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米国からの二つの『声』

 米国からの二つの「声」を掲載します。
 どのように受け取ることができるか。


(1)BBCNEWS 【全訳】 ジョー・バイデン米大統領の就任演説 「民主主義の大義を祝う」-2021年1月21日

米首都ワシントンで20日、大統領就任式が行われ、民主党のジョー・バイデン氏が第46代大統領に就任した。バイデン氏は就任演説で、アメリカが民主主義の危機に直面したことに危機感を示し、白人至上主義や国内テロを打倒すると述べた。その上で、アメリカ国民が連帯して「アメリカという物語」のために立ち上がり、新型コロナウイルスのパンデミックや気候変動など、厳しい時代の課題に応えようと呼びかけた。

約20分間にわたった演説の全文翻訳は以下のとおり。

ロバーツ最高裁長官。ハリス副大統領。ペロシ下院議長。シューマー院内総務。マコネル院内総務。ペンス副大統領。ご来賓の皆様。アメリカ国民の皆さん。

これはアメリカの日です。これは民主主義の日です。歴史と希望の日、再生と決意の日です。アメリカは歴史的な試練を受けて新たに試され、アメリカはその挑戦に見事に応じました。

私たちは今日、1人の候補の勝利ではなく、大義の勝利を祝っています。民主主義の大義です。国民の声が、国民の意志が響き渡り、そして国民の意志が尊重されました。

私たちはまたしても、民主主義は貴重なものだと学びました。民主主義は壊れやすい。そして皆さん、今のこの時は、民主主義が勝利しました。

わずか数日前に暴力が議事堂の基礎そのものを揺るがそうとした、この同じ神聖な場所で、私たちは神の下で不可分なひとつの国民として集まりました。もう2世紀以上も前からそうしてきたように、平和的な権力移譲を実現するために。

私たちは今、アメリカ特有の、落ち着きがなく大胆で楽観的な方法で、前を見据えています。そうやって、自分たちがなれると分かっている国、そうならなくてはならない国の姿を見つめています。そうしながら私は、今日ここにいてくれる両党の前任大統領たちに感謝しています。心の底から感謝しています。

この国の憲法がいかにたくましく、この国がいかに強いか、力強いか、よく承知しています。カーター大統領もそうです。カーター大統領とは昨晩、話をしました。今日ここにいらっしゃることはできませんでしたが、生涯かけてこの国に尽くしてくださった、その貢献をたたえます。

前任の愛国者たちと同様に、私もたった今、神聖な誓いをしたところです。ジョージ・ワシントンが最初に行った同じ誓いです。しかし、アメリカの物語は誰かひとりに頼るものではなく、一部の数人に頼るものでもなく、全員を必要とします。「より完全な連合を求める我々国民」を必要とするのです。

この国は偉大な国で、私たち国民は善良な人間です。そして数世紀にわたり、嵐や争い、平和と戦争を乗り越えて、本当に大きく前進してきました。それでもまだまだ、進むべき道のりは続いています。

危険と大きな可能性を秘めたこの冬、やるべきことはたくさんあり、私たちは危機感をもって速やかに、前へ突き進みます。やるべきことはたくさんある。癒やすべきこともたくさんある。再生することも、再建することも、得るべきこともたくさんあります。

今の私たちほど厳しい思いをしている、これほど厳しく困難な時代に直面してきた人は、この国の歴史でもそうはたくさんいません。100年に一度のウイルスが音もなくこの国にはびこり、第2次世界大戦を通じて失われたのと同じくらい多くの命を、たった1年で奪ってしまいました。

何百万もの仕事が失われました。何十万もの事業が閉じました。人種の平等を求めて400年ほど前から続く叫びが、私たちを突き動かします。すべての人に正義をもたらすという夢を、もうこれ以上先送りなどしません。

この惑星そのものが、存亡をかけた悲鳴を上げています。これ以上ないほど必死で、これ以上ないほどはっきりした悲鳴です。そして今や、政治においては過激主義や白人至上主義、国内テロリズムが台頭しており、私たちはこれに立ち向かわなくてはならないし、打倒します。

