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「8050問題」を考える。(2)

 「8050問題」について十分には認識できていなかった。
改めて、この問題を考える。
 今回は、西日本新聞の社説で考える。
 西日本新聞(以下、「西日本」)は2019年4月19日、「高齢ひきこもり 親子の共倒れを防ぐには」、と社説で論評した。
 まず、「西日本」は、次のように「事実」を把握する。


(1)ひきこもり支援の現場では近年、当事者の高齢化がささやかれてきた。とはいえ、この数字には驚くほかない。ひきこもり状態にある40~64歳の中高年の人は、全国で61万3千人に上るという。内閣府が昨年、5千人を対象に初めて実施した調査に基づく推計値だ。
(2)国はこれまで、ひきこもりを若年層(15~39歳)の問題と位置付け、調査と支援に取り組んできた。2015年度調査に基づくこの層の推計値は54万1千人だったので、幅広い年齢層にわたって100万人規模の当事者がいることになる。国は対策を抜本的に見直す必要がある。
(3)今回調査では、ひきこもり状態の人の約8割が男性だった。期間は「5年以上」が約5割を占め、30年以上の人もいた。
(4)きっかけで目立つのは「退職」「職場になじめなかった」「就職活動がうまくいかなった」など仕事に関するつまずきだ。調査対象世代のうち40代が社会に出た時期は、バブル経済崩壊後の就職氷河期と重なる。非正規雇用が増え始めた頃でもある。ひきこもりの増加や高齢化には、こうした社会的要因が影を落としている側面もあろう。
(5)ほかに、小中高校での不登校や受験の失敗、病気や妊娠がきっかけになった人もいる。ひきこもりの端緒は、人それぞれであることがよく分かる。


 こうした把握の上で、「西日本」は、次のように押さえる。


(1)当然ながら、個々の当事者の実情に即した、多様な初期対応や支援が求められる。
(2)中高年の場合、期間が長引くほどに、就労は難しくなる。段階的に仕事になじむためにトレーニング期間を設けるなど、きめ細かな支援が欠かせない。
(3)支援は家族や本人の相談から始まることが多いが、孤立して問題を抱え込むケースも少なくないという。長期化した場合、当事者も家族も深い疲労感と無力感に陥り、身動きが取れなくなっている可能性もある。
(4)窓口で相談を待つだけではなく、行政と支援団体などが連携し、積極的に地域の当事者を見つけ出して、訪問支援などにつなぐ努力を重ねてほしい。
(5)今回の中高年対象の調査は規模が小さく、実態の一端を示したにすぎないと考えるべきだ。大分県のように、地域住民と接する機会が多い民生委員などの協力を得ながら、より丁寧な実態調査に乗り出している自治体もある。国も本腰を入れて実態調査を進め、要因や背景の分析を踏まえた総合的対策を打ち出すべきだろう。


 最後に、「西日本」は、「80代の親が50代の子どもを支える事態に至れば、生活は困窮し、親子共倒れの危機も高まる。いわゆる『8050問題』への対応は、もはや待ったなしの状況と考えるべきだ。」、とまとめる。


 「待ったなしの状況」への危機感があまりにも希薄すぎないだろうか。




by asyagi-df-2014 | 2019-04-29 06:54 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人