される農地を意欲のある若手や農業法人に集約させること」が挙げられている。
 このことも、多くの中山間地の現実が、集約できるだけの規模がないために、常に見捨てられる地域として置かれているのが実態だ。
 もちろん、「ITを活用したスマート農業」からは、初めからはじかれている。
 したがって、「限られた生産者で供給の安定を図ることができるよう、農政の転換をためらうべきではない。」(毎日新聞)とは、中山間地で、曲がりなりにも農地を維持してきた者にとって、否定されることでしかないのではないか。


by asyagi-df-2014 | 2024-03-24 19:43 | 持続可能な社会 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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