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自由に考え、自由にものを言う。そんな当たり前の行為が否定される世の中に抗うために。

 持続可能な社会とは、やはり、「自由に考え、自由にものを言う。そんな当たり前の行為が歓迎される」社会であろう。
朝日新聞(以下、「朝日」)は2019年4月11日、「自由な言論 守り続ける覚悟を」、と社説で論評した。
「朝日」の「自由に考え、自由にものを言う。そんな当たり前の行為が、不当に制限されることがあってはならない――。社説でも折にふれ主張してきたことだが、民主主義の基盤を傷つける出来事が、最近も相次いでいる。」との指摘の根拠を次のように示す。


(1)京都府南丹市は昨年11月、精神科医・香山リカさんの講演会を中止した。講演を妨害するような電話や、政治団体による街頭宣伝の予告が届いたためだ。予定されていた演題は「子どもの心を豊かにはぐくむために」。市は、母親や子の安全確保を理由に講師を変更した。露骨な嫌がらせに市は毅然(きぜん)とした態度で臨んでほしかった。警察に警備を依頼するなど対策は十分とり得ただろうし、似たようなケースで行政側の対応を違法とした最高裁判例もある。結果として圧力に屈した形になったのは残念でならない。
(2)一昨年も同様の経緯をへて、香山さんの東京都内での講演会が取りやめになっている。当時、差別的な言動に反対するなど活発に発言していた香山さんは、ネット上で激しく攻撃されていた。今回の妨害行為の背景にも、香山さんの活動に対する敵意がうかがえる。


 こうした状況について、「朝日」は、「この例に限らない。憲法や基地問題などを取りあげた集会で、自治体が後援や共催を取り消す事例が絶えない。多様な言論を保障する責務の重さを、行政は認識してほしい。」、と主張する。
さらに、「朝日」の具体的な指摘は続く。


(1)もちろん、憎悪むき出しのヘイト行為などは健全な言論活動とは言えない。憲法が保障する表現の自由は、個人の尊厳を傷つけないことが前提であることを、確認しておきたい。
(2)許しがたい別の嫌がらせ行為もある。女性差別などについて積極的に発言する議員や弁護士に、頼んだ覚えのない商品が送りつけられてきた事件だ。北九州市の村上聡子市議には昨夏以降、下着などが代金引換で配達された。加計問題で政権を批判した前川喜平元文部科学事務次官を招いて、講演会の司会をした後から始まった。「言論封殺の意図を感じる。こんなことをしても発言をやめはしない」と市議は話す。
(3)残念なのは、こうした訴えを冷笑するような反応が一部にあることだ。ネットには「被害者アピールして何の意味がある」といった言葉が飛び交った。差別に反対する。政権に厳しいことを言う。憲法の大切さを論じる。これらの行為が攻撃対象にされるとは恐ろしい話だ。


 「朝日」は、自らの決意を込めて、「恐怖が萎縮を生む悪い連鎖の中で、言論の場が狭まることを危惧する。おかしな風潮を広げないためには、いつ自分も標的になるかも知れないと想像力を働かせ、批判の声を静かに、しかし確実に上げ続けることだ。」、と訴える。


 確かに、この「朝日」の主張から、二つのことを受け取った。
一つには、行政の使命は、「多様な言論を保障する責務の重さ」であること。
二つには、だから一人一人が「いつ自分も標的になるかも知れないと想像力を働かせ、批判の声を静かに、しかし確実に上げ続けること」の大切さ。



by asyagi-df-2014 | 2019-04-17 07:06 | 持続可能な社会 | Comments(0)

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