いくつもの課題を克服するため、アメリカの魂を再生し、アメリカの未来を確保するためには、言葉だけでは到底足りません。はるかにたくさんのことが必要です。民主主義において何より得がたいもの、つまり連帯が必要なのです。連帯が。

かつて別の1月に、1863年の元日に、エイブラハム・リンカーンは奴隷解放宣言に署名しました。紙にペンを走らせた時、大統領はこう言いました。

「もし私の名が歴史に残るようなことがあれば、これがその理由になる。私は全身全霊をこれに注ぎ込んだ」と。

今日のこの1月の日に、私も全身全霊を込めています。アメリカをひとつにまとめるため。国民の連帯、国の連帯を実現するため。この大義のため、すべてのアメリカ人に協力を呼びかけます。怒り、不満、憎悪、過激主義、無法状態、暴力、病気、失業、そして希望の喪失――。こうした敵に立ち向かうため、みんなで連帯してほしいと。

連帯すれば、私たちは素晴らしいことが実現できます。大切なことが。不正を正し、国民に良い仕事を提供できます。子どもたちを安全な学校で教えることができます。恐ろしいウイルスを克服し、雇用を回復し、中産階級を立て直し、雇用を安定させられます。人種の平等を確保できます。そしてアメリカは再び、世界で率先して良いことをする存在になれます。

この時期に「連帯」などと言うと、ばかげた幻想だと思う人もいるのは承知しています。私たちを分断する力は深く浸透していますし、その力は本物です。ただ、決して新しいものではありません。私たちの歴史は、誰もが平等に作られたというアメリカの理想と、その一方で人種差別や移民排斥主義や恐怖によって国が引き裂かれてきたという厳しく醜い現実が、常にせめぎ合う中で作られてきました。この戦いは絶え間ないもので、勝利は決して確実ではありません。

南北戦争や大恐慌、世界大戦、9/11、困難と犠牲と失敗が相次ぐ中、それでも常に私たちの善性がまさってきました。大変だったその時々に、必要な人数が集まり、力を合わせて、この国を前進させてきたのです。今回もまたそれができます。歴史と信念と理性が道を示してくれます。連帯の道を。

私たちはお互いを敵対する相手ではなく、隣人として見ることができます。お互いを尊重し、敬意をこめて接することができます。私たちは協力し、叫ぶのをやめて、ヒートアップした温度を下げることができます。

というのも連帯がなければ平和はなく、いがみ合いと激しい怒りしかありません。進歩はなく、くたびれ果てるほどの激高しかありません。国はなく、ただ混沌(こんとん)しかあり得ません。私たちは今、歴史的な危機と挑戦の時を迎えています。そして連帯こそ、前進するための道です。私たちはこの瞬間を、「合衆国」として迎えなくてはなりません。

そうすれば、決して失敗はしないと保証します。アメリカでは、国民がまとまって行動したのに失敗したことなど、一度も、まったくないのですから。なので今この時、この場所から、みんなして新しく再出発しましょう。お互いの言うことをまた聴くようにしましょう。お互いを聴いて、お互いを見るようにしましょう。お互いを尊重するようにしましょう。政治というのは、何もかも破壊してしまう業火でなくても良いのです。意見が一致しないからといって、それが常に全面戦争の原因になる必要もありません。そして、事実そのものが歪曲(わいきょく)され、時には捏造(ねつぞう)されてしまうような風習を、拒絶しなくてはなりません。

アメリカの同胞の皆さん。このような状態は変えなくてはなりません。より良く行動しなくてはなりませんし、アメリカはもっとはるかにまともなはずだと、私は信じています。周りを見回してみてください。私たちは今、議事堂ドームの前に立っています。すでに話題になったように、南北戦争の最中に建造されたものです。当時は合衆国の連合そのものが文字通り、存亡の危機にありました。それでも私たちは耐え抜き、打ち勝ちました。

