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持続可能な社会を考えるために。信濃毎日新聞社説を読む。

 いつからか、「持続可能性」が非常に重要な概念だということに気づかされてきた。
 「3.11」は、このことをはっきり確認させた。
「限界集落」が目の前にちらつく地区に生活している今、あらためてこのことを考えてみる。


 信濃毎日新聞(以下、「信濃毎日」)は、2019年6月2日の社説を「食品ロスを減らす できることから始めたい」、と論評した。
「信濃毎日」の話は、「『水洗いしたもやしは、保存用袋に入れて冷凍保存ができるよ』『トマトは、ヘタを下にして保存すれば、柔らかいトマトの底を保護できるため傷みにくくなるよ』」から始まる。
 どういうことなのか。
 「信濃毎日」のはなしは、このように続けられる。


(1)松本大学(松本市)の学生プロジェクト「◎いただきます!!」は3月にレシピ集「親子でつくろう絶品!おうちごはん」を作った。掲載した12のレシピそれぞれに食材を長持ちさせる方法、上手に使うこつをメモで添えている。食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」の削減につなげてもらおうという狙いだ。
(2)食を通じた地域との交流の一環で昨年の夏、地元の児童センターの子どもたちを対象に料理教室を開いた。その際に考案したレシピを基にしている。松本市と共同で3千部作り、市内の児童センターなどに配った。
(3)本年度のリーダー、服部優花さん(19)=健康栄養学科2年=はレシピ集作成に向けて市の担当者とやりとりする中で「ロスを減らすために何かできればという思いが強まった」と話す。今年も8月に子ども料理教室を計画している。調理前のミニ講座では、学生たちが栄養や食品ロスなどについて解説する。
(4)昨年の子どもたちには「家でも作って、おいしく食べたよ」などと好評だった。会計と書記を担う都筑優乃さん(19)=同=は「子どもと料理を楽しみながら、親を含め、大人にも関心を高めてもらえたら」と期待を込める。

 「信濃毎日」は、「毎日茶わん1杯のご飯を捨てるのとほぼ同じ量」(琉球新報)にあたる『食品ロス』について、押さえる。


(1)売れ残った節分の恵方巻きが大量に捨てられるなど食品ロスは近年、社会問題になっている。農林水産省は今年、需要に見合った恵方巻きの販売をするよう業界団体に異例の要請をした。
(2)大量廃棄の見直し機運が高まる中、国会では先月、政府の対策や自治体ごとの計画作りを求める食品ロス削減推進法が成立した。改めて問題に目を向け、食べ物を無駄にしない工夫を重ねたい。
(3)日本の食品ロスは2016年度の推計で約643万トンに上っている。国民1人当たりにすると、毎日茶わん1杯のご飯を捨てるのとほぼ同じ量になる。
(4)「もったいない」だけでは済まない。過剰な食料生産や食品の焼却は多量のエネルギー消費、二酸化炭素(CO2)の排出を生む。大量廃棄の一方で、世界の9人に1人、8億人超が栄養不足に苦しんでいる。国際的な環境問題、貧困問題にもつながる課題だ。
(5)国連の持続可能な開発目標(SDGs)は、1人当たりの食品廃棄量を世界全体で30年までに半減することを掲げる。
(6)カロリーで見た日本の食料自給率は38%にとどまる。多くの食材を輸入している。食品ロスは世界の資源の無駄遣いでもある。削減を進める責任が重い。
(7)業界や企業の取り組みが進んではいる。例えば、食品業界の「3分の1ルール」と呼ばれる商習慣の見直しだ。賞味期限までの期間の3分の1を過ぎると小売店に納品できない。これを2分の1に緩和したりしている。
(8)コンビニもやっと本腰を入れ始めた。セブン―イレブン・ジャパンとローソンは消費期限の近づいた弁当などを買った人に5%分ポイント還元する方針を示した。実質的な値引き販売で売れ残りを抑える狙いである。外食産業でも小盛りのメニューを用意したり、食べ切れない分を持ち帰るための容器を提供したりする取り組みが見られる。

 「信濃毎日」は最後に、企業の責任だけでなく、「食品ロス問題の解決に特効薬はない。外食、買い物、料理…。日々の暮らしを見直し、それぞれにできることから始めたい。」と消費者の側の自覚を問うている。


(1)各企業はロスを出さない仕組み作りを急いでほしい。同時に消費者の行動も鍵になる。
(2)買い物では鮮度にこだわり過ぎていないか。期限の迫った食品が手に取られず、売れ残るようでは結局、捨てられてしまう。
(3)宴会などで食べ残しをなくすための「30・10(さんまる・いちまる)運動」も全国的に展開されている。乾杯後の30分間とお開き前の10分間は自分の席で料理を楽しもうというものだ。
(4)運動を始めた松本市は家庭での30・10も提唱する。毎月30日は冷蔵庫クリーンアップデー、10日はもったいないクッキングデーとする。冷蔵庫を点検し、期限の近いものなどを積極的に使う。捨てている野菜の茎や皮などを活用して親子で料理をする。
(5)食品ロスの半分近くは家庭から出ている。消費者庁は、買い物は使い切れる分だけにする、料理を作り過ぎないといったポイントを挙げる。当たり前のことの積み上げが削減への力になる。
(6)賞味期限の正しい理解も呼び掛けている。おいしく食べられる期限であり、過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではない。
(7)食品ロス問題の解決に特効薬はない。外食、買い物、料理…。日々の暮らしを見直し、それぞれにできることから始めたい。


 確かに、持続可能性の観点から、「信濃毎日」の「『売れ残った節分の恵方巻きが大量に捨てられるなど食品ロスは近年、社会問題になっている。』から『食品ロスを減らす』」ことの意味を、きちっと把握する必要がある。
 日本の「食品ロス」の削減を進める意味について、考え方を次のように整理することができる。
1.過剰な食料生産や食品の焼却は多量のエネルギー消費、二酸化炭素(CO2)の排出を生むということ。
2.大量廃棄の一方で、世界の9人に1人、8億人超が栄養不足に苦しんでいる。国際的な環境問題、貧困問題にもつながる課題であること。
3.国連の持続可能な開発目標(SDGs)は、1人当たりの食品廃棄量を世界全体で30年までに半減することを掲げること。
4.カロリーで見た日本の食料自給率は38%にとどまる。多くの食材を輸入している。食品ロスは世界の資源の無駄遣いでもあること。                  5.日本全体にとって、削減を進める責任は非常に重いこと。


 あらためて、「信濃毎日」の「食品ロス問題の解決に特効薬はない。外食、買い物、料理…。日々の暮らしを見直し、それぞれにできることから始めたい。」、との指摘を振り返っている。



by asyagi-df-2014 | 2019-06-09 09:37 | 持続可能な社会 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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