「公正」という言葉を死語にするのか。

 石井国土交通相は、「撤回処分には理由がないと判断した」、と裁決について明言した。
 一方、沖縄県知事は、「(埋め立て承認撤回を)取り消されるいわれは全くない。ぶれることなく、県民の強い思いに応えていく」(琉球新報)、とする。
何が、引き起こされているのか。
 琉球新報は2019年4月6日、「国交相、承認撤回を取り消し 辺野古埋め立て 防衛局請求に裁決 県、法的措置へ」、と次のように伝えている。


(1)名護市辺野古の新基地建設に伴う県の埋め立て承認撤回を巡り、石井啓一国土交通相は5日、撤回処分を不服とした防衛省沖縄防衛局の審査請求を認め、撤回は違法だとして取り消す裁決を下したと発表した。結果を通知する文書が防衛局に届くとみられる6日にも、埋め立て承認の効力が復活する。県は撤回の有効性を訴えるため国地方係争処理委員会へ改めて審査を申し出ることなどを含め、法的対抗措置を検討する。
(2)石井国交相は会見で「撤回処分には理由がないと判断した」と述べた。
(3)裁決について玉城デニー知事は「(埋め立て承認撤回を)取り消されるいわれは全くない。ぶれることなく、県民の強い思いに応えていく」とのコメントを出した。沖縄防衛局の審査請求を国土交通省が審査したことに対し「選手と審判を同じ人物が兼ねているようなものだ。『自作自演』で、結論ありきだ」と批判した。
(4)県側は撤回理由の一つとして大浦湾側に存在する軟弱地盤を挙げたが、国交省は地盤工学が専門の日下部治東京工業大名誉教授(国際圧入学会会長)へ資料を出し鑑定を依頼した。その結果(1)改良工事の工法選択は適当で実行は可能(2)所要の安定性を確保した埋め立て地の護岸や埋め立て地の施工は可能(3)地盤改良工事に伴う環境影響の増分も概略検討としては適切―との意見を得たという。審査を請求した防衛局の主張の全てが認められたことを理由に、行政不服審査会への諮問も行わなかった。
(5)裁決が出たことで、一時的に撤回の効果を止めていた国交相の執行停止決定は効力を失い、県が3月22日に提訴した関与取り消し訴訟も事実上無効となる。
(6)県が取り得る対抗措置は(1)地方自治法に基づいて国地方係争処理委員会に審査を申し出る(2)行政事件訴訟法に基づいて取り消し訴訟を提起する―の二つがある。(1)の場合、知事名で申し出が可能で、裁決後30日以内に手続きが必要。(2)の場合は行政事件訴訟法に基づき6カ月以内に提訴することになり、県議会の議決が必要。県は週明けに裁決書を確認した後、弁護団と対応を協議する。


 さて、このことについて、沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2019年4月6日、「[国交相 撤回取り消し]裁決の『公正さ』を疑う」、とその社説で強く反論した。
 「タイムス」は、まず、次のように把握する。


(1)石井啓一国土交通相が、県による辺野古埋め立ての承認撤回を取り消す裁決を下した。沖縄防衛局が県への対抗措置として行政不服審査法に基づき審査請求していたもので、「県の撤回は違法」と判断された。昨年10月に撤回の効力が一時的に停止されたことに続く決定である。これにより行政上、仲井真弘多元知事の「埋め立て承認」が復活する。
(2)審査に際し県は、防衛局が私人の利益を救済する行審法を根拠に審査を求めたのは違法と訴えたが、「防衛局は一般私人と同様の立場で処分を受けた」とし退けられた。


 また、「タイムス」は、裁決の内容について、次のように指摘する。


(1)国の機関である防衛局が国の機関である国交相に対し審査請求したことも「法令の規定に基づくもので、制度の乱用ではない」と結論付けた。
(2)本当にそうなのか。
(3)防衛省に「普天間飛行場代替施設建設事業推進チーム」が設置された2015年以降、国交省から同省へ出向した職員が延べ18人に上ることが明らかになっている。承認撤回の効力停止にあたり文書決裁に加わった1人は出向中の幹部職員だった。
(4)撤回取り消しを受け、玉城デニー知事は「あたかも選手と審判を同じ人物が兼ねているようなもので『自作自演』だ」と批判した。
(5)国交相も防衛相も安倍内閣の一員として共通の国策を担っているのだから、まさにその通りだ。
(6)下された裁決は、県知事の裁量権を極端に狭めるような、都合のいい解釈である。


 さらに、「タイムス」は、詳細にこの裁決を批判する。


(1)県が昨年8月、埋め立て承認の撤回に踏み切ったのは、新たに軟弱地盤や活断層の存在が判明したからだ。「マヨネーズ並み」といわれる軟弱地盤について、石井国交相は「安定性を確保して工事を行うことが可能であるとの鑑定結果を踏まえた」と説明し、改良工事による対応が可能との見解を示した。鑑定したのは地盤工学の専門的知見を有する研究者という。しかし改良は難しいとする専門家もおり、公正性と第三者性が保てる鑑定結果なのか疑問が残る。 
(2)本島周辺に生息する3頭のジュゴンのうち、個体Bと名付けられたジュゴンの死骸が発見されたばかりだ。残るAとCも18年秋と15年夏を最後に姿を見せていない。 自然保護団体が土砂運搬船の影響など新基地建設との関連性を指摘しているにもかかわらず、裁決書は県の多方面からの訴えをことごとく退けている。ジュゴンAとCの広域調査や保護は行わず、工事の影響がないと言い切るのは説得性を欠く。
(3)新基地建設を巡っては環境アセスの段階から、記載されるべき内容が記載されないなど多くの不備が指摘されてきた。情報公開と公平性の確保は当時から尾を引いている問題である。


 最後に、「タイムス」は、「そもそも行審法は、強大な公権力から国民の権利救済を目的とした法律だ。今回の裁決で浮かび上がったのは、国が国に審査請求し一方的な解釈で裁決を下す、という制度そのものの欠陥である。」、と断じる。


 確かに、安倍晋三政権に「公平」という言葉は意図的に否定されている。何故なら、「忖度」という言葉がこれを代行するから。





by asyagi-df-2014 | 2019-04-10 06:18 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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