私たちはこうしてここに立ち、偉大なナショナル・モールを見渡しています。キング牧師が夢について語った、あのモールを。

私たちはこうしてここに立っています。108年前の別の就任式で、参政権を求めて行進する勇敢な女性たちに数千人が抗議し、行方を阻もうとした同じ場所で。その場所で本日、女性が初めて全国を代表する副大統領として宣誓就任したことを、私たちは祝っているのです。カマラ・ハリス副大統領です。

世の中は何も変わらないなどと、言わないでいただきたい。ここからポトマック川を挟んだ向こう側にはアーリントン国立墓地があり、そこでは全身全霊を捧げた英雄たちが永遠に眠っているのですから。

そしてほんの数日前にはこの場所で暴徒が、暴力をもって国民の意志を沈黙させられるなどと考え、私たちの民主主義の仕事を阻止し、この神聖な場所から私たちを追い出せるなどと勝手に思い込んでいました。思い通りにはならなかったし、今後も決してなりません。今日も、明日も、決して。絶対に。

私たちの選挙戦を支持してくださった皆さん、信じてくださって、身が引き締まる思いです。私たちを支持しなかった皆さんには、こう申し上げます。これから前に進む中で、私たちの言い分に耳を貸してください。私と私の心を受け止め、検討し、それで判断してください。

それでも賛成できないなら、それは仕方がありません。民主主義とはそういうものです。アメリカとはそういうものです。この共和国の枠組みの内側で、平和的に抗議する権利こそ、この国最大の力かもしれません。

しかし、はっきり申し上げます。意見の不一致が、国の解体につながってはなりません。

そして皆さんに約束します。私はすべてのアメリカ人の大統領になると。すべてのアメリカ人の。そして、私を支持した人と同じくらい私を支持しなかった人のためにも懸命に戦うと。

何世紀も前に、私が通う教会の聖人、聖アウグスティヌスはこう書きました。人の集団というのは、共通した愛情の対象によって定義されると。では、私たちをアメリカ人と定義する、共通の愛情の対象はなんでしょう? 答えはお分かりだと思います。機会。安全。自由。尊厳。尊敬。名誉。そして、そう、真実です。

ここ数週間や数カ月の間に、私たちは厳しい教訓を得ました。真実があり、そしてたくさんのうそがあるのだと。権力と利益のためにつく、うそがあるのだと。そして私たちひとりひとりに、市民として、アメリカ人として、そしてリーダーとして、真実を守り、うそを打倒する義務と責任があります。特に、この国の憲法を尊重しこの国を守ると誓ったリーダーには。

もちろん、多くのアメリカ人が未来を恐れて不安なのは理解できます。仕事がどうなるのか不安なのは分かります。うちの父親がそうだったように、夜中にベッドから天井を見上げて、「健康保険はどうなる? 家のローンはどうなる?」と考えているのも分かります。家族のことを、これからどうなるのかを心配しているのも。分かっていると約束します。けれども、内向きになってしまっては、答えは見つかりません。勢力争いの中に引きこもってしまっては。自分と見た目の違う相手、自分と信仰の仕方が違う相手、自分と違う情報源からニュースを得ている人たち。そういう相手を疑うばかりでは。

赤い州と青い州を対立させ、農村部と都会を対立させ、保守派とリベラルを対立させる、この不穏な国内対立、このまともでない戦いを終わらせなくてはなりません(訳注「uncivil war」。「civil war」は内戦やアメリカの南北戦争の意味。civilには「礼節のある、まとも」などの意味もあり、uncivilはその反語)。

自分の心をこわばらせるのではなく、自分の魂を開けば、それは可能です。少し寛容になり、少し謙虚になれば。そして、私の母がよく言ったように、他人の靴を履くように他人の立場になってみれば。一瞬でも、相手の立場になってみてください。

