菅首相の施政方針演説と『沖縄に寄り添う』ということ。
2021年 01月 26日
菅義偉首相の施政方針演説が、2021年1月18日、ようやく開かれた国会で行われた。
この施政方針演説について、沖縄タイムスは2021年1月19日、次のように報じている。
(1)菅義偉首相は18日、首相就任後初めての施政方針演説で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設について「普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古沖への移設工事を進める」と述べ、工事を引き続き推進する考えを強調した。「沖縄の皆さんの心に寄り添う」との表現も盛り込まれた。沖縄振興では、名護東道路事業の今夏の全面開通を明言した。
(2)菅氏は日米同盟の抑止力を維持しながら沖縄の基地負担軽減にも取り組むと強調。尖閣諸島を巡り緊張が続く日中関係では「さまざまな懸案が存在」との表現にとどめ、具体的な地名を言及しなかった。中国が同地域で活動を活発化させている状況を念頭に、「主張すべきは主張し、具体的な行動を強く求めていく」とした。
(3)また「安全保障上重要な防衛施設や国境離島を含め、国土の不適切な所有、利用を防ぐための新法を制定する」と説明。米軍・自衛隊施設や原発周辺の土地などを想定しており、県内も該当する土地が出そうだ。土地売買時の事前届け出の義務づけなどが盛り込まれている。
(4)名護東道路事業について「この夏に全面開通する」と述べ、美ら海水族館や世界遺産の今帰仁城跡など主要観光地への交通渋滞緩和の効果が期待されるとした。
(5)また自身が師と仰ぎ、普天間返還合意時の官房長官だった故梶山静六氏の言葉にも触れ「国民の負担をお願いする、その必要性を国民に説明し、理解してもらわなければいけない」とし、菅氏はこうした教えが自身の信条であるとした。
(6)政府の施政方針演説を巡っては、昨年1月、安倍晋三前首相が施政方針演説で普天間返還を巡る表現を削除したが、その後、菅氏が同10月の所信表明演説で復活させている。
また、沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2021年1月19日、この施政方針演説(以下、「演説」)について、「[首相 施政方針演説]これでは心に響かない」、と次のように論評した。
まずは、「演説」の骨格について。
(1)新型コロナウイルスの感染まん延に伴う緊急事態宣言の真っただ中で、通常国会が召集された。菅義偉首相は、施政方針演説で「国民の命と健康を守り抜く」と述べ、感染の早期収束を最優先課題とする考えを明らかにした。最大の焦点はコロナ対応である。
(2昨年9月の自民党総裁選から掲げてきた「自助・共助・公助、そして絆」には触れず、持論の経済重視の文言も封印した。
(3)堂々と基本理念を述べ、進むべき方向性と具体的な施策を示すのが施政方針演説だが、基本理念を封印したということは、首相自身が追い詰められていることを物語る。
次に、「今国会にはもう一つ、重要な側面がある。」、と切り出す。
(1)菅首相がコロナ危機に立ち向かうかじ取り役としてふさわしいかどうかを見極める機会になる、という点だ。
(2)感染拡大を防ぐためには、国民の理解と積極的な協力が欠かせない。国民に「行動変容」を促しても、首相の発言や行動に信頼が置けなければ、国民はついていかない。
(3)実際はどうか。いちいち具体例は挙げないが、菅政権の支持率を見れば、ことは明らかだ。大手メディアのどの調査を見ても、支持率はつるべ落としのように急降下しており、不支持率が支持率を上回るケースも目立つ。国民は、菅首相の後手後手のコロナ対策に不安を感じているだけでなく、説明を尽くさない逃げの姿勢や発信力にも疑問を抱いているのである。
(4)首相は官房長官時代の癖が抜けないようだ。官房長官時代はそれでも切り抜けられたが、一国の首相はそういうわけにはいかない。コロナ禍のような危機の時代に政治指導者に求められるのは、国民に向けた説得力のあるメッセージであり、国民に対して説明を尽くし、ともに歩む姿勢である。
(5)施政方針演説で首相は、デジタル庁の創設やグリーン社会の実現、携帯電話料金の引き下げなどを取り上げ、「長年の課題について、この4カ月で答えを出してきた」と自負心をのぞかせた。菅カラーを打ち出すのはいいが、不都合な事実には触れず国会の数の力で説明責任から逃れるようでは信頼回復は難しい。
(6)在宅起訴された吉川貴盛元農相の贈収賄事件など、「政治とカネ」を巡る問題が相次ぐが、政治不信解消に指導力を発揮した気配はない。
「タイムス」は、最後に、「演説」を沖縄問題から見据える。
(1)首相は施政方針演説で「普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古沖への移設工事を進める」と語った。判で押したような、相変わらずの決まり文句である。
(2)辺野古を巡っては、軟弱地盤の改良のため工事が大幅に遅れ、普天間返還そのものが2030年代半ばまでずれることが明らかになっている。計画の大幅変更を余儀なくされていることは何も言わず、「一日も早い全面返還」という言葉を繰り返す。
結局、「タイムス」は、この「演説」を「『沖縄の皆さんの心に寄り添う』という言葉がむなしく響く。」、と断じるのである。
by asyagi-df-2014
| 2021-01-26 08:52
| 書くことから-いろいろ
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