「米軍普天間飛行場の移設についても『(米軍の)土地の収奪だ』」、と米国大統領。

 植民者としての思いなのだな。
 米大統領のありうる発言ではある。

 琉球新報(以下、「新報」)は、2019年6月27日、「米大統領「安保破棄」 安全保障を考える契機に」、と社説で答えた。
「新報」は、「トランプ米大統領が日米安全保障条約を破棄する考えを側近に漏らしていたと米ブルームバーグ通信が報じた。米軍普天間飛行場の移設についても『(米軍の)土地の収奪だ』として、日本政府に金銭的補償を求める考えを示していたという。」、と事の発端を説明する。
 どうやら、この米ブルームバーグ通信の段階で社説を書いている。
 あり得ることだとして、すでに準備をしていたかのようだ。
実は、このことに関連して、朝日新聞は同日、「『日本はテレビで見るだけ』トランプ氏、日米安保に不満」、と次のように伝えている。


(1)トランプ米大統領は26日、米テレビ局FOXビジネスのインタビューで日米安全保障条約に言及し、「日本が攻撃されれば、米国は第3次世界大戦を戦う。我々は命と財産をかけて戦い、彼らを守る」と強調した上で、「でも、我々が攻撃されても、日本は我々を助ける必要はない。彼らができるのは攻撃をソニーのテレビで見ることだ」と主張。条約は不平等だと不満を表明した。
(2)トランプ氏は「米国は世界の警察官ではない」が持論。就任以来、米軍の外国駐留は公金の無駄遣いとして、同盟国に「公平な負担」を求めるなど、同盟関係を軽視する発言を繰り返してきた。
(3)日米安保条約では、米国は集団的自衛権を行使して日本を防衛する義務があり、日本は米軍に基地を提供する義務があるが、トランプ氏は条約を「片務的」とみて、不満を表明したとみられる。
(4)今回の発言に先立ち、米ブルームバーグ通信は24日、トランプ氏が最近、私的な会話のなかで、日米安全保障条約は不平等として、破棄する可能性について言及したと報じていた。


 さて、「新報」は、「米軍普天間飛行場の移設についても『(米軍の)土地の収奪だ』として、日本政府に金銭的補償を求める考えを示していたという。」との米国大統領の発言に関連して、「米国が本当に破棄を望むのなら、沖縄の米軍基地を平和につながる生産の場に変えることも可能だろう。辺野古の新基地建設も不要になる。政府はむしろ、これを奇貨として対応を検討すべきだ。」、と主張する。
 まずは、この報道について、次のように押さえる。


(1)菅義偉官房長官は「報道にあるような話は全くない。米国の大統領府からも米国政府の立場と相いれないものであると確認した」と述べ、打ち消しに躍起になっていた。
(2)米国政府の立場はその通りだろう。だが予測不能といわれるトランプ氏だ。このような発言をしたとしても一向に不思議ではない。だからこそ事実ではないかという憶測が一時、外務省内でも広がった。本当だったとしても、個人的見解の域を出ず、現実に安保を破棄する事態は起こらないとの見方が強い。貿易交渉を有利に進めるための取引材料として持ち出す可能性はあるかもしれない。
(3)報道によると、トランプ氏は「日本が攻撃されれば米国が援助することを約束しているが、米国が攻撃された場合に日本の自衛隊が支援をすることは義務付けられておらず、あまりにも一方的だ」と不満を示したとされる。


 この上で、「新報」は、明確に批判を行う。


(1)日本政府は在日米軍関係経費として毎年巨額の予算を計上している。防衛省の公表資料によると2019年度は基地従業員の労務費、施設借料を含め、駐留に関連する経費だけで3888億円に上る。それ以外にSACO関係経費(256億円)、米軍再編関係経費(1679億円)もある。
(2)トランプ氏は日本が負担する経費をどこまで理解しているのだろうか。普天間飛行場を巡る認識に至っては、事実を百八十度ねじ曲げている。
(3)飛行場のある場所は戦前、集落が点在する農村地帯だった。住民を収容所に押し込んでいる間に土地を奪い、戻った時には立ち入りができないようにした。敵国の領土で私有財産の没収を禁じるハーグ陸戦条約にも違反している。
(4)米大統領がこのような自明の事実さえ理解していないのだとすれば、基地問題の解決などおぼつかない。日本政府はトランプ氏の啓発に努めた方がいい。
(5)在日米軍専用施設面積の7割が集中する沖縄は日米安保体制の重荷を最も多く背負わされている。基地から派生する事件・事故は後を絶たず、軍用機がまき散らす騒音は我慢の限度を超える。


 だからこそ、「新報」は、「米軍の権益を維持・拡大してきたのが安保の実態であり、その不平等性は日米地位協定に端的に表れている。今回の報道を契機に、安全保障への関心が高まり、安保を巡る国民的な議論が深まるのならいいことだ。」、と断じる。


 確かに、気づかされる。
 日本政府が東アジアで行った植民地主義に基づく侵略行為を認めないことが沖縄の「構造的沖縄差別」を引き起こしている。そんな日本政府が、米国に対して、自明の事実を自明なものとして説明したことはなかったはずだ。
植民者が植民者らしい発言をしただけだ。
だとしたら、新しい安全保障のあり方を自らのものする必要がある。



by asyagi-df-2014 | 2019-07-06 05:57 | 米軍再編 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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