というのも人生において、運命が自分に何をよこしてくるか、予想などつかないからです。人の助けが必要な時もあります。自分が人を助ける番のこともあります。そうでなくてはなりません。お互いにそうやって助け合わなくては。私たちがそうやって行動すれば、この国はもっと強く、もっと豊かに、もっと未来に向けて準備ができます。そして、意見がなお一致しなくても、それでも大丈夫なんです。

アメリカの同胞の皆さん。これからの作業において、私たちはお互いを必要とします。この暗い冬を耐え抜くには、全員の力が必要です。ウイルスに関して言えば、これから最も暗い、最も被害が甚大かもしれない時期にさしかかっています。私たちは政治をいったん横に置いて、ついにひとつの国として、ひとつの国としてこのパンデミックに立ち向かわなくてはなりません。そして約束します。聖書が言うように、「夜通し涙を流すとしても、朝には喜びがやってくる」のです。みんなで乗り切りましょう。みんなで。

皆さん、いいですか、ここにいる下院や上院で働く同僚はみんな、世界が自分たちを見つめていることを承知しています。世界が、今日の私たち全員を見ているのです。なので、この国の国境の外にいる人たちにはこう申し上げます。アメリカは試練を受け、前よりたくましくなって乗り越えました。私たちは同盟関係を修復し、再び世界とかかわっていきます。過去の課題に対応するためではなく、今日や未来の課題に取り組むため。そして、私たちはただ力を規範として先頭に立つのではなく、規範としての力を拠り所に先頭に立つつもりです。

私たちは平和と進歩と安全保障のため、信頼できる強力なパートナーになります。

皆さんご承知の通り、私たちはみんな本当に大変な思いをしてきました。なので、大統領としてまず、皆さんにお願いをしたいと思います。この1年の間にパンデミックのため失ったすべての人を追悼し、私と一緒に静かに祈ってくださいませんか。40万人もの、私たちと同じアメリカ人を。お母さんたち、お父さんたち、夫たち、妻たち、息子たち、娘たち、友人たち、隣人、そして同僚たちを。

失った人たちをたたえ、そして自分たちがなれると分かっている国民と国、なるべき国と国民になりましょう。なのでお願いします。命を落とした人たち、置き去りにされた人たち、そしてこの国のために、静かに祈りましょう。

……アーメン。

皆さん、今は試練の時です。この国の民主主義と真実が攻撃されています。激しく広がり続けるウイルス、拡大する不公平、制度的人種差別の痛み、危機的な気候、世界におけるアメリカの役割……。どれひとつをとっても、それだけで深刻な課題なのに、すべてが一斉に押し寄せているのです。おかげでこの国は今、かつてない深刻な責任に直面しています。

今は試練の時です。私たちは立ち上がって、挑戦に応えられるのでしょうか。

今は勇敢に大胆に行動しなくてはなりません。やるべきことは本当にたくさんあるのです。そしてこれは確実です。この時代に次々と降り注ぐ危機をどう解決するかで、私たちは後世の審判を受けます。皆さんも私も。この挑戦に応えるのかが、問われています。

希少で厳しいこの時を克服するのか。責任を果たして、より良い新しい世界を子どもたちに引き継ぐのか。そうしなくてはならないと私は思いますし、皆さんも同じはずです。できるはずだと思いますし、それができた時に私たちはアメリカ合衆国の歴史に次の偉大な章を書き足すことになります。アメリカの物語に。

その物語は歌のように響くものかもしれません。私にとってとても大切な歌です。「American Anthem(アメリカ賛歌)」という曲で(訳:ジーン・シア作曲、ノラ・ジョーンズのカバーが有名)、少なくとも私には特に印象的な歌詞があります。

「100年の働きと祈りがこの日をもたらした。私たちは何を残し、子どもたちは何と言うのか」

「私の人生が終わる時、アメリカよ、アメリカよ、君に最善を捧げたと自分が納得できていますように」

私たちもこの偉大な国で繰り広げられている物語に、自分たちの働きと祈りを加えましょう。そうすれば、自分の人生が終わる時、子どもたちや、子どもの子どもたちがこう言ってくれます。「自分の最善を捧げ、自分の義務を果たした、壊れた国を癒やした」のだと。

