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沖縄-辺野古-高江から-2022年5月26日

 「米軍基地周辺の河川や北谷浄水場の飲料水などから、有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)が検出されている問題で「有機フッ素化合物汚染から市民の生命を守る連絡会」が、住民の血中濃度を調査することが25日、分かった。京都大学の協力を得て、6月中にも県内6市町村の住民計350~400人を対象に調べる。市民団体による大規模な調査は、県内では初めてとなる。」、と沖縄タイムス。
 また、「市民が調査に乗り出すことに原田准教授は『ヒューマンバイオモニタリング(生体観察)は本来、行政が実施すべきだ』と指摘した上で『市民自身が科学的調査を行うことが可能だと示せる』と期待した。」(沖縄タイムス)、と押さえる。

 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 何よりも、自らが沖縄から受け取るものを明確にするために。
 2022年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

(1)沖縄タイムスーPFAS血中濃度調査へ 市民団体 6市町村400人対象 来月 京大が協力(中部報道部・砂川孫優)-2022年5月26日 05:00

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.【宜野湾】米軍基地周辺の河川や北谷浄水場の飲料水などから、有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)が検出されている問題で「有機フッ素化合物汚染から市民の生命を守る連絡会」が、住民の血中濃度を調査することが25日、分かった。京都大学の協力を得て、6月中にも県内6市町村の住民計350~400人を対象に調べる。市民団体による大規模な調査は、県内では初めてとなる。(中部報道部・砂川孫優)
2.調査対象は河川や湧き水から高濃度のPFASが検出された米軍基地に隣接する地域や、北谷浄水場から給水を受ける自治体。宜野湾市の喜友名・長田地区、沖縄市の一部、金武、嘉手納、北谷の3町に加え、こうした地域と比較するためPFASが検出されていないとされる大宜味村の住民を選ぶ。人数はそれぞれ50人程度で、費用は無料。
3.PFASは約5千種類存在するが、今回の調査は主な有害物質PFOS(ピーホス)、PFOA(ピーホア)、PFHxS(ピーエフへクスエス)などが体内にどのくらい取り込まれているか京都大が分析する。
4.採血は連絡会から依頼を受けた医師と看護師が地元の公民館などで実施。連絡会は、調査を希望する住民を募集する。調査費は分析を京都大が、医師などの派遣費は連絡会が負担する。
5.調査・分析に携わる京都大の原田浩二准教授(環境衛生学)によると、約2カ月ほどで結果が判明するという。各地域のPFAS汚染状況と水道水の影響が、血中濃度へどのように反映されているかも調べる。
6.市民が調査に乗り出すことに原田准教授は「ヒューマンバイオモニタリング(生体観察)は本来、行政が実施すべきだ」と指摘した上で「市民自身が科学的調査を行うことが可能だと示せる」と期待した。
7.連絡会は25日、宜野湾市内で会合を開いて調査の方針を確認した。伊波義安共同代表は「調査に応じない国や県を動かす突破口にしたい」と期待した。
8.調査に関する問い合わせは高橋年男事務局長、電話090(1088)3007。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/964513 参照 2022年5月26日)

(2)沖縄タイムス-自民県連や知事会も改定を求めているのに… 「同盟の不安定化を狙う」日米地位協定を巡る自民本部の見解(東京報道部・嘉良謙太朗、政経部・山城響)-2022年5月26日

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.自民党本部は25日までに、党ホームページ(HP)で日米地位協定に関する見解を示した。米軍人による犯罪が起こると、たびたび改定を求める意見書が共産党などから提出されるとし「日米同盟の不安定化を狙ってこうした主張を繰り返している」と指摘。だが、自民県連や全国知事会なども改定を求めており、政権与党として情報発信の正確性が問われそうだ。(東京報道部・嘉良謙太朗、政経部・山城響)
2.党HPでは「米軍人による犯罪や不祥事が起こると、たびたび日米地位協定の改定を求める意見書が共産党系等の会派から提出される」と指摘。日米安保条約「廃棄」を主張する共産党が「日米同盟の不安定化を狙ってこうした主張を繰り返しているものと考えられる」と続けた。
3.だが米軍関係者による事件事故が起こるたび、県議会ではこれまでも地位協定の改定を求める意見書が、自民県連も賛成して可決されてきた。全国知事会も「抜本的な見直し」を含む提言を採択し、日米同盟を支持する立憲民主党なども地位協定については見直しを求める立場だ。
4.改定を求める声は共産のみにとどまらないのに「日米同盟の不安定化を狙う」と結び付けるのは短絡的な印象が否めない。
5.自民県連は「米軍と県民が良き隣人関係となるためにも改定が必要。日本と沖縄県の確固たる安全保障の確立のためにも、地位協定のあるべき姿を求めるべきであると考える」との見解を示した。
6.県連との方針の違いについて、党本部は取材に「県連が改定を求めていることは承知している。その上で、党本部としてはこういう立場だということを示している」とした。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/964460 参照 2022年5月26日)

