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「対米自立へと転換すべきだ。」、と琉球新報。

 私たちが使う「沖縄から日本が見える」という言葉は、本土の日本人の「安心」の担保でしかなかった、というのも事実である。
しかし、沖縄からの「沖縄の米軍基地問題の解決は、平和条約締結などロシアとの関係を改善へと切り開く鍵も握っている。」、と提言は真実を掴んでいる。
琉球新報(以下、「新報」)は2019年10月8日、「米軍基地と日ロ関係 対米自立に転換すべきだ」、と社説で論評した。
「新報」の指摘は次のもの。


(1)ロシアのプーチン大統領の経済分野ブレーン、セルゲイ・グラジエフ氏は本紙の取材に対し、日ロ関係の改善には日本の対米従属からの脱却が不可欠だとして、その重要なポイントに沖縄の米軍基地を挙げた。プーチン氏も同様の認識だ。昨年12月、辺野古新基地建設を念頭に「地元知事が反対し、住民も撤去を求めているにもかかわらず整備が進んでいる」と述べた。
(2)北方領土を含め日本各地で米軍基地の建設が可能な状況を懸念しての発言だ。「日本の主権がどの程度の水準にあるのか分からない」とも述べ、日米同盟下で日本が主権を主体的に行使できているのか疑問を呈した。
(3)その後、事態は悪化した。米国が中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄を表明して以降、ロシアは日ロの平和条約交渉で「日米同盟は脅威で、日ロ関係改善の障害だ」と態度を硬化させた。交渉は一層難航し、北方領土の帰属を巡る具体的な協議は事実上、頓挫している。
(4)8月2日にINF廃棄条約が破棄されて以降、日ロ関係はさらに悪化し、日本にも影響を及ぼしている。エスパー米国防長官が中距離ミサイルのアジア配備を表明したことで、ロシア側は日本に配備される可能性が高いとみている。
(5)ロシア大統領府関係者の情報で、中距離ミサイルを沖縄をはじめ日本に配備する計画が米側にあることが分かっている。ロシア側は沖縄に1基でも配備されれば、平和条約の締結や北方領土を巡る交渉を白紙に戻す構えだ。
(6)ロシアのモルグロフ外務次官は、日本に配備されれば、ロシアの安全保障の脅威となり「日ロ平和条約締結の新たな障害になる」と述べている。これらロシア政府の首脳や高官らに共通した日本への要求は、公式の確約だ。それは、米国による基地建設やミサイル配備を日本が統制する―との約束を意味する。日本側は日米安保条約などを理由に約束を拒んでおり、日ロ関係は厳しい状況に陥っている。
(7)プーチン氏が国の経済を担うキーマンとして公に評価するグラジエフ氏の今回の発言は、政治問題にとどまらず、今後の日ロの経済交流にも、沖縄の米軍基地が深い影を落とすことを示している。


 「新報」の主張は明確である。


「米軍基地が過度に集中する沖縄の人々は、新基地建設や日米地位協定などの問題を巡り、日本政府の対米従属姿勢に何度も直面してきた。姿勢を改めなかったつけが北方領土問題にも及んでいる。解決への本気度は米国にどれだけ物が言えるかで測られる。南の米軍基地問題が北の領土問題に影響を及ぼす事態は、日本の対米従属からの脱却が全国的な重要課題であることを国民に突き付けている。対米自立へと転換すべきだ。」


 この社説で、「新報」の「米、沖縄に新型中距離弾道ミサイル配備計画 ロシア側に伝達、2年内にも 基地負担大幅増恐れ」(2019年10月3日)の記事が、「対米自立へと転換すべきだ。」(「新報」)との核心を持つことが理解できた。
改めて確認する。「ロシア大統領府関係者の情報で、中距離ミサイルを沖縄をはじめ日本に配備する計画が米側にあることが分かっている。ロシア側は沖縄に1基でも配備されれば、平和条約の締結や北方領土を巡る交渉を白紙に戻す構えだ。」(「新報」)、ということを。




by asyagi-df-2014 | 2019-10-13 09:09 | 米軍再編 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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