アメリカの皆さん、神聖な誓いで始めたように、今日は神聖な誓いで終わろうと思います。神と皆さん全員の前で、私は約束します。私はいつでも常に皆さんに正直に語ります。憲法を守り、私たちの民主主義を守ります。アメリカを守ります。

そして私は皆さんにすべてを捧げます。自分の行動はすべて皆さんのためで、権力のためでなく可能性を考え、個人の利益ではなく公共の利益を考えて行動します。そしてみんな一緒に、アメリカの物語を書きましょう。恐怖ではなく希望の物語を。分断ではなく連帯、暗闇ではなく光の物語を。品性と尊厳、愛と癒やし、偉大で善良な物語を。

これが私たちを導く物語になりますように。私たちを奮い立たせる物語になりますように。そして、私たちが歴史の呼び声に応え、今という時の挑戦に立ち向かったのだと、将来にわたり語り継がれる物語に。私たちの目の前で民主主義と希望、真実と正義は死なず、栄えたのだと。アメリカは国内で自由を確保し、再び世界を照らす光となったのだと、そう語り継がれるように。

先祖に報い、お互いに報い、未来に報いるため、私たちはそうしなくてはなりません。

なので、意欲と決意をもって、私たちはこの時代の課題に取り組みます。信念に支えられ、確信を原動力に、お互いのためを思い、そして心の底から愛する国のために。

神がアメリカを祝福しますように。そして神が、この国の兵を守ってくださいますように。

アメリカ、ありがとう。

(英語記事 Full transcript of Joe Biden's inauguration speech)


(2)BuzzFeed-【全文和訳】「分断を終わらせよう」全米に語りかけた女性詩人。就任式で未来への結束を呼びかけ

第46代アメリカ大統領となったジョー・バイデン氏の就任式が行われ、22歳の注目若手詩人、アマンダ・ゴーマンさんが「The Hill We Climb(私たちがのぼる丘)」を自ら朗読した。

Rikako Takahashi
by Rikako Takahashi
高橋 李佳子 BuzzFeed Adaptation Editor, Japan

第46代アメリカ大統領ジョー・バイデン氏の就任式が1月20日(現地時間)にワシントンで行われた。アメリカの大統領就任式では、詩の朗読という伝統がある。ただし、トランプ前大統領の就任式の時は行われなかった。
今回招かれたのは、22歳の詩人アマンダ・ゴーマンさんだ。ロサンゼルス出身で、ハーバード大学在学中から詩人や活動家としてアメリカ社会の分断の懸念を訴えてきた。
2017年、全米青年桂冠詩人 (National Youth Poet Laureate)の第1回受賞者に輝き、一躍有名になった。
今回ゴーマンさんが朗読した「The Hill We Climb(私たちがのぼる丘)」の全文和訳を、以下に紹介する。
※和訳の表現は、原文の表現や解釈と厳密には異なる場合がある。