(3)沖縄タイムス-「これは現実なのか」地上戦で人口の3分の1が亡くなった沖縄の町 生徒が平和メッセージに込めた思い(南部報道部・我喜屋あかね)-2022年5月26日 14:22-[戦後77年]

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.「与那原町民平和の日」の21日、沖縄戦当時に町内で起きた悲惨な記憶を継承し、犠牲者の冥福を祈る式典が軽便与那原駅舎展示資料館前広場で開かれた。町民らが黙とうをささげ、献花台に花を手向けた。町内の中高生でつくるジュニアリーダークラブはこの日のために作った平和メッセージを朗読した。(南部報道部・我喜屋あかね)
2.町によると、1945年5月21日に運玉森東側を米軍が占領。町民の3分の1に当たる1672人が犠牲となった。町では毎年企画展を実施しているほか、2011年に5月21日を「町民平和の日」と定め、沖縄戦で破壊された与那原駅舎を再現した同資料館前で式典を開いている。
3.式典で照屋勉町長は「先輩方が背負ってこられた苦しみや悲しみを二度と味わうことのない世の中にしないといけない。子どもたちに平和のバトンを引き継ぎ、与那原をアジアや世界の平和拠点にしていこう」とあいさつ。城間秀盛副町長が平和行政としての町の取り組みを紹介した。
4.平和メッセージの朗読のほか、与那原うんたま森合唱団の合唱もあった。ジュニアリーダークラブとして初めて参加した知念高1年の佐久田美優さん(15)は「幸せな時代に生まれたことに改めて感謝。二度と起こらないように、自分たちでできることをやっていきたい」と決意を新たにした。
5.町は26日から6月21日まで、役場庁舎1階で慰霊の日パネル展を実施。6月23日には庁舎隣の上の森かなちホールで沖縄戦などで亡くなった住民の名前を読み上げる集会を開く。申し込み、問い合わせは町生涯学習振興課、098(871)9981。

平和メッセージ

月の光は焼き尽くされた大地を残酷に照らす
これは夢なのか
これは現実なのか
静まり返った闇夜の中で響き渡るうめき声
命の灯(ともしび)がひとつ、ふたつと消えていく
我が国で唯一大規模な地上戦だった沖縄戦
戦争に巻き込まれた九万人以上の民間人が犠牲となった
平和だった島が生き地獄となった
沖縄の人々は戦争を望んでいたわけじゃない
容赦なく砲弾が降り注ぎ
逃げても逃げても砲弾はあとを追ってくる
もはや避難壕も安全な場所ではなくなっていた
逃げ場を失った人達は戦場をさまよった
月の光は頬を流れる涙を悲しく照らす
どのぐらい歩いただろうか
どのぐらい泣いただろうか
どのくらいの夜を過ごしただろうか
死との隣り合わせの日々
生き別れた家族を思い
家族で過ごした日々を思う
数えきれない人達の辛く悲しい思い
やがて人々は生きる道を断たれた
時は流れ雨に濡れた月桃の花が静かに揺れる
ほのかに香る花の匂いが私達を優しく包み込む
大地が息吹きはじめた
小さな野の花がたくさん咲きはじめた
まるで犠牲になった御霊を忌うかのように
戦禍を逃れ生き延びた人達は花火の音に耳をふさぎじっと耐える
消えない記憶の中でいまだに怯えている 
世界のどこかでまた戦争が始まった
なぜ起きる戦争
尊い命を誰も奪う権利はない
戦争で得られるのは何があるのだろうか
何が解決されるのだろうか
戦争で残るのは人々の心の傷そして虚しさと後悔
心と心が通じ合うのはいつだろうか
ただただ平和を願う
移り変わる時代とともに
沖縄戦がだんだんと遠い記憶となって忘れ去られてしまう
戦争を知らない私達が
戦争の悲惨さ戦争の残酷さを語り継いでいこう
七十七年前のあの忌まわしい戦争を決して忘れてはいけない
平和への想いみんなで守り継いでいこう 
全ての御霊のためにも
そして私達の未来の為にも永遠に忘れてはいけない
「命どぅ宝」
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/964443 参照 2022年5月26日)

