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辺野古新基地建設にかかる「関与取り消し訴訟」の沖縄県の敗訴。(2)

 琉球新報は2019年10月24日、「米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡り、県の埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決の取り消しを求め、県が国を相手に7月に提起した『関与取り消し訴訟』で、福岡高裁那覇支部(大久保正道裁判長)は23日、県の訴えを却下した。国が私人として行政不服審査法を利用したことは違法だという県の主張について、判決では埋め立て承認は『国の機関と一般私人とを区別することなく同様に扱うことが予定されている』として、国交相の裁決は違法ではないと判断した。県は上告する方針。」、と報じた。
 この判決について、東京新聞(以下、「東京」)は2019年10月25日、「辺野古で県敗訴 地方自治の理念歪める」、と論評した。
「東京」の判決の流れの指摘は次のもの。


(1)沖縄県が辺野古新基地建設阻止のため国を相手に起こした訴訟で、県が敗訴した。法治の規範であるべき国が、法の恣意的運用で地方自治を封じ込める-。そんな手法を認めた判決は納得し難い。福岡高裁那覇支部が二十三日、判決を言い渡した裁判は「国の関与取り消し訴訟」と呼ばれる。
(2)新基地建設を巡り、県は昨年八月、埋め立て承認を撤回。防衛省沖縄防衛局は行政不服審査法(行審法)に基づき、埋め立てを所管する国土交通相に審査請求し国交相は四月、撤回を無効にする裁決をした。これを根拠に防衛局は埋め立て工事を進めている。
(3)県の主張は主に(1)行審法は国民(私人)の権利救済を目的としており防衛局は審査請求できない(2)防衛局と同じ内閣の一員である国交相が申し立てを審査するのは公正さを欠く-の二点。国の手続きの是非のみを争点に違法な請求に基づく裁決を取り消せと訴えた。
(4)高裁判決は、国の言い分を全面的に認め、県の請求を却下した。
(5)埋め立ては民間業者も行う事業で、県もそれと同様に許認可を判断したのだから防衛局にも民間人と同じ権利がある、国交相の権限乱用もなかった、と認定した。


 「東京」は、この上で明確に批判を加える。


(1)防衛局が私人とはどう考えてもおかしい。海上保安庁が立ち入りを規制する海域で基地を建設するのは、国の専権事項である防衛のため。行審法はこうした「固有の資格」を持つ国の機関は審査請求ができないと定めている。国交相の裁決も「選手とアンパイアが同じ立場」という玉城デニー知事の主張の方に利がある。
(2)翁長前県政時代からの県と国との訴訟は八件に上るが、国の裁決に関して判決が出たのは初めて。
(3)多くの行政法学者が「法治国家に悖(もと)る」と批判した強引な法の運用で自治体の決定を覆すことが許されるなら、憲法がうたう地方自治の理念は大きく歪(ゆが)む。三権分立の観点からも司法の中立的判断が期待されたが、県の主張は退けられた。県は上告する方針だ。
(4)県は並行して承認撤回の正当性を問う訴訟を那覇地裁に起こしており、来月弁論が始まる。七割超が辺野古埋め立てに反対した県民投票結果なども審理の対象となる。今回の訴訟の上告審と合わせて司法は、沖縄の民意や地方自治の在り方に向き合って審理を尽くすべきだ。
(5)政府も勝訴したとはいえ、玉城氏が弁論で訴えた国と地方の「対等・協力の関係」構築に向けた努力を怠ってはならない。


 さて、「東京」の「法治の規範であるべき国が、法の恣意的運用で地方自治を封じ込める」(「東京」)とは、まさしく安倍晋三政権の常套手段である。もっと加えるなら、これを恐慌的手腕で、人権無視を行って誇りとする、というのがその方法論である。



by asyagi-df-2014 | 2019-10-31 06:35 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人