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東京電力は、福島第二廃炉の完了が40年以上かかるとが知事に伝える。

 原子力発電所の問題がより明確になる。
 朝日新聞は2019年7月24日、「福島第一原発事故から8年4カ月、ようやく地元が求めていた福島県内の原発全10基の廃炉が実現に向かうが、課題が残る。」、と表題について次のように報じた。


(1)東京電力ホールディングス(HD)の小早川智明社長は24日、福島県庁を訪れ、内堀雅雄知事らと会談し、福島第二原発(富岡町、楢葉町)の全4基を廃炉する方針を正式に伝えた。廃炉は1基あたり30年ほどかかり、4基すべてが完了するまで40年超かかるとの見通しも示した。早ければ月末に開く東電HDの取締役会で正式に決める。
(2)福島第一原発事故から8年4カ月、ようやく地元が求めていた福島県内の原発全10基の廃炉が実現に向かうが、課題が残る。
(3)小早川社長は会談で「全号機かつ4基の廃炉は例がなく、また並行して福島第一の廃炉作業を安全かつ着実に進める必要があり時間を要したが、検討におおむねめどが立った」と述べた。内堀知事は「重く受け止めている。県内原発の全基廃炉実現に向けての大切な一歩だ」と評価した。
(4)福島第二の4基は各110万キロワットで、福島第一と同じ沸騰水型炉。1982~87年に運転を始めた。2011年の東日本大震災では津波で3基が原子炉の冷却機能を失ったが、過酷事故は免れ、その後はずっと運転を停止している。東電は4基の廃炉費用を計約2800億円と見込む。
(5)小早川社長は、廃炉を円滑に進めるため、原発のプールにある約1万体の使用済み核燃料を、空冷で保管する乾式貯蔵施設を敷地内に設けて移す方針を示し、知事らに理解と協力を求めた。知事らの回答を待ち、取締役会で廃炉を正式決定する。小早川社長は、乾式貯蔵施設で一時保管する使用済み燃料は廃炉が終わるまでに、県外に全量搬出する方針も示したが、搬出先は「検討中」とした。内堀知事は県外への全量搬出を求めている。
(6)福島第二の廃炉が決まれば、東電が所有する原発は、建設中の東通原発(青森県)を除き、柏崎刈羽原発(新潟県)の7基だけとなる。東電は、柏崎刈羽の再稼働を経営再建の最大の柱と位置づけるが、新潟県の花角英世知事が是非を判断するのは22年夏前までずれこむとみられる。地元の桜井雅浩柏崎市長は6、7号機の再稼働に同意する条件として1~5号機の廃炉計画づくりを求めている。6月18日の地震直後に、一部設備に異常があると柏崎刈羽から誤った情報が発信され、桜井市長は計画づくりの回答の受け取りを拒否し、再稼働は見通せない。
(7)東日本大震災以降、全国で21基が廃炉となり、再稼働した9基の2倍に上る。政府がエネルギー基本計画で掲げる30年度に総電力量に占める原発比率を20~22%にするとの目標はますます非現実的になっている。(桜井林太郎、伊藤弘毅)
(8)第二原発の廃炉方針が正式に伝えられ、地元の富岡、楢葉両町が関心を寄せるのは、原発立地に伴う交付金がどうなるか、だ。両町には電源三法に基づく電源立地地域対策交付金が支払われている。今年度はそれぞれ約10億円。第二原発は東日本大震災で停止中だが、稼働しているとみなされている。楢葉町ではこの交付金が歳入の約1割を占める。廃炉が決まると、翌年度から電源立地交付金はなくなり、廃炉が決まった他の原発と同じく、「廃炉交付金」が出るが、金額は段階的に減り、10年間でゼロになる仕組みだ。
(9)2015年9月に避難指示が解除された楢葉町は住民票を登録している6881人のうち町内に住んでいるのは55%。17年4月に大部分が解除され、1万2910人が住民登録している富岡町は8%にとどまる。この日の会談後、松本幸英楢葉町長は「(帰還を進めるには)住民サービスのレベルを上げないといけない。電源立地交付金に代わりうるものを国に要望している」、宮本皓一富岡町長も「電源立地交付金がそのままなくなれば、町が立ちゆかなくなる」と述べた。
(10)第二原発の廃炉が決まっても、本格的な解体作業が始まるのは10年以上先とみられ、1日平均4千人が働く第一原発の廃炉への影響は当面なさそうだ。地元には第二原発の廃炉作業が動き出し、再び多くの作業員が働けば、地域の活性化につながるとの期待もある。ただ、富岡町の女性(56)は避難先で「住民の帰還はあまり見込めず、廃炉が決まっても町の形は描けていない」と心配する。
(関根慎一、床並浩一、石塚広志)




by asyagi-df-2014 | 2019-07-25 12:26 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人