(4)沖縄タイムス-強制性交等致傷罪の米兵に懲役4年6月 那覇地裁-2022年5月26日 15:11

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.沖縄本島内で面識のない女性に性的暴行を加えようとしてけがを負わせたとして、強制性交等致傷の罪に問われた米軍キャンプ瑞慶覧所属の米海兵隊上等兵の男(22)の裁判員裁判の判決で、那覇地裁(佐藤哲郎裁判長)は26日、懲役4年6月(求刑懲役6年)を言い渡した。
2.判決によると、被告は昨年10月の深夜、那覇市内で見掛けた女性に性的暴行を加えようと後をつけ、駐車場内で車に乗り込んだところを無理やり引きずり出して首を絞めたり、顔面を複数回殴るなど暴行を加えて、けがを負わせた。
3.被告側は起訴内容を認めており、量刑が争点だった。弁護側は、被告が祖父と弟を相次いで亡くした影響で深酒し「自暴自棄になり事件につながった」と主張。「強制性交は未遂で、わいせつ行為も一切行っていない」などとし、類似事件の量刑を目安に懲役4年6月以下が相当としていた。
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/964871 参照 2022年5月26日)

(5)沖縄タイムス-米軍の毒ガスはこうやって運び出された 1971年「レッドハット作戦」 冊子で検証(中部報道部・屋宜菜々子)-2022年5月26日 07:00

 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。

1.沖縄市は、コザの戦後史や文化を検証する冊子「KOZA BUNKA BOX」の第18号を発刊した。米軍が知花弾薬庫(現嘉手納弾薬庫)に貯蔵していた毒ガス兵器を、2次にわたって国外に撤去した1971年の「レッドハット作戦」から昨年で50年を迎えたことに合わせ、「毒ガス移送」の特集を盛り込んだ。
2.立命館大衣笠総合研究機構助教の成田千尋さんが寄稿した論文を掲載。米国が毒ガスを沖縄に配備した背景や、毒ガス貯蔵発覚に対する欧米や中国、韓国、北朝鮮といった近隣諸国の反応などがまとめられている。
3.また、沖縄国際大准教授の野添文彬さんが執筆した「沖縄戦後史の中の毒ガス移送-屋良朝苗と日本政府の関係を中心に-」も収録した。
4.毒ガス移送に関する特集は2回目。第8号では、移送経路の地域に住んでいた住民の証言などをまとめている。
5.市史編集担当の新垣綾さんは「日本復帰を目前にした沖縄が、どのような状況で米軍基地を巡る問題に当たったかなどを考える機会にしてもらえれば」と呼びかけた。
6.全78ページで700円。問い合わせや購入は市役所市史編集担当、電話098(929)4128。または市戦後文化資料展示館「ヒストリート」、電話098(929)2922。(中部報道部・屋宜菜々子)
(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/963864 参照 2022年5月26日)