夜が明ける時、私たちは自分に問いかける。決して終わらないように見える陰の中、一体どこに光があるのかと。

私たちは、失なったものを背負い、海を渡らねばならない。

私たちは、窮地に立ち向かい、学んできた。静けさが平和だとは限らないことを。そして「正義」を定義する規範や概念が、必ずしも常に正しいとは限らないことを。

それでも、私たちが気づく前に、夜明けはやってくる。

なんとかして、私たちはやり遂げるのだ。

なんとかして、私たちは乗り越え、そして目にした。この国は崩壊したわけではなく、ただ未完成だったのだと。

奴隷の子孫で、シングルマザーに育てられた痩せっぽちの黒人の女の子が、大統領になるのを夢見ることができる。その子が、ひとりの大統領ために詩を朗読する。

私たちは、そんな国と時代の継承者なのだ。

確かに、私たちは洗練されたものとは程遠く、純粋で無傷なものともほど遠い。しかし、私たちは完璧な共同体を目指しているわけではない。

私たちは、目的のある共同体を目指しているのだ。

あらゆる人の文化、肌の色、性格、状況を受け止められる国を作るために。

だからこそ、私たちの間に立ちはだかるものではなく、私たちの前に立ちはだかるものに目を向けよう。

分断を終わらせよう。なぜなら私たちは、未来を第一に考えるから。まずは、それぞれの違いに執着するのをやめなければならない。

武器を置いて両手を広げよう。互いの手と手が届くように。

私たちは誰にも危害を加えない。すべての人のために、調和を求める。

せめて、これは真実だと世界に知らしめたい。

嘆きながらも、私たちは成長した。

傷つきながらも、希望を抱いた。

疲弊しながらも、挑戦した。

私たちは永遠に結ばれ、勝利を手にするだろう。

これから先、もう二度と敗北しないからではない。もう二度と、分断の種をまかないからだ。

それぞれが自分のブドウの木やイチジクの木の下に座り、誰も恐れる必要のない世界を描くようにと、聖書は私たちに説いている。

私たちの時代に適うとすれば、刃の中に勝利はない。私たちが架けてきた全ての橋にこそ、勝利がある。

それが約束の地、私たちが恐れずにのぼろうとする丘だ。

アメリカ人であるというのは、私たちが引き継ぐ誇り以上の意味がある。

アメリカ人であるというのは、私たちが足を踏み入れた過去と、それをどう修復するかだ。

国を共有するどころか、粉砕してしまった力を私たちは見てきた。

それが民主主義を遅らせるものなら、私たちの国は滅びてしまう。あと少しで、滅びてしまうところだった。

しかし、民主主義は一時的に止まることがあれど、永遠に敗北することはない。

この真実と信念をもってして、私たちは信じている。私たちが未来を見ているその時、歴史は私たちを見ているから。

今はまさに、償いの時代だ。はじめ、私たちは恐れていた。

そんな恐ろしい時代を引き継ぐ覚悟は、できていないように感じていたから。

そんな中でも、私たちは新たな章を書き上げ、希望と笑いを届ける力を見つけた。

この破滅的な状況に、一体どう打ち勝てるのか。かつて私たちはそう思っていた。でも今、こう宣誓できる。この壊滅的な状況は、果たして私たちに打ち勝てるか?

私たちは過去に戻るのではなく、未来に進む。傷つきながらも一体となっていて、優しくも大胆で、力強く自由な国へと。

私たちは脅しによって引き戻されたり、邪魔されたりはしない。なぜなら、私たちの不実行性や惰性が次の世代に引き継がれ、それが未来になることを知っているから。

私たちの失敗は、次の世代の重荷になる。でもひとつ、確かなことがある。

慈悲と権力を、権力と権利を私たちが融合させれば、愛が私たちの遺産になる。そして、私たちの子どもたちが生まれ持って得るものが変わるだろう。

だから、私たちに残された国よりも良い国を残そうではないか。

ブロンズ色の私の胸が呼吸をするたび、私たちは傷ついたこの世界を素晴らしいものへと変えていく。

黄金の丘がある西の地から、私たちは立ち上がる。

私たちの祖先が最初に革命を実現させたあの吹きさらしの北東の地から、私たちは立ち上がる。

湖畔の街に囲まれた中西部の地から、私たちは立ち上がる。

日が照る南の地から、私たちは立ち上がる。

私たちは再建し、和解し、回復する。

そして、私たちの国の隅という隅まで、多様で美しい国民が現れるだろう。打ちのめされて、それでも美しい姿で。

夜が明ける時、私たちは臆することなく、炎の影から一歩踏み出す。

私たちが解放すれば、夜明けはどんどん膨らんでいく。

光はいつもそこにある。私たちに、光を見る勇気があれば。

私たちが、光になる勇気があれば。


by asyagi-df-2014 | 2021-01-29 21:57 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

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