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「やむを得なかったと判断している」との強弁の向こうには沖縄県民の悲劇が待っている。

 「やむを得なかったと判断している」との強弁の向こうに、実は、沖縄県民の悲劇がある。
何を問題にしているのか。
沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2019年5月25日、「岩屋毅防衛相は24日の閣議後会見で、米軍嘉手納基地で21日に実施されたパラシュート降下訓練に「(米側の)事情を聞いてみるとやむを得なかったかな、と判断した」と述べ、容認する考えを明言した。降下訓練は通常、伊江島補助飛行場で実施されるが、日米両政府は「例外的」な場合に限り嘉手納で認めている。ことしは既に3回実施されており、謝花喜一郎副知事が23日、関係機関へ抗議した直後の発言。県や周辺自治体は強く反発している。」、と報じていた。


 このことに関して、沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2019年5月26日、「[パラシュート降下訓練]県内での中止を求める」、と社説で見解を表明した。
 「タイムス」は、「地元住民の安全をないがしろにし、米軍の訓練を優先する驚くべき発言である。」、と批判を明確にする。
 「タイムス」は、何が問題なのかについて、指摘する。


(1)米軍嘉手納基地で実施されたパラシュート降下訓練について岩屋毅防衛相が「やむを得なかったと判断している」と訓練を容認した。
(2)降下訓練は、1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で伊江島補助飛行場へ移転することが明記された。
(3)米軍が地元の反対を押し切って嘉手納で強行するのは例外規定があるからだ。2007年、日米合同委員会で嘉手納が「例外的な場合に限って使用される」という抜け穴がつくられた。
(4)沖縄の基地は民間地域と隣り合わせである。今回も住宅地上空を横切り、滑走路に降り立っている。一歩間違えば住民を巻き込む事故が起きる不安が拭えない。伊江島でもたびたび提供区域外の畑などに落下している。沖縄での降下訓練はやめるべきである。


 今回の岩屋発言そのものについては、次のように切り込む。
 
 
(1)岩屋氏は、伊江島での条件が整わず、5回中止したとする米軍に理解を示す。
(2)17年に外務・防衛閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で政府が米側に「地元の懸念」を伝えた。歴代防衛相は嘉手納では行わないよう要請してきたが、岩屋氏は逆にお墨付きを与えた形だ。とうてい認められない。
(3)看過できない点はまだある。米軍が悪天候でも訓練ができるよう大型救助船を導入しても嘉手納の降下訓練がゼロにならないとの見通しを示していることだ。今後も嘉手納での降下訓練を容認しているということではないのか。


 「タイムス」は、パラシュート降下訓練について、次のように断じる。


(1)例外の定義を巡り、河野太郎外相は今年3月、国会で「拡大解釈をすることは許されない」と答弁した。
(2)具体的には、①定期的ではなく小規模、②悪天候などの制約により伊江島で行えない、③喫緊の必要がある-ことを基準として例示した。
(3)嘉手納での降下訓練は今年1、2月と連続して行われ、河野氏が基準を例示した後の5月も続いた。定期的、小規模の定義があいまいだ。
(4)今回米軍は伊江島の「海象条件が悪く、救難ボートを運用できない」ことを理由に挙げたが、実際はダイビングが可能な海象条件だったことがわかっている。
(5)米軍は48時間前の情報で決定していると説明する。米軍の一方的な解釈でどうにでもなるような例外規定は撤廃すべきだ。
(6)県が欧州の地位協定と比較した調査によると、例えばドイツやイタリアでは米軍の訓練にはいずれも事前通告や両国の承認が必要である。地域の意見を吸い上げる委員会も設置されている。
(7)日本では日米合同委員会という沖縄が関わることのない「密室」の中で決まっている。沖縄の声は、軍の論理を押し通す米軍と、米軍の運用に口を差し挟むことをしない政府との間に埋没しているのが現状である。
(8)政府が呪文のように唱える負担軽減とは裏腹に負担増が実感である。沖縄の声に耳を傾け、米軍と本気になって向き合わなければならない。


 沖縄から、受け取るものは、「沖縄の負担軽減」の政策が「沖縄の負担増」の構造をつくり出しているというまやかしの「姿」である。
確かに、安倍晋三政権が行わなければならないのは、沖縄の声に耳を傾け、米軍と本気になって向き合うことである。




by asyagi-df-2014 | 2019-06-04 07:06 | 米軍再編 | Comments(0)

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