(6)琉球新報-普天間飛行場に基準576倍のPFAS 2016年の米軍調査、基地外流出も(塚崎昇平)-2022年5月26日 07:20

 琉球新報は、表題について次のように報じた。

1.米軍が宜野湾市の普天間飛行場内で実施した調査で、現行の国の暫定指針値の576倍に当たる有機フッ素化合物(PFAS)が検出されていたことが25日までに分かった。本紙が米国の情報公開制度で入手した在沖米海兵隊の内部資料に記載があった。資料では検出場所が基地フェンス付近と水路でつながっている可能性も示され、汚染水が基地外へ流出した恐れもある。
2.本紙が入手したのは、2018年9~11月の米軍関係者のメールのやりとり。添付された飛行場内の地図には北側にある「消火訓練施設」で有機フッ素化合物のPFOS(ピーフォス)が1リットル当たり約2万7千ナノグラム、PFOA(ピーフォア)が1800ナノグラム検出されたと記録されている。
3.調査は16年2月に実施し、当時は日本側指針値は定められていなかった。20年に定められた現行指針値(PFOSとPFOAの合計で1リットル当たり50ナノグラム)と比較すると、検出されたPFOSとPFOAの濃度は576倍に当たる。
7.地図に記載のある水路は、施設付近から普天間第二小学校付近まで伸びているが、資料では基地外流出について明言はない。本紙は在沖米海兵隊に現在のPFASの調査状況や、基地外流出の有無などを問い合わせたが、25日までに回答はなかった。
 (塚崎昇平)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1523211.html?utm_source=ryukyushinpo&utm_medium=referral&utm_campaign=carousel 参照 2022年5月26日)

(7)琉球新報-普天間飛行場に基準576倍のPFAS 2016年の米軍調査、基地外流出も(塚崎昇平、安里周悟)
(塚崎昇平、安里周悟)-2022年5月26日 07:20

 琉球新報は、表題について次のように報じた。

1.米軍が宜野湾市の普天間飛行場内で実施した調査で、現行の国の暫定指針値の576倍に当たる有機フッ素化合物(PFAS)が検出されていたことが25日までに分かった。本紙が米国の情報公開制度で入手した在沖米海兵隊の内部資料に記載があった。資料では検出場所が基地フェンス付近と水路でつながっている可能性も示され、汚染水が基地外へ流出した恐れもある。
2.本紙が入手したのは、2018年9~11月の米軍関係者のメールのやりとり。添付された飛行場内の地図には北側にある「消火訓練施設」で有機フッ素化合物のPFOS(ピーフォス)が1リットル当たり約2万7千ナノグラム、PFOA(ピーフォア)が1800ナノグラム検出されたと記録されている。
3.調査は16年2月に実施し、当時は日本側指針値は定められていなかった。20年に定められた現行指針値(PFOSとPFOAの合計で1リットル当たり50ナノグラム)と比較すると、検出されたPFOSとPFOAの濃度は576倍に当たる。
4.地図に記載のある水路は、施設付近から普天間第二小学校付近まで伸びているが、資料では基地外流出について明言はない。本紙は在沖米海兵隊に現在のPFASの調査状況や、基地外流出の有無などを問い合わせたが、25日までに回答はなかった。(塚崎昇平、安里周悟)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1523211.html?utm_source=ryukyushinpo&utm_medium=referral&utm_campaign=carousel 参照 2022年5月26日)

(8)琉球新報-米軍「質問、答える必要ない」 16年に汚染水確認も地元軽視の姿勢 普天間飛行場内PFAS(塚崎昇平、安里周悟)-2022年5月26日 11:51

 琉球新報は、表題について次のように報じた。

1.米軍普天間飛行場内での高濃度の有機フッ素化合物(PFAS)汚染は、2016年の時点で確認されていた。米軍関係者のメールのやりとりでは、外部からの問い合わせに「地元の飲料水が軍の水源の影響を受けないのであれば、質問に答える必要がない」との記述もあり、地元軽視の姿勢が透けて見える。
2.本紙が入手したメールのやりとりは米上院議員の在沖米軍基地でのPFAS汚染に関する問い合わせへの対応を協議する内容が記録されている。普天間飛行場内のPFAS調査について在沖米海兵隊関係者が発信したメールは高濃度のPFASが確認された「消火訓練施設」とは別の場所で比較的濃度が低い場所が確認されたことを説明する。
3.ただ、この地点が消火訓練施設とつながっていないことを挙げて「施設からの雨水排水を『清浄』とする根拠にはならない」と指摘。他方、米軍から開示された資料に基地外への高濃度PFASの流出を確認できる記述はなかった。
4.消火訓練施設での高濃度PFASの確認の要因としては「(PFASを含むとされる)水成膜泡消火薬剤(AFFF)を使用した訓練の経緯と符合する」と説明している。内部資料によると、16年3月以降、在沖米海兵隊はAFFFの訓練使用を中止した。だが、それ以降も普天間飛行場ではたびたび基地外への消火剤流出事故が起きている。
5.県は米側から16年2月の普天間飛行場での検査結果について、報告を受けていない。県環境部環境保全課の横田恵次郎基地環境対策監は「地下水汚染が発生していることは確実だ。国と米軍に対策を講じるよう求めてきたが、何も進んでいない。まず一歩でも進めてほしい」と訴える。県は情報を収集するとともに、今後実施する調査の資料とするために水質検査結果などの入手に努める考えだ。(塚崎昇平、安里周悟)
(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1523407.html 参照 2022年5月26日)

(9)琉球新報-戦争につながるもの 肯定も美化もしない<乗松聡子の眼>-2022年5月26日 16:05

 琉球新報は、表題について次のように報じた。

1.2月10日に父が亡くなった。1927年中国の漢口生まれ、94歳だった。
2.家族だけで葬儀を行い、写真アルバムを友人たちと共有していた。その中には中国の友人もいた。2017年に南京大虐殺80周年で南京を訪れたときに揚子江沿いでたまたま通りがかり、知り合った20代の若者と、通信アプリでずっと文通してきた。
3.彼が、送った写真に写っていた、葬儀場の「思い出コーナー」に展示していた父の海軍兵学校時代の制服姿の写真を指して「お父さんは日本兵だったのですね」と言ってきたとき、はっとさせられた。いろいろな遺品が写っている写真の片隅にあった父の軍服姿ではあったが、やはり中国の友人にとってはそれが突出して見えたのである。
4.私はこれを何も考えずに南京の友人に送ってしまっていた。日頃、大日本帝国にやられた立場から歴史を見る目を養わなければと言っておきながら、自分の家族のこととなると完全に抜け落ちていた。私は友人に謝罪したら「気にしないでください。お父さんも徴兵されたのでしょう」と返事してきた。ここで私はまた答えに詰まってしまった。父は徴兵されたのではなく、自ら進んで兵学校に入ったのだ。
5.当時は、男なら戦争で死ぬのだと教えられ、その中で「どう死ぬか」だけが問題であった、ということは父から聞いていた。父は在学中に敗戦となったので戦争には行っていない。しかし中国の友人を前にはいかなる言い訳も通用しない。軍人であれ、学生であれ、紛れもなく残虐な帝国の一端を担っていたのである。私は深く自分を恥じた。
6.父がなぜ漢口で生まれたかも説明しなければいけない。父の父、つまり私の祖父は1868年長崎平戸生まれで、漢学を修めた人間であったが、1896年に中国に渡り、漢口のいわゆる「日本租界」で新聞社を営んでいた。日露戦争では軍属通訳を務めたという。1927年4月、父が2カ月にも満たない赤ん坊のとき、高まる抗日運動や蒋介石の「北伐」の中、家族で日本に引き揚げ、祖父は直後に病死した。
7.「租界」とは、治外法権が適用される植民地であった。アヘン戦争後に英国が初めて上海に作り、日清戦争敗戦後、弱体化した中国に集(たか)るかのごとくに急増した、欧米列強や日本による中国への経済的軍事的侵略の拠点であった。中国の南北を結ぶ水運や鉄道の要衝である漢口の租界も、日清戦争後の下関条約の結果として可能になった(大里浩秋・孫安石編著「中国における日本租界 重慶・漢口・杭州・上海」御茶の水書房、2006年)。漢詩もたしなむほど中国に親しんだ祖父が、結局大日本帝国の侵略的国益にくみする活動を中国で行っていたことは、慚愧(ざんき)の念にさいなまれる。
8.5月の今、77年前の沖縄戦に思いをはせる。沖縄戦は中国での侵略戦争と直結しているとの認識を深めた一冊が、沖本裕司著「中国での戦争体験記を読む~沖縄出身兵170人の証言」(増補改訂版2021年)である。中国と同様に19世紀後半の大日本帝国拡大の餌食とされた琉球/沖縄から1万を超えると言われる人々が徴兵され、その元兵士たちが、大陸での凄惨(せいさん)な戦争の実態を証言している。
9.戦争につながるあらゆるものを、美化も肯定もしないとの思いを新たにしたい。
(「アジア太平洋ジャーナル・ジャパンフォーカス」エディター)
(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1523468.html 参照 2022年5月26日)


by asyagi-df-2014 | 2022-05-27 